トップ :: G 物理学 :: G03 写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ




【発明の名称】 画像形成方法
【発明者】 【氏名】富田 邦彦

【要約】 【課題】低温度定着にて、溶融粘度の低いトナーによる画像形成を行ってもオフセットを起こすことなく、かつ光沢と艶消しの中間調の画像を得る。

【解決手段】発熱体2で加熱された定着ローラ1と加圧ローラ3で被定着物5を挟持して被定着物5上のトナー5aを加熱溶融する。さらに冷却部4により定着ローラ1が冷却され被定着物5上のトナー5aが冷却されて軟化点あるいは融点以下になった後、定着ローラ1より被定着物5が引き剥がされる。このとき、定着ローラ1のトナー5aに接触する側の面は表面粗さRzが1μm以上100μm以下としてあるため、溶融粘度の低いトナー5aの表面に凹凸が形成されて、定着ローラ1上のトナー5aの表面は光沢と艶消しの中間調の画像となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 静電気を利用した静電荷現像装置において、発熱体を有しローラ状あるいはベルト状である定着部材と一対の加圧部材とから成る定着部に、トナーによる粉像が形成された被定着物を搬送させ、前記トナーの軟化点あるいは融点以上の状態まで加熱を行い、前記トナーの溶解後に加熱を停止して冷却し、前記トナーの温度が軟化点あるいは融点以下となったときに、前記定着部において前記被定着物を前記定着部材から引き剥がす画像形成方法であって、前記定着部材と前記加圧部材間の加圧力により前記被定着物を挟持させて画像形成する前記定着部材に光沢と艶消しの中間調の画像を得る表面粗さを有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】 前記定着部材の表面粗さRzが1μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項3】 前記定着部材と前記加圧部材間の加圧力を、トナーの軟化点あるいは融点以上の温度における溶融粘度をηとすると、線圧でP=((9/5)×Logη−4/5)/15からP=((1/100)×Logη)/15[9.8×100 N/m]とすることを特徴とする請求項2記載の画像形成方法。
【請求項4】 前記トナーの溶融粘度が、軟化点あるいは融点以上の温度において10〜1013 [c poise]であることを特徴とする請求項3記載の画像形成方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機やファクシミリ、プリンタ等に用いられている静電気を利用した静電荷現像する電子写真方式を用いる画像形成方法であり、特に光沢と艶消しの中間調の画像を形成する画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の定着方式によれば、定着部で加熱しながら挟み込みトナーを押しつぶし定着を行うわけであるが、この定着方式に用いられるトナーは、軟化から完全溶融状態までのいわゆるゴム域の範囲内においては樹脂の粘度が非常に高いため、自己凝集力が高く定着ローラにトナーの一部が接着するオフセットの発生はない。しかし、完全溶融状態になると樹脂の粘度の低下が著しく、自己凝集力の低下が起こることから定着ローラに一部トナーが接着するという現象が起こる。したがって、実際の熱定着においてはトナーのゴム域範囲内における粘度範囲で定着が行われている。このように、ゴム域状態の粘度が高いトナーに使用される樹脂の融点はかなり高くなり、必然的に定着温度を上げざるを得ず、定着に必要な熱エネルギーは莫大となる。
【0003】しかし、昨今、地球環境の保全のために省資源及び省エネルギーの要求が高まっており、電子写真方式を用いる画像形成装置においても、省エネルギーのために消費電力を抑える動きが活発化している。特に電力消費の激しい定着を行う分野においても低温度定着化が進んでいる。この低温度定着を実現するためには、当然トナーの軟化点あるいは融点を下げざるをえず、このためトナーに使用されている熱可塑性の樹脂の特性として、軟化点あるいは融点が下がると必然的に溶融粘度も下がるという性質がある。
【0004】この性質は熱可塑性の樹脂の軟化点あるいは融点は樹脂の分子量,分子量分布,結晶化度,架橋度,分子間力等によって決まり、同一構造の樹脂の軟化点あるいは融点を下げるためには、このうちの分子量,架橋度を下げるか、分子量分布を狭くせざるを得ない。そして、分子量分布は樹脂の保存性の限界から下限が決まってくるので、分子量自体を下げると必然的に狭くなってしまう。一般に分子量を下げると分子鎖は短くなるために絡み合いが緩くなり溶融粘度は下がる。また、分子量分布が狭くなってもやはり分子鎖の絡み合いが緩くなり溶融粘度は下がる。さらに、分子間の架橋度を下げるとそれぞれの分子が動きやすくなるために溶融粘度は下がる。
【0005】トナーの溶融粘度が低いということは、当然ゴム域状態における粘度の低下も著しく、このような粘度の低いトナーに至っては定着時に加熱溶融され溶融粘度が低いがために引き剥がしの際トナーの一部が定着部材に接着しトナー層が層間剥離状態となるホットオフセットを起こし、一般的な熱ローラ定着では使用できない。この問題を補助的に解決する方法として定着部材へのオイル塗布があるがトナーの粘度の低下と共に離型効果の発現は不完全なものとなる。
【0006】このような溶融粘度が下がった状態のトナーであっても、特公昭51―29825号公報の電子写真の定着方法や、特開昭63−118291号公報,特開昭63−118292号公報,特開昭63−118293号公報の熱転写記録方法に開示されるような技術により、オフセットすることなく定着することができる。
【0007】特公昭51―29825号公報に記載されるものは、フィルムシートを利用した定着部で被定着物に熱を印加した後、フィルムシートと被定着物の密着を保ったまま冷却を行いトナーが固化した後引き剥がすというものであり、さらに強制冷却の概念も盛り込まれており、具体的な強制冷却方法として送風、水冷が挙げられている。
【0008】また、ホットメルト印字媒体の公知技術として特開昭63−118291号公報,特開昭63−118292号公報,特開昭63−118293号公報に記載されるように、ワックスを主成分としたような粘度の低いホットメルト印字媒体であっても連続的な稼働状態でフィルムに対してオフセットの生ずることのない定着ができるようになった。一般に熱転写の印字媒体は主成分がワックスであり、ワックスの粘度は10から104程度であり、このような低粘度の印字媒体であってもオフセットが発生することはない。
【0009】具体的には、これら技術は加熱溶融後、示差走査熱量計(DSC)で測定した温度がトップピーク値以下の温度に下がってからフィルムシートを引き剥がすというものである。特に、特開昭63―118291号公報では冷却方法として空気吹き付け、または冷媒として水、フレオンガス等で強制的に冷却を行うことが、特開昭63―118292号公報ではフィルムシートと被転写体とを密着した状態で冷却部を通過させることが、また特開昭63―118293号公報ではフィルムシートと被転写体とを引き剥がす機構を設け、また引き剥がすまでの間フィルムシートと被転写体を密着した状態に保つ機構も設けていることが記載されている。
【0010】これらの効果としてはフィルムシート(定着部材)上に印字媒体(トナー)が残る現象(いわゆるオフセット)を防止している。したがって、この方式によれば従来の方式に比べて、溶融粘度の低いトナーでもオフセットを起こすことなく使用することができる。
【0011】しかし、従来使用しているような1013 [c poise]以上の溶融粘度が高めのトナーであれば特に問題はないが、1013 [c poise]以下のトナーを用いると、溶融粘度が低いために定着部材で簡単に押しつぶされ、トナーの表面が定着部材の表面粗さに沿ってエンボスされてしまう。したがって、定着部材の表面が平滑であれば高光沢になり、表面粗さが粗ければ完全な艶消し画像となっている。
【0012】また、従来のカラートナーを用いたフルカラーの画像形成方法として、マゼンタトナー、シアントナー及びイエロートナーの3色の有彩色トナーを用いる画像形成方法、または、この3色の有彩色トナーにブラックトナーを加えて4色のトナーを用いる画像形成方法が提案,実施されている。これらの画像品質はいずれも高光沢を狙っており、この光沢画像はデジタルカメラの写真画像の出力や銀塩写真のコピーとしての出力としてはそこそこの画像が得られている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年のコンピュータの普及によって、この画像形成方法による出力の利用される範囲は広がり、ビジネス用途のプレゼンテーション用の画像や表,グラフの作成、あるいは、CADの出力端末としても使用されるに至って、この高光沢となる出力のために、光ってみにくいという問題が発生している。
【0014】この照り返しを避けるためには画像の光沢を消して艶消し画像とすれば良いが、この場合には写真画像において光沢がないために、写真画像の鮮やかさや色調が失われ品位の低いものとなってしまい、これら写真用途とビジネス用途を同時に満足する光沢と艶消しとの中間調の画像を得ることができる画像形成方法が望まれている。
【0015】本発明は、前記従来技術の問題を解決することに指向するものであり、低温度定着を行う際に、溶融粘度の低いトナーによる画像形成を行ってもオフセットを起こすことなく、かつ光沢と艶消しの中間調の画像を得る画像形成方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために、本発明に係る画像形成方法は、静電気を利用した静電荷現像装置において、発熱体を有しローラ状あるいはベルト状である定着部材と一対の加圧部材から成る定着部に、トナーによる粉像が形成された被定着物を搬送させ、トナーの軟化点あるいは融点以上の状態まで加熱を行い、トナーの溶解後に加熱を停止して冷却し、トナーの温度が軟化点あるいは融点以下となったときに、定着部において被定着物を定着部材から引き剥がす画像形成方法であって、定着部材と加圧部材間の加圧力により被定着物を挟持させて画像形成する定着部材に艶消し画像を得る表面粗さを有し、その表面粗さRzが1μm以上100μm以下であることを特徴とする。
【0017】また、前記定着部材と前記加圧部材間の加圧力を、トナーの軟化点あるいは融点以上の温度における溶融粘度をηとすると、線圧でP=((9/5)×Logη−4/5)/15からP=((1/100)×Logη)/15[9.8×100 N/m]とする。
【0018】さらに、前記トナーの溶融粘度が、軟化点あるいは融点以上の温度において10〜1013 [c poise]であるように構成したものである。
【0019】前記構成によれば、被定着物に当たる定着部材の面の表面粗さRzが1〜100μmであれば、トナー溶融時にトナーの溶融粘度が低下して押しつぶされても表面粗さにより凹凸が形成されて、表面の光は乱反射することから光沢と艶消しの中間調の画像が得られ、また加圧力をトナーの軟化点あるいは融点以上の温度における溶融粘度をηとすると、線圧でP=((9/5)×Logη−4/5)/15からP=((1/100)×Logη)/15[9.8×100 N/m]であれば、トナーの接着性やトナー画像の再現性を損なうことなく光沢と艶消しの中間調の画像が得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明における実施の形態を詳細に説明する。
【0021】図1は本発明の実施の形態における実施例1である画像形成装置の定着部の機構を示した図である。図1において、1は定着ローラ、2は発熱体、3は加圧ローラ、4は冷却部、5は被定着物、5aはトナーである。
【0022】図1に示す実施例1では、ハロゲンランプ等の発熱体2で加熱された定着ローラ1と加圧ローラ3で被定着物5を挟持して被定着物5上のトナー5aを加熱溶融する。さらに冷却部4により定着ローラ1が冷却され被定着物5上のトナー5aが冷却されて軟化点あるいは融点以下になった後、定着ローラ1より被定着物5が引き剥がされる。このとき、定着ローラ1のトナー5aに接触する側の面は表面粗さRzが1μm以上100μm以下としてあるため、溶融粘度の低いトナー5aの表面に凹凸が形成されて、定着ローラ1上のトナー5aの表面は光沢と艶消しの中間調の画像となり易い。この図1において、冷却部4は回転するローラ状の形状でも良いし、固定されていてもよく、どのような形状であっても良い、また、内部に水等の冷媒を通して積極的に冷却を行っても良い。
【0023】図2は本実施の形態における実施例2である画像形成装置の定着部の機構を示した図である。図2において、1は定着ローラ、1aは定着ベルト、1bは補助ベルト、2は発熱体、3,3′は加圧ローラ、5は被定着物、5aはトナー、6は冷却ローラである。
【0024】図2に示す実施例2では実施例1の定着ローラ1の代わりに、定着ローラ1を使用してその上にエンドレスのフィルムまたはシートから成る無端ベルトの定着ベルト1aが冷却ローラ6と共にかけられている。また、加圧ローラ3は定着ベルト1aを介して定着ローラ1と被定着物5を挟持する加圧ローラであり、加圧ローラ3′と共に補助ベルト1bがかけられている。したがって、これは図1に示す実施例1の定着ローラ1に代えて定着ベルト1aを介するようにした形状でありその効果は同様である。また、このとき加圧ローラ3′及び補助ベルト1bはなくても良い。
【0025】また、冷却ローラ6で冷却せずに定着ローラ1及び冷却ローラ6の間で空気等を吹き付けて冷却しても良いし、あるいは定着ローラ1及び冷却ローラ6の距離を充分とって自然冷却しても良い。
【0026】そして、トナー5aが冷却され軟化点あるいは融点以下になった後、定着ベルト1aより被定着物5が引き剥がされる。さらに、定着ベルト1aがトナー5aに接触する側の面は、表面粗さRzを1μm以上100μm以下としてあるため被定着物5上の溶融粘度の低いトナー5aの表面は光沢と艶消しの中間調の画像となり易い。
【0027】図3は本実施の形態における実施例3である画像形成装置の定着部の機構を示した図である。図3において、1aは定着ベルト、1bは補助ベルト、2aは線状発熱体、3は加圧ローラ、5は被定着物、5aはトナー、6は冷却ローラ、7,7′は補助ローラである。
【0028】図3に示す実施例3では、実施例1の定着ローラ1の代わりに固定された線状発熱体2aにより定着ベルト1aを介して被定着物5を加熱する。加圧ローラ3は定着ベルト1aを介して線状発熱体2aで被定着物5を挟持する加圧ローラであり、この図3では補助ローラ7′と共に補助ベルト1bがかけられているが、補助ベルト1bと補助ローラ7′はなくても良い。冷却ローラ6は補助ローラ7と共に、線状発熱体2aを通る定着ベルト1aがかけられている。この場合にも補助ローラ7はなくてもよい。また、冷却ローラ6では冷却せず線状発熱体2aと冷却ローラ6の間で空気を吹き付ける等の自然冷却を利用しても良い。
【0029】そして、トナー5aが冷却され軟化点あるいは融点以下になった後、定着ベルト1aより被定着物5が引き剥がされ、また定着ベルト1aのトナー5aに接触する側の面は表面粗さRzを1μm以上100μm以下としてあるため、定着ベルト1a側の溶融粘度の低いトナー5aの表面は光沢の無い艶消し画像となり易い。
【0030】なお、本発明の画像形成方法における現像方式としては、どのような方法でも可能であり、例えば、乾式現像の場合、一成分現像であっても良いし、または二成分現像であっても良く、トナージェットのような他の現像方式であっても良い。あるいは、湿式現像のようなものでも良い。
【0031】従来のカラートナーを用いたフルカラー画像形成方法として実施されている画像品質はいずれも高光沢を狙ったものである。この高光沢の画像はデジタルカメラの写真画像や銀塩写真のコピーの出力として、そこそこの画像が得られる。しかし、ビジネス用途のプレゼンテーション用の画像や表,グラフの作成、あるいは、CAD出力として使用するにいたって、高光沢のために光ってみにくいという課題が生じている。これを避けるために画像の光沢を消して艶消し画像とすれば良い訳であるが、写真画像としては光沢がないため、写真画像の鮮やかさや色調が失われ品位の低いものとなってしまう。これら写真用途とビジネス用途を同時に満足するために、光沢と艶消しの中間調の画像を得ることを目的とする。
【0032】さらに、地球環境の保全に係り省資源及び省エネルギーの要求に沿って、電子写真においても消費電力を抑える動きが活発化し、特に電力消費の激しい定着の分野で低温度定着化が進みつつある。低エネルギーで定着するためには低エネルギー低粘度のトナーを使用することとなり、このようなトナーでは簡単に表面がつぶれてしまうために光沢が出てしまう。
【0033】このような低エネルギー低粘度のトナーに対応すべく、低エネルギーでも可能な定着性改良の定着器を設け、定着においては熱を印加して挟み込み加圧するときに、被定着物に当たる面の平滑度がRzで0.01μm以上であればトナー溶融時にトナーの粘度が低下して押しつぶされても定着面の表面粗さによりエンボスされ、表面は荒れた状態となり光は乱反射することから光沢のない艶消し画像が得られた。
【0034】前記した写真用途とビジネス用途を同時に満足するためには、光沢と艶消しの中間調を出さなくてはならないが、いろいろの使用条件に対し安定してこれら光沢と艶けしの中間調を出すための条件がこれまで明らかになっていなかった。本発明はこれらの問題を克服して、光沢と艶消しの中間調を常に安定した状態で提供するために鋭意検討した結果、トナーの溶融粘度が軟化点あるいは融点以上の温度において10〜1013c poiseであり、静電気を利用した静電荷現像装置において、定着部材の一対の発熱体の間にトナー粉像の形成された支持体を挟持させ、粉像の軟化点あるいは融点以上の状態に加熱してトナー粉像を溶解し、その後、加熱を停止し冷却して、トナー粉像の温度が軟化点あるいは融点以下になった時、定着部材から引き剥がす定着部を持ち、かつ定着部の表面粗さがRzで1μm以上100μm以下である定着システムで、使用するトナーの軟化点あるいは融点以上の温度で溶融粘度がη[c poise]である時、一対の発熱体の加圧力が線圧でP=((9/5)×Logη−4/5)/15からP=((1/100)×Logη)/15[9.8×100 N/m]であれば、写真用途とビジネス用途を同時に満足できる中間調の光沢が得られることがわかった。
【0035】この傾向は定着部の表面粗さが大きければ大きいほど艶消しのレベルが高く、また逆に定着部の表面粗さが低ければ低い程光沢のレベルが高くなる。したがって、好ましくはRzで3μm以上、もっと好ましくは5μm以上が望ましく、上限値として好ましくは80μm以下、もっと好ましくは50μm以下が望ましい。また、定着時の加圧力が低すぎるとトナー表面の凹凸を潰しきることができずに表面の平滑性が下がり艶消しになり過ぎ、また被定着物に対するトナーの接着が弱くなりトナーの脱落等の問題が起こりやすくなる。逆に高すぎるとトナー粉の粒子は潰されて表面が粗された定着部材の表面にそって密着し、トナー層の表面は定着部材の表面粗さがエンボスされ艶消しとなるが、トナー層を潰しすぎて実際のトナー粉像が太ってしまい画像の正確な再現性がなくなる。
【0036】加圧ローラの両側加圧で実験したところ加圧力が図4に示すグラフの範囲内であればよいことがわかった。図4に示すグラフ中の○印は5℃10%から35℃80%の環境で本発明の意図する品質が得られたことを示している。また、△印は常温常湿に於いては本発明の意図する品質が得られるが、高温高湿、低温低湿の環境ではそれぞれ問題があり、高温高湿の環境で圧力が高い場合、ドットが潰れすぎて画像が太りぎみになり、低温低湿の環境で圧力が低い場合、トナーの接着が少し甘くなりやすい。さらに、×は高温高湿の環境に於いて画像が完全に潰れて画像再現性に問題があり、低温低湿の環境に於いてはトナーの接着が甘くトナーの脱落が簡単に生じる。なお、グラフ中の縦軸は加圧の片側を表しているので両側加圧では2倍の加圧となっており、実験に使用した加圧ローラの実長は30cmであった。
【0037】したがって、溶融粘度η [c poise]である時、定着部材と一対の加圧部材の加圧力が線圧でP=((9/5)×Logη−4/5)/15からP=((1/100)×Logη)/15[9.8×100 N/m]であれば充分実用の範囲内ではあるが、好ましくはP=((9/7)×Logη−2/7)/15からP=((9/700)×Logη−2/700)/15[9.8×100 N/m]、もっと好ましくはP=(Logη)/15からP=((19/1200)Logη−7/1200)/15[9.8×100 N/m]が良く、この範囲であればトナーの接着性、トナー画像の再現性のそれぞれを損なうことなく光沢と艶消しの中間調の画像が得られることがわかった。
【0038】なお、実際に定着材の表面を粗す方法としてはいろいろな方法が考えられるが、本発明はその方法に制約を受けるものではない。一例として定着材の表面をサンドブラストのようなもので機械的に粗しても良いし、定着材の表面に二次粒子径で0.01〜5μm程度のピグメントを分散した樹脂をコーティングしても良く、また成膜条件で表面に凹凸を付けてもよく、その他のどのような方法であっても表面粗さRzが1μm以上100μm以下となれば良い。
【0039】また、トナーそれぞれに使用されるバインダー樹脂の一例としては、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できるが特にこれらに限定するものではなく、これらの樹脂に、必要に応じてカーボンブラックやカラー顔料を混練分散して使用すればよく、当然帯電制御剤の併用も可能である。
【0040】また、粉体化した後、トナーの流動性を調整するためにシリカ、チタン、ストロンチウム等の添加剤を加えても良い。
【0041】次に、前記の各実施例における画像形成装置の定着部の機構にて、(表1)に示す溶融粘度ηのトナーを用いて、光沢度(%)は日本電色工業(株)製の光沢度計を使用し、JISZ8741に基づいて、照射角度60°で測定を行った被定着部上に画像形成された艶消しの測定結果の例を示す。
【0042】
【表1】

【0043】第1例として、定着部材の表面粗さRzを1μm、使用トナーを(表1)に示すイエロー1、マゼンタ1、シアン1、ブラック1として、定着時のトナーの温度を140℃として、画像形成処理を行ったところ、すべての有彩色部及びブラック部ともに光沢と艶消しの中間調の画像を得ることができた。
【0044】また、第2例として、定着部材の表面粗さRzを2μm、使用トナーをイエロー2、マゼンタ2、シアン2、ブラック2、定着時のトナーの温度を110℃として、画像形成処理を行ったところ、すべての有彩色部及びブラック部ともに光沢と艶消しの中間調の画像を得ることができた。
【0045】同様に、第3例として、定着部材の表面粗さRzを3μm、使用トナーをイエロー1、マゼンタ1、シアン1、ブラック1、定着時トナーの温度を110℃として、画像形成処理を行ったところ、すべての有彩色部及びブラック部ともに光沢と艶消しの中間調の画像を得ることができた。
【0046】第4例として、定着部材の表面粗さRzを10μm、使用トナーをイエロー1、マゼンタ1、シアン1、ブラック2、定着時のトナー温度を110℃として、画像形成処理を行ったところ、すべての有彩色部及びブラック部ともに光沢と艶消しの中間調の画像を得ることができた。
【0047】第5例として、定着部材の表面粗さRzを5μm、使用トナーをイエロー2、マゼンタ2、シアン2、ブラック2、定着時のトナー温度を140℃として、画像形成処理を行ったところ、すべての有彩色部及びブラック部ともに光沢と艶消しの中間調の画像を得ることができた。
【0048】第6例として、定着部材の表面粗さRzを100μm、使用トナーをイエロー2、マゼンタ2、シアン2、ブラック2、定着時のトナー温度を110℃として、画像形成処理を行ったところ、すべての有彩色部及びブラック部ともに光沢と艶消しの中間調の画像を得ることができた。
【0049】第7例として、定着部材の表面粗さRzを80μm、使用トナーをイエロー3、マゼンタ3、シアン3、ブラック3、定着時のトナー温度を140℃として、画像形成処理を行ったところ、すべての有彩色部及びブラック部ともに光沢と艶消しの中間調の画像を得ることができた。
【0050】第8例として、定着部材の表面粗さRzを50μm、使用トナーをイエロー2、マゼンタ2、シアン2、ブラック2、定着時のトナー温度を110℃として、画像形成処理を行ったところ、すべての有彩色部及びブラック部ともに光沢と艶消しの中間調の画像を得ることができた。
【0051】以上の各例における光沢度の測定結果をまとめると、(表2)のようになる。
【0052】
【表2】

【0053】以上のことから、本発明の定着部の定着部材に表面粗さRzで1〜100μmとして、定着部材と一対を成す加圧部材が、線圧でP=((9/5)×Logη−4/5)/15からP=((1/100)×Logη)/15[9.8×100 N/m](η;溶融粘度)で加圧することにより、溶融粘度の低いトナーでもオフセットを起こすことなく、さらにトナーの接着性、トナー画像の再現性を損なうことなく光沢と艶消しの中間調の画像を得ることができる。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、被定着物に当たる定着部材の面の表面粗さRzを1〜100μmとすることで、トナー溶融時にトナーの溶融粘度が低下して押しつぶされても表面粗さRzにより凹凸が形成されて、表面の光は乱反射することから光沢のない艶消し画像が得ることができ、また加圧力をトナーの軟化点あるいは融点以上の温度における溶融粘度ηにおいて、線圧でP=((9/5)×Logη−4/5)/15からP=((1/100)×Logη)/15[9.8×100 N/m]とすることにより、被定着物へのトナーの接着性や、トナー層の潰しすぎによるトナー画像の再現性を損なうようなことなく光沢のない艶消しの画像が得ることができるという効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
【出願日】 平成12年4月25日(2000.4.25)
【代理人】 【識別番号】100112128
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 光威
【公開番号】 特開2001−305898(P2001−305898A)
【公開日】 平成13年11月2日(2001.11.2)
【出願番号】 特願2000−124441(P2000−124441)