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【発明の名称】 透過型ホログラム作成方法
【発明者】 【氏名】武下 清和

【氏名】勝間田 正基

【要約】 【課題】透過型ホログラムの撮影や複製の際に、各ホログラム撮影用乾板に共通に適用できる裏面反射防止手段を用い、ホログラム撮影用乾板毎に裏面反射防止処理を施す必要がなく、大量生産に適した透過型ホログラム作成方法。

【解決手段】透過型ホログラム撮影時に、ホログラム撮影用乾板7裏面14からの反射を防止するために、ホログラム撮影用乾板裏面14に、インデックスマッチング液8を介して、裏面に光吸収層10を積層した透明基板9を表面側で積層する透過型ホログラム作成方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 透過型ホログラム撮影時に、ホログラム撮影用乾板裏面からの反射を防止するために、ホログラム撮影用乾板裏面に、インデックスマッチング液を介して、裏面に光吸収層を積層した透明基板を表面側で積層することを特徴とする透過型ホログラム作成方法。
【請求項2】 前記光吸収層が粘着層からなり、その粘着層の前記透明基板と反対側に樹脂フィルムが積層されていることを特徴とする請求項1記載の透過型ホログラム作成方法。
【請求項3】 前記光吸収層が色素を溶かした樹脂溶液を塗布乾燥してなる層であることを特徴とする請求項1記載の透過型ホログラム作成方法。
【請求項4】 透過型ホログラムの撮影が、前記ホログラム撮影用乾板の同じ側から物体光と参照光を入射させるホログラム撮影法であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の記載の透過型ホログラム作成方法。
【請求項5】 透過型ホログラムの撮影が、透過型ホログラム原版からの回折光と透過光とを前記ホログラム撮影用乾板の同じ側に入射させるホログラム複製法であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の透過型ホログラム作成方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透過型ホログラム作成方法に関し、特に、ホログラム撮影時に不要な干渉縞が発生するのを防止した透過型ホログラム作成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】透過型ホログラムは、ホログラム撮影用乾板の同じ側から物体光と参照光を入射させ、ホログラム撮影用乾板中のホログラム感光材料層中で両者を干渉させて撮影される。このようにして記録された透過型ホログラム、あるいは、計算機により干渉縞を計算し、その干渉縞を電子線ビームによって描画し、フォトリソグラフィーの手法で基板上に干渉縞を形成してなる透過型計算機ホログラム(透過型CGH)を透過型ホログラム原版とし、その透過型ホログラム原版の再生照明光入射側とは反対側に密着あるいは若干離間して別のホログラム撮影用乾板を配置し、原版側から再生照明光に相当する複製照明光を入射させて、ホログラム撮影用乾板のホログラム感光材料層中で、物体光に相当する回折光と参照光に相当する透過光とを干渉させて原版と同様の特性の透過型ホログラムが複製される。
【0003】このような透過型ホログラムの撮影や複製の際に、ホログラム撮影用乾板のホログラム感光材料層を支持している透明基板の裏面でホログラム感光材料層を透過した物体光と参照光が反射され、その反射光が再びホログラム感光材料層に反対側から入射して不要な干渉縞を形成してしまう。このような不要干渉縞は、不要な回折を起こし、ホログラムの再生特性を悪化させてしまう。
【0004】そこで、従来から、通常、透過型ホログラム撮影用乾板の裏面には、ホログラム感光材料層を透過したレーザー光を吸収する層(裏面反射防止層:撮影波長に応じて異なる吸収特性を持つ)を設け、透明基板裏面からの反射に起因する不要な干渉縞の発生を低減する方法が用いられている。
【0005】その方法としては、例えば、1)色素を溶かした樹脂溶液を基板裏面に塗布乾燥する方法が一般的であり、2)また、屈折率が整合した粘着剤を介してレーザー光を吸収する特性の粘着フィルムを用い、その使用によって1)の作業工程を簡素化した裏面反射防止層が本出願人により提案されている(特願平11−60209号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記1)、2)何れの方法も、ホログラム撮影用乾板一枚一枚毎にその裏面反射防止処理を施す必要があり、透過型ホログラムの大量生産に適しているとは言い難い。
【0007】本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、透過型ホログラムの撮影や複製の際に、各ホログラム撮影用乾板に共通に適用できる裏面反射防止手段を用い、ホログラム撮影用乾板毎に裏面反射防止処理を施す必要がなく、大量生産に適した透過型ホログラム作成方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明の透過型ホログラム作成方法は、透過型ホログラム撮影時に、ホログラム撮影用乾板裏面からの反射を防止するために、ホログラム撮影用乾板裏面に、インデックスマッチング液を介して、裏面に光吸収層を積層した透明基板を表面側で積層することを特徴とする方法である。
【0009】この場合、光吸収層が粘着層からなり、その粘着層の透明基板と反対側に樹脂フィルムが積層されているものとすることができる。
【0010】また、その光吸収層として、色素を溶かした樹脂溶液を塗布乾燥してなる層であってもよい。
【0011】なお、透過型ホログラムの撮影は、ホログラム撮影用乾板の同じ側から物体光と参照光を入射させるホログラム撮影法であっても、透過型ホログラム原版からの回折光と透過光とをホログラム撮影用乾板の同じ側に入射させるホログラム複製法であってもよい。
【0012】本発明においては、ホログラム撮影用乾板裏面に、インデックスマッチング液を介して、裏面に光吸収層を積層した透明基板を表面側で積層するので、撮影系に裏面に光吸収層を積層した透明基板を常に固定して、ホログラム撮影用乾板をインデックスマッチング液を介してその上に載置することで各撮影を行うことができ、ホログラム撮影用乾板一枚一枚毎に裏面反射防止層を設ける必要がなくなり、また、それに伴って撮影後にその裏面反射防止層をホログラム撮影用乾板から除去する必要もなく、工程が大幅に短縮できる。また、基本的にインデックスマッチング液のみの使用となるのでコストも低減でき、透過型ホログラムを容易に撮影あるいは複製でき、大量生産に適した方法となる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の透過型ホログラム作成方法を実施例に基づいて説明する。
【0014】図1に、本発明の1実施例として、透過型ホログラム原版からホログラム複製法によりその原版と同様の特性の透過型ホログラムを複製する場合を例にあげて説明する。
【0015】図1はこのようなホログラム複製をする際の配置を示す図であり、例えば透過型CGHからなる透過型ホログラム原版1の上に、複製照明光11を効率良く入射させるためのプリズム2を配置し、その反対側にインデックスマッチング液3を介してホログラム撮影用乾板7を配置する。
【0016】ホログラム撮影用乾板7は、透明基板6の上に例えばフォトポリマーからなるホログラム感光材料層5が設けられ、その表面に保護層4が形成されている。
【0017】ホログラム撮影用乾板7の透明基板6の裏面14側には、インデックスマッチング液8を介して、反対側の面上に光吸収層10を設けた透明基板9が積層される。
【0018】ここで、透明基板9の裏面の設けられる光吸収層10としては、従来の技術の項の1)で説明した色素を溶かした樹脂溶液を透明基板9裏面に塗布乾燥してなる光吸収層、あるいは、1)で説明した特願平11−60209号の屈折率が整合した粘着剤を介してレーザー光を吸収する特性の粘着フィルムである。
【0019】このような層配置で透過型ホログラムを撮影あるい複製するので(図1の場合は複製であるが、原版1とプリズム2を外し、物体光と参照光を同じ側から入射させる場合は、通常の透過型ホログラムの撮影になる。)、保護層4側から入射した回折光12と直進透過光13はホログラム感光材料層5と透明基板6を通り、透明基板6の裏面14に達する。その裏面14に屈折率差がある場合はこの面で反射光15が発生するが、インデックスマッチング液8が介在するので、ほとんど反射せず積層された透明基板9に達し、その裏面に密着して固定されている光吸収層10で略吸収され、不要干渉縞を形成しない。
【0020】このように、裏面に光吸収層10を積層した透明基板9からなる裏面反射防止手段20が、インデックスマッチング液8を介して、ホログラム撮影用乾板7の裏面14に容易に取り外し可能に積層されるので、従来のように、ホログラム撮影用乾板7一枚一枚毎に裏面反射防止処理を施す必要がなく、透過型ホログラムを容易に撮影あるいは複製でき、大量生産に適した方法となる。
【0021】ここで、裏面反射防止手段20の透明基板9と、ホログラム撮影用乾板7の透明基板6と、インデックスマッチング液8の屈折率が相互に略同じであることが望ましい。屈折率が完全に合っていれば、裏面反射防止効果はホログラム撮影用乾板7の裏面14に光吸収層を設けた場合と同等となる。屈折率がある程度以上ずれてくると、撮影された透過型ホログラムの性能は劣ってくることになる。
【0022】なお、裏面反射防止手段20の基板9は、レーザー光を吸収する色素を内部に含むものでもよい。基板自体にも吸収を持たせることで、裏面反射防止効果のさらなる向上が図れる。なお、このような色素入り透明基板を使用した場合、色素濃度が高く、厚みが十分な場合は、基板本体でレーザー光が吸収できるので、光吸収層10は設けなくともよい。
【0023】以下に、具体例を示す。透過型ホログラム撮影波長として486nmの光を用いた。以下に示す屈折率nはこの波長における屈折率である。
【0024】ホログラム撮影用乾板7の透明基板6と、裏面反射防止手段20の透明基板9には、コーニング社製 無アルカリガラス1737(商品名)、n=1.526を用いた。
【0025】光吸収層10としては、特願平11−60209号の実施例1に記載されたホログラム形成用粘着フィルムを用いた。そのホログラム形成用粘着フィルムは以下のような構成のものである。
【0026】アクリル系粘着剤であるSKダイン1604N(商品名:綜研化学社製)とキシレン系タッキファイヤー樹脂であるパインクリスタルKE−100〔商品名:荒川化学社製、屈折率1.5946(486nm)〕を6対4の質量比率で混合し、さらにエポキシ系硬化剤であるE−AX(商品名:綜研化学社製)を3.0重量%添加して、ホログラム撮影波長486nmにおける屈折率が1.52の屈折率整合粘着剤組成物を得た。これに着色剤として赤色染料Kayaset Red A−BR(日本化薬製)を0.5wt%添加して、着色剤入り屈折率整合粘着剤組成物を得た(屈折率1.52)。その粘着剤組成物を支持フィルムとしてのPETフィルム(厚さ50μm)上に厚さ100μmで均一に塗布することにより粘着層を形成してホログラム形成用粘着フィルムを得た。
【0027】このホログラム形成用粘着フィルムを光吸収層10とし、その粘着フィルムにおける粘着層上に、屈折率1.526の透明基板9(コーニング社製 無アルカリガラス1737(商品名))を貼り合わせて裏面反射防止手段20を構成した。
【0028】インデックスマッチング液8として、具体例■においては、カーギルオイルn=1.515、具体例■においては、キシレンn=1.506を用いた。
【0029】以上のような材料を用いて、本発明の裏面反射防止手段20の裏面反射防止効果を確認するために以下の実験を行った。
【0030】波長488nm、S偏光のレーザー光を入射角度50°〜80°の範囲で入射させたときの全体の反射率を測定した。
【0031】層構成は、■透明基板6(ホログラム撮影用乾板7を想定)/インデックスマッチング液8:カーギルオイル/裏面反射防止手段20の透明基板9/光吸収層10のホログラム形成用粘着フィルム■透明基板6(ホログラム撮影用乾板7を想定)/インデックスマッチング液8:キシレン/裏面反射防止手段20の透明基板9/光吸収層10のホログラム形成用粘着フィルム<比較例>■透明基板6(ホログラム撮影用乾板7を想定)/ホログラム形成用粘着フィルムとした。
【0032】この具体例■〜■の測定結果は次の表の通りである。
【0033】

この結果をグラフに示すと図2のようになる。
【0034】以上の結果から、■のように使用するインデックスマッチング液8と透明基板6、9の屈折率が略合っている場合、上記のように作業工程を短縮した中で、直接ホログラム撮影用乾板7にホログラム形成用粘着フィルムを貼った■の場合と遜色ない裏面反射防止効果が確認できた。
【0035】■で使用したキシレンのように、屈折率整合がずれると、裏面反射防止効果は劣化する。ただし、キシレンは安価で揮発性が良い長所があり、ホログラム裏面反射の影響、程度を考慮してインデックスマッチング液8の種類を選択して使用すればよい。
【0036】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明の透過型ホログラム作成方法によると、ホログラム撮影用乾板裏面に、インデックスマッチング液を介して、裏面に光吸収層を積層した透明基板を表面側で積層するので、撮影系に裏面に光吸収層を積層した透明基板を常に固定して、ホログラム撮影用乾板をインデックスマッチング液を介してその上に載置することで各撮影を行うことができ、ホログラム撮影用乾板一枚一枚毎に裏面反射防止層を設ける必要がなくなり、また、それに伴って撮影後にその裏面反射防止層をホログラム撮影用乾板から除去する必要もなく、工程が大幅に短縮できる。また、基本的にインデックスマッチング液のみの使用となるのでコストも低減でき、透過型ホログラムを容易に撮影あるいは複製でき、大量生産に適した方法となる。
【出願人】 【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
【出願日】 平成12年3月22日(2000.3.22)
【代理人】 【識別番号】100097777
【弁理士】
【氏名又は名称】韮澤 弘 (外7名)
【公開番号】 特開2001−265197(P2001−265197A)
【公開日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願番号】 特願2000−79634(P2000−79634)