| 【発明の名称】 |
制御装置、温度調節器および熱処理装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】南野 郁夫
【氏名】安藤 功策
【氏名】成松 聖也
【氏名】田中 政仁
【氏名】片岡 裕樹
【氏名】大場 恒俊
【氏名】小堀 秀樹
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| 【要約】 |
【課題】干渉のある制御対象の制御において、干渉を低減する。
【解決手段】各チャネルに個別的に対応するPID制御手段61’,64’に加えて、一方のチャネルの偏差に基づいて、他方のチャネルの操作手段に対する操作信号をそれぞれ出力するPID制御手段62’,63’を追加して、一方のチャネルの制御が他方のチャネルの制御に与える影響なくす又は小さくするようにし、しかも、傾斜温度および平均温度に基づく制御を可能としている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 制御対象の物理状態をそれぞれ検出する複数の検出手段からの複数の検出情報と複数の目標情報との各偏差に基づいて、前記検出手段に個別的に対応する複数の操作手段に対して操作信号をそれぞれ出力する複数の状態制御手段を備える制御装置であって、或る検出手段に対応する偏差に基づいて、前記或る検出手段に対応する操作手段とは別の操作手段に対する操作信号を出力する非干渉化制御手段を、少なくとも一つ設けたことを特徴とする制御装置。 【請求項2】 前記複数の状態制御手段および非干渉化制御手段は、前記複数の検出情報と複数の目標情報との各偏差を、制御対象の前記物理状態の勾配を示す情報の偏差に変換するとともに、物理状態の代表状態を示す情報の偏差に変換する変換手段と、前記変換手段からの前記勾配を示す情報の偏差または前記代表状態を示す情報の偏差に基づいて、操作信号をそれぞれ出力する複数の状態制御手段と、前記各状態制御手段からの操作信号を、複数の操作手段に、各状態制御手段による制御が、他の状態制御手段による制御に与える影響をなくす又は小さくするように配分する配分手段としての機能を有する請求項1記載の制御装置。 【請求項3】 制御対象の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出手段からの複数の検出温度と複数の目標温度との各温度偏差に基づいて、前記温度検出手段に個別的に対応して前記制御対象を加熱(または冷却)する複数の加熱(または冷却)手段に対して操作信号をそれぞれ出力する複数の温度制御手段を備える温度調節器であって、或る温度検出手段に対応する温度偏差に基づいて、前記或る温度検出手段に対応する加熱(または冷却)手段とは別の加熱(または冷却)手段に対する操作信号を出力する非干渉化制御手段を、少なくとも一つ設けたことを特徴とする温度調節器。 【請求項4】 前記複数の温度制御手段および非干渉化制御手段は、前記複数の検出温度と複数の目標温度との各温度偏差を、傾斜温度の偏差に変換するとともに、代表温度の偏差に変換する変換手段と、前記変換手段からの傾斜温度の偏差または代表温度の偏差に基づいて、操作信号をそれぞれ出力する複数の温度制御手段と、前記各温度制御手段からの操作信号を、前記制御対象を加熱(または冷却)する複数の加熱(または冷却)手段に、各温度制御手段による制御が、他の温度制御手段による制御に与える影響をなくす又は小さくするように配分する配分手段としての機能を有する請求項3記載の温度調節器。 【請求項5】 前記代表温度が複数の検出温度に基づく平均温度である請求項4記載の温度調節器。 【請求項6】 前記複数の温度検出手段の検出信号線の断線を検出する断線検出手段を備え、前記断線検出手段は、各検出温度と前記平均温度との比較または前記傾斜温度と閾値との比較に基づいて断線を検出する請求項4または5記載の温度調節器。 【請求項7】 断線が検出された温度検出手段の検出出力を、複数の検出温度の平均温度または近接配置された他の温度検出手段の検出温度に置き換える置換手段を備える請求項6記載の温度調節器。 【請求項8】 前記温度検出手段が、赤外線カメラである請求項3ないし5のいずれかに記載の温度調節器。 【請求項9】 請求項3ないし8のいずれかに記載の温度調節器と、制御対象としての熱処理炉または熱処理盤と、該熱処理炉または熱処理盤を加熱(または冷却)する複数の加熱(または冷却)手段と、前記熱処理炉または熱処理盤の温度を検出する複数の温度検出手段とを備えることを特徴とする熱処理装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、制御対象の温度や圧力などの物理状態を制御する制御装置、制御対象の温度を制御する温度調節器および温度調節器を用いた熱処理装置に関し、さらに詳しくは、制御対象の物理状態を制御する状態制御手段を複数備え、各状態制御手段による制御が、他の状態制御手段による制御に影響を与える、いわゆる干渉のある制御対象の制御に好適な技術に関する。 【0002】 【従来の技術】この種の制御対象、例えば、半導体プロセスの熱処理装置として、図38に示される熱酸化装置があり、この熱酸化装置18は、シリコンのウェハを酸化するものであって、熱処理炉としての反応管19に必要なガスを流しながら酸化膜の生成を行うものである。この熱酸化装置18は、反応管19を外囲する均熱管20の周囲に分割して配置された複数、この例では、3つの第1〜第3のヒータ211〜213とそれに個別的に対応する第1〜第3の温度センサ221〜223とを有し、温度制御は、マイクロコンピュータ23によって、ヒータおよび温度センサの各組に対応する領域(以下「ゾーン」という)毎に個別に行われている。 【0003】すなわち、第1のヒータ211および第1の温度センサ221が配置された上側の第1のゾーンでは、第1の温度センサ221の検出出力に基づいて、目標温度になるように第1のヒータ211が操作され、第2のヒータ212および第2の温度センサ222が配置された中間の第2のゾーンでは、第2の温度センサ222の検出出力に基づいて、目標温度になるように第2のヒータ212が操作され、第3のヒータ213および第3の温度センサ223が配置された下側の第3のゾーンでは、第3の温度センサ223の検出出力に基づいて、目標温度になるように第3のヒータ213が操作される。 【0004】しかしながら、各ゾーンは熱的に連続しているので、一つのゾーンのヒータによる熱量は、そのゾーンのみならず、他のゾーンの温度センサにも影響を与える、いわゆる干渉を生じる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】このような干渉があるために、特に、過渡時や外乱時に温度のバラツキが顕著となって均一な温度制御が困難であり、また、各ゾーンを異なる目標温度に制御するといったことが容易でない。 【0006】さらに、温度調節器における最適なPID制御のパラメータを決定するためのオートチューニングが正しく実行できないという難点もある。 【0007】以下、オートチューニングが正しく実行できない理由について、制御のシュミレーションソフト(MATLAB)を使用した例を用いて説明する。 【0008】先ず、正常にオートチューニングをできる例として、図39に示される干渉のない独立な第1,第2の制御対象241,242を制御する場合について説明する。この例は、独立に二つの制御対象241,242を制御するものであり、第1のPID制御手段251では、オートチューニングを実行し、第2のPID制御手段252では、目標値をグランドとしてPID制御を実行している。なお、261,262は、目標値とフィードバック量との制御偏差を出力する加算器である。 【0009】図40は、このシステムにおける第1の制御対象241からの第1のフィードバック量PV1(破線)、第1のPID制御手段251からの第1の操作量MV1(実線)、第2の制御対象242からの第2のフィードバック量PV2(二点鎖線)および第2のPID制御手段252からの第2の操作量MV2(一点鎖線)を、スコープに表示した波形を示すものであり、第1の操作量MV1がオンオフするリミットサイクルが生じており、第1のフィードバック量PV1の周期と振幅とを使って第1のPID制御手段251のPID制御のパラメータを決定することができる。 【0010】なお、フィードバック量PV1,PV2は、例えば温度制御における温度センサで検出された検出温度に相当し、操作量MV1,MV2は、制御対象を加熱するヒータおよびそのヒータの通電をオンオフする電磁開閉器からなる操作手段に与えられる操作量である。 【0011】次に、図41に示されるように、2入力(MV1,MV2)2出力(PV1,PV2)の干渉のある制御対象27に独立な制御を実行した場合について説明する。 【0012】この制御対象27は、図42に示されるように、第1のPID制御手段251からの第1の操作量MV1が、第1の加算器28に与えられるとともに、第1の減衰器29で0.9に減衰されて第2の加算器30に与えられる一方、第2のPID制御手段252からの第2の操作量MV2が、第2の加算器30に与えられるとともに、第2の減衰器31で0.9に減衰されて第1の加算器28に与えられ、各加算器28,30の加算出力が、第1,第2の遅れ要素32,33にそれぞれ与えられる構成とされており、この例では、各操作量MV1,MV2が0.9の割合で他方に加えられて互いに干渉を生じるものである。 【0013】このような干渉のある制御対象27では、第1のPID制御手段251で、オートチューニングを実行し、第2のPID制御手段252では、目標値をグランドとしてPID制御を実行すると、図43に示されるように、第1の操作量MV1(実線)に、オンオフのリミットサイクルが生じない場合があり、かかる場合には、第1のフィードバック量PV1(破線)の振動の振幅および周期を正しく測定できず、PID制御のパラメータも計算することができないことになる。 【0014】このように第1の操作量MV1がオンオフしない原因は、オートチューニングをしない側の第2のPID制御手段252が干渉してオートチューニング側の第1のフィードバック量PV1の変化が生じないように勝手に動作してしまうからである。これは、第2の操作量MV2(一点鎖線)が、第1のフィードバック量PV1の変化とは逆向きの動きをしていることからも分かる。 【0015】このように、干渉のある制御対象では、PIDの制御パラメータを設定するためのオートチューニングが実行できず、試行錯誤的な設定にならざるを得ず、このため、設定に時間を要するとともに、所望の制御特性を得るのが困難である。 【0016】本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、干渉のある制御対象であっても、その干渉を低減することを目的とする。 【0017】 【課題を解決するための手段】本発明では、上述の目的を達成するために、次のように構成している。 【0018】すなわち、本発明の制御装置は、制御対象の物理状態をそれぞれ検出する複数の検出手段からの複数の検出情報と複数の目標情報との各偏差に基づいて、前記検出手段に個別的に対応する複数の操作手段に対して操作信号をそれぞれ出力する複数の状態制御手段を備える制御装置であって、或る検出手段に対応する偏差に基づいて、前記或る検出手段に対応する操作手段とは別の操作手段に対する操作信号を出力する非干渉化制御手段を、少なくとも一つ設けている。 【0019】ここで、物理状態とは、温度、圧力、流量、速度あるいは液位などの様々な物理量の状態をいう。 【0020】また、物理状態の勾配とは、温度勾配、圧力勾配、流量勾配、速度勾配などの様々な物理量の勾配をいう。 【0021】目標情報とは、物理状態の制御目標の情報をいい、例えば、目標温度、目標圧力、目標流量などをいう。 【0022】非干渉化制御手段とは、或る状態制御手段による制御が、別の状態制御手段による制御に与える影響をなくすまたは小さくするように制御するものである。 【0023】本発明の制御装置によると、複数の検出情報と複数の目標情報との各偏差に基づいて、前記検出手段に個別的に対応する複数の操作手段に対して操作信号をそれぞれ出力する複数の状態制御手段、すなわち、複数の各チャネルに個別的に対応する状態制御手段に加えて、或るチャネルの偏差に基づいて、別のチャネルの操作手段に対して操作信号を出力する非干渉化制御手段を設けているので、各チャネルの状態制御手段による制御が、別のチャネルの制御に及ぼす影響が低減される。 【0024】本発明の一実施態様においては、前記複数の状態制御手段および非干渉化制御手段は、前記複数の検出情報と複数の目標情報との各偏差を、制御対象の前記物理状態の勾配を示す情報の偏差に変換するとともに、物理状態の代表状態を示す情報の偏差に変換する変換手段と、前記変換手段からの前記勾配を示す情報の偏差または前記代表状態を示す情報の偏差に基づいて、操作信号をそれぞれ出力する複数の状態制御手段と、前記各状態制御手段からの操作信号を、複数の操作手段に、各状態制御手段による制御が、他の状態制御手段による制御に与える影響をなくす又は小さくするように配分する配分手段としての機能を有するものである。 【0025】ここで、物理状態の勾配とは、温度勾配、圧力勾配、流量勾配、速度勾配などの様々な物理量の勾配をいう。 【0026】さらに、物理状態の代表状態とは、制御対象の物理状態を代表的に示す状態をいい、例えば、温度であれば、制御対象の平均温度、ある位置(例えば中央位置)における温度などをいう。 【0027】本発明によると、複数の検出手段からの情報を、物理状態の勾配あるいは代表状態を利用した情報、すなわち、干渉のない独立の情報に変換して制御を行うとともに、各状態制御手段による制御が、他の状態制御手段による制御に与える影響をなくす又は小さくするように配分するので、干渉のある制御対象の制御において、その干渉を低減することが可能となる。 【0028】本発明の温度調節器は、制御対象の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出手段からの複数の検出温度と複数の目標温度との各温度偏差に基づいて、前記温度検出手段に個別的に対応して前記制御対象を加熱(または冷却)する複数の加熱(または冷却)手段に対して操作信号をそれぞれ出力する複数の温度制御手段を備える温度調節器であって、或る温度検出手段に対応する温度偏差に基づいて、前記或る温度検出手段に対応する加熱(または冷却)手段とは別の加熱(または冷却)手段に対する操作信号を出力する非干渉化制御手段を、少なくとも一つ設けている。 【0029】ここで、本発明の温度調節器は、複数の検出温度と複数の目標温度との各温度偏差に基づいて、前記温度検出手段に個別的に対応する複数の加熱(または冷却)手段に対して操作信号をそれぞれ出力する複数の温度制御手段を備える複数チャネルの制御を行うものであり、いわゆる、多点制御の温度調節器であってもよいし、単点制御の温度調節器を複数組み合わせて本発明の温度調節器としてもよい。すなわち、本発明の温度調節器は、単点制御の温度調節器を複数組み合わせた構成も含むものである。 【0030】本発明によると、複数の検出温度と複数の目標温度との各温度偏差に基づいて、前記温度検出手段に個別的に対応する複数の加熱(または冷却)手段に対して操作信号をそれぞれ出力する複数の温度制御手段、すなわち、複数の各チャネルに個別的に対応する温度制御手段に加えて、或るチャネルの偏差に基づいて、別のチャネルの加熱(また冷却)手段に対して操作信号を出力する非干渉化制御手段を設けているので、各チャネルの温度制御手段による制御が、別のチャネルの制御に及ぼす影響が低減される。 【0031】本発明の一実施態様においては、前記複数の温度制御手段および非干渉化制御手段は、前記複数の検出温度と複数の目標温度との各温度偏差を、傾斜温度の偏差に変換するとともに、代表温度の偏差に変換する変換手段と、前記変換手段からの傾斜温度の偏差または代表温度の偏差に基づいて、操作信号をそれぞれ出力する複数の温度制御手段と、前記各温度制御手段からの操作信号を、前記制御対象を加熱(または冷却)する複数の加熱(または冷却)手段に、各温度制御手段による制御が、他の温度制御手段による制御に与える影響をなくす又は小さくするように配分する配分手段としての機能を有するものである。 【0032】本発明によると、複数の温度検出手段から得られる検出温度を、傾斜温度と代表温度、すなわち、干渉のない独立の情報に変換して制御を行うとともに、各温度制御手段による制御が、他の温度制御手段による制御に与える影響をなくす又は小さくするように配分するので、干渉のある制御対象の制御において、その干渉を低減することが可能となる。また、例えば、制御対象を複数のゾーン毎に区分して温度制御を行う場合に、特定のゾーンの検出温度を代表温度としてそのゾーンに着目した制御を行うことができる。 【0033】本発明の他の実施態様においては、前記代表温度が複数の検出温度に基づく平均温度である。 【0034】本発明によると、平均温度および傾斜温度を制御量として温度制御を行うので、例えば、制御対象を複数のゾーン毎に区分して各ゾーンの検出温度を制御量として温度制御を行う場合に比べてゾーンの間の干渉の度合いを低減できる。また、例えば、制御対象を複数のゾーンに区分して各ゾーンに温度検出手段を配置した場合に、或るゾーンの温度検出手段で検出された検出温度と、隣接するゾーンの温度検出手段で検出された検出温度との差である傾斜温度を制御量とすることができ、ゾーン毎に温度差を持たせた制御を行えることになる。 【0035】本発明の好ましい実施態様においては、前記複数の温度検出手段の検出信号線の断線を検出する断線検出手段を備え、前記断線検出手段は、各検出温度と前記平均温度との比較または前記傾斜温度と閾値との比較に基づいて断線を検出するものである。 【0036】本発明によると、温度検出手段の検出信号線の断線を検出できるので、断線が生じたときには、それを報知して直ちに適切な措置をとることができる。 【0037】本発明の他の実施態様においては、断線が検出された温度検出手段の検出出力を、複数の検出温度の平均温度または近接配置された他の温度検出手段の検出温度に置き換える置換手段を備えている。 【0038】本発明によると、断線が検出された温度検出手段の検出出力を、平均温度または近接配置された他の温度検出手段の検出温度に置き換えるので、断線が発生しても、制御対象の温度を、所望の状態に近い状態に制御できることになる。 【0039】本発明のさらに他の実施態様においては、前記温度検出手段が、赤外線カメラである。 【0040】本発明によると、温度検出手段として赤外線カメラを用いるので、非接触で温度を検出できるとともに、検出点を容易に変更できる。 【0041】本発明の熱処理装置は、本発明の温度調節器と、制御対象としての熱処理炉または熱処理盤と、該熱処理炉または熱処理盤を加熱(または冷却)する複数の加熱(または冷却)手段と、前記熱処理炉または熱処理盤の温度を検出する複数の温度検出手段とを備えている。 【0042】本発明によると、本発明の温度調節器によって熱処理炉あるいは熱処理盤の温度制御を行うので、干渉を低減した温度制御が可能となる。 【0043】 【発明の実施の形態】以下、図面によって本発明の実施の形態について詳細に説明する。 【0044】図1は、本発明の一つの実施の形態に係る温度調節器を用いた温度制御システムの概略構成図である。 【0045】この実施の形態の温度制御システムは、制御対象3を加熱する複数のヒータ11〜1nと、複数のヒータ11〜1nに個別的に対応して制御対象3の温度を検出する複数の温度センサ21〜2nと、これら温度センサ21〜2nの検出出力に基づいて、各ヒータ11〜1nを図示しない電磁開閉器などを介して操作して制御対象3の温度を制御する本発明に係る温度調節器4とを備えている。 【0046】制御対象3は、熱的に連続して干渉を生じるものであり、各ヒータ11〜1nと対応する各温度センサ21〜2nとがそれぞれ近接して配置されて複数のゾーンがそれぞれ形成されている。 【0047】この温度制御システムは、例えば、上述の図38に示される熱酸化装置18に適用できるものであり、制御対象3を、熱処理炉としての反応管19とし、第1〜第3のヒータ11〜13を、反応管19の周囲に分割して配置された第1〜第3のヒータ211〜213とし、第1〜第3の温度センサ21〜23を、各ゾーンの温度を検出する第1〜第3の温度センサ221〜223として適用することができるものである。 【0048】以下、本発明の具体的な実施の形態の説明に先立って、本発明の温度調節器の機能について詳細に説明する。 【0049】図2は、図1の温度調節器4の機能ブロック図であり、この実施の形態の温度調節器4は、複数の温度センサ21〜2nの検出温度の平均温度および検出温度に基づく傾斜温度を後述のようにして算出する平均温度・傾斜温度算出手段(以下「モード変換器」ともいう)5と、この算出手段5で算出された平均温度または各傾斜温度がそれぞれ入力される複数の温度制御手段としてのPID制御手段61〜6nと、各PID制御手段61〜6nからの操作信号(操作量)を後述のように所定の配分比で加熱手段を構成する各ヒータ11〜1nに配分する配分手段(以下「前置補償器」ともいう)7とを備えている。平均温度・傾斜温度算出手段5、PID制御手段61〜6nおよび配分手段7は、例えば、マイクロコンピュータによって構成される。 【0050】従来では、上述の図38に示されるように、各ゾーン毎に温度を検出して対応するヒータを個別に制御していたけれども、この実施の形態では、干渉をなくすために、平均温度・傾斜温度算出手段5で算出される代表温度としての平均温度および複数の各傾斜温度を制御量として温度制御を行うようにしている。 【0051】変換手段としての平均温度・傾斜温度算出手段5は、複数の温度センサ21〜2nからの情報を、一つの平均温度と複数の傾斜温度との情報に変換するものであり、その理由は、干渉がなく、独立で分かりやすい情報にするためであり、例えば、次のような演算を行うものである。 【0052】すなわち、第1の温度センサ21の検出出力をS1,第2の温度センサ22の検出出力をS2,…第nの温度センサ2nの検出出力をSnとすると、下記に示される平均温度Tav,第1の傾斜温度Tt1,第2の傾斜温度Tt2,…第n−1の傾斜温度Ttn-1を算出する。 【0053】 Tav=(S1+S2+…Sn)÷nTt1=(S1+S2+…Sn-1)÷(n−1)−SnTt2=(S1+S2+…Sn-2)÷(n−2)−Sn-1・・Ttn-1=S1−S2ここで、Tavは、複数の温度センサ21〜2nの検出温度の平均温度であり、傾斜温度Tt1は、複数の温度センサ21〜2nを、温度センサ21〜2n-1と温度センサ2nとの二つに区分した場合の温度センサ21〜2n-1の平均検出温度と温度センサ2nの検出温度との差であり、傾斜温度Tt2は、複数の温度センサ21〜2n-1を、温度センサ21〜2n-2と温度センサ2n-1との二つに区分した場合の温度センサ21〜2n-2の平均検出温度と温度センサ2n-1の検出温度との差であり、以下同様にして、傾斜温度Ttn-1は、温度センサ21と温度センサ22との検出温度の差である。 【0054】以上の式をまとめて、モード変換行列Gmと称する行列を用いて下記のように表すことができる。 【0055】 【数1】
【0056】T=Gm・Sただし、T=[Tav Tt1 Tt2 ……Ttn-1]TS=[S1 S2 S3 ……Sn]Tこの実施の形態では、これら平均温度Tavと複数の傾斜温度Tt1〜Ttn-1とを制御量として温度制御を行うものである。 【0057】なお、傾斜温度は、この実施の形態に限られるものではなく、例えば、下記のモード変換行列Gmに示されるように隣り合う温度センサの検出温度の温度差や複数の温度センサを二つのグループに区分して各グループの平均検出温度の温度差などの種々の傾斜温度を用いることができる。 【0058】 【数2】
【0059】また、傾斜温度は、複数の温度センサを大きく二つのグループに区分した各グループの平均検出温度の温度差、各グループをさらに二つに区分した各グループの平均検出温度の温度差、さらに各グループを二つに区分した各グループの平均検出温度の温度差といったように、マクロな傾斜温度からミクロな傾斜温度までを算出して用いるようにしてもよい。 【0060】要するに、温度の傾斜を意味する情報と平均の情報とに分離して制御できるようにすればよい。 【0061】第1のPID制御手段61は、平均温度・傾斜温度算出手段5からの平均温度と目標平均温度の制御偏差に基づいて、平均温度が目標平均温度になるように操作信号を配分手段7に出力し、第2のPID制御手段62は、平均温度・傾斜温度算出手段5からの第1の傾斜温度と第1の目標傾斜温度との制御偏差に基づいて、第1の傾斜温度が第1の目標傾斜温度になるように操作信号を配分手段7に出力し、第3のPID制御手段63は、平均温度・傾斜温度算出手段5からの第2の傾斜温度と第2の目標傾斜温度との制御偏差に基づいて、第2の傾斜温度が第2の目標傾斜温度になるように操作信号を配分手段7に出力し、以下同様にして、第nのPID制御手段6nは、平均温度・傾斜温度算出手段5からの第n−1の傾斜温度と第n−1の目標傾斜温度との制御偏差に基づいて、第n−1の傾斜温度が第n−1の目標傾斜温度になるように操作信号を配分手段7に出力する。 【0062】すなわち、第1のPID制御手段61は、平均温度を制御し、第2〜第nの各PID制御手段62〜6nは、第1〜第n−1の傾斜温度をそれぞれ制御するものである。 【0063】次に配分手段7について説明する。 【0064】この配分手段7は、各PID制御手段61〜6nからの操作信号(操作量)を、各ヒータ11〜1nに配分するのであるが、その際に、各PID制御手段61〜6nそれぞれによる平均温度または各傾斜温度の制御が、他のPID制御手段61〜6nそれぞれによる平均温度または傾斜温度の制御に与える干渉をなくすように配分するものである。 【0065】例えば、第1のPID制御手段61の操作信号によって平均温度を変化させる場合に、その操作信号によって傾斜温度が変化せず、また、第2のPID制御手段62の操作信号によって第1の傾斜温度を変化させる場合に、その操作信号によって平均温度および他の傾斜温度が変化せず、同様に、各PID制御手段の操作信号によって他のPID制御手段による制御が影響されないように配分するのである。 【0066】この配分手段7による配分について、さらに詳細に説明する。 【0067】ここで、分かり易くするために、n=2、すなわち、ゾーンが2つであって、第1,第2のヒータ11,12、第1、第2の温度センサ21,22、平均温度を制御する第1のPID制御手段61および両温度センサ21,22の検出温度の差である傾斜温度を制御する第2のPID制御手段62を備える場合に適用して図3に基づいて説明する。 【0068】この図3は、上述の図41,図42の従来例で説明した2入力2出力の干渉のある制御対象27に適用した例であり、図2に対応する部分には、同一の参照符号を付す。 【0069】平均温度・傾斜温度検出手段5は、第1,第2の温度センサ21,22の検出出力に相当する制御対象3からのフィードバック量PV1,PV2を、図4に示されるように加算器8で加算して減衰器9で1/2に減衰して平均温度Tavを出力する一方、両温度センサ21,22の検出出力に相当するフィードバック量PV1,PV2を減算器10で減算して傾斜温度Ttを出力するものである。 【0070】第1のPID制御手段61は、平均温度・傾斜温度算出手段5からの平均温度Tavと目標平均温度の制御偏差に基づいて、平均温度が目標平均温度になるように操作信号(操作量)Havを配分手段7に出力し、第2のPID制御手段62は、平均温度・傾斜温度算出手段5からの傾斜温度Ttと目標傾斜温度との制御偏差に基づいて、傾斜温度が目標傾斜温度になるように操作信号(操作量)Htを配分手段7に出力する。 【0071】配分手段7は、各PID制御手段61,62の操作信号(操作量)Hav,Htを以下のような配分比で各ヒータ11,12に配分する。 【0072】すなわち、図5は、図3のシステムの制御系のブロック線図である。平均温度を制御する第1のPID制御手段61から与えられる操作量Havを、配分手段7で干渉をなくす、すなわち、非干渉化するための係数である非干渉化係数(配分比)k1,k2で第1,第2のヒータ11,12にそれぞれ配分するとともに、第2のPID制御手段62から与えられる操作量Htを、非干渉化係数(配分比)k3,k4で第1,第2のヒータ11,12にそれぞれ配分し、これによって、各ヒータ11,12に熱量H1,H2がそれぞれ与えられるとする。 【0073】また、第1のヒータ11に与えられた熱量H1は、伝達係数(干渉係数)l1で第1の温度センサ21に伝わる一方、伝達係数(干渉係数)l2で第2の温度センサ22に伝わり、同様に、第2のヒータ12に与えられた熱量H2は、伝達係数(干渉係数)l3で第1の温度センサ21に伝わる一方、伝達係数(干渉係数)l4で第2の温度センサ22に伝わるとする。 【0074】そして、第1の温度センサ21で検出された検出温度T1と第2の温度センサ22で検出された検出温度T2とから平均温度Tavおよび傾斜温度Ttが算出されて各PID制御手段61,62に入力されるという制御ループが構成されている。 【0075】以上のことから平均温度Tavは、次のように示される。 【0076】 Tav=(T1+T2)/2 ={(l1・H1+l3・H2)+(l2・H1+l4・H2)}/2 ={(l1+l2)H1+(l3+l4)H2}/2 ={(l1+l2)(k1・Hav+k3・Ht) +(l3+l4)(k2・Hav+k4・Ht)}/2 =〔{(l1+l2)k1+(l3+l4)k2}Hav +{(l1+l2)k3+(l3+l4)k4}Ht〕/2ここで、平均温度Tavは、平均温度の操作量Havのみの関数で、傾斜温度の操作量Htの影響をなくすように、すなわち、非干渉化を図るために、Htの項を0とする。 【0077】 すなわち、(l1+l2)・k3+(l3+l4)・k4=0したがって、k4=−{(l1+l2)/(l3+l4)}k3となる。 【0078】同様に、傾斜温度Ttは、次のように示される。 【0079】 Tt=T1−T2 =(l1・H1+l3・H2)−(l2・H1+l4・H2) =(l1−l2)H1+(l3−l4)H2 =(l1−l2)(k1・Hav+k3・Ht) +(l3−l4)(k2・Hav+k4・Ht) ={(l1−l2)k1+(l3−l4)k2}Hav +{(l1−l2)k3+(l3−l4)k4}Htここで、傾斜温度Ttは、傾斜温度の操作量Htのみの関数で、平均温度の操作量Havの影響をなくすように、すなわち、非干渉化を図るために、Havの項を0とする。 【0080】 すなわち、(l1−l2)k1+(l3−l4)k2=0したがって、k2=−{(l1−l2)/(l3−l4)}k1となる。 【0081】以上のことから傾斜温度に影響を与えずに平均温度を制御し、また、平均温度に影響を与えずに傾斜温度を制御する、すなわち、平均温度と傾斜温度との干渉をなくした非干渉制御を行うためには、非干渉化係数(配分比)k1〜k4で配分すればよく、この非干渉化係数(配分比)k1〜k4を算出するためには、第1のヒータ11の熱量が第1,第2の温度センサ21,22に伝わる伝達係数(干渉係数)l1,l2および第2のヒータ12の熱量が第1,第2の温度センサ21,22に伝わる伝達係数(干渉係数)l3,l4を知る必要がある。 【0082】なお、非干渉化係数(配分比)k1〜k4は、k1とk2、k3とk4との比率がそれぞれ分かれば、PID制御のゲインによって対応できるので、絶対値は必ずしも必要でない。 【0083】伝達係数(干渉係数)l1〜l4は、次のようにして求めることができる。すなわち、ヒータを一つだけ変動させて他のヒータは、一定値に固定、例えば、オンのままあるいはオフのままとし、ヒータの変化量に対する各温度センサの変化量の比率を伝達係数とするのである。 【0084】例えば、第2のヒータ22をオフのままの状態で、第1のヒータ11を、ある温度振幅で変動させたときに、第1,第2の温度センサ21,22の検出温度にどの程度の温度振幅の変動が生じるかによって伝達係数l1,l2を計測することができ、例えば、ヒータを温度振幅1で変動させたきに、温度センサの温度振幅が10であれば、伝達係数は、10(=10/1)となる。 【0085】ここで、図3の配分手段7における非干渉化係数(配分比)を用いた配分についてさらに具体的に説明する。制御対象27の特性は、上述の図42に示されており、この特性から伝達係数は、l1=1,l2=0.9,l3=0.9,l4=1である。 【0086】したがって、上述の非干渉化係数の式に代入すると、k4=−{(l1+l2)/(l3+l4)}k3=−{(1+0.9)/(0.9+1)}k3=−k3また、k2=−{(l1−l2)/(l3−l4)}k1=−{(1−0.9)/(0.9−1)}k1=k1となる。 【0087】そこで、仮に各ヒータに配分される熱量の合計が、Havと等しくなるように、すなわち、k1+k2=1となるように設計し、分かり易さのために、k3=1という条件を加える。 【0088】これによって、k2=k1=1/2また、k4=−k3=−1となり、配分比(非干渉化係数)が決定される。 【0089】つまり、図5に示されるように、平均温度の操作量Havは、1/2ずつ各ヒータ11,12に配分し、傾斜温度の操作量Htは、第1のヒータ11には、そのまま、第2のヒータ12には、符号を変えて配分すればよい。 【0090】ここで、配分比(非干渉化係数)は、次のようにして求めることもできる。 【0091】すなわち、上述のモード変換行列Gmと上述の伝達係数(干渉係数)の行列Pとから配分比(非干渉化係数)の行列(以下「前置補償行列」ともいう)Gcは、以下のように逆行列として求めることもできる。 【0092】Gc=(Gm・P)-1この実施の形態に適用すると、制御対象のある時間の特性である伝達係数(干渉係数)の行列Pを、【0093】 【数3】
【0094】とすると、配分比(非干渉化係数)の行列である前置補償行列Gcは、【0095】 【数4】
【0096】確かめとして、Gm・P・Gc=1となるかどうかを計算する。 【0097】 【数5】
【0098】なお、この実施の形態では、配分比(非干渉化係数)を、伝達係数を用いて算出したけれども、本発明の他の実施の形態として、伝達係数に代えて、周波数特性も表す伝達関数を用いて算出するようにしてもよい。 【0099】図3のシステムでは、配分手段7は、図6に示されるように、平均温度の操作信号(操作量)Havは、各減衰器11,12でそれぞれ1/2に減衰して加算器13および減算器14にそれぞれ配分され、傾斜温度の操作信号(操作量)Htは、加算器13および減算器14にそれぞれ配分され、加算器13の出力H1が第1のヒータ11に、減算器14の出力H2が第2のヒータ12に与えられる。 【0100】この配分手段7によれば、平均温度の操作量Havによって平均温度を変化させる場合には、各ヒータ11,12に操作量が等しく配分されるので、傾斜温度に影響を与えることなく、すなわち、干渉することなく、平均温度のみを変化させることができる。また、傾斜温度の操作量Htによって傾斜温度を変化させる場合には、一方のヒータ11には、その操作量が1倍で与えられる一方、他方のヒータ12には、−1倍で与えられるので、両ヒータに与える総熱量を変化させることなく、すなわち、平均温度に影響を与えることなく、傾斜温度のみを変化させることができる。 【0101】図7は、図3のシステムにおいて、第1のPID制御手段61でオートチューニングを行った場合の平均温度・傾斜温度算出手段5からの平均温度Tav(破線)、第1のPID制御手段61からの平均温度の操作量Hav(実線)、平均温度・傾斜温度算出手段5からの傾斜温度Tt(二点鎖線)、第2のPID制御手段62からの傾斜温度の操作量Ht(一点鎖線)をスコープに表示した波形を示しており、平均温度の操作量Havがオンオフするリミットサイクルが生じており、平均温度Tavの周期と振幅とを使ってPID制御のパラメータを決定することができる。なお、平均温度Tav、傾斜温度Tt、平均温度の操作量Hav、傾斜温度の操作量Htが、上述の図40,図43の従来例のPV1、PV2、MV1、MV2にそれぞれ対応する。 【0102】なお、第1のPID制御手段61のPID制御のパラメータが決定された後には、そのパラメータを設定し、次は、傾斜温度を制御する第2のPID制御手段62のオートチューニングを行ってPID制御のパラメータを決定する。 【0103】このように、平均温度と傾斜温度とを制御量として制御することにより、干渉のない制御が可能となり、PID制御のパラメータを決定するためのオートチューニングが可能となり、最適な制御パラメータを設定して所望の制御特性を得ることができる。 【0104】このようにしてPID制御のパラメータが設定された後の通常の制御では、平均温度が目標平均温度になるように、傾斜温度が目標傾斜温度になるように制御が行われる。 【0105】次に、この実施の形態と従来例とのシミュレーションの結果を以下に説明する。このシミュレーションでは、以下のような制御対象のモデリングを行った。すなわち、熱干渉系の最も簡単な例として、図8に示すように2組のヒータ11,12と温度センサ21,22と、その間を熱伝導体50でつないだ熱処理装置を考える。制御目的は、2点の温度を任意の設定温度で均一化することである。図9に制御対象の電気的な等価回路を示す。R1,R2は、温度センサから周囲の空気への熱抵抗、C1,C2は、温度センサ近傍の熱容量である。 【0106】制御対象の入力は、2つのヒータ熱量であり、ヒータ11の熱量p1の一部は熱伝導体50を伝わって、熱抵抗R3で温度センサ22の温度θ2に干渉し、ヒータ12の熱量p2の一部は、同様に熱抵抗R3で温度センサ21の温度θ1に干渉する。また、熱量p2の一部の熱エネルギーは、熱抵抗R4で熱処理装置が固定されている機械装置本体に熱伝導する。ただし、機械装置本体の熱容量は、非常に大きいので、周囲温度と一致すると近似した。 【0107】制御対象の等価回路のパラメータは、R1=R2=10[℃/W]、R3=1[℃/W]、R4=0.2[℃/W]、C1=C2=10[J/℃]とした。外乱は、100Wのステップ状とし、従来例とこの実施の形態と同じ条件で印加した。 【0108】下記の表1のパラメータによる従来のPID制御の応答波形を図10に、下記の表2のパラメータによるこの実施の形態の応答波形を、図11に示す。 【0109】 【表1】
【0110】 【表2】
【0111】図10,図11を比較すると、従来の制御方式で2°Cの温度差が発生していたものが、この実施の形態では、2つのセンサ間の温度差を0.8°Cまで改善していることが分かる。 【0112】このような特性の差を生み出せる理由は、この実施の形態では、傾斜温度と平均温度で独立にPIDパラメータを設定できる点にある。この例では、表2に示すように比例ゲインKpに差をつけ平均温度よりも傾斜温度の収束を優先するように、傾斜温度制御の比例ゲインKpを平均温度制御の比例ゲインKpよりも大きな値に設定した。その結果、簡単なPID制御のパラメータの設定であるにも関わらず、高精度な温度均一化を期待できるものである。 【0113】さらに、この実施の形態と従来例との目標値応答および外乱応答の比較結果を、図12〜図15に示す。なお、ここでは、CHR(Chien, Hrones and R eswick)の調整則の目標値応答オーバーシュート無しを平均温度制御に、外乱応答オーバーシュート20%を傾斜温度制御に使用した。 【0114】図12および図13が、この実施の形態の目標値応答および外乱応答の波形であり、図14および図15が、従来例の目標値応答および外乱応答の波形を示している。 【0115】図14の従来例の目標値応答では、整定時間も29秒と長く、オーバーシュートも認められたけれども、この実施の形態の目標値応答では、図12に示されるように整定時間も9秒と短く、オーバーシュートも認められなかった。 【0116】また、図15の従来例の外乱応答では、整定時間も32秒と長く、オーバーシュートもやや認められたのに対して、この実施の形態の外乱応答では、図13に示されるように、整定時間も6秒と短く、オーバーシュートも認められなかった。 【0117】すなわち、この実施の形態では、平均温度制御は、弱くて遅い制御を、傾斜温度制御は、強くて速い制御を行ったので、目標値応答および外乱応答のいずれの場合も、オーバーシュートがなく整定時間も短く満足できるものとなった。 【0118】上述の例では、簡単にするために、n=2の場合について説明したけれども、ゾーンが3つの場合、すなわち、ヒータ、温度センサおよびPID制御手段が3つのn=3の場合にも同様に適用できるものである。 【0119】すなわち、上述の図5に対応する図16のブロック線図に示されるように、第1〜第3のヒータ11〜13と、各ヒータ11〜13に個別的に対応する第1〜第3の温度センサ21〜23とが、第1〜第3の各ゾーンにそれぞれ配置されており、第1のゾーンと第2のゾーンとが隣接し、第2のゾーンと第3のゾーンとが隣接しているとし、簡単化のために、隣接するゾーン間でのみ干渉があるとし、第1のヒータ11から第2の温度センサ22への伝達係数(干渉係数)をl1、第2のヒータ12から第1,第3の温度センサ21,23への伝達係数(干渉係数)をl2,l3、第3のヒータ13から第2の温度センサ22への伝達係数(干渉係数)をl4とし、第1のヒータ11から第1の温度センサ21といった相対する伝達係数(干渉係数)は、1.0とする。 【0120】また、干渉をなくすための非干渉化係数(配分比)について、平均温度を制御する第1のPID制御手段61の操作量Havを第2,第3のヒータ12,13に配分するための非干渉化係数(配分比)をk1,k2、第1の傾斜温度Tt1を制御する第2のPID制御手段62の操作量Ht1を第1,第3のヒータ11,13に配分するための非干渉化係数(配分比)をk3,k4、第2の傾斜温度Tt2を制御する第3のPID制御手段63の操作量Ht2を第1,第2のヒータ11,12に配分するための非干渉化係数(配分比)をk5,k6とし、第1のPID制御手段61から第1のヒータ11といった相対する非干渉化係数は1.0とする。なお、この例では、第1の傾斜温度Tt1は、第2,第3の温度センサ22,23の検出温度T2,T3の平均の検出温度と第1の温度センサ21の検出温度T1との差としており、また、第2の傾斜温度Tt2は、第2の温度センサ22の検出温度T2と第3の温度センサ23の検出温度T3との差としている。 【0121】このとき、平均温度Tavは、次のように示される。 【0122】 Tav=(T1+T2+T3)/3 ={(H1+l2・H2)+(l1・H1+H2+l4・H3) +(l3・H2+H3)}/3 ={(1+l1)H1+(1+l2+l3)H2+(1+l4)H3}/3 ={(1+l1)(Hav+k3・Ht1+k5・Ht2) +(1+l2+l3)(k1・Hav+Ht1+k6・Ht2) +(1+l4)(k2・Hav+k4・Ht1+Ht2)}/3 =〔{(1+l1)+(1+l2+l3)k1+(1+l4)k2}Hav +{(1+l1)k3+(1+l2+l3)+(1+l4)k4}Ht1 +{(1+l1)k5+(1+l2+l3)k6+(1+l4)}Ht2〕/3ここで、平均温度Tavは、平均温度の操作量Havのみの関数で、傾斜温度の操作量Ht1,Ht2の操作量の影響をなくすように、すなわち、非干渉化を図るために、Ht1,Ht2の項を0とする。 【0123】すなわち、(1+l1)k3+(1+l2+l3)+(1+l4)k4=0(1+l1)k5+(1+l2+l3)k6+(1+l4)=0となる。 【0124】これを以下のように簡略化する。 【0125】 la+lb・k3+lc・k4=0 ……■ld+le・k5+lf・k6=0 ……■第1の傾斜温度Tt1についても同様にして、第1の傾斜温度の操作量Ht1のみの関数で、平均温度の操作量Havおよび第2の傾斜温度の操作量Ht2の影響を受けないという条件を適用して、以下のような同様の方程式が得られる。 【0126】 lg+lh・k1+li・k2=0 ……■lj+lk・k5+ll・k6=0 ……■また、第2の傾斜温度Tt2についても同様に、以下の方程式が得られる。 【0127】 lm+ln・k1+lo・k2=0 ……■lp+lq・k3+lr・k4=0 ……■伝達係数l1〜l4、したがって、la〜lrは、n=2の場合と同様にして求められるので、非干渉化係数k1〜k6を未知数とする上記■〜■の6つ方程式が得られることになり、これら方程式を解くことにより、配分手段で配分するための非干渉化係数(配分比)k1〜k6が求まることになる。 【0128】例えば、行列式で求めるとすれば、以下のようになる。 【0129】 【数6】
【0130】 【数7】
【0131】以上のようにして、本発明は、n=3以上の制御系にも同様に適用することができるものである。 【0132】なお、配分比(非干渉化係数)の行列である前置補償行列Gcは、上述のように、モード変換行列Gmと伝達係数(干渉係数)の行列Pとから求めることもでき、第1のPID制御手段61から第1のヒータ11といった相対する非干渉化係数も含めて求めることができる。ここで、制御対象のある時間の特性である伝達係数(干渉係数)の行列Pを、【0133】 【数8】
【0134】仮に、l1=l2=l3=l4=0.9とすると、【0135】 【数9】
【0136】前置補償行列Gcは、【0137】 【数10】
【0138】確かめとして、Gm・P・Gc=1となるかどうかを計算する。 【0139】 【数11】
【0140】上述の説明では、各PID制御手段は、平均温度が目標平均温度になるように、あるいは、傾斜温度が目標傾斜温度になるようにそれぞれ制御するものであり、目標平均温度および目標傾斜温度は、ユーザが設定するのであるが、従来では、各ch毎に目標温度を設定していたユーザにとっては、目標平均温度や目標傾斜温度の設定は理解しにくいものである。 【0141】そこで、図17に示されるように、各ch毎の目標温度SPから目標平均温度および目標傾斜温度を演算するモード変換器5’を設けてもよい。なお、この図21において、上述の図3に対応する部分には、同一の参照符号を付している。このモード変換器5’は、制御対象27からのフィードバック量である各chの温度センサの検出温度から平均温度と傾斜温度とを算出するモード変換器5と同じ構成である。 【0142】このようにモード変換器5’を追加することによって、ユーザは、平均温度や傾斜温度を考慮することなく、従来と同様に各ch毎に目標温度SPを設定すればよい。 【0143】さらに、図18に示されるように、制御対象27からのフィードバック量である各chの温度センサの検出温度と目標温度SPとの温度偏差を求め、この各ch毎の温度偏差から制御偏差である平均温度偏差および傾斜温度偏差を演算するモード変換器5’’を設けてもよい。この構成によれば、ユーザは、平均温度や傾斜温度を考慮することなく、従来と同様に各chの目標温度を設定できる一方、モード変換器5’’を一つにすることができ、メモリ容量の削減と処理の簡素化を図ることができる。 【0144】すなわち、上述のモード変換器5,5’は、複数の温度センサからの検出温度を、平均温度および傾斜温度に変換するものであったのに対して、この実施の形態のモード変換器5’’は、複数の温度センサからの検出温度と目標温度との温度偏差を、検出された平均温度と目標平均温度との偏差である平均温度偏差に変換するとともに、検出された傾斜温度と目標傾斜温度との偏差である傾斜温度偏差に変換するものである。 【0145】つまり、上述の例では、検出温度を、平均温度および傾斜温度に変換した後に制御偏差を求めるのに対して、この例では、検出温度と目標温度との温度偏差を求め、その温度偏差を、制御偏差である平均温度偏差および傾斜温度偏差に変換するものである。 【0146】以上のような本発明の温度調節器の機能の説明を終えて、以下に本発明の具体的な実施の形態について説明する。 【0147】図19は、本発明の一つの実施の形態に係る温度調節器を備える温度制御システムの構成図であり、この実施の形態の温度調節器は、図18の温度調節器と同じ機能を有するものであり、平均温度および傾斜温度に基づく非干渉化制御を行うものである。 【0148】すなわち、この実施の形態の温度調節器は、図18におけるモード変換器5’’、第1,第2のPID制御手段61,62および前置補償器(配分手段)7を、加算器801,802および第1〜第4のPID制御手段61’〜64’に置き換えることによって構成されるものである。 【0149】図18におけるモード変換器5’’、第1,第2のPID制御手段61,62および前置補償器(配分手段)7における処理は、モード変換器5’’対応するモード変換行列Gmと、第1,第2のPID制御手段61,62に対応する行列GPIDと、前置補償器7に対応する前置補償行列Gcとを用いて、Gc×GPID×Gmで表され、これを、図19に示される加算器801,802および第1〜第4のPID制御手段61’〜64’に置き換えることができ、次のように表される。 【0150】 【数12】
【0151】モード変換行列Gmおよび前置補償行列Gcは、上述のようにして求めることができ、また、図18の第1,第2のPID制御手段61,62のPIDパラメータもオートチューニングによって求めることができるので、上述の行列式を解けば、第1〜第4のPID制御手段61’〜64’の各PIDパラメータを求めることができ、これによって、図18の温度調節器のモード変換器5’’、第1,第2のPID制御手段61,62および前置補償器(配分手段)7を、加算器801,802および第1〜第4のPID制御手段61’〜64’を用いて実現できることになり、平均温度および傾斜温度に基づく制御が可能となり、干渉を低減できることになる。 【0152】したがって、図20に示される本発明の温度調節器において、オペレータが上述の行列式に基づいて、第1〜第4のPID制御手段61’〜64’のPIDパラメータを算出してそれを設定すればよい。 【0153】本発明によれば、PID制御手段の数は増えるけれども、モード変換器5’’および前置補償器7が不要となる。 【0154】なお、この図20において、第1,第4のPID制御手段61’,64’は、第1,第2の温度センサからの検出温度PV1,PV2に対応する温度偏差に基づいて、対応する第1,第2のヒータに操作信号をそれぞれ出力する各チャネルに対応した従来と同様のPID制御手段であるのに対して、第2のPID制御手段62’は、第2の温度センサからの検出温度PV2に対応する温度偏差に基づいて、第1のヒータに操作信号を出力するものであり、第3のPID制御手段63’は、第1の温度センサからの検出温度PV1に対応する温度偏差に基づいて、第2のヒータに操作信号を出力するものである。すなわち、第2のPID制御手段62’は、第4のPID制御手段64’による制御が、第1のPID制御手段61’の制御に与える影響をなくすまたは小さくするように動作し、第3のPID制御手段63’は、第1のPID制御手段61’による制御が、第4のPID制御手段64’の制御に与える影響をなくすまたは小さくするように動作するものであり、非干渉化制御手段として動作する。 【0155】本発明は、図20のような入出力が複数の多点の温度調節器に限らず、単点温度制御の温度調節器の複数を組み合わせて構成してもよい。 【0156】図21は、かかる単点制御の温度調節器811〜814を4台組み合わせた例を示しており、その機能は、図20の温度調節器と同じである。なお、第1,第2のPID制御手段61’,62’の操作量を加算する加算器801および第3,第4のPID制御手段63’,64’の操作量を加算する加算器802は、第1〜第4の温度調節器811〜814、例えば、第1,第4の温度調節器811,814に内蔵する構成としてもよいのは勿論である。 【0157】このように単点制御の温度調節器811〜814を組み合わせて構成することにより、安価に実現できる。 【0158】図22は、本発明の他の実施の形態の構成図であり、図20に対応する部分には、同一の参照符号を付す。 【0159】この実施の形態では、オペレータが、モード変換行列Gm、前置補償行列Gcおよび図18の第1,第2のPID制御手段61,62のPIDパラメータである比例ゲインkp、積分時定数Ti、微分時定数TDを設定することにより、計算手段82によって自動的に第1〜第4のPID制御手段61’〜64’のPIDパラメータが演算されて設定されるものであり、オペレータが面倒な計算やPIDパラメータの設定をする必要がない。 【0160】この実施の形態では、2チャネルの温度制御に対して、4つのPID制御手段61’〜64’を設けた構成としたけれども、少なくとも一つPID制御手段を設ける構成、すなわち、PID制御手段を3つとしてもある程度の効果を奏することができるものである。 【0161】例えば、非干渉化のための二つのPID制御手段62’,63’のPIDパラメータを算出した場合に、一方のゲインが大きく、他方のゲインがほとんど0であるときには、他方のPID制御手段を省略して図23に示されるように3つのPID制御手段62’,63’,64’で構成してもよい。 【0162】上述の実施の形態では、2チャネルの場合について説明したけれども、本発明は、3チャネル以上も同様に構成できるものであり、例えば、3チャネルの場合には、図24に示されるように、加算器801〜803および9つの第1〜第9のPID制御手段61’〜69’で構成することができる。 【0163】この場合の各PID制御手段61’〜69’のPIDパラメータは、上述の図18と同様に、3チャネルの場合のモード変換器5’’、第1〜第3のPID制御手段61〜63および前置補償器7で構成したときのモード変換行列Gm、第1〜第3のPID制御手段61〜63に対応する行列GPIDおよび前置補償行列Gcとを用いて算出される。 【0164】この図24においては、第2のPID制御手段62’は、第2の温度センサに対応する第2のチャネルの制御が、第1の温度センサに対応する第1のチャネルの制御に与える影響をなくす又は小さくするように動作し、第3のPID制御手段63’は、第3の温度センサに対応する第3のチャネルの制御が、第1のチャネルに与える影響をなくす又は小さくするように動作するものであり、また、第4のPID制御手段64’は、第1のチャネルの制御が、第2のチャネルの制御に与える影響をなくす又は小さくするように動作し、第6のPID制御手段66’は、第3のチャネルの制御が、第2のチャネルの制御に与える影響をなくす又は小さくするように動作し、さらに、第7のPID制御手段67’は、第1のチャネルの制御が、第3のチャネルの制御に与える影響をなくす又は小さくするように動作し、第8のPID制御手段68’は、第2のチャネルの制御が、第3のチャネルの制御に与える影響をなくす又は小さくするように動作するものである。 【0165】図25は、本発明の他の実施の形態の要部のブロック図である。例えば、熱処理装置において、ウェハの熱処理を行っている場合に、温度センサからの検出信号線が断線したような場合には、それを直ちに検出してその影響を可及的に低減した制御を行えるようにし、これによって、不良品の発生を抑制することが望まれる。 【0166】そこで、この実施の形態では、温度センサの断線を検出してそれを補償するセンサ断補償付きモード変換器5aを備えており、このセンサ断補償付きモード変換器5aは、上述のモード変換器5に加えて、3つの温度センサからの検出信号線の断線を検出する断線検出手段83と、断線が検出された温度センサの検出出力を、温度センサからの検出温度の平均温度に置き換える置換手段84とを備えている。 【0167】なお、温度センサからの検出信号線の断線を検出してそれを補償するための構成は、この実施の形態のようにセンサ断補償付きモード変換器5aとしてモード変換器5に設けるのではなく、モード変換器5の外部に別に設けてもよいのは勿論である。 【0168】断線検出手段83は、モード変換器5からの平均温度と第1〜第3の各温度センサからの検出温度PV1〜PV3とをそれぞれ比較して、その差が予め定めた閾値を越えたときには、断線であるとして平均温度を出力する第1〜第3の比較器851〜853を備え、置換手段84は、各比較器851〜853の出力に応答して温度センサの出力を、比較器851〜853からの平均温度に切り替えて出力する第1〜第3の切り替え器861〜863を備えている。 【0169】この図25においては、第2の温度センサからの検出信号線が断線し、第2の比較器852でそれが検出されて平均温度が第2の切り替え器862に出力され、第2の切り替え器862は、第2の温度センサの出力PV2に代えてモード変換器5で算出された平均温度を、置換温度PVxとしてモード変換器5に出力するものである。 【0170】モード変換器5は、第1〜第3の比較器851〜853の出力に応答して、断線が検出された温度センサに対応する置換された平均温度を用いることなく、断線していない温度センサからの検出温度のみで平均温度を算出するようにしてもよいし、置換された平均温度を用いて算出してもよい。なお、傾斜温度は、置換された平均温度を用いて算出する。 【0171】図26は、本発明の他の実施の形態の図25に対応する図であり、対応する部分には、同一の参照符号を付す。 【0172】上述の実施の形態では、断線が検出された温度センサの出力を、比較器851〜853を介して与えられる平均温度で置換したのに対して、この実施の形態では、置換手段84は、各温度センサの近接位置に配置されている複数の温度センサからの検出温度の平均を算出する近接点平均算出回路871〜87nを複数備えており、断線が検出されたときには、その断線した温度センサに対応する近接点平均算出回路871〜87nで算出された複数の近接点の検出温度の平均温度を置き換えて出力するようにしている。 【0173】近接位置に配置されている複数の温度センサとしては、例えば、或る温度センサに対して、その両隣(両側)に配置されている二つの温度センサである。 【0174】図27は、本発明のさらに他の実施の形態の制御システムの構成図であり、5aは、上述の図25または図26のセンサ断補償付きモード変換器5aに対応する。 【0175】この実施の形態では、上述のようにして温度センサの断線を検出して検出出力を置換したときには、各PID制御手段61〜63のPIDパラメータを修正するものである。 【0176】すなわち、断線した温度センサの検出出力を、他の近接した温度センサの検出温度などで置換した場合には、断線した本来の温度センサよりも熱伝導の距離が長くなるために、無駄時間が大きくなり、ハンチングが発生する虞れがあり、そこで、この実施の形態では、PIDパラメータ修正器88を設け、このPIDパラメータ修正器88によって、断線が検出されて温度センサの検出出力を置換した場合には、各PID制御手段61〜63のPIDパラメータを修正して比例ゲインを弱く、あるいは、積分時間および微分時間を長くするのである。なお、比例ゲイン、積分時間および微分時間のすべてを修正してもよいし、いずれか一つを修正してもよい。 【0177】図28は、本発明の他の実施の形態の図27に対応する図であり、対応する部分には、同一の参照符号を付す。 【0178】上述の実施の形態では、断線が検出されて温度センサの検出出力を置換した場合には、各PID制御手段61〜63のPIDパラメータを修正したのに対して、この実施の形態では、各PID制御手段61〜63からの操作信号を切り替える操作信号切り替え器89を設けており、この操作信号切り替え器89によって断線が検出された温度センサに対応するヒータに対する操作信号を、前記ヒータに近接するヒータに対する操作信号に切り替えるものである。 【0179】図29は、本発明のさらに他の実施の形態のセンサ断補償付きモード変換器5aの構成図であり、この実施の形態では、モード変換器5は、第1〜第3の温度センサの検出温度PV1〜PV3を、平均温度と、第1の温度センサの検出温度PV1と第2の温度センサの検出温度PV2とに基づく第1の傾斜温度と、第2の温度センサの検出温度PV2と第3の温度センサの検出温度PV3とに基づく第2の傾斜温度とに変換するものである。 【0180】この実施の形態では、温度センサの一つが断線すると、傾斜温度が大きく変化することを利用して断線を検出するものである。 【0181】この実施の形態の断線検出手段83は、第1,第2の傾斜温度と閾値とをそれぞれ比較する第1,第2の比較器901,902と、各比較器901,902の出力が与えられる第1〜第3のゲート回路911〜913とを備えており、第1の温度センサが断線すると、第1の傾斜温度が大きく変化して閾値を越えて第1の比較器901の出力がハイレベルとなって第1のゲート回路911が検出出力を与え、第2の温度センサが断線すると、第1,第2の傾斜温度が大きく変化して閾値を越えて第1,第2の比較器901,902の出力が共ににハイレベルとなって第2のゲート回路912が検出出力を与え、また、第3の温度センサが断線すると、第2の傾斜温度が大きく変化して閾値を越えて第2の比較器902の出力がハイレベルとなって第3のゲート回路913が検出出力を与えるのである。 【0182】断線した温度センサの検出出力を置換する置換手段84は、各ゲート回路911〜913の検出出力がそれぞれ与えられる第1〜第3の切り替え器921〜923を備えており、断線した温度センサに近接する温度センサの検出出力を、置換出力PVxとするように構成されており、第1の切り替え器921は、第3の温度センサの検出温度PV3を、第2,第3の切り替え器922,923は、第1の温度センサの検出温度PV1を、断線した温度センサの検出出力に置き換えるように構成されている。 【0183】本発明の断線検出は、以上のような平均温度や傾斜温度に基づく制御に限らず、各チャネル毎に制御を行う従来例にも同様に適用できるものである。 【0184】図30は、本発明の断線検出を従来例に適用した制御システムの構成図であり、図31は、そのセンサ断補償器93のブロック図である。なお、図30において、941〜943は、各チャネル毎のPID制御手段である。 【0185】このセンサ断補償器93は、第1〜第3の切り替え器951〜953を介して与えられる第1〜第3の温度センサからの検出温度PV1〜PV3の平均温度を算出する平均温度計算器96を備え、この平均温度計算器96からの平均温度と、各温度センサの検出温度PV1〜PV3とを、第1〜第3の比較器971〜973で比較し、その差が、予め定めた閾値を越えたときに断線であるとして対応する切り替え器951〜953に平均温度を出力し、切り替え器951〜953は、その平均温度を、断線した温度センサの検出出力として置き換えて出力するのである。なお、平均温度計算器96では、断線が検出されて置き換えられた平均温度を用いて平均温度を算出してもよいし、断線が検出されて置き換えられた平均温度を用いることなく、平均温度を算出してもよい。 【0186】この例では、平均温度と比較して断線を検出したけれども、傾斜温度を算出してこの傾斜温度と比較して断線を検出するようにしてもよい。 【0187】この図30および図31に示される断線補償の構成は、上述の図24の本発明の温度調節器に容易に適用できるものである。 【0188】上述の各実施の形態では、熱処理盤などの制御対象の温度を、複数の温度センサを用いて検出したけれども、本発明の他の実施の形態として、図32に示されるように、複数の温度センサに代えて、赤外線カメラ(サーモカメラ)98を用いて非接触で制御対象の温度を検出してもよい。 【0189】平面状の制御対象の場合、赤外線カメラ98からの情報を、モード変換器5に入力し、多くの情報から平均や温度分布の傾斜の情報を取り出して制御するのである。温度を検出する熱画像の画素数がnで制御できるヒータの数がmだとすると、モード変換器5はn入力m出力の行列となる。図32の場合は、ヒータの数mが2の場合である。平均温度PVは、制御したい全画素の平均を計算し、傾斜温度PVは、二つのヒータの間の最も変化の激しい部分とするなどができる。 【0190】また、複数の温度センサでそれぞれ温度を検出していた領域(あるいは各ヒータが設置されている領域)に対応する熱画像の画素の平均値を、各温度センサで検出される検出温度とすれば、上述の各実施の形態の構成をそのまま適用することができる。最も単純には、例えば、各温度センサの設置箇所の中心位置(あるいは各ヒータの中心位置)に対応する熱画像の画素の温度を、各温度センサの検出温度とすれば、上述の各実施の形態をそのまま適用できる。すなわち、図32において、赤外線カメラ98の検出出力が、2つの温度センサに対応する2点の画素の温度の場合である。 【0191】赤外線カメラ98を用いた場合には、例えば、図33に示されるように、熱処理盤99で加熱処理されるウェハ等の被加熱体100の温度を直接見ながら制御できるので、熱処理盤99の温度を熱電対等の接触式の温度センサで検出して制御するのに比べて、被加熱体100の温度を高精度に制御できる。しかも、温度を検出する検出点を簡単に変更することができる。 【0192】図34および図35は、本発明の他の実施の形態の構成図であり、図32および図33に対応する部分には、同一の参照符号を付す。 【0193】この実施の形態では、傾斜温度の制御は、赤外線カメラ98からの信号で行う一方、平均温度の制御は熱電対等の接触式の温度センサ2を用いるのである。温度の絶対値を正確に計測できる接触式の温度センサ2の検出信号を平均温度に用いることで、平均温度制御の精度を高くでき、赤外線カメラ98の絶対値精度の悪さを補うことができる。 【0194】図36は、本発明のさらに他の実施の形態の構成図であり、図32に対応する部分には、同一の参照符号を付す。 【0195】この実施の形態では、ヒータに代えてレーザ走査などによって多点非接触加熱101を行うものであり、きめ細かく温度を均一に制御するものである。 【0196】複数の各ヒータで加熱される領域を、レーザの二次元走査で加熱する点に対応づけることにより、上述の各実施の形態をそのまま適用することができる。 【0197】この図36では、赤外線カメラ98で検出した画素数分の温度検出信号の中から有効な画素を選択し、その中での平均温度と傾斜温度の信号をモード変換器5で算出し、その平均温度と傾斜温度に対して制御を行うのである。 【0198】本発明の他の実施の形態として、平均温度に代えて、例えば、中央のゾーンの温度などを代表温度とし、代表温度と傾斜温度とを制御量として制御を行ってもよい。 【0199】上述の実施の形態では、平均温度は、全体の平均温度一つだけを用いたけれども、本発明の他の実施の形態として、例えば、複数に区分した各グループの各平均温度、すなわち、複数の平均温度を用いるようにしてもよい。 【0200】上述の実施の形態では、PID制御に適用して説明したけれども、本発明は、PID制御に限らず、オンオフ制御、比例制御、積分制御、比例積分制御などの他の制御方式にも適用できるものである。 【0201】また、本発明の熱処理装置は、熱酸化装置に限らず、拡散炉やCVD装置、例えば、図37に示されるように、枚葉式のCVD装置における熱処理盤の温度制御にも適用できるものである。なお、図37において、ウェーハ60が載置される熱処理盤61は、同心状に外円部62、中間部63、中心部64に3分割されており、各部に個別的に対応するヒータ65〜67が設けられて各ゾーン毎に温度制御するものである。また、本発明の熱処理装置は、射出成形機のシリンダ部の温度制御あるいは包装機のヒータ台の温度制御などにも適用できるものである。 【0202】上述の実施の形態では、ヒータなどの加熱手段を用いた温度制御に適用した説明したけれとも、ペルチェ素子や冷却器などを用いた温度制御に適用してもよいのは勿論であり、さらに、加熱手段と冷却手段とを併用する温度制御に適用してもよい。 【0203】また、本発明は、温度制御に限らず、圧力、流量、速度あるいは液位などの他の物理状態の制御に適用することもできる。 【0204】 【発明の効果】以上のように本発明によれば、干渉のある制御対象の制御において、その干渉を低減することが可能となる。 【0205】また、本発明によれば、温度検出手段の検出信号線の断線を検出して平均温度や近接配置された他の温度検出手段の検出温度に置き換えるので、断線が発生しても、制御対象の温度を、所望の状態に近い状態に制御できることになり、例えば、熱処理装置の熱処理における不良品の発生を抑制できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002945 【氏名又は名称】オムロン株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年4月18日(2000.4.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100086737 【弁理士】 【氏名又は名称】岡田 和秀
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| 【公開番号】 |
特開2001−306103(P2001−306103A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月2日(2001.11.2) |
| 【出願番号】 |
特願2000−116351(P2000−116351) |
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