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【発明の名称】 部品調達方法および部品調達計画作成装置
【発明者】 【氏名】国本 博文

【氏名】高橋 敏貴

【要約】 【課題】納入リードタイムの長い部品についても、部品の所要数量の変動に応じて最適な調達を実行する。

【解決手段】7月2日第1便についての納入数量を求めるにあたり、納入リードタイムが長い部品については、内示数量情報における6月29日第1便についての所要数量N1a(=20台分)と7月2日第1便についての所要数量N2a(=30台分)との差である内示差ΔNa(=10台分)と、確定数量情報における6月29日第1便についての所要数量N1b(=15台分)との組み合わせから、7月2日第1便についての所要数量N2b(=25台分)を決定する。内示数量情報の作成時点で明らかであるような所要数量の大きな変動を調達数量に反映できる上、6月29日第1便についての確定数量情報N1bをも用いるので、所要数量の変動に精度よく対応して的確な調達を実行できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 部品の生産を行う一方の生産者から製品の生産を行う他方の生産者に向けて部品を調達するために、未確定な部品所要数量を示す先行数量情報を作成し、その後、確定した部品所要数量を示す確定数量情報を製品の生産開始時点に先立って作成する部品調達方法であって、納入リードタイムが前記確定数量情報の作成時点から前記生産開始時点までの時間より長い部品を調達するために、前記先行数量情報における第一の時点についての所要数量と第二の時点についての所要数量との差と、前記確定数量情報における前記第一の時点についての所要数量との組み合わせから、前記第二の時点についての所要数量を決定することを特徴とする部品調達方法。
【請求項2】 部品の生産を行う一方の生産者から製品の生産を行う他方の生産者に向けて部品を調達するために、未確定な部品所要数量を示す先行数量情報を作成し、その後、確定した部品所要数量を示す確定数量情報を製品の生産開始時点に先立って作成する部品調達計画作成装置であって、納入リードタイムが前記確定数量情報の作成時点から前記生産開始時点までの時間より長い部品を調達するために、前記先行数量情報における第一の時点についての所要数量と第二の時点についての所要数量との差を算出する手段と、前記確定数量情報における前記第一の時点についての所要数量を特定する手段と、両者の組み合わせから前記第二の時点についての所要数量を決定する演算処理手段とを備えてなる部品調達計画作成装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、部品の生産を行う一方の生産者から、製品の生産を行う他方の生産者へ部品を過不足なく調達する部品調達方法および部品調達計画作成装置に係り、とくに製品の生産量の変化に追従して最適な調達を実行できるものに関する。
【0002】
【従来の技術】工場における製品生産の効率化には、部品調達の管理が重要である。すなわち、製品の生産工程において、必要な部品が不足すると、その生産が行えなくなるため、部品の欠品は極力避けなければならない。一方、部品を必要以上に在庫として持つのでは、余分なスペースが必要になるなどの問題が生じる。そこで、これらの両方を満足して、最少の部品在庫で、かつ欠品を生じないような部品調達が望まれる。特に自動車のように、千差万別かつ膨大な量の部品を用いて生産される製品では、その部品の調達を効率的に行うことが非常に重要である。
【0003】従来の部品調達は、生産計画部門において作成された生産調達計画に基づいて実行されている。ここでは、あらかじめ月単位の大まかな生産計画情報を内示数量情報として部品工場に伝達し、その後、実際の製品生産状況や製品需要動向などに応じて変更の加えられた日単位の細かな生産計画情報を、最終的な確定数量情報として部品工場に伝達している。部品工場ではこの確定数量情報に基づいて部品を生産し、製品工場に納入する。
【0004】しかし、部品の発注から納入までの所要時間(以下「納入リードタイム」という)の長い部品では、確定数量情報を待って部品を製造するのでは、製品の生産開始に間に合わない。このため従来、このような部品については、確定数量情報の作成に先立って、その時点で入手可能である内示数量情報、すなわち月単位の大まかな生産計画情報に基づいた数量で部品を生産する方法が提案されている(例えば特開平8−190586号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このように内示数量情報に基づいた数量で部品を生産するのでは、内示数量情報の作成時点と確定数量情報の作成時点との間に所要数量の変動があって両情報の示す所要数量の間に乖離が生じた場合には、部品在庫の増大や欠品の発生を招くおそれがある。
【0006】そこで本発明の目的は、納入リードタイムの長い部品についても、部品の所要数量の変動に応じて最適な調達を実行できる手段を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】第1の本発明は、部品の生産を行う一方の生産者から製品の生産を行う他方の生産者に向けて部品を調達するために、未確定な部品所要数量を示す先行数量情報を作成し、その後、確定した部品所要数量を示す確定数量情報を製品の生産開始時点に先立って作成する部品調達方法であって、納入リードタイムが前記確定数量情報の作成時点から前記生産開始時点までの時間より長い部品を調達するために、前記先行数量情報における第一の時点についての所要数量と第二の時点についての所要数量との差と、前記確定数量情報における前記第一の時点についての所要数量との組み合わせから、前記第二の時点についての所要数量を決定することを特徴とする部品調達方法である。
【0008】また第2の本発明は、部品の生産を行う一方の生産者から製品の生産を行う他方の生産者に向けて部品を調達するために、未確定な部品所要数量を示す先行数量情報を作成し、その後、確定した部品所要数量を示す確定数量情報を製品の生産開始時点に先立って作成する部品調達計画作成装置であって、納入リードタイムが前記確定数量情報の作成時点から前記生産開始時点までの時間より長い部品を調達するために、前記先行数量情報における第一の時点についての所要数量と第二の時点についての所要数量との差を算出する手段と、前記確定数量情報における前記第一の時点についての所要数量を特定する手段と、両者の組み合わせから前記第二の時点についての所要数量を決定する演算処理手段とを備えてなる部品調達計画作成装置である。
【0009】納入リードタイムの長い部品について、先行数量情報における第二の時点(当該部品が使用される時点)についての所要数量を用いて部品調達を行うのでは、先行数量情報の作成時点と確定数量情報の作成時点との間で所要数量の変動が生じた場合に対応できないし、また、入手可能な第一の時点についての確定数量情報をもって第二の時点についての所要数量とするのでは、先行数量情報の作成時点で明らかであるような所要数量の大きな変動を無視することになる。これに対し、本発明では、納入リードタイムが確定数量情報の作成時点から製品の生産開始時点までの時間より長い部品については、先行数量情報における第一の時点についての所要数量と第二の時点(当該部品が使用される時点)についての所要数量との差と、確定数量情報における前記第一の時点についての所要数量との組み合わせから、第二の時点についての所要数量を決定するので、先行数量情報の作成時点で明らかであるような所要数量の大きな変動を調達数量に反映できる上、第一の時点についての確定数量情報をも用いるので、所要数量の変動に精度よく対応して的確な調達を実行できる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について図面に基づき説明する。図1は、遠隔地に所在する部品工場1と、製品工場2との間における部品調達に本発明を適用した例を示す。
【0011】部品工場1は部品工場端末21を備えており、他方、製品工場2の生産計画システム3は生産計画作成端末11および部品調達計画作成端末12を備えている。部品工場1の部品工場端末21は、製品工場2の生産計画システム3に対し、通信回線4を介して相互に通信可能に接続されている。
【0012】生産計画作成端末11には、受入検収端末15が接続されている。この受入検収端末15は、部品工場1から納入される部品の受け入れに関する情報の入力や、納入された部品の消費状態に関する情報の入力に用いられる。
【0013】部品調達計画作成端末12は、図示しない表示装置・入出力装置などを備えており、また、複数種類の部品のそれぞれについての品番・仕様および各部品に固有の納入リードタイムに係る情報などが記憶された部品マスタ13、および過去の各部品の出荷個数および出荷タイミングなどのデータと部品調達計画作成端末12において作成された部品調達計画のデータとが記憶された調達計画ファイル14が接続されている。
【0014】なお、実際には部品工場1は複数あり、また製品工場2も半製品製造工場と組立工場とが別にあったり、複数の製品工場2を管理するトータル管理システム等が存在するが、ここでは部品工場1、製品工場2とも1つとして説明する。
【0015】生産計画作成端末11において、製品の生産状況および販売状況を考慮した上で製品(車両)の生産計画が作成され、これに基づいて部品調達計画作成端末12において部品調達計画が作成され、部品工場1の部品工場端末21に向け、通信回線4を経由して送信、すなわち部品が発注される。このようにして送信された部品調達計画に基づき、部品工場1において部品が生産され、各部品毎の納入リードタイムに応じて製品工場2へ納入される。
【0016】そして、生産計画作成端末11において作成される生産計画に基づいて、部品調達計画作成端末12において部品調達計画が作成される。部品調達計画には、通常月に1度に作成される内示数量情報と、毎日作成されるその所定日数後(例えば4日後)についての確定数量情報とがある。この確定数量情報の作成時点と生産開始時点との間の時間を、以下「着工リードタイム」という。着工リードタイムは、部品毎に異なる値として設定されている。
【0017】ある部品について、内示数量情報の作成後に所要数量の変動がなければ、内示数量情報がそのまま確定数量情報となる。しかし多くの場合、内示数量情報の作成後に、実際の製品生産状況や製品需要動向などに応じて、部品の所要数量の変動がある。
【0018】他方、製品のライフサイクルに応じた大局的な生産量の変動などに応じて、部品の所要数量の大きな変動が、内示数量情報の作成時点で明らかであるような場合も存在する。例えば、製品工場2において、ある月には1日あたり車両40台を生産しており、次の月には1日あたり車両60台を生産するような場合である。このような場合には部品の所要数量にも変動が生ずる。
【0019】ここで、部品調達計画作成端末12における部品調達計画作成処理について説明する。図4は、ある年の6月下旬から7月上旬にかけての部品調達計画およびその作成処理を示す説明図である。図において、Aは部品括り対象テーブルであり、内示数量情報と、確定数量情報とが記録されている。この部品括り対象テーブルAは、VLT(Vehicle Linkage Table)とも称され、車両ごとにその全所要部品を一組に関連づけ、着工予定順に記録したものであり、当該部品については生産開始時点から着工リードタイム(4日)だけ遡った時点およびそれ以前の分が作成・記録されている。
【0020】Bは発注テーブルであり、各部品についての発注数量が発注予定順に記録されている。Cは納入テーブルであり、各部品についての納入数量が納入予定順に記録されている。部品括り対象テーブルAの内容は、概ね納入テーブルCの内容と対応するものであるが、製品生産台数の変動がある場合や休日を挟む場合に欠品を生じないように、両者の間のずれが生じるように構成されている。発注テーブルBの内容は、納入リードタイムを考慮した進み(例えば1日2便換算で11便相当である5.5日)を含んで納入テーブルCの内容と対応する。なお、これら部品括り対象テーブルA、発注テーブルBおよび納入テーブルCは、いずれも調達計画ファイル14に記録されている。
【0021】例えば、現在6月26日であり、7月2日第1便の調達計画を作成する場合について説明する。調達対象である部品は、1日あたり2便、発注後11便遅れで納入される(すなわち納入リードタイムが、1日2便換算で11便相当である)ものとする。なお、このことは図中「かんばんサイクル1−2−11」として示されており、「かんばん」とは、部品と共に納入され部品消費と共に部品工場に回送される納入タイミング指示カードのことである。
【0022】図2において、まず、ある部品についての納入リードタイムと着工リードタイムとが読み込まれ(S10)、読み込まれた納入リードタイムが、着工リードタイムと比較される(S20)。ここでは納入リードタイム「11便」が着工リードタイム「4日(1日2便換算で8便相当)」より大きいので、肯定判定され、このようにして納入リードタイムの長い部品が抽出される。
【0023】次にステップS30において、その部品についての最新の確定数量情報N1bを、調達計画ファイル14の部品括り対象テーブルAから読み込む。実際には、納入予定日の何日前までの確定数量が入手可能かは固定されており、このずれ日数を「シフト日数」と呼んでいる。ここではシフト日数は3日(1日2便換算で5便相当、図4において「1−2−5」と表示)に設定されている。その結果、6月26日の3日後である6月29日第1便分の確定数量情報N1b(例えば15台分)が読み込まれる。この読み込まれた確定数量N1b(=15台分)は、図3において示すように、この6月29日第1便についての内示数量N1a(=20台分)より少ない値であるとする。
【0024】次に、同じ部品について、調達計画ファイル14の部品括り対象テーブルAが再び参照され、目的とする7月2日第1便分の内示数量情報N2a(=30台分)が読み込まれる(S40)。また、ステップS30で最新の確定数量情報が得られた6月29日第1便についての内示数量情報N1a(=20台分)とが読み込まれる(S50)。
【0025】そして、読み込まれた7月2日第1便分の内示数量情報N2a(=30台分)から、6月29日第1便についての内示数量情報N1a(=20台分)が減算され、これにより内示差ΔNa(=10台分)が算出される(S60)。なお図4以下では、内示差ΔNaは「内示必要数差」と表示している。
【0026】最後に、算出された内示差ΔNa(=10台分)が、ステップS30で得られた最新の確定数量情報N1b(=15台分)に加算され、発注数量N2b(=25台分)が算出される(S70)。
【0027】なお、ステップS20において、納入リードタイムが着工リードタイムより短い部品の場合には、確定数量情報を待って部品を製造しても製品の生産開始に間に合う場合であるから、否定判定されてステップS30に移行し、通常の処理、すなわち、内示数量情報に所定の変動情報を加えて得られる確定数量情報をそのまま発注数量として確定する処理が行われる。
【0028】このようにして算出された発注情報は、発注テーブルBに記録され、この発注テーブルBに従って部品の発注が行われる。
【0029】すなわち、図3に示すように、納入リードタイムの長い部品について、目的とする7月2日第1便の所要数量(納入数量)を求めるために、仮に内示数量情報N2a(=30台分)のみにより部品調達を行うのでは、内示数量情報の作成時点と確定数量情報の作成時点との間で所要数量の変動(=−5台分)が生じた場合に対応できないし、また、入手可能な6月29日第1便についての確定数量情報N1b(=15台分)をもって7月2日第1便についての所要数量とするのでは、内示数量情報の作成時点で明らかであるような所要数量の大きな変動(=10台分)を無視することになる。これに対し、本実施形態では、納入リードタイムが長い部品については、内示数量情報における6月29日第1便についての所要数量N1a(=20台分)と7月2日第1便についての所要数量N2a(=30台分)との差である内示差ΔNa(=10台分)と、確定数量情報における6月29日第1便についての所要数量N1b(=15台分)との組み合わせから、7月2日第1便についての所要数量N2b(=25台分)を決定するので、内示数量情報の作成時点で明らかであるような所要数量の大きな変動を調達数量に反映できる上、6月29日第1便についての確定数量情報N1bをも用いるので、所要数量の変動に精度よく対応して的確な調達を実行できる。
【0030】同様の方法は、製品生産の立上り時についても適用できる。すなわち、図4における6月28日に製品生産が開始される場合には、ステップS30において、その部品についての最新の確定数量情報として、6月25日第1便分の確定数量情報N1bが部品括り対象テーブルAから読み込まれるが、6月25日は生産開始予定前であるため確定数量情報N1bは0となる。次に、調達計画ファイル14の部品括り対象テーブルAが参照され、目的とする6月28日第1便分の内示数量情報N2aが読み込まれ(S40)、また、ステップS30で最新の確定数量情報が得られた6月25日第1便についての内示数量情報N1aが読み込まれ(S50)、両者から内示差ΔNaが算出される(S60)。ここでは、6月28日第1便分の内示数量情報N2aが例えば車両20台分とすると、内示差ΔNaは20−0=20台分となる。そして、算出された内示差ΔNa(=20台分)が、ステップS30で得られた最新の確定数量情報N1b(=0台分)に加算され、発注数量N2b(20+0=20台分)が算出される(S70)。このようにして、製品生産の立上り時にも正確な調達が実行できる。
【0031】次に、「かんばんサイクル」および「シフト日数」を変更する場合の処理について説明する。図5において、いま「かんばんサイクル1−2−11」(すなわち、納入リードタイムが1日2便換算で11便相当)および「シフト日数3日・1−2−5」(すなわち、3日後、1日2便換算で5便相当までの確定数量が入手可能)の状態から、これを6月29日納入分以後「かんばんサイクル1−2−14」および「シフト日数4日・1−2−6」に変更する予定とする。また、部品の所要数量についても、6月28までは1日40台分、6月29日から7月1日までは1日44台分、7月2日以後は1日60台分と変動する予定とする。
【0032】この場合には、「かんばんサイクル」および「シフト日数」の変更に相当する調整をいずれかのタイミングで行う必要がある。具体的には、「かんばんサイクル」(すなわち、納入リードタイム)が延長される分だけ、部品を前倒しで納入する必要があり、また、シフト日数が延長される分だけ、部品括り対象テーブルAを前倒しで作成する必要がある。
【0033】そこで、この調整を、図中6月22日第2便の発注分において行うものである。すなわち、22日第2便の発注分において参照される確定数量は25日第1便納入分であるが、この25日第1便納入分の部品括り対象テーブルAにおいて、25日第1便納入分の本来の所要数量である20台分1括り(D)に加え、28日第2便分の所要数量である20台分1括り(E)、29日第1便分の所要数量である20台分1括り(あ)、および29日第2便分の所要数量である20台分1括り(い)が作成される。
【0034】このようにして作成された部品括り対象テーブルAの25日納入分の確定数量情報N1bと、内示差ΔNa(すなわち25日納入分の内示数量と28日納入分の内示数量との差)との加算により、発注数量N2bが算出されるのであるが、ここで、この25日納入分の確定数量情報N1bの算出に関しては、29日第1便分の所要数量である20台分1括り(あ)、および29日第2便分の所要数量である20台分1括り(い)を加算しない。他方、内示差ΔNa(すなわち25日納入分の内示数量と28日納入分の内示数量との差)の算出に関しては、これら29日第1便分の所要数量である20台分1括り(あ)、および29日第2便分の所要数量である20台分1括り(い)に相当する分を加算する。これは、シフト日数の変更に伴う発注タイミングのずれを生じさせないためである。
【0035】このようにしてシフト日数を一日延長する操作が実行され、また部品の発注数量についても、29日第1便および第2便の発注数量N2bがそれぞれ22台分および22台分、すなわち1日あたり44台分に相当する数量への変更が実行される。
【0036】次に、「かんばんサイクル」および「シフト日数」を変更する場合の他の処理について説明する。図6において、いま「かんばんサイクル1−2−14.0」(すなわち、納入リードタイムが1日2便換算で14.0便相当)および「シフト日数4日・1−2−6.0」(すなわち、4日後、1日2便換算で6.0便相当までの確定数量が入手可能)の状態から、これを7月1日納入分以後「かんばんサイクル1−2−11.0」および「シフト日数3.25日・1−2−4.5」に変更する予定とする。また、部品の所要数量についても、6月28日までは1日40台分、6月29日から7月1日までは1日44台分、7月2日以後は1日60台分と変動する予定とする。
【0037】この場合にも、「かんばんサイクル」および「シフト日数」の変更に相当する調整をいずれかのタイミングで行う必要がある。具体的には、「かんばんサイクル」(すなわち、納入リードタイム)が短縮される分だけ、部品納入を遅らせる必要があり、また、シフト日数が短縮される分だけ、部品括り対象テーブルAの作成を遅らせる必要がある。
【0038】そこで、この調整を、図中6月23日第1便発注分と、25日第2便発注分との間で行うものである。すなわち、23日第1便発注分においては、30日第1便納入分の発注数量を算出するために、26日第1便納入分の確定数量が参照されるが、この26日第1便納入分についての部品括り対象テーブルAの作成後、部品括り対象テーブルAの作成を停止し、その後、30日第2便納入分についての部品括り対象テーブルAは、25日第2便の発注タイミングまでに作成する。この部品括り対象テーブルAの作成の停止は、部品数量にして30日第2便納入分(20台分)の3便分に相当する。
【0039】このようにして作成された部品括り対象テーブルAの26日第2便納入分の確定数量情報N1bと、内示差ΔNa(すなわち26日第2便納入分の内示数量と30日第2便納入分の内示数量との差)との加算により、30日第2便納入分の発注数量N2bが算出されるのであるが、ここで、26日第2便納入分の確定数量情報N1bの算出に関しては、この26日第2便納入分の20台分を加算し、20+20=40台分とする。他方、内示差ΔNa(すなわち26日第2便納入分の内示数量と30日第2便納入分の内示数量との差)の算出に関しては、先に加算した26日第2便納入分に相当する20台分を減算する。これは、シフト日数の変更に伴う発注タイミングのずれを生じさせないためである。
【0040】同様に、7月1日第1便納入分の発注数量N2bの算出については、部品括り対象テーブルAの27日納入分の確定数量情報N1bと、内示差ΔNa(すなわち27日納入分の内示数量と7月1日第1便納入分の内示数量との差)との加算により、7月1日第1便納入分の発注数量N2bが算出されるが、ここで、27日納入分の確定数量情報N1bの算出に関しては、「0.75日分増括り」、すなわち7月1日第1便納入分の20台分を加算し、20+20=40台分とする。他方、内示差ΔNa(すなわち27日納入分の内示数量と7月1日第1便納入分の内示数量との差)の算出に関しては、「0.75日分減指示」、すなわち先に加算した7月1日第1便納入分の20台分を減算する。これにより、7月1日第1便納入分については、20+20−20+2=22台分の部品が発注される。
【0041】このようにしてシフト日数を一日短縮する操作が実行され、また部品の発注数量の変更が実行される。なお、この処理例では7月1日第1便納入分について20台分の増減を行い、また7月1日第2便納入分について10台分の増減を行う構成としたので、部品工場1への負荷を分散することができる。
【0042】次に、製品工場2が通常稼動しない日に、臨時に稼動する場合の処理について説明する。図7において、いま「かんばんサイクル1−2−11」(すなわち、納入リードタイムが1日2便換算で11便相当)および「シフト日数3日・1−2−5」(すなわち、3日後、1日2便換算で5便相当までの確定数量が入手可能)の状態において、製品工場2が通常稼動しない日である6月30日土曜日に臨時に稼動する予定とする。また、部品の所要数量についても、6月30日までは1日40台分、7月2日以後は1日60台分と変動する予定とする。なお、図7の場合には部品工場1および製品工場2の双方が土曜日と日曜日に稼動しないことに対応して、シフト日数についても図示のように細かな調整が行われている。
【0043】この場合において、いま、6月30日土曜日第1便納入分の発注数量を算出するために、22日第2便発注分においては、27日第1便納入分の確定数量が参照される。
【0044】このようにして得られた部品括り対象テーブルAの27日第1便納入分の確定数量情報N1bと、内示差ΔNa(すなわち27日第1便納入分の内示数量と30日第1便納入分の内示数量との差)との加算により、30日第1便納入分の発注数量N2bが算出されるのであるが、ここでは、27日第1便納入分の内示数量と、30日第1便納入分の内示数量とで差がないので、ΔNa=0台分となり、30日第1便納入分の発注数量N2bには、27日第1便納入分の確定数量情報N1bがそのまま用いられることになる。
【0045】次に、製品工場2が通常稼動しない日に、臨時に稼動する場合であって、かつ部品の所要数量についても変動がある場合の処理について説明する。図8の例は、図7の例と同様の「かんばんサイクル」および「シフト日数」の設定であるが、部品の所要数量については、6月28日までは1日40台分、6月29日から7月1日までが1日45台分、7月2日以後は1日60台分と変動する予定とする。
【0046】この場合において、いま、6月30日土曜日第1便納入分の発注数量を算出するために、22日第2便発注分においては、27日第1便納入分の確定数量が参照される。
【0047】このようにして得られた部品括り対象テーブルAの27日第1便納入分の確定数量情報N1bと、内示差ΔNa(すなわち27日第1便納入分の内示数量と30日第1便納入分の内示数量との差)との加算により、30日第1便納入分の発注数量N2bが算出されるのであるが、ここでは、27日第1便納入分の内示数量と、30日第1便納入分の納入分とで2台分の差があるので、ΔNa=2台分となり、30日第1便納入分の発注数量N2bは、20+2=22台分となる。このようにして内示差を考慮した発注を行うことができる。
【0048】次に、図7の例と同様に製品工場2が通常稼動しない日に臨時に稼動する場合であって、この臨時稼動分に相当する部品の所要数量について、その日の前日に納品しておく場合の処理について説明する。図9の例は、図7の例と同様の「かんばんサイクル」および「シフト日数」の設定であるが、6月30日土曜日の製品工場2の臨時稼動分に相当する部品の所要数量について、その日の前日である6月29日金曜日第2便で納品しておく予定とする。
【0049】この場合には、部品を前倒しで納入するために、部品括り対象テーブルAを前倒しで作成する必要がある。そこで、22日第1便の発注分において参照される確定数量は26日第2便納入分であるが、この26日第2便納入分の部品括り対象テーブルAを作成する際に、これに加えて、30日の臨時稼動に相当する所要数量である「臨出相殺分」α台分の部品括り情報が作成され、27日第1便についての部品括り情報として記録される。
【0050】そして、6月29日金曜日第2便納入分の発注数量を算出するために、22日第1便発注分においては、26日第2便の確定数量が参照されるが、その際に27日第1便についての確定数量も併せて参照される。
【0051】このようにして作成された部品括り対象テーブルAの27日第1便納入分の確定数量情報N1bと、内示差ΔNa(すなわち26日第2便納入分および27日第1便納入分の内示数量と、29日第2便納入分の内示数量との差)との加算により、29日第2便納入分の発注数量N2bが算出されるのであるが、ここでは、26日第2便納入分の内示数量と、29日第2便納入分とで差がないので、ΔNa=0台分となる。他方、29日第2便納入分の発注数量N2bの算出については、30日の臨時稼動に相当する所要数量である「臨出相殺分」α台分が加算され、発注数量N2bは20+0+α台分となる。このようにして「臨出相殺分」を考慮した発注を行うことができる。
【0052】次に、製品工場2において稼動体制が変更され、2交代制による全日稼動から1交代制による半日稼動となる場合の処理について説明する。図10において、6月28日までが2交代制による全日稼動であり、7月1日から1交代制による半日稼動となる予定とし、またこれに応じて納入便数も1日2便から1日1便になる予定とする。また、部品の所要数量についても、6月28日までは1日40台分、7月1日以後は1日22台分と変動する予定とする。
【0053】この場合には、内示差ΔNaが納入便数の変更前の1便あたりの部品数量に基づいて算出される一方で、確定数量情報N1bが納入便数の変更後の1便あたりの所要数量に基づいて算出されるため、納入する部品数量の調整を行わないのでは誤差が生じる。
【0054】そこで、この調整を、図中6月24日から26日の発注分において行うものである。すなわち、24日の発注分において参照される確定数量は26日納入分であるが、この26日納入分の部品括り対象テーブルAにおいては、26日第1便納入分の所要数量である20台分1括り(F)に加え、26日第2便分の所要数量である20台分1括りが作成されている。したがって、この部品括り対象テーブルAの26日納入分の確定数量情報N1bは、20+20=40台分となる。
【0055】この確定数量情報N1bと、内示差ΔNa(すなわち26日第1便納入分の内示数量と29日納入分の内示数量との差、ここでは2台分)との加算により、発注数量N2bが算出されるのであるが、ここで、発注数量N2bの算出に関しては、29日納入分から、26日第2便納入分の所要数量である20台分1括りを減算する。したがって、29日納入分は、20+20+2−20=22台分となり、稼動体制・納入便数および所要数量が変動した場合にも最適な部品調達を実行できる。
【0056】次に、納入便の稼動を一時的にカット(休止)する場合の処理について説明する。図11において、いま、6月29日第1便の納入便をカットする予定とする。この場合には、この納入便のカットが製品工場2における欠品を生じさせないように、このカットされる納入便に相当する所要数量の部品を予め納入しておく必要がある。
【0057】そこで、22日第2便および23日第1便の発注分において参照される確定数量はそれぞれ25日第1便および第2便納入分であるが、この25日第1便および第2便納入分の部品括り対象テーブルAを作成するにあたり、本来の所要数量に加えて、カットされる6月29日第1便の納入便に相当する所要数量である20台分を10台分ずつに分けて上乗せする。なお、カットされる6月29日第1便の納入便に相当する所要数量は、6月26日第1便納入便として仮の部品括り情報が作成・記録されるが、この仮の部品括り情報は本発明に係る部品発注数量の決定については参照されない。
【0058】そして、6月28日第1便・第2便納入分の発注数量を算出するために、22日第2便・23日第1便発注分においては、25日第1便・第2便の確定数量がそれぞれ参照される。したがって、25日第1便・第2便の確定数量情報N1bはそれぞれ10台分ずつ上乗せされた値となる。この確定数量情報N1bと、内示差ΔNaとの加算により、28日第1便・第2便納入分の発注数量N2bがそれぞれ算出される。したがって、カットされる6月29日第1便の納入便に相当する所要数量が予め納入され、欠品を防ぐことができる。
【0059】なお、この例では部品の所要数量が6月28日までは1日40台分、29日以後は1日48台分と変動する予定となっているが、納入便がカットされる6月29日第1便についての内示差ΔNa=4台分は、29日第2便についての内示差ΔNa=4台分に上乗せされ、したがって29日第2便についての内示差ΔNa=4+4=8台分となる。
【0060】なお、上記各実施形態では、遠隔地に所在する部品工場1と、製品工場2との間における部品調達に本発明を適用した例について説明したが、本発明はこのような形態に限られず、互いに隣接する工場の間においても適用することが可能である。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成12年3月17日(2000.3.17)
【代理人】 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
【公開番号】 特開2001−265418(P2001−265418A)
【公開日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願番号】 特願2000−75769(P2000−75769)