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【発明の名称】 光素子の取付構造及び光送受信モジュール
【発明者】 【氏名】鈴木 丈己

【要約】 【課題】光素子の特性を最大限に引き出すことができるとともに、光素子の取付工程を容易化してコストを低減できるようにすること。

【解決手段】フランジ22を備えた光素子21をプリント基板23に取り付ける光素子の取付構造において、上記光素子が、第1配線パターン31及び第2配線パターン32を備えた回路成形部品24を介して上記プリント基板に取り付けられたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 フランジを備えた光素子を基板に取り付ける光素子の取付構造において、上記光素子が、配線パターンを備えた回路成形部品を介して上記基板に取り付けられたことを特徴とする光素子の取付構造。
【請求項2】 上記回路成形部品には、光素子のリード線に接続される配線パターンと、上記光素子のフランジに接続される配線パターンとが、上記光素子の取付面から基板への接触面までそれぞれ延在して形成されたことを特徴とする請求項1に記載の光素子の取付構造。
【請求項3】 上記回路成形部品は、当該回路成形部品の配線パターンを基板の配線パターンに接続させることにより、当該基板に固定されることを特徴とする請求項1または2に記載の光素子の取付構造。
【請求項4】 フランジを備えた光素子を基板に実装して構成される光送受信モジュールにおいて、上記光素子が、配線パターンを備えた回路成形部品を介して上記基板に取り付けられたことを特徴とする光送受信モジュール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光素子の取付構造、及び光素子を基板に取り付けて(実装して)製造される光送受信モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】光送受信モジュールは、伝送システムにおいては1つの部品として取り扱われており、例えば、パソコンやルータ等のボードに搭載される。この場合、他の基板や部品から大きなノイズが放射されていると、その影響で光送受信モジュールが誤動作を起こしてしまう恐れがある。これとは逆に、光送受信モジュールがノイズを発生し、他の基板等に影響を及ぼすことも考えられる。
【0003】今日の高速伝送の普及に伴い、光送受信モジュールはノイズに対して非常に敏感になっている。このことは、光送受信モジュール周辺の回路や装置についても同様であり、それぞれが発生するノイズの相互作用による影響が非常に起こりやすい環境になっている。特に、光素子は高速信号を光−電気変換するため、その実装には十分な注意が必要である。
【0004】従来の光送受信モジュールは、図4に示すように、フランジ2付き光素子1をプリント基板4に実装して構成されるが、このとき、専用の取付用金具3、例えばL字形状に折り曲げられた専用の金具を介在させて、光素子1をプリント基板4に取り付けていた。この取付用金具3には、フランジ2の穴に合わせたねじ穴6と、プリント基板4への固定用ねじ穴7とを設け、これらのねじ穴6、7にねじ8を挿通して、取付用金具3と光素子1及びプリント基板4とをそれぞれ固定している。
【0005】また、図5に示す光送受信モジュールは、リジッドフレキシブル・プリント基板10にフランジ2付き光素子1を取り付け(実装し)たものである。このプリント基板10のフレキシブル部11をL字形状に曲げ、図4の取付用金具3の機能をプリント基板1枚で可能にしたものである。
【0006】尚、図5中の符号12はナットであり、図4及び図5中の符号5は光素子1のリード線である。このリード線5は、図4に示す光送受信モジュールでは、プリント基板4に穿設されたスルーホール9にてプリント基板4の配線パターンに接続される。また、図5に示す光送受信モジュールでは、リード線5は、プリント基板10におけるフレキシブル部11に形成されたスルーホール13にて、このフレキシブル部11に形成された配線パターンに接続される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】図4に示すように、L字形状の取付金具3を用いてフランジ2付きの光素子1をプリント基板4に取り付ける(実装する)と、光素子1がプリント基板4の上方又は下方に位置するため、光素子1のリード線5が長くなってしまい、光素子1を備えた光送受信モジュールなどのインダクタンスや容量が増大してしまう。このため、この光送受信モジュールなどの光出力波形や光受信波形のアイの領域が狭くなって歪んだ波形となったり、また、光送受信モジュールなどの受信感度が低下して、この光素子1を備えた光送受信モジュールの特性が劣化してしまう。
【0008】また、光素子1のリード線5が長くなると、光素子1がLD(レーザダイオード)の場合には、ノイズを撒き散らし易くなり、PD(フォトダイオード)の場合には、ノイズを拾い易くなるなどの問題がある。
【0009】更に、光素子1のリード線5が長いことから、リードフォーミングという煩雑な作業工程が必要になる。しかも、取付金具3と光素子1及びプリント基板4とをねじ8を用いて固定することから、取り付けの作業工程が増えてしまう。これらの作業工程の結果、光素子1のプリント基板4への取付コストが上昇してしまう。
【0010】一方、図5に示す従来技術では、光素子1のリード線5がフレキシブル部11の配線パターンに接続されることから、リード線5を短くできる。この結果、光素子1を備えた光送受信モジュールのノイズ耐力特性が向上し、しかも、リード線5をリードフォーミングする必要もない。更に、光素子1のケースと、プリント基板10における上記ケースと同電位部分とを、ねじ8及びナット12を用いてプリント基板10のフレキシブル部11に強固に接続することができる。
【0011】しかしながら、この図5に示す従来技術では、プリント基板10のフレキシブル部11を屈曲した後に、この屈曲状態を保持するための構造が必要となる。例えば、光送受信モジュールの筐体14(図6)に溝15を形成し、この溝15に屈曲されたフレキシブル部11を係合させて、フレキシブル部11の屈曲状態を保持しなければならない。このため、光素子1の取付工程が煩雑となり、取付コストが上昇してしまう。
【0012】本発明は、上述の事情を考慮してなされたものであり、光素子の特性を最大限に引き出すことができるとともに、光素子の取付工程を容易化してコストを低減できる光素子の取付構造及び光送受信モジュールを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、フランジを備えた光素子を基板に取り付ける光素子の取付構造において、上記光素子が、配線パターンを備えた回路成形部品を介して上記基板に取り付けられたことを特徴とするものである。
【0014】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記回路成形部品には、光素子のリード線に接続される配線パターンと、上記光素子のフランジに接続される配線パターンとが、上記光素子の取付面から基板への接触面までそれぞれ延在して形成されたことを特徴とするものである。
【0015】請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、上記回路成形部品は、当該回路成形部品の配線パターンを基板の配線パターンに接続させることにより、当該基板に固定されることを特徴とするものである。
【0016】請求項4に記載の発明は、フランジを備えた光素子を基板に実装して構成される光送受信モジュールにおいて、上記光素子が、配線パターンを備えた回路成形部品を介して上記基板に取り付けられたことを特徴とするものである。
【0017】請求項1、2または4に記載の発明には、次の作用がある。
【0018】光素子が、配線パターンを備えた回路成形部品を介して基板に取り付けられたことから、光素子のリード線を短くできる。この結果、光素子のノイズ耐力特性を向上させることができるとともに、光素子を備えた光送受信モジュール等のインダクタンスや容量が低減されて、この光送受信モジュール等における光波形のアイの領域が広くなり、その受信感度も向上して、光素子の特性を最大限引き出すことができ、光送受信モジュール等の特性を良好に確保できる。
【0019】しかも、光素子のリード線を短くできるので、リードフォーミングという煩雑な作業も不要となり、光素子の取付コストを低減できる。
【0020】また、回路成型部品を介して光素子が基板に取り付けられたことから、リジッドフレキシブル・プリント基板を用いる場合に問題となる、基板のフレキシブル部の固定構造が不要となるので、光素子の取付工程が簡素化され、その取付コストを低減できる。
【0021】請求項3に記載の発明には、次の作用がある。
【0022】回路成形部品が、当該回路成形部品の配線パターンと基板の配線パターンとを接続させることにより当該基板に固定して取り付けられることから、回路成形部品と基板との取付工程を簡略化でき、光素子の取付コストを低減できる。
【0023】しかも、回路成形部品の配線パターンと基板の配線パターンとを接続させることにより、回路成形部品が基板に取り付けられることから、光素子のフランジと一体化されたケースと、基板における上記ケースと同電位部分との電気的接続が強固に構成されるので、光素子を備えた光送受信モジュール等の動作が安定化する。この結果、この光送受信モジュール等における光波形のアイの領域が広くなり、またその受信感度も向上して、光素子の特性を最大限引き出すことができ、光送受信モジュール等の特性を良好に確保できる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
【0025】図1は、本発明に係る光素子の取付構造における一実施の形態が適用された光送受信モジュールの一部を示す斜視図である。
【0026】図1に示す光送受信モジュール20は、LD(レーザダイオード)やPD(フォトダイオード)などのフランジ22付きの光素子21を、回路成形部品24(MID:Molded Interconnect Device)を介してプリント基板23に取り付け、つまり実装して構成されたものである。
【0027】回路成形部品24は、図2にも示すように、基部26の一側縁から立設部25が一体に立設して、側面視L字形状に構成されたものである。
【0028】立設部25に、光素子21のリード線27を接続させるためのスルーホール28と、光素子21のフランジ22を固定するためのねじ穴30とがそれぞれ貫通して形成されている。光素子21の取付状態で、スルーホール28は、光素子21のリード線27に対応する位置に形成され、ねじ穴30は、光素子21におけるフランジ22のねじ挿通溝29に対応する位置に形成される。
【0029】また、立設部25の裏面25Bが光素子21を取り付けるための取付面とされ、基部26の裏面26Bがプリント基板23に接触可能な接触面とされる。
【0030】立設部25の表面25Aには、スルーホール28の周囲から延びる第1配線パターン31が形成される。この第1配線パターン31は、図3にも示すように、立設部25の表面25Aから基部26の表面26A及び端面26Cを経て、基部26の裏面26Bへ至る。また、立設部25の裏面25Bには、光素子21の取付状態で、光素子21のフランジ22が接触する位置に第2配線パターン32が形成されている。この第2配線パターン32は、立設部25の裏面25Bから基部26の裏面26B及び端面26Cまで延在して設けられる。この第2配線パターン32は、第1配線パターン31と絶縁状態に形成される。
【0031】なお、基部26の表面26Aに位置する第1配線パターン31の一部に面実装チップ部品34が、電気的に接続状態で配設されている。
【0032】光素子21をプリント基板23へ取り付けるには、まず、回路成形部品24をプリント基板23に固定して取り付ける。この取付は、第1配線パターン31における端面26C及び裏面26B側部分をプリント基板23における信号伝送用の配線パターン35に半田付け等により接続させ、更に、第2配線パターン32における裏面26B及び端面26C側部分を、プリント基板23における配線パターン36に半田付け等により接続させることによりなされる。上記配線パターン36は、光素子21のフランジ22に電気的に一体化されたケースと、プリント基板23における上記ケースと同電位部分とを接続させるためのものである。
【0033】このような回路成形部品24のプリント基板23への取付手順は、IC等の半導体部品をプリント基板23の表面に取り付ける(実装する)場合と同様の手順であり、一般的なSMT(Surface Mount Technology)である。
【0034】次に、このプリント基板23に実装された回路成形部品24のスルーホール28に光素子21のリード線27を挿通し、このリード線27と回路成形部品24の第1配線パターン31とを接続する。このとき、リード線27は、光素子21が取り付けられる回路成形部品24の立設部25におけるスルーホール28周囲の第1配線パターン31に接続されるので、その長さが短く、このためリードフォーミングが不要となる。リード線27と第1配線パターン31との電気的接続により、光素子21とプリント基板23との間で信号の送受信が可能となる。
【0035】更に、光素子21のフランジ22におけるねじ挿通溝29と回路成形部品24のねじ穴30とにねじ37を挿通し、このねじ37にナット38を螺合して、これらフランジ22と回路成形部品24の立設部25とを強く締結し、光素子21のフランジ22と回路成形部品24における第2配線パターン32の裏面25B部分とを接続させる。これにより、光素子21のケースと、プリント基板23における上記ケースと同電位部分とが電気的に接続される。
【0036】従って、上記実施の形態によれば、次の効果■〜■を奏する。
【0037】■光素子21が第1配線パターン31及び第2配線パターン32を備えた回路成形部品24を介してプリント基板23に取り付けられたことから、光素子21のリード線27を短くできる。この結果、光素子21のノイズ耐力特性を向上させることができるとともに、光素子21を備えた光送受信モジュール20のインダクタンスや容量が低減されて、この光送受信モジュール20における光波形のアイの領域が広くなり、その受信感度も向上して、光素子21の特性を最大限引き出すことができ、光送受信モジュール20の特性を良好に確保できる。
【0038】■光素子21のリード線27を短くできるので、リードフォーミングという煩雑な作業も不要となり、光素子21の取付コストを低減できる。
【0039】■回路成形部品24を介して光素子21がプリント基板23に取り付けられたことから、リジットフレキシブル・プリント基板を用いる場合に問題となる基板のフレキシブル部の固定構造(例えば、図4の筐体14における溝15)が不要となるので、光素子21の取付工程が簡略化され、その取付コストを低減できる。
【0040】■回路成形部品24が、当該回路成形部品24の第1配線パターン31、第2配線パターン32とプリント基板23の配線パターン35、36とをそれぞれ電気的に接続させることにより、当該プリント基板23に固定して取り付けられることから、回路成形部品24とプリント基板23とを、図4の如くねじ8で固定する必要がないので、その取付工程を簡略化でき、光素子21の取付コストを低減できる。
【0041】■回路成形部品24の第1配線パターン31、第2配線パターン32とプリント基板23の配線パターン35、36とをそれぞれ電気的に接続させることにより、回路成形部品24がプリント基板23に取り付けられることから、光素子21のフランジ22を回路成形部品24の立設部25に、ねじ37及びナット38を用いて締結することにより、光素子21のフランジ22と一体化されたケースと、プリント基板23における上記ケースと同電位部分との電気的接続が強固に構成される。この結果、光素子21を備えた光送受信モジュール20等の動作が安定化して、この光送受信モジュール20等における光波形のアイの領域が広くなり、また、その受信感度も向上して、光素子21の特性を最大限引き出すことができ、光送受信モジュール20等の特性を良好に確保できる。
【0042】以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】例えば、回路成形部品24の形状は、側面視L字形状に限らず、光素子21のリード線27とプリント基板23の配線パターン35とが確実に接続され、光素子21のフランジ22とプリント基板23の配線パターン36とが確実に接続される限り、他の形状であってもよい。
【0044】
【発明の効果】以上のように、請求項1に記載の発明に係る光素子の取付構造、及び請求項4に記載の発明に係る光送受信モジュールによれば、光素子が配線パターンを備えた回路成形部品を介して基板に取り付けられたことから、光素子の特性を最大限引き出すことができるとともに、光素子の取付工程を容易化してコストを低減できる。
【出願人】 【識別番号】000005120
【氏名又は名称】日立電線株式会社
【出願日】 平成12年1月17日(2000.1.17)
【代理人】 【識別番号】100091823
【弁理士】
【氏名又は名称】櫛渕 昌之 (外1名)
【公開番号】 特開2001−196766(P2001−196766A)
【公開日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願番号】 特願2000−7344(P2000−7344)