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【発明の名称】 サーボ制御装置の故障検出方法
【発明者】 【氏名】矢野 歩

【要約】 【課題】後段のシステムに与える影響が少なく、高い故障検出能力を有するサーボ制御装置の故障検出方法を提供する。

【解決手段】サーボ制御装置は、電流コマンドに応じて動作する電流ドライバー部3およびトルクモータ21と、トルクモータ21の出力に応じて動作するサーボアクチュエータ20と、トルクモータ21とアクチュエータ20との間に介在する積分要素68と、アクチュエータ20の出力部の変位を検出する位置センサ41aと、外部から入力されるアクチュエータ位置コマンドから位置センサ41aの検出信号を引算して、引算値を電流コマンドとして出力する引算器61などを備え、ダミー信号を電流コマンドに対して重畳し、電流ドライバー部3およびトルクモータ21の出力変化を重畳タイミングに同期して監視する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1指令信号に応じて動作する第1作動部と、第1作動部の出力に応じて動作する第2作動部と、第1作動部と第2作動部との間に介在する積分要素と、第2作動部の出力部の変位を検出する位置センサと、外部から入力される第2指令信号から位置センサの検出信号を引算して、引算値を前記第1指令信号として出力する引算要素とを備えるサーボ制御装置の故障検出方法であって、ダミー信号を第1指令信号に対して重畳し、第1作動部の出力変化を重畳タイミングに同期して監視することを特徴とするサーボ制御装置の故障検出方法。
【請求項2】 第1指令信号に応じて動作し、多重フィードバックループを有する第1作動部と、第1作動部の出力に応じて動作する第2作動部と、第1作動部と第2作動部との間に介在する積分要素と、第2作動部の出力部の変位を検出する位置センサと、外部から入力される第2指令信号から位置センサの検出信号を引算して、引算値を前記第1指令信号として出力する引算要素とを備えるサーボ制御装置の故障検出方法であって、ダミー信号を第1作動部のフィードバックループ信号のいずれかに対して重畳し、第1作動部の別のフィードバックループ信号の変化を重畳タイミングに同期して監視することを特徴とするサーボ制御装置の故障検出方法。
【請求項3】 ダミー信号は単発パルスであって、パルスの振幅および時間幅はダミー信号の重畳点から監視点までの応答量Qaがダミー信号の重畳点から第2作動部の出力までの応答量Qbより小さくなるように設定されることを特徴とする請求項1または2記載のサーボ制御装置の故障検出方法。
【請求項4】 ダミー信号は正負パルスであって、パルスの振幅および時間幅はダミー信号の重畳点から監視点までの応答量Qaがダミー信号の重畳点から第2作動部の出力までの応答量Qbより小さくなるように設定されることを特徴とする請求項1または2記載のサーボ制御装置の故障検出方法。
【請求項5】 ダミー信号は高周波であって、高周波の振幅および周期はダミー信号の重畳点から監視点までの応答量Qaがダミー信号の重畳点から第2作動部の出力までの応答量Qbより小さくなるように設定されることを特徴とする請求項1または2記載のサーボ制御装置の故障検出方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえばモータで油圧バルブを駆動し、油圧アクチュエータをサーボ制御するサーボアクチュエータ等のように、2つ以上の作動部を有するサーボ制御装置の故障検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、サーボアクチュエータ等のサーボ制御装置や化学プラント等のプロセス定値制御装置において、フィードバックセンサや駆動回路の故障を検出するために、正常状態において発生しないと考えられる値がセンサ信号値や状態変数、操作入力の中に独立に、あるいはこれらの組み合わせ条件として現われるか否かを検出する等の対策が講じられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらの手法において、故障か否かの判断は正常状態と故障状態が際立って異なるような特徴量や状況に着眼して行なうことが、正常時の故障の誤検出を防ぎ、故障時には迅速に故障を検出して適切な処置を講ずる上で有利である。しかし、このような設定は困難な場合がある。
【0004】また、位置サーボ系などで高応答化や変動に対する頑健性向上のために、電流ループや速度ループ等の多重のインナーフィードバックループを構成した制御系が用いられるが、インナーループの故障の影響は遅れて最終出力に現われる。そのため最終出力の異常から故障の検出を行なう場合には、故障が進行して容易に復元不可能なな状況に至ったり、出力がつながる後段のシステムに過渡的にも影響を与えやすい。このため電流制御回路などのインナーフィードバックループの故障は、極力、独立に、出力に悪影響を及ぼす前に故障の検出および分離を行なうことが必要である。
【0005】本発明の目的は、後段のシステムに与える影響が少なく、高い故障検出能力を有するサーボ制御装置の故障検出方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、第1指令信号に応じて動作する第1作動部と、第1作動部の出力に応じて動作する第2作動部と、第1作動部と第2作動部との間に介在する積分要素と、第2作動部の出力部の変位を検出する位置センサと、外部から入力される第2指令信号から位置センサの検出信号を引算して、引算値を前記第1指令信号として出力する引算要素とを備えるサーボ制御装置の故障検出方法であって、ダミー信号を第1指令信号に対して重畳し、第1作動部の出力変化を重畳タイミングに同期して監視することを特徴とするサーボ制御装置の故障検出方法である。
【0007】本発明に従えば、ダミー信号を第1指令信号に対して重畳し、第1作動部の出力変化を重畳タイミングに同期して監視することによって、ダミー信号と第1作動部の出力変化との関係から第1作動部が正常状態であるか故障状態であるかを高い信頼性で判定できる。
【0008】また、第1作動部と第2作動部との間に積分要素が介在しているため、第1作動部の出力が急峻に変化しても第2作動部には伝達されにくい。そのためダミー信号として急峻なパルス信号を重畳した場合、第1作動部の出力には第1作動部の伝達特性に応じた変化が現われるが、第2作動部には変化が殆んど伝達されないように、パルス信号を設定できる。したがって、サーボ制御装置が通常の動作を続行している状態でもダミー信号の重畳により、最終出力に影響を与えることなく、高い信頼性で故障検出が可能になる。
【0009】また本発明は、第1指令信号に応じて動作し、多重フィードバックループを有する第1作動部と、第1作動部の出力に応じて動作する第2作動部と、第1作動部と第2作動部との間に介在する積分要素と、第2作動部の出力部の変位を検出する位置センサと、外部から入力される第2指令信号から位置センサの検出信号を引算して、引算値を前記第1指令信号として出力する引算要素とを備えるサーボ制御装置の故障検出方法であって、ダミー信号を第1作動部のフィードバックループ信号のいずれかに対して重畳し、第1作動部の別のフィードバックループ信号の変化を重畳タイミングに同期して監視することを特徴とするサーボ制御装置の故障検出方法である。
【0010】本発明に従えば、第1作動部が多重フィードバックループを有する場合、ダミー信号を第1作動部のフィードバックループのいずれかに対して重畳し、第1作動部の別のフィードバックループの変化を重畳タイミングに同期して監視することによって、ダミー信号とループ信号の変化との関係等から第1作動部が正常状態であるか故障状態であるかを高い信頼性で判定できる。
【0011】また、第1作動部と第2作動部との間に積分要素が介在しているため、第1作動部の出力が急峻に変化しても第2作動部には伝達されにくい。そのためダミー信号としてたとえば急峻なパルス信号を重畳した場合、第1作動部の出力には第1作動部の伝達特性に応じた変化が現われるが、第2作動部には変化が殆んど伝達されない。したがって、サーボ制御装置が通常の動作を続行している状態でもダミー信号の重畳により、高い信頼性で故障検出が可能になる。
【0012】また本発明は、ダミー信号は単発パルスであって、パルスの振幅および時間幅はダミー信号の重畳点から監視点までの応答量Qaがダミー信号の重畳点から第2作動部の出力までの応答量Qbより小さくなるように設定されることを特徴とする。
【0013】本発明に従えば、ダミー信号として単発パルスを使用することによって、第1作動部の伝達特性を高帯域に渡って測定できる。
【0014】また、パルスの振幅および時間幅はダミー信号の重畳点から監視点までの応答量Qaがダミー信号の重畳点から第2作動部の出力までの応答量Qbより小さくなるように設定することによって、第1作動部の故障検出能力を高めつつ、第2作動部の出力に与える影響を極力少なくできる。なお、応答量とは制御フルスケールに対する変化量の比で定義できる。
【0015】また本発明は、ダミー信号は正負パルスであって、パルスの振幅および時間幅はダミー信号の重畳点から監視点までの応答量Qaがダミー信号の重畳点から第2作動部の出力までの応答量Qbより小さくなるように設定されることを特徴とする。
【0016】本発明に従えば、ダミー信号として正負パルスを使用することによって、第1作動部の伝達特性を高帯域に渡って測定できる。さらに、正パルスによる影響と負パルスによる影響とが互いに打ち消し合うため、第2作動部の出力に与える影響がより少なくなる。
【0017】また、パルスの振幅および時間幅はダミー信号の重畳点から監視点までの応答量Qaがダミー信号の重畳点から第2作動部の出力までの応答量Qbより小さくなるように設定することによって、第1作動部の故障検出能力を高めつつ、第2作動部の出力に与える影響を極力少なくできる。なお、応答量とは制御フルスケールに対する変化量の比で定義できる。
【0018】また本発明は、ダミー信号は高周波であって、高周波の振幅および周期はダミー信号の重畳点から監視点までの応答量Qaがダミー信号の重畳点から第2作動部の出力までの応答量Qbより小さくなるように設定されることを特徴とする。
【0019】本発明に従えば、ダミー信号として高周波を使用することによって、第1作動部の伝達特性のうち故障による異常を呈する特定の周波数に着眼することにより異常を測定できる。
【0020】また、高周波の振幅および周期はダミー信号の重畳点から監視点までの応答量Qaがダミー信号の重畳点から第2作動部の出力までの応答量Qbより小さくなるように設定することによって、第1作動部の故障検出能力を高めつつ、第2作動部の出力に与える影響を極力少なくできる。なお、応答量とは制御フルスケールに対する変化量の比で定義できる。
【0021】
【発明の実施の形態】図1は本発明が適用可能なサーボアクチュエータの一例を示す機械的構成図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は正面図である。このサーボアクチュエータ20は、電気モータが油圧バルブを直接駆動するDDV(Direct DriveValve)油圧サーボアクチュエータとして構成され、制御バルブ33aおよびアクチュエータ40aから成る第1の油圧系統と、制御バルブ33bおよびアクチュエータ40bから成る第2の油圧系統という独立した2つの油圧系統から駆動力が供給される。
【0022】制御バルブ33aはスリーブ34aとスプール30aとで構成され、制御バルブ33bはスリーブ34bとスプール30bとで構成され、2つの制御バルブ33a、33bは互いに並列(パラレル)に配置されている。
【0023】トルクモータ21は両軸構造で、2つの偏心した出力軸22a、22bを有する。スプール30aと出力軸22aとは出力軸22aの角変位を直線変位に変換する回転直線変換機構31aを介して連結され、同様に、スプール30bと出力軸22bとは出力軸22bの角変位を直線変位に変換する回転直線変換機構31bを介して連結されている。また、トルクモータ21は、相互に独立した3つの駆動コイル21a〜21cを有し、3重系を構成している。
【0024】スプール30aの他端側にはスプール30aの変位量を計測する位置センサ32aが取り付けられ、同様に、スプール30bの他端側にはスプール30bの変位量を計測する位置センサ32bが取り付けられる。位置センサ32a、32bはそれぞれ電気的に独立した2系統の位置信号を出力し、合計4つの位置信号のうち3つの位置信号Sa〜Scがトルクモータ21の駆動コイル21a〜21cに対応したフィードバック信号として使用される。
【0025】スリーブ34a、34bには、油圧ポンプから供給される作動油を導入する管路(不図示)と、油タンクに作動油を戻すための管路(不図示)と、アクチュエータ40a,40bには作動油を案内する管路(不図示)とがそれぞれ接続されている。
【0026】2つのアクチュエータ40a、40bは並列に配置され、シリンダ内のピストンが一体的に変位するように出力軸42に連結されている。各シリンダ内のピストンは作動油の圧力差により駆動される。スリーブ34a、34bおよびスプール30a、30bには作動油の方向を切り替えたり、流量を調整する通路が形成されている。
【0027】また、図1(b)に示すように、アクチュエータ40a、40bの下方には各アクチュエータ40a、40bの変位量を独立に検出するための位置センサ41a、41bが設置される。位置センサ41a、41bはそれぞれ電気的に独立した2系統の位置信号を出力し、合計4つの位置信号のうち3つの位置信号Pa〜Pcが出力軸変位のフィードバック信号として使用される。
【0028】なお、位置センサ32a、32b、41a、41bとして、LDVT(LinearVariable Differential Transformer)など各種変位センサが使用できる。
【0029】図2(a)は本発明に係るサーボ制御装置の一例を示すブロック図であり、図2(b)は電流ドライバー部3の等価回路図である。サーボアクチュエータ20を制御するコントローラ1は、センサ信号処理部2と、電流ドライバー部3と、サーボ制御部4と、故障判断部5と、加算コマンド信号発生部6などで構成される。コントローラ1は、アナログ回路やコンピュータを用いたデジタル回路で構成できる。
【0030】センサ信号処理部2は、サーボアクチュエータ20からのセンサ信号を処理する。サーボ制御部4は、センサ信号処理部2の出力に基づいて、電流ドライバー部3に電流コマンドを出力する。電流ドライバー部3は、電流コマンドに応じてトルクモータ21を駆動する。
【0031】故障判断部5は、センサ信号処理部2の出力および電流ドライバー部3の駆動電流などの各種信号を取り込むとともに、加算コマンド信号発生部6にダミー信号を重畳するタイミングを指令する。加算コマンド信号発生部6は、故障判断部5からの指令に基づいて、サーボ制御部4の各種信号に対してダミー信号を重畳する。
【0032】図2(b)に示すように、トルクモータ21の一系統はモータ抵抗Rm、モータインダクタンスRmおよびモータ逆起電圧Emの直列回路で等価できる。差動電流増幅器3aは、サーボ制御部4からの電流コマンドと電流センサ3bが検出するモータ電流値との差分を増幅して、電流コマンドとモータ電流とが一致するように動作する。なお、図1に示した3重系のトルクモータ21では、こうした駆動回路が3系統設けられる。
【0033】たとえばトルクモータ21の故障状態として、モータ巻線の断線故障が発生した場合は、モータ電流Imがゼロになる。この場合、コマンド電流に追従するように、モータ電流をフィードバックして駆動していることから、差動電流増幅器3aが出力するモータ電圧Vmは上昇し、電源電圧付近で飽和する。一方、モータ巻線の短絡故障が発生した場合は、モータ電圧Vmは短絡抵抗の両端電圧まで低下する。この場合、コマンド電流に追従するように、モータ電流をフィードバックして駆動しているため、モータ電流Imは電流コマンドとほぼ一致する。
【0034】したがって、モータ電圧Vmおよびモータ電流Imの変化を解析することによって、トルクモータ21の故障状態を判別できる。
【0035】図3は、コントローラ1の制御ブロック図である。コントローラ1は、外部入力されるアクチュエータ位置コマンドと位置センサ41aからのアクチュエータ位置信号との差分を増幅する引算器61と、引算器61の出力をゲインG1で増幅する増幅器62と、増幅器62の出力と位置センサ32aからのDDV位置信号との差分を増幅する引算器63と、引算器63の出力をゲインG2で増幅する増幅器64と、増幅器64の出力を電流コマンドとして入力する差動電流増幅器3aと、上述したトルクモータ21および電流センサ3bなどで構成されるモータ電流値はモータトルク係数Ktでトルク値に変換され、トルク値は積分されてDDV速度値となりDDV速度値は積分されてDDV位置値となる。DDV位置値は、バルブの開度に相当するが低負荷の場合、開度に比例した流量がアクチュエータピストンに流入するため、これが積分されてアクチュエータ位置出力となる。なお、DDV速度値により係数KEで逆起電圧を発生する。また、積分要素66〜68においてsはラプラス演算子、a,b,cは定数である。
【0036】こうしてモータ電流値を差動電流増幅器3aに負帰還する電流フィードバックループと、DDV位置を増幅器64に負帰還する第1位置フィードバックループと、アクチュエータ位置を増幅器62に負帰還する第2位置フィードバックループとを含むサーボ制御装置が構成される。
【0037】図4は、コントローラ1の故障検出動作を示すフローチャートである。まずステップs1において故障判断部5はセンサ信号処理部2の各種出力を監視し、所定の故障判断用信号を取り込んで、ステップs2において故障判断用信号が所定許容範囲内か否かを判定する。故障判断用信号が許容範囲内であれば正常状態と判断し、再びステップs1に戻って次のタイミングで故障判断を実行する。
【0038】故障判断用信号が許容範囲外である場合、ステップs3に移行してダミー信号の重畳タイミングを決定するタイマーの値が所定値に達したか否かを判定し、達していなければ再びステップs1に戻る。タイマー値が所定値に達していれば、ステップs4に移行して故障判断部5は加算コマンド信号発生部6に指令し、加算コマンド信号発生部6はダミー信号として加算パルス状信号を生成し、電流コマンドに重畳する。そして、ステップs5でタイマーをリセットする。
【0039】次にステップs6において、故障判断部5はダミー信号の重畳タイミングに同期してモータ電流値の変化を監視し、変化量が所定許容範囲内か否かを判定する。変化量が許容範囲内であれば正常状態と判断し、再びステップs1に戻って次のタイミングで故障判断を実行する。
【0040】変化量が許容範囲外である場合、ステップs7に移行して故障判断部5は故障発生と判断して、さらにステップs8において三重系のうち故障した系統を分離し、残りの系統だけでサーボ制御を続行するようにシステムを再構成し、再びステップs1に戻って次のタイミングで故障判断を実行する。
【0041】図5は、本発明に適用可能なダミー信号の各種波形図である。図5(a)はダミー信号として正の単発パルスを重畳した場合を示し、この重畳タイミングに同期してモータ電流値や電圧値の変化を監視することによって、電流ドライバー部3の伝達特性を高帯域に渡って測定できる。なお、ダミー信号は負の単発パルスでも構わない。
【0042】図5(b)はダミー信号として正パルスおよび負パルスが連続する正負パルスを重畳した場合を示し、この重畳タイミングに同期してモータ電流値や電圧値の変化を監視することによって、電流ドライバー部3の伝達特性を高帯域に渡って測定できる。
【0043】図5(c)はダミー信号として高周波を重畳した場合を示し、高周波に同期してモータ電流値の変化を監視することによって、第1作動部の伝達特性のうち特定の周波数に関する異常を測定できる。
【0044】パルスの振幅および時間幅や高周波の振幅および周期は、ダミー信号の重畳点(ここでは電流コマンド)から監視点(ここではモータ電流)までの応答量Qaがダミー信号の重畳点から第2作動部(ここではサーボアクチュエータ20)の出力までの応答量Qbより小さくなるように設定することが好ましい。
【0045】図6は、コントローラ1の伝達特性を概略的に示したブロック図である。入力Xは、引算器91、ゲインGaの増幅器92、引算器93、ゲインGbの増幅器94およびゲインGcの増幅器95を経て最終的に出力Yとなり、途中、増幅器94の出力が引算器93に帰還してインナーフィードバックループを構成し、増幅器95の出力が引算器91に帰還してアウターフィードバックループを構成している。
【0046】ダミー信号加算点Zから出力Yまでの伝達関数Gzyは、次式(1)のように表される。
【0047】
【数1】

【0048】(1)式において、Gzuは、ダミー信号加算点zからGb部のインナーループ出力点uまでの伝達関数であり、次式(2)のように表される。
【0049】
【数2】

【0050】伝達関数Gzyと伝達関数Gzuとの比は、次式(3)のように表される。
【0051】
【数3】

【0052】ダミー信号を増幅器92の出力に重畳する場合、コントローラ1の伝達特性としてGaやGcに積分要素などの急峻な入力に対し遅れて、蓄積的に出力信号を発生する特性を有する場合において、ダミー信号の影響が出力Yに現われ難くなる。
【0053】なお以上の構成では、増幅器64が出力する電流コマンドにダミー信号を重畳して、電流センサ3bが出力するモータ電流値を監視する手法について説明したが、ダミー信号の重畳点および変化監視点は引算器61のコマンド入力部から積分要素68の手前までのいずれかであれば故障検出が可能になる。
【0054】さらに、引算器61のコマンド入力部から積分要素68の手前までに多重フィードバックループが存在する構成では、ダミー信号を多重フィードバックループのいずれかに対して重畳し、別のフィードバックループの変化を重畳タイミングに同期して監視することでも故障検出が可能になる。
【0055】図7は、アクチュエータ位置コマンドに対してダミー信号を重畳したときの信号変化を示すグラフである。横軸は時間で、各グラフは上から順に位置コマンド、モータ電圧、モータ電流、DDV位置、アクチュエータ位置を示す。図7(a)に示すように、時刻t1においてダミー信号として幅10msecの単発パルスを位置コマンドに重畳すると、図7(b)(c)に示すように、モータ電圧およびモータ電流が変化し、さらに図7(d)に示すように、機械的慣性等に起因する積分要素66,67によってDDV位置が遅れて変化している。しかし、図7(e)に示すように、油圧系の機械的慣性等に起因する積分要素68によってDDV位置の変化量は積分特性を介してアクチュエータ位置となるため、このような短時間パルス信号により、実際のアクチュエータ位置は殆んど変化していないことが判る。
【0056】そこで、ダミー信号の重畳タイミングに同期してモータ電圧およびモータ電流の変化を監視する。たとえばモータ電圧Vmが閾値Vmax以上で、かつモータ電流Imが閾値Imin以下であれば、モータの断線故障ありと推定できる。また、モータ電圧Vmが閾値Vmin以下で、かつモータ電流Imが閾値Imax以上であれば、モータの短絡故障ありと推定できる。
【0057】このような閾値は、正常時には、故障と誤って検出しないように、また故障時には、素早く故障と判断するために設定されるが、低電流で駆動されるモータの場合、フィズ信号等のためにこのような設定は困難であり、性能の劣化した状態で使用が継続される恐れがある。本実施例においては、ダミー信号により、故障か否かを判断しやすい状況を、最終出力に影響を与えることなく発生させることにより、高い信頼性のもとに、迅速に故障の検出を行うことが可能となる。
【0058】なお、1回のパルスだけで故障判断を行なうと、ノイズ等の影響による誤判断の可能性があるため、単発パルスを所定周期で複数回発生させて故障判断の回数を増やすことによって、正確な故障判断が可能になる。
【0059】
【発明の効果】以上詳説したように本発明によれば、ダミー信号を第1指令信号に対して重畳し、第1作動部の出力変化を重畳タイミングに同期して監視することによって、ダミー信号と第1作動部の出力変化との関係から第1作動部が正常状態であるか故障状態であるかを判定できる。
【0060】また、第1作動部と第2作動部との間に積分要素が介在することによって、第2作動部には変化が殆んど伝達されないようにダミー信号を設定するため、サーボ制御装置が通常の動作を続行している状態でもダミー信号の重畳による故障検出が可能になる。
【0061】さらに、第1作動部が多重フィードバックループを有する場合、ダミー信号を第1作動部のフィードバックループのいずれかに対して重畳し、第1作動部の別のフィードバックループの変化を重畳タイミングに同期して監視することによって、ダミー信号とループ信号の変化との関係から第1作動部が正常状態であるか故障状態であるかを高い信頼性のもとに判定できる。
【出願人】 【識別番号】595013003
【氏名又は名称】株式会社コミュータヘリコプタ先進技術研究所
【出願日】 平成12年3月17日(2000.3.17)
【代理人】 【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎 (外2名)
【公開番号】 特開2001−265433(P2001−265433A)
【公開日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願番号】 特願2000−75974(P2000−75974)