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【発明の名称】 トナー
【発明者】 【氏名】稲垣 元司

【氏名】中村 純也

【氏名】原田 陽子

【氏名】杉浦 将

【要約】 【課題】低温定着性に優れるとともに、広い定着温度幅を有し、耐ブロッキング性に優れたトナーの提供。

【解決手段】重量平均分子量100000〜1000000の高分子量領域と重量平均分子量3000〜50000の低分子量領域を有するスチレン系樹脂と、12−ヒドロキシステアリン酸とを含有することを特徴とするトナー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 重量平均分子量100000〜1000000の高分子量領域と重量平均分子量3000〜50000の低分子量領域を有するスチレン系樹脂と、12−ヒドロキシステアリン酸とを含有することを特徴とするトナー。
【請求項2】 12−ヒドロキシステアリン酸の含有量が0.5〜10質量量の範囲であることを特徴とする、請求項1記載のトナー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において、静電荷像または磁気潜像の現像に用いられるトナーに関するものであり、さらに詳しくは低温定着性に優れるとともに、広い定着温度幅を有し、カブリがなく、耐ブロッキング性に優れたトナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真法、静電印刷法による代表的な画像形成工程は、光電導性絶縁層を一様に帯電させ、その絶縁層を露光させた後、露光された部分上の電荷を消散させることによって電気的な潜像を形成し、該潜像に電荷を持った微粉末のトナーを付着させることにより可視化させる現像工程、得られた可視像を転写紙等の転写材に転写させる転写工程、加熱あるいは加圧により永久定着させる定着工程からなる。
【0003】このような電子写真法あるいは静電印刷法に使用されるトナーとしては、上記各工程において様々な性能が要求される。例えば、コピー機及びプリンター内での保存中にトナーがブロッキングしない耐ブロッキング性が要求され、現像工程においては、電気的な潜像にトナーを付着させるために、トナーは温度、湿度等の周囲の環境に影響されることなくコピー機及びプリンターに適した帯電量を保持しなくてはならない。
【0004】また、熱ローラー定着方式による定着工程においては、熱ローラーに溶融トナーが付着しない非オフセット性や、トナーの紙への低温定着性が良好でなくてはならない。近年、コピー機及びプリンターの省エネルギー化、高速化が急速に進む中で、特にトナーの定着特性に対する要求は年々厳しくなってきており、種々の検討が行われている。
【0005】例えば、特開昭62−195683号公報には、ホットオフセット(熱ローラーへの溶融トナー付着)を防止するために、低分子ワックスを添加することが記載されている。
【0006】また、トナーの構成成分である結着樹脂としては、従来からスチレン−(メタ)アクリル系樹脂が多く使用されているが、これを改良してトナー性能に向上させる検討も種々行われている。
【0007】例えば、特開昭56−16144号公報、特開昭56−27156号公報、及び特開昭56−89749号公報には、特定のガラス転移温度を有する高分子量重合体成分と低分子量重合体成分とを混合して得られるトナー用バインダ−樹脂が記載されており、特開昭50−134652号公報には、樹脂全体の分子量分布(Mw/Mn)をコントロ−ルすることによって、トナ−の定着性や非オフセット性等が向上することが記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開昭62−195683号公報に記載されている方法では、ホットオフセットの抑制は可能であるが、低温定着性を向上させることは困難であるという問題点があった。また、特開昭56−16144号公報、特開昭56−27156号公報、特開昭56−89749号公報、及び特開昭50−134652号公報に記載されている方法では、トナーの定着性と非オフセット性を両立させることが難しく、特に、低温定着性については、充分な性能を発現させることができなかった。
【0009】本発明は、これら問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、低温定着性に優れるとともに、広い定着温度幅を有し、カブリがなく、耐ブロッキング性にも優れたトナーを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】発明者らは鋭意検討した結果、特定のスチレン系樹脂と、12−ヒドロキシステアリン酸とをトナー中に含有させることによって、上記問題を解決できることを見い出し、本発明を完成した。
【0011】すなわち、本発明は、重量平均分子量100000〜1000000の高分子量領域と重量平均分子量3000〜50000の低分子量領域を有するスチレン系樹脂と、12−ヒドロキシステアリン酸とを含有することを特徴とするトナーに関するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で使用されるスチレン系樹脂は、トナーの結着樹脂として使用されるものであり、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定されるTHF可溶分の重量平均分子量分布において、特定の高分子量領域と特定の低分子量領域を有するものである。すなわち、高分子量領域の重量平均分子量は100000〜1000000の範囲であり、低分子量領域の重量平均分子量は3000〜50000の範囲である必要がある。
【0013】これは、高分子量領域の重量平均分子量が100000未満である場合は、ホットオフセットが発生しやすくなり、1000000を越える場合は、トナーの粉砕性や低温定着性が低下しやすくなるためである。好ましくは、200000〜800000の範囲である。
【0014】また、これは、低分子量領域の重量平均分子量が3000未満である場合は、ホットオフセットが発生しやすくなり、更にトナーの強度不足によるトナー飛散や、カブリが発生しやすくなるためであり、50000を越える場合は、トナーの粉砕性や低温定着性が低下しやすくなるためである。好ましくは、4000〜30000の範囲である。
【0015】本発明で使用されるスチレン系樹脂は、構成成分としてスチレン系単量体を必須成分とするものである。
【0016】スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デンシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−フェニルスチレン、3,4−ジシクロスチレン等を挙げることができ、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等を挙げることができる。これら単量体は、必要に応じて適宜選択して使用することができるが、中でも、スチレンやn−ブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0017】また、上述のスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体以外の単量体も必要に応じてスチレン系樹脂の構成成分として使用することができる。
【0018】例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル等の不飽和ジカルボン酸ジエステルアクリル酸、メタアクリル酸、ケイヒ酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル等の不飽和ジカルボン酸モノエステル等のカルボン酸含有ビニル系単量体を挙げることができる。
【0019】スチレン−(メタ)アクリル系樹脂の構成成分である単量体の共重合比率は特に限定されるものでないが、得られる結着樹脂のTg(ガラス転移温度)が好ましくは40〜70℃の範囲、更に好ましくは50〜65℃の範囲となるように選定すればよい。これは、トナー用バインダー樹脂のTgを40℃以上とすることによって、得られるトナーの耐ブロッキング性が良好となり、70℃以下とすることによって、得られるトナーの定着性が良好となる傾向にあるためである。なお、TgはDSC法等の方法で測定することができる。
【0020】本発明のトナーの結着樹脂として好適に使用されるスチレン−(メタ)アクリル系樹脂の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、得られるトナーの臭気の観点から、残存する単量体および溶剤が結着樹脂中に500ppm以下となる方法で製造することができる。例えば、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法により製造することができ、これら種々の重合法で製造された樹脂を混合して製造することもできる。
【0021】本発明で使用される12−ヒドロキシステアリン酸は、トナーの低温定着性を向上させるために使用されるものであり、トナー中における12−ヒドロキシステアリン酸の含有量は、0.5〜10質量%の範囲であることが好ましい。これは、含有量を0.5質量%以上とすることによって、得られるトナーに優れた低温定着性を付与することができる傾向にあり、10質量%以下とすることによって、得られるトナーの耐ブロッキング性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは、0.5〜5質量%、さらに好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。
【0022】12−ヒドロキシステアリン酸のトナーへの添加方法は特に限定されるものでなく、トナーの構成成分である結着樹脂やその他の材料の混練時、押し出し機等に所定量投入して混練すればよい。
【0023】本発明のトナーのTgは、40〜70℃の範囲であることが好ましい。これは、トナーのTgを40℃以上とすることによって、得られるトナーの耐ブロッキング性が良好となり、70℃以下とすることによって、得られるトナーの定着性が良好となる傾向にあるためである。好ましくは45〜70℃の範囲、更に好ましくは50〜65℃の範囲である。
【0024】本発明のトナーは、定着温度下限が130℃程度であり低温定着性に優れ、定着温度上限が220℃以上であり非ホットオフセット性にも優れ、広い定着温度領域を有するものである。
【0025】本発明のトナーは、磁性、非磁性、1成分、2成分の種類に関わらず広く使用することができる。また、非オフセット性付与などの目的で、既知のワックス等を添加剤としてさらに適宜添加することができる。ワックスの種類に限定はないが、ポリオレフィンワックス、特に低分子量ポリオレフィンワックスが好ましい。ワックス類の添加量は、トナーに対して0.5〜5質量%の範囲が好ましい。これは、ワックス類添加量を0.5質量%以上とすることによって、得られるトナーの非オフセット性が向上する傾向にあり、5質量%以下とすることによって、得られるトナーの流動性が良好になる傾向にあるためである。より好ましくは、1〜3質量%の範囲である。
【0026】本発明のトナーには、上述のワックス以外に、必要に応じて着色剤、荷電制御剤、磁性粉等を添加することができる。
【0027】また、本発明のトナーは、例えば、上述のスチレン−(メタ)アクリル系樹脂および12−ヒドロキシステアリン酸と添加剤等の混合物を二軸押出機等の混練機を用いて、温度80〜200℃の範囲で混練した後、ジェットミル等を用いて微粉砕、分級を行うことによって製造することができる。得られたトナー粒子は、平均粒径が5〜15μm程度であることが好ましい。
【0028】
【実施例】以下に本発明を実施例により詳細に説明する。なお、重量平均分子量、定着温度領域、耐ブロッキング性、カブリ、ガラス転移温度(Tg)は以下の方法で評価した。
【0029】(1)重量平均分子量THF可溶分の重量平均分子量をGPC(東ソ−社製、HCL−8020)を用いて測定した。試料は樹脂を0.4質量%溶解したTHF溶液をPTFE膜(東ソ−社製マイショリディスクH−25−5)で濾過したものを使用し、カラムは、TSKgel/GMHXLカラム(東ソ−社製)3本から構成されたものを使用した。また、検量線は、F2000/F700/F288/F128/F80/F40/F20/F2/A1000(東ソ−社製標準ポリスチレン)及びスチレンモノマ−によるものを用い、分子量をポリスチレン換算により求めた。なお、測定温度は38℃、検出器はRIとした。
【0030】(2)定着温度領域市販複写機PREMAGE251(TOSHIBA社製)により得られた未定着画像を、ローラー温度可変の定着試験機を用いて評価した。定着試験機のプロセススピード250mm/secの条件で得られた定着画像を砂消しゴム(JIS512)で9回擦り、その前後での画像濃度をマクベス濃度計で測定した。濃度の低下が20%未満である最低温度を定着温度領域の下限値とし、ホットオフセットが発生する最低温度を定着温度領域の上限値とした。
【0031】トナーの低温定着性は、定着温度領域の下限値から以下のように判断した。
(定着温度領域の下限値)
・130℃未満:低温定着性が非常に優れる・130℃以上140℃未満:低温定着性に優れる・140℃以上150℃未満:低温定着性はやや劣るが実用可能・150℃以上:低温定着性に劣る【0032】また、トナーの非オフセット性は、定着温度領域の上限値から以下のように判断した。
(定着温度領域の上限値)
・240℃以上:非オフセット性が非常に優れる・230℃以上240℃未満:非オフセット性に優れる・220℃以上230℃未満:非オフセット性はやや劣るが実用可能・220℃未満:非オフセット性に劣る【0033】(3)耐ブロッキング性トナーをガラス瓶に入れ50℃の条件下に16時間放置し、トナーのブロッキングの状態を目視により評価した。
【0034】(4)カブリ複写機(東芝社製PREMAGE251)を用いて1000枚のランニングテストを行い、目視により評価した。
【0035】(5)ガラス転移温度サンプルを100℃まで昇温した後、DSC(セイコー電子製、DSC22システム)を用い、昇温速度10/minの条件下で測定したショルダー値で示した。
【0036】(合成例1)スチレン38質量部、n−ブチルアクリレート12質量部、2,2ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン(化薬アクゾ社製「パーカドックス12」)0.02質量部を混合し、部分鹸化ポリビニルアルコール0.2質量部を溶解した脱イオン水200質量部に添加し、130℃に昇温後、懸濁重合を2時間行い、40℃まで冷却した。次いで、スチレン42質量部、n−ブチルアクリレート8質量部、ベンゾイルパーオキサイド4質量部、t−ブチルパーオキシベンゾエート1質量部を分散液中に投入し、130℃まで昇温し、2時間懸濁重合を行い、重合を完結した。その後濾別、水洗、乾燥を行いスチレン−(メタ)アクリル系樹脂(A)を得た。得られた樹脂の高分子量領域の重量平均分子量は350000、低分子量領域の重量平均分子量は9800であり、得られた樹脂(A)のTgは、59℃であった。
【0037】(合成例2)スチレン52.5質量部、n−ブチルアクリレート17.5質量部、2,2ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン(化薬アクゾ社製「パーカドックス12」)0.024質量部を混合し、部分鹸化ポリビニルアルコール0.2質量部を溶解した脱イオン水200質量部に添加し、130℃に昇温後、懸濁重合を2時間行い、40℃まで冷却した。次いで、スチレン27.5質量部、n−ブチルアクリレート2.5質量部、ベンゾイルパーオキサイド5質量部、t−ブチルパーオキシベンゾエート1質量部を分散液中に投入し、130℃まで昇温し、2時間懸濁重合を行い、重合を完結した。その後濾別、水洗、乾燥を行いスチレン−(メタ)アクリル系樹脂(B)を得た。得られた樹脂の高分子量領域の重量平均分子量は550000、低分子量領域の重量平均分子量は7500であり、得られた樹脂(B)のTgは、56℃であった。
【0038】(合成例3)反応器にキシレン25質量部を入れ還流温度まで昇温した。これにスチレン60質量部、n−ブチルメタクリレート20質量部及びアゾビスイソブチロニトリル3質量部の混合物をキシレン還流下で8時間かけて滴下した。更にキシレン還流下で重合を完了し、キシレン75質量部を投入して低分子量成分溶液を得た。別の反応器にスチレン60質量部、n−ブチルメタクリレート40質量部を仕込み、窒素置換後120℃に昇温して熱塊状重合を行い、キシレン100質量部を添加して希釈した。その後、アゾビスイソブチロニトリル0.1質量部を2時間毎5回に分けて分割添加しながら80℃で重合を完結させ、高分子量成分溶液を得た。得られた低分子量成分溶液100質量部と高分子量成分溶液100質量部を混合した後、キシレンを除去してスチレン−(メタ)アクリル系樹脂(C)を得た。得られた樹脂の高分子量領域の重量平均分子量は290000、低分子量領域の重量平均分子量は24000であり、得られた樹脂(C)のTgは、63℃であった。
【0039】(合成例4)スチレン75質量部、n−ブチルアクリレート25質量部の混合液、ペルオキソ二硫酸カリウム0.2質量部をドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム0.8質量部を溶解した脱イオン水300質量部に添加し、窒素置換の後、70℃に昇温して乳化重合を5時間行った。次いで、80℃に昇温し、硫酸を添加してエマルションの固形分を固化させ、濾別、水洗、乾燥を行い高分子成分を得た。反応器にスチレン100質量部とジ−t−ブチルパーオキサイド1質量部を添加し、窒素置換後240℃まで昇温し1時間塊状重合を行って、低分子成分を得た。得られた高分子成分25質量部と低分子成分75質量部を2軸押出し機を用いて、150℃で溶融混練してスチレン−(メタ)アクリル系樹脂(D)を得た。得られた樹脂の高分子量領域の重量平均分子量は970000、低分子量領域の重量平均分子量は5200であり、得られた樹脂(D)のTgは、57℃であった。
【0040】(合成例5)スチレン75質量部、n−ブチルアクリレート25質量部の混合液、ペルオキソ二硫酸カリウム0.25質量部をドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム0.8質量部を溶解した脱イオン水400質量部に添加し、窒素置換の後、80℃に昇温して乳化重合を5時間行った。次いで、80℃に維持した状態で、硫酸を添加してエマルションの固形分を固化させ、濾別、水洗、乾燥を行い高分子成分を得た。反応器にクメン200質量部を入れ還流温度まで昇温した。これにスチレン100質量部及びジ−tert−ブチルパーオキサイド8質量部の混合物をクメン還流下で4時間かけて滴下した。更にクメン還流下で重合を完了し、クメンを除去して低分子量成分を得た。得られた高分子成分35質量部と低分子成分65質量部を2軸押出し機を用いて、150℃で溶融混練してスチレン−(メタ)アクリル系樹脂(E)を得た。得られた樹脂の高分子量領域の重量平均分子量は640000、低分子量領域の重量平均分子量は3500であり、得られた樹脂(E)のTgは、58℃であった。
【0041】(合成例6)スチレン52.5質量部、n−ブチルアクリレート17.5質量部、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.04質量部を混合し、部分鹸化ポリビニルアルコール0.2質量部を溶解した脱イオン水200質量部に添加し、130℃に昇温後、懸濁重合を2時間行い、40℃まで冷却した。次いで、スチレン27.5質量部、n−ブチルアクリレート2.5質量部、ベンゾイルパーオキサイド1質量部を分散液中に投入し、85℃まで昇温し、8時間懸濁重合を行い、重合を完結した。その後濾別、水洗、乾燥を行いスチレン−(メタ)アクリル系樹脂(F)を得た。得られた樹脂の高分子量領域の重量平均分子量は160000、低分子量領域の重量平均分子量は43000であり、得られた樹脂(F)のTgは、63℃であった。
【0042】(実施例1)合成例1で得られた樹脂(A)92.5質量部、12−ヒドロキシステアリン酸0.5質量部、カ−ボンブラック(三菱化学社製#40)4質量部、荷電制御剤(オリエント化学社製ボントロンS−34)1質量部、ポリプロピレンワックス(三洋化成社製660P)2質量部を、2軸押出し機を用いて、140℃で溶融混練した。次いで、ジェットミル粉砕機で粉砕し、分級して平均粒子径10μm、Tg62℃のトナ−を得た。得られたトナーの耐ブロッキング性は良好であった。得られたトナ−の定着温度領域は145〜240℃であった。得られた画像にカブリはなく、良好であった。
【0043】(実施例2)合成例1で得られた樹脂(A)92質量部、12−ヒドロキシステアリン酸1質量部、カ−ボンブラック(三菱化学社製#40)4質量部、荷電制御剤(オリエント化学社製ボントロンS−34)1質量部、ポリプロピレンワックス(三洋化成社製660P)2質量部を、2軸押出し機を用いて、150℃で溶融混練した。次いで、ジェットミル粉砕機で粉砕し、分級して平均粒子径10μm、Tg62℃のトナ−を得た。得られたトナーの耐ブロッキング性は良好であった。得られたトナ−の定着温度領域は140〜240℃であった。得られた画像にカブリはなく、良好であった。
【0044】(実施例3)合成例1で得られた樹脂(A)90質量部、12−ヒドロキシステアリン酸3質量部、カ−ボンブラック(三菱化学社製#40)4質量部、荷電制御剤(オリエント化学社製ボントロンS−34)1質量部、ポリプロピレンワックス(三洋化成社製660P)2質量部を、2軸押出し機を用いて、150℃で溶融混練した。次いで、ジェットミル粉砕機で粉砕し、分級して平均粒子径10μm、Tg60℃のトナ−を得た。得られたトナーの耐ブロッキング性は良好であった。得られたトナ−の定着温度領域は135〜240℃であった。得られた画像にカブリはなく、良好であった。
【0045】(実施例4)合成例1で得られた樹脂(A)88質量部、12−ヒドロキシステアリン酸5質量部、カ−ボンブラック(三菱化学社製#40)4質量部、荷電制御剤(オリエント化学社製ボントロンS−34)1質量部、ポリプロピレンワックス(三洋化成社製660P)2質量部を、2軸押出し機を用いて、150℃で溶融混練した。次いで、ジェットミル粉砕機で粉砕し、分級して平均粒子径10μm、Tg58℃のトナーを得た。得られたトナーの耐ブロッキング性は良好であった。得られたトナ−の定着温度領域は125〜240℃であった。得られた画像にカブリはなく、良好であった。
【0046】(実施例5)合成例1で得られた樹脂(A)90質量部、12−ヒドロキシステアリン酸5質量部、カ−ボンブラック(三菱化学社製#40)4質量部、荷電制御剤(オリエント化学社製ボントロンS−34)1質量部を、2軸押出し機を用いて、150℃で溶融混練した。次いで、ジェットミル粉砕機で粉砕し、分級して平均粒子径10μm、Tg58℃のトナ−を得た。得られたトナーの耐ブロッキング性は良好であった。得られた画像にカブリはなく、良好であった。得られたトナ−の定着温度領域は125〜230℃であった。
【0047】(実施例6)合成例1で得られた樹脂(A)83質量部、12−ヒドロキシステアリン酸10質量部、カ−ボンブラック(三菱化学社製#40)4質量部、荷電制御剤(オリエント化学社製ボントロンS−34)1質量部、ポリプロピレンワックス(三洋化成社製660P)2質量部を、2軸押出し機を用いて、150℃で溶融混練した。次いで、ジェットミル粉砕機で粉砕し、分級して平均粒子径10μm、Tg54℃のトナ−を得た。得られたトナーは僅かにブロッキングが認められたが使用可能なレベルであった。得られたトナ−の定着温度領域は120〜240℃であった。得られた画像にカブリはなく、良好であった。
【0048】(実施例7)合成例1で得られた樹脂(A)80質量部、12−ヒドロキシステアリン酸13質量部、カ−ボンブラック(三菱化学社製#40)4質量部、荷電制御剤(オリエント化学社製ボントロンS−34)1質量部、ポリプロピレンワックス(三洋化成社製660P)2質量部を、2軸押出し機を用いて、150℃で溶融混練した。次いで、ジェットミル粉砕機で粉砕し、分級して平均粒子径10μm、Tg49℃のトナ−を得た。得られたトナーはブロッキングが認められたが辛うじて使用可能なレベルであった。得られたトナ−の定着温度領域は120〜240℃であった。得られた画像にカブリはなく、良好であった。
【0049】(実施例8)合成例2で得られた樹脂(B)92質量部、12−ヒドロキシステアリン酸1質量部、カ−ボンブラック(三菱化学社製#40)4質量部、荷電制御剤(オリエント化学社製ボントロンS−34)1質量部、ポリプロピレンワックス(三洋化成社製660P)2質量部を、2軸押出し機を用いて、150℃で溶融混練した。次いで、ジェットミル粉砕機で粉砕し、分級して平均粒子径10μm、Tg58℃のトナ−を得た。得られたトナーの耐ブロッキング性は良好であった。得られたトナ−の定着温度領域は145〜240℃であった。得られた画像にカブリはなく、良好であった。
【0050】(実施例9)合成例3で得られた樹脂(C)92質量部、12−ヒドロキシステアリン酸1質量部、カ−ボンブラック(三菱化学社製#40)4質量部、荷電制御剤(オリエント化学社製ボントロンS−34)1質量部、ポリプロピレンワックス(三洋化成社製660P)2質量部を、2軸押出し機を用いて、150℃で溶融混練した。次いで、ジェットミル粉砕機で粉砕し、分級して平均粒子径10μm、Tg65℃のトナ−を得た。得られたトナーの耐ブロッキング性は良好であった。得られたトナ−の定着温度領域は145〜225℃であった。得られた画像にカブリはなく、良好であった。
【0051】(実施例10)合成例4で得られた樹脂(D)92質量部、12−ヒドロキシステアリン酸1質量部、カ−ボンブラック(三菱化学社製#40)4質量部、荷電制御剤(オリエント化学社製ボントロンS−34)1質量部、ポリプロピレンワックス(三洋化成社製660P)2質量部を、2軸押出し機を用いて、150℃で溶融混練した。次いで、ジェットミル粉砕機で粉砕し、分級して平均粒子径10μm、Tg60℃のトナ−を得た。得られたトナーの耐ブロッキング性は良好であった。得られたトナ−の定着温度領域は145〜240℃であった。画像にカブリが認められたが、使用可能レベルであった。
【0052】(実施例11)合成例5で得られた樹脂(E)92質量部、12−ヒドロキシステアリン酸1質量部、カ−ボンブラック(三菱化学社製#40)4質量部、荷電制御剤(オリエント化学社製ボントロンS−34)1質量部、ポリプロピレンワックス(三洋化成社製660P)2質量部を、2軸押出し機を用いて、150℃で溶融混練した。次いで、ジェットミル粉砕機で粉砕し、分級して平均粒子径10μm、Tg59℃のトナ−を得た。得られたトナーの耐ブロッキング性は良好であった。得られたトナ−の定着温度領域は135〜240℃であった。画像にカブリが認められたが、使用可能レベルであった。
【0053】(実施例12)合成例6で得られた樹脂(F)90質量部、12−ヒドロキシステアリン酸2質量部、カ−ボンブラック(三菱化学社製#40)4質量部、荷電制御剤(オリエント化学社製ボントロンS−34)1質量部、ポリプロピレンワックス(三洋化成社製660P)3質量部を、2軸押出し機を用いて、150℃で溶融混練した。次いで、ジェットミル粉砕機で粉砕し、分級して平均粒子径10μm、Tg64℃のトナ−を得た。得られたトナーの耐ブロッキング性は良好であった。得られたトナ−の定着温度領域は145〜220℃であった。得られた画像にカブリはなく、良好であった。
【0054】(比較例1)合成例1で得られた樹脂(A)93質量部、カ−ボンブラック(三菱化学社製#40)4質量部、荷電制御剤(オリエント化学社製ボントロンS−34)1質量部、ポリプロピレンワックス(三洋化成社製660P)2質量部を、2軸押出し機を用いて、150℃で溶融混練した。次いで、ジェットミル粉砕機で粉砕し、分級して平均粒子径10μm、Tg62℃のトナ−を得た。得られたトナーの耐ブロッキング性は良好であった。得られたトナ−の定着温度領域は160〜240℃であった。得られた画像にカブリはなく、良好であった。
【0055】(比較例2)合成例2で得られた樹脂(B)93質量部、カ−ボンブラック(三菱化学社製#40)4質量部、荷電制御剤(オリエント化学社製ボントロンS−34)1質量部、ポリプロピレンワックス(三洋化成社製660P)2質量部を、2軸押出し機を用いて、150℃で溶融混練した。次いで、ジェットミル粉砕機で粉砕し、分級して平均粒子径10μm、Tg58℃のトナ−を得た。得られたトナーの耐ブロッキング性は良好であった。得られたトナ−の定着温度領域は165〜240℃であった。得られた画像にカブリはなく、良好であった。
【0056】(比較例3)合成例3で得られた樹脂(C)93質量部、カ−ボンブラック(三菱化学社製#40)4質量部、荷電制御剤(オリエント化学社製ボントロンS−34)1質量部、ポリプロピレンワックス(三洋化成社製660P)2質量部を、2軸押出し機を用いて、150℃で溶融混練した。次いで、ジェットミル粉砕機で粉砕し、分級して平均粒子径10μm、Tg65℃のトナ−を得た。得られたトナーの耐ブロッキング性は良好であった。得られたトナ−の定着温度領域は165〜225℃であった。得られた画像にカブリはなく、良好であった。
【0057】(比較例4)合成例4で得られた樹脂(D)93質量部、カ−ボンブラック(三菱化学社製#40)4質量部、荷電制御剤(オリエント化学社製ボントロンS−34)1質量部、ポリプロピレンワックス(三洋化成社製660P)2質量部を、2軸押出し機を用いて、150℃で溶融混練した。次いで、ジェットミル粉砕機で粉砕し、分級して平均粒子径10μm、Tg60℃のトナ−を得た。得られたトナーの耐ブロッキング性は良好であった。得られたトナ−の定着温度領域は165〜240℃であった。画像にカブリが認められたが、使用可能レベルであった。
【0058】(比較例5)合成例5で得られた樹脂(E)93質量部、カ−ボンブラック(三菱化学社製#40)4質量部、荷電制御剤(オリエント化学社製ボントロンS−34)1質量部、ポリプロピレンワックス(三洋化成社製660P)2質量部を、2軸押出し機を用いて、150℃で溶融混練した。次いで、ジェットミル粉砕機で粉砕し、分級して平均粒子径10μm、Tg59℃のトナ−を得た。得られたトナーの耐ブロッキング性は良好であった。得られたトナ−の定着温度領域は155〜240℃であった。画像にカブリが認められたが、使用可能レベルであった。
【0059】(比較例6)合成例6で得られた樹脂(F)92質量部、カ−ボンブラック(三菱化学社製#40)4質量部、荷電制御剤(オリエント化学社製ボントロンS−34)1質量部、ポリプロピレンワックス(三洋化成社製660P)3質量部を、2軸押出し機を用いて、150℃で溶融混練した。次いで、ジェットミル粉砕機で粉砕し、分級して平均粒子径10μm、Tg65℃のトナ−を得た。粉砕工程において、やや粉砕性が悪化した。得られたトナーの耐ブロッキング性は良好であった。得られたトナ−の定着温度領域は170〜230℃であった。得られた画像にカブリはなく、良好であった。
【0060】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、低温定着性に優れるとともに、カブリがなく、広い定着温度幅を有するトナーを提供することができ、工業上極めて有用である。
【出願人】 【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱レイヨン株式会社
【出願日】 平成12年4月18日(2000.4.18)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−305792(P2001−305792A)
【公開日】 平成13年11月2日(2001.11.2)
【出願番号】 特願2000−117021(P2000−117021)