| 【発明の名称】 |
光ディスク原盤の作製方法及び光ディスク |
| 【発明者】 |
【氏名】竹内 弘司
|
| 【要約】 |
【課題】安定した幅広いグルーブと幅狭いプリピットを同時に形成でき、かつ原盤露光機の光学系を簡素化する。
【解決手段】グルーブピッチがTPであるランドアンドグルーブ記録方式の光ディスク原盤の製造するときに、フォトレジストを塗布した基板をピッチTP/2で駆動し、1本のレーザ光を基板の回転角度に応じて半径方向に偏向させてグループを2回に分けて露光し基板上にグルーブピッチTPの潜像を形成し、1本のレーザ光を用いて幅広いグルーブ1と幅狭いプリピット3を形成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 グルーブピッチがTPであるランドアンドグルーブ記録方式の光ディスク原盤の製造方法において、フォトレジストを塗布した基板をピッチTP/2で駆動し、1本のレーザ光を基板の回転角度に応じて半径方向に偏向させてグループを2回に分けて露光し基板上にグルーブピッチTPの潜像を形成することを特徴とする光ディスク原盤の作製方法。 【請求項2】 上記グルーブを2回に分けて露光するときに、半径方向に片側のみウォブリングさせてプリフォーマット情報を形成する請求項1記載の光ディスク原盤の作製方法。 【請求項3】 上記基板の回転角度をターンテーブルの原点パルス信号を使って検出する請求項1又は2記載の光ディスク原盤の作製方法。 【請求項4】 上記レーザ光の偏向角を制御することによりグルーブの溝幅を制御する請求項1,2又は3記載の光ディスク原盤の作製方法。 【請求項5】 上記レーザ光を偏向させる手段が電気光学素子を用いた光偏向器である請求項1乃至4のいずれかに記載の光ディスク原盤の作製方法。 【請求項6】 請求項1乃至5記載の光ディスク原盤の製造方法で製造した光ディスク原盤から作製したことを特徴とする光ディスク。
|
【発明の詳細な説明】【0001】この発明はランドアンドグルーブ方式の光ディスク原盤の作製方法及びその作製方法で製造された光ディスク原盤で作製した光ディスクに関するものである。 【0002】 【従来の技術】光ディスクの記録密度を上げるための記録方式として、ランドアンドグルーブ(L/G)方式が提案されている。この記録方式はグルーブとランドの両方のトラックに情報を記録するものであり、図7に示すように、アドレス情報やディスクの回転を制御する同期パターン等のプリフォーマット情報はグルーブ1とランド2のヘッダ部31にプリピット2として形成される。このグルーブトラックとランドトラックの信号レベルを等しくするために、グルーブトラックとランドトラックの溝幅はそれぞれトラックピッチとほぼ等しくし、プレピット3はグルーブ1の溝幅と比較して十分に細い幅で形成している。 【0003】また、特開平10−143921号公報に示された光ディスクの製造方法は、図8に示すように、光ディスクのグループ1のヘッダ部とランド2のヘッタ部とは半径方向に隣接し、グループ1のヘッダ部を半径方向の片側のみランド2の方へ変位するウォブリング32によってアドレス情報を記録するようにしている。この光ディスク原盤の製造方法として、2本のレーザ光を独立して発生させ、この2本のレーザ光のウォブリングをそれぞれ電気光学偏向器を用いて行うようにしている。また、一方のレーザ光の光路にはグループトラックのグループの幅を変化させるためのレーザパワー制御用変調器を設け、2本のレーザ光を合成して太幅のグループの部分を形成し、一方のレーザ光を変調して細幅のグループの部分を形成するようにしている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上記のようにL/G式の光ディスク原盤を作製するときに、トラックピッチとほぼ等しい幅の広いグルーブとグルーブより幅が狭いプリピットを同時に形成する必要があり、このためグループ形成用のレーザ光とは別系統のレーザ光が必要となり、原盤露光機の光学系が複雑になってしまう。 【0005】また、この方法で幅広いグルーブを形成するのには限界がある。すなわち、幅が狭いプリピットを形成するために露光レーザの波長は短波長化され、対物レンズの開口数は限界まで大きくしているため、ガラス原盤上の集光点でのスポット径は約0.4μmになる。この露光スポット径では、露光面パワーを上げてもグルーブの溝幅はせいぜい0.5μm程度にしかならず、グルーブピッチ1.4μmのL/G方式の光ディスク原盤においては、トラックピッチ0.7μmの必要なグルーブの溝幅を形成できない。この幅広いグルーブを形成するために対物レンズへの入射ビーム径を小さくすると、急峻なグルーブ断面形状が得られないために光ディスクの記録特性が悪化するという問題が発生する。 【0006】また、特開平10−143921号公報に示されたように2本のレーザ光により幅広グルーブを形成する方法は、やはり原盤露光機の光学系が複雑になる。さらに、この方法では高額な電気光学偏向器をそれぞれの光路に設けているため、光ディスク原盤の製造コストがかさむ原因になる。 【0007】この発明はかかる短所を改善し、安定した幅広いグルーブと幅狭いプリピットを同時に形成でき,かつ原盤露光機の光学系を簡素化できる光ディスク原盤の作製方法及びその作製方法で製造された光ディスク原盤で作製した光ディスクを提供することを目的とするものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】この発明に係る光ディスク原盤の作製方法は、グルーブピッチがTPであるランドアンドグルーブ記録方式の光ディスク原盤の製造方法において、フォトレジストを塗布した基板をピッチTP/2で駆動し、1本のレーザ光を基板の回転角度に応じて半径方向に偏向させてグループを2回に分けて露光し基板上にグルーブピッチTPの潜像を形成することを特徴とする。 【0009】上記グルーブを2回に分けて露光するときに、半径方向に片側のみウォブリングさせてプリフォーマット情報を形成する。 【0010】また、基板の回転角度をターンテーブルの原点パルス信号を使って検出すると良い。 【0011】さらに、レーザ光の偏向角を制御することによりグルーブの溝幅を制御すると良い。 【0012】また、レーザ光を偏向させる手段として電気光学素子を用いた光偏向器を使用することが望ましい。 【0013】この発明の光ディスクは、上記作製方法で作製した光ディスク原盤を利用して作製したことを特徴とする。 【0014】 【発明の実施の形態】この発明の光ディスク原盤の作製方法は、ガラス基板のフォトレジスト層を露光してグループとランド及びプリピットを形成するとき、各グルーブの間隔をグルーブピッチTPとすると、原盤露光機の横送り、すなわち露光スポットの横送りはグルーブピッチTPの1/2であるTP/2で行う。そして、奇数トラックではグルーブピッチTPのグルーブの内周側を露光し、偶数トラックではグルーブピッチTPのグルーブの外周側を露光する。このようにしてグルーブピッチTPの幅広いグルーブを形成する。また、プリピットは奇数トラックあるいは偶数トラックのいずれかのときに露光する。さらに、奇数トラックあるいは偶数トラックのときにグルーブを半径方向にウォブリングさせて、片側のみウォブリングしたウォブリンググループを形成する。 【0015】 【実施例】図1はこの発明の一実施例の光ディスク原盤を作製するときの露光過程を示す説明図である。光ディスク用の原盤の製作工程では、精密に研磨,洗浄されたガラス基板にフォトレジストを均一になるように塗布してフォトレジスト層を形成し、ガラス基板のフォトレジスト層を所定のフォーマットにしたがって光変調されたレーザ集光ビームで露光して案内溝などの潜像を形成する。この潜像が形成されたフォトレジスト層を現像,洗浄処理することによりフォトレジスト層に案内溝等を作り、導電性金属スタッパ処理とメッキ作業を行って光ディスク用のスタンパを形成している。 【0016】このガラス基板のフォトレジスト層を露光してグループ1とランド2及びプリピット3を形成するときに、図1に示すように、各グルーブ1の間隔をグルーブピッチTPとすると、原盤露光機の横送り、すなわち露光スポット4の横送りはグルーブピッチTPの1/2であるTP/2で行う。そして、奇数トラック例えばnを整数とした場合、トラック(2n−1)ではグルーブピッチTPのグルーブ1の内周側を露光し、偶数トラック、例えばトラック2nではグルーブピッチTPのグルーブ1の外周側を露光する。このようにしてグルーブピッチTPの幅広いグルーブ1を形成することができる。また、プリピット3は奇数トラックあるいは偶数トラックのいずれかのときに露光する。また、奇数トラックあるいは偶数トラックのときにグルーブを半径方向にウォブリングさせて、片側のみウォブリングしたウォブリンググループ5を形成する。 【0017】このガラス基板のフォトレジスト層を露光する原盤露光機は、図2のブロック図に示すように、レーザ光源11と光変調器12と光偏向器13と複数のミラー14,15,16とビームエキスパンダ17と対物レンズ18と、モータ19で回転するターンテーブル20及び原盤露光機のホスト装置21を有する。そしてガラス基板にフォトレジスト層を有する原盤22をターンテーブル20上に置いた状態でレーザ光源11からレーザ光を出射する。レーザ光源11から出射されたレーザ光は光変調器12でレーザパワーが制御され、光偏向器13を通るときに偏向される。偏向されたレーザ光はミラー14,15で角度を変えてビームエキスパンダ17によりビーム径を拡大しミラー16により角度を変えて対物レンズ18に入射し、対物レンズ18で集光されてターンテーブル20上に置かれた原盤22を露光する。一方、対物レンズ18とターンテーブル20上に置かれた原盤22との距離はフォーカスサーボシステムによって対物レンズ18の焦点距離に保たれている。このターンテーブル20をモータ19により回転し、かつ対物レンズ18を載置している光学移動台がターンテーブル20の半径方向に移動することによって原盤22上に螺旋状のグルーブ1の潜像が形成される。 【0018】この原盤露光機をピッチTP/2で原盤22の半径方向に駆動してグルーブピッチTPのグルーブ1を形成する手順を図3のターンテーブル回転角度と露光レーザスポット中心間の距離の関係を示す図を参照して説明する。 【0019】図3において、露光レーザスポット中心間の距離はピッチTP/2であるトラックの中心を「0」とし、中心より外周側に露光スポット4があるときを正としている。そして奇数トラック、例えばターンテーブル20の回転角度が(2n−1)πから2nπでは、回転角度=(2n−1)πの切換え時に原盤22上の露光スポット4の中心を位置(−Ofst)に移動させ、ターンテーブル20が1回転する間に位置{(TP/2)+Ofst}まで移動させる。これにより露光スポット4中心の軌跡は常にピッチがTPであるグルーブ1中心から距離Ofstだけ内周側にずれた曲線を描く。すなわち、奇数トラックではピッチTPであるグルーブ1の内周側を露光する。偶数トラック、例えばターンテーブル20の回転角度が2nπから(2n+1)πでは、回転角度=(2n+1)πの切換え時に原盤22上の露光スポット4の中心を位置[−{(TP/2)+Ofst}]に移動させ、ターンテーブル20が1回転する間に位置Ofstまで移動させる。これにより露光スポット4の中心の軌跡は常にピッチTPであるグルーブ1中心から距離Ofstだけ外周側にずれた曲線を描く。すなわち、偶数トラックではピッチがTPであるグルーブ1の外周側を露光する。この露光を順次繰返すことにより、原盤露光機はピッチTP/2で駆動しながら原盤22を露光する露光スポット4、図4に示すように、ピッチがTPである螺旋状の軌跡7を描く。ここで奇数トラックと偶数トラックの切換えは原盤露光機のターンテーブル20から1回転毎に出力される原点パルス信号を利用して行う。 【0020】このように原盤22を露光するときに、光偏向器13として電気光学素子を用いた光偏向器を使用するとレーザ光を高速で偏向させることができ、また光偏向器13を通過化した後のビーム形状の変化も少なくすることができ、安定した露光を行うことができる。 【0021】このように奇数トラックでグルーブピッチTPのグルーブ1の内周側を露光し、偶数トラックでグルーブピッチTPのグルーブ1の外周側を露光するときのビームプロファイルを図5に示す。図5において、Aは奇数トラックを露光するときのビームプロファイル、Bは偶数トラックを露光するときのビームプロファイル、Cは奇数トラックと偶数トラックの両方で露光したときのビームプロファイルである。図5に示すように、奇数トラックではランド2中心に対して距離Ofstだけ露光スポット4の中心を内周側にずらし、偶数トラックでは逆に露光スポット4の中心を外周側に距離Ofstだけずらして露光するため、結果として2本のビームを合成したビームプロファイルCのレーザ光でグルーブ1を形成することになり、図6の原盤22の一部を示す上面図(a)とB−B断面図(c)に示すように、原盤22のガラス基板23上のフォトレジスト層24に幅Wが大きいグルーブ1を形成することができる。また、プリピット3は奇数トラックあるいは偶数トラックのいずれかのときに露光することにより、図6(a)の上面図とA−A断面図(b)に示すように、幅の狭いプリピット3を形成することができる。また、距離Ofstの量を変えることによってグルーブ1の溝幅Wを変えることもできる。 【0022】例えばグルーブピッチTP=1.4μm、Ofst=0.15μm、露光スポット径=0.4μmで原盤22を露光した結果、溝幅W=0.7μmのグルーブ1を形成することができた。このようにした作製した光ディスク原盤を使用して光ディスクを作製し、従来の方法により作製した光ディスク原盤を使用して作製した光ディスクとの記録特性を比較した結果を下記表に示す。従来の方法で作製した光ディスク原盤は露光するときの露光レーザスポット径を大きくし,幅広グルーブを形成した。また、下記表に示した数値は、レーザ波長=650nm、対物レンズ開口数(NA)=0.6の記録再生装置によりデータを記録後、その再生信号のジッタを再生クロックに対する割合として百分率(%)で示している。光ディスクは相変化型で、表中のクロストーク有/無は隣接トラックに記録マークが有るか無しという意味である。 【0023】 【表1】
【0024】上記表に示すように、この実施例により作製した光ディスクは従来の光ディスクよりも隣接トラックに記録マークがあるときのジッタが小さくなっている。すなわち、この実施例により作製した光ディスクのグルーブの断面形状は従来の光ディスクのグルーブの断面形状に比べて急峻であるため、熱による記録マークの広がりが小さく、隣接トラックに記録マークが存在するときでもジッタの増加を少なくして良好な記録特性を得ることができる。 【0025】 【発明の効果】この発明は以上説明したように、フォトレジストを塗布した基板をピッチTP/2で駆動し、1本のレーザ光を基板の回転角度に応じて半径方向に偏向させてグループを2回に分けて露光し基板上にグルーブピッチTPの潜像を形成するから、1本のレーザ光を用いて幅広いグルーブと幅狭いプリピットを形成することができ、原盤露光機の光学系の構成を簡素化することができる。 【0026】また、グルーブを2回に分けて露光するときに、半径方向に片側のみウォブリングさせてプリフォーマット情報を形成するから、片側ウォブリンググルーブを1本のレーザ光で形成でき、原盤露光機の光学系の構成を簡素化することができる。 【0027】また、基板の回転角度をターンテーブルの原点パルス信号を使って検出することにより、光偏向角の切換えを確実に行うことができる。 【0028】さらに、レーザ光の偏向角を制御してグルーブの溝幅を制御することにより、グルーブの溝幅を高精度に安定して形成することができる。 【0029】また、レーザ光を偏向させる手段として電気光学素子を用いた光偏向器を使用することにより、レーザ光を高速で偏向させることができ、グルーブとプリピットを精度良く形成することができる。 【0030】さらに、上記のようにして作製した光ディスク原盤を利用して作製した光ディスクは、グルーブの断面形状が急峻になるため良好な記録特性を得ることができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000006747 【氏名又は名称】株式会社リコー
|
| 【出願日】 |
平成11年8月18日(1999.8.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093920 【弁理士】 【氏名又は名称】小島 俊郎
|
| 【公開番号】 |
特開2001−56968(P2001−56968A) |
| 【公開日】 |
平成13年2月27日(2001.2.27) |
| 【出願番号】 |
特願平11−231187 |
|