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【発明の名称】 半導体用ヒートスプレッダーの製造方法
【発明者】 【氏名】山田 進
【課題】半導体が収容される凹部の半導体との接触面の平滑度を従来よりも高くし、放熱性を向上させることができる製造方法を提供する。

【解決手段】本発明の半導体用ヒートスプレッダーの製造方法は、金属薄板の厚み方向に半導体が収容される凹部を形成する工程と、前記工程により形成された凹部の半導体との接触面を平滑に加工する加工手段による仕上げ工程とを具備することを特徴とする。この方法により製造された半導体用ヒートスプレッダーによれば、半導体と接する接触面が面粗度の小さい平坦面となるため、該平坦面と半導体との接触面積を従来よりも大きくとることができ放熱性が向上する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属薄板の厚み方向に半導体が収容される凹部を形成する工程と、前記工程により形成された凹部の半導体との接触面を平滑に加工する加工手段による仕上げ工程とを具備することを特徴とする半導体用ヒートスプレッダーの製造方法。
【請求項2】 請求項1記載の半導体用ヒートスプレッダーの製造方法であって、前記加工手段は、グラインダによる研磨加工であることを特徴とする半導体用ヒートスプレッダーの製造方法。
【請求項3】 請求項1記載の半導体用ヒートスプレッダーの製造方法であって、前記加工手段は、前記凹部の接触面との間に、研磨材を介在させて、超音波振動する工具を押しつける超音波加工であることを特徴とする半導体用ヒートスプレッダーの製造方法。
【請求項4】 請求項1記載の半導体用ヒートスプレッダーの製造方法であって、前記加工手段は、前記凹部の接触面に、超音波振動する工具を直接押しつける超音波加工であることを特徴とする半導体用ヒートスプレッダーの製造方法。
【請求項5】 請求項1記載の半導体用ヒートスプレッダーの製造方法であって、前記加工手段は、ソフトエッチング加工であることを特徴とする半導体用ヒートスプレッダーの製造方法。
【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1に記載の半導体用ヒートスプレッダーの製造方法であって、前記加工手段により前記凹部の接触面の面粗度を20μm以下とすることを特徴とする半導体用ヒートスプレッダーの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体素子に接合するヒートスプレッダーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体は、金属薄板からなるヒートスプレッダーに接して設けられ、封止材によりモールドされる。ヒートスプレッダーからの放熱性を高めるため、近年は、ヒートスプレッダーを構成する金属薄板を、その厚み方向にハーフエッチングして凹部を形成し、この凹部内に半導体を収容することで、該凹部の周縁からも半導体の熱が放出されるような構造が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記したハーフエッチングにより凹部を形成するのみでは、半導体との接触面をフラットに形成することが非常に難しく、該接触面に接して設けられる半導体との接触面積が小さくなり、放熱性が劣るという問題があった。このため、接触面の平滑度がより高い凹部を備えたヒートスプレッダーの開発が望まれていた。
【0004】本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、半導体の収容部である凹部の接触面が従来よりも高い平滑度を備えた半導体用ヒートスプレッダーを製造できる製造方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため請求項1記載の本発明の半導体用ヒートスプレッダーの製造方法は、金属薄板の厚み方向に半導体が収容される凹部を形成する工程と、前記工程により形成された凹部の半導体との接触面を平滑に加工する加工手段による仕上げ工程とを具備することを特徴とする。
【0006】請求項2記載の本発明の半導体用ヒートスプレッダーの製造方法は、請求項1記載の半導体用ヒートスプレッダーの製造方法であって、前記加工手段は、グラインダによる研磨加工であることを特徴とする。
【0007】請求項3記載の本発明の半導体用ヒートスプレッダーの製造方法は、請求項1記載の半導体用ヒートスプレッダーの製造方法であって、前記加工手段は、前記凹部の接触面との間に、研磨材を介在させて、超音波振動する工具を押しつける超音波加工であることを特徴とする。
【0008】請求項4記載の本発明の半導体用ヒートスプレッダーの製造方法は、請求項1記載の半導体用ヒートスプレッダーの製造方法であって、前記加工手段は、前記凹部の接触面に、超音波振動する工具を直接押しつける超音波加工であることを特徴とする。
【0009】請求項5記載の本発明の半導体用ヒートスプレッダーの製造方法は、請求項1記載の半導体用ヒートスプレッダーの製造方法であって、前記加工手段は、ソフトエッチング加工であることを特徴とする。
【0010】請求項6記載の本発明の半導体用ヒートスプレッダーの製造方法は、請求項1〜5のいずれか1に記載の半導体用ヒートスプレッダーの製造方法であって、前記加工手段により前記凹部の接触面の面粗度を20μm以下とすることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて更に詳しく説明する。図1は、本実施の形態に係るヒートスプレッダー10を示す斜視図である。図示したように、このヒートスプレッダー10は、略中央に、半導体(図示せず)を収容するための凹部20が形成された略四角形の金属薄板30からなる。
【0012】凹部20の形状は任意であるが、半導体を収容する凹部としては、図示したように、通常、略正方形に形成される。但し、略長方形、略円形、略楕円形等に形成することももちろん可能である。
【0013】ヒートスプレッダー10の母体をなす金属薄板30は、複数の金属板が積層されて形成されたものではなく、一枚の金属板から形成されている。なお、ヒートスプレッダー10(金属薄板30)は、素材としての金属板を、プレス加工、エッチング加工等により打ち抜いて形成することができる。
【0014】金属薄板30の厚みは、収容する半導体の種類等によって適宜決定することができるが、通常0.1〜1.0mm程度のものを用いることができる。また、金属薄板30を構成する材料は、熱伝導性が高く、従来ヒートスプレッダーとして採用されている材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、アルミニウムや銅等を用いることができる。
【0015】上記したヒートスプレッダー10は、金属薄板30の厚み方向に半導体が収容される凹部20を形成する工程と、該工程により形成された凹部20の半導体との接触面21を平滑に加工する加工手段による仕上げ工程とを有する方法により、製造することができる。
【0016】すなわち、まず、金属薄板30の厚み方向に凹部20を形成する。凹部20を形成する手段としては、該凹部20を切削加工することもできるが、量産性に劣るため、ハーフエッチングにより形成することが好ましい。なお、凹部20をハーフエッチングにより形成するのと同時又はその前後に、素材としての金属板からエッチングにより金属薄板30を打ち抜くことが好ましい。
【0017】次に、凹部20の接触面21を平滑に加工する加工手段により、ヒートスプレッダー10を仕上げる。従来のハーフエッチングしただけの状態では、凹部20の接触面21の面粗度(表面粗さ)は、大体40μm以上であるが、このような加工手段による仕上げ工程を設けることにより、接触面21の面粗度(表面粗さ)を約30μm以下、好ましくは20μm以下とすることが可能となる。従って、半導体との接触面積が従来よりも大きくなり、放熱性能を向上させることができる。なお、ここでいう面粗度(表面粗さ)とは、設定した基準面に対する突出側の最大変化量の絶対値と凹み側の最大変化量の絶対値との和をいう。また、ここにいう仕上げ工程に用いる加工手段としては、例えば、以下の(a)〜(d)に掲げた手段を採用することができる。
【0018】(a)グラインダによる研磨加工この加工手段は、図2に示したように、グラインダに取り付けられた略筒形の回転砥石100の端面を、凹部20の接触面21に対してほとんど圧力を加えないで当接させ、該接触面21を研磨する方法である。なお、回転砥石100で研磨した後、さらにバフで接触面21を磨いて仕上げることが好ましい。また、回転砥石100の粒度は、当接する材料により適切なものを選択する。
【0019】(b)超音波加工この加工手段は、図3に示したように、まず、凹部20の接触面21上に研磨材としての砥粒を敷き、次に、その上から超音波加工機に取り付けられた工具200を押しつけ、超音波振動を付加して、該接触面21を研磨する方法である。なお、図示したように、粒状の砥粒に代えて研磨材としてのサンドペーパ210を用いることができる。サンドペーパ210としては、当接する材料により適切な粒度のものを選択する。また、工具200に与えられる振動周波数は、約15〜16KHzが好ましく、また、工具200を接触面21に押しつける圧力は、約4kgf/cm(約392kPa)程度が好ましい。
【0020】(c)凹部の接触面に、超音波振動する工具を直接押しつける超音波加工この加工手段は、上記した超音波加工の改良に係る。すなわち、この加工手段は、凹部20の接触面21上に砥粒(サンドペーパ210)を敷かずに、接触面21に、超音波加工機に取り付けられた工具200を直接押しつけ、超音波振動を付加して、該接触面21を研磨する方法である。
【0021】(d)ソフトエッチング加工この加工手段は、前工程において、ハーフエッチングにより凹部20を形成した際に用いたエッチング液よりもエッチング性が劣るエッチング液を用いて、凹部20の接触面21をエッチングする方法である。エッチング性を劣らせる方法としては、エッチング液(例えば、塩化第二鉄液)の液温を下げたり、比重を高くしたりする方法がある。
【0022】
【発明の効果】本発明の半導体用ヒートスプレッダーの製造方法によれば、金属薄板の厚み方向に半導体が収容される凹部を形成する工程と、前記工程により形成された凹部の半導体との接触面を平滑に加工する加工手段による仕上げ工程とを具備することにより、きわめて簡易かつ低コストで従来よりもフラットな接触面を備えた半導体収容用の凹部を有するヒートスプレッダーを提供することができる。このため、この方法により製造されたヒートスプレッダーによれば、半導体と接する接触面が面粗度の小さい平坦面となるため、該平坦面と半導体との接触面積を従来よりも大きくとることができ放熱性が向上する。
【出願人】 【識別番号】592034098
【氏名又は名称】株式会社アロン社
【出願日】 平成11年11月18日(1999.11.18)
【代理人】 【識別番号】100073139
【弁理士】
【氏名又は名称】千田 稔
【公開番号】 特開2001−148449(P2001−148449A)
【公開日】 平成13年5月29日(2001.5.29)
【出願番号】 特願平11−328388