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【発明の名称】 配線基板およびその製造方法
【発明者】 【氏名】中島 千鶴夫

【要約】 【課題】メタライズ材料で配線パターンが両面に形成されたグリーンシートを焼成してなる配線基板において、焼成時の反りを抑制・防止する。

【解決手段】第1絶縁層3aの一方の面には、第1導体層11aが形成されると共に、他方の面には、第1導体層11aよりも面積の大きい第2導体層11bが形成されるが、第1導体層11aは、第2導体層11bよりも厚くされている。また、第2絶縁層3bの一方の面には、第2導体層11bが形成されると共に、他方の面には、第2導体層11bよりも面積の大きい第3導体層11cが形成されるが、第2導体層11bは、第3導体層19cよりも厚くされると共に、第2導体層11bを構成する金属粒子の平均粒径は、第3導体層11cを構成する金属粒子の平均粒径よりも大きい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 焼成後に絶縁層となるグリーンシートの面上に、焼成後に第1導体層となる第1導体形成層を金属粒子含有の導電性ペースト又は導電性インクにて形成すると共に、該グリーンシートの該第1導体形成層とは反対側の面上に、焼成後に該第1導体層よりも面積の大きい第2導体層となる第2導体形成層を金属粒子含有の導電性ペースト又は導電性インクにて形成し、該グリーンシートおよび該両導体形成層を同時に焼成することにより配線基板を製造する方法であって、前記第1導体形成層を形成する導電性ペースト又は導電性インクに含有の金属粒子として、その平均粒径が、前記第2導体形成層を形成する導電性ペースト又は導電性インクに含有の金属粒子の平均粒径よりも大きいものを用いることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項2】 焼成後に絶縁層となるグリーンシートの面上に、焼成後に第1導体層となる第1導体形成層を金属粒子含有の導電性ペースト又は導電性インクにて形成すると共に、該グリーンシートの該第1導体形成層とは反対側の面上に、焼成後に該第1導体層よりも面積の大きい第2導体層となる第2導体形成層を金属粒子含有の導電性ペースト又は導電性インクにて形成し、該グリーンシートおよび該両導体形成層を同時に焼成することにより配線基板を製造する方法であって、前記第1導体形成層を前記第2導体形成層よりも厚く形成することにより、配線基板に反りが生じることを抑制することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項3】 前記第1導体形成層を形成する導電性ペースト又は導電性インクに含有の金属粒子として、その平均粒径が、前記第2導体形成層を形成する導電性ペースト又は導電性インクに含有の金属粒子の平均粒径よりも大きいものを用いることを特徴とする請求項2記載の配線基板の製造方法。
【請求項4】 グリーンシートを焼成してなる絶縁層と、該グリーンシートの面上に金属粒子含有の導電ペースト又は導電性インクにて形成された第1導体形成層を、該グリーンシートと同時に焼成してなる第1導体層と、前記グリーンシートの前記第1導体形成層とは反対側の面上に金属粒子含有の導電ペースト又は導電性インクにて形成された第2導体形成層を、該グリーンシートと同時に焼成してなり、前記第1導体層よりも面積の大きい第2導体層と、を備えた配線基板であって、前記第1導体層を構成する金属粒子の平均粒径は、前記第2導体層を構成する金属粒子の平均粒径よりも大きいことを特徴とする配線基板。
【請求項5】 グリーンシートを焼成してなる絶縁層と、該グリーンシートの面上に金属粒子含有の導電ペースト又は導電性インクにて形成された第1導体形成層を、該グリーンシートと同時に焼成してなる第1導体層と、前記グリーンシートの前記第1導体形成層とは反対側の面上に金属粒子含有の導電ペースト又は導電性インクにて形成された第2導体形成層を、該グリーンシートと同時に焼成してなり、前記第1導体層よりも面積の大きい第2導体層と、を備えた配線基板であって、前記第1導体層は前記第2導体層よりも厚く形成され、前記焼成時における反りの発生が抑制されたことを特徴とする配線基板。
【請求項6】 前記第1導体層を構成する金属粒子の平均粒径は、前記第2導体層を構成する金属粒子の平均粒径よりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の配線基板。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、焼成後に絶縁層となるグリーンシートを介して、焼成後に導体層となる複数の導体形成層を形成し、グリーンシートおよび両導体形成層を同時に焼成することにより構成される配線基板、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、集積回路素子その他の電子部品を実装するための配線板として、絶縁層としてのセラミック板に、導体層としての配線を形成して構成された配線基板が知られている。
【0003】セラミック板は、セラミック(例えばアルミナ系セラミック、ガラスセラミックなど)の粉末を粘結剤などでシート状に形成してなるグリーンシート(未焼成の生シート)を焼成することで構成されるものである。このグリーンシートの面上に導電性ペーストや導電性インクなどで配線パターンを印刷して、更に焼成するとセラミック配線基板が得られる。また、導電性インクや導電性ペーストなどで配線パターンが印刷されたグリーンシートを積層した上で焼成すれば、多層セラミック配線基板を構成することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、導電性ペーストや導電性インクは、導電性を有する金属粒子をバインダ樹脂に混入したもの(以下、「メタライズ材料」という)であるが、このメタライズ材料(換言すれば、メタライズ材料にて形成され、焼成後に導体層となる導体形成層)は、焼成により収縮する。またグリーンシートも焼成により収縮するが、焼成による収縮の度合は、一般にグリーンシートよりもメタライズ材料の方が小さい。
【0005】そのため、グリーンシートの面上において、メタライズ材料で配線パターンが印刷された部分と印刷されていない部分とでは、焼成時に発生する収縮度合が異なり、メタライズ材料が印刷された部分の方が、印刷されていない部分よりも収縮し難くなる。従って、配線パターンの面積の合計(即ち、グリーンシートの面上に形成された導体層の面積)が大きいほど、その配線パターンが形成された面におけるグリーンシートの収縮量は小さいものとなる。
【0006】そのため、多層セラミック配線基板を製造する場合の様に、グリーンシートを介して(即ち、グリーンシートの互いに反対側の面に)複数層の配線パターンが重ねられたものを焼成する場合、各層の配線パターンの面積が各層毎に夫々異なると、配線パターンに挟まれたグリーンシートの収縮度合は、一方の面とその裏側の面とで異なり、焼成後には反りが生じることになる。即ち、図5に例示するように、配線パターンの面積が小さい方の面が凹状となり、配線パターンの面積が大きい方の面が凸状となるように反るという問題が生じる。そして、各導体層は、例えばバイアホールにて互いに接続される場合があるが、基板が反ると、それら導体層間の接続不良が発生する可能性もある。
【0007】また、こうした問題は、多層セラミック配線基板に限らず、両面にメタライズ材料で配線パターンが形成されたグリーンシートを焼成することにより、複数の導体層をセラミック板(絶縁層)を介して備えた配線基板を製造する場合であれば同様に発生し得る。
【0008】本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、メタライズ材料で配線パターンが両面に形成されたグリーンシートを焼成してなる配線基板において、焼成時の反りを抑制・防止可能とすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】こうした課題を解決するためになされた本発明(請求項1記載)は、焼成後に絶縁層となるグリーンシートの面上に、焼成後に第1導体層となる第1導体形成層を金属粒子含有の導電性ペースト又は導電性インクにて形成すると共に、該グリーンシートの該第1導体形成層とは反対側の面上に、焼成後に該第1導体層よりも面積の大きい第2導体層となる第2導体形成層を金属粒子含有の導電性ペースト又は導電性インクにて形成し、該グリーンシートおよび該両導体形成層を同時に焼成することにより配線基板を製造する方法であって、前記第1導体形成層を形成する導電性ペースト又は導電性インクに含有の金属粒子として、その平均粒径が、前記第2導体形成層を形成する導電性ペースト又は導電性インクに含有の金属粒子の平均粒径よりも大きいものを用いることを特徴とする。
【0010】ここで導体層の面積とは、グリーンシート上に形成される配線パターン(導体層)の面積の合計(換言すれば、グリーンシートを覆っている部分の面積)である。そして、上述の様にグリーンシートは、導体形成層の面積が大きい程その面での焼成収縮の度合が小さくなり、面積が小さい程その面における焼成収縮の度合が大きくなる。
【0011】一方、導電性ペースト又は導電性インク(即ち、メタライズ材料)でグリーンシートの面上に形成された導体形成層には金属粒子が含有されており、この導体形成層を焼成すると金属粒子が焼結し、その結果、導体層(即ち、配線)が形成される。そして、焼成の際には導体形成層も収縮するのであるが、その収縮の度合は、後述の実験結果からも分かる様に、金属粒子の平均粒径によって異なる。即ち、金属粒子の平均粒径が小さいほど導体形成層の収縮度合は大きく、金属粒子の平均粒径が大きいほど、導体形成層の焼成度合は小さい。
【0012】そこで、本発明(請求項1)の配線基板の製造方法では、グリーンシートの互いに反対側の面にメタライズ材料で導体形成層を形成し、焼成することによって面積の異なる複数の導体層(即ち、配線パターン)を形成するにあたっては、各導体層の面積の大きさに応じて、各層毎に、当該導体層を形成する金属粒子の平均粒径を変える。即ち、相対的に面積の小さい導体層(第1導体層)となる導体形成層(第1導体形成層)を形成するメタライズ材料に含有される金属粒子の平均粒径が、相対的に面積の大きい導体層(第2導体層)となる導体形成層(第2導体形成層)を形成するメタライズ材料に含有される金属粒子の平均粒径よりも大きくなるように、それら金属粒子を選択する。
【0013】つまり、導体形成層により覆われている面積が小さいほど、その形成された面におけるグリーンシートの収縮度合は大きいのであるが、本発明(請求項1)では、面積の小さい導体層を形成するための金属粒子の平均粒径を相対的に大きくしていることから、導体形成層に挟まれたグリーンシートの収縮量が、一方の面と他方の面(即ち、裏側の面)とで異なってしまうのを抑制するのである。
【0014】これにより、グリーンシートの両面に形成される配線間の位置的関係にずれが生じ難くなり、両配線間の接続を確実に図ることができることとなり、その結果信頼性の高い配線基板を得ることが可能となる。また、焼成により得られる絶縁層(即ち、配線基板)を平坦化することができるので、その後の配線形成や電子部品の実装を支障なく行うことができる。
【0015】さて、導体形成層の焼成収縮の度合は、当該導体形成層の厚みによっても変わる。即ち、後述の実験からも分かるように、導体形成層の厚みが大きいほど、その収縮度合が小さい。そこで、請求項2に記載の様な方法によっても、上記課題を解決することができる。
【0016】即ち、請求項2記載の発明は、焼成後に絶縁層となるグリーンシートの面上に、焼成後に第1導体層となる第1導体形成層を金属粒子含有の導電性ペースト又は導電性インクにて形成すると共に、該グリーンシートの該第1導体形成層とは反対側の面上に、焼成後に該第1導体層よりも面積の大きい第2導体層となる第2導体形成層を金属粒子含有の導電性ペースト又は導電性インクにて形成し、該グリーンシートおよび該両導体形成層を同時に焼成することにより配線基板を製造する方法であって、前記第1導体形成層を前記第2導体形成層よりも厚く形成することにより、配線基板に反りが生じることを抑制することを特徴とする。
【0017】即ち、請求項2記載の発明では、相対的に面積の小さい導体層(第1導体層)となる導体形成層(第1導体形成層)の厚さを、相対的に面積の大きい導体層(第2導体層)となる導体形成層(第2導体形成層)の厚さよりも、大きくする。つまり、導体形成層により覆われている面積が小さいほど、その導体形成層が形成された面における収縮の程度が大きいのであるが、請求項2の発明では、面積の小さい導体層となる導体形成層の厚さを、相対的に大きくすることによって、導体形成層に挟まれたグリーンシートの収縮量が、一方の面とその裏側の他方の面とで異なってしまうのを抑制するのである。
【0018】これにより、グリーンシートの両面に形成される配線間の位置的関係にずれが生じ難くなり、両配線間の接続を確実に図ることができることとなり、その結果信頼性の高い配線基板を得ることが可能となる。また、焼成により得られる絶縁層(即ち、配線基板)を平坦化することができるので、その後の配線形成や電子部品の実装を支障なく行うことができる。
【0019】そして、上記効果をより確実に得るには、請求項3に記載の様に、第1導体形成層を形成する導電性ペースト又は導電性インクに含有の金属粒子として、その平均粒径が、第2の導体形成層を形成する導電性ペースト又は導電性インクに含有の金属粒子の平均粒径よりも大きいものを用いると共に、第1導体形成層を第2導体形成層よりも厚く形成することにより、配線基板に反りが生じることを抑制すると良い。
【0020】即ち、導体層の面積(即ち、導体形成層の面積)に応じて、金属粒子の平均粒径を変えるだけで配線基板の反りの抑制に対応できればよいが、選択可能な金属粒子の範囲は無制限ではない。また、導体層の面積(即ち、導体形成層の面積)に応じて、導体形成層の厚さを変えるだけで配線基板の反りの抑制に対応できればよいが、形成可能な厚さの範囲にも限界がある。しかし、請求項3に記載の配線基板の製造方法によれば、金属粒子の平均粒径だけでなく、導体形成層の厚さも導体層の面積に応じて変えるので、より確実に配線基板の反りを抑制することができるのである。そして、信頼性の高い配線基板をより確実に製造することができる。
【0021】次に請求項4記載の発明は、グリーンシートを焼成してなる絶縁層と、該グリーンシートの面上に金属粒子含有の導電ペースト又は導電性インクにて形成された第1導体形成層を、該グリーンシートと同時に焼成してなる第1導体層と、前記グリーンシートの前記第1導体形成層とは反対側の面上に金属粒子含有の導電ペースト又は導電性インクにて形成された第2導体形成層を、該グリーンシートと同時に焼成してなり、前記第1導体層よりも面積の大きい第2導体層と、を備えた配線基板であって、前記第1導体層を構成する金属粒子の平均粒径は、前記第2導体層を構成する金属粒子の平均粒径よりも大きいことを特徴とする。
【0022】即ち、請求項4の配線基板においては、相対的に面積の小さい導体層(第1導体層)を形成する金属粒子の平均粒径は、相対的に面積の大きい導体層(第2導体層)を形成する金属粒子の平均粒径よりも大きい。この様な請求項4の配線基板を構成するには、第1導体形成層を形成するメタライズ材料に含有される金属粒子の平均粒径が、第2導体形成層を形成するメタライズ材料に含有される金属粒子の平均粒径よりも大きくなるようにすればよいが、そのため、この配線基板は、焼成の際における収縮量が絶縁層の一方の面側とその反対側の他方の面側とで略同じとなり、焼成による反りや変形の抑制されたものとなる。
【0023】従って、請求項4に記載の配線基板によれば、高い位置精度の配線を有するものとなり、また、その後の配線形成や電子部品の実装を支障なく行うことができる。また、請求項5記載の発明は、グリーンシートを焼成してなる絶縁層と、該グリーンシートの面上に金属粒子含有の導電ペースト又は導電性インクにて形成された第1導体形成層を、該グリーンシートと同時に焼成してなる第1導体層と、前記グリーンシートの前記第1導体形成層とは反対側の面上に金属粒子含有の導電ペースト又は導電性インクにて形成された第2導体形成層を、該グリーンシートと同時に焼成してなり、前記第1導体層よりも面積の大きい第2導体層と、を備えた配線基板であって、前記第1導体層は前記第2導体層よりも厚く形成され、反りの発生が抑制されたことを特徴とする。
【0024】即ち、請求項5の配線基板においては、相対的に面積の小さい導体層(第1導体層)は、相対的に面積の大きい導体層(第2導体層)よりも厚く形成されている。この様な請求項5の配線基板を構成するには、第1導体形成層を、第2導体形成層よりも厚く形成すればよいが、そのため、この配線基板は、焼成の際における収縮量が、絶縁層の一方の面側とその反対側の他方の面側とで略同じとなり、焼成による反りや変形の抑制されたものとなる。
【0025】従って、請求項5に記載の配線基板は、位置ずれの少ない高精度の配線を有するものとなり、また、その後の配線形成や電子部品の実装を支障なく行うことができる。そして、請求項6記載の配線基板においては、相対的に面積の小さい導体層(第1導体層)を形成する金属粒子の平均粒径は、面積の大きい導体層(第2導体層)を形成する金属粒子の平均粒径よりも大きく、更に、相対的に面積の小さい導体層(第1導体層)の厚さは、相対的に面積の大きい導体層(第2導体層)の厚さよりも大きい。
【0026】この様な請求項6の配線基板を構成するには、第1導体形成層を、第2導体形成層よりも厚く形成すると共に、第1導体形成層を形成するメタライズ材料に含有される金属粒子の平均粒径が、第2導体形成層を形成するメタライズ材料に含有される金属粒子の平均粒径よりも大きくなるようにすればよいが、そのため、この配線基板は、焼成の際における収縮量が絶縁層の一方の面側とその反対側の他方の面側とで略同じとなり、焼成による反りや変形の抑制されたものとなる。
【0027】従って、請求項6に記載の配線基板は、より高い位置精度の配線を有するものとなり、また、その後の配線形成や電子部品の実装をより正確に行うことができる。なお、絶縁層の材料(即ち、焼成後に絶縁層となるグリーンシートの材料)としては、ホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、鉛ガラス等を用いた結晶化ガラスや、各種低融点ガラスに無機フィラーを分散させてなる低温焼成可能なガラスセラミックや、より高温で焼成するアルミナ、窒化アルミニウム等が挙げられる。
【0028】また、導体層の材料(即ち、焼成後に導体層を構成する金属粒子。換言すればメタライズ材料含有の金属粒子)としては、低融点金属であるAg,Au等を主成分として含むものを採用できる。また、それらよりも高融点のW,Mo,Pt等を採用しても良い。導体形成層は、例えば、これらの金属粒子を含有するメタライズ材料をグリーンシートにスクリーン印刷することにより形成することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の一実施例を図面と共に説明する。図1は、一実施例としての多層セラミック配線基板1の構成を示す説明図である。図1に示す様に、この多層セラミック配線基板1は、最上層、中間層および最下層からなる3層の絶縁層3a〜3cを積層した積層基板5として構成されており、この積層基板5の略中央部には、キャビティ7が形成されている。キャビティ7は、積層基板5の最上層部分を構成する第1絶縁層3aに設けられた貫通孔7a、および積層基板5の中間層部分を構成する第2絶縁層3bに設けられた貫通孔7bにより形成される。またキャビティ7の底面部7cは、積層基板5の最下層を構成する第3絶縁層3cにより構成されており、当該底面部7cには、集積回路が形成された半導体チップ9が搭載されている。
【0030】積層基板5を構成する各絶縁層3a〜3cの面上には、配線パターンを構成する導体層11a〜11cが形成されている。この内、第3導体層11cは、第3絶縁層3cと第2絶縁層3bとが互いに接する面の上に形成され、第2導体層11bは、第2絶縁層3bと第1絶縁層3aとが互いに接する面の上に形成されている。そして、第1導体層11aは、第1絶縁層3aの上面(即ち2導体層とは反対側の面)の上に形成されているまた、第1絶縁層3aの貫通孔7aは、第2絶縁層3bに設けられた貫通孔7bよりも大きいため、キャビティ7の内部には、第2絶縁層3bにより、キャビティ7を取り囲むステップ部7dが構成される。そして、このステップ部7dの上には第2導体層11bが形成されており、ステップ部7dと半導体チップ9とは、ボンディングワイヤ13により電気的に接続されている。また、各導体層11a〜11cは互いに、複数のバイアホール15にて接続されている。
【0031】こうした構成の多層セラミック配線基板1は、以下の様にして製造される(図2参照)。まず、アルミナ粉末を主成分とする3枚の第1〜第3グリーンシート17a〜17c(本実施例ではそれぞれの厚さ約0.4mm)を用意する。第1グリーンシート17aは、焼成により第1絶縁層3aとなり、第2グリーンシート17bは、焼成により第2絶縁層3bとなり、また第3グリーンシート17cは、焼成により第3絶縁層3cとなるものである。
【0032】この内、第1グリーンシート17aおよび第2グリーンシート17bには、パンチングにより所定の形状に貫通孔およびバイアホール15を形成する。さらに、バイアホール15を、W(タングステン)粒子含有の導電性ペーストで穴埋めする。
【0033】次に各グリーンシート17a〜17cの面上に、W(タングステン)粒子含有の導電性ペーストをスクリーン印刷して、所定の厚さの配線パターン(即ち、焼成により導体層となる第1〜第3導体形成層19a〜19c)を形成する。即ち、第1グリーンシート17aの上面に第1導体形成層19aを形成し、第2グリーンシート17bの上面に第2導体形成層19bを形成し、第3グリーンシート17cの上面に第3導体形成層19cを形成する。第1導体形成層19aは、焼成により第1導体層11aとなるものであり、第2導体形成層19bは、焼成により第2導体層11bとなるものであり、第3導体形成層19cは、焼成により第3導体層となるものである。
【0034】こうして導体形成層19a〜19cが表面に設けられたグリーンシート17a〜17cを積層して、積層体21を構成する。その結果、第3導体形成層19cは、第3グリーンシート17cと第2グリーンシート17bとが互いに接する面の上に位置し、第2導体形成層19bは、第2グリーンシート17bと第1グリーンシート17aとが互いに接する面の上に位置する。そして、第1導体形成層19aは、第1グリーンシート17aの上面(即ち第2導体形成層19bとは反対側の面)上に位置する。
【0035】そして、この積層体21を焼成することにより、図1に示す多層セラミック配線基板1が得られる。さて、本実施例の多層セラミック配線基板1においては、各導体層11a〜11cは互いに配線密度が異なる。
【0036】そして導体層により形成された配線パターンの面積の各層毎の合計は、夫々異なっている。即ち第1絶縁層3aの一の面上における第2導体層11bの面積は、その第1絶縁層3aの他の面上(反対側の面上)における第1導体層11aの面積よりも大きい。そして、第2絶縁層3bの一の面上における第2導体層11bの面積よりも、その第2絶縁層3bの他の面上(反対側の面上)における第3導体層11cの面積の方が大きい。
【0037】そこで、本実施例の多層セラミック配線基板1を製造するにあたっては、反りや変形の発生を抑制するために、各導体形成層19a〜19cを形成する導電性ペーストに含有のW粒子の平均粒径や、各導体形成層19a〜19cの厚みを、その面積に応じて変えている。
【0038】即ち、第1導体形成層19aを形成するための導電性ペーストとしては、W粒子の平均粒径が2.0μmであるものを使用すると共に、その厚さが28μm〜30μmとなるよう第1導体形成層19aを形成する。また、第2導体形成層19bを形成するための導電性ペーストとしては、W粒子の平均粒径が2.0μmであるものを使用すると共に、その厚さが約20μmとなるよう第2導体形成層19bを形成する。また、第3導体形成層19cを形成するための導電性ペーストとしては、W粒子の平均粒径が1.2μmであるものを使用すると共に、その厚さが約14μm〜15μmとなるよう第3導体形成層19cを形成する。
【0039】このため、上記構成の積層体21を焼成して多層セラミック配線基板1を得る際、反りや変形の発生を抑制することが可能となる。即ち、第1絶縁層3aの一方の面(上面)には、第1導体層11aが形成されると共に、他方の面(下面)には、第1導体層11aよりも面積の大きい第2導体層11bが形成されるので、第1グリーンシート17aの両面における焼成収縮の度合のバランスが崩れる可能性がある。しかし、本実施例では、第1導体形成層19aを、第2導体形成層19bよりも厚く形成することにより、第1グリーンシート17aの両面における焼成収縮の度合のバランスを調整している。なお、第1グリーンシート17aには、焼成時、第2グリーンシート17bからも若干の応力が加わるが、それも考慮した第1導体形成層19aおよび第2導体形成層19bの厚さの関係が調整される。
【0040】また、第2絶縁層3bの一方の面(上面)には、第2導体層11bが形成されると共に、他方の面(下面)には、第2導体層11bよりも面積の大きい第3導体層11cが形成されるので、第1グリーンシート17aの両面における焼成収縮の度合のバランスが崩れる可能性がある。しかし、本実施例では、第2導体形成層19bを、第3導体形成層19cよりも厚く形成すると共に、第2導体形成層19bを構成する導電性ペーストの金属粒子の平均粒径が、第3導体形成層19cを構成する導電性ペーストの金属粒子の平均粒径よりも大きくなるよう、金属粒子を選択している。これにより、第2グリーンシート17bの両面における焼成収縮の度合のバランスを調整している。なお、第2グリーンシート17bには、焼成時、第1グリーンシート17aや第3グリーンシート17cからも応力が加わるが、それらも考慮して、第2導体形成層19bおよび第3導体形成層19cの間における、厚さの関係、および金属粒子の粒径の関係が調整される。
【0041】第3グリーンシート17cについては上面にのみ第3導体形成層19cが形成されているので、焼成時には、下面側が凹状となり上面側が凸状となるような応力が発生すると考えられるが、第3導体形成層19cが、薄く形成されると共に、金属粒子の平均粒径が小さくされているので、そうした応力を低減することができる。また、この応力に対抗できるよう、上述のように第1〜第3導体形成層19a〜19cの厚さや、金属粒子の平均粒径を調整しているので、反りの発生が抑制される。
【0042】なお、第1導体層11aは、第2導体層11bよりも厚く形成され、第2導体層11bは、第3導体層よりも厚く形成されることとなる。導体形成層が厚いほど、焼成により得られる導体層は厚いものとなるからである。また、焼成により金属粒子の平均粒径は変化する場合があるが、その大小関係は焼成後においても変わらず、第1導体層11aおよび第2導体層11bにおいてほぼ同じであり、第3導体層11cを構成する焼成後のW粒子の平均粒径よりも大きい。
【0043】そして、本実施例において、多層セラミック配線基板1は45mm×45mmの大きさを有するものであるが、その反り量を100μm以下とすることが可能となる。ここで反り量は、第3絶縁層3cの互いに対向する縁部に接する平面から、当該第3絶縁層3cの中央部までの間隙である。
【0044】発明者は、本発明の作用・効果を確かめるために次の様な実験を行った。まず、グリーンシートの上面に、金属粒子(この実験では、W粒子)を含有した導電性ペーストで導体形成層を印刷し、グリーンシートおよび導体形成層を同時焼成する。これにより、グリーンシートが焼成されて構成される絶縁層(換言すれば、焼成により得られる配線基板)には所定量の反りが発生するが、この反り量と、導体層の厚さとの関係を検証した。
【0045】尚、このとき使用したグリーンシートは、厚さ0.36mm、直径25mmの円板体(図3(a)参照)であり、導電性ペーストとしては、含有の金属粒子の平均粒径が、1.3μmのものと、2.0μmのものと使用した。なお、W粒子の粒径は、レーザ回折粒度計により、投影画像を円近似したときの直径として測定した。また、反り量は、円板体(即ち、絶縁層)の縁部に接する平面から、当該円板体の中心部(中央部)までの間隙で示している。
【0046】図3(b),(c)および図4は、上記の実験結果を示したものである。この実験の結果から、次のことが分かる。即ち、導体層が形成されている面の方が、焼成収縮の度合が小さく、配線基板は、「導体層が形成されていない面」が凹面状となり「導体層が形成されている面」が凸面状となるように反る。しかも、導体層の厚さが大きくなるほど、また、金属粒子の平均粒径が大きくなるほど、反り量は大きくなる。”反り量が大きくなる”ということは、グリーンシートにおける、導体層(換言すれば、導体形成層)が形成された面での収縮度合と形成されていない面での収縮の度合との差が、より大きくなっているということを示している。
【0047】このことから、導体層(換言すれば、導体形成層)の厚さが大きくなるほど、また、金属粒子の平均粒径が大きくなるほど、導体形成層の焼成収縮の度合が小さくなることが分かる。即ち、面積が相対的に小さい導体層を形成するためには、平均粒径が相対的に大きい金属粒子を含有する導電性ペーストまたは導電性インクを使用し、および/または、導電性ペーストまたは導電性インクの厚み(即ち、導体形成層の厚み)を大きく形成すればよい。また、面積が相対的に大きい導体層を形成するためには、平均粒径が相対的に小さい金属粒子を含有する導電性ペースト又は導電性インクを使用し、および/または、導電性ペーストまたは導電性インクの厚み(即ち、導体形成層の厚み)を小さく形成すればよい。そうすればグリーンシートの両面間における焼成収縮の度合の差を少なくすることができ、配線基板の反りを抑制、延いては防止することができるのである。
【0048】以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定される物ではなく、種々の態様を取ることができる。例えば、上記実施例の多層セラミック配線基板1においては、キャビティ7を有するものとして説明したがこれに限られるものではなく、キャビティ7を有しないものであっても、互いに面積の異なる複数の導体層を形成する場合には、本発明を適用すれば、配線基板の反り・変形を抑制することができる。
【0049】この他にも、外部端子としてピンを使用した、いわゆるピン・グリッドアレイ(PGA)型の配線基板にも本発明を適用することは可能である。また、1個の大型基板から多数の配線基板を、分割溝に沿ってブレークすることにより得られる配線基板に本発明を用いると、反り・変形を防止する効果をより顕著に得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
【出願日】 平成11年12月27日(1999.12.27)
【代理人】 【識別番号】100082500
【弁理士】
【氏名又は名称】足立 勉 (外1名)
【公開番号】 特開2001−185859(P2001−185859A)
【公開日】 平成13年7月6日(2001.7.6)
【出願番号】 特願平11−370251