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【発明の名称】 複製用ホログラム原版
【発明者】 【氏名】日口 洋一

【氏名】戸津川 大輔

【氏名】瀬川 敏一

【氏名】栗原 正彰

【要約】 【課題】遮光材料による干渉縞パターンの上に設けられる透過率調整層として耐久性を有し作製容易なものを用いた複製用ホログラム原版。

【解決手段】透明基板1の表面に遮光材料からなる干渉縞パターン3が設けられ、その干渉縞パターン3上に透過率調整層5が設けられた複製用ホログラム原版10において、透過率調整層5として金属薄膜が用いられている。また、透過率調整層5の上に反射防止層6が設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 透明基板の表面に遮光材料からなる干渉縞パターンが設けられ、その干渉縞パターン上に透過率調整層が設けられた複製用ホログラム原版において、前記透過率調整層として金属薄膜が用いられていることを特徴とする複製用ホログラム原版。
【請求項2】 前記透過率調整層の上に反射防止層が設けられていることを特徴とする請求項1記載の複製用ホログラム原版。
【請求項3】 前記透過率調整層がクロムの薄膜からなることを特徴とする請求項1又は2記載の複製用ホログラム原版。
【請求項4】 前記透過率調整層の透過率が70%以下であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の複製用ホログラム原版。
【請求項5】 前記反射防止層が酸化クロムからなることを特徴とする請求項1から4の何れか1項記載の複製用ホログラム原版。
【請求項6】 前記反射防止層の干渉縞パターンと反対側からの反射率が10%以下であることを特徴とする請求項1から5の何れか1項記載の複製用ホログラム原版。
【請求項7】 前記反射防止層の酸化クロムの膜厚が20nmから80nmであることを特徴とする請求項5記載の複製用ホログラム原版。
【請求項8】 前記遮光材料からなる干渉縞パターンが、少なくとも1層のクロム層を含み、電子線リソグラフィー描画で形成したものであることを特徴とする請求項1から7の何れか1項記載の複製用ホログラム原版。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複製用ホログラム原版に関し、特に、ホログラム複製の際に不要干渉縞の発生を抑制して良好な光学特性の複製品が得られ、かつ、耐久性を有し、作製容易な複製用ホログラム原版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】透過型ホログラムから同様の特性の透過型ホログラムを光学的な複製法により作製することがよく知られている。そのためには、原版の透過型ホログラムの再生照明光入射側とは反対側に密着あるいは若干離間してホログラム乾板を配置し、原版側から再生照明光に相当する複製照明光を入射させて、ホログラム乾板のホログラム感光材料層中で、物体光に相当する回折光と参照光に相当する透過光とを干渉させて原版と同様の特性の透過型ホログラムを複製する。
【0003】そして、そのような透過型ホログラム原版の干渉縞パターンを、クロム等の金属膜で作製することは、特開平6−201907号、特開平7−43511号、特開平11−6917号等において知られている。
【0004】また、このような干渉縞パターンを金属膜で作製してなるホログラム層上に光吸収層からなる透過率調整層を設けることは、特開平11−271535号で提案されている。この特開平11−271535号には、光吸収層を設けることにより次のような効果が得られることが記載されている。すなわち、■複製時に各層での繰返し反射により生じる不要光が低減される。■複製時に2次回折光によってできる不要な干渉縞を低減できる。■0次光と1次回折光の光量比を調整して複製を最も効率的に行う理想の1:1に近づけられる。また、光吸収層として、有機ポリ尿素薄膜やポリイミド酸化膜等を用いることが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、複製用ホログラム原版は、複製毎にホログラム乾板を交換しながら密着を繰り返すため、原版とホログラム乾板の間に異物が入った場合、この異物が原版の上記光吸収層を傷つける問題があった。特に、屈折率マッチング液を用いた場合はこのような異物が入りやすい。
【0006】光吸収層として、特開平11−271535号のように、有機ポリ尿素薄膜やポリイミド酸化膜等の有機材料を用いた場合にもこの問題は避けられない。
【0007】また、光吸収層を、特開平11−271535号のように、樹脂の塗布で形成する場合は、従来の一般のリソグラフィーでは用いられない特殊な材料を用いているため、真空成膜装置やスピンナー等として汚れ防止のために専用の装置を用意する必要があった。
【0008】本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、遮光材料による干渉縞パターンの上に設けられる透過率調整層として耐久性を有し作製容易なものを用いた複製用ホログラム原版を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明の複製用ホログラム原版は、透明基板の表面に遮光材料からなる干渉縞パターンが設けられ、その干渉縞パターン上に透過率調整層が設けられた複製用ホログラム原版において、前記透過率調整層として金属薄膜が用いられていることを特徴とするものである。
【0010】この場合、透過率調整層の上に反射防止層を設けることが望ましい。
【0011】また、透過率調整層として例えばクロムの薄膜を用いることができる。
【0012】また、透過率調整層の透過率は70%以下であることが望ましい。
【0013】また、反射防止層として例えば酸化クロムを用いることができる。
【0014】また、反射防止層の干渉縞パターンと反対側からの反射率が10%以下であることが望ましい。
【0015】また、反射防止層として酸化クロムを用いる場合、その膜厚が20nmから80nmであることが望ましい。
【0016】また、遮光材料からなる干渉縞パターンとしては、例えば、少なくとも1層のクロム層を含み、電子線リソグラフィー描画で形成したものであることができる。
【0017】本発明においては、干渉縞パターン上に設ける透過率調整層として金属薄膜が用いられているので、ホログラム乾板を交換しながら密着を繰り返しても、異物によってその透過率調整層に傷がつき難くなり耐久性が向上すると共に、その透過率調整層の作製が容易になる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の複製用ホログラム原版を実施例に基づいて説明する。
【0019】図1に、本発明の1実施例の複製用ホログラム原版を用いて透過型ホログラムを複製する場合の断面図を示す。また、図2に複製用ホログラム原版のホログラム層部分の拡大断面図を示す。この実施例においては、複製用ホログラム原版10として、例えば特開平11−6917号、特開平11−271535号に開示されているように、透明基板1上にクロムからなる金属膜4を設け、フォトリソグラフィーの手法により例えばホログラムカラーフィルター用の干渉縞を電子線描画してパターニングして、遮光材料による振幅型の計算機ホログラムパターン3を形成してなるものである。
【0020】そして、本発明に基づいて、このような遮光材料による干渉縞パターン3上に、透過率調整層(光吸収層)5として、硬度が高いクロムの極薄い膜を真空蒸着装置等を用いて一様に成膜して用いることにより、異物により傷がつく問題を解決したものである。
【0021】このように干渉縞パターン3の作製に一般に用いられるクロムを光吸収層5の材料にも用いることにより、その成膜のための専用装置が不要になる。
【0022】図3に、波長514nmの光に対してのクロムの膜厚と垂直透過率の関係を示す。この図から明らかなように、光吸収層5として膜厚5nm〜40nmのクロム膜を用いると、透過率が70%〜5%の透過率調整層が得られる。この厚さが5nm未満の場合は有効な光吸収効果は得られず、40nm以上の場合は透過光量の減衰が大きくなりすぎる。
【0023】この光吸収層5の作用を説明すると、ホログラムパターン3に複製用照明光30を入射させると、図1、図2に示したように、ホログラムパターン3からは、0次透過光31、1次回折光32、2次回折光33が発生するが、1次回折光32はホログラム層2に対して略垂直に、0次透過光31と2次回折光33は大きな回折角で発生するため、光吸収層5中を通る光路長は、1次回折光32は相対的に短く、0次透過光31と2次回折光33は相対的に長くなるため、減衰率は相対的に0次透過光31と2次回折光33がより高くなる。0次透過光31、1次回折光32、2次回折光33中、光強度は0次透過光31と1次回折光32が高く、2次回折光33は最も低いので、この光吸収層5の作用で、ホログラム乾板20のホログラム感光材料層22に達する0次透過光31と1次回折光32の強度を略等しくでき、2次回折光33の相対強度を非常に小さくできる。したがって、複製用ホログラム原版10に光吸収層5を配置することにより、2次回折光33に基づく不要干渉縞が形成され難くなる。
【0024】ところで、図1、図2の実施例においては、クロムの光吸収層5の上に、反射防止層としての酸化クロム層6を、同様に真空蒸着装置等を用いて一様に成膜している。
【0025】次の表は、波長514nmの光が酸化クロム層6側から垂直に入射した場合の、酸化クロムの膜厚と反射率の関係を示すものである。
【0026】
酸化クロムの膜厚 反射率20nm 32%30nm 13%40nm 3%50nm 1%60nm 13%斜め入射の光も例えば10%以下の反射率で反射防止を行うには、酸化クロム層6の厚みは20nmから80nmが望ましく、さらには30nmから70nmが最適である。酸化クロム層6の膜厚が20nm未満の場合には十分な反射防止効果が得られず、その膜厚が80nmを越える場合は、透過光量が急激に減衰し、極端に厚い場合には干渉縞パターン3の隙間を埋めてしまう。
【0027】この反射防止層としての酸化クロム層6の作用を説明すると、複製用ホログラム原版10から同様の特性のホログラムを複製するためには、例えば、透明基板21上にフォトポリマーからなるホログラム感光材料層22とその表面に保護層23とを積層してなるホログラム乾板20を用意し、複製用ホログラム原版10のホログラム層2とホログラム乾板20の保護層23とを屈折率整合液15を介して密着させ、一方、複製用ホログラム原版10の裏面には、斜面12を有するプリズム11を密着させ、その斜面12から複製用照明光30を入射させる。この複製用照明光30がホログラムパターン3に入射してそこから0次透過光31、1次回折光32、2次回折光33等が発生するが、これらの光31、32、33等は上記のように光吸収層5で減衰され、ホログラム乾板20に入射してその界面(保護層23の表面、保護層23とホログラム感光材料層22の界面、ホログラム感光材料層22と透明基板21の界面、透明基板21の裏面)でフレネル反射されて再びホログラム層2に入射するが、その反射光34は反射防止層としての酸化クロム層6でほとんど反射されないため、再度ホログラム感光材料層22に達する光強度は十分に弱くなり、これら界面からの反射光に基づく不要干渉縞も形成され難くなる。なお、図2中、符号35は、酸化クロム層6を設けない場合の反射光を示す。
【0028】この実施例のように、透明基板1上に遮光材料のクロムからなる干渉縞パターン3を設け、その上に透過率調整層としてクロムからなる光吸収層5を設け、その上に反射防止層としての酸化クロム層6が設けられてなる複製用ホログラム原版10の上に、屈折率整合液15を介してホログラム乾板20を密着させ、複製用ホログラム原版10の裏面にプリズム11を密着させて、そのプリズム11の斜面12から複製用照明光30を入射させると、ホログラムパターン3から発生した0次透過光31と1次回折光32は、光吸収層5の透過率調整作用により光量比が略1:1に調整されて、ホログラム乾板20のホログラム感光材料層22中で干渉して、原版10と同様の回折特性を有する透過型ホログラムがホログラム乾板20中に効率的に複製される。
【0029】一方、ホログラムパターン3から発生した2次回折光33は、上記のように、光吸収層5で大幅に吸収されるため、この2次回折光33に基づく不要干渉縞は形成され難くなる。
【0030】また、ホログラム乾板20の界面でフレネル反射されて再びホログラム層2に入射する0次透過光31、1次回折光32、2次回折光33等は、反射防止層としての酸化クロム層6でほとんど反射されなくなるため、再度ホログラム感光材料層22に達する光強度は十分に弱くなり、これら界面からの反射光34に基づく不要干渉縞も形成され難くなる。
【0031】以下に、本発明の1つの具体例を示す。透明基板1上に遮光材料のクロムからなる干渉縞パターン3のみを設けた従来の複製用ホログラム原版と、上記のように、その干渉縞パターン3上にクロムからなる光吸収層5を設け、その上に反射防止層としての酸化クロム層6が設けた本発明の複製用ホログラム原版10とを比較すると次の表のようになった。測定は、波長543nmのS偏光で行った。
【0032】
従来の複製用 本実施例の複製用 ホログラム原版 ホログラム原版10 原版からの回折光強度 0次光 11.0% 0.9% 1次光 12.1% 1.1% 2次光 2.2% 0.1% 1次光/0次光 1.11 1.28 2次光/0次光 0.20 0.14 複製されたホログラム 1次光 87% 89% 2次光 3% 1% 不要干渉縞 多い 少ない上記の表から、ホログラム原版の段階において、2次光の0次光に対する比が本発明に基づいて減少していることが分かる。その結果、複製されたホログラムにおいて、不要な2次光が3%から1%に減少し、それに伴い本来の成分である1次光が87%から89%に増加している。また、目視で見られる不要干渉縞も大幅に減少している。
【0033】以上、本発明の複製用ホログラム原版を実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。例えば、反射防止層としての酸化クロム層6は省いてもよい。また、干渉縞パターン3を形成する遮光材料としてクロム以外の他の金属薄膜を用いてもよい。
【0034】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明の複製用ホログラム原版によると、干渉縞パターン上に設ける透過率調整層として金属薄膜が用いられているので、ホログラム乾板を交換しながら密着を繰り返しても、異物によってその透過率調整層に傷がつき難くなり耐久性が向上すると共に、その透過率調整層の作製が容易になる。
【出願人】 【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
【出願日】 平成12年3月22日(2000.3.22)
【代理人】 【識別番号】100097777
【弁理士】
【氏名又は名称】韮澤 弘 (外7名)
【公開番号】 特開2001−265201(P2001−265201A)
【公開日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願番号】 特願2000−80285(P2000−80285)