トップ :: G 物理学 :: G03 写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ




【発明の名称】 シームレスベルト
【発明者】 【氏名】信藤 卓也

【氏名】坂倉 清志

【氏名】加藤 博久

【要約】 【課題】本発明は特に電子写真の中間転写ベルトとして有用なシームレスベルトを低コストで製造することを課題とする。

【解決手段】ポリアリレートと、ポリエチレンナフタレートとを樹脂原料として使用し、該樹脂原料に導電性フィラーを添加する。このような成形材料は環状ダイを備えた押出し成形機によって容易に円筒状成形体に成形され、該円筒状成形体を所定巾にカットしてシームレスベルトとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリアリレートと、ポリエチレンナフタレートと、導電性フィラーとを含有する混合物を材料とすることを特徴とするシームレスベルト【請求項2】 該ポリアリレートと該ポリエチレンナフタレートとは、9:1〜2:8重量比で混合されている請求項1に記載のシームレスベルト【請求項3】 該シームレスベルトは該混合物を環状ダイを使用する押出成形によって製造される請求項1または2に記載のシームレスベルト【請求項4】 該シームレスベルトは電子写真の中間転写ベルトとして使用される請求項1〜3に記載のシームレスベルト
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として電子写真式の複写機、プリンタ等において、感光体上に形成されたトナー画像を、紙等に転写する中間転写ベルトとして使用されるシームレスベルトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真装置においては、一般的に、画像読取装置で得られた画像に対応する静電潜像を帯電させた感光体の表面に形成し、該静電潜像を現像器によってトナー画像とした後、該トナー画像を中間転写ベルトに静電転写し、そして該中間転写ベルトから紙等の画像支持体に再度転写して最終的な画像を形成する。
【0003】この電子写真装置に使用される中間転写ベルトは、正確で鮮明な画像を形成するために、シームレスであり、均一な厚みを有し、かつ、伸び量が少ない(引張弾性率が高い)ものでなくてはならない。これらの特性を満たす中間転写ベルトの原料樹脂としては、従来より熱硬化型のポリイミド樹脂が主に使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、熱硬化型のポリイミド樹脂を原料樹脂としてシームレスベルトを製造するには、その成形特性上、スピンキャスト法が採用されている。しかしスピンキャスト法にあっては連続成形が出来ず、またベルトのサイズに応じた金型を必要とし、製造コストが高くなると云う問題点があった。
【0005】従って、本発明の課題は、均一な厚み及び高い引張弾性率を有するシームレスベルトを低コストで製造する方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の課題を解決するための手段として、ポリアリレートと、ポリエチレンナフタレートと、導電性フィラーとを含有する混合物を材料とするシームレスベルトを提供するものである。該ポリアリレートと該ポリエチレンナフタレートとは、9:1〜2:8重量比で混合されていることが望ましい。また該シームレスベルトは該混合物を環状ダイを使用する押出成形によって製造することが出来る。更に該シームレスベルトは主として電子写真の中間転写ベルトとして有用である。
【0007】本発明において使用する原料樹脂混合物は、良好な押出成形性を有するため、押出し成形によって厚み及び径が均一なシームレス円筒状成形物とされる。押出し成形法にあっては、スピンキャスト法のように煩雑な製造工程を要することなく、連続成形が可能であり、また、円筒状成形物の径の大きさも押出し成形機の環状ダイの大きさを変更することにより簡単に変更することができるため、製造コストが低いという利点がある。以上のようにして成形した円筒状成形体は、所望の幅にカットすることにより、ベルト状にする。
【0008】本発明のシームレスベルトを電子写真装置用中間転写ベルトとして使用する場合には、引張弾性率が200kg/mm2 以上、特に250kg/mm2 以上であるのが好ましい。本発明では、PARとPENとを主体とする原料樹脂混合物を使用するため、このような高い引張弾性率が可能となる。また、本発明のシームレスベルトの厚みは、80〜100μm であるのが好ましく、目的とする厚みに対する誤差は、±10μm 以下、特に±4μm 以下であるのが好ましい。本発明では、PARとPENとを主体とする原料樹脂混合物を使用して押出し成形を行うため、誤差の少ない均一な厚みを有するシームレスベルトを製造することができる。以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】〔ポリアリレート〕本発明で使用されるポリアリレート(PAR)は、例えばテレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸と、主としてビスフェノールA等の二価フェノールとの重合によって得られる芳香族ポリエステルである。PARの原料としてテレフタル酸とイソフタル酸を使用する場合、テレフタル酸とイソフタル酸とのモル比は30:70〜70:30の範囲に設定することが望ましく、更に望ましくは40:60〜60:40の範囲に設定する。
【0010】〔ポリエチレンナフタレート〕本発明で使用するポリエチレンナフタレート(PEN)は、繰り返し単位がエチレンナフタレートからなるポリエステルであり、一般には、2,6-ナフタレンジカルボン酸又はその誘導体と、エチレングリコール又はその誘導体とを重縮合させることにより得られる。上記PENにあっては、上記成分以外に、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4'- ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸成分、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸等の脂肪族ジカルボン酸成分、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール成分、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジエタノール等の脂環族ジオール成分、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等の芳香族ジオール成分等がPENの特性を損なわない範囲で含有されていてもよい。上記ポリエチレンナフタレートは、極限粘度(IV値)が0.5〜1.2であるものが好ましい。
【0011】〔原料樹脂配合〕上記PARは耐熱性が高く、耐衝撃性、高弾性を有し、しかも難燃性も高い。更に良好な押出し成形性を有する。また上記PENは結晶性樹脂であり、押出し成形時に及ぼされる延伸力によって分子が配向して強度が向上し、繰返し歪に対して材料疲労を起しにくい。したがってPARとPENとを混合することによって、両者の特性が相俟って引張り弾性率が高く耐久性のあるシームレスベルトが提供される。PARとPENとの混合比率は通常9:1〜2:8重量比、望ましくは8:2〜5:5重量比とする。
【0012】上記PARとPEN以外に、本発明においては、更に例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレンターポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリアミド、熱可塑性ウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂、アクリルゴム、ブチルゴム、ケイ素ゴム、ウレタンゴム、フッ化物系ゴム、多硫化物系ゴム、グラフトゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリブテンゴム、イソブテン−イソプレンゴム、アクリレート−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ピリジン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、アクリロニトリル−クロロプレンゴム、スチレン−クロロプレンゴム等のゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)共重合体、スチレン−水素添加ポリオレフィン−スチレン(SEBS)共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマーやブタジエン−スチレンプロック共重合体、スチレン−ゴム中間ブロック−スチレン共重合体等のブロック共重合体等のエラストマー等がPARとPENの混合物の特性を損なわない範囲で使用されてもよい。
【0013】特に望ましい熱可塑性樹脂としてはポリエステル樹脂がある。上記ポリエステル樹脂(PET)はテレフタル酸とエチレングリコールとを主成分とする重縮合体であるが、上記成分の他に更に、フタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸成分、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸等の脂肪族ジカルボン酸成分、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール成分、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジエタノール等の脂環族ジオール成分、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等の芳香族ジオール成分等がPETの特性を損なわない範囲で含有されていてもよい。
【0014】〔導電性フィラー〕上記原料樹脂に配合する導電性フィラーとしては、通常、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック;カーボン粒子表面に存在する官能基に疎水性のオリゴマー(スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル等のオリゴマー)をグラフトしたグラフトカーボン;酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン等の導電性金属酸化物;硫酸バリウム、硼酸アルミニウム等の導電性金属塩;ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリフェニレンビニレン等の導電性高分子などの粉状物が使用される。
【0015】該導電性フィラーの上記原料樹脂に対する配合量は、得られる中間転写ベルトが所望の電気抵抗値を示すような量であればよく、該導電性フィラーが有する電気特性によって適宜調整すればよい。具体的には、得られるシームレスべルトの表面抵抗値が5〜13logΩ/□、特に10.5〜12logΩ/□となり、体積抵抗値が5〜13logΩ・cm、特に9〜12logΩ・cmとなるように調整するのが好ましい。このような抵抗値を与える導電性フィラーの添加量は種類によって異なり、例えばアセチレンブラックでは10〜25重量%、ケッチェンブラックでは3重量%前後である。
【0016】〔その他の成分〕本発明ではその他の成分として、例えば強度向上のために炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、燐酸カルシウム、石膏、タルク、ガラス繊維、ケイ酸カルシウム等の導電性フィラー以外のフィラー、他の熱可塑性樹脂やゴムやエラストマー、滑剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、防炎剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤等が通常使用される量で添加されてもよい。
【0017】〔押出し成形〕上記原料樹脂、導電性フィラーを含む原料混合物の混練は、常法によって行えばよく、例えば一軸押出し機、二軸押出し機、ロールミキサー、バンバリーミキサー等を使用して溶融混練することができる。この溶融混練した状態から直接押出し成形を行ってもよいが、一旦ペレット化してもよい。ペレット化は上記原料混練物を押出し機から水中に紐状に押出し、ペレタイザーによってカットする方法によって行なう。該ペレットは脱水乾燥させるのが好ましい。該ペレットの含水量が大きいと、原料混合物中のPENが押出し成形中に加水分解を起こし、押出し成形を良好に行うのが困難となるからである。
【0018】以上のようにして得られた原料混練物を、押出し成形によって円筒状に成形する。押出し成形は、溶融した原料混練物を環状ダイを備えた押出し機から押出すことによって行われる。該環状ダイから押出した円筒状成形物は冷却固化後に所定の巾にカットしてシームレスベルトとするが、更に該環状ダイから押出した円筒状成形物にエアを吹き込み、バブル状に膨らませると共に冷却するインフレーション成形を行なってもよい。該エア吹込みは上吹き式又は下吹き式のいずれであってもよい。更に該エア吹込みと共に、またはエア吹込みに代えて円筒状成形物に一軸または二軸延伸加工を施してもよい。このようにエア吹込みおよび/または延伸加工によって成形物は更に延伸され、PENの分子配向が顕著に行われて強度や耐久性の向上がより顕著になり、厚みの均一化が行われる。上記延伸加工では円筒状成形体の径方向に2〜4倍および/または長さ方向に2〜4倍延伸することが望ましい。以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0019】〔実施例1〕ポリアリレート樹脂(ユニチカ (株) 製:U−8000)とポリエチレンナフタレート樹脂(帝人(株)製:TN8065D2)とを8:2重量比でプリブレンドし、該混合物100重量部に対してアセチレンブラック(電気化学工業(株)製:デンカブラック)15重量部を添加する。該原料混合物を二軸スクリュー混練機に投入し270℃で加熱混練しつゝ吐出量2kg/h で紐状に水中に押出し、冷却固化しつゝペレタイザーによりペレット化した。得られたペレットを、真空乾燥機によって脱水乾燥させた。更に環状ダイを備えた二軸スクリュー押出し機によって該ペレットを加熱溶融押出しして円筒状の成形物を成形した。該成形物はサイジングダイを介して冷却固化した後、引取り装置によって延伸力を及ぼしつゝ引取った。得られた円筒状成形体は直径168mmであり、該成形体を巾364.8mmとなるようにカットしてシームレスベルトとした。
【0020】このようにして製造したシームレスベルトについて、厚さ、表面抵抗値、体積抵抗値及び引張弾性率を測定した。該引張弾性率については、JIS K 7127に準拠して測定した。結果を表1に示す。
【0021】〔実施例2〕実施例1で使用したポリアリレート樹脂と、実施例1で使用したポリエチレンナフタレート樹脂と、ポリエステル樹脂(帝人(株)製:TR8580HP)とを7:2:1重量比でプリブレンドし、該混合物100重量部に対してケッチェンブラック(インターナショナル(株)製::ケッチェンブラックEC600JD)3重量部を添加する。該原料混合物を実施例1と同様にしてペレット化し、更に実施例1と同様にして円筒状成形体に押出し成形した。得られた成形体はマンドレルを使用して二軸延伸加工(径方向:3倍、長さ方向:3倍)を行ない、直径168mmの延伸成形物とした。該成形体を巾364.8mmとなるようにカットしてシームレスベルトとした。このようにして製造したシームレスベルトについて実施例1と同様に物性を測定した結果を表1に示す。
【0022】
【表1】

【0023】表1から明らかなように、PARとPENとの混合物を主体とした原料樹脂を使用した場合、押出し成形が可能であり、厚みが均一で、引張弾性率の高いシームレスベルトを製造することができる。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、均一な厚みを有し、引張弾性率の高いシームレスベルトを低コストで製造することが出来る。
【出願人】 【識別番号】000251288
【氏名又は名称】鈴鹿富士ゼロックス株式会社
【出願日】 平成12年4月18日(2000.4.18)
【代理人】 【識別番号】100075476
【弁理士】
【氏名又は名称】宇佐見 忠男
【公開番号】 特開2001−305875(P2001−305875A)
【公開日】 平成13年11月2日(2001.11.2)
【出願番号】 特願2000−116764(P2000−116764)