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【発明の名称】 形状記憶合金を含むアクチュエータを用いた制御装置
【発明者】 【氏名】原 吉宏

【氏名】谷井 純一

【氏名】和田 滋

【氏名】小坂 明

【要約】 【課題】形状記憶合金を含むアクチュエータを用いて被駆動部材の位置を制御する制御装置を提供する。

【解決手段】第1方向と第2方向とにおける被駆動部材の位置をアクチュエータで制御する制御装置。この制御装置は、被駆動部材を移動させるべき目標位置を決定する目標位置決定手段と、被駆動部材の現在位置を検出する現在位置検出手段と、上記目標位置と現在位置との差に対して2回微分を含む演算を行なうことで、位相を早めた制御出力を求める制御出力演算手段と、を備える。アクチュエータは、所定寸法に形状記憶された形状記憶合金と、当該形状記憶合金に対して外力を負荷して寸法を変化させる付勢手段と、で構成される。アクチュエータを、所定寸法に形状記憶された2つの形状記憶合金で構成することも可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1方向と第2方向とにおける被駆動部材の位置をアクチュエータで制御する制御装置であって、被駆動部材を移動させるべき目標位置を決定する目標位置決定手段と、被駆動部材の現在位置を検出する現在位置検出手段と、上記目標位置と現在位置との差に対して2回微分を含む演算を行なうことで、位相を早めた制御出力を求める制御出力演算手段と、を備えたことを特徴とする、制御装置。
【請求項2】 第1方向と第2方向とにおける被駆動部材の位置をアクチュエータで制御する制御装置であって、被駆動部材を移動させるべき目標値を決定する目標値決定手段と、被駆動部材の現在値を検出する現在値検出手段と、上記目標値と現在値との差に対して2次以上の進み補償を行うことで、最適な制御出力を求める制御出力演算手段と、を備えたことを特徴とする、制御装置。
【請求項3】 上記アクチュエータは、所定寸法に形状記憶された形状記憶合金と、当該形状記憶合金に対して外力を負荷して寸法を変化させる付勢手段と、で構成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の制御装置。
【請求項4】 上記付勢手段がスプリングで構成されていることを特徴とする、請求項3記載の制御装置。
【請求項5】 上記アクチュエータは、所定寸法に形状記憶された2つの形状記憶合金で構成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の制御装置。
【請求項6】 上記制御出力演算手段はPDD制御を行なうことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載の制御装置。
【請求項7】 上記被駆動部材は、光学機器の手振補正光学系であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1つに記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、形状記憶合金を含むアクチュエータを用いた制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、例えばレンズシャッタカメラの手振補正機構においても利用できる小型の位置制御機構の必要性が高まっている。かかる要請に応えるアクチュエータとして、形状記憶合金およびバネを利用したアクチュエータが考えられる。これまで、形状記憶合金を利用したアクチュエータの制御方法としては、これを単にスイッチとして利用するためのオン・オフ制御が開示されているにすぎない。また、「システムと制御 第29巻 第5号:栗林 1985年」には、形状記憶合金を用いた制御要素の数学モデルおよびPID制御が紹介されているが、その具体的手法については触れられていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明が解決すべき技術的課題は、形状記憶合金を含むアクチュエータを用いて被駆動部材の位置を制御する制御装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段作用効果】本発明は、上記課題を有効に解決するために創案されたものであって、以下の特徴を備えた制御装置を提供するものである。
【0005】本発明の制御装置においては、第1方向と第2方向とにおける被駆動部材の位置をアクチュエータで制御する。本発明の制御装置は、さらに「被駆動部材を移動させるべき目標位置を決定する目標位置決定手段」と「被駆動部材の現在位置を検出する現在位置検出手段」と「上記目標位置と現在位置との差に対して2回微分を含む演算を行なうことで、位相を早めた制御出力を求める制御出力演算手段」とを備えたことを特徴としている。2回微分を含む演算(すなわち、2次以上の進み補償)を行うことで、180°分の位相補償を行うことができ、応答性の高い制御を達成できる。勿論、3回以上の微分を行ってもよい。
【0006】上記アクチュエータは、「所定寸法に形状記憶された形状記憶合金」と「形状記憶合金に対して外力を負荷して寸法を変化させる付勢手段」とで構成してもよいし、形状記憶合金を2つ用いて構成してもよい。前者の場合、付勢手段としては、バイアスバネ等のスプリングを採用することが好ましい。
【0007】なお、制御出力演算手段により算出された出力値(電圧値等)がアクチュエータ用ドライバへと出力され、これに基いて、当該ドライバが実際にアクチュエータを駆動する。
【0008】2回微分を含む演算の一例として、PDD制御(比例+微分+微分)を挙げることができる。これは、物理的に見ると、上記目標位置と現在位置との「位置差」、「速度差」、「加速度差」を考慮した制御演算である。本発明において、被駆動部材が具体的にどのようなものであるかは特に限定されるものではないが、例えば、カメラ等の光学機器における手振補正光学系を挙げることができる。
【0009】また、本発明によって、第1方向と第2方向とにおける被駆動部材の位置をアクチュエータで制御する制御装置であって、「被駆動部材を移動させるべき目標値を決定する目標値決定手段」と「被駆動部材の現在値を検出する現在値検出手段」と「上記目標値と現在値との差に対して2次以上の進み補償を行うことで、最適な制御出力を求める制御出力演算手段」とを備えた制御装置が提供される。この制御装置においては、被駆動部材は、目標位置と現在位置との位置差、速度差または加速度差に基いて制御される。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。
【0011】本発明では、X方向(水平方向)およびY方向(垂直方向)について、それぞれジャイロ(角速度センサ)を利用して手振れに起因する振れ量を検出する。そして、鏡胴内に配置した補正光学系を、手振れを打ち消す方向に駆動させる。補正光学系は、後述するように、形状記憶合金(SMA)およびバイアスバネを利用したアクチュエータで駆動される。なお、一般的に手振れでは、最高で約10Hz程度の正弦波振動がカメラに発生するが、本発明はそのような手振れを補正するものである。
【0012】図1は、本発明による手振補正システムの全体構成を示している。カメラ本体a1内には、X方向用ジャイロa2およびY方向用ジャイロa3が配置されており、X方向およびY方向の手振れによる角速度が独立して検出される。振れ検出回路a4は、各ジャイロからの角速度信号に含まれる信号ノイズをカットするフィルタ回路、および角速度信号を角度信号に変換するための積分回路等で構成される。振れ量検出部a5は、振れ検出回路a4からの角度信号を所定時間間隔で取り込んで、カメラの振れ量を係数変換部a8に向けて出力する。X方向の振れ量は"detx"として、Y方向の振れ量は"dety"として、それぞれ出力される。
【0013】シーケンスコントロール部a7は、撮影および手振補正に関するシーケンスを制御する。レリーズボタンa6が半押し状態とされると、測光および測距等の撮影準備を開始する。レリーズボタンa6が全押し状態となると、撮影状態に移行し、以下のシーケンスで手振補正を行なう。■ジャイロからの信号を振れ量検出部a5に取り込んで、振れ量"detx"および"dety"を検出する。■振れ量検出部a5で得られた振れ量"detx"および"dety"を、係数変換部a8において、補正光学系の実際の移動量"px"および"py"に変換する。■目標位置算出部a9において、前記移動量"px"および"py"だけ補正光学系を移動させるための駆動信号量"drvx"および"drvy"を算出する。なお、係数変換部a8は、補正光学系の固体バラツキや温度に依存して変化する光学性能を考慮した最適な係数を、撮影準備に移行した際に算出する。
【0014】目標位置補正部a10は、温度センサa12からの信号に基いて、目標位置を補正するための補正信号を目標位置算出部a9へと出力する。これは主として、温度が高くなることで性能が変化するSMAアクチュエータのオフセット量を考慮した補正を行なうものである。図示の実施形態では、目標位置算出部a9が目標位置決定手段を構成する。駆動制御補正部a11は、SMAアクチュエータ、駆動機構の固体バラツキ、温度による駆動性能の変化によらず、各個体および各温度で最適な駆動性能が発揮できるよう最適ゲインを設定し、駆動状態を最適化する。以上の処理は、マイコンを利用したデジタル処理にて行なう。
【0015】撮影光学系a21には補正光学系a22が組み込まれている。補正光学系a22は、X方向用アクチュエータa24およびY方向用アクチュエータa26によって、X方向およびY方向に独立して駆動される。補正光学系a22のX方向位置およびY方向位置は、それぞれ位置検出センサa25およびa26によって検出される。これらのメカ構成を以下に説明する。
【0016】図2は、補正光学系の駆動機構を説明する平面図である。カメラ本体に対して不動の基台d19に対して、X方向にスライド可能な移動台d9が配置されている。移動台d9に対して、補正光学系d1がY方向にスライド可能とされている。したがって、補正光学系d1は、基台d19に対して、X方向およびY方向のいずれにもスライド可能である。
【0017】移動台d9に対する補正光学系d1のスライド機構は次の通りである。移動台d9の上面には、Y方向に延びる2本の案内ロッドd3およびd6が固定されており、その間に補正光学系d1が配置される。補正光学系d1の保持枠d2には各案内ロッドにスライド可能に係合するスライドガイドが固定されており、したがって、補正光学系d1は、両案内ロッドに案内されてY方向にスライド可能となっている。一方のスライドガイドd4から突出する端子d5には、SMAd7およびバイアスバネd8が、互いに端子d5を引張り合うように配置されている。
【0018】最初は、「バイアスバネd8による引張力」が「SMAd7による引張力」よりも大きいので、補正光学系d1は、図2中下側に位置している。その状態からSMAd7への通電量を大きくしていくと、徐々にSMAd7がその記憶長さに向かって縮むので、補正光学系d1は上方側へと移動する。したがって、SMAd7への通電量を制御することで、補正光学系d1のY方向の位置を制御することができる。なお、基台d19に対する移動台d9のX方向の位置制御は、これと同じ原理に基いて行なわれる。このように、形状記憶合金とバイアスバネによりアクチュエータが構成され、かかるアクチュエータがX方向用とY方向用に独立して2つ設けられている。
【0019】上記の例では、SMAとバイアスバネとの引張り合いによって補正光学系d1の位置を制御しているが、代わりの構成として、2つのSMAを使用して両者の引張り合いによって補正光学系d1の位置を制御することも可能である。すなわち、補正光学系d1を駆動するアクチュエータは、SMAとバイアスバネとで構成されても、2つのSMAで構成されてもよい。
【0020】なお、図3には、印加電流に対するSMAの伸縮を表すヒステリシスループを示した。SMAは、記憶温度よりも低い状態では柔らかく変形し易いので、バイアスバネに引っ張られて伸びる。そして、加熱されて記憶温度になると、記憶された形状(寸法)に戻る。SMAに印加する電流のオンオフにより温度を上下させると、SMAを伸縮させることができる。
【0021】図4は、上記補正光学系の現在位置を検出するための位置検出原理を説明する説明図である。補正光学系d1の保持枠d2(図2参照)にLEDe1が固定されている。すなわち、LEDe1は補正光学系d1とともに移動する。LEDe1内の発光チップe2からの光は、スリットe3を通過して、PSD(position sensitive device)e4の受光部e5に到達する。PSDe4は、カメラ本体に対して不動とされているので、補正光学系d1が移動すると、受光部e5上での光の重心位置も移動する。この結果、PSDe4からの出力電流I1とI2との比が変化するので、この比を測定することにより、補正光学系d1の位置を検出することができる。
【0022】スリットe3は、発光LED側が広く、受光PSD側が狭くなるように構成されており、これによりエネルギーロスを抑えながら指向性を鋭くしている。また、スリットe3は検出する移動方向(矢印e7)と直交する方向に延在して設けられているので、図4の例では、補正光学系d1の矢印e7方向の移動に敏感に反応し、それと直交する方向への移動によっては影響を受けない。このような位置検出機構を補正光学系d1のX方向位置およびY方向位置の検出のために、それぞれ独立して2つ設ける。このように、図示の実施形態では、発光LEDおよび受光PSDが現在位置検出手段を構成している。
【0023】次に、図1中の駆動制御部a23について、図5および図6を参照しながら詳細に説明する。図5には、駆動制御部a23の構成概要を示している。この部分は、大きく分けると、データ受信部(b1〜b4)、DAコンバータ部b5、X方向サーボ制御部(b6、b8)、Y方向サーボ制御部(b7、b9)、およびアクチュエータドライバ部b10から構成される。
【0024】b1およびb2は、X方向およびY方向のそれぞれについて、目標位置算出部a9からの目標位置信号を受信して記憶する目標位置データ受信部である。b3およびb4は、X方向およびY方向のそれぞれについて、駆動補正部a11からの信号を受信して記憶するゲインデータ受信部である。ここに記憶されたゲインデータに基いてサーボ回路のゲイン設定が行なわれる。以下に、本発明におけるサーボ制御を説明する。
【0025】不図示のX/Y方向選択回路によってX方向を選択すると、X方向の目標位置データが目標位置算出部a9からデータ受信部b1に記憶される。このデータは、DAコンバータb5でD/A変換される。このとき、サンプルホールド回路b6はサンプリング状態となり、b5からの出力が目標位置電圧として、X方向サーボ制御回路b8へと出力される。一方、サンプルホールド回路b7はホールド状態となっている。
【0026】次のタイミングでは、Y方向の目標位置を設定するために、上記X/Y方向選択回路によってY方向を選択し、上記と同様にして、b5からの出力を目標位置電圧として、Y方向サーボ制御回路b9へと出力する。以下同様にして、X方向およびY方向の目標データの出力を交互に繰り返す。
【0027】X方向サーボ制御回路b8およびY方向サーボ制御回路b9は同様の構成を有するので、X方向サーボ制御回路b8についてのみ説明する。図5に示したように、X方向サーボ制御回路b8は、サーボ制御部と位置検出部とで構成される。サーボ制御部は、制御出力演算手段を構成するものであって、図6の破線内に詳しく示している。以下、これについて説明する。
【0028】前述したように、サンプルホールド回路b6から目標値相当の電圧Vtが入力される。一方、X方向における現在位置相当の電圧は、次のようにして位置検出部で生成される。LEDe1からの光を受けたPSDe4から出力される電流I1およびI2は、I/V変換回路(電流/電圧変換回路)c23、c24でそれぞれ電圧に変換される。変換された電圧値は、減算回路c25では減算され、加算回路c26では加算される。加算回路c26で得られた電圧値は電流制御部c27に送られる。ここでは、電圧値の和を一定に保つ制御が行なわれる。電圧値の和が一定に保たれていると、減算回路c25からの出力をモニターして補正光学系d1の位置を検出することができる。減算回路c25からの出力はローパスフィルタc28を通すことで高周波ノイズがカットされ、補正光学系d1のX方向の現在位置に相当する電圧Vnが出力される。
【0029】加算回路c3では、上記目標位置相当電圧Vtと現在位置相当電圧Vnとの減算を行なう。現在位置相当電圧Vnは、負の値となるので、加算回路で加算することで減算を行なうことができる。比例ゲイン回路c4は、目標位置と現在位置との差のゲインを設定する。微分回路c5およびc6は、90°の位相進み補償を行なうもので、2回微分を行なうと180°の位相進み補償を行うことができる。c4〜c6のすべての回路を利用すると、制御理論でいうPDD制御を行なうことができる。これらの回路の組み合わせにより、X方向ゲイン部b3でのゲインデータ設定値に対応した各種ゲインを得ることができる。すなわち、駆動メカ部の固体バラツキがあっても、それを吸収することができる。また、これらの回路により、温度変化による影響も補正することができる。
【0030】サーボオフセット回路c8は、サーボ回路のオフセット電圧を調整することで、固体バラツキや温度の影響を除去し駆動状態を最適化する。回路c7は、最終的な電圧ゲイン変換と、高周波ノイズの除去を行なう。基準電圧部c9は、アクチュエータドライバb10に向けて基準電圧を出力する。アクチュエータドライバb10は、入力電圧に比例した電圧をSMAd17に印加する。ただし本発明では、後述するように、Vin−Vrefの値が負になる場合には、SMAに対する電圧の印加は行なわれない。
【0031】アクチュエータドライバb10内のドライバICの接続状態を図7に、その出力特性を図8に、それぞれ示した。Vin端子f2は、図6中の回路c7からの入力を受ける。Vref端子f3は、図6中の基準電圧部c9からの入力を受ける。「Vin端子f2からの入力値」と「Vref端子f3からの入力値」とを比較し、Vin−Vrefが正の場合には、VM+端子f4からSMAd17に対して駆動電圧を印加され、この結果、SMAd17がバイアスバネd18を引き伸ばす方向に縮む。一方、VM−端子f5は外部には接続されていないので、Vin−Vrefが負の場合には、SMAd17には電圧は印加されない。この場合には、バイアスバネd18のバネ力によってSMAd17が引き伸ばされる。以上のように、アクチュエータドライバICの出力は、Vin−Vrefが正の場合にはこれに比例したものとなり、Vin−Vrefが負の場合にはゼロとなる。これをグラフに示したのが図8である。
【0032】これと同等の効果を得るための別の手法として、■回路c7からの信号値がVrefよりも高い場合には、その電圧値をそのままアクチュエータドライバb10へと出力するが、逆の場合には、アクチュエータドライバb10へ向けた出力自体を停止するような回路構成としたり、■Vin−Vrefが負である場合にはGNDでリミットするように、アクチュエータドライバb10内のドライバIC内の回路を構成してもよい。いずれの場合にも、本発明では、アクチュエータドライバb10への最終出力に対して、上述のような制限を行なう。
【0033】以上のように、本発明では、SMAの一端にのみリニア電圧出力ドライバICの端子を接続して、Vin−Vrefが正の場合にだけ電圧を印加しているので、ドライバICの回路構成を簡単化することができる。これに対して、アクチュエータとしては大型になってしまうが、従来から使用されているモータを使用した場合について説明する。VM+端子f4およびVM−端子f5の両方を当該モータに接続して補正光学系d1を駆動しようとする場合の、ドライバICとモータの接続関係を図9および図10に示す。図9および図10は、そのような場合における、ドライバICの接続状態および出力特性を示したものである。図9においては、本発明とは異なり、VM−端子f5がアクチュエータであるモータf6に接続されていることが分かる。また、図10から、Vin−Vrefが負の場合にも、VM−端子f5からの出力があることが分かる。当該モータをSMAに置き換えて図9に示す接続をした場合には、バネが縮む方向に駆動したい場合でもSMAが縮む方向に駆動が行われ、正しい駆動を行うことができない。このような例と対比することで、本発明が明瞭に理解できる。なお、本発明においては、図9および図10の場合に使用される汎用ドライバICであっても、単にVM−端子f5への接続を行なわないことによって、同ICを使用することが可能となる。また、図8の出力特性を有する正出力リニアドライバ回路を作成して使用してもよい。
【0034】本発明における形状記憶合金とバイアスバネとを利用するアクチュエータにおいては、形状記憶合金へ電圧を印加すると、「電流」→「発熱」→「引張力」→「加速度」→「速度」→「位置」という原理に従って、被駆動部材の位置を制御する。ここで、「電流」→「発熱」、「加速度」→「速度」、「速度」→「位置」の3つの過程において、それぞれ90°分の位相遅れがあるので、トータルでは3次(270°)の位相遅れが生じることとなる。図6に示したサーボ回路を使用してPDD(比例+微分+微分)制御を行なった場合の効果を、ボード線図を参照して説明する。
【0035】形状記憶合金およびバイアスバネを利用してアクチュエータモデルを実際に作成し、このモデルの周波数応答を実測した結果を図11に示した。実測結果を見ると、70Hzよりも高周波になると、約270°の位相遅れが生じ、この結果、サーボ制御を行なった場合、一次(90°分)の位相進み補償(微分)だけでは共振するであろうことが予測できる。この共振を抑えるために微分制御を利用することが必要となるが、一般に1回の微分では90°分の位相を進ませることしかできないので、図11の場合、位相遅れを180°よりも十分に小さくするためには、1回の微分では不十分であって2回微分を行なう必要あると予測できる。この予測が正しいことを図12および図13で検証する。
【0036】図12(a)は、図11に係るアクチュエータモデルに対してPD(比例+微分)制御を行なった場合のオープン特性(フィードバックしない場合の特性)を示す。図12(a)では位相余裕もゲイン余裕もないことが分かる。これに対してフィードバック制御を行なうと、図12(b)に示されるように、1KHzよりもやや低い周波数において共振が生じている。つまり、90°分の位相補償だけでは、良好な制御特性が得られないことが分かる。
【0037】これに対して図13(a)は、PDD制御(比例+微分+微分)を行なった場合のオープン特性を示す。図12(a)の場合とは異なり、位相余裕およびゲイン余裕が得られている。図13(b)は、これに対してフィードバック制御を行なった場合の周波数応答を示しているが、図12(b)に見られるような共振は発生していない。
【出願人】 【識別番号】000006079
【氏名又は名称】ミノルタ株式会社
【出願日】 平成12年3月23日(2000.3.23)
【代理人】 【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外1名)
【公開番号】 特開2001−265440(P2001−265440A)
【公開日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願番号】 特願2000−82000(P2000−82000)