| 【発明の名称】 |
加熱ローラ |
| 【発明者】 |
【氏名】藤田 貴史
【氏名】田口 泰彦
【氏名】越後 勝博
【氏名】由良 純
【氏名】町田 秀則
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| 【要約】 |
【課題】高湿環境に放置された状態の直後の使用を繰り返しても、各層の密着を長期にわたって確保し、局部的な温度上昇を防ぎ、温度ムラがなく、絶縁層や発熱層の耐久性を確保し、かつ、熱容量を低下させウォームアップタイムを短縮させ、昇温時間の増加がない直接加熱方式の定着ローラを提供する。
【解決手段】ローラ基体内周面に接着層、絶縁層を介して抵抗体が配置され、該抵抗体に通電して発熱させる電子写真記録装置用熱定着装置において、接着層と絶縁層の少なくともいずれかが吸湿性であり、絶縁層内周面又は発熱層内周面に防湿層を有することを特徴とする発熱ローラ。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ローラ基体内周面に接着層、絶縁層を介して抵抗発熱体からなる発熱層が配置され、該抵抗発熱体に通電して発熱させる電子写真記録装置用熱定着装置において、該接着層と該絶縁層の少なくともいずれか1つが吸湿性であり、絶縁層内周面に防湿層を有することを特徴とする加熱ローラ。 【請求項2】 ローラ基体内周面に接着層、絶縁層を介して抵抗発熱体からなる発熱層が配置され、該抵抗発熱体に通電して発熱させる電子写真記録装置用熱定着装置において、該接着層と該絶縁層の少なくともいずれか1つが吸湿性であり、発熱層内周面に防湿層を有することを特徴とする加熱ローラ。 【請求項3】 防湿層が、透湿性の低い耐熱性樹脂フィルムである請求項1又は2に記載の加熱ローラ。 【請求項4】 防湿層が、耐熱性樹脂フィルムにシリカ又はアルミナをコーティングしたものである請求項1又は2に記載の加熱ローラ。 【請求項5】 防湿層が、シリカ又はアルミナである請求項1記載の加熱ローラ。 【請求項6】 防湿層が金属箔であり、少なくとも発熱体接触側が絶縁性部材で覆われている請求項2記載の加熱ローラ。 【請求項7】 抵抗発熱体が金属であり、防湿層が金属箔であり、防湿層と抵抗発熱体とが同一層内周面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の加熱ローラ。 【請求項8】 防湿層が発熱層より薄いことを特徴とする請求項7記載の加熱ローラ。 【請求項9】 絶縁フィルム上に金属箔を形成し、該金属箔をエッチングにより所望のパターンに形成した後に発熱箇所にマスキングし、発熱箇所以外の金属部分をエッチングして薄く加工する請求項8記載の加熱ローラの加工方法。 【請求項10】 抵抗発熱体が絶縁層のほぼ全面に形成され、発熱層と防湿層とを兼ることを特徴とする請求項7記載の加熱ローラ。 【請求項11】 抵抗発熱体が回路とならないためのリブを設けたことを特徴とする請求項11記載の加熱ローラ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真複写機、ファクシミリ、プリンタなどの電子写真プロセスを利用した機器に使用される加熱定着装置の加熱ローラに関する。 【0002】 【従来の技術】電子写真におけるトナー画像の定着方法としては、加熱定着方法、圧力定着方法、溶剤定着方法等が知られている。加熱定着方法は、トナーを熱によって溶融させ、用紙に圧力をかけて固着させる方法で、広く採用されており、この加熱定着方法において、最も一般的な方法は金属ローラの内面を、ハロゲンランプで加熱する方法である。 【0003】金属ローラの内面を、ハロゲンランプで加熱する方法は、輻射熱を利用するものでエネルギーの変換効率が悪く、このため消費電力が多く、またウォームアップタイムが長いという欠点がある。この欠点を解決する手段の1つとして、金属芯金に絶縁層を介して発熱層を設けた、又は絶縁性の芯金に発熱層を設けた、直接加熱方式の定着ローラが提案されている。このような加熱ローラにおいては、各層は互いに密着した状態でなければ、均一で効率のよい熱伝達を得ることはできない。発熱層が絶縁層から離れると、その部分はローラ表面の温度が上昇しないのみならず、発生した熱が絶縁層及び芯金に伝達されないため、発熱層自体が局部的に異常加熱を起こし、最悪の場合絶縁層が破壊して電流のリークが起きたり、耐圧不足(電気用品取締法では基礎絶縁が1kV必要とされている)が生じたりする。また、当然ながら絶縁層が芯金から離れるとその部分はローラ表面の温度が上昇せず、ローラ表面上に温度ムラが生じたり、昇温時間が長くなったりする。なお、芯金が電気的に他の電気回路と絶縁されている場合には、漏電などの危険は発生しないため、上記耐圧は必ずしも要求されない。 【0004】以上の対応として、一般的には耐熱性に優れた接着層及び絶縁層が必要となる。しかしながら、耐熱性に優れた接着層及び絶縁層を使用する場合に、かつ、ヒートサイクルの繰り返しに対して、密着性が保たれる構成であっても、接着層又は絶縁層が吸湿性材料の場合は、高湿環境(例えば、梅雨時における平均30℃、湿度70%の場合)に1週間以上長期放置されると接着層又は絶縁層に、例えば、単位面積当たり0.07mg/cm2程度以上の水分が吸湿され、その放置後に通電加熱を行うと急激に水分の気化膨張(0.07mgの水は、150℃では、0.13cm3の水蒸気となる)が起こり、絶縁層が膨れ上がり、上記密着状態が保たれなくなる現象が発生する。 【0005】特開平8-305200号公報には、ローラ内周面のポリイミドフィルム上に抵抗部材が形成された発熱部材を耐熱性樹脂部材のブロー成形により固定することが開示されているが、単なる耐熱性樹脂では防湿効果は得られない。 【0006】抵抗発熱体が防錆に優れたCrを18%以上含むSUS以外の金属箔を使用する場合、又は同様な金属を含んだガラス、セラミックなどを使用する構成の場合、吸湿に起因する、酸化による抵抗増加による発熱量低下、それに伴う昇温時間の増加という問題も生じる可能性がある。 【0007】また、抵抗発熱体は、一定のパターンを有するので、通常、発熱体と発熱体との間には間隙があり、その部位で絶縁層が一部露出して、高湿環境の場合、この露出している絶縁層部位から吸湿するという問題点がある。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の問題点を解決し、高湿環境に放置された状態の直後の使用を繰り返しても、各層の密着を長期にわたって確保し、局部的な温度上昇を防ぎ、温度ムラがなく、絶縁層や発熱層の耐久性を確保し、かつ、熱容量を低下させウォームアップタイムを短縮させ、昇温時間の増加がない直接加熱方式の定着加熱ローラを提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、このため鋭意検討を重ねた結果、電子写真記録装置に使用される熱定着装置において、加熱ローラに防湿層を組み合わせることにより、上記問題が解決されることを見出し、本発明を解決した。 【0010】すなわち、本発明の第1は、ローラ基体内周面に接着層、絶縁層を介して抵抗体が配置され、該抵抗体に通電して発熱させる電子写真記録装置用熱定着装置において、接着層と絶縁層の少なくともいずれかが吸湿性であり、絶縁層内周面に防湿層を有することを特徴とする加熱ローラである。 【0011】また、本発明の第2は、ローラ基体内周面に接着層、絶縁層を介して抵抗体が配置され、該抵抗体に通電して発熱させる電子写真記録装置用熱定着装置において、接着層と絶縁層の少なくともいずれかが吸湿性であり、発熱層内周面に防湿層を有することを特徴とする加熱ローラである。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、図面により本発明の加熱ローラの構成を説明する。図1が本発明の第1の態様を示す説明図である。すなわち、ローラ芯金12の外側に離型層11を有し、芯金内側に、接着層4、絶縁層3、接着層2、防湿層10、発熱層1の順に構成されている。 【0013】図2に本発明の第2の態様を示す。ローラ芯金12の外側に離型層11を有し、芯金内側に接着層4、絶縁層3、接着層2、発熱層1、防湿層10の順に構成されている。 【0014】耐熱性を有する接着層は、各層の間に必要に応じて使用される。電気は外部より電気ブラシ(図示せず)を通じて電極から発熱層1に給電される。離型層11にはPFAやPTFE樹脂が使用される。芯金12はアルミニウムや鉄など金属材料で形成される。絶縁層3にはポリイミド樹脂、アラミド樹脂、マイカなどの耐熱性絶縁材料を用いる。 【0015】定着装置の加熱ローラの接着層及び絶縁層に用いる樹脂としては、180℃以上の耐熱性を有する樹脂が好ましく、シリコーン樹脂及びポリイミド樹脂が特に好ましい。特に、接着層をシリコーン樹脂又はポリイミド樹脂、絶縁層をシリコーン含有マイカ、ポリイミドフィルムで形成することが有利である。また、耐熱性の確保のためピンホールに注意が必要だが、接着絶縁を兼ねた層をシリコーン接着剤、ポリイミド接着剤のみ、あるいは、シリコーン接着剤、ポリイミド接着剤と無機充填材で構成することも可能である。接着剤はワニス状でも、熱可塑性ポリイミドシートのようなシート状でもよい。これらの構成で、発熱層を金属箔の蛇行パターン又は金属を含んだガラスセラミック層又は炭素フィルム層とし、1分ごとの断続通紙及び連続通紙を行った結果、いずれも電子写真装置の定着装置として十分な5万枚以上の耐久性が得られた。 【0016】しかし、これらを30℃,70%の高湿度下に1週間放置し、直後に通電加熱を行ったところ、ポリイミド樹脂を接着層又は絶縁層のいずれかに有する構成では、絶縁層−芯金間に膨れが発生し、この繰り返しにより発熱体の密着性が低下し、先に述べた1温度ムラ及び絶縁破壊が発生した。また、この評価で発熱体に防錆に優れたSUS以外の金属を含んだ構成では、発熱体の抵抗変化による発熱量低下が見られた。これにより、昇温時間が初期に比べて長くなった。これは、疏水性であるシリコーン樹脂に対し、ポリイミド樹脂のイミド結合の極性により、水を吸着する性質のためである。極性のあるアミド結合を含んだポリアミド樹脂などでも同様な現象が発生する。この現象は防湿層を設けることで解決できる。 【0017】防湿層はそれ自体が水分を透過しない(又は非常に少ない)ことと、吸収しない(又は非常に少ない)ことが必要である。このために、防湿層には、透湿性の低い耐熱性樹脂フィルムを用いることができる。例えば、低吸湿アラミドフィルムなどがあげられる。 【0018】防湿層が、耐熱性の樹脂フィルムにシリカ(SiOx)又はアルミナ(Al2O3)をコ−ティングしたものであることができる。耐熱性の樹脂フィルムには、例えば、低吸湿アラミドフィルム、PETフィルムなどがあげられる。 【0019】絶縁層内周面に防湿層を有する構成の発熱ローラでは、シリカ(SiOx)又はアルミナ(Al2O3)をそのまま防湿層として用いることもできる。 【0020】発熱層内周面に防湿層を有する構成の発熱ローラでは、防湿層を少なくとも発熱体接触側が絶縁性部材で覆われている金属箔とすることもできる。用いられる金属には、例えばステンレススチール、アルミニウム、鉄などが使用される。 【0021】また、防湿層に金属が用いられる場合、求められる条件として、発熱体に流れる電気が防湿層に流れないことが必要である。上記の加熱ローラは発熱体接触側が絶縁性部材で覆われている防湿層を形成している。それ以外の方法として、1)防湿層と発熱層が接触しない方法。 2)防湿層と発熱層が狭い領域で1ヶ所接しているが防湿層が回路を作らず、防湿層には電気が流れない方法、がある。 【0022】また、発熱層を絶縁層上全体に形成し、防湿層と兼ねることも可能である。 【0023】上記のように絶縁層上に発熱層、防湿層を設けることにより防湿層側絶縁層を省き、ローラの熱容量を小さくすることができる。 【0024】 【実施例】表1のような構成の実施例1〜9のローラを作成した。実施例1〜4では、発熱層外周に防湿層を配置している。実施例5〜9では、発熱層内周に防湿層を有している。芯金は径30mm、ローラ表面には離型層としてPFA樹脂を形成してある。芯金は防錆処理を行った鉄で肉厚0.35mmとした。発熱体は厚さ50μmのSUS箔を、両端電極間抵抗が8Ωになるように、蛇行させたパターンにプレス成形したものを用いた。また、比較例1〜3として、防湿層を有しない従来のローラ、比較例4〜5として、発熱層外周にPFAフィルム又はPETフィルムを有するもの、並びに比較例6〜7として、発熱層内周にPFAフィルム又はPETフィルムを有するものを作成した。 【0025】 【表1】
【0026】上記構成の発熱ローラで径30mmの発砲シリコーンゴム製の加圧ローラとユニットを構成し、30℃、70%湿度で1週間放置−通紙100枚を繰り返し、耐久性を確認した。その結果を表2に示す。 【0027】 【表2】
【0028】実施例10発熱体と防湿層(共に金属製)で絶縁層の全面を覆った。図4にその断面図を示す。また、図7に示したとおり、絶縁層上に微小隙間を介して発熱層と防湿層が形成されている。 【0029】実施例11図5は、図4の構成で防湿層が発熱体より薄くなっている。発熱体は所望の抵抗を得るためにパターン、幅、長さ等々が決まってくる。抵抗発熱体の厚さはSUSの場合、20〜100μmである。しかし防湿層は金属であれば、厚さ数μmで十分な防湿効果がある。 【0030】実施例12図8のようなパターンの発熱体と絶縁層を芯金内周面に形成した。発熱体には回路にならないリブが設けられ、絶縁層全面を覆っている。発熱体14はプレス加工で作製した。 【0031】実施例10〜12を実施例1〜9と同じ条件での耐久性を確認した。さらにウォームアップタイムは従来の定着ローラに比べて5〜10%早くなった。 【0032】実施例10の加熱ローラの加工を以下のように行った。図4の発熱体と防湿層の形成方法は発熱体上に絶縁層を形成(金属箔に塗装でも、絶縁シート貼り付けでも可)し、所望のパターンにマスキングの後エッチングすることで得られる。上記加工の後、発熱体箇所のみをマスキングし、更にエッチングを行うことで図5のような発熱体より薄い防湿層が形成される。防湿層を薄くすると熱容量が低下し、ウォームアップタイムが更に短縮することが見込まれる。 【0033】 【発明の効果】その結果、表1,2のように水蒸気バリア性の高い防湿層を有する構成では、吸水量の低減が得られ、安定した層構成の密着により、温度ムラがなく、昇温時間の増加がない直接加熱方式の定着ローラが得られた。本発明の発熱ローラでは、接着層又は絶縁層への吸湿が防止されるため、高湿状態に放置後の使用を繰り返しても層構造の密着が保たれ、温度ムラ、耐圧不足が生じない。更に上記に加えて下記の作用効果がある。 【0034】抵抗発熱体と防湿層が同一面に形成されているものでは、防湿層−発熱層間の絶縁層を省けるのでローラの熱容量が小さくなるため、ウォームアップタイムが短縮される。 【0035】防湿層が薄いものでは、ローラの熱容量が小さくなるため、ウォームアップタイムが短縮される。 【0036】抵抗発熱体が絶縁層上のほぼ全面に形成されるものでは、発熱層が防湿層を兼ねることができ、構成が簡単になり、ローラ製作が容易になる。また、絶縁層が省けるのでローラの熱容量が小さくなるため、ウォームアップタイムが短縮される。 【0037】抵抗発熱体に回路にならないリブを設けたものでは、リブが防湿層の役割を果たす。また、一本化されるため、発熱層と防湿層の位置決めが不要となり、発熱層と防湿層(リブ)をプレス加工などエッチングに比べ安く大量に加工できる。 【0038】請求項5の加工方法により、絶縁層と防湿層の位置が確実に決まり、かつ、防湿層を選択的に薄く加工できる。 【0039】発熱体は実施例の例に限らず、他の発熱体でも同様の効果を確認している。また、絶縁、接着層はポリイミドに限らず、耐熱性のものが用いられるが、シリコーン以外の耐熱性樹脂は、イミド結合に代表されるような極性を有しているものが多く、吸水性を有するものが多いので、本発明の加熱ローラは電子写真記録装置用熱定着装置の分野で非常に有用である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006747 【氏名又は名称】株式会社リコー
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| 【出願日】 |
平成12年4月26日(2000.4.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100071478 【弁理士】 【氏名又は名称】佐田 守雄
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| 【公開番号】 |
特開2001−305899(P2001−305899A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月2日(2001.11.2) |
| 【出願番号】 |
特願2000−125547(P2000−125547) |
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