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【発明の名称】 転写装置及び画像形成装置
【発明者】 【氏名】高橋 充

【氏名】深尾 剛

【要約】 【課題】間接印加方式によって中間転写ベルト241に1次転写電流を付与する画像形成装置において、実効転写電流(It−Ia)の減少に起因する1次転写性能の不安定化を軽減することができる画像形成装置を提供する。

【解決手段】1次転写バイアス電源248からの出力電流Itの値と、中間転写ベルト241からアースローラ246を介して1次転写バイアス電源248にフィードバックされる帰還電流Iaの値との差分を一定に維持する差分定電流制御を実施するように、1次転写バイアス電源248の図示しない1次転写バイアス制御部を構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】画像形成装置の像担持体に担持された可視像を中間転写体の転写面に転写せしめるべく該中間転写体を該像担持体との接触位置である中間転写位置まで移動させた後、該可視像を他の転写体に転写せしめるべく該中間転写体を再転写位置まで移動させる中間転写体移動手段と、該中間転写体に中間転写用の転写電流を付与する転写電流付与手段と、該転写電流付与手段からの出力電流Itの値を制御する出力電流制御手段とを備える転写装置において、該中間転写体における該転写電流の付与位置から該接触位置へと到達する実効転写電流の値を一定に維持するような該出力電流Itの制御を実施させるように、該出力電流制御手段を構成したことを特徴とする転写装置。
【請求項2】請求項1の転写装置において、上記中間転写体として中間転写ベルトを設けるとともに、該中間転写ベルトに接触して上記転写電流をアースに導くアース部材を設け、該転写電流を間接印加方式によって該中間転写ベルトに付与させるように上記転写電流付与手段及びアース部材を構成したことを特徴とする転写装置。
【請求項3】請求項2の転写装置において、上記アース部材に流れ込むアース電流Iaの値を検知するアース電流値検知手段とを設け、「It−Ia」を一定にするように上記出力電流Itを制御することで、上記実効転写電流の値を一定に維持させるように上記出力電流制御手段を構成したことを特徴とする転写装置。
【請求項4】請求項3の転写装置であって、上記中間転写ベルトとして、ベルト厚み方向に体積固有抵抗値の偏差があり、且つ、上記転写面とは反対側の裏面の表面抵抗値が1×10〜1×1011[[Ω/□]の範囲に調整されたものを備えることを特徴とする転写装置。
【請求項5】像担持体上に可視像を形成する可視像形成手段と、該可視像を中間転写体に転写した後、他の転写体に転写する転写装置とを備える画像形成装置において、該転写装置として、請求項1、2、3又は4の転写装置を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等で行われる画像形成のプロセスにおいて可視像を接触転写方式によって中間転写体に転写した後、他の転写体に転写する転写装置及びこれを備える画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の画像形成装置においては、像担持体と中間転写体との圧接によって形成した転写ニップでの転写性能が不安定になるという不具合を生ずることがあった。転写ニップでの転写性能が不安定になると、転写像に濃度ムラが生じたり、転写像全体の濃度が不安定になったりといった不具合が生じてしまう。特に、像担持体上に形成したブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色画像を中間転写体に重ね合わせて転写してフルカラー画像を形成するカラー画像形成装置においては、各色画像の濃度階調がフルカラー画像の色調に大きく影響するため、転写性能の不安定化は色再現性を低下させることになる。
【0003】転写性能の不安定化には、中間転写体の電気抵抗が大きく関与している。具体的には、中間転写体の電気抵抗は、製品毎にその初期値にバラツキがあったり、中間転写体の劣化に伴って経時的に変化したり、温度や湿度等の環境変動に伴って変化したりする。このため、中間転写体は、その使用状態や使用環境によって電気抵抗が異なってくる。かかる中間転写体に一定電圧の転写バイアスを印加した場合、印加時の上記電気抵抗値に応じて中間転写体に流れる電流値が異なってくるため、転写ニップに形成される転写電界の強度が変化してしまう。そして、この変化によって転写性能が不安定になるのである。
【0004】このような転写性能の不安定化を抑え得る画像形成装置として、中間転写体に付与する転写電流の値を一定に維持するいわゆる定電流制御を行う画像形成装置が知られている。この画像形成装置では、中間転写体に対してその電気抵抗値にかかわらず一定の値の転写電流を付与することで、転写ニップに安定した強度の転写電界を形成せしめて転写性能の不安定化を軽減することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような定電流制御を実施しても、転写性能の不安定化を生ずる場合があった。特に、転写電流を間接印加方式によって中間転写体としての中間転写ベルトに付与する場合には、転写性能の不安定化を生じ易かった。この間接印加方式とは、中間転写ベルトの裏面(転写面とは反対側の面)に対して転写ニップとは異なる位置で転写電流を付与する方式である。かかる間接印加方式では、環境変動によって中間転写ベルトの裏面の電気抵抗値が大きく低下すると、転写電流がベルト厚み方向よりも裏面のベルト周方向に流れ易くなる。このように流れ易くなると、中間転写ベルトに対して一定値の転写電流を付与しているにもかかわらず、中間転写ベルトの裏面側でベルト周方向へと伝わってアースローラなどに流れ込む転写電流が増加し、ベルト厚み方向へと流れて像担持体との接触面に到達する実効転写電流が減少してしまう。そして、この実効転写電流の減少によって転写性能が低下してしまう。一方、環境変動によって中間転写ベルトの裏面の電気抵抗値が元の値まで上昇すると、実効転写電流の量が増加して転写性能が元通りに回復する。以上のような環境変動に伴う実効転写電流の増減により、転写性能が不安定になるのである。
【0006】本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、中間転写体に転写電流を付与する転写装置及びこれを備える画像形成装置において、実効転写電流の増減に起因する転写性能の不安定化を軽減することができる転写装置及び画像形成装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1の発明は、画像形成装置の像担持体に担持された可視像を中間転写体の転写面に転写せしめるべく該中間転写体を該像担持体との接触位置である中間転写位置まで移動させた後、該可視像を他の転写体に転写せしめるべく該中間転写体を再転写位置まで移動させる中間転写体移動手段と、該中間転写体に中間転写用の転写電流を付与する転写電流付与手段と、該転写電流付与手段からの出力電流Itの値を制御する出力電流制御手段とを備える転写装置において、該中間転写体における該転写電流の付与位置から該接触位置へと到達する実効転写電流の値を一定に維持するような該出力電流Itの制御を実施させるように、該出力電流制御手段を構成したことを特徴とするものである。
【0008】この転写装置においては、中間転写体の電気抵抗値にかかわらず、中間転写体に対する付与位置から、この中間転写体と像担持体との接触位置へと到達する実効転写電流の値を一定に維持する。
【0009】請求項2の発明は、請求項1の転写装置において、上記中間転写体として中間転写ベルトを設けるとともに、該中間転写ベルトに接触して上記転写電流をアースに導くアース部材を設け、該転写電流を間接印加方式によって該中間転写ベルトに付与させるように上記転写電流付与手段及びアース部材を構成したことを特徴とするものである。
【0010】この転写装置においては、中間転写体として、像担持体の形状にならわせて柔軟に変形させ得る可撓性に優れた中間転写ベルトを設けている。かかる転写装置では、中間転写ベルトを張架支持するための張架ローラ等のベルト張架部材と、像担持体との相対位置を調整することで、中間転写体と像担持体との当接によって形成される転写ニップ幅(ベルト周方向におけるニップ長さ)を自在に調整することが可能になる。よって、中間転写体として、形成し得る転写ニップ幅が硬度によって制限されてしまう中間転写ローラを設ける転写装置よりも、転写ニップ幅を広めて転写性能を向上せしめることが可能になる。また、この転写装置においては、中間転写ベルトに対してその転写面とは反対側の裏面から付与した転写電流を、該裏面に接触するアース部材からアースへと導く。かかる構成では、中間転写ベルトの裏面に接触するベルト張架部材に、転写電流付与部材やアース部材としての機能を発揮させることが可能になる。更に、転写電流を上記転写ニップよりもベルト移動方向の下流側で付与し、転写ニップよりも上流側でアースに導くようにすれば、転写ニップよりも上流側の中間転写ベルト部分の電位を下げていわゆるプレ転写の発生を抑えることが可能になる。なお、この「プレ転写」とは、転写ニップよりも中間転写体の移動方向上流側で、中間転写体の電荷によって可視像を像担持体から静電的に飛翔させて中間転写体に転写してしまう現象である。このようなプレ転写が生ずると、中間転写体上における可視像の転写位置が本来の位置からズレて画像が乱れてしまう。
【0011】請求項3の発明は、請求項2の転写装置において、上記アース部材に流れ込むアース電流Iaの値を検知するアース電流値検知手段とを設け、「It−Ia」を一定にするように上記出力電流Itを制御することで、上記実効転写電流の値を一定に維持させるように上記出力電流制御手段を構成したことを特徴とするものである。
【0012】この転写装置においては、転写電流付与手段からの出力電流Itの値と、中間転写ベルトからアース部材へと流れ込むアース電流Iaの値との差分を一定に維持するように、該出力電流Itの値を制御する。この差分は、中間転写ベルトに対する転写電流(出力電流It)の付与位置から、アース部材へと流れ込まずに、該中間転写ベルトにおける像担持体との接触面まで到達する実効転写電流の値とほぼ同等になる。かかる構成においては、中間転写ベルトから像担持体へと流れ込む実効転写電流の値を直接検知させる手段を設けなくても、該値を間接的に検知させて一定に維持させることが可能になる。
【0013】なお、従来、紙搬送ベルトを転写バイアスローラとアースローラとによって張架支持しながら回転させ、給紙装置から該紙搬送ベルト上に給紙した転写紙を、該紙搬送ベルトと像担持体との接触によって形成した転写ニップに搬送する転写装置において、転写バイアスローラへの出力電流値と、アースローラに流れ込むアース電流値との差分を一定に制御するいわゆる差分定電流制御を実施するものが知られている。しかしながら、この転写装置は、紙搬送ベルトと像担持体との接触位置、即ち、画像形成のプロセスで像担持体上の可視像が最終転写体である転写紙に転写される最終転写位置、における実効転写電流を一定に維持するものである。よって、画像形成のプロセスで可視像が中間転写体に中間的に転写される中間転写位置における実効転写電流を一定に維持する本転写装置と、この従来の転写装置とは異なるものである。
【0014】ところで、本発明者は鋭意研究により、中間転写ベルトに対して間接印加方式によって転写電流を付与する転写装置において、中間転写ベルトとして、ベルト厚み方向に体積固有抵抗値の偏差があり、且つその裏面の表面抵抗値が1×10を下回るものを用いると、裏面に付与した転写電流の殆どベルト厚み方向に流さずに、ベルト周方向に流してアースに導いてしまうことを見出した。また、裏面の表面抵抗値が1×1011を上回るものを用いると、裏面に付与した転写電流を中間転写ベルトの転写面と像担持体との接触位置まで流すことが困難になることを見出した。よって、裏面の表面抵抗値が1×10を下回る中間転写体ベルトや、1×1011を上回る中間転写ベルトを用いた場合には、間接印加方式による転写電流の付与が困難になる。
【0015】そこで、請求項4の発明は、請求項3の転写装置であって、上記中間転写ベルトとして、ベルト厚み方向に体積固有抵抗値の偏差があり、且つ、上記転写面とは反対側の裏面の表面抵抗値が1×10〜1×1011[[Ω/□]の範囲に調整されたものを備えることを特徴とするものである。
【0016】この転写装置においては、中間転写ベルトとして、その裏面の表面抵抗値を1×10〜1×1011[[Ω/□]の範囲に調整したものを設けることにより、中間転写位置に実効転写電流を確実に生じせしめ、良好な転写性能を発揮させるようにしている。
【0017】請求項5の発明は、像担持体上に可視像を形成する可視像形成手段と、該可視像を中間転写体に転写した後、他の転写体に転写する転写装置とを備える画像形成装置において、該転写装置として、請求項1、2、3又は4の転写装置を設けたことを特徴とするものである。
【0018】この画像形成装置においては、請求項1の転写装置と同様の作用により、中間転写体の電気抵抗値にかかわらず、実効転写電流値の値を一定に維持する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を画像形成装置である電子写真方式のカラー複写機(以下、カラー複写機という)に適用した一実施形態について説明する。まず、本実施形態に係るカラー複写機の基本的な構成について説明する。図1は、このカラー複写機の概略構成図である。図1において、カラー複写機は、カラー画像読取装置(以下、カラースキャナという)1、カラー画像記録装置(以下、カラープリンタという)2、給紙バンク3等で構成されている。
【0020】上記カラースキャナ1は、コンタクトガラス101上の原稿4の画像を照明ランプ102、ミラー群103a、103b、103c、レンズ104を介してカラーセンサ105に結像して、原稿4のカラー画像情報を、例えばRed:赤、Green:緑、Blue:青(以下、それぞれR、G、Bという)の色分解光毎に読み取り、電気的な画像信号に変換する。本カラー複写機は、R、G、Bの色分解手段と、CCD等の光電変換素子で構成されたカラーセンサ105によって、原稿4の画像を色分解した3色のカラー画像を同時に読み取る。そして、このカラースキャナ1で得たR、G、Bの色分解画像信号強度レベルを基に、図示しない画像処理部で色変換処理を行い、Black:黒(以下、Bkという)、Cyan:シアン(以下、Cという)、Magenta:マゼンタ(以下、Mという)、Yellow:イエロー(以下、Yという)のカラー画像データを得る。
【0021】上記Bk、C、M、Yのカラー画像データを得るためのカラースキャナ1の動作は次の通りである。即ち、まず、照明ランプ102、ミラー群103a、103b、103c等からなる光学系により、後述のカラープリンタ2の動作にタイミングを合わせて原稿4を図中矢印左方向に走査し、1回の走査毎に1色のカラー画像データを得る。
【0022】上記カラープリンタ2は、像担持体としての感光体ドラム200、書き込み光学ユニット220、2次転写装置260、紙搬送装置270、定着装置280等を備えている。また、感光体ドラム200の周囲に、感光体クリ−ニング装置201、除電ランプ202、帯電器203、リボルバ現像ユニット230、基準画像濃度センサ204、1次転写装置240などを備えている。
【0023】上記書き込み光学ユニット220は、半導体レーザー221、図示しないレーザー発光駆動制御部、ポリゴンミラー222とその回転用モ−タ223、f/θレンズ224、反射ミラー225などで構成され、感光体ドラム200に対し、カラースキャナ1からのカラー画像データを光信号に変換して原稿4の画像に対応した光書き込みを行う。感光体ドラム200は、この光書き込みによって静電潜像を担持する。
【0024】上記リボルバ現像ユニット230は、Bk現像器231K、C現像器231C、M現像器231M、Y現像器231Yと、各色の現像器231を矢印の反時計方向に回転させる図示しないリボルバ回転駆動部などで構成されている。そして、複写機本体の待機状態では、これら4つの現像器231のうち、Bk現像器231Kを感光体ドラム200との対向位置である現像ポジションに位置させるような回転角度で停止している。
【0025】各色の現像器231は、リボルバ現像ユニット230の図中反時計回りの回転によって現像ポジションまで順次移動する。各色の現像器231内には、それぞれ対応する色のトナーとフェライトキャリアとを含有する現像剤を収容する図示しない現像剤収容部、この現像剤を汲み上げて撹拌するために回転する図示しない攪拌パドル、表面に担持したこの現像剤の穂を感光体ドラム200に接触させながら回転する現像スリ−ブなどが配設されている。各色の現像器231内の現像剤は、上記攪拌パドルでの攪拌によって負極性に帯電せしめられながら上記現像スリーブに担持される。この現像スリ−ブには、図示しない現像バイアス電源によって負極性の直流電圧Vdcに交流電圧Vacが重畳された現像バイアスが印加されている。
【0026】本カラー複写機は、図示しないコピースタートキーが押下されるなどしてコピ−動作を開始すると、カラースキャナ1によってBkカラー画像データの読み取りを開始する。また、感光体ドラム200を図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転させるとともに、中間転写ベルト241を駆動ローラ242の回転によって時計回りに回転させる。
【0027】回転駆動を開始した感光体ドラム200の表面は、帯電器203との対向位置でコロナ放電によって負極性の所定電位に一様に帯電せしめられる。そして、上記書き込み光学ユニット220によってBkカラー画像信号に基づいたラスタ露光が施される。このラスタ露光が施された部分は、露光量に比例する電荷を失ってBk静電潜像を担持する。
【0028】現像ポジションに位置しているBk現像器231Kは、上記Bk静電潜像を先端部から現像し得るように、この先端部が現像領域(現像スリーブと感光体ドラム200との対向領域)に到達する前に、現像スリーブの回転駆動を開始する。上記Bk静電潜像は、感光体ドラム200の回転に伴って上記現像領域を通過する際に、Bk現像器231Kの現像スリーブ上に担持された現像剤中のBkトナーが静電的に付着せしめられる。一方、感光体ドラム200の非潜像部分は、即ち、非露光部分には、Bkトナーが付着しない。これらの結果、上記現像領域を通過した感光体ドラム200表面には、Bk静電潜像と同じ形状のBkトナー像が形成される。
【0029】上記感光体ドラム200上で現像された上記Bkトナー像は、感光体ドラム200の回転に伴って上記1次転写ニップまで移動し、感光体ドラム200と接触しながら等速回転する中間転写ベルト241の転写面に転写される。1次転写ニップを通過した後の感光体ドラム200表面は、上記感光体クリーニング装置201によって残留トナーがクリーニングされた後、上記除電ランプ202との対向位置で除電される。そして、上記帯電器203との対向位置で再び一様に帯電せしめられる。
【0030】上記Bkトナー像の現像工程がある程度進行すると、所定のタイミングでカラースキャナ1によるC画像データの読み取りが始まり、このC画像データによるレーザー光書き込みによって、感光体ドラム200の表面にC静電潜像が形成され始める。そして、感光体ドラム200上のBk静電潜像の後端部が上記現像領域を通過した後で、且つC静電潜像の先端部が現像領域に到達する前に、リボルバ現像ユニット230が約90°回転する。この回転により、C現像器231Cが現像ポジションに移動してCトナーによるC静電潜像の現像を開始し、感光体ドラム200上にCトナー像を形成する。以降、同様にして、感光体ドラム200上に、Mトナー像、Yトナー像が形成され、これらは上記1次転写ニップで中間転写ベルト241上に重ね合わせ転写され、全てのトナー像が転写された時点で、中間転写ベルト241上にフルカラートナー像が形成される。
【0031】図2は、上記カラープリンタ2の感光体ドラム200の周囲構成を示す構成図である。図2において、上記1次転写装置240は、複数のローラ242、243、244、245、246、247と、これらに張架された中間転写ベルト241とを備えている。また、1次転写バイアス電源248、中間転写ベルト241を除電する除電器249、中間転写ベルト241をクリーニングするクリーニンググレード250、潤滑剤隗251、潤滑剤塗布ブラシ252なども備えている。
【0032】上記中間転写ベルト241は、導電性の電気特性を発揮し得るように構成され、後述の1次転写バイアスローラとアースローラ246とによって感光体ドラム200に向けて付勢されることで、両ローラの間で感光体ドラム200に当接して中間転写位置としての1次転写ニップを形成している。
【0033】導電性の上記中間転写ベルト241を張架するローラのうち、242は、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転駆動せしめられる駆動ローラとなっており、その回転によって中間転写ベルト241を図中時計回りに回転させる。
【0034】また、243は、図示しない位置調整機構によってカラー複写機本体内における相対的な位置が調整されることにより、中間転写ベルト241のテンション力を調整するテンションローラとなっている。
【0035】また、247は、これに接続された1次転写バイアス電源248とともに転写電流付与手段を構成する1次転写バイアスローラとなっている。この1次転写バイアス電源248は図示しない出力電流制御手段としての1次転写バイアス制御部を備えており、これにより、1次転写バイアスローラ247への出力電流を中間転写ベルト241上のトナー像の重ね合わせ数に応じた値に制御する。1次転写バイアス電源248から1次転写バイアスローラ247へと出力された1次転写電流は、中間転写ベルト241の裏面に付与される。
【0036】また、246は、アース部材としてのアースローラとなっており、1次転写バイアスローラ247から中間転写ベルト241の裏面へと付与された上記1次転写電流を、上記転写バイアス電源248に戻して最終的にアースに導くようになっている。
【0037】また、244は、後述する2次転写装置の2次転写バイアスローラと対向するように配設された対向ローラとなっている。
【0038】また、256は、上記1次転写ニップよりもベルト回転方向上流側に配設された上記クリーニングブレード250との間に中間転写ベルト241を挟み込んでベルトクリーニングをバックアップするバックアップローラとなっている。但し、クリーニングブレード250は、図示しない接離機構によって中間転写ベルト241に対して接離せしめられるようになっており、上記トナー像を保持している中間転写ベルト241部分が通過する間は、中間転写ベルト241との接触位置から待避している。
【0039】上記潤滑剤隗251、潤滑剤塗布ブラシ252は、それぞれ、このバックアップローラ256と上記アースローラ246との間に位置するように配設されている。潤滑剤塗布ブラシ252は、この間の位置で、ステアリン酸亜鉛等の上記潤滑剤隗251を研磨しながら、研磨によって得た潤滑剤微粒子を中間転写ベルト241の転写面に塗布する。但し、これら潤滑剤隗251、潤滑剤塗布ブラシ252は、図示しない移動機構によって移動せしめられるようになっており、潤滑剤塗布ブラシ252は上記トナー像を保持している中間転写ベルト241部分が通過する間は、中間転写ベルト241との接触位置から待避している。
【0040】図2に示すように、1次転写バイアスローラ247は、上記1次転写ニップよりもベルト回転方向下流側で中間転写ベルト241の裏面に接するように配設されており、この1次転写ニップよりも下流側で該裏面に1次転写電流を供給する。この1次転写バイアスローラ247以外のローラ242、243、244、245、246はそれぞれアースに接続されているが、これらローラのうち、上記アースローラ246が1次転写バイアスローラ247に最も近い位置に配設されている。このため、1次バイアスローラ247から中間転写ベルト241の裏面に付与された1次転写電流は、全体的にアースローラ246の方向に流れる。このように、本カラー複写機の1次転写のプロセスでは、1次転写ニップの下流側で1次転写バイアスを印加し、上流側で1次転写電流をアースに導くという間接印加方式を採用している。
【0041】感光体ドラム200上で順次現像されたBk、C、M、Yのトナー像は、この1次転写ニップを通過する際に、感光体ドラム200と中間転写ベルト241との押圧力、及び上記1次転写電流の相乗作用によって物理的、静電的に中間転写ベルト241上に重ね合わせ転写される。そして、4色全てのトナー像が重ね合わせて転写されることにより、中間転写ベルト241上にフルカラートナー像が形成される。
【0042】上記1次転写装置240の下方には、2次転写装置260が配設されている。この2次転写装置260は、3つのローラ262、263、264と、これらに張架されるベルト261とを備えている。また、2次転写バイアスローラ269、2次転写バイアス電源269、転写紙除電チャージャ266、ベルト除電チャージャ267、クリーニングブレード268等も備えている。
【0043】上記ベルト261を張架する3つのローラのうち、263は、図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動せしめられる駆動ローラとなっており、その回転によってベルト261を図中反時計回りに回転させる。
【0044】また、264、上記クリーニングブレード268との間にベルト261を挟み込んでベルト261のクリーニングをバックアップするバックアップローラとなっている。
【0045】また、262は、ベルト261と摺接して従動する従動ローラとなっている。
【0046】この従動ローラ262と、上記2次転写バイアスローラ269とは、それぞれ図示しない移動機構によって図中上下方向に移動せしめられるようになっている。これら2つのローラが上限まで移動すると、ベルト261と上記中間転写ベルト241とが接触するとともに、2次転写ローラ269が2枚のベルト(中間転写ベルト241、ベルト261)を介して上記対向ローラ244に接触する、この接触により、対向ローラ244と2次転写バイアスローラ265との間に再転写位置としての2次転写ニップが形成される。
【0047】上記2次転写バイアス電源269は、図示しない2次転写バイアス制御部を備えており、これにより、2次転写バイアスローラ265への出力電流を所定の値に制御する。2次転写バイアス電源269から2次転写バイアスローラ265へと出力された2次転写電流は、ベルト261の裏面に付与される。
【0048】本カラー複写機では、待機状態から、上記1次転写ニップにおける3色目(M)のトナー像の重ね合わせ転写を開始するまでの間には、2次転写バイアスローラ265と上記従動ローラ262とをそれぞれ下限まで移動させた状態(二点差線で示す状態)にしている。そして、3色目の重ね合わせ転写を開始し、中間転写ベルト241上の3色(Bk、C、M)の重ね合わせトナー像の後端部分に、上記対向ローラ244と2次転写バイアスローラ265との間を通過させた後に、2次転写バイアスローラ265と上記従動ローラ262とをそれぞれ上限まで移動させる。そして、この移動によって上記2次転写ニップを形成する。上記1次転写ニップで4色目(Y)のトナー像の重ね合わせによって得られたフルカラートナー像は、中間転写ベルト241の回転に伴ってこの2次転写ニップに搬送される。
【0049】一方、上記給紙バンク3は、OHPシートや厚紙をストックする手差しトレイ310、裏面プリント紙カセット320、給紙カセット330、340、350、複数の紙搬送ローラ対、レジストローラ対302などを備えており、上記カラープリンタのプリント動作が開始されると、給紙コロ311、321、331、341、351のどれかを作動させる。この作動によって、手差しトレイ310あるいはカセット320、330、340、350のどれかから転写紙Pが排紙され、搬送ローラ対を経てレジストローラ対302まで搬送される。
【0050】このレジストローラ対302は、搬送されてきた転写紙Pを、上記2次転写ニップで上記中間転写ベルト241上のフルカラートナー像と重ね合わせ得るタイミングで、上記ベルト261上に送り出す。このようにして送り出された転写紙Pは、上記2次転写ニップで上記中間転写ベルト241上のフルカラートナー像が一括転写されながら、この2次転写ニップを通過する。そして、上記転写紙除電チャージャ266との対向位置を通過する際に除電された後、後述の紙搬送ベルト上に供給される。
【0051】上記2次転写ニップを通過したベルト261部分は、上記ベルト除電チャージャ267との対向位置を通過して除電された後、クリーニングブレード268によって表面に付着している残留トナーがクリーニングされる。
【0052】上記2次転写装置260の図中左側方(図1)には、2本の張架ローラによって張架されながら図中反時計周りに回転駆動する紙搬送ベルト270が配設されており、上記2次転写装置260のベルト261から受け取った転写紙Pを上記定着装置280内に送り出す。
【0053】上記定着装置280は、加圧ローラ281と加熱ローラ282とを備えており、上記紙搬送ベルト270から送られてくる転写紙Pを両ローラの間に挟み込んで、上記フルカラートナー像をこの転写紙Pに溶融・定着せしめる。このようにしてフルカラー画像が定着せしめられた転写紙Pは、排紙ローラ対290を経由して複写機外のコピートレイに表向きにスタックされる。
【0054】複数の原稿4の画像をコピーするリピートコピーを実施する際には、カラースキャナ1の動作や、感光体ドラム200への光書き込み処理が1枚目の4色目(Y)の現像工程に引き続き、所定のタイミングで2枚目の1色目(Bk)の読取工程が実施される。また、1次転写は、1枚目のフルカラートナー像の一括転写工程を終え、且つ、クリーニングブレード250によるクリーニング工程と、潤滑剤塗布ブラシ252による潤滑剤の塗布工程とを終えた中間転写ベルト241部分に、2枚目のBkトナー像が感光体ドラム200から1次転写される。
【0055】以上は、4色フルカラーコピーを得るコピーモードであるが、3色コピーモード、2色コピーモードの場合には、指定された色と回数の分について、同様の工程を実施する。また、単色コピーモードの場合には、所定枚数が終了するまでの間、所定色の現像器231を上記現像ポジションに位置させたままの状態で、現像工程、1次転写工程及び2次転写工程を実施する。
【0056】次に、本カラープリンタの特徴的な構成について説明する。図3は、上記1次転写バイアスローラ247と、上記アースローラ246とを示す斜視図である。図において、上記1次転写バイアスローラ247は、金属等の導電性材料で構成され且つローラ両端部から突出するローラ芯247aを備えており、このローラ芯247aが軸受け253、254によって回転自在に支持されるようになっている。後者の軸受け254の内部は、導電処理が施されて図示しない上記1次転写バイアス電源が接続されている。また、上記アースローラ246も導電性導電性材料で構成され且つローラ両端部から突出するローラ芯246aを備えており、このローラ芯246aが軸受け255、256によって回転自在に支持されるようになっている。この軸受け256の内部も、導電処理が施されて図示しない上記1次転写バイアス電源が接続されている。
【0057】図4は、上記中間転写ベルト241の一部を示す拡大断面図である。図において、中間転写ベルト241は、導電性ゴム等で形成された下層241bと、これに被覆された被覆層241aとで構成され、被覆層241側が転写面になっている。かかる構成の中間転写ベルト241では、図5に示すように下層241b側面である裏面が1次転写バイアスローラ247、アースローラ246に接触する。1次転写バイアス電源248から出力された電流Itは、中間転写ベルト241をその周方向に伝わってアースローラ246から1次転写バイアス電源248のアースへとフィードバックされるアース電流としての帰還電流Iaとなったり、その厚み方向に伝わって感光体ドラム200と中間転写ベルト241との接触面に流れ込む実効転写電流となったりする。これら電流のうち、上記トナー像の1次転写に寄与するものは実効転写電流である。
【0058】図6は、中間転写ベルト241の各位置における電気抵抗を示す模式図である。図6において、R1、R2はそれぞれ中間転写ベルト241の下層241bの周方向における電気抵抗を示しており、R3は被覆層241aの厚み方向における電気抵抗を示している。1次転写バイアスローラ247とアースローラ246との間の部分における中間転写ベルト241の電気抵抗は、R1+R2となる。また、1次転写バイアスローラ247と感光体ドラム200との間の部分における電気抵抗はR1+R3となる。
【0059】従来の複写機では、上記1次転写バイアス電源から出力する1次転写電流(It)の値を一定に制御(定電流制御)していた。図7は、従来の複写機におけるベタ転写必要電圧値[V]と、中間転写ベルト241の裏面抵抗率[Ω/□]との関係を示すグラフである。このベタ転写必要電圧とは、最も濃度の濃いトナー像を中間転写ベルト241に転写するために必要な1次転写バイアスの電圧値である。図示のように、従来の複写機では、環境の高温高湿化に伴って中間転写ベルトの裏面抵抗率(下層241bの体積抵抗)が増加するに従い、中間転写ベルト241を流れる電流値が低下するため、より高電圧の1次転写バイアスを印加する。
【0060】図8は、従来の複写機におけるベタ転写に必要な実効転写電流値[μA]と、中間転写ベルト241の裏面抵抗率[Ω/□]との関係を示すグラフである。図示のように、ベタ転写に必要な実効転写電流値は、中間転写ベルト241の裏面抵抗率[Ω/□]にかかわらず一定である。ここで、図6に示したR1、R2、R3は環境の高温高湿化に伴って低下するが、R2の低下量がR3の低下量よりも多くなると、帰還電流Iaが増加する一方で、実効転写電流(It−Ia)が低下してしまう。従来の複写機では、このような実効転写電流の低下により、実効転写電流値が図8の20[μA]を下回って1次転写性能不足による1次転写不良を引き起こしていた。
【0061】そこで、本実施形態のカラー複写機は、1次転写バイアス電源248の図示しない1次転写バイアス制御部により、次の数1に示す条件式を具備するように、1次転写バイアス電源248からの出力電流Itの値を制御するように構成されている。
【数1】出力電流Itの値−帰還電流Iaの値=一定(但し、It−Ia≧ベタ転写に必要な実効転写電流値)
【0062】図6に示したように、実効転写電流の値は、この数1の解(It−Ia)とほぼ同様になる。よって、本カラー複写機では、出力電流Itの値を単に一定に制御するのではなく、これと帰還電流Iaの値との差分を一定に制御することにより、中間転写ベルト241の電気抵抗値にかかわらず、実効転写電流値の値を一定に維持することが可能になる。
【0063】図9は、本カラー複写機における中間転写ベルト電流[mA]と、中間転写ベルト241の裏面抵抗率[Ω/□]との関係の一例を示すグラフである。図9においては、中間転写ベルト241の裏面抵抗率が1×10[Ω/□]を下回ると、帰還電流Iaの増加率が急激に上昇している。但し、このような急激な上昇が認められる裏面抵抗率の臨界点は、1次転写バイアスローラ247と上記1次転写ニップとの距離や、アースローラ246と1次転写ニップとの距離によって異なってなってくる。
【0064】ところで、本発明者は鋭意研究により、本カラー複写機のように間接印加方式で中間転写ベルト241に1次転写バイアスを供給するものにおいては、裏面抵抗率が1×10[Ω/□]を下回る中間転写体ベルトを用いると、出力電流Itの殆どを帰還電流Iaとして1次転写バイアス電源248にフィードバックしてしまうことを見出した。また、裏面抵抗率が1×1011[Ω/□]を上回る中間転写体ベルトを用いると、実効転写電流を1次転写ニップの感光体ドラム200と中間転写ベルト241との接触面まで流すことが困難になることを見出した。よって、中間転写ベルト241としては、1×10〜1×1011[[Ω/□]の裏面抵抗率のものを用いることが望ましい。なお、この裏面抵抗率については、下層241bと被覆層241bとの2層構造からなる中間転写ベルト241のみならず、3層以上の多層構造、あるいは1層のみの単層構造の中間転写ベルトでも同様である。
【0065】以上の実施形態において、出力電流Itの値に加えて帰還電流Iaの値を検知し、両電流の差分を演算することで実効転写電流の値を間接的に求めるようにカラー複写機について説明した。しかし、例えば、中間転写ベルト241から感光体ドラム200に流れる実効転写電流の値を検知する手段を設けるなど、該値を他の方法によって検知する画像形成装置についても本発明の適用が可能であることは言うまでもない。
【0066】
【発明の効果】請求項1、2、3又は4の発明によれば、プリンタ等の画像形成装置内において、中間転写体の電気抵抗値にかかわらず、実効転写電流値の値を一定に維持するので、実効転写電流の増減に起因する転写性能の不安定化を軽減することができるという優れた効果がある。
【0067】特に、請求項2の発明によれば、中間転写体として中間転写ローラを設ける場合よりも、転写ニップ幅を広めて転写性能を向上せしめることができるという優れた効果がある。また、ベルト張架部材に転写電流付与部材やアース部材としての機能を発揮させることが可能になるので、これら転写電流付与部材やアース部材を新たに設けることによるコストアップを回避することができるという優れた効果がある。更に、転写ニップよりも上流側の中間転写ベルト部分の電位を下げてプレ転写の発生を抑えることができるという優れた効果がある。
【0068】また特に、請求項3の発明によれば、中間転写ベルトから像担持体へと流れ込む実効転写電流の値を直接検知させる手段を設けなくても、該値を間接的に検知させて一定に維持させることができるという優れた効果がある。
【0069】また特に、請求項4の発明によれば、中間転写位置に実効転写電流を確実に生じせして良好な転写性能を発揮させることができるという優れた効果がある。
【0070】請求項5の発明によれば、中間転写体の電気抵抗値にかかわらず、実効転写電流値の値を一定に維持するので、実効転写電流の増減に起因する転写性能の不安定化を軽減することができるという優れた効果がある。
【出願人】 【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
【出願日】 平成12年4月24日(2000.4.24)
【代理人】 【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
【公開番号】 特開2001−305888(P2001−305888A)
【公開日】 平成13年11月2日(2001.11.2)
【出願番号】 特願2000−122295(P2000−122295)