| 【発明の名称】 |
電子写真用トナー、電子写真用現像剤及び画像形成方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】石塚 大輔
【氏名】中村 正樹
【氏名】吉田 聡
【氏名】奥田 大輔
【氏名】庄子 佳男
|
| 【要約】 |
【課題】低温定着性、耐オフセット性に優れ、オイルレス定着であっても良好な離型性を有し、定着可能温度領域の広い電子写真用トナーの提供。また、定着画像の平滑性に優れ、安定した高光沢な画像を形成する電子写真用トナーの提供。
【解決手段】少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含有し且つ微粒子が内部添加されてなる電子写真用トナーであって、該トナーが所定の複素弾性率の絶対値G*を有し、所定の複素弾性率ΔG*(10%)及びΔG*(100%)を有することにより、上記課題を解決する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含有し且つ微粒子が内部添加されてなる電子写真用トナーであって、該結着樹脂の周波数10rad/s、歪み10%における複素弾性率の絶対値G*が1×104Paとなる温度をT0(℃)とした場合において、温度T0、周波数10rad/s、歪み5%における該トナーのtanδが0.8〜4.5であり、温度T0、周波数10rad/s、歪み5%、10%及び100%における該トナーの複素弾性率を各々G*(5%)、G*(10%)及びG*(100%)としたとき、下記式(1)で表されるΔG*(10%)が下記式(2)を満たし且つ下記式(3)で表されるΔG*(100%)が下記式(4)を満たし、該G*(5%)が3×104〜5×105Paであり、温度T0+40℃、周波数10rad/s、歪み5%におけるG*(T0+40,5%)が1×103〜5×105Paであることを特徴とする電子写真用トナー; ΔG*(10%)=|log(G*(10%)/G*(5%))|/(log 10-log 5) 式(1) ΔG*(10%)≦ 2.5φ+0.1 式(2) ΔG*(100%)=|log (G*(100%)/G*(5%))|/(log 100-log 5) 式(3) ΔG*(100%)≧0.8φ 式(4) (式(2)及び式(4)中、φは、トナー内部に含有する微粒子の体積分率を示す。)。 【請求項2】 トナー及びキャリアからなる電子写真用現像剤であって、該トナーが少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含有し且つ微粒子が内部添加されてなり、該結着樹脂の周波数10rad/s、歪み10%における複素弾性率の絶対値G*が1×104Paとなる温度をT0(℃)とした場合において、温度T0、周波数10rad/s、歪み5%における該トナーのtanδが0.8〜4.5であり、温度T0、周波数10rad/s、歪み5%、10%及び100%における該トナーの複素弾性率を各々G*(5%)、G*(10%)及びG*(100%)としたとき、下記式(1)で表されるΔG*(10%)が下記式(2)を満たし且つ下記式(3)で表されるΔG*(100%)が下記式(4)を満たし、該G*(5%)が3×104〜5×105Paであり、温度T0+40℃、周波数10rad/s、歪み5%におけるG*(T0+40,5%)が1×103〜5×105Paであることを特徴とする電子写真用現像剤; ΔG*(10%)=|log(G*(10%)/G*(5%))|/(log 10-log 5) 式(1) ΔG*(10%)≦ 2.5φ+0.1 式(2) ΔG*(100%)=|log (G*(100%)/G*(5%))|/(log 100-log 5) 式(3) ΔG*(100%)≧0.8φ 式(4) (式(2)及び式(4)中、φは、トナー内部に含有する微粒子の体積分率を示す。)。 【請求項3】 電子写真用トナーを用いて画像を形成する画像形成方法であって、該電子写真用トナーが少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含有し且つ微粒子が内部添加されてなり、該結着樹脂の周波数10rad/s、歪み10%における複素弾性率の絶対値G*が1×104Paとなる温度をT0(℃)とした場合において、温度T0、周波数10rad/s、歪み5%における該トナーのtanδが0.8〜4.5であり、温度T0、周波数10rad/s、歪み5%、10%及び100%における該トナーの複素弾性率を各々G*(5%)、G*(10%)及びG*(100%)としたとき、下記式(1)で表されるΔG*(10%)が下記式(2)を満たし且つ下記式(3)で表されるΔG*(100%)が下記式(4)を満たし、該G*(5%)が3×104〜5×105Paであり、温度T0+40℃、周波数10rad/s、歪み5%におけるG*(T0+40,5%)が1×103〜5×105Paであることを特徴とする画像形成方法; ΔG*(10%)=|log(G*(10%)/G*(5%))|/(log 10-log 5) 式(1) ΔG*(10%)≦ 2.5φ+0.1 式(2) ΔG*(100%)=|log (G*(100%)/G*(5%))|/(log 100-log 5) 式(3) ΔG*(100%)≧0.8φ 式(4) (式(2)及び式(4)中、φは、トナー内部に含有する微粒子の体積分率を示す。)。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、プリンタ等の電子写真プロセスを利用した機器に使用される電子写真用トナー、特にカラー電子写真用トナーとそのカラートナーを用いた画像形成方法に関する。 【0002】 【従来の技術】電子写真プロセスとして、特公昭42−23910号公報等に記載された方法をはじめ、従来から多数の方法が知られている。電子写真プロセスは、光導電性物質を利用した感光体上に種々の手段により電気的に潜像を形成し、この潜像をトナーを用いて現像し、感光体上のトナー潜像を中間転写体を介して又は介さずに、紙等の被転写体にトナー画像を転写した後、この転写画像を加熱、加圧、加熱加圧あるいは溶剤蒸気等により定着する、という複数の工程を経て、定着画像を形成するプロセスである。感光体上に残ったトナーは必要により種々の方法でクリーニングされ、前記複数の工程が繰り返される。 【0003】近年、パーソナルコンピュータの使用が日常化し、オフィスのネットワーク環境の整備が進むのに伴って、電子写真の利用は単に複写機としてだけでなく、電子文書を出力するためのプリンタとしての利用が進んでいる。さらに、個人が扱う電子文書も白黒の文字情報にとどまらず、カラー文書やグラフ、画像等が混在するようになっており、カラープリンタ、カラー複写機の普及も進んでいる。このようなオフィス環境の変化に伴って、プリンタ、複写機には、オリジナルのイメージを忠実に再現し、発色性の良い、適度な光沢を持った、見た目に違和感のない高画質なカラー定着画像が求められている。 【0004】さらに、カラーの文書等を、従来の白黒の文書と同様の手軽さで用いるためには、普通紙に対してもカラープリンタ、カラー複写機の専用の用紙と同等に高画質にプリントできることが望まれている。 【0005】また、近年の環境意識の高まりに伴い、省エネルギーであることが強く望まれており、定着時における電力消費はできるだけ低くすることが求められている。したがって、定着温度が低温であっても良好な定着性能が得られることが必要である。プリンタ、複写機の小型化、軽量化のために、その構成要素はできるだけシンプルになっているのが実情であり、複雑な構成を用いずに低温定着性に優れ高画質なプリントを得るには、トナーの一層の性能向上が不可欠となっている。 【0006】トナー潜像を紙等の被転写体に定着する一般的な方法として、加熱圧着方式がある。この方式は、トナーに対し離型性を有する材料で表面を形成した定着部材の表面に、被転写体上のトナー像を加圧下で接触させながら通過せしめることによりトナー潜像の定着を行うものである。この加熱圧着方法の場合、定着部材の表面と被転写体上のトナー像とが加圧下で接触するため、熱効率が極めて良好であり、迅速に定着を行うことができる。 【0007】しかしながら、加熱圧着方法では、定着部材とトナー像とが加熱溶融状態で加圧接触するために、定着温度が高すぎるとトナーの粘度が低下し、トナー像の一部が定着部材表面に付着及び/又は転移し、次の被転写体に再転移して、被転写体を汚すという、いわゆる「高温オフセット現象」が生じる。一方、定着温度が低すぎると、トナーが十分に溶けないために、被転写体にトナーが定着せず低温オフセット現象が生じる。従って、耐オフセット性が良好であり、かつ低温定着性を実現するトナーを得ることが要望されている。また、白黒のプリントと同様に、定着部材表面にオイル等の離型剤を塗布せずに定着することも望まれており、トナー自身に十分な離型性が要求される。 【0008】低温定着という目的は、結着樹脂の分子量やガラス転移温度を下げて、トナーの軟化温度を低下させ最低定着温度を下げることにより達成することができる。しかし、この方法ではトナーの保存安定性が悪くなり、ブロッキング等の問題が生じる。また、結着樹脂の分子量分布を大きくするなどの方法で結着樹脂の弾性を高くすることにより耐オフセット性を改善しようとすると、逆に最低定着温度が高くなってしまう傾向にある。 【0009】これを解決するために、トナーのレオロジー特性に着目し、粘弾性挙動を制御することによって、低温定着性、耐オフセット性を両立する試みが提案されている。 【0010】例えば、特開平4−353866号公報は、貯蔵弾性率の降下開始温度が100〜110℃の範囲内にあり、150℃で特定の貯蔵弾性率を有し、損失弾性率のピークが125℃以上であるレオロジー特性を有する電子写真用トナーを開示している。しかし、この電子写真用トナーは、貯蔵弾性率の降下開始温度が高く、損失弾性率のピーク温度が高いため、さらなる低温定着性の向上が望まれる。 【0011】また、特開平9−6051号公報は、バインダー樹脂の貯蔵弾性率が120℃で特定の範囲内にあり、複素弾性率が100℃で特定の範囲内にある静電荷現像用トナーを開示している。しかし、120℃における貯蔵弾性率が高すぎるため、低温定着性の向上が望まれる。 【0012】さらに、結着樹脂の粘弾性挙動を制御するのみでなく、結着樹脂中に微粒子等の添加剤を加えることによって、粘弾性挙動を制御する試みもなされている。例えば特開平7−77837号公報は、結着樹脂が粒径0.5〜2μmのドメイン粒子とマトリックスを主成分とする組成物であり、80〜100℃における貯蔵弾性率が特定の範囲内にあり、200〜220℃における損失弾性率が特定の範囲内にあるトナーを開示している。しかし、該公報記載のトナーは、80〜100℃における貯蔵弾性率が低く、低軟化点物質が必須成分として含有していないため離型性が不十分であり、オイルレス定着に用いるには問題がある。 【0013】特開平8−220800号公報は、複数色同時定着されるカラー電子写真用トナーであって、無機微粒子がトナーに内部添加されて粘弾性特性が他のトナーと均一化されていることを特徴とするカラー電子写真用トナーを開示している。しかし、この方法では、従来トナーに微粒子を添加して弾性を上げているのみなので耐オフセット性は向上するが、最低定着温度を低下させることはできず、さらなる低温定着性の向上が望まれる。 【0014】また、トナー中にドメイン粒子がある場合には粘弾性挙動が歪みの大きさによって変化するが、歪みによる粘弾性の変化率に注目したものとして、特開平7-295286号公報が挙げられる。この公報は、少なくとも結着樹脂及び磁性粉末を含有する磁性トナーと、流動化剤、無機微粉末とを含有する磁性現像剤において、150℃、1〜50%歪みでの貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”の変化率を50%以下とすることで、低速から高速まで定着に適用でき、耐オフセット性に優れた磁性現像剤を得る方法を開示している。しかし、この方法を用いると、該公報に記載されているように、G’、G”の変化率を50%以下に抑えているため、結着樹脂として低分子量の樹脂及び架橋点距離の長いゲルを用いることが必要となる。また、トナーをつくるときに、ゲルを切断して分岐鎖長の長い高分子量をつくることが必要となる。このため、低分子量分と高分子量分のからみ合いが強くなり、tanδが小さくなるため画像の平滑性が得られず、光沢が生じないという問題点がある。 【0015】カラープリントとして優れた画質を得るために、混色性、発色性が良好なトナーが要求される。特に定着像表面に凹凸があると光が乱反射するために光沢度(グロス)が低くなり、発色性も劣る。したがって、適度な光沢を持ち、かつ、定着温度が変化しても光沢の変化が小さい定着像を得られることが望まれる。 【0016】粘弾性を制御することによって安定した高光沢を得る方法として、特開平8−179563号公報は、周波数1000Hzにおける貯蔵粘弾性率G’が5×104dyn/cm2であるときの温度をT1℃とし、T1+20℃のときの貯蔵弾性率G’をA(dyn/cm2)としたとき、Aが特定の式を満たす電子写真用カラートナーを開示している。しかし、この方法ではAが低すぎるために、耐オフセット性は十分でない。 【0017】また、特開平10−69116号公報は、90℃、及び160℃において貯蔵弾性率が特定の範囲内にある静電荷像現像用トナーを開示している。この方法は、良好な画像平滑性を得ることができるが、貯蔵弾性率が低すぎるため、オイルレス定着に用いるのに十分な離型性は得られず、耐オフセット性も十分でない。 【0018】一般的に、貯蔵弾性率が低い場合、トナーの粘性が支配的になるため、定着部材にトナーが転移しやすくなり耐オフセット性が悪くなる。逆に貯蔵弾性率が高い場合、トナーの弾性により定着後にトナーの形状が回復して表面に凹凸ができやすくなるため、光沢が失われる。したがって、耐オフセット性と画像平滑性を両立するのは極めて困難な問題である。 【0019】 【発明が解決しようとする課題】以上のように、低温定着性、剥離性、耐オフセット性を十分に満足し、画像表面の平滑性が良好な電子写真用トナーは未だ得られていないのが現状であり、新たに設計されたトナーが望まれている。 【0020】そこで、本発明の目的は、前記問題を解決した電子写真用トナー、特にカラー電子写真用トナーを提供することにある。本発明の目的は、低温定着性、耐オフセット性に優れ、オイルレス定着であっても良好な離型性を有し、定着可能温度領域の広い電子写真用トナーを提供することにある。さらに、本発明の目的は、定着画像の平滑性に優れ、安定した高光沢な画像を形成する電子写真用トナーを提供することにある。 【0021】 【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討の結果、トナーの粘弾性挙動が歪みによって変化することを有効に利用することで上記目的を達成できることを見出した。即ち、以下の発明<1>〜<15>により上記課題を解決できることを見出した。 【0022】即ち、<1> 少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含有し且つ微粒子が内部添加されてなる電子写真用トナーであって、該結着樹脂の周波数10rad/s、歪み10%における複素弾性率の絶対値G*が1×104Paとなる温度をT0(℃)とした場合において、温度T0、周波数10rad/s、歪み5%における該トナーのtanδが0.8〜4.5であり、温度T0、周波数10rad/s、歪み5%、10%及び100%における該トナーの複素弾性率を各々G*(5%)、G*(10%)及びG*(100%)としたとき、下記式(1)で表されるΔG*(10%)が下記式(2)を満たし且つ下記式(3)で表されるΔG*(100%)が下記式(4)を満たし、該G*(5%)が3×104〜5×105Paであり、温度T0+40℃、周波数10rad/s、歪み5%におけるG*(T0+40,5%)が1×103〜5×105Paであることを特徴とする電子写真用トナー。 【0023】 ΔG*(10%)=|log(G*(10%)/G*(5%))|/(log 10-log 5) 式(1)、ΔG*(10%)≦ 2.5φ+0.1 式(2)、ΔG*(100%)=|log (G*(100%)/G*(5%))|/(log 100-log 5) 式(3)、ΔG*(100%)≧0.8φ 式(4)。 式(2)及び式(4)中、φは、トナー内部に含有する微粒子の体積分率を示す。 【0024】<2> 上記<1>の電子写真用トナーにおいて、微粒子の一次粒径が500nm以下であり、体積分率φが0.03〜0.5であるのがよい。 <3> 上記<1>又は<2>の電子写真用トナーにおいて、結着樹脂のT0が70〜120℃であるのがよい。 【0025】<4> 上記<1>〜<3>の電子写真用トナーにおいて、結着樹脂のガラス転移温度Tgが30〜80℃であるのがよい。 <5> 上記<1>〜<4>の電子写真用トナーにおいて、ワックスのトナー中の含有量が3〜15重量%であるのがよい。 【0026】<6> トナー及びキャリアからなる電子写真用現像剤であって、該トナーが少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含有し且つ微粒子が内部添加されてなり、該結着樹脂の周波数10rad/s、歪み10%における複素弾性率の絶対値G*が1×104Paとなる温度をT0(℃)とした場合において、温度T0、周波数10rad/s、歪み5%における該トナーのtanδが0.8〜4.5であり、温度T0、周波数10rad/s、歪み5%、10%及び100%における該トナーの複素弾性率を各々G*(5%)、G*(10%)及びG*(100%)としたとき、上記式(1)で表されるΔG*(10%)が上記式(2)を満たし且つ上記式(3)で表されるΔG*(100%)が上記式(4)を満たし、該G*(5%)が3×104〜5×105Paであり、温度T0+40℃、周波数10rad/s、歪み5%におけるG*(T0+40,5%)が1×103〜5×105Paであることを特徴とする電子写真用現像剤。 【0027】<7> 上記<6>の電子写真用現像剤において、微粒子の一次粒径が500nm以下であり、体積分率φが0.03〜0.5であるのがよい。 <8> 上記<6>又は<7>の電子写真用現像剤において、結着樹脂のT0が70〜120℃であるのがよい。 【0028】<9> 上記<6>〜<8>の電子写真用現像剤において、結着樹脂のガラス転移温度Tgが30〜80℃であるのがよい。 <10> 上記<6>〜<9>の電子写真用現像剤において、ワックスのトナー中の含有量が3〜15重量%であるのがよい。 【0029】<11> 電子写真用トナーを用いて画像を形成する画像形成方法であって、該電子写真用トナーが少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含有し且つ微粒子が内部添加されてなり、該結着樹脂の周波数10rad/s、歪み10%における複素弾性率の絶対値G*が1×104Paとなる温度をT0(℃)とした場合において、温度T0、周波数10rad/s、歪み5%における該トナーのtanδが0.8〜4.5であり、温度T0、周波数10rad/s、歪み5%、10%及び100%における該トナーの複素弾性率を各々G*(5%)、G*(10%)及びG*(100%)としたとき、上記式(1)で表されるΔG*(10%)が上記式(2)を満たし且つ上記式(3)で表されるΔG*(100%)が上記式(4)を満たし、該G*(5%)が3×104〜5×105Paであり、温度T0+40℃、周波数10rad/s、歪み5%におけるG*(T0+40,5%)が1×103〜5×105Paであることを特徴とする画像形成方法。 【0030】<12> 上記<11>の画像形成方法において、微粒子の一次粒径が500nm以下であり、体積分率φが0.03〜0.5であるのがよい。 <13> 上記<11>又は<12>の画像形成方法において、結着樹脂のT0が70〜120℃であるのがよい。 【0031】<14> 上記<11>〜<13>の画像形成方法において、結着樹脂のガラス転移温度Tgが30〜80℃であるのがよい。 <15> 上記<11>〜<14>の画像形成方法において、ワックスのトナー中の含有量が3〜15重量%であるのがよい。 【0032】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の電子写真用トナーは、結着樹脂、着色剤及びワックスを含有し且つ微粒子が内部添加されてなる。微粒子を分散の良い状態で含有することにより、トナーの溶融状態、ガラス状態での物性が変化し、トナーの粘弾性特性を自由に制御することができる。 【0033】トナーの定着性、定着像の平滑性等を制御するには、トナーの貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”を適当な値に制御するのがよい。トナー内部に微粒子を含有する本発明の場合、常温ではトナー中に均一に分散していた微粒子は、トナーが溶融状態になると自由に動くことができるようになり、微粒子間の相互作用によってネットワークを形成するものと考えられる。この微粒子のネットワークにより、トナーに適度な弾性を与えることができ、温度変化に対して弾性率の変化を小さくすることができる。 【0034】さらに、微粒子含有系に特徴的な現象として、加える歪みの大きさによって粘弾性挙動が変化する。これは、歪みによる変形によって、微粒子のネットワークが崩壊していくことによって起こるものと考えられ、ネットワークの崩壊が進行すると複素弾性率G*は減少する。加熱圧着方式による定着では、トナーは定着部材の圧力によって、大きな変形を受ける。このときの粘弾性挙動の変化が定着性能に大きく影響する。本発明は、このトナーの粘弾性挙動の変化を利用したものである。 【0035】即ち、本発明は、周波数10rad/s、歪み10%において、結着樹脂の複素弾性率の絶対値G*が1×104Paとなる温度をT0とする場合、温度T0、周波数10rad/s、歪み5%、10%及び100%におけるトナーの複素弾性率を各々G*(5%)、G*(10%)及びG*(100%)としたとき、下記式(1)で表されるΔG*(10%)が下記式(2)を満たし且つ下記式(3)で表されるΔG*(100%)が下記式(4)を満たすのがよい。 【0036】 ΔG*(10%)=|log(G*(10%)/G*(5%))|/(log 10-log 5) (1)。 ΔG*(10%)≦ 2.5φ+0.1 (2)。 ΔG*(100%)=|log (G*(100%)/G*(5%))|/(log 100-log 5) (3)。 ΔG*(100%)≧0.8φ (4)。 式(2)及び式(4)中、φは、トナー内部に含有する微粒子の体積分率を示す。 【0037】また、該G*(5%)が3×104〜5×105Paであり、温度T0+40℃、周波数10rad/s、歪み5%におけるG*(T0+40,5%)が1×103〜5×105Paであるのがよい。 【0038】ΔG*(10%)は、比較的微小な歪みを与えたときの複素弾性率の変化率を示し、低温定着する場合のトナーの剥離性の良さを示す指標となる。加熱圧着方式によるオイルレス定着では、トナーが加熱圧着される際に、トナー層を接着層として被転写体ごと定着部材に巻き付く現象が起きる場合がある。巻き付きを防止するためには、被転写体が定着器から剥離する際の微小な歪みに対して複素弾性率G*の変化が小さいことが好ましい。この理由に関しては、G*の変化率が高いトナーは歪みに対して極めて高い降伏値を持つために、トナーが定着部材から剥離する際に定着部材の表面に貼りついた形のまま変形できないために、巻き付きが起こるものと考えている。 【0039】ΔG*(10%)は、微粒子ネットワークの崩壊に伴う貯蔵弾性率G’の減少を大きく反映しており、含有する微粒子の量が増加すると、微粒子ネットワークの変化がより顕著に粘弾性挙動に反映される。したがってΔG*(10%)は含有する微粒子の体積分率φに依存し、上記式(2)の範囲、好ましくは下記の式(2)’の範囲内にあるときに微粒子による弾性向上の効果が十分働いて巻き付きを防止でき、良好な剥離性を得ることができる。 ΔG*(10%)≦2.2φ+0.1 式(2)’。 【0040】さらに、鋭意検討した結果、T0℃における複素弾性率の変化率が小さい場合には、温度がT0より高くなった場合でも変化率は小さい値を保ち、オフセット防止の効果も同時に得られることを見出した。すなわち、式(2)の関係を満たす場合には、高温であっても微粒子のネットワークが壊れにくいために、耐オフセット性を得ることができる。ΔG*(10%)が2.5φ+0.1を超える場合、歪みが加わることによって微粒子ネットワークによる弾性が失われ、耐オフセット性は悪化する傾向にある。 【0041】ΔG*(100%)は、大きな歪みを与えたときの複素弾性率の変化を示している。歪みが増加しても複素弾性率がほとんど減少しない場合、トナーの高弾性が保たれたままであり、トナーが加熱圧着された後、弾性によりトナーが元の形状に戻ろうとするために定着像の平滑性が劣り、光沢が得られない。 【0042】しかし、歪み100%に達する間にG*が減少すると、それと同時に弾性が低下し、tanδが増加するため、平滑な定着像を得ることができる。さらに、微粒子の体積分率φが大きい場合、トナーはより弾性的となる。よって、φが大きいとき、画像の平滑性を得るためにはよりいっそうG*の減少率が大きくなければならない。したがって、定着像の十分な平滑性を得るためには上記式(4)、好ましくは下記の式(4)’を満たすのがよい。 ΔG*(100%)≧1.2φ 式(4)’。 【0043】温度T0℃、周波数10rad/s、歪み5%におけるトナーのtanδは、0.8〜4.5であることが好ましい。tanδが小さすぎると、貯蔵弾性率G’が大きすぎることとなり、画像平滑性が悪化する傾向にあり、tanδが大きすぎると、弾性が十分でないために剥離性が悪化する傾向にある。 【0044】さらに、温度T0℃でのG*(5%)は3×104〜5×105Pa、好ましくは4×104〜2×105Paであるのがよい。微粒子を含有すると、トナーのG*は結着樹脂のG*に比べ上昇する。これは微粒子含有による貯蔵弾性率G’の増加による寄与が大きい。G*(5%)が小さすぎると、弾性が十分でないために良好な剥離性が得られない傾向にある。逆に、G*(5%)が小さすぎると、低温オフセットを起こし、最低定着温度が上昇する傾向にある。 【0045】さらに、耐オフセット性を良好に保ち定着可能温度領域を広くするには、温度T0+40℃におけるG*(5%)(即ちG*(T0+40,5%))が1×103〜5×105Pa、好ましくは2×103〜3×105Paであることが好ましい。G*(T0+40,5%)が小さすぎると、弾性が不十分であり、オフセットが発生しやすくなる傾向にある。逆に、G*(T0+40,5%)が大きすぎると弾性が高くなり、定着像の平滑性が悪くなる傾向にある。 【0046】トナー内部に含有する微粒子として、前記の粘弾性の範囲を満たすように任意に選ぶことができる。しかしながら、微粒子の一次粒径は500nm以下、好ましくは100nm以下であることが好ましい。微粒子による弾性向上の効果は、粒子の一次粒径に依存する。一次粒径の値が大きすぎると十分な弾性を得ることが困難となる傾向にある。 【0047】さらに、微粒子の体積分率φも粘弾性に大きな影響を与え、φは0.03〜0.5、好ましくは0.05〜0.3であるのがよい。φが小さすぎると、微粒子のネットワークをつくるのには粒子の量が不十分であり、弾性向上の効果が得られない傾向にある。φが大きすぎると、ネットワークが強固になりすぎるために、最低定着温度が上昇し、定着像の平滑性も悪くなる傾向にある。 【0048】本発明に用いられる微粒子は特に限定はないが、カラートナー内部に含有して用いるには無色または白色の粒子を用いることが好ましい。例えば、有機粒子として、ビニル系、スチレン系、(メタ)アクリル系、エステル系、アミド系、メラミン系、エーテル系、エポキシ系等の単一樹脂もしくはこれらの共重合樹脂を用いることができる。これらは、公知の製造方法によって適宜合成したものを用いてもよいし、市販のものを用いてもよい。市販されているものとしては、「微粒子ポリマーの新展開」((株)東レリサーチセンター編)等に記載されているものがあり、中でも、日本ペイント(株)のマイクロジェルシリーズ、JSR(株)のSTADEXシリーズ、綜研化学のMRシリーズ及びMPシリーズ等が入手しやすい。 【0049】本発明に用いる無機粒子として、粒子径が上記範囲にある微粒子、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セイウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。これらは、公知の方法、例えば、気相法、湿式法等により適宜合成してもよいし、市販のものを用いてもよい。 【0050】また、無機粒子は、疎水化剤等によって表面処理されていてもよい。疎水化剤として、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニス等が用いることができる。シランカップリング剤として、例えばヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシララン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等を用いることができる。 【0051】また、シリコーンオイルとして、例えばジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等を用いることができる。前記微粒子は一種類のみを用いてもよいし、二種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。 【0052】さらに、本発明の微粒子は、後述する結着樹脂と同じであっても異なっていてもよい樹脂で被覆されていてもよい。この場合、上述のT0、即ち周波数10rad/s、歪み10%における結着樹脂の複素弾性率の絶対値G*が1×104Paとなる温度T0は、次のように定義される。 【0053】本発明の微粒子が、用いる結着樹脂と同じ結着樹脂を用いる場合、温度T0は、その結着樹脂のG*を用いる。また、本発明の微粒子が第1の結着樹脂とは異なる第2の樹脂で被覆されている場合、温度T0は、その第1の結着樹脂と第2の樹脂との混合物からなる樹脂のG*から得られる。なお、結着樹脂として、複数種の結着樹脂を用いた場合も同様に、温度T0は、その複数種の結着樹脂の混合物からなる樹脂のG*から得られる。 【0054】本発明に用いられる結着樹脂は、従来からトナーで用いられている結着樹脂よりもガラス転移温度が低い樹脂を用いることができる。これは、トナー内部に微粒子及びワックスを含有させることにより、ガラス転移点の低い樹脂を用いた場合であっても耐熱ブロッキング性が損なわれないことによる。この理由として、微粒子を含有させることにより、ガラス状態における貯蔵弾性率が増加するとともに、結着樹脂の低分子量成分の拡散による移動が微粒子によって抑制されている効果によるものと考えている。したがって、従来トナーと比較してガラス転移温度の低い結着樹脂と微粒子を組み合わせることにより、耐熱ブロッキング性を損なうことなく低温定着が可能となる。耐熱ブロッキング性が良好であるためには、微粒子の体積分率φは、上述の範囲であるのが好ましい。 【0055】結着樹脂のガラス転移温度は、30〜80℃の範囲にあるのが好ましい。また、結着樹脂の複素弾性率G*が1×104Paとなる温度T0は、70〜120℃の範囲にあるのが好ましい。双方に関して、温度が低すぎると耐熱ブロッキング性が悪化する傾向にあり、温度が高すぎると最低定着温度が上がる傾向にある。ガラス転移温度Tgは、例えば示差走査熱量計(マックサイエンス社製:DSC3110、熱分析システム001)(以下「DSC」と略記する)を用いて、昇温速度5℃/分の条件で測定することができる。得られたチャートの吸熱点の低温側の肩の温度をTgとすることができる。 【0056】結着樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン等のエチレン系樹脂;ポリスチレン、α-ポリメチルスチレン等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリアミド樹脂;ポリカーボネイト樹脂;ポリエーテル樹脂;ポリエステル樹脂及びこれらの共重合樹脂を挙げることができる。トナーとして用いる際の帯電安定性や現像耐久性の観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂とスチレン−(メタ)アクリル系共重合樹脂及びポリエステル樹脂が好ましい。また、低温定着性や画像の耐塩ビ付着性等の観点からポリエステル樹脂がさらに好ましい。 【0057】前述のスチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂及びこれらの共重合樹脂を構成するモノマーとして、次のものを挙げることができる。即ち、スチレン系単量体として、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン等のアルキル鎖を持つアルキル置換スチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン等のハロゲン置換スチレン、4−フルオロスチレン、2,5−ジフルオロスチレン等のフッ素置換スチレン等を挙げることができる。 【0058】(メタ)アクリル酸系単量体として、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸n-メチル、(メタ)アクリル酸n-エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸n-ラウリル、(メタ)アクリル酸n-テトラデシル、(メタ)アクリル酸n-ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n-オクダデシル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸イソヘプチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ビフェニル、(メタ)アクリル酸ジフェニルエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルフェニル、(メタ)アクリル酸ターフェニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。これらのモノマーを適宜組み合わせて公知の方法により製造することができる。 【0059】また、ポリエステル樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂が好ましい。非晶性ポリエステル樹脂の場合、結晶性ポリエステル樹脂のように、結晶による光散乱により樹脂自体が白濁してしまうことがない点で有利である。本発明において、非晶性ポリエステル樹脂とは、DSCチャートにおいて、Tgに対応した吸熱点の他に、結晶融点に対応した吸熱ピークを示さないポリエステル樹脂を意味する。 【0060】ポリエステル樹脂に用いる他のモノマーとして例えば、高分子データハンドブック:基礎編」(高分子学会編、培風館)に記載されているようなモノマー成分である、従来より公知の2価又は3価以上のカルボン酸と、2価又は3価以上のアルコールがある。これらのモノマー成分の具体例として、以下のものを挙げることができる。 【0061】2価のカルボン酸として例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-2,7-ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸などを挙げることができる。3価以上のカルボン酸として例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどを挙げることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 【0062】2価のアルコールとして例えば、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド付加物、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどを挙げることができる。3価以上のアルコールとして例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどを挙げることができる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の1価の酸や、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価のアルコールも使用することができる。 【0063】ポリエステル樹脂は、前記モノマー成分の中から任意の組合せで、例えば重縮合(化学同人)、高分子実験学(重縮合と重付加:共立出版)やポリエステル樹脂ハンドブック(日刊工業新聞社編)等に記載された、従来より公知の方法を用いて合成することができ、エステル交換法や直接重縮合法等を単独で、又は組み合せて用いることができる。 【0064】本発明において、スチレン系、アクリル系、ポリエステル系問わず、結着樹脂は実質的にテトラヒドロフラン(以下「THF」と略す)不溶分を含まないことが好ましい。THF不溶分を含有した場合には耐オフセット性は向上するが、画像の光沢性が損なわれると共に、OHP光透過性が損なわれるからである。THF不溶分は、樹脂が10重量%程度の濃度となるように該樹脂をTHFに溶解し、メンブランフィルター等で濾過し、フィルター残留分を乾燥し重量を測定することで測定することができる。 【0065】本発明に用いられる結着樹脂の分子量として、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂では、重量平均分子量(以下「Mw」と略す)と数平均分子量(以下「Mn」と略す)がそれぞれ、Mwが30,000〜100,000、Mnが2,000〜30、000であることが好ましく、Mwが35,000〜80,000、Mnが2,500〜20,000であることがより好ましい。ポリエステル樹脂の場合には、Mwが5,000〜30,000、Mnが2,000〜8,000であることが好ましく、Mwが6,000〜20,000、Mnが2,500〜6,000であることがより好ましい。Mw及びMnが高すぎると最低定着温度が上昇する傾向にあり、低すぎると定着後の画像強度が得られにくい傾向にある。 【0066】これらの分子量及び分子量分布は、それ自体公知の方法で測定することができる。一般に、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下「GPC」と略記する)により測定する。GPC測定は、例えば、GPC装置としてTOYO SODA社製:HLC−802Aを用い、オーブン温度40℃、カラム流量毎分1ml、サンプル注入量0.1mlの条件で行うことができ、サンプルの濃度は0.5%で、和光純薬製:GPC用THFを用いて行うことができる。また、検量線の作成は、例えば、TOYO SODA社製:標準ポリスチレン試料を用いて行うことができる。本発明における分子量及び分子量分布は、以上のようにして測定したものである。 【0067】本発明のトナーは、着色剤を含有してなる。着色剤は、特に制限はなく、それ自体公知の着色剤を挙げることができ、目的に応じて適宜選択することができる。 【0068】着色剤として例えば、カーボンブラック、ランプブラック、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコイルブルー、メチレンブルークロライド、銅フタロシアニン、キノリンイエロー、クロームイエロー、デュポンオイルレッド、オリエントオイルレッド、ローズベンガル、マラカイトグリーンオキサレート、ニグロシン染料、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3などを挙げることができる。 【0069】着色剤の電子写真用トナーにおける含有量は、結着樹脂と微粒子とを合わせたもの100重量部に対して1〜30重量部であるのが好ましい。定着後における画像表面の平滑性を損なわない範囲においてできるだけ多い方が好ましい。着色剤の含有量を多くすると、同じ濃度の画像を得る際、画像の厚みを薄くすることができ、オフセットの防止に有効な点で有利である。なお、前記着色剤の種類に応じて、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等を得ることができる。 【0070】本発明のトナーは、ワックスを含有してなる。ワックスとして例えば、低分子量ポリプロピレンや低分子量ポリエチレン等のパラフィンワックス、シリコーン樹脂、ロジン類、ライスワックス、カルナバワックスなどを挙げることができる。特に、融点が40℃〜150℃のものが好ましく、より好ましくは70〜110℃のものが好ましい。 【0071】しかしながら、ワックスの含有量が多すぎると、カラー定着画像表面や内部のワックスがOHPの投影性を悪化させること、2成分現像剤として用いるときはトナーとキャリアの摺擦によりワックスがキャリアに移行して現像剤の帯電性能が経時的に変化すること、一成分現像剤として用いるときはトナーと帯電付与用ブレードとの摺擦によりワックスがブレードに移行して現像剤の帯電性能が経時的に変化すること、トナーの流動性が悪化することなどを含めて、カラー画質および信頼性を悪化させる。したがって、ワックスの含有量は、結着樹脂と微粒子とを合わせたもの100重量部に対して、3〜15重量部であるのがよい。 【0072】さらに、本発明のトナーは、転写性、流動性、帯電性等の制御の目的に応じて適宜、無機微粒子、有機微粒子、帯電制御剤、離型剤など、それ自体公知の各種添加剤を添加してもよい。 【0073】一般に流動性を向上させる目的で、本発明のトナーは、無機微粒子をいわゆる外添含有するのが好ましい。無機微粒子として例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セイウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。これらの中でも、チタン系微粒子とシリカ微粒子が好ましく、特に疎水化処理された微粒子が好ましい。無機微粒子の1次粒子径は、1〜1000nmが好ましく、その添加量は、トナー100重量部に対して0.01〜20重量部外添するのが好ましい。 【0074】有機微粒子として例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデンなどを挙げることができる。これらの微粒子の表面をシリコーン系化合物やフッ素系化合物で処理したものも好ましく用いることができる。有機微粒子は、一般にクリーニング性や転写性を向上させる目的で使用される。 【0075】帯電制御剤として例えば、サリチル酸金属塩、含金属アゾ化合物、ニグロシンや4級アンモニウム塩などを挙げることができる。帯電制御剤は、一般に帯電性を向上させる目的で使用される。 【0076】本発明の電子写真用トナーは、それ自体公知の製造方法に従って製造することができる。製造方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜決定することができる。例えば、混練粉砕法、混練冷凍粉砕法、液中乾燥法、溶融トナーを不溶解性液体中で剪断撹拌して微粒子化する方法、結着樹脂と着色剤を溶剤に分散させジェット噴霧により微粒子化する方法などが挙げられるが、中でも混練粉砕法が好ましい。混練粉砕法は、結着樹脂、着色剤及びその他の添加剤を、バンバリー型混練機や二軸型混練機等を用いて溶融混練し、ハンマーミルやジェット式粉砕機等で粉砕を行い、慣性力分級機等で分級を行いトナーを得るものであり、材料効率がよく安価にトナーを製造できるとともに、添加剤を比較的分散性よく内添させることができる点で優れている。トナー内部に微粒子を添加する際に、あらかじめフラッシング処理された微粒子を用いることでトナー内部により均一に微粒子を分散させることができる。なお、本発明の電子写真用トナーは、電子写真用現像剤におけるトナーとして好適に使用することができる。 【0077】本発明の電子写真用現像剤は、一成分系の電子写真用現像剤であってもよいし、キャリアを含む二成分系の電子写真用現像剤であってもよい。二成分系の電子写真用現像剤の場合、キャリアは特に制限はなく、それ自体公知のキャリア、例えば、樹脂被覆キャリアなどを好適に用いることができる。 【0078】樹脂被覆キャリアは、芯材の表面に樹脂を被覆してなる。芯材として例えば、鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉等の磁性を有する粉体などを挙げることができる。樹脂として例えば、フッ素系樹脂、ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂などを挙げることができる。なお、本発明の電子写真用現像剤は、目的に応じて、適宜選択した添加剤などを含有していてもよい。例えば、磁性を得る目的で、鉄、フェライト、マグネタイトを始めとする鉄類、ニッケル、コバルト等の強磁性を示す金属、合金又はこれらの金属を含む化合物、磁性材料、磁化可能な材料を含有していてもよい。なお、本発明の電子写真用現像剤は、各種画像形成方法に好適に使用することができる。 【0079】本発明の画像形成方法は、電子写真用現像剤として本発明の電子写真用現像剤を用いる。本発明の画像形成方法は、それ自体公知の画像形成工程、例えば、潜像担体上に潜像を形成する工程、前記潜像を電子写真用現像剤を用いて現像する工程、現像されたトナー像を転写体上に転写する工程、及び転写体上のトナー像を定着する工程などを含む。 【0080】本発明の画像形成方法に用いる定着装置には、公知の接触型熱定着装置が使用でき、例えば、芯金上にゴム弾性層を有し、必要に応じて定着部材表面層を具備した加熱ローラと、芯金上にゴム弾性層を有し、必要に応じて定着部材表面層を具備した加圧ローラとからなる熱ローラ定着装置や、そのローラとローラとの組み合わせを、ローラとベルトとの組み合わせ、ベルトとベルトとの組み合わせに代えた定着装置が使用できる。 【0081】ゴム弾性層は、シリコンゴムやフッ素ゴム等の耐熱性ゴムを用いるのがよい。また、その厚さは0.1mm〜3mmであるのが好ましく、そのゴム硬度は60以下であるのが好ましい。定着部材が弾性層を有すると、被転写体上のトナー画像の凹凸に追従して定着部材が変形し、定着後における画像表面の平滑性を向上させることができる点で有利である。弾性層の厚みが厚すぎると、定着部材の熱容量が大きくなり、定着部材を熱するのに長い時間を要する上、その消費エネルギーも増大してしまう点で好ましくない。また、弾性層の厚みが薄すぎると、定着部材の変形がトナー画像の凹凸に追従できなくなり、ムラが発生する点、及び剥離に有効な弾性層の歪みが得られない点で好ましくない。 【0082】定着部材表面層として、シリコンゴム、フッ素ゴム、フッ素ラテックス、フッ素樹脂を用いるのがよい。特に、耐摩耗性の点でフッ素樹脂が優れている。フッ素樹脂として、パーフロロアルコキシエチルエーテル共重合体(PFA)等のポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン等を含有する軟質フッ素樹脂を用いることができる。定着部材の基材(コア)は、耐熱性に優れ、変形に対する強度が強く、熱伝導性の良い材質を用いるのが好ましい。ロール型の定着装置の場合、定着部材の基材として、例えばアルミ、鉄、銅等が選択され、ベルト型の定着装置の場合、例えばポリイミドフィルム、ステンレス製ベルト等が選択される。 【0083】定着部材弾性層及び表面層は、目的に応じて各種の添加剤等を含有していてもよい。例えば、磨耗性向上、抵抗値制御等の目的でカーボンブラックや金属酸化物、SiCなどのセラミックス粒子等を含有してもよい。また、本発明のトナーは、オイルレス定着に適し、十分な離型性を有しているため定着部材にはシリコーンオイル等の塗布はしなくてもよい。 【0084】 【実施例】以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。 【0085】(結着樹脂の調製)攪拌機、温度計、コンデサー、窒素ガス導入管を備えた反応容器中に、テレフタル酸99.7重量部(0.60mol)、イソフタル酸66.5重量部(0.39mol)、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物146.3重量部(0.45mol)、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール19.83重量部(0.15mol)、エチレングリコール27.9重量部(0.45mol)、及び触媒としてジブチルスズオキサイド2.2重量部(0.009mol)を投入した。反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下約190℃で約6時間撹拌反応させ、さらに温度を約240℃に上げて約3時間撹拌反応させた後、反応容器内を10.0mmHgまで減圧し、減圧下で約0.2時間攪拌反応させた。これによって、分子量がMw=8,000、Mn=3,500、ガラス転移温度Tgが52℃の淡黄色透明な非晶性ポリエステル樹脂(結着樹脂A)を得た。 【0086】(微粒子の調製) (微粒子B−1)複数の攪拌翼を有する攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管を備えた反応容器中に、溶媒として2-プロパノール4,000ml中に合成シリカ粉末アエロジル130(日本アエロジル社製、平均一次粒径16nm)300重量部を加えてスラリー状とした微粒子分散液と、メチルトリメトキシシラン(Gerest社製)51.7重量部(0.38mol)とを投入し、混合溶液を得た。反応容器内を乾燥窒素ガスで置換した後、混合溶液を窒素ガス気流下攪拌しながら約80℃まで昇温した。その後、触媒として0.1規定塩酸を50ml滴下し、約6時間撹拌反応させた。攪拌反応後、混合溶液を取り出し、遠心分離によって処理した微粒子を分離し、イオン交換水と混合して攪拌し遠心分離する操作によって洗浄を5回繰り返した。最終的に凍結乾燥して水分を除去し、メチルトリメトキシシラン処理されたシリカ微粒子B−1を得た。 【0087】さらに、微粒子B−1を100℃で1時間真空乾燥したものを、水酸化アルミニウムの2%ジメチレングリコールジメチルエーテル溶液中に投入し、(式5)の反応で発生する水素量を測定することによってシラノール基の量を定量し、疎水化率を求めた。この結果、微粒子B−1の表面の疎水化率は55%であった。 【0088】 nR−OH+LiAlH4 → LiAl(OR)nH4-n+nH2 (式5)。 【0089】(微粒子B−2)微粒子B−1の合成において、メチルトリメトキシシランを3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(Gerest社製)82.9重量部(0.38mol)に代えた以外、同様にして疎水化処理された微粒子B−2を得た。微粒子B−2の疎水化率は、52%であった。 【0090】(微粒子B−3)微粒子B−1の合成において、メチルトリメトキシシランを3-アミノプロピルトリメトキシシラン(Gerest社製)68.1重量部(0.38mol)に代えた以外、同様にして疎水化処理された微粒子B−3を得た。微粒子B−3の疎水化率は、54%であった。 【0091】(微粒子B−4)日本アエロジル社製疎水化処理シリカRX300(平均一次粒径7nm)を微粒子B−4とした。微粒子B−4の疎水化率は、88%であった。 【0092】(微粒子の樹脂被覆処理)微粒子のトナー中の分散性を良好にするため、微粒子B−1〜B−4をポリエステル樹脂Aを用いて被覆した。まず、テトラヒドロフラン20Lに、ポリエステル樹脂Aを1kg溶解し、その樹脂溶液に、微粒子B−1を2kg投入、分散した。1時間攪拌後、減圧下、45℃で、テトラヒドロフランを蒸発させ、ポリエステル樹脂Aで被覆した微粒子B−1の乾固物を得た。同様に微粒子B−2〜B−4に関しても樹脂被覆処理を行った。 【0093】(実施例1)下記組成を混合、溶融混錬し、粉砕、分級を行って、体積平均粒径6.4μmのシアントナーを得た。なお、微粒子B−1は、上述において樹脂被覆処理したものを用いた。また、ポリエステル樹脂Aの量は微粒子に被覆した樹脂の量と合わせて84重量部となるように混合した。 【0094】 ポリエステル樹脂A 84重量部 微粒子B−1 16重量部 シアン顔料 4.5重量部(シアニンブルー4933M、大日精化工業(株)社製) カルナバワックス(東亜化成社製) 6重量部【0095】トナーの粒度分布はコールターカウンターTA−II型(コールター社製)で測定した。このときの微粒子Aの体積分率はφ=0.09であった。得られたトナー100重量部に対して疎水性シリカ微粒子(RX50:日本アエロジル社製)2重量部をヘンシェルミキサーで外添混合してトナーX−1を調製した。 【0096】このトナーX−1に関して、下記の方法で粘弾性挙動を測定した。 (粘弾性測定方法):動的粘弾性特性は以下の様に測定した。測定装置は、レオメトリックス社製のレオメーター、商品名「RDA2」(RHIOSシステム ver6.4.4)を用いた。まず結着樹脂の複素弾性率G*が1×104Paとなる温度T0を測定するために、直径8mmのパラレルプレートを用い、あらかじめホットプレート上で溶融させ、直径8mm、厚さ約2mmに成型した結着樹脂をパラレルプレートの間に挟み、正弦波振動により測定を行った。周波数は10rad/sとし、30℃〜150℃の範囲で毎分1℃温度を上昇させながら、複素弾性率G*を測定した。歪みは初期値を0.03%とした後は、自動測定モードによって変化させた。 【0097】トナー粒子の粘弾性測定は、温度T0において、頂角0.1rad、直径8mmのコーン&プレートを用い、温度T0+40℃において、頂角0.1rad、直径25mmのコーン&プレートを用いた。どちらの場合もプレートギャップが0.05mmとなるようサンプルを設置した。温度T0及びT0+40についてそれぞれ、周波数を10rad/s固定し、測定開始歪みを1〜100%まで変化させ、歪み率依存性を測定した。 【0098】さらに、得られたトナーX−1を8重量部と、キャリア100重量部とを混合して現像剤を調製し、以下の手順で定着性能等の評価を行った。 (画像出力):キャリアは樹脂被覆型のキャリアであり、アミノ基含有ビニルポリマーとフッ化アルキル基含有ビニルポリマーの混合体をフェライトコアに被覆したものであった。調製した現像剤を、定着器を取り外した富士ゼロックス社製カラー複写機「A−color935」の現像器にセットし未定着画像を出力した。出力画像は50mm×50mmの大きさのベタ画像であり、画像トナー量は0.45mg/cm2となるように調整した。用紙は、富士ゼロックスオフィスサプライ社製の商品名「P紙」を用いた。P紙は、従来より白黒複写機で数多く使用されている普通紙である。 【0099】(定着方法):定着は、A−color935複写機から取り外した定着器を、定着器のロール温度を可変できるように改造し、定着ロールにはその表面材料をテフロン(登録商標)チューブに替えたものを使用した。定着器の用紙搬送速度は毎秒160mmとし、定着器にはシリコーンオイルを塗布せずオイルレスの条件で定着を行った。各トナーの未定着画像を定着器の温度を110℃から200℃まで5℃づつ適宜変えて定着し定着画像を得た。 【0100】(定着画像評価方法):低温オフセット、巻き付きを起こさずに定着を開始する温度を最低定着温度とし、各温度における光沢度(グロス値)を、村上色彩技術研究所(株)社製のグロスメーター「GM−26D」を用い、サンプルへの入射光角度を75度とする条件で測定した。さらに高温オフセット発生の有無を目視で確認した。 【0101】(熱ブロッキングの評価方法):トナー5gを40℃、50%RHのチャンバーに17時間放置した。室温にもどした後、トナー2gを目開き45ミクロンのメッシュに投入し、一定の条件で振動させた。メッシュ上に残ったトナーの重量を測定し、仕込み量に対する重量比を算出した。この数値が5%以下であるものを耐熱ブロッキング性が良好であると判断した。この数値が5%以下のものを○、5〜10%のものを△、10%以上のものを×とした。その結果を表1に示す。 【0102】(比較例1)実施例1において、微粒子B−1を含有せずに、下記組成で同様にトナーX−2を調製し、評価した。 【0103】 ポリエステル樹脂A 100重量部 シアン顔料 4.5重量部 (シアニンブルー4933M、大日精化工業(株)社製) カルナバワックス(東亜化成社製) 6重量部【0104】(実施例2)実施例1において、微粒子B−1の代わりに微粒子B−2を用いた以外、実施例1と同様にトナーX−3を調製し、評価した。 【0105】(実施例3)実施例1において、下記組成を用いた以外、実施例1と同様にしてトナーX−4を調製し、評価した。 【0106】 ポリエステル樹脂A 78重量部 微粒子B−3 16重量部 微粒子B−4 6重量部 シアン顔料 4.5重量部 (シアニンブルー4933M、大日精化工業(株)社製) カルナバワックス(東亜化成社製) 6重量部【0107】(実施例4)実施例1において、下記組成を用いた以外、実施例1と同様にしてトナーX−5を調製し、評価した。 【0108】 ポリエステル樹脂A 88重量部 微粒子B−1 12重量部 シアン顔料 4.5重量部 (シアニンブルー4933M、大日精化工業(株)社製) カルナバワックス(東亜化成社製) 6重量部【0109】(実施例5)実施例1において、下記組成を用いた以外、実施例1と同様にしてトナーX−6を調製し、評価した。 【0110】 ポリエステル樹脂A 78重量部 微粒子B−2 22重量部 シアン顔料 4.5重量部 (シアニンブルー4933M、大日精化工業(株)社製) カルナバワックス(東亜化成社製) 6重量部【0111】(比較例2)実施例1において、微粒子B−1の代わりに微粒子B−3を用いた以外、実施例1と同様にしてトナーX−7を調製し、評価した。 【0112】(比較例3)実施例1において、微粒子B−1の代わりに微粒子B−4を用いた以外、実施例1と同様にしてトナーX−8を調製し、評価した。 【0113】(比較例4)実施例1において、下記組成を用いた以外、実施例1と同様にしてトナーX−9を調製し、評価した。 【0114】 ポリエステル樹脂A 96重量部 微粒子B−1 4重量部 シアン顔料 4.5重量部 (シアニンブルー4933M、大日精化工業(株)社製) カルナバワックス(東亜化成社製) 6重量部【0115】(実施例5)実施例3において、下記組成を用いた以外、実施例3と同様にしてトナーX−10を調製し、評価した。 【0116】 ポリエステル樹脂A 78重量部 微粒子B−3 20重量部 微粒子B−4 2重量部 シアン顔料 4.5重量部 (シアニンブルー4933M、大日精化工業(株)社製) カルナバワックス(東亜化成社製) 6重量部【0117】(トナー評価結果)ポリエステル樹脂AのT0を測定したところ、95℃であった。したがって95℃と135℃において粘弾性測定を行い評価した。各トナーの粘弾性、定着性の評価結果を表1に示す。なお、表中、A欄は最低定着温度(℃)、B欄は高温ホットオフセット(又は巻き付き)発生温度(℃)、C欄はグロス50以上の定着可能温度領域(℃)、及びD欄は耐熱ブロッキング性を表している。 【0118】 【表1】
【0119】実施例及び比較例で用いたトナーは、従来トナーで用いられた結着樹脂よりもガラス転移温度Tgの低いポリエステル樹脂Aを用いている。このトナーを用いると、定着ロールにシリコンオイルを塗布した場合には、従来のカラートナーよりも低温で定着することができる。今回の定着評価はオイルレス定着であり、かつ定着用紙として一般的にカラー複写機で用いられているカラープリント専用のコート紙よりも紙密度の低い富士ゼロックスオフィスサプライ社製の普通紙「P紙」を用いている。このため、本発明を用いずに、従来技術をそのまま用いた場合、コート紙を用いた場合よりもさらに、巻き付き、オフセットが発生しやすくなる。 【0120】比較例1のトナーは、ガラス転移温度を低くしても低温で剥離できなかった。これは、ワックスを添加しても普通紙を剥離させるにはまだ離型性が不十分であることを示している。比較例1は155℃においてのみ巻き付き、オフセットを発生させずに定着できたが、これでは実用上不十分である。さらに、ガラス転移温度を低くしたために、耐熱ブロッキング性にも劣っている。 【0121】トナーX−1、X−3〜X−6(実施例1〜5)は、その内部に微粒子を含有し、且つ特定の粘弾性範囲を満たしていた。これらは、いずれも最低定着温度が120〜125℃であり、高温オフセットの発生温度が170〜200℃であり、低温定着性、耐オフセット性は非常に良好であった。さらに、最低定着温度と高温オフセットの発生する直前までの定着可能温度領域について、定着像のグロスを測定したところ広範囲でグロス50以上を示し、光沢性、発色性の優れた画像を得ることができた。また、微粒子を含有しているために、耐熱ブロッキング性も良好であった。 【0122】逆に、トナーX−7(比較例2)は、T0+40℃におけるG*(5%)が小さすぎるために、140℃で巻き付きが発生し、定着可能温度領域が十分得られなかった。トナーX−8(比較例3)は、ΔG*(10%)の値が大きすぎるため、剥離性が得られず、135℃で巻き付きが発生した。トナーX−9(比較例4)は、微粒子の量が少なく、T0におけるG*(5%)及びT0+40℃におけるG*(5%)が共に低すぎるため、比較例1のトナーとほぼ同様の結果となり、低温定着性、耐オフセット性が得られず、耐熱ブロッキング性も不十分であった。トナーX−10(比較例5)は、低温定着性、耐オフセット性が良好であったが、ΔG*(100%)が小さすぎるため、画像平滑性が悪く、150℃より低温ではグロス50に達せず、十分な光沢が得られなかった。したがって、トナーX−10(比較例5)は、低温定着でも高光沢の定着像を得るという本発明の目的を満たさなかった。 【0123】 【発明の効果】本発明により、低温定着性、耐オフセット性に優れ、オイルレス定着であっても良好な離型性を有し、定着可能温度領域の広い電子写真用トナーを提供することができるまた、本発明により、定着画像の平滑性に優れ、安定した高光沢な画像を形成する電子写真用トナーを提供することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005496 【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
|
| 【出願日】 |
平成12年4月18日(2000.4.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079049 【弁理士】 【氏名又は名称】中島 淳 (外3名)
|
| 【公開番号】 |
特開2001−305794(P2001−305794A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月2日(2001.11.2) |
| 【出願番号】 |
特願2000−117125(P2000−117125) |
|