| 【発明の名称】 |
プロセス制御装置及び制御方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】大谷 哲也
【氏名】和泉 恭子
|
| 【要約】 |
【課題】制御対象の変動に対して速やかに対応することが可能なプロセス制御装置及び制御方法を実現する。
【解決手段】制御対象の挙動を表したモデルを有するプロセス制御装置において、制御対象と、目標値及び前記制御対象からの状態量に基づき操作量を決定して制御対象に出力するコントローラと、目標値、操作量及び制御量の内1つ以上を取り込み、取り込んだ値の回りにモデルを線形化する線形モデル計算手段と、線形化されたモデル基づき制御ゲインを計算しコントローラのゲインを切り換えるゲイン計算手段とを設ける。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】制御対象の挙動を表したモデルを有するプロセス制御装置において、前記制御対象と、目標値及び前記制御対象からの状態量に基づき操作量を決定して前記制御対象に出力するコントローラと、前記目標値、前記操作量及び前記制御量の内1つ以上を取り込み、取り込んだ値の回りに前記モデルを線形化する線形モデル計算手段と、線形化された前記モデル基づき制御ゲインを計算し前記コントローラのゲインを切り換えるゲイン計算手段とを備えたことを特徴とするプロセス制御装置。 【請求項2】制御対象の挙動を表した非線形のモデルを有するプロセス制御装置において、前記制御対象と、目標値及び前記制御対象からの状態量に基づき操作量を決定して前記制御対象に出力するコントローラと、前記目標値、前記操作量及び前記制御量の内1つ以上を取り込み、直接測定できない前記制御対象内部の状態量を予測する非線形ダイナミックモデル手段と、予測された前記状態量若しくは前記取り込んだ値の回りに前記モデルを線形化する線形モデル計算手段と、線形化された前記モデル基づき制御ゲインを計算し前記コントローラのゲインを切り換えるゲイン計算手段とを備えたことを特徴とするプロセス制御装置。 【請求項3】前記非線形ダイナミックモデル手段が、拡張カルマンフィルタであることを特徴とする請求項2記載のプロセス制御装置。 【請求項4】前記コントローラのゲインの切り換えを、常時、若しくは、計算されたゲインの値が変動した時点で切り換えることを特徴とする請求項1及び請求項2記載のプロセス制御装置。 【請求項5】制御対象の挙動を表したモデルを有するプロセス制御装置の制御方法において、操作量、制御量及び状態量の内1つ以上を取り込み、取り込んだ値の回りで前記モデルを線形化しておき、線形化された前記モデル基づき制御ゲインを計算し、制御する前記ゲインを切り換えることを特徴とする制御方法。 【請求項6】制御対象の挙動を表した非線形のモデルを有するプロセス制御装置の制御方法において、操作量、制御量及び状態量の内1つ以上を取り込み、直接測定できない前記制御対象内部の状態量を予測して、前記取り込んだ値若しくは予測された状態量の回りで前記モデルを線形化しておき、線形化された前記モデル基づき制御ゲインを計算し、制御する前記ゲインを切り換えることを特徴とする制御方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、制御対象の挙動を表したモデルを有するプロセス制御装置に関し、特に制御対象の変動に対して速やかに対応することが可能なプロセス制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来のプロセス制御装置は制御状態のもとにコントローラを設定した結果であるゲインをゲインテーブルに蓄積して目標値の違いによりゲインテーブルに蓄積されたゲインから適宜選択してゲインを切り換える。 【0003】図6はこのような従来のプロセス制御装置の一例を示す構成ブロック図である。図6において1はコントローラ、2は制御対象であるプロセス、3は各種制御状態のもとで調整設定されたゲインが蓄積されたゲインテーブルが格納される記憶手段である。また、100は目標値信号、101はコントローラ1から出力される操作量信号、102はプロセス2から出力される制御量信号、103はコントローラ1にフィードバックされるプロセス2における状態量信号である。 【0004】目標値信号100はコントローラ1に入力され、コントローラ1の出力である操作量信号101は制御対象であるプロセス2に入力される。プロセス2の出力である制御量信号102が出力されると共に制御量信号102の全てまたはその一部は状態量信号103としてコントローラ1にフィードバックされる。 【0005】また、各種制御状態のもとで設定されたゲインが蓄積されたゲインテーブルが格納される記憶手段3の出力もまたコントローラ1に入力される。 【0006】ここで、図6に示す従来例の動作を説明する。コントローラ1は入力される目標値信号100に最も適したゲインを記憶手段3に格納されたゲインテーブルから選択して、当該ゲインに基づき操作量信号101の値を決定する。 【0007】制御対象であるプロセス2はこの操作量信号に基づき動作してその動作結果として温度信号、密度信号や圧力信号等の制御量信号102を出力する。そして、コントローラ1はフィードバックされてきた状態量信号103に基づき操作量信号101の値を調整してプロセスの制御を行う。 【0008】この結果、目標値信号100の値に基づき予め蓄積されたゲインを適宜選択することにより、最適なプロセス制御を行うことが可能になる。 【0009】また、図7はこのような従来のプロセス制御装置の他の一例を示す構成ブロック図である。図7において1,2,100,101,102及び103は図6と同一符号を付してあり、4は線形時系列データを用いて予測値を求めるモデル予測手段、104はモデル予測手段4の出力である予測値信号である。 【0010】目標値信号100はコントローラ1に入力され、コントローラ1の出力である操作量信号101は制御対象であるプロセス2及びモデル予測手段4にそれぞれ入力される。 【0011】プロセス2の出力である制御量信号102が出力されると共に制御量信号102の全てまたはその一部は状態量信号103としてコントローラ1にフィードバックされる。また、モデル予測手段4の出力が予測値信号104としてコントローラ1に入力される。 【0012】ここで、図7に示す従来例の動作を説明する。モデル予測手段4はステップ応答若しくはインパルス応答等の時系列データを線形時系列データモデルとして有する。 【0013】そして、モデル予測手段4は入力される操作量信号101を線形時系列データモデルへ適用させて予測値信号104を発生させる。コントローラ1は当該予測値信号104が目標値信号100にできるだけ近づくように操作量信号101の値を決定して実際にプロセス2に入力する。 【0014】また、もし、線形時系列モデルにより予測された予測値信号104と実施の出力との間にずれがあると制御偏差を生じるのでその差を補正するように操作量信号101の値を調整する。 【0015】この結果、線形時系列モデルを用いて操作量信号を調整することにより、最適なプロセス制御を行うことが可能になる。 【0016】 【発明が解決しようとする課題】しかし、図6に示す従来のプロセス制御装置ではゲインテーブルの作成に時間がかかり、ゲインが登録されていない目標値に制御する場合や、一旦登録されているゲインが実際の状態に合わない場合には、オフライン状態で目標値の状況に適したゲインを求めなければならないと言った問題点があった。 【0017】また、図7に示す従来のプロセス制御装置ではオンラインにより適切なゲインの設定が可能であるものの、線形時系列モデルであるために非線形性が強いプロセスには適用が困難であり、また、線形時系列モデルであるために制御すべき量が実際にプロセス2から測定できることが必要であると言った問題点があった。従って本発明が解決しようとする課題は、制御対象の変動に対して速やかに対応することが可能なプロセス制御装置及び制御方法を実現することにある。 【0018】 【課題を解決するための手段】このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、制御対象の挙動を表したモデルを有するプロセス制御装置において、前記制御対象と、目標値及び前記制御対象からの状態量に基づき操作量を決定して前記制御対象に出力するコントローラと、前記目標値、前記操作量及び前記制御量の内1つ以上を取り込み、取り込んだ値の回りに前記モデルを線形化する線形モデル計算手段と、線形化された前記モデル基づき制御ゲインを計算し前記コントローラのゲインを切り換えるゲイン計算手段とを備えたことにより、モデルを現在の制御量、操作量及び状態量等の回りで線形化してオンライン状態でゲインを切り換えることが可能になり、制御対象の変動に対して速やかに対応することが可能になる。 【0019】請求項2記載の発明は、制御対象の挙動を表した非線形のモデルを有するプロセス制御装置において、前記制御対象と、目標値及び前記制御対象からの状態量に基づき操作量を決定して前記制御対象に出力するコントローラと、前記目標値、前記操作量及び前記制御量の内1つ以上を取り込み、直接測定できない前記制御対象内部の状態量を予測する非線形ダイナミックモデル手段と、予測された前記状態量若しくは前記取り込んだ値の回りに前記モデルを線形化する線形モデル計算手段と、線形化された前記モデル基づき制御ゲインを計算し前記コントローラのゲインを切り換えるゲイン計算手段とを備えたことにより、非線形性が強いプロセス場合であっても制御すべき量が実際に制御対象から測定できない場合であっても制御対象の変動に対して速やかに対応することが可能になる。 【0020】請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明であるプロセス制御装置において、前記非線形ダイナミックモデル手段が、拡張カルマンフィルタであることにより、非線形性が強いプロセス場合であっても制御すべき量が実際に制御対象から測定できない場合であっても制御対象の変動に対して速やかに対応することが可能になる。 【0021】請求項4記載の発明は、請求項1及び請求項2記載の発明であるプロセス制御装置において、前記コントローラのゲインの切り換えを、常時、若しくは、計算されたゲインの値が変動した時点で切り換えることにより、制御対象の変動に対して速やかに対応することが可能になる。 【0022】請求項5記載の発明は、制御対象の挙動を表したモデルを有するプロセス制御装置の制御方法において、操作量、制御量及び状態量の内1つ以上を取り込み、取り込んだ値の回りで前記モデルを線形化しておき、線形化された前記モデル基づき制御ゲインを計算し、制御する前記ゲインを切り換えることにより、モデルを現在の制御量、操作量及び状態量等の回りで線形化してオンライン状態でゲインを切り換えることが可能になり、制御対象の変動に対して速やかに対応することが可能になる。 【0023】請求項6記載の発明は、制御対象の挙動を表した非線形のモデルを有するプロセス制御装置の制御方法において、操作量、制御量及び状態量の内1つ以上を取り込み、直接測定できない前記制御対象内部の状態量を予測して、前記取り込んだ値若しくは予測された状態量の回りで前記モデルを線形化しておき、線形化された前記モデル基づき制御ゲインを計算し、制御する前記ゲインを切り換えることにより、非線形性が強いプロセス場合であっても制御すべき量が実際に制御対象から測定できない場合であっても制御対象の変動に対して速やかに対応することが可能になる。 【0024】 【発明の実施の形態】以下本発明を図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明に係るプロセス制御装置の一実施例を示す構成ブロック図である。図1において1aはコントローラ、2aは制御対象であるプロセス、5は制御対象であるプロセス2aのモデルが予め格納されている線形モデル計算手段、6はゲイン計算手段である。 【0025】また、100aは目標値信号、101aはコントローラ1aから出力される操作量信号、102aはプロセス2aから出力される制御量信号、103aはコントローラ1aにフィードバックされるプロセス2aにおける状態量信号、105及び106は出力信号である。 【0026】目標値信号100aはコントローラ1aに入力され、コントローラ1aの出力である操作量信号101aは制御対象であるプロセス2aに入力される。プロセス2aの出力である制御量信号102aが出力されると共に制御量信号102aの全てまたはその一部は状態量信号103aとしてコントローラ1aにフィードバックされる。 【0027】また、操作量信号101a、制御量信号102a及び状態量信号103a等は線形モデル計算手段5に入力され、線形モデル計算手段5の出力である出力信号105はゲイン計算手段6に入力される。 【0028】さらに、ゲイン計算手段6の出力である出力信号106はコントローラ1aに入力され、コントローラ1aのゲインの設定を行う。 【0029】ここで、図1に示す実施例の動作を図2及び図3を用いて説明する。図2はプロセス制御装置のゲインの切換動作を説明するフロー図、図3はモデルの線形化を説明する説明図である。 【0030】図2中”S001”において線形モデル計算手段5は操作量信号101a、制御量信号102a及び状態量信号103a等を取り込み、図2中”S002”において取り込んだ値の回りで予め格納されている制御対象であるプロセス2aのモデルを線形化する。 【0031】一般に制御対象であるプロセス2aの入出力関係は非線形であることが多く、例えば、予め格納されているモデルは図3中”PF01”に示すような特性曲線を描くものとする。一方、コントローラ1aは線形的にプロセスを制御するため非線形性を有する入出力関係でコントローラ1aのゲインを決定することは演算負荷が増加して適当ではない。 【0032】そこで、図3においてある入力値”T”に着目した場合、入力値”T”で図3中”PF01”に接する図3中”PF02”に示す直線は入出力関係が線形であり、図3中”AR01”に示す入力値”T”の近傍、言い換えれば、入力値”T”の回りでの線形化がなされたことになる。 【0033】線形モデル計算手段5はこのような線形化したモデルの情報を出力信号105としてゲイン計算手段6に出力し、ゲイン計算手段6は図2中”S003”において線形化されたモデル基づき制御ゲインを計算し、図2中”S004”において出力信号を106を出力してコントローラ1aのゲインを切り換える。 【0034】この結果、モデルを現在の制御量、操作量及び状態量等の回りで線形化してオンライン状態でゲインを切り換えることにより、制御対象の変動に対して速やかに対応することが可能になる。 【0035】また、図4は非線形性が強いプロセス2a、若しくは、プロセス2aのある状態量が直接続定できない場合に有効な本発明に係るプロセス制御装置の他の実施例を示す構成ブロック図である。 【0036】図4において1a,2a,5,6,100a,101a,102a,103a,105及び106は図1と同一符号を付してあり、7は予め制御対象であるプロセス2aのモデルである非線形ダイナミックモデルが格納されると共に拡張カルマンフィルタ等のプロセスのある状態量を推定する機能を有する非線形ダイナミックモデル手段、107は出力信号である。 【0037】目標値信号100aはコントローラ1aに入力され、コントローラ1aの出力である操作量信号101aは制御対象であるプロセス2aに入力される。プロセス2aの出力である制御量信号102aが出力されると共に制御量信号102aの全てまたはその一部は状態量信号103aとしてコントローラ1aにフィードバックされる。 【0038】また、操作量信号101a、制御量信号102a及び状態量103a等は非線形ダイナミックモデル手段7に入力され、非線形ダイナミックモデル手段7の出力である出力信号107は線形モデル計算手段5に入力される。また、線形モデル計算手段5の出力である出力信号105はゲイン計算手段6に入力される。 【0039】さらに、ゲイン計算手段6の出力である出力信号106はコントローラ1aに入力され、コントローラ1aのゲインの設定を行う。 【0040】ここで、図4に示す実施例の動作を図5を用いて説明する。図5はプロセス制御装置のゲインの切換動作を説明するフロー図である。 【0041】図5中”S101”において非線形ダイナミックモデル手段7は操作量信号101a、制御量信号102a及び状態量信号103a等を取り込み、直接測定できないプロセス2a内部の状態量を予測した予測値、取り込んだ値及び非線形ダイナミックモデルの情報を出力信号107として出力する。 【0042】図5中”S102”において線形モデル計算手段5は前記取り込んだ値や非線形ダイナミックモデル手段7で予測された値の回りで制御対象であるプロセス2aの非線形ダイナミックモデルを前述のように線形化する。 【0043】線形モデル計算手段5はこのような線形化した非線形ダイナミックモデルの情報を出力信号105としてゲイン計算手段6に出力し、ゲイン計算手段6は図5中”S103”において線形化された非線形ダイナミックモデル基づき制御ゲインを計算し、図5中”S104”において出力信号106を出力してコントローラ1aのゲインを切り換える。 【0044】この結果、非線形ダイナミックモデル手段7を用いてプロセス2aの内部の状態量を予測してこの予測値の回りでモデルを線形化することにより、非線形性が強いプロセス場合であっても制御すべき量が実際にプロセス2aから測定できない場合であっても制御対象の変動に対して速やかに対応することが可能になる。 【0045】なお、ゲイン計算手段6がコントローラ1aのゲインを切り換えるタイミングとしては常時、若しくは、計算されたゲインの値が変動した時点であっても構わない。 【0046】また、操作量信号101a、制御量信号102a及び状態量103a等の非線形ダイナミックモデル手段7で予測する必要のない値は直接線形モデル計算手段5に取り込んでも構わない。 【0047】また、図1等の説明では操作量信号101a、制御量信号102a及び状態量103a等をすべて線形モデル計算手段5若しくは非線形ダイナミックモデル手段7に取り込んでいるが勿論これに限定されるものではなく、操作量信号101a、制御量信号102a及び状態量103a等の内1つ以上の値を取り込むものであれば良い。 【0048】 【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、本発明によれば次のような効果がある。請求項1,4及び請求項5の発明によれば、モデルを現在の制御量、操作量及び状態量等の回りで線形化してオンライン状態でゲインを切り換えることにより、制御対象の変動に対して速やかに対応することが可能になる。 【0049】また、請求項2乃至4及び請求項6の発明によれば、非線形ダイナミックモデル手段を用いてプロセスの内部の状態量を予測してこの予測値の回りでモデルを線形化することにより、非線形性が強いプロセス場合であっても制御すべき量が実際にプロセスから測定できない場合であっても制御対象の変動に対して速やかに対応することが可能になる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000006507 【氏名又は名称】横河電機株式会社
|
| 【出願日】 |
平成12年3月21日(2000.3.21) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2001−265407(P2001−265407A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月28日(2001.9.28) |
| 【出願番号】 |
特願2000−78262(P2000−78262) |
|