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【発明の名称】 静電荷像現像用トナー
【発明者】 【氏名】中村 正延

【氏名】井上 文賀

【氏名】古川原 俊郎

【氏名】雨谷 信二

【氏名】浅井 政道

【要約】 【課題】定着性及び耐オフセット性に優れ、かつ、連続印刷した際も安定な帯電挙動を示し、高濃度かつ高品位な印刷画像が得られる耐久性に優れた静電荷像現像用トナーを供給する。

【解決手段】付加重合性不飽和カルボン酸と他の共重合可能なモノマーとを共重合せしめたカルボキシル基含有重合体(a)を多価金属塩化した多価金属塩化重合体(b)と、カルボン酸とアルコールとのエステルであり、分子の一部に炭素数12〜40の鎖状の炭化水素基を有する構造のワックスからなるトナーにより、前記課題を解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】バインダー樹脂と着色剤とワックスを含有するトナーであって、前記バインダー樹脂が付加重合性不飽和カルボン酸と他の共重合可能なモノマーとを共重合せしめたカルボキシル基含有重合体(a)を多価金属塩化した多価金属塩化重合体(b)であり、前記ワックスがカルボン酸とアルコールとのエステルであり、分子の一部に炭素数12〜40の鎖状の炭化水素基を有する構造であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【請求項2】前記ワックスが下記<一般式1>乃至<一般式5>で表される化合物の中から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
<一般式1>【化1】

(R1及びR2は炭素数1〜40の炭化水素基であり、少なくともどちらか一方は炭素数が12以上の鎖状の炭化水素基を示す。)
<一般式2>【化2】

(R1、R2及びR3は炭素数1〜40の炭化水素基であり、少なくともいずれか一つが炭素数12以上の鎖状の炭化水素基を示す。)
<一般式3>【化3】

(R1、R2及びR3は炭素数1〜40の炭化水素基であり、少なくともいずれか一つが炭素数12以上の鎖状の炭化水素基を示す。)
<一般式4>【化4】

(R1は炭素数12〜40の炭化水素基。R2は炭素数1〜40の炭化水素基。また、a+b=4であり、aは1〜4の整数を表し、bは0〜3の整数を表す。)
<一般式5>【化5】

(R1、R2及びR3は炭素数1〜40の炭化水素基であり、少なくともいずれか一つが炭素数12以上の鎖状の炭化水素基。また、a及びcは0〜2の整数であり、a+c=2である。bは1から4の整数であり、dは1または2である。さらに、e=d−1である。)
【請求項3】前記多価金属塩化重合体(b)が下記(1)式、(2)式及び(3)式で示される関係を満足する重合体であることを特徴とする請求項1または2記載の静電荷現像剤用トナー。
10-5≦N≦2×10-3 (1)T1−TS≧20℃ (2)35℃≦Tg≦75℃ (3)[上記式中、Nは多価金属塩化重合体(b)1g中に含まれる金属塩化したカルボキシルイオンのモル数、T1は多価金属塩化重合体(b)の環球法による軟化点、TSはカルボキシル基含有重合体(a)の環球法による軟化点、Tgは多価金属塩化重合体(b)のガラス転移温度をそれぞれ表わす。]
【請求項4】前記多価金属がAl,Ag,Ba,Ca,Cd,Co,Cr,Cu,Fe,Hg,Mg,Mn,Ni,Pb,Sn,Sr,Ti及びZnより成る群より選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1、2または3記載の静電荷現像剤用トナー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法、静電記録法、あるいは静電印刷法に用いる静電荷像現像剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真法としては、米国特許第2,297,691号、特公昭42−23910号公報及び特公昭43−24748号公報などに各種の方法が記載されているが、通常は、光導電性感光体等の静電潜像担持体上に帯電、露光により静電潜像を形成し、次いでこの静電潜像を、バインダー樹脂中に着色剤を含有するトナー組成物によって現像し、得られたトナー像を転写紙などの支持体に転写、定着して可視画像を形成する方法が一般的である。
【0003】また、電子写真法における現像方法としては多くの方法が知られているが、大別すると、鉄粉、フェライト、ニッケル、ガラス等の微粒子(20〜500μm)からなるキャリアとトナーとの混合物を現像剤として用いる二成分現像法と、トナーのみからなる現像剤を用いる一成分現像法とがある。
【0004】二成分現像法の代表例としては、米国特許第2,618,552号記載のカスケード法、及び米国特許2,874,063号記載の磁気ブラシ法がある。これらの方法はキャリアが現像剤の攪拌、搬送、帯電などの機能を分担しておりキャリアとトナーの機能分離が明確になっている。そのためトナーの帯電制御や現像剤層の形成が比較的容易で、高速化にも対応可能なことから現在広く用いられている。
【0005】ところで、近年における情報化社会の発展に伴い、電子写真、静電記録、静電印刷の各分野においても印刷画像の高品質化、記録の高速化、高密度化、長期保存安定性等の要求が高まり、静電潜像を非印刷媒体上に記録するトナー特性の改善に寄せられる期待は多大なものとなっている。特に、高速印刷に適した二成分現像剤用トナーにおいては、キャリアとの摩擦に耐える力学的強度、ヒートロール定着方式における広い温度領域での安定した定着挙動、多部数印刷における安定した帯電挙動、長期間の使用においてもマシン内部を汚染しない飛散トナーの解消等が重要な課題であり、これらの課題はトナー組成物に用いられるバインダー樹脂及びワックス等の添加剤の特性に負うところが非常に大きい。
【0006】これまでトナー用のバインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリブチラール樹脂、キシレン樹脂、クマロンインデン樹脂等が研究使用され、これらの樹脂の設計においては、用途に応じて種々の提案が為されている。
【0007】一般的には、バインダー樹脂に求められる特性としては、帯電、定着特性等、種々の特性があるが、特に、ヒートロール定着用途のトナーに用いられるバインダー樹脂には、転写紙への定着性能と耐オフセット性能の向上が要求されている。ヒートロール定着では、転写紙上に静電的に付着したトナー粒子は、加圧、加熱された熱ロール間を通過することにより溶融して転写紙に定着する。ところが、その際にロールの表面温度が低すぎると、トナー粒子層全体が充分に加熱されず、加熱ロールに接触した面のみが軟化して加熱ロールに付着する。転写紙側のトナーは軟化していないため付着力が生じず、結局、転写紙上のトナー層は転写紙に定着することなく、ほとんどが定着ロール側に移行する。これをコールドオフセットと呼んでいる。
【0008】逆に、ロール表面の温度が高すぎると、溶融したトナーの粘度が低下する。それに伴い、溶融したトナー層の内部凝集力も急激に低下して加熱ロールへの付着力を下回る。その結果、溶融したトナー層は破断して転写紙、及び定着ロール双方に移行する。これをホットオフセットと呼び加熱ロールの汚染の原因となっている。ヒートロールに付着したトナーは転写紙に再転写して非画像部を汚し、印刷品質の低下をもたらす。
【0009】耐オフセット性能とは、トナーがある温度においてコールドオフセット、あるいはホットオフセットを生じない能力を有することを意味し、トナー用のバインダー樹脂には広い温度領域で耐オフセット性能を有し、なおかつ優れた定着特性を有することが求められている。
【0010】以上の目的を達成するため数多くの設計例が提唱されており、中でも加熱溶融時の粘弾性を維持する目的で、あるいは温度変動に対する粘度変化を抑える目的で、分子量分布の拡大、架橋構造の付与、ゴム弾性材料の適用等の手段が施された技術が検討されてきた。たとえば、特公昭52−25420号、同53−17496号、同55−49305号、特開昭55−38524号、同57−37353号、同58−11952号等の各公報においてはヒートロール定着用のポリエステル樹脂が提案され、また、出願人においても特公昭63−48335号公報において多価金属塩化重合体をバインダー樹脂として提案している。しかしながら、従来提案されているこれらの発明では、現在求められている広い温度領域での耐オフセット性能、定着性能を十分に満足するトナー用のバインダー樹脂は得られていない。
【0011】また、一方で定着時におけるヒートロールからの剥離性を付与し、オフセットの発生を防止するためにトナー中にワックスを含有させる技術も並行して研究されてきた。これまでは、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックスが主として検討されてきたが、特開平1−238672号、特開平3−5764号、特開平5−119509号、等にはモンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス等の天然ワックスを用いた例が提示されている。
【0012】しかしながら、これらの各号報には前述した高速印刷用トナーに要求されるすべての特性を満足する発明は開示されていない。特に、高速印刷に適した二成分現像剤用トナーにおいては、キャリアとの摩擦に耐える力学的強度、ヒートロール定着方式における広い温度領域での安定した定着挙動、多部数印刷における安定した帯電挙動、長期間の使用においてもマシン内部を汚染しない飛散トナーの解消等が解決されたトナーは得られていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ヒートロール定着性及び耐オフセット性に優れ、飛散トナーを発生することなく多部数印刷における安定した帯電挙動を示し、高耐久性かつ長寿命の静電荷像現像用トナーを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
【0015】即ち、本発明は上記課題を解決するために、バインダー樹脂と着色剤とワックスとからなるトナーであって、前記バインダー樹脂が付加重合性不飽和カルボン酸と他の共重合可能なモノマーとを共重合せしめたカルボキシル基含有重合体(a)(以下単に重合体(a)という)を多価金属塩化した多価金属塩化重合体(b)(以下単に重合体(b)という)であり、前記ワックスがカルボン酸とアルコールとのエステルであり、分子の一部に炭素数12〜40の鎖状の炭化水素基を有するワックスであることを特徴とする静電荷像現像用トナーを提供するものである。
【0016】本発明でバインダー樹脂として使用する重合体(b)は、広義には別名アイオノマーと称される熱可塑性樹脂であり、イオン結合或は配位結合による架橋構造をもつ。この種の樹脂は室温下では架橋構造の存在に因り強靭で然も優れた耐摩耗性をもち、加熱下ではこの架橋構造が壊れて熔融状態となるため、その温度−粘度変化は加熱ロール定着用トナーに適している。
【0017】本発明で用いる重合体(b)の母体樹脂である重合体(a)を構成する付加重合性不飽和カルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、α−メチルクロトン酸、α−エチルクロトン酸、イソクロトン酸、チグリン酸、ウンゲリカ酸の如き付加重合性不飽和脂肪族モノカルボン酸、又はマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、ジヒドロムコン酸の如き付加重合性不飽和脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
【0018】本発明に於て、上記付加重合性不飽和カルボン酸と共重合させて使用する他のモノマー成分としては、各種のものを挙げることができ特に限定されるものではないが、その具体例として次の各モノマーを挙げることができる。
【0019】即ち、スチレンのほかその誘導体例えばメチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレンの如きアルキルスチレン、フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレンの如きハロゲン化スチレン、更にニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレン等が挙げられる。
【0020】また、前記付加重合性不飽和カルボン酸とアルキルアルコール、ハロゲン化アルキルアルコール、アルコキシアルキルアルコール、アラルキルアルコール、アルケニルアルコールの如きアルコールとのエステル化物等が挙げられる。そして、上記アルコールの具体例としてメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘブチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、ドデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ヘキサデシルアルコールの如きアルキルアルコール;これらアルキルアルコールを一部ハロゲン化したハロゲン化アルキルアルコール;メトキシエチルアルコール、エトキシエチルアルコール、エトキシエトキシエチルアルコール、メトキシプロピルアルコール、エトキシプロピルアルコールの如きアルコキシアルキルアルコール;ベンジルアルコール、フエニルエチルアルコール、フエニルプロピルアルコールの如きアラルキルアルコール;アリルアルコール、クロトニルアルコールの如きアルケニルアルコールが挙げられる。
【0021】上記付加重合性不飽和脂肪族カルボン酸エステルの中で、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、フマル酸アルキルエステル、マレイン酸アルキルエステル等が特に好ましい例として挙げられる。
【0022】更に、前記付加重合性不飽和カルボン酸より誘導されるアミド及びニトリル;エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレンの如き脂肪族モノオレフイン;塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、1,2−ジクロルエチレン、1,2−ジブロムエチレン、1,2−ジヨードエチレン、塩化イソプロペニル、臭化イソプロペニル、塩化アリル、臭化アリル、塩化ビニリデン、弗化ビニル、弗化ビニリデンの如きハロゲン化脂肪族オレフイン;1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,4−ヘキサジエン、3−メチル−2,4−ヘキサジエンの如き共役ジエン系脂肪族ジオレフインが挙げられる。
【0023】前記重合体(a)の製造方法としては通常の重合方法を採ることが可能で、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等、重合触媒の存在下に重合反応を行う方法が挙げられる。
【0024】重合触媒としては、例えば、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、ベンゾイルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられ、その使用量はビニルモノマー成分の0.1〜10.0重量%が好ましい。
【0025】前記重合体(a)に含まれるカルボキシルアニオンにカチオンとして結合して塩を形成する金属としては、Al,Ba,Ca,Cd,Co,Cr,Cu,Fe,Hg,Mg,Mn,Ni,Pb,Sn,Sr,Zn等の多価金属が挙げられる。
【0026】これらの金属を重合体(a)に結合させて塩を形成するためには、重合体(a)に上記金属のハロゲン化物、水酸化物、酸化物、炭酸化物、カルボン酸塩、アルコキシレート、キレート化物等を適宜反応させればよい。この反応は、上記所要成分を、溶媒の存在下に加熱撹拌する形態、又は溶媒の不存在下に熔融混練する形態の何れによつても充分に達成される。重合体(a)のカルボキシルアニオンに上記の如き多価金属が結合せずに、例えばNHの如きカチオンが結合するときは、それによつて得られる塩が熱的に不安定で加熱によつてガスを放出するのみならず、イオン結合の可逆性が失なわれる可能性がある。また、Naの如きカチオンが結合するときは、それによつて得られる塩が親水性塩となり、該塩を用いたトナーは湿度依存性が大となり、電荷減衰速度も極端に早まつてしまう欠点が生ずる。本発明で前記多価金属を用いる理由は上記の如き欠点を排除することにある。
【0027】本発明で用いる重合体(a)及び重合体(b)は下記式(1)式、(2)式及び(3)式で示される関係を満足することが望ましい。
10-5≦N≦2×10-3 (1)T1−TS≧20℃ (2)35℃≦Tg≦75℃ (3)[上記式中、Nは多価金属塩化重合体(b)1g中に含まれる金属塩化したカルボキシルイオンのモル数、T1は多価金属塩化重合体(b)の環球法による軟化点、TSはカルボキシル基含有重合体(a)の環球法による軟化点、Tgは多価金属塩化重合体(b)のガラス転移温度をそれぞれ表わす。]
【0028】(1)式においてNが10-5以下であるときは金属塩化による粘度効果が全くなく、Nが2×10-3以上であるときは、トナーの帯電特性を阻害する恐れがあり、又、定着開始温度を上昇せしめる。より具体的な好ましい粘弾性範囲が(2)式に記述される。即ち、一定荷重下の一定変形時の温度を測定する環球法軟化点温度は一種の粘性指標であるが、本発明に係わる重合体(b)の軟化点をT1、該重合体(b)の非金属塩化状態における軟化点即ち重合体(a)の軟化点をTSとしたときにT1−TSが少くとも20℃以上の値を示す重合体を用いたトナーが加熱ロール定着方式において好ましい。また、T1は120〜180℃であることが望ましく、140〜170℃の範囲であることがより望ましい。120℃以下であると高温でのオフセットが発生し易くなり、180℃以上では低温での定着性が悪くなる。さらに本発明に係る重合体(b)はTgが35〜75℃の範囲にあることを特徴とし、これにより高温におけるブロツキングを防止しつつも、より低い定着ロール表面温度での定着を可能にすることができる。
【0029】本発明で使用する重合体(b)は全結着樹脂の総てを占めることが望ましいが少くとも30質量%とすることが好ましく、他に結着樹脂を用いる場合には通常の電子写真用トナーに使用される熱可塑性樹脂を混合すればよく、例えばポリスチレン、スチレン−アクリレート共重合樹脂、ポリアクリレート、ポリエチレン、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、クマロン−インデン樹脂等を使用できる。
【0030】本発明で使用することのできる着色剤としては、周知のものがあげられる。黒の着色剤としては製法により分類されるファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、等のカーボンブラックが、青系の着色剤としてはフタロシアニン系のC.I.PigmentBlue 15−3、インダンスロン系のC.I.Pigment Blue 60等が、赤系の着色剤としてはキナクリドン系のC.I.Pigment Red 122、アゾ系のC.I.Pigment Red 22、C.I.Pigment Red 48:1、C.I.Pigment Red 48:3、C.I.Pigment Red 57:1等が、黄系の着色剤としてはアゾ系のC.I.Pigment Yellow 12、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Yellow 14、C.I.Pigment Yellow 17、C.I.Pigment Yellow 97、C.I.Pigment Yellow 155、イソインドリノン系のC.I.Pigment Yellow 110、ベンズイミダゾロン系のC.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 154、C.I.Pigment Yellow 180、等がある。着色剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して1質量部から20質量部の範囲内が好ましい。これらの着色剤は1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0031】本発明で使用するカルボン酸とアルコールとのエステルであり、分子の一部に炭素数12〜40の鎖状の炭化水素基を有するワックスとしては、下記の<一般式1>乃至<一般式5>で表される化合物の中から選択される少なくとも1種を含有する化合物であることが好ましい。
【0032】<一般式1>【0033】
【化6】

(R1及びR2は炭素数1〜40の炭化水素基であり、少なくともどちらか一方は炭素数が12以上の鎖状の炭化水素基を示す。)
<一般式2>【0034】
【化7】

(R1、R2及びR3は炭素数1〜40の炭化水素基であり、少なくともいずれか一つが炭素数12以上の鎖状の炭化水素基を示す。)
<一般式3>【0035】
【化8】

(R1、R2及びR3は炭素数1〜40の炭化水素基であり、少なくともいずれか一つが炭素数12以上の鎖状の炭化水素基を示す。)
<一般式4>【0036】
【化9】

(R1は炭素数12〜40の炭化水素基。R2は炭素数1〜40の炭化水素基。また、a+b=4であり、aは1〜4の整数を表し、bは0〜3の整数を表す。)
<一般式5>【0037】
【化10】

(R1、R2及びR3は炭素数1〜40の炭化水素基であり、少なくともいずれか一つが炭素数12以上の鎖状の炭化水素基。また、a及びcは0〜2の整数であり、a+c=2である。bは1から4の整数であり、dは1または2である。さらに、e=d−1である。)
上記一般式で表されるワックスの具体的な例としては以下の化合物がある。
<ワックス1>;一般式1の具体的な例【0038】
【化11】

<ワックス2>;一般式2の具体的な例【0039】
【化12】

<ワックス3>;一般式3の具体的な例【0040】
【化13】

<ワックス4>;一般式4の具体的な例【0041】
【化14】

<ワックス5>;一般式5の具体的な例【0042】
【化15】

<ワックス6>;一般式5の具体的な例【0043】
【化16】

以上の具体例の中でもワックス1及びワックス4が好適に使用でき、特にワックス4が本発明において使用できる最も好ましいワックスである。
【0044】本発明における炭素数12〜40の鎖状の炭化水素基を有する単価または多価のカルボン酸と単価または多価アルコールとのエステルからなるワックスはヒートロール定着時におけるオフセット現象を防止する離型剤としての働きの他に、多数枚、長時間の印刷においてもキャリア表面に付着することなく、トナーに安定した帯電を与え、飛散トナーの発生等が無く高品位かつ高精細な画像の印刷を可能とする。
【0045】特に高速現像においては本発明における樹脂の強靭で然も優れた耐摩耗性と相乗的に働き、上記効果は顕著である。
【0046】上記ワックスは、バインダー樹脂に対して0.3〜15質量部、好ましくは1〜5質量部含有させることが望ましい。0.3質量部より少ないと耐オフセット性が劣り、15質量部より多いとトナーの流動性が悪くなり現像安定性に悪影響を与えることになる。
【0047】また、本発明ではこれまで公知の種々のワックス、例えばポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリアミド系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、合成エステル系ワックス、モンタン系エステルワックス、カルナバワックス、ライスワックス及び/又はカイガラムシワックスを併用して用いることができる。
【0048】トナーの帯電制御は、結着樹脂、着色剤自体で行ってもよいが、必要に応じて帯電制御剤を用いてもよい。本発明で用いることのできる負の帯電制御剤としては、トリメチルエタン系染料、サリチル酸の金属錯塩、ベンジル酸の金属錯塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、金属錯塩アゾ系染料、アゾクロムコンプレックス等の重金属含有酸性染料、カリックスアレン型のフェノール系縮合物、環状ポリサッカライド、カルボキシル基及び/又はスルホニル基を含有する樹脂、等がある。
【0049】より具体的には金属錯塩アゾ系染料としてオリエント化学社製「ボントロンS−34」、保土ヶ谷化学社製「Aizen Spilon Black TRH」等が好適に用いられる。
【0050】特に、カラートナーにおいては無色の帯電制御剤を使用するのが望ましく、サリチル酸の金属錯化合物としてオリエント化学社製「ボントロンE−84」が、ベンジル酸の金属錯化合物としては日本カーリット製「LR−147」、「LR−297」等が好適に用いられる。
【0051】また、構造は明らかではないが保土谷化学製「TN−105」も無色の負帯電制御剤として好適に用いることが出来る。
【0052】また、正帯電性帯電制御剤としては、トリフェニルメタン系染料、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩化合物、又はアミノ基を含有する樹脂、等を用いることができる。4級アンモニウム塩化合物としては、下記<一般式6>または<一般式8>の中から選ばれる少なくとも一種であることが特に好ましい。<一般式6>の構造の化合物にはボントロンP−51;(オリエント化学製)が、<一般式7>の化合物にはTP−302、TP−415、TP−610;(保土谷化学製)がある。
【0053】<一般式6>【0054】
【化17】

[式中、R1〜R3はCnH2n+1基を表す。但し、nは1〜10の整数を示す。また、R1〜R3は同じであっても異なっていてもよい。]
<一般式7>【0055】
【化18】

[式中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜22個のアルキル基あるいはアルケニル基、炭素数1〜20個の未置換あるいは置換芳香族基、炭素数7〜20個のアラルキル基を表し、A-はモリブデン酸アニオンあるいはタングステン酸アニオン、モリブデンあるいはタングステン原子を含むヘテロポリ酸アニオンを表す。]
<一般式8>【0056】
【化19】

[式中、mは1、2または3を示し、そしてnは0、1または2を示し、Mは水素原子、または1価の金属イオンである。X及びZは1または2を示し、Yは0または1を示す。さらに、X=1の時、Y=1、Z=1となりX=2の時、Y=0、Z=2となる。R5〜R12は水素、炭素数1〜30の直鎖状、あるいは枝分かれした飽和または不飽和のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシレン基、一般式(−C2〜5のアルキレン−O)n−R(但し、Rは水素または炭素数1〜4のアルキル基またはアシル基であり、nは1〜10の整数である)で表されるポリアルキルオキシレン基を表し、R1、R2、R3、R4は水素、または、炭素数1〜30の直鎖状、あるいは枝分かれした飽和または不飽和のアルキル基、または一般式(−CH2−CH2−O)n−R(但し、Rは水素または炭素数1〜4のアルキル基またはアシル基であり、nは1〜10の整数である)で表されるオキシエチル基、更に炭素数5〜12の単核−または多核脂環式残基、単核−または多核芳香族残基または芳香脂肪族残基を表す。]
【0057】より具体的には以下の各化合物がある。
(6−1)
【0058】
【化20】

【0059】(7−1)
【0060】
【化21】

【0061】(7−2)
【0062】
【化22】

【0063】(7−3)
【0064】
【化23】

【0065】(7−4)
【0066】
【化24】

【0067】(7−5)
【0068】
【化25】

【0069】(7−6)
【0070】
【化26】

【0071】(7−7)
【0072】
【化27】

【0073】(7−8)
【0074】
【化28】

【0075】(7−9)
【0076】
【化29】

【0077】(7−10)
【0078】
【化30】

【0079】(7−11)
【0080】
【化31】

【0081】(8−1)
【0082】
【化32】

【0083】(8−2)
【0084】
【化33】

以上、例示した帯電制御剤は2種以上を併用して用いても良い。例えば、ニグロシン系染料と4級アンモニウム塩化合物を併用する場合は1/9〜9/1の使用比率であることが好ましく、2/8〜8/2であることがより好ましい。
【0085】ニグロシン系染料は正帯電付与能力が高く、4級アンモニウム塩化合物は帯電の均一性及び安定性が優れている。両者を併用することにより連続印刷時にカブリのない鮮明な印刷画像が安定して得られる。
【0086】帯電制御剤の含有量はバインダー樹脂100質量部当たり0.3〜10質量部用いることが好ましく、より好ましくは1〜5質量部である。
【0087】本発明のトナーは、特定の製造方法に依らず極めて一般的な製造方法に依って得る事ができるが、例えば樹脂と着色剤とを、樹脂の融点(軟化点)以上で溶融混練した後、粉砕し、分級することにより得ることが出来る。
【0088】具体的には例えば、上記の樹脂と着色剤とを必須成分として、2本ロール、3本ロール、加圧ニーダー、又は2軸押し出し機等の混練手段により混合する。この際、樹脂中に、着色剤が均一に分散すればよく、その溶融混練の条件は特に限定されるものではないが、通常80〜180℃で30秒〜2時間である。着色剤は樹脂中に均一に分散するようにあらかじめフラッシング処理、あるいは樹脂と高濃度で溶融混練したマスターバッチを用いても良い。
【0089】次いで、それを冷却後、ジェットミル等の粉砕機で微粉砕し、風力分級機等により分級するという方法が挙げられる。
【0090】トナー母体を構成する粒子の平均粒径は、特に制限されないが、通常5〜15μmとなる様に調整される。
【0091】通常、この様にして得られたトナー母体に対しては、外添剤が、例えばヘンシェルミキサー等の混合機を用いて混合される。
【0092】外添剤は、例えばトナーの流動性向上、帯電特性改良などトナー母体の表面改質のために用いられるもので、二酸化珪素、酸化チタン、アルミナ等の無機微粉体及びそれらをシリコーンオイルなどの疎水化処理剤で表面処理したもの、樹脂微粉体等が用いられる。
【0093】シリカとしては、二酸化珪素のうちで疎水性等を有するものが挙げられ、二酸化珪素を各種のポリオルガノシロキサンやシランカップリング剤等で表面処理したものが挙げられる。例えば、次のような商品名で市販されているものがある。
【0094】AEROSIL R972,R974,R202,R805,R812,RX200,RY200、 R809,RX50,RA200HS,RA200H〔日本アエロジル(株)〕
WACKER HDK H2000、H2050EPHDK H3050EP、HVK2150〔ワッカーケミカルズイーストアジア(株)〕
Nipsil SS−10、SS−15,SS−20,SS−50,SS−60,SS−100、SS−50B,SS−50F,SS−10F、SS−40、SS−70,SS−72F、〔日本シリカ工業(株)〕
CABOSIL TG820F、TS−530、TS−720〔キャボット スペシャルティー ケミカルズ インク〕
【0095】これらのシリカは、異なる平均粒子径の2種以上を併用してもよい。また、シリカの使用割合はトナー母体100質量部に対して、通常0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部である。
【0096】本発明におけるトナーはバインダー樹脂、着色剤、ワックスを主成分としているが、その他の添加剤を含める様にしても良い。一例として、滑剤としては、例えば金属石鹸、ステアリン酸亜鉛等が、研磨剤としては、例えば酸化セリウム、炭化ケイ素等が使用できる。
【0097】また、着色剤の一部もしくは全部を磁性粉に置き換えた場合には磁性一成分現像用トナーとして用いることができる。磁性粉としては、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属、もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの合金や化合物の粉末が用いられる。これらの磁性粉は、必要に応じて有機珪素あるいはチタン化合物等により疎水化処理したものも好適に用いられる。磁性粉の含有量はトナーの全質量に対して15〜70質量%が良い。
【0098】本発明のトナーを二成分現像剤として用いるには、二成分現像剤用キャリアとして酸化鉄粉等公知のものが使用できるが、本発明では特に表面に樹脂被覆した磁性キャリアを用いることが望ましい。
【0099】本発明のトナーと組み合わせて用いることの出来るキャリアのコア剤は通常の二成分現像方式に用いられる鉄粉、マグネタイト、フェライト等が使用できるが、中でも真比重が低く、高抵抗であり、環境安定性に優れ、球形にし易いため流動性が良好なフェライト、またはマグネタイトが好適に用いられる。コア剤の形状は球形、不定形等、特に差し支えなく使用できる。平均粒径は一般的には10〜500μであるが、高解像度画像を印刷するためには30〜80μが好ましい。
【0100】また、これらのコア剤を被覆するコーテング樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテルポリビニルケトン、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、スチレン/アクリル共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコン樹脂あるいはその変性品、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、フェノール樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂等が使用できる。これらの中でも、特にシリコン樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂が帯電安定性、被覆強度等に優れ、より好適に使用し得る。つまり本発明で用いられる樹脂被覆キャリアは、コア剤としてフェライト、あるいはマグネタイトを用い、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂から選ばれる1種以上の樹脂で被覆された樹脂被覆磁性キャリアであることが好ましい。
【0101】キャリア芯材表面への樹脂の被覆方法は特に手段を選ぶものではないが、被覆樹脂の溶液中に浸漬する浸漬法、被覆樹脂溶液をキャリア芯材表面へ噴霧するスプレー法、あるいはキャリアを流動エアーにより浮遊させた状態で噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリア芯材と被覆樹脂溶液を混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法などが挙げられる。
【0102】被覆樹脂溶液中に使用される溶剤は被覆樹脂を溶解するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が使用できる。キャリア表面への被覆層の厚さは、通常0.1〜3.0μである。
【0103】着色樹脂粒子を含むトナーと、樹脂被覆磁性キャリアとの質量割合は特に制限されるものではないが、通常キャリア100質量部当たり、トナー0.5〜5質量部である。
【0104】
【実施例】次に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の実施例及び比較例中、「部」は特に明記しない限り「質量部」を表す。
(樹脂合成例1)
スチレン 368.5部ブチルメタアクリレート 119.5部アクリル酸 12.0部過酸化ベンゾイル 5.0部温度計、ガラス製気流導入管、耐真空シール装置付撹拌棒及び水冷ジムロート型コンデンサーを付属した2容量の4つ口丸底フラスコにキシレン500部と上記モノマー及び開始剤の全量を投入した。ガラス製気流導入管から窒素ガスを導入して反応器内を不活性雰囲気に置換した後、内容物をスライダツクス付マントルヒーターにより徐々に加熱して75℃迄上昇せしめた。反応は65℃〜80℃に保ちつつ行なわれ、10〜12時間後に反応を終了せしめるべく温度を130℃迄上昇せしめて重合を完結した。次に水冷コンデンサー及びガラス製気流導入管をフラスコから取除き、かわりに減圧蒸留用のキヤピラリーとクライゼン分溜管を装着した。クライゼン分溜管には温度計と水冷リービツヒコンデンサーを連結し、コンデンサーの排出口は吸引アダプターを経てナス型フラスコへと連結せしめる。吸引アダプターと真空ポンプをマノメーター及びトラツプを介して減圧用ゴム管で結び減圧蒸溜の準備を終了する。マントルヒーターを加熱し、内容物を充分に撹拌しつつ真空ポンプを作動させ20mmHg迄減圧すると液温75℃、溜出温度38℃でキシレン或は場合により未反応のモノマーが溜出を始める。最後は液温180℃に於て0.5mmHg迄減圧して溶剤を完全に除去した。得られた重合体(以下重合体(A)という)は高温溶融状態のうちにステンレスパンにあけ、室温迄冷却後破砕した。
【0105】得られた重合体(A)は環球法軟化点119℃、単分散ポリスチレンを標準物質として検量線が得られているGPC(ゲルパーミイエーシヨンクロマトグラフ)による計測では数平均分子量約12000、重量平均分子量約30000であつた。
【0106】この重合体(A)を一辺が5mm以下の小片に砕き、その300部を計量して1容量の4つ口丸底フラスコに投入した。フラスコには高速撹拌装置、温度計、シリカゲルを充填した乾燥管を装着しマントルヒーターにより加熱を開始した。仕込んだ樹脂が徐々に熔融し、さらに温度を上げると完全な粘液状態になつた。高速撹拌装置をゆつくりと回転させ温度が160℃を示した時点で撹拌を強めつつ、水酸化カルシウム3.7部(重合体(A)に含まれる全遊離カルボキシル基の約0.5当量相当)を20分間にわたつて徐々に投入し、液温150〜195℃で10時間反応させた。反応後高温熔融液をステンレスパンに広げ室温迄冷却せしめた後に破砕してカルシウム金属塩化重合体(以下重合体(B)という)を得た。
【0107】得られた重合体(B)はFTIR(フーリエ変換赤外分光器、米国DIGILAB社製「FTS−10」)による定量の結果、水酸化カルシウムの反応率は約25%であり、N≒8.310-5であった。又、上記重合体(B)の軟化点は148℃でT1−TS=29℃であり、Tg=63℃であった。
【0108】(樹脂合成例2)
スチレン 570部フマル酸ジエチル 42部ブチルアクリレート 75部α−エチルクロトン酸 16部過酸化ベンゾイル 4部上記配合で樹脂合成例1とほぼ同様の操作により重合を行つた。得られた重合体は軟化点115℃、数平均分子量約7500、重量平均分子量約20500であつた。この重合体300部に対して、実施例1と同様な操作により、アルミニウムイソプロポキシド4.4部(上記重合体に含まれる全遊離カルボン酸の約1当量相当)を反応せしめた。
【0109】得られたアルミニウム金属塩化重合体(以下重合体(C)という)は軟化点166℃であり、FTIRによるアルミニウムイソプロポキシドの反応率は約95%であつた。従つてN≒2.110-4となり、又、T1−TS=51℃、Tg=55℃であった。
【0110】(樹脂合成例3)
スチレン 805部ラウリルメタアクリレート 124部ビニルピリジン 25部メタアクリル酸 46部アゾビスイソブチロニトリル 10部上記配合で樹脂合成例1とほぼ同様な操作により重合を行つた。得られた重合体は軟化点120℃であつた。この重合体の500部をニーダー中で熔融し、酢酸マグネシウム四水和物17.2部(重合体に含まれる全遊離カルボン酸の1当量相当)を加えて30分以上熔融混練する。得られたマグネシウム金属塩化重合体(以下重合体(D)という)は軟化点155℃、FTIRによる反応率は約30%、T1−TS=35℃、Tg=50℃であつた。
【0111】(樹脂合成例4)樹脂合成例1で得られた重合体(A)300部を用い、樹脂合成例1と同様な操作により、水酸化カルシウム0.37部(重合体(A)に含まれる全遊離カルボキシル基の約0.1当量相当)を反応せしめた。得られたカルシウム金属塩化重合体(以下重合体(E)という)はFTIRによる定量の結果、水酸化カルシウムの反応率は約27.5%であり、軟化点134℃、T1−TS=15℃、N=9.110-6であった。
【0112】
(実施例1)
<トナーの製造> 重合体(B) 100部 カーボンブラック;ブラックパールズ460 5部 (キャボット スペシャルティー ケミカルズ インク製)
帯電制御剤(正帯電制御剤);ボントロン N−01 3部 (オリエント化学工業(株)製)
ワックス;ワックス4 2部をヘンシェルミキサーで混合し、2軸混練機で混練する。このようにして得た混練物を粉砕、分級して体積平均粒子径10.1ミクロンの「外添前トナーα」を得た。
【0113】
上記「外添前トナーα」 100部 シリカ;TG820F 1部 (キャボット スペシャルティー ケミカルズ インク製)
をヘンシェルミキサーで混合の後、篩いかけをして、「トナーα」を得た。
【0114】
<現像剤の調整> 上記「トナーα」 5部 キャリア(シリコン樹脂被覆フェライトキャリア) 95部を混合攪拌して現像剤αを調整した。
【0115】以下同様に表1の配合にてトナーを製造し現像剤α(実施例1)〜現像剤η(実施例7)、及び現像剤θ(比較例1)〜現像剤κ(比較例3)を製造した。
【0116】なお、現像剤ηは着色剤として磁性粉BL−200(チタン工業製)40部を使用。また、キャリア(シリコン樹脂被覆フェライトキャリア)と混合せずに磁性一成分現像剤とした。
【0117】表1.配合表【0118】
【表1】

【0119】*実施例7を除くすべての現像剤に着色剤としてブラックパールズ460(キャボット スペシャルティー ケミカルズ インク製)を5部配合。
【0120】ビスコール550P;三洋化成(株)製ポリプロピレンワックスニグロシンN-01;ボントロンN-01(オリエント化学工業(株)製)
<定着オフセットテスト及び印刷テスト>上記実施例及び比較例で得られた現像剤について、定着開始温度、ホットオフセット開始温度、印刷テストを以下の通り行った。
【0121】(ヒートロール定着による定着オフセットテスト)市販の二成分現像方式の複写機を改造したテスト機にてA−4紙サイズの未定着画像サンプルを作製し、下記仕様のヒートロール定着ユニットを用いて、下記のテスト条件にて定着開始温度、およびオフセット現象の有無を確認した。
【0122】実施例7のトナーについては、市販の磁性一成分現像方式のプリンタを改造して未定着画像サンプルを作製した。
【0123】

【0124】定着開始温度を測定するため下記の式により計算される画像濃度残存比率を求めた。
【0125】画像濃度残存比率=堅牢度試験後画像濃度/同左試験前画像濃度*画像濃度はマクベス画像濃度計RD−918にて測定した。
*堅牢度試験後画像濃度とは、学振型摩擦堅牢度試験機(荷重:200g,擦り操 作:5ストローク)を用いて定着画像を擦った後の画像濃度である。
【0126】画像濃度残存比率80%以上で実用上問題ないレベルとし、その最低温度を定着開始温度とした。
【0127】オフセット開始温度は定着画像サンプルを観察し、目視にてオフセット現象が認められる温度とした。
(印刷テスト)市販のレーザービームプリンター(セレン感光体搭載)を用いて連続プリントによる印字品質を評価すると共に、現像剤の帯電量を測定した。連続プリント時のトナーの補給はシリカ添加後のトナーをマシンの補給トナー用ホッパーに充填することにより自動で行われるようにした。
【0128】なお、帯電量はブローオフ帯電量測定機で測定した。画像濃度はマクベス濃度計RD−918で測定、地汚れは白地部濃度からプリント前白紙濃度を差し引いて求めた。
【0129】実施例7のトナーについては、市販の磁性一成分現像用プリンタを改造して試験を行った。帯電量については各印字枚数毎にトナーを現像装置内部から採取して、トナー/キャリア(シリコン樹脂被覆フェライトキャリア)=5/95(質量比)にてデベロッパーを作製して他の二成分現像剤と同様に測定した。
(トナー飛散量)50KP(5万枚)印刷後のマシン内部を観察し感光体、現像装置周辺部等に飛散トナーによる汚れがほとんどない場合を○、やや汚れが発生した場合を△、激しい汚れが発生した場合を×とした。
【0130】以上の評価結果を表2に示す。
【0131】表2.評価結果【0132】
【表2】

【0133】表中の表示は次の通り。
【0134】
*ΔT;TL−TH *「帯電量」; μC/g *「地汚れ評価」○:0.01未満、△:0.01〜0.03未満,:0.03以上 *「トナー飛散」;50KP(5万枚)印刷後の目視観察 ○:飛散ほとんどなし △:やや飛散による汚れが発生 ×:激しい飛散が発生【0135】表2から明らかな通り、本発明のトナーによると、比較例のトナーに較べ低温定着性、高温での耐オフセット性が共に優れている。
【0136】さらに、本発明のトナーは連続印刷における印刷物の白地部分の地汚れ、及びマシン内部でのトナー飛散が発生せず、帯電性能が安定した現像剤となっている。
【0137】本発明によるワックスとトナーに広く用いられているポリプロピレンワックスとの違いを確認するために、比較例1で用いたトナー中のポリプロピレンワックスの分散状態を顕微鏡にて観察したところ、本発明で用いたワックスの分散と比較して非常に大きな分散粒子となっていることが判った。また、50KP印刷後のキャリア表面にはポリプロピレンの付着がありスペントキャリアの発生が認められたことから、ワックスの分散性の違いが地汚れ、トナー飛散、現像剤寿命の差として現れていることが推察される。本発明による実施例ではスペントキャリアの発生は認められなかった。
【0138】
【発明の効果】上記実施例に示したように、付加重合性不飽和カルボン酸と他の共重合可能なモノマーとを共重合せしめたカルボキシル基含有重合体(a)を多価金属塩化した多価金属塩化重合体(b)と炭素数12〜40の鎖状の炭化水素基を有する単価または多価のカルボン酸と単価または多価アルコールとのエステルからなるワックスを用いた本発明のトナーによると、より広範囲な温度領域において良好な定着特性、耐オフセット性を示す現像剤が得られる。また、同時に本発明のトナーは十分な力学的強度および安定した帯電挙動を有するため、現像装置内でのキャリアとの摩擦に耐え、スペントキャリアおよびトナー飛散を発生することなく、カブリのない高濃度かつ高品位の印刷画像を安定して得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000002886
【氏名又は名称】大日本インキ化学工業株式会社
【出願日】 平成12年4月26日(2000.4.26)
【代理人】 【識別番号】100088764
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 勝利
【公開番号】 特開2001−305798(P2001−305798A)
【公開日】 平成13年11月2日(2001.11.2)
【出願番号】 特願2000−125642(P2000−125642)