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【発明の名称】 画像形成方法
【発明者】 【氏名】富田 邦彦

【要約】 【課題】低温度で定着部材の表面粗さを抑えてオフセットを起こさず、1枚の画像形成で有彩色トナーのカラー画像と、ブラックトナー部分の艶消し画像を得る。

【解決手段】発熱体2で加熱された定着ローラ1と加圧ローラ3で被定着物5を挟持して被定着物5上のトナー5aを加熱溶融する。さらに冷却部4により定着ローラ1の冷却により被定着物5上のトナー5aが冷却されて軟化点あるいは融点以下になった後、定着ローラ1より被定着物5が引き剥がされる。この定着ローラ1のトナー5aに接触する側の面の表面粗さと、使用する有彩色トナーとブラックトナーの溶融粘度の違いによってトナー表面に光沢のあるカラー画像と艶消しの画像を得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 静電気を利用した静電荷現像装置において、発熱体を有しローラ状あるいはベルト状である定着部材と一対の加圧部材とから成る定着部に、有彩色及びブラックのトナーによる粉像が形成された被定着物を搬送させ、前記トナーの軟化点あるいは融点以上の状態まで加熱を行い、前記トナーの溶解後に加熱を停止して冷却し、前記トナーの温度が軟化点あるいは融点以下となったときに、前記定着部において前記被定着物を前記定着部材から引き剥がす画像形成方法であって、前記定着部材の表面粗さRzを0<Rz≦20μmとし、かつ前記定着部材と前記加圧部材間の加圧力を、トナーの軟化点あるいは融点以上の温度における溶融粘度をηとすると、線圧でP=((9/5)×Logη−4/5)/15からP=((1/100)×Logη)/15[9.8×100 N/m]とすることにより前記被定着物を挟持させて画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】 前記有彩色のトナーの使用域における溶融粘度ηcを、軟化点あるいは融点以上の温度において10〜1013 [c poise]としたことを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項3】 前記ブラックのトナーの使用域における溶融粘度ηbを、軟化点あるいは融点以上の温度において107〜1018 [c poise]としたことを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項4】 前記有彩色及びブラックのトナーの溶融粘度を、前記有彩色トナーの溶融粘度ηcと前記ブラックトナーの溶融粘度ηbにおいてηc<ηb×100としたことを特徴とする請求項2または3記載の画像形成装置。
【請求項5】 前記ブラックのトナーの使用域における温度幅を、5〜100degとすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項6】 前記ブラックのトナーの使用域における温度幅を、有彩色のトナーの使用域における定着により加熱溶融する温度幅としたことを特徴とする請求項5記載の画像形成方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機やファクシミリ、プリンタ等に用いられている静電気を利用した静電荷現像する電子写真方式を用いる画像形成方法であり、特にフルカラーの高品位画像を形成する画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、カラートナーを用いたフルカラーの画像形成方法として、マゼンタトナー、シアントナー及びイエロートナーの3色の有彩色トナーを用いるもの、または、この3色の有彩色トナーにブラックトナーを加えた4色のトナーを用いるものが提案、実施されている。
【0003】これら形成された画像に光沢を出すための原理としては、一般にトナー層の表面が平滑であれば光が当たったときに鏡面反射しやすく光沢がでる。これに対して、表面の平滑度が低ければ光が当たったとき、表面で乱反射するために艶消しとなる。このことから、従来の方式ではトナー層の表面を潰しやすくする必要があり、定着時において溶融粘度を下げるために加熱温度を上げてきた。さらに、溶融粘度が低い状態で定着を行うと溶融粘度が低いがために引き剥がしの際に、トナーの一部が定着部材に接着しトナー層が層間剥離状態となるオフセットを起こすことから、この問題を補助的に解決するため定着部材へのオイル塗布が行われる。
【0004】また、このような溶融粘度が下がった状態のトナーであっても、特公昭51―29825号公報の電子写真の定着方法や、特開昭63−118291号公報,特開昭63−118292号公報,特開昭63−118293号公報の熱転写記録方法に開示されるような技術により、オフセットすることなく定着することができる。
【0005】特公昭51―29825号公報に記載されるものは、フィルムシートを利用した定着部で被定着物に熱を印加した後、フィルムシートと被定着物の密着を保ったまま冷却を行いトナーが固化した後引き剥がすというものであり、さらに強制冷却の概念も盛り込まれており、具体的な強制冷却方法として送風、水冷が挙げられている。
【0006】また、ホットメルト印字媒体の公知技術として特開昭63−118291号公報,特開昭63−118292号公報,特開昭63−118293号公報に記載されるように、ワックスを主成分としたような粘度の低いホットメルト印字媒体であっても連続的な稼働状態でフィルムに対してオフセットを生ずることのない定着ができるようになった。一般に熱転写の印字媒体は主成分がワックスであり、ワックスの粘度は10から104程度であり、このような低粘度の印字媒体であってもオフセットが発生することはない。
【0007】具体的には、これら技術は加熱溶融後、示差走査熱量計(DSC)で測定した温度がトップピーク値以下の温度に下がってからフィルムシートを引き剥がすというものである。特に、特開昭63―118291号公報では冷却方法として空気吹き付け、または冷媒として水、フレオンガス等で強制的に冷却を行うことが、特開昭63―118292号公報ではフィルムシートと被転写体とを密着した状態で冷却部を通過させることが、また特開昭63―118293号公報ではフィルムシートと被転写体とを引き剥がす機構を設け、また引き剥がすまでの間フィルムシートと被転写体を密着した状態に保つ機構も設けていることが記載されている。
【0008】これらの効果としてはフィルムシート(定着部材)上に印字媒体(トナー)が残る現象(いわゆるオフセット)を防止している。したがって、この方式によれば従来の方式に比べて、溶融粘度の低いトナーでもオフセットを起こすことなく使用することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような構成の前記フルカラーの画像形成方法によってカラー画像を形成すると、通常のモノクロ画像よりは光沢が得られるものの不完全であり、逆にブラックトナーにより形成される画像は他の有彩色トナーの定着条件と合わせるために、照り返しが発生して読みづらいものになっており全体的に非常に画像品位の低いものとなっていた。
【0010】また、このようにトナーの粘度が低い状態で定着を行うと、定着部材にトナーが残るオフセット等の問題も発生しやすく、オイルを定着部材に塗布する装置が必要となり装置の大型化及びコストの増大が大きかった。しかも、従来の方式のように定着温度を上げるような方法では、消費電力が大きくなり低消費エネルギーの要求を満足することはできないという問題があった。
【0011】本発明は、前記従来技術の問題を解決することに指向するものであり、低温度での定着として定着部材の表面粗さを抑えて定着時の加圧力を適正値とし、かつオイルを使用することなく簡単な装置構成により画像形成を行ってもオフセットを起こすことなく、1枚の画像形成にて一様で均一な有彩色トナーによるカラー画像を形成しつつ、ブラックトナーの印刷部分のみを艶消しの画像が得られる画像形成方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために、本発明に係る画像形成方法は、静電気を利用した静電荷現像装置において、発熱体を有しローラ状あるいはベルト状である定着部材と一対の加圧部材とから成る定着部に、有彩色及びブラックのトナーによる粉像が形成された被定着物を搬送させ、トナーの軟化点あるいは融点以上の状態まで加熱を行い、トナーの溶解後に加熱を停止して冷却し、トナーの温度が軟化点あるいは融点以下となったときに、定着部において被定着物を定着部材から引き剥がす画像形成方法であって、定着部材の表面粗さRzを0<Rz≦20μmとし、かつ定着部材と加圧部材間の加圧力を、トナーの軟化点あるいは融点以上の温度における溶融粘度をηとすると、線圧でP=((9/5)×Logη−4/5)/15からP=((1/100)×Logη)/15[9.8×100 N/m]とすることにより被定着物を挟持させて画像を形成することを特徴とする。
【0013】また、前記有彩色のトナーの使用域における溶融粘度ηcを、軟化点あるいは融点以上の温度において10〜1013 [c poise]としたこと、さらに、前記ブラックのトナーの使用域における溶融粘度ηbを、軟化点あるいは融点以上の温度において107〜1018 [c poise]としたことを特徴とする。
【0014】また、前記有彩色及びブラックのトナーの溶融粘度を、前記有彩色トナーの溶融粘度ηcと前記ブラックトナーの溶融粘度ηbにおいてηc<ηb×100としたことを特徴とする。
【0015】また、前記ブラックのトナーの使用域における温度幅を、5〜100degとすること、さらに、ブラックのトナーの使用域における温度幅を有彩色のトナーの使用域における定着により加熱溶融する温度幅として構成したものである。
【0016】前記構成によれば、溶融粘度の低いトナーで、かつオイル塗布を行わなくてもオフセットを生じることがなく、安定した状態で1枚の画像形成において一様で均一な有彩色トナーによるカラー画像を形成しつつ、ブラックトナーの印刷部分のみ艶消し画像とする画像を得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明における実施の形態を詳細に説明する。
【0018】図1は本発明の実施の形態における実施例1である画像形成装置の定着部の機構を示した図である。図1において、1は定着ローラ、2は発熱体、3は加圧ローラ、4は冷却部、5は被定着物、5aはトナーである。
【0019】図1に示す実施例1では、ハロゲンランプ等の発熱体2で加熱された定着ローラ1と加圧ローラ3で被定着物5を挟持して被定着物5上のトナー5aを加熱溶融する。さらに冷却部4により定着ローラ1が冷却され被定着物5上のトナー5aが冷却されて軟化点あるいは融点以下になった後、定着ローラ1より被定着物5が引き剥がされる。このとき、定着ローラ1のトナー5aに接触する側の面は、表面粗さを極力抑えて粗さがあったとしても、表面粗さRzを20μm以下としてあるため、トナー5a表面に凹凸が形成されて、定着ローラ1上のトナー5aの表面は光沢の強い画像となり易い。この図1において、冷却部4は回転するローラ状の形状でも良いし、固定されていてもよく、どのような形状であっても良い、また、内部に水等の冷媒を通して積極的に冷却を行っても良い。
【0020】図2は本実施の形態における実施例2である画像形成装置の定着部の機構を示した図である。図2において、1は定着ローラ、1aは定着ベルト、1bは補助ベルト、2は発熱体、3,3′は加圧ローラ、5は被定着物、5aはトナー、6は冷却ローラである。
【0021】図2に示す実施例2では実施例1の定着ローラ1の代わりに、定着ローラ1を使用してその上にエンドレスのフィルムまたはシートから成る無端ベルトの定着ベルト1aが冷却ローラ6と共にかけられている。また、加圧ローラ3は定着ベルト1aを介して定着ローラ1と被定着物5を挟持する加圧ローラであり、加圧ローラ3′と共に補助ベルト1bがかけられている。したがって、これは図1に示す実施例1の定着ローラ1に代えて定着ベルト1aを介するようにした形状でありその効果は同様である。また、このとき加圧ローラ3′及び補助ベルト1bはなくても良い。
【0022】また、冷却ローラ6で冷却せずに定着ローラ1及び冷却ローラ6の間で空気等を吹き付けて冷却しても良いし、あるいは定着ローラ1及び冷却ローラ6の距離を充分とって自然冷却しても良い。
【0023】そして、トナー5aが冷却され軟化点あるいは融点以下になった後、定着ベルト1aより被定着物5が引き剥がされる。さらに、定着ベルト1aがトナー5aに接触する側の面においても、実施例1の説明で述べたように表面粗さを抑えて、表面粗さRzを20μm以下としてあるため被定着物5上のトナー5aの表面は光沢の強い画像となり易い。
【0024】図3は本実施の形態における実施例3である画像形成装置の定着部の機構を示した図である。図3において、1aは定着ベルト、1bは補助ベルト、2aは線状発熱体、3は加圧ローラ、5は被定着物、5aはトナー、6は冷却ローラ、7,7′は補助ローラである。
【0025】図3に示す実施例3では、実施例1の定着ローラ1の代わりに固定された線状発熱体2aにより定着ベルト1aを介して被定着物5を加熱する。加圧ローラ3は定着ベルト1aを介して線状発熱体2aで被定着物5を挟持する加圧ローラであり、この図3では補助ローラ7′と共に補助ベルト1bがかけられているが、補助ベルト1bと補助ローラ7′はなくても良い。冷却ローラ6は補助ローラ7と共に、線状発熱体2aを通る定着ベルト1aがかけられている。この場合にも補助ローラ7はなくてもよい。また、冷却ローラ6では冷却せず線状発熱体2aと冷却ローラ6の間で空気を吹き付ける等の自然冷却を利用しても良い。
【0026】そして、トナー5aが冷却され軟化点あるいは融点以下になった後、定着ベルト1aより被定着物5が引き剥がされ、また定着ベルト1aのトナー5aに接触する側の面は表面粗さを抑えて、表面粗さRzを20μm以下としてあるため、定着ベルト1a側のトナー5aの表面は光沢の強い画像となり易い。
【0027】なお、本発明の画像形成方法における現像方式としては、どのような方法でも可能であり、例えば、乾式現像の場合、一成分現像であっても良いし、または二成分現像であっても良く、トナージェットのような他の現像方式であっても良い。あるいは、湿式現像のようなものでも良い。
【0028】また、従来の方式では光沢を上げるためにトナーの溶融粘度を下げていて、通常用いられるトナーの溶融粘度は107〜1015 [c poise]程度である。このときのオフセットの発生を防止するために、定着部材にオイル塗布を行っている。しかし、更に粘度の低いトナーを使用すると、このオイル塗布のみではオフセットを防止することはできない。本発明では前記の各実施例に示した構成により、融点以上の温度において107〜1015 [c poise]のトナーは勿論のこと、10〜107 [c poise]ような粘度の低いトナーであっても、オイル塗布を行うことなくオフセットが起こらず安定した定着が可能となった。
【0029】ここで、本発明における溶融粘度とは軟化点かあるいは融点以上の温度におけるものである。しかもこれら軟化点及び融点は、島津製作所製のフローテスターの測定における軟化温度、流出開始温度に対応する。
【0030】一般に熱可塑性樹脂を加熱すると軟化点までは固体であり、軟化点を超えると柔らかくなり粘性を呈し、これを更に加熱し融点を超えるともっと柔らかくなり粘い液体状態になるが、このときの軟化点から融点迄の温度の幅や、軟化点から融点迄の粘性及び融点以上の粘性は樹脂の分子量、分子量分布、結晶化度、架橋度、分子間力等により異なり、分子量を下げると分子鎖は短くなるために絡み合いが緩くなり溶融粘度は下がる。また、分子量分布が狭くなってもやはり分子鎖の絡み合いが緩くなり溶融粘度は下がる。更に分子間の架橋度を下げるとそれぞれの分子が動きやすくなるために溶融粘度は下がる。
【0031】したがって、有彩色トナーの溶融粘度が実際に軟化点から融点迄の間に10〜1013 [c poise]の溶融粘度を呈するものであれば本発明においては軟化点以上の温度で使用し、軟化点から融点迄の間の溶融粘度が1013 [c poise]を超え、融点以上の温度において10〜1013 [c poise]であるようなものであれば本発明においては融点以上の温度を使用する。
【0032】また、本発明におけるブラックトナーの溶融粘度は前記の有彩色トナーが所定の溶融粘度になる定着温度において、107〜1018 [c poise]であれば良く、有彩色トナーとブラックトナーがそれぞれ所定の溶融粘度の範囲内での使用により、1枚の画像形成により一様で均一な有彩色トナーの光沢のあるカラー画像を形成しつつ、ブラックトナーの印刷部分のみ艶消しの画像とするカラー画像形成が可能となる。
【0033】しかしながら、実験の結果、前記の方式により定着部材にオイル等を塗布することなくオフセットの発生を防止することが可能となったが、これだけでは完全な光沢が得られないことが判明した。この原因としては、定着部において加熱加圧したときにトナーの溶融粘度が低いために、簡単にトナー表面が潰されて定着部材の表面に密着するようになる。このために、固体化した後に引き剥がすことでトナー表面が定着部材の表面でエンボスされてしまうことから、定着部材の表面が平滑でないと光沢度が下がってしまうと考えられる。また、定着時の圧力が低すぎるとトナーが潰しきれずに表面に凹凸が残り光沢が下がったり、あるいはトナーの接着が甘くなりやすい。反対に圧力が高すぎるとトナー像が潰れ過ぎて画像が太り、画像の再現性に問題がでることがわかった。
【0034】以上のことを検討した結果、定着部材の表面粗さを抑えて、粗さがあっても表面粗さRzが20μm以下であり、かつ定着部材と加圧部材間の加圧力がトナーの軟化点あるいは融点以上の温度における溶融粘度をηとすると、線圧でP=((9/5)×Logη−4/5)/15からP=((1/100)×Logη)/15[9.8×100 N/m]である定着部にて所定のトナーを使用することで、1枚の画像形成において一様で均一な有彩色のトナーによる光沢のカラー画像を形成しつつ、ブラックのトナーによる印刷部分のみ艶消しの画像を維持できることがわかった。
【0035】この有彩色トナーで光沢を得る傾向は定着部材の表面粗さが小さければ小さいほど効果が高く、定着部材の表面の粗ていない状態が好ましく、表面粗さRzが0であることが理想であることは間違いない。しかし、実際には表面粗さが負や0ということはあり得ないので、できるだけ粗さを抑え、表面粗さRzを20μm以下であること、好ましくはRzで10μm以下、もっと好ましくは5μm以下、更に好ましくは1μm以下、更にもっと好ましくは0.1μm以下であることが望ましい。さらに、有彩色トナーが所定の粘度になる温度でブラックトナーの溶融粘度が100倍以上の値とすることで、ブラックトナー表面に凹凸が残り艶消しの状態とすることができる。
【0036】さらに、加圧ローラの両側加圧で実験したところ加圧力が図4に示すグラフの範囲内であればよいことがわかった。図4に示すグラフ中の○印は5℃,10%から35℃,80%の環境で本発明の意図する品質が得られたことを示している。また、△印は常温常湿に於いては本発明の意図する品質が得られるが、高温高湿、低温低湿の環境ではそれぞれ問題があり、高温高湿の環境で圧力が高い場合、ドットが潰れすぎて画像が太りぎみになり、低温低湿の環境で圧力が低い場合、トナーの接着が少し甘くなりやすい。さらに、×は高温高湿の環境に於いて画像が完全に潰れて画像再現性に問題があり、低温低湿の環境に於いてはトナーの接着が甘くトナーの脱落が簡単に生じる。なお、グラフ中の縦軸は加圧の片側を表しているので両側加圧では2倍の加圧となっており、実験に使用した加圧ローラの実長は30cmであった。
【0037】したがって、溶融粘度η [c poise]である時、定着部材と一対の加圧部材の加圧力が線圧でP=((9/5)×Logη−4/5)/15からP=((1/100)×Logη)/15[9.8×100 N/m]であれば充分実用の範囲内ではあるが、好ましくはP=((9/7)×Logη−2/7)/15からP=((9/700)×Logη−2/700)/15[9.8×100 N/m]、もっと好ましくはP=(Logη)/15からP=((19/1200)Logη−7/1200)/15[9.8×100 N/m]が良いことがわかった。
【0038】また、トナーそれぞれに使用されるバインダー樹脂の一例としては、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレンーイソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できるが特にこれらに限定するものではなく、これらの樹脂に、必要に応じてカーボンブラックやカラー顔料を混練分散して使用すればよく、当然帯電制御剤の併用も可能である。
【0039】また、粉体化した後、トナーの流動性を調整するためにシリカ、チタン、ストロンチウム等の添加剤を加えても良い。
【0040】次に、前記の各実施例における画像形成装置の定着部の機構にて、(表1)に示す溶融粘度ηのトナーを用いて、光沢度(%)は日本電色工業(株)製の光沢度計を使用し、JISZ8741に基づいて、照射角度60°で測定を行った被定着物上に画像形成された光沢度の測定結果の例を示す。
【0041】
【表1】

【0042】第1例として、定着部材の表面粗さRzを0.1μm、使用トナーを(表1)に示すイエロー2、マゼンタ2、シアン2、ブラック3として、定着時のトナーの温度を110℃として、画像形成処理を行ったところ、有彩色部は非常に光沢が高く、ブラック部は完全な艶消しの画像を得ることができた。
【0043】また、第2例として、定着部材の表面粗さRzを1μm、使用トナーをイエロー2、マゼンタ2、シアン2、ブラック3、定着時のトナーの温度を110℃として、画像形成処理を行ったところ、有彩色部は非常に光沢が高く、ブラック部は完全な艶消しの画像を得ることができた。
【0044】同様に、第3例として、定着部材の表面粗さRzを5μm、使用トナーをイエロー1、マゼンタ1、シアン1、ブラック3、定着時トナーの温度を110℃として、画像形成処理を行ったところ、有彩色部は非常に光沢が高く、ブラック部は完全な艶消しの画像を得ることができた。
【0045】第4例として、定着部材の表面粗さRzを10μm、使用トナーをイエロー1、マゼンタ1、シアン1、ブラック3、定着時のトナー温度を110℃として、画像形成処理を行ったところ、有彩色部は光沢が高く、ブラック部は完全な艶消しの画像を得ることができた。
【0046】第5例として、定着部材の表面粗さRzを20μm、使用トナーをイエロー2、マゼンタ2、シアン2、ブラック3、定着時のトナー温度を110℃として、画像形成処理を行ったところ、有彩色部は光沢のある画像が得られ、ブラック部は完全な艶消しの画像を得ることができた。
【0047】第6例として、定着部材の表面粗さRzを25μm、使用トナーをイエロー2、マゼンタ2、シアン2、ブラック3、定着時のトナー温度を140℃として、画像形成処理を行ったところ、有彩色部及びブラック部ともに光沢のやや鈍い画像を得ることができた。
【0048】第7例として、定着部材の表面粗さRzを25μm、使用トナーをイエロー1、マゼンタ1、シアン1、ブラック2、定着時のトナー温度を110℃として、画像形成処理を行ったところ、すべての有彩色部及びブラック部ともに光沢のやや鈍い画像を得ることができた。
【0049】第8例として、定着部材の表面粗さRzを1μm、使用トナーをイエロー1、マゼンタ1、シアン1、ブラック1、定着時のトナー温度を110℃として、画像形成処理を行ったところ、すべての有彩色部及びブラック部ともに光沢のある画像を得ることができた。
【0050】以上の各例における光沢度の測定結果をまとめると、(表2)のようになる。
【0051】
【表2】

【0052】以上のことから、本発明におけるブラックトナーの軟化点は有彩色トナーの軟化点かあるいは融点以上であり、実際に使用する定着温度で有彩色トナーの溶融粘度が10〜1013 [c poise]になる温度以上であれば良い。この時の有彩色トナーが所定の粘度になる時の温度でブラックトナーの溶融粘度が107〜1018[c poise]であれば良く、かつ有彩色トナーの溶融粘度より100倍以上高ければ有彩色トナーに対してブラックトナーが充分に艶消し画像であることを認識することができる。
【0053】また、トナーの軟化点及び融点のばらつき、及び定着部の温度制御の幅を考慮するとブラックトナーの溶融粘度が107〜1018である使用域の温度幅は最低でも5deg以上必要であり、また加熱用の発熱体の余裕度を考慮すると100deg以下である必要がある。
【0054】実際に各種トナーの溶融粘度を変えて画像をとると、ブラックトナーと有彩色トナーの溶融粘度の差はブラックトナーが100倍以上有彩色トナーより粘度が高くないと艶消し画像と光沢画像の差がつきにくく、この粘度差として好ましくは1000倍、もっと好ましくは10000倍、さらにはそれ以上の可能な範囲内の差があるとはっきりした艶消しと光沢の差が現れた画像を得ることができる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、被定着物に当たる定着部材の表面粗さを抑えて、表面粗さRzを20μm以下とし、かつ加圧力をトナーの軟化点あるいは融点以上の温度における溶融粘度ηにおいて、線圧でP=((9/5)×Logη−4/5)/15からP=((1/100)×Logη)/15[9.8×100 N/m]とすることと、有彩色トナーの溶融粘度を10〜1013 [c poise]になる温度以上でブラックトナーの溶融粘度が107〜1018 [c poise]であれば良く、かつ有彩色トナーの溶融粘度より100倍以上高くすることで、溶融粘度の低いトナーで、かつオイル塗布を行わなくてもオフセットを生じることがなく、安定した状態で1枚の画像形成において一様で均一な有彩色トナーによるカラー画像を形成しつつ、ブラックトナーの印刷部分のみ艶消し画像とする画像を得ることができるという効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
【出願日】 平成12年4月26日(2000.4.26)
【代理人】 【識別番号】100112128
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 光威
【公開番号】 特開2001−305894(P2001−305894A)
【公開日】 平成13年11月2日(2001.11.2)
【出願番号】 特願2000−126167(P2000−126167)