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【発明の名称】 ワイヤーボンディング装置およびワイヤーボンディング方法
【発明者】 【氏名】高田 喜章
【課題】ボンディング工程での不良発生を防止し、パッケージ自体の信頼性を向上させる。

【解決手段】チップ上のパッド2とリードフレーム上のリード3をワイヤー1で接合するボンディングツール11と、パッド2およびリード3と、ワイヤー3との接合界面にレーザ31を照射するレーザ照射器21とを備えたワイヤーボンディング装置において、接合界面2aがボンディング時に移動しても、接合界面2aが局部的に加熱されるように、レーザ照射器21のレーザの照射位置,照射角度を制御する手段を備え、ボンディングしながら接合界面2aにレーザ31を照射する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】チップ上のパッドおよびリードフレーム上のリードとワイヤーとの接合に使用するボンディングツールと、前記ワイヤーとの接合界面にレーザを照射するレーザ照射器とを備えた、チップ上のパッドとリードフレーム上のリードとをワイヤーで電気的に結線するワイヤーボンディング装置において、前記接合界面がボンディング時に移動しても、前記接合界面が局部的に加熱されるように、前記レーザ照射器のレーザの照射位置,照射角度を制御する手段を備えたことを特徴とするワイヤーボンディング装置。
【請求項2】前記照射位置,照射角度を制御する手段は、前記ボンディングツールの高さ情報により制御することを特徴とする、請求項1に記載のワイヤーボンディング装置。
【請求項3】前記レーザ照射器は、前記ボンディングツールを囲むように配置されたことを特徴とする、請求項1または2に記載のワイヤーボンディング装置。
【請求項4】チップ上のパッドおよびリードフレーム上のリードとワイヤーとの接合に使用するボンディングツールと、前記ワイヤーとの接合界面にレーザを照射するレーザ照射器とを用いた、チップ上のパッドとリードフレーム上のリードとをワイヤーで電気的に結線するワイヤーボンディング方法において、前記接合界面がボンディング時に移動しても、前記接合界面を局部的に加熱できるように、前記レーザ照射器のレーザの照射位置,照射角度を制御することを特徴とするワイヤーボンディング装置。
【請求項5】前記制御は、前記ボンディングツールの高さ情報により制御することを特徴とする、請求項4に記載のワイヤーボンディング方法。
【請求項6】前記レーザを、前記ボンディングツールの四方から照射することを特徴とする、請求項4または5に記載のワイヤーボンディング方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワイヤーボンディング装置およびワイヤーボンディング方法に関し、特に、レーザ照射を利用したワイヤーボンディング装置およびワイヤーボンディング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のワイヤーボンディング方法を図10,図11に示す。
【0003】図10は、ワイヤー材に金を使用した従来のワイヤーボンディング方法の概略を示す斜視図である。従来のボンディング方法では、図10に示すように、超音波によりツールの円錐部に引き込まれた金ボール1aを振動させながら、デバイスのパッド2上に上方より加圧し、デバイス下部からは熱を与えることにより金ボール1aとデバイスのパッド2とを接合させている。
【0004】図11は、図10の従来のボンディング方法のツール先端拡大部を示す断面図である。上述したように熱を加えることにより、チップ4とリードフレームアイランド部6を接合しているAgペースト5が熱により再軟化し、ボンディング時に超音波によりチップが振動してしまい、超音波が逃げてしまう。更にこのとき、チップ4のサイズが小さいと、リードフレームアイランド部6との接合面積が小さいため、超音波の逃げが顕著となり、不着による不良が発生する。また、付着による不良を防ぐために超音波のパワーや、上方からの加圧を上げると、超音波によりパッド2上層部のAl層を破壊してしまう不良であるAlハガレや、上方からの加圧によるパッドの更にその下層部にあるSi層を破壊してしまう不良であるVクラックが発生する。また、従来のボンディング工程で、エラーで設備が停止した場合、通常より長い時間、リードフレームアイランド部が高温にさらされ、表面に酸化膜が生ずる場合がある。このような場合、酸化膜によりアイランド部と封止樹脂との密着性が悪くなり、この部分より樹脂ハガレが発生し、パッケージの信頼性が低下する。
【0005】また、特開昭63−078543号公報のワイヤーボンディング方法は、パッド部にレーザを照射し加熱した後に金ボールをボンディングしている若しくはボンディング中に対してのみレーザを照射し、パッド部を加熱しているのみであり、金線若しくは金ボールにはレーザが照射されない、レーザにより加熱されないことを示している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、従来のボンディング方法では、図10,図11で説明したように、ボンディング工程での不良が発生するという問題があった。
【0007】また、パッケージ自体の信頼性が低下するという問題があった。
【0008】このような問題点を解決するには、従来の設備,方法では解決不可能であった。
【0009】そこで、本発明の目的は、上記問題を解決するために、ボンディング工程での不良発生を防止することにある。
【0010】また、本発明の他の目的は、パッケージ自体の信頼性を向上させることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のワイヤーボンディング装置は、チップ上のパッドおよびリードフレーム上のリードとワイヤーとの接合に使用するボンディングツールと、ワイヤーとの接合界面にレーザを照射するレーザ照射器とを備えた、チップ上のパッドとリードフレーム上のリードとをワイヤーで電気的に結線するワイヤーボンディング装置において、接合界面がボンディング時に移動しても、接合界面が局部的に加熱されるように、レーザ照射器のレーザの照射位置,照射角度を制御する手段を備えたことを特徴とする。
【0012】また、照射位置,照射角度を制御する手段は、ボンディングツールの高さ情報により制御するのが好ましい。
【0013】さらに、レーザ照射器は、ボンディングツールを囲むように配置されるのが好ましい。
【0014】また、本発明のワイヤーボンディング方法は、チップ上のパッドおよびリードフレーム上のリードとワイヤーとの接合に使用するボンディングツールと、ワイヤーとの接合界面にレーザを照射するレーザ照射器とを用いた、チップ上のパッドとリードフレーム上のリードとをワイヤーで電気的に結線するワイヤーボンディング方法において、接合界面がボンディング時に移動しても、接合界面を局部的に加熱できるように、レーザ照射器のレーザの照射位置,照射角度を制御することを特徴とする。
【0015】また、制御は、ボンディングツールの高さ情報により制御するのが好ましい。
【0016】さらに、レーザを、ボンディングツールの四方から照射するのが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、図面を参照して本発明をワイヤー材に金を使用し、ワイヤーの先端にボールを形成するボールボンディングに適用した実施例について詳細に説明する。
【0018】まず、図1〜図3を参照して、本発明のワイヤーボンディング装置の実施例について説明する。
【0019】図1は、本発明のワイヤーボンディング装置の実施例の構成を示す概略図である。この図は、特に、ワイヤーボンディング装置のボンドヘッド部分を示す。この装置は、ボンディングツール11,超音波ホーンを支えボンディングツール11を上下させるボンディングアーム13,ボンディングツール11を上下に駆動するツール上下駆動装置14,超音波発生部15,超音波ホーン12,ボンディングワイヤーを把持するワイヤークランパ16,レーザ照射器21からなる。このうち、レーザ照射器21は、位置,角度がボンディングツール11の高さ情報より制御され、ボンディングツール11の先端方向にレーザ31が照射する向きに、ボンディングツール11を囲むように配置され、その数は1個以上で構成される。
【0020】図2,図3は、本発明のワイヤーボンディング装置の実施例の動作を示す概略図である。図2は、本発明のワイヤーボンディング装置の実施例におけるパッドとワイヤーとの接合を示す拡大図であり、図3は、ワイヤーとリードとの接合を示す拡大図である。
【0021】まず、図2に示すように、ボンディングツール11をパッドとワイヤーとを接合する場合は、レーザ照射器21からレーザ31をパッド2とボール1aとの接合界面2aに照射し、接合界面2aを活性化させることでボンディングワイヤー1と接合対象であるパッド2とを接合させる。
【0022】また、図3に示すように、ボンディングツール11をワイヤーとリードとを接合する場合は、レーザ照射器21からレーザ31をリード3とボール1aとの接合界面3aに照射し、接合界面3aを活性化させることでボンディングワイヤー1とリード3とを接合させる。
【0023】次に、図4〜図8を参照して、本発明のワイヤーボンディング方法の実施例について説明する。本発明のワイヤーボンディング方法の実施例においては、特に、チップ上の電極端子であるパッドと、リードフレームの電極であるリードとを金線(ワイヤー)で接合する工程を含む。図4〜図6にパッド側接合方法を、図7,図8にリード側接合方法を示す。
【0024】まず、図4〜図6を参照して、本発明のワイヤーボンディング方法の実施例におけるパッドとワイヤーとの接続方法について説明する。図4は、パッドとワイヤーとの接続方法を示すフローチャートであり、図5は、図4の(b),(c)におけるパッドとワイヤーとの接続方法の概略を示す斜視図であり、図6は、図4の拡大図であり、図6(b),図6(c)は、それぞれ図4(b),図4(c)の拡大図である。
【0025】まず、図4を参照して、本発明のワイヤーボンディング方法におけるパッド側接合方法を工程順に説明する。図4(a)にツールを降下させる工程を、図4(b)に接触検出してボンディングを開始するまでの工程を、図4(c)にボンディング工程を、図4(d)にツールを上昇させる工程を示す。まず、図4(a)において、ワイヤー1先端に形成されたボール1aがボンディングツール11と共に降下し、それと連動してボール1aの最下端にレーザ31が当たるようにレーザ照射器21が位置,角度を調整する。次に、図4(b)において、ボール1aのボンディングパッド2との接触を感知すると、ボール1aの最下端、即ちボール1aとボンディングパッド2との接触部(接合界面2a)に向かってレーザ31が照射される。このレーザ31の照射による熱エネルギーにより接合界面2aが活性化し、ボール1aと、ボンディングパッド2との接合界面2aが接合され易くなる。この後、図4(c)において、ボンディングツール11に荷重をかけながら、超音波を印加することで徐々にボンディングツール11の高さが下がり、それに伴いボール1aがつぶれるとともに、ボール1aとボンディングパッド2との接合界面は、図4(a),(b)に示すとおりに移動する。このとき、ボンディングツール11の高さと連動して、レーザ照射器21の位置,照射角度を制御し、レーザ31がボール1aとボンディングパッド2との接合境界2aに常に照射されるようにする。ボール1aが接合に十分なツブレ径となったときにレーザ照射及び超音波の印加を停止し、図4(d)に示すようにボンディングツール11を上昇し、接合完了となる。
【0026】次に、図5を参照して、図4の(b),(c)の工程におけるパッドとワイヤーとの接合方法について説明する。この方法は、半導体組立工程のボンディング時において、レーザ照射器21からレーザ31を接合界面2aに照射し、接合界面2aを活性化させることでボンディングワイヤー1とパッド2とを接合させることを特徴とする。
【0027】また、図6(b),図6(c)は、それぞれ図4(b),図4(c)の接合部の拡大図である。本発明のワイヤーボンディング方法の実施例では、ボンディング時においてレーザ31を接合時に移動する接合界面2aに接合過程の間、照射するようにレーザ照射器21の位置,角度を制御することを特徴とする。
【0028】次に、図7を参照して、ワイヤーとリードとの接続方法におけるリード側接続方法を工程順に説明する。図7は、パッド2に接続されたワイヤー1とリード3との接続の動作を工程順に示す図である。図7(a)において、パッド2に接続されたワイヤー1がボンディングツール11に通った状態で、ワイヤー1と共にリード3上に降下し、それと連動してワイヤー1のリード3との接続部にレーザ31が当たるようにレーザ照射器21が位置,角度を調整する。図7(b)においてワイヤー1のリード3との接触を感知すると、ワイヤー1とリード3との接触部(接合界面3a)に向かってレーザ31が照射される。このレーザ31の照射による熱エネルギーにより接合界面3aが活性化し、ワイヤー1と、リード3との接合界面3aが接合され易くなる。この後、図7(c)において、ボンディングツール11に荷重と超音波をかけることで徐々にボンディングツール11の高さが下がり、それに伴いワイヤー1がつぶれ、ワイヤー1とリード3との接合界面3aは、ボンディングツール11の中心から徐々に移動する。このとき、ボンディングツール11の高さと連動するように、レーザ照射器21の位置・照射角度を調整し、レーザ31がワイヤー1とリード3との境界を常に照射するように制御する。ワイヤー1が接合に十分な形状となったときにレーザ照射及び超音波の印加を停止し、図7(d)で示すようにボンディングツール11を上昇し、図7(e)で示すようにワイヤーテールが十分な長さになったところで、ワイヤークランプを閉じ、そのままボンディングツール11を上昇させワイヤー1をカットして接合完了となる。接合完了後、図7(f)に示すようにパッド2側接合のためのボール1aを電気スパークなどで形成しボンディングサイクルが完了する。
【0029】次に、図8を参照して、図7(b),(c)の工程におけるワイヤーとリードとの接続方法について説明する。この方法は、半導体組立工程のボンディング時において、レーザ照射器21からレーザ31を接合界面3aに照射し、接合界面3aを活性化させることでボンディングワイヤー1とリード3とを接合させることを特徴とする。
【0030】次に、図9は、本発明のワイヤーボンディング装置の実施例におけるレーザ照射を示すフロー図である。図9に示すように、レーザZ制御系として、位置,速度,加速度がある。これらをレーザ制御処理系にて処理し、レーザ照射器高さZ,レーザ照射器角度θ,レーザ出力を調整する。
【0031】次に、本発明の他の実施例について説明する。
【0032】本発明のボンディング方法の第2の実施例としては、超音波を使用しない熱圧着式ボンダーに適用した例であり、上記実施例に記載された動作の説明同様に動作するが、超音波を用いずに熱圧着により接続する。接合界面がレーザ照射により十分に活性化することで超音波を用いずに接合することが可能となる。
【0033】また、本発明の第3の実施例は、ウエッジボンダーへ適用した例である。ウエッジボンダーにおいては、決められた一方向のみにワイヤーで結線する動作ができないため、デバイス側を回転させる機能が付いている。その為、熱エネルギーを併用するために下方から加熱をする機能を付加する為には、機構が複雑であるヘッド自体が可動テーブルごと回転動作するロータリーヘッド式とするしかなかった。しかしながら本発明を適用することで、上方からの加熱が可能となり、機構が複雑であるロータリーヘッドを使用することなく熱エネルギーを併用したウエッジボンディングが可能となる。これにより、超音波のパワーを小さくしたボンディングを行うことで、Alハガレ、Vクラックなどの不良の発生を防ぐことが出来る。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のボンディング方法では、レーザで局部的に加熱をすることでリードフレーム下方よりヒーターで加熱する従来の方法と比較して効率よく熱エネルギーを接合エネルギーとして使用することができ、リードフレームアイランド部とチップを接合しているAgペーストを加熱することなく、ボンディングが可能となるという効果を奏する。
【0035】また、従来よりも超音波のパワーを下げてボンディングが可能となるという効果を奏する。
【0036】さらに、上記のことから、■パッドへのダメージ(Alハガレ,Vクラック)、■超音波のロス(接合部の固定が不十分の時)や他の原因による接合不良(Aハガレ,Eハガレ)、■リードフレームの酸化による封入後のモールドの剥離などの不良を押さえることが可能となるという効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
【出願日】 平成11年8月26日(1999.8.26)
【代理人】 【識別番号】100086645
【弁理士】
【氏名又は名称】岩佐 義幸
【公開番号】 特開2001−68499(P2001−68499A)
【公開日】 平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願番号】 特願平11−239294