トップ :: G 物理学 :: G06 計算;計数




【発明の名称】 建築データベースCADシステム
【発明者】 【氏名】高垣 徹

【氏名】玉井 洋

【氏名】深田 昶

【要約】 【課題】市販の安価なパソコン上での建築系3D−CADを利用して、独自の方法で建築数量の把握とデータの共有ができ、また、CADと仕様・数量が一元化され、設計情報から見積り・施工情報までのデータの流れを一元化でき、設計図書作成の効率化等業務の効率化・省力化および生産性・品質の向上を目指すことができる。

【解決手段】建築系3D−CAD1と、独自のDB2(データベース)と、見積りシステム・発注システム・施工図作成システム等関連システム3を組み合わせ、これらを相互インターフェース4,5で結び、パソコン上での建築系3D−CAD1を利用して、関連システム3における企画から基本・実施にわたる設計作業や、見積り・発注業務や、および施工図作成業務との直接的なリンクを図る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 建築系3D−CADと、独自のDB(データベース)と、見積りシステム・発注システム・施工図作成システム等関連システムを組み合わせ、これらを相互インターフェースで結び、パソコン上での建築系3D−CADを利用して、関連システムにおける企画から基本・実施にわたる設計作業や、見積り・発注業務や、および施工図作成業務との直接的なリンクを図ることを特徴とした建築データベースCADシステム。
【請求項2】 設計者が建築系3D−CADを利用して、設計業務を進めて行くことにより、結果として建具や仕上げデータを独自のDBに蓄積し、その独自のDBから必要な部分を抽出して見積り、発注、施工図作成等に利用する請求項1記載の建築データベースCADシステム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築系のデータベースCADシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】建築生産の情報伝達手段としての図面情報は従来「紙」による形態が一般的であったが、近年建築生産の各領域における情報化の進捗に伴い、CADの利用が一般的になりつつある。その当面の目的は作図効率の向上および図面表現の質の向上にあり、利用の範囲は目的からもわかる通り、設計あるいは施工各プロパーの領域内に留まっているのが大半である。
【0003】しかしながら、CAD情報をはじめとする電子情報化の最大の効用はデータの転用性にあることは明らかであり、その特牲を生かして建築生産の効率化を進展させるためにはプロジェクトの初期段階で発生する設計情報を生産の各段階に沿って、データ交換しつつ流通させていくことが必要となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】80年代から90年代のはじめにかけて、ゼネコンをはじめとした多くの企業で「設計施工一貫CAD」の開発が行なわれた。それらに共通する特徴としては下記の通りである。
・ミニコンやEWSをベースとして利用した。
・各社がそれぞれ別個に属性のパラメータを作り込んだ。
・数量拾い・集計などはそのシステム内で完結しておこなわれた。
・主に実施設計段階以降を利用範囲としていた。
・オペレータが操作を行なった。
【0005】これらの試みが、一般化されず、普及に至らなかったのは、ハード/ソフトのリース費、メンテナンス費等CADシステムが高価であったことや、施工現場にはCADが普及していなかったため、データの受け皿がなかったこと、さらに、見積もり積算は手拾いで行なわれる事が多く、下流での電子データの利用が行なわれなかったこと、オペレータはCADの操作だけでなく、実施設計図と施工図作成の両方に深い知識が必要だったこと、即ち、CADの操作に習熟した若手が、納まり他、施工順序などにも習熟する必要があったことなどが原因である。
【0006】本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、市販の安価なパソコン上での建築系3D−CADを利用して、独自の方法で建築数量の把握とデータの共有ができ、また、CADと仕様・数量が一元化され、設計情報から見積り・施工情報までのデータの流れを一元化でき、設計図書作成の効率化等業務の効率化・省力化および生産性・品質の向上を目指すことができる建築データベースCADシステムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成するため、建築系3D−CADと、独自のデータ構造をもったDB(データベース)と、見積りシステム・発注システム・施工図作成システム等関連システムを組み合わせ、これらを相互インターフェースで結び、パソコン上での建築系3D−CADを利用して、企画から基本・実施にわたる設計作業と、見積り・発注業務および施工図作成業務との直接的なリンクを図ること、および、設計者が建築系3D−CADを利用して、設計業務を進めて行くことにより、結果として建具や仕上げデータを独自のDBに蓄積し、その独自のDBから必要な部分を抽出して見積り、発注、施工図作成等に利用することを要旨とするものである。
【0008】本発明における数量の把握とデータの共有化は、建築系3D−CADが属性を持つことで、設計者は企画段階から数量を把握し、コストコントロールができ、そしてそのデータを見積りなど後工程に伝えて、共有することができる。その結果、自社での数量拾いのツールともなるし、積算を外注している場合は、積算事務所やメーカーからの数量拾いのチェックが可能になる。
【0009】また、本発明におけるCADと仕様・数量データの一元化は、設計者の作成したモデルから図面や仕様ができるので、それぞれの整合性が取れる。こうした図面の整合性は、後工程での手戻りの防止につながる。
【0010】さらに、建築系3D−CADの特性として、モデル作成によって、図面は自動作成されるので、一つ一つの図面を作成するより効率的であり、設計図書作成自体の効率化、省力化が可能となる。さらに、詳しくは、建具・仕上データを独自のDBに蓄積し、施工側躯対図作成CADに反映でき、スケルトン作成の効率化・省力化を図ることができる。
【0011】積算見積の省力化としては、建具・仕上データをDBを介して施工側積算システムと共有する事により積算・見積作業の効率化・省略化を図ることができる。
【0012】ここで本発明で、属性付き3D−CADと独自のDBとを組み合わせるメリットを述べると、3D−CAD(3次元モデルCAD)では2D−CADと異なり、1枚1枚の図面を作成するのではなく、コンピュータ内に建築モデルを作成することになる。
【0013】現段階では、3Dモデルはその情報を下流に伝える場合、2D図面に落とすことになる。将来は建設現場でもモデルそのものを利用することが考えられるが、現状では一度図面化して、施工者の手で再構成する必要がある。
【0014】即ち、平面図はモデルを水平に切って見下ろしたものであり、立面図、断面図は垂直に見たものである。3D−CAD(3次元モデルCAD)では、単一モデルから作成するため、いつも問題になる図面間の食い違いは起こらず整合性を取ることができる。また、修正・変更の際、立面図のみを修正して、平面図を直し忘れたなどということも起こらない。修正箇所もモデルその物を1箇所修正すればすべての図面が修正されるので効率的である。施工段階の手戻りや打合せは、図面間の食い違いが原因であることが多いので、このように建築図面をモデルから切り取ることでそれらの無駄な時間を軽減する効果もある。
【0015】一般的には、これらの設計モデルから、RC属性を持った部分を取り出すことで、スケルトン図作成モデルとして利用することができる。
【0016】本発明において、オブジェクトが持つ属性の効果は、独自のDBと連動することでさらに顕著になる。モデル作成作業を進めるなかで、柱・梁・開口部などの建築要素が集積され、面積・仕様などの様々な属性が独自のDB内に蓄積される。そのため、設計の各段階に応じたモデルが作成されると、同時に床面積や壁、天井などの仕上げ面積、部品の数量さらには概算などが把握できる。設計者はそれらを見ながら顧客のニーズにあった合理的な設計を進めることができる。
【0017】一方、見積り・積算部署では、それらの数値データを有効に利用することができる。見積りシステムに直接インプットする他、積算事務所からのデータチェックにも利用することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の建築データベースCADシステムの概略説明図で、図中1は建築系3D−CADである。この建築系3D−CAD1は市販の3D−CADをそのまま利用することが可能である。
【0019】建築系3D−CAD1は、基本的には、ある一定の機能を満足できればCADの種類は問わないが、Graphisoft6.0(Graphisoft社)が好適である。建築建築系3D−CAD1のベースCADに要求される機能としてはl)操作性の優れた3D機能2)窓・壁などをオブジェクトとして認識できる機能3)それらの属性を管理するCD内のDB機能4)汎用ソフトとデータをやりとりできる機能5)IFCに対応しているか、将来対応予定であることの5点である。
【0020】ここで、建築系3D−CAD1の属性とは、例えば建築モデルを構成しているl枚の壁が、2階事務室の壁で、LGS下地に12mのプラスターボードが2枚張ってあって、仕上げはサンゲツのビニルクロスで、巾が6m高さ3m面積18mで、というような情報(意味)をもっていることを指している。
【0021】図中2は独自のDB(データベース)で、一例としてこれには汎用DBとしてMS−Access(以後Accessと略す)を用いた。AccessはGraphisoftによる直接的な書き出し/読み取りができる。
【0022】この独自のDB2の仕様は、建設CADデータ交換コンソーシアムでの成果である開口部・仕上げDBとの互換性を考慮している。
【0023】ただし、前記独自のDB2は、CAD上での個々の建具を特定する必要上、開口部・仕上げDBの全面的な採用はできなかった。即ちDB上のAW−1は同種の建具の総称であり、建具種別、形状、大きさ、材料、性能属性等を共通に持つが、CAD上の建具データとの1対1対応を取るため、建具一つ一つが個別のユニークIDを持ち、図面上の位置(所属する部屋、階、座標位置など)を認識するものとした。また、独自のDB2は建具一つ一つが個別のユニークIDを持つことで、施工段階あるいはメーカーレベルでの建具毎の違いを反映することができる。
【0024】図中3は、見積りシステム・発注システム・施工図作成システム等の関連システムであり、前記建築系3D−CAD1と独自のDB2を相互のインターフェース4で結び、独自のDB2と関連システム3とを相互のインターフェース5で結んだ。
【0025】CADと外部DBとのデータのやり取りは普通、CSV(comma separated value)形式でテキストデータに変換して行なわれるが、前記インターフェース4として本実施形態では、GraphisoftのAccess Link機能を利用して、建築系3D−CAD1のCAD内DBから独自のDB2に直接書き出し/読み取りをおこなうものとした。
【0026】別の担当者がDBで開口部を扱っている場合、CADから保存された新たな開口部データの上に上書きする危険性があるので、DBを開く場合、そのデータを現在誰がCAD上で使用しているかをテーブルに書き出し、ユーザー名等を画面に明示することにする。
【0027】本発明はこのようにして、パソコン上での建築系3D−CAD1の属性機能を利用して関連システム3における企画から基本・実施にわたる設計作業と、見積り・発注業務および施工図作成業務との直接的なリンクを図る。
【0028】すなわち、前記独自のDB2に蓄積された開口部・仕上げなどのデータは、設計部内での各種概算システムや建具表・仕上げ表に出力されるほか、下流側の見積り・施工部署での各種システムに利用される。
【0029】次に、本発明の建築データベースCADシステムの使用例の一つを説明する。スタートメニューから本発明システムであるDB−CADを選択し、起動画面が図2に示すように出たならば、新規にJOBを登録するときに選択する「新規JOB登録」、新規にCASEを作成するときに選択する「新規CASE作成」、この起動画面にて登録した既存JOBを編集するときに選択する「既存JOB編集」のうちから一つ、例えば「新規JOB登録」を選択する。
【0030】図3に示すように各種のJOB情報を登録する。JOBフォルダの保存先を「参照」にて指定する。CASE名を入力する(例、確認申請図)。プルダウンはその中から選び、それ以外は各自記入する。全ての欄が埋まったら、「JOB登録」を選択する。
【0031】全ての項目の記入が済んだら図4に示すように「Graphisoft起動」を選択し、まず、建築系3D−CAD1を起動する。図5に示すように、これは集合住宅のプロジェクトである。
【0032】図6は建築系3D−CAD1の入力画面で、普通、平面から入力するが、立面からでも3Dモデルからでも入力可能である。図7も同じく建築系3D−CAD1の入力画面で、詳細図と属性表示を示すもので、詳細図レベルまで作り込んだCADデータと、それらの属性が画面で表示されている。〔以上建築系3D−CADであるGraphisoft6.0(Graphisoft社)の使用機能〕
【0033】この図7は開口部属性を決める画面である。開口部や部品は一つ一つユニークIDが振られている。例えばAW−lという種類の窓が10個あったとしても、それが何階のどこのAW−lなのかが特定できるわけである。それにより、現場でのキーシステムの管理やFMなどにも便利に利用することができる。
【0034】図8は建具の入力画面として、開口部のパラメータを決める画面である。多くのパラメータがあるが、すべてを最初から決める必要はなく、設計の流れの中で、逐次入力して行くことができる。JOBの状況や設計者の好みに応じてやり方を選択できる。そして図9に示すように建築系3D−CAD1上で設定されたデータは独自のDB2ヘリンクしている。〔以上建築系3D−CADであるGraphisoft6.0(Graphisoft社)の使用機能〕
【0035】図10は、建具データベースを示すもので、前記建築系3D−CAD1上で決めたパラメータや数値が建具表へ反映されている。また逆に、この建具表の画面上で編集ざれた内容は建築系3D−CAD1とリンクが張られ、編集した部分がCAD上で自動的に修正されている。もちろん、中には建築系3D−CAD1上でのみ作成できる情報や独自のDB2の中でのみ作られる情報もある。上側は表形式の画面、下側は一つ一つの建具の画面ある。
【0036】図11は建具表出力例を示すもので、設計図書としての建具表の出力も独自のDB2から行なう。
【0037】図12に仕上・仕様データベースを示す。また、図13は仕上・仕様DB(データベース)の入力を、図14は仕上・仕様DBで、仕上表自動作成を示す。
【0038】本発明の施工側とのリンクとして、図15に施工側見積システムのデータ連携を示す。このように独自のDB2に蓄積された属性データは例えば施工側見積りシステムヘ渡される。図16に示す画面は見積りシステムから出力された元見積り書と提出見積りの出力例である。
【0039】このように本発明では、建築系3D−CAD1から始まったデータが独自のDB2に蓄積され、さらに既存システムとしての見積りシステム・発注システム・施工図作成システム等の関連システム3を連携して一元的に利用されて行く。
【0040】
【発明の効果】以上述べたように本発明の建築データベースCADシステムは、安価なパソコン上での建築系3D−CADを利用して、独自の方法で建築数量の把握とデータの共有ができ、また、CADと仕様・数量が一元化され、設計情報から見積り・施工情報までのデータの流れを一元化でき、設計図書作成の効率化等業務の効率化・省力化および生産性・品質の向上を目指すことができるものである。
【出願人】 【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
【出願日】 平成12年2月29日(2000.2.29)
【代理人】 【識別番号】100078695
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 司
【公開番号】 特開2001−243267(P2001−243267A)
【公開日】 平成13年9月7日(2001.9.7)
【出願番号】 特願2000−52731(P2000−52731)