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【発明の名称】 トナー用高軟化温度ポリエステル樹脂および高軟化温度ポリエステル系トナー
【発明者】 【氏名】伊藤 弘一

【氏名】清水 浩二

【氏名】岩崎 等

【要約】 【課題】電子写真法、静電記録法や静電印刷法等において、静電荷像または磁気潜像の現像のための乾式トナーに有用で、両面印刷時に加熱定着部で非オフセット性が良好なポリエステル樹脂およびポリエステル系トナーを提供する。

【解決手段】テトラヒドロフランを用いて測定した膨潤倍率が60〜90倍であり、軟化温度が180〜230℃であるトナー用高軟化温度ポリエステル樹脂およびこの樹脂を含むトナー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 テトラヒドロフランを用いて測定した膨潤倍率が60〜90倍であり、軟化温度が180〜230℃である、トナー用高軟化温度ポリエステル樹脂。
【請求項2】 軟化温度が190〜220℃である、請求項1記載の樹脂。
【請求項3】 全酸成分に対して15〜110モル%の、次式(1)で表される芳香族ジオール成分および全酸成分に対して1〜30モル%の、3価以上の多価カルボン酸成分および/または3価以上の多価アルコール成分を必須成分として用いて得られた架橋ポリエステル樹脂からなる、請求項1または2記載の樹脂。
【化1】

(式中、Rは炭素数が3以下のアルキレン基を表し、x及びyは式2.0≦x+y≦7.0を満足する数である)
【請求項4】 請求項1に記載したポリエステル樹脂を含む、高軟化温度ポリエステル系トナー。
【請求項5】 軟化温度が140〜190℃である、請求項4記載のトナー。
【請求項6】 ポリエステル樹脂が、全酸成分に対して15〜110モル%の、次式(1)で表される芳香族ジオール成分および全酸成分に対して1〜30モル%の、3価以上の多価カルボン酸成分および/または3価以上の多価アルコール成分を必須成分として用いて得られた架橋ポリエステル樹脂からなる、請求項4または5記載のトナー。
【化2】

(式中、Rは炭素数が3以下のアルキレン基を表し、x及びyは式2.0≦x+y≦7.0を満足する数である)
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トナー用高軟化温度ポリエステル樹脂および高軟化温度ポリエステル系トナーに関する。本発明は、特に、電子写真法、静電記録法や静電印刷法等において、静電荷像または磁気潜像の現像のための乾式トナーのバインダー樹脂として有用な高軟化温度ポリエステル樹脂およびそのような樹脂をバインダー樹脂として含む、両面印刷時に加熱定着部で非オフセット性が良好であるポリエステル系トナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真印刷方法および静電荷現像方法により画像を得る方法においては、感光体上に形成された静電荷像をあらかじめ摩擦により帯電させたトナーによって現像したのち定着される。定着方式としては、現像によって得られたトナー像を、加圧および加熱されたローラーを用いるヒートローラー方式がある。これらのプロセスを問題なく通過するためには、トナーは、まず安定した帯電量を保持することが必要であり、次に紙への定着性が良好である必要がある。また、装置は加熱体である定着部を有するため、装置内で温度が上昇したときにトナーがブロッキングしないことが必要である。
【0003】さらに、最近では、コピーの消費量も増し、長時間にわたり印刷を継続する傾向が強くなり、そのため帯電の安定化が必要であり、さらに環境にも配慮して紙の消費を抑えるため両面印刷を長時間行うようになり、トナーには2度の熱履歴を受けても加熱ローラーに付着しないような性能(両面印刷時での非オフセット性)が求められるようになってきている。
【0004】トナーが加熱ローラーに付着しないようにするために、架橋したバインダー樹脂を使用する等の対策が取られているが、しかし両面印刷後の画像において強度と弾性が不十分であり、1回目に定着させた画像が加熱ローラーに付着するという問題は未解決のままである。また、定着性と環境性の観点からバインダー樹脂にはポリエステル系樹脂を使用することが重要であるが、しかしポリエステル系樹脂では所望の架橋度の樹脂が得られにくいことが問題であり、高軟化温度のポリエステル樹脂およびそれを用いた高軟化温度のポリエステル系トナーが強く望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、電子写真法、静電記録法や静電印刷法等において、静電荷像または磁気潜像の現像のための乾式トナーのバインダー樹脂として有用な高軟化温度ポリエステル樹脂およびそのような樹脂をバインダー樹脂として含む、両面印刷時に加熱定着部で非オフセット性が良好であるポリエステル系トナーを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリエステル系トナーの高軟化温度化について鋭意研究した結果、両面印刷を長時間行ってもオフセットが発生しないトナーを与えることのできるポリエステル樹脂を見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は、テトラヒドロフランを用いて測定した膨潤倍率が60〜90倍であり、軟化温度が180〜230℃である、トナー用高軟化温度ポリエステル樹脂を提供する。
【0007】本発明は、また、上記ポリエステル樹脂を含む、高軟化温度ポリエステル系トナーを提供する。本発明に係る上記ポリエステル樹脂は、酸成分に対して15〜110モル%の、次式(1)で表される芳香族ジオール成分および全酸成分に対して1〜30モル%の、3価以上の多価カルボン酸成分および/または3価以上の多価アルコール成分を必須成分として用いて得られた架橋ポリエステル樹脂からなるのが好ましい。
【0008】
【化3】

【0009】(式中、Rは炭素数が3以下のアルキレン基を表し、x及びyは式2.0≦x+y≦7.0を満足する数である)
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のポリエステル樹脂は、トナーの非オフセット性を良好とするため、3価以上の多価カルボン酸成分および/または3価以上の多価アルコール成分を含むのが好ましい。3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸およびそれらの酸無水物などを挙げることができる。また、3価以上の多価アルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトラオール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1、2,4−ブタントリオール、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンなどが挙げられる。特に好ましくは、トリメリット酸および/またはその酸無水物、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンであり、これら3価以上の多価カルボン酸成分と3価以上の多価アルコール成分は、それぞれ単独で使用してもよく、複数を組み合わせてもちいてもよい。これらの成分を樹脂を架橋または分岐化し、定着の温度幅を改良するために用いる場合、その使用量は全酸成分に対して1〜30モル%での使用が好ましく、特に好ましくは1〜27モル%である。これらの成分が1モル%未満のポリエステル樹脂を用いたトナーは非オフセット性が劣ることがあり、逆に30モル%を越えるポリエステル樹脂を用いたトナーは耐ブロッキング性が劣ることがある。
【0011】本発明のポリエステル樹脂に用いることのできる前記式(1)の芳香族ジオール成分としては、例えば、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.2)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの芳香族ジオールはガラス転移温度を上げる効果があるため、得られるトナーの耐ブロッキング性が良好となる。特に、2.1≦n≦8であるポリオキシプロピレン(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび2.0≦n≦3.0であるポリオキシエチレン(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。これらの芳香族ジオール成分の使用量は、全酸成分に対して、好ましくは15〜110モル%であり、特に好ましくは20〜105モル%である。芳香族ジオール成分の使用量が15モル%未満のポリエステル樹脂を用いたトナーは、定着性が悪くなる傾向にある。逆に、芳香族ジオール成分が110モル%を越えるとこの樹脂の、また従って得られるトナーの軟化温度が低下する傾向にある。
【0012】本発明のポリエステル樹脂に用いられる脂肪族ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの脂肪族ジオールは、縮重合反応速度を向上せしめる作用を有する。これらのうちでは、定着性の点からエチレングリコール、ネオペンチルグリコールおよびブタンジオールが好ましい。脂肪族ジオールの使用量は、全カルボン酸成分に対して10〜110モル%が好ましく、15〜105モル%が特に好ましい。
【0013】本発明のポリエステル樹脂に用いられる2価カルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、セバシン酸、イソデシル琥珀酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸並びにこれらのモノメチルエステル、モノエチルエステル、ジメチルエステル、ジエチルエステルなどやそれらの酸無水物が挙げられ、特に好ましくはテレフタル酸、イソフタル酸およびアジピン酸であり、それぞれ単独で使用してもよく、複数組み合わせて使用してもよい。これらの成分は、樹脂のTgとのバランスを考えて使用すればよい。その使用量は、全酸成分に対して70〜100モル%であることが好ましく、特に好ましくは73〜100モル%である。2価カルボン酸成分が70モル%未満のポリエステル樹脂を用いたトナーは、耐ブロッキング性が劣ることがある。
【0014】本発明のポリエステル樹脂の製造に際しては、上記成分を反応容器に投入し、加熱昇温して、エステル化反応またはエステル交換反応を行う。次いで、常法に従って該反応で生じた水またはアルコールを除去する。その後、引き続き重合反応を実施するが、このとき150mmHg以下の真空下でジオール成分を留出除去させながら縮重合を行う。
【0015】エステル化反応またはエステル交換反応および重合に際しては、一般に公知の重合触媒、例えば、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなどを用いることができる。また、重合温度、触媒量については特に限定されるものではないが、高温で副生物として発生する脂肪族ジオール成分を低減するためには比較的反応温度が低い領域でも反応する触媒を選択することが重要である。なかでも、三酸化アンチモン、チタンブトキサイドおよびジブチルスズオキサイドが特に好ましい。
【0016】ゲル化反応を伴うポリエステル樹脂においては、高真空下でジオール成分を留出除去させながら縮重合を進めていく課程でゲル化反応が生じ、反応系内の粘度が急激に上昇する。従って、反応に際しては、この粘度上昇に対応しながら反応系内の真空度を調整してゲル化反応を制御する方法を用いるのが好ましい。そして、所望の粘度に到達した時に反応系内の圧力を常圧に戻し、窒素により加圧して反応容器より樹脂を約2時間以内で取り出し、急冷を避けて約2時間以内でゆっくりと冷却することが重要である。
【0017】本発明のポリエステル樹脂は、非オフセット性を良好とするため、非線状ポリエステル樹脂であるのが好ましい。本発明のポリエステル樹脂においては、テトラヒドロフランを用いて測定した膨潤倍率が60〜90倍、好ましくは65から85倍であることが重要である。膨潤倍率が60未満のポリエステル樹脂を用いたトナーは非オフセット性が不良であり、逆に90倍を超えるポリエステル樹脂を用いたトナーは定着性が不良となる。
【0018】本発明のポリエステル樹脂は、軟化温度が180〜230℃であることが必要であり、190〜220℃であるのが好ましい。軟化温度が180℃未満のポリエステル樹脂を使用したトナーは非オフセット性が不良となり、逆に軟化温度が230℃を越える樹脂を用いたトナーは定着性が不良となる。また、最終的に得られるトナーの軟化温度は140〜190℃であることが好ましく、特に好ましくは150〜180℃である。軟化温度が140℃未満のトナーは非オフセット性が不良となることがあり、逆に軟化温度が190℃を越えるトナーは定着性が不良となることがある。
【0019】また、本発明のポリエステル樹脂は、酸価が0.5〜25 mgKOH/gであるのが好ましい。酸価がこの範囲のポリエステル樹脂を用いたトナーは、耐湿性に優れ、安定した画像を与えることができる。また、本発明のポリエステル樹脂のガラス転移温度は、トナーの耐ブロッキング性と定着性の観点から55〜72℃であるのが好ましい。ガラス転移温度が55℃未満の樹脂を用いた場合、トナーの耐ブロッキング性が不良となることがあり、逆に72℃を越える樹脂を用いた場合、トナーの定着性が不良となることがある。
【0020】さらに、上述した樹脂を用いた本発明のトナーは、トナーの電荷が正および負極性となる荷電制御剤、オレフィン系樹脂等の離型剤、シリカ等の流動改質剤等を用いて得られる。すなわち、本発明のトナーには、帯電量の調整、帯電安定性の付与等を目的として荷電制御剤が使用される。そのような荷電制御剤には、トナーが正極性または負極性となる荷電制御剤がある。まず、トナーが負極性を示す荷電制御剤としては、例えば、含金属モノアゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、4級アンモニウム塩、ニトロイミダゾール誘導体等を挙げることができ、これらは複数組み合わせて使用されてもよく、好ましくは含金属モノアゾ染料である。これらの負極性を示す荷電制御剤の使用量は、通常、全トナー中に、0.1〜3重量%であり、好ましくは0.4〜2.5重量%である。トナーが正の極性を示す荷電制御剤としては、例えば、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等を挙げることができ、これらは複数組み合わせて使用されてもよく、好ましくはニグロシン染料である。これらの正の極性を示す荷電制御剤の使用量は、通常、全トナー中に、0.1〜5.0重量%であり、好ましくは0.4〜4.5重量%である。さらに、上述した正極性および負極性の荷電制御剤を複数併用してもよい。
【0021】本発明のトナーには、ヒートローラーとの離型性を良好とし、非オフセット性を改善する目的で離型剤が使用される。例えば、ポリオレフィン、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、部分ケン化脂肪酸エステル、高級脂肪酸、高級アルコール、パラフィンワックス、アミドワックス、多価アルコールエステル、シリコーンワニス、脂肪族フロオロカーボン、シリコンオイル等が挙げられ、任意に1種以上使用すればよい。これらの離型剤の使用量は、トナー中に、8重量%以下が好ましく、特に好ましくは6重量%以下である。
【0022】本発明のトナーには、着色剤が用いられ、例えば、有彩色の染料またはカーボンブラック、カーボンブラックの表面を樹脂で被覆しているグラフト化カーボンブラックのような顔料が用いられる。かかる着色剤としては、公知のものが全て使用可能であり、特に限定されるものではない。着色剤の使用量は、トナー中に、好ましくは0.1〜10重量%であり、特に好ましくは0.5〜8重量%である。
【0023】本発明のトナーには、必要に応じて流動性向上剤等が用いられる。流動性向上剤としては、例えば、シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素等を挙げることができ、特にシリカの微粉末が好ましい。これらの流動性向上剤の使用量は、得られたトナー微粉末に対して0.05〜0.7重量%が好ましく、特に好ましくは0.1〜0.6重量%である。
【0024】本発明のトナーを得るための混練工程においては、本発明のポリエステル樹脂の軟化温度を基準にして、それよりも−10℃から+40℃の範囲の温度下で混練することが好ましく、特に好ましくは樹脂の軟化温度よりも−5℃から+30℃の範囲である。かかる範囲の温度で混練した場合、樹脂が溶融し、添加剤などの分散が安定して得られる。
【0025】また、本発明のトナーの平均粒径は、5〜15μmであるのが好ましく、特に好ましくは6〜13μmである。かかる領域の粒径を有するトナーは、画像安定性に優れる。本発明において、樹脂の軟化温度は、島津製作所(株)製フローテスターCFT−500を用い、1mmφ×1mmのノズルにより、荷重98N(10 Kgf)において、昇温速度6℃/min の等速昇温下で測定した時に、サンプル2.0g中の1/2が流出した時の温度を言う。また、ガラス転移温度は、示差走差熱量計を用いて、昇温速度5℃/min で測定した時のチャートのベースラインとガラス転移温度近傍にある吸熱カーブの接線との交点の温度を言う。また、酸価は、KOH溶液による滴定法により測定した。さらに、膨潤倍率の測定は、約0.02gの1個の粒子を約10gのテトラヒドロフランに投入して約24時間保持した後、不溶分を濾紙を用いてろ過した時の、以下の式で得られた値を膨潤倍率として定義した。
【0026】膨潤倍率=((不溶分の重量)−(可溶分中の固形分の重量))/((樹脂試料の重量)−(可溶分の固形分の重量))
【0027】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明の実施の態様がこれに限定されるものではない。また、本実施例で示される樹脂の評価基準は以下によった。
評価基準1)非オフセット性の評価法ローラー速度100mm/sに設定した温度可変の複写機を用い、両面印刷を行って非オフセット性の評価を行った。また、2回目の定着時に定着ローラーにトナーが移行するときの温度をオフセット発生温度と定め、以下の基準により非オフセット性を判断した。
【0028】
オフセット発生温度230℃以上の優れたトナー: ◎ オフセット発生温度220℃の良好なトナー: ○ オフセット発生温度200℃の使用可能なトナー: △ オフセット発生温度200℃未満の使用不可のトナー: ×2)定着性評価非オフセット性の評価と同じ条件で定着性の評価を行い、反射濃度系で測定した定着率が80%を超える温度を最低定着温度とし、以下の基準により定着性を判断した。
【0029】
最低定着温度150℃の優れたトナー: ◎ 最低定着温度170℃の良好なトナー: ○ 最低定着温度180℃の使用可能なトナー: △ 最低定着温度190℃の使用不可のトナー: ×3)耐ブロッキング性サンプルを約5g秤量し、サンプル瓶に投入して、これを50℃に保温された乾燥機内に約24時間放置し、トナーの凝集程度を評価して耐ブロッキング性の指標とした。評価基準を以下の通りとした。
【0030】
サンプル瓶を逆さにするだけで分散する優れたトナー: ◎ サンプル瓶を逆さにし2〜3回叩くと分散する実用可能なトナー: ○ サンプル瓶を逆さにし4〜5回叩くと分散する使用不可のトナー: ×4)画像安定性上記定着性の評価方法と同じ条件下に、定着温度140℃で耐刷テスト(1万枚)を行い、トナーの帯電量を基準として、画像安定性を評価した。
【0031】
帯電量(画像濃度)が安定している優れたトナー: ◎ 初期の帯電量と最終の帯電量に若干変化があるが、 画像濃度に影響が少ない良好なトナー: ○ 帯電量(画像濃度)に変化があるが、添加剤により 改良可能である実用可能なトナー: △ 画像濃度が大きく変化する使用不可のトナー: ×なお、表中に用いた以下の記号は、下記のモノマーを示すものである。
【0032】ジオールA:ポリオキシプロピレン(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンポリエステル樹脂製造例表1および表2に示される仕込み組成に従って、モノマーおよび全酸成分に対して500ppm の三酸化アンチモンを蒸留塔備え付けの反応容器に投入した。次いで、撹拌翼回転数を120rpm に保ち、昇温をスタートし、反応系内の温度が260℃になるまで加熱し、この温度を保持した。反応系から水が留出し、エステル化反応が開始してから約8時間後、水の留出がなくなり、反応を終えた。次いで、反応系の温度を冷却して230℃に保ち、反応容器内の真空度が1.0mmHgになるまで約40分かけて減圧し、反応系からジオール成分を留出させ、縮合反応を行った後、反応とともに反応系の粘度が上昇し、粘度上昇とともに真空度を上昇させ、所望の軟化温度を示すトルクになるまで反応を実施した。そして、攪拌翼が所定のトルクを示した時点で反応系を常圧に戻し、加熱を停止し、窒素により加圧して約2時間かけて反応物を取り出し、さらに2時間かけて除々に冷却し、透明な樹脂A〜Kを得た。このようにして得られた樹脂A〜Kを液体ガスクロマトグラフィーにより組成分析した結果、表1および表2に示す樹脂組成を示した。また、樹脂の特性値を同じく表1および表2に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】実施例得られた樹脂B〜F、HおよびIをそれぞれトナー化した。トナーの配合には、樹脂を92重量部、カーボンブラック(三菱化学社製#44)を5重量部、ワックス(三洋化成社製660P)を3重量部、負帯電性の荷電制御剤(オリエント化学社製S−34)を1重量部使用し、ヘンシェルミキサーで30分間混合した。次いで、得られた混合物を2軸混練機で2回溶融混練した。溶融混練は内温を樹脂の軟化温度に設定して行った。混練後、冷却してトナー魂を得、ジェットミル微粉砕機で微粉砕し、分級機でトナーの粒径を整え、粒径を10μmとした。得られた微粉末に対して、0.25重量%のシリカ(日本アエロジル社製 R−972)を加え、ヘンシェルミキサーで混合して付着させ、最終的にトナーB〜F、HおよびIを得た。
【0036】得られたトナーに対して前述の評価方法を用いてトナー評価を行った。これらのトナーの評価結果を表3に示す。表3からわかるように、非オフセット性に関しては、トナーD、E、Fは優れており、トナーC、H、Iは良好であり、トナーBはやや劣っていたが実用上使用可能であった。また、耐ブロッキング性については、トナーD、E、Fは優れており、トナーC、H、Iは良好であり、トナーBはやや劣っていたが実用上使用可能であった。さらに、画像安定性については、トナーB、D、Iは優れており、トナーC、E、Hは良好であり、トナーFはやや劣っていたが実用上使用可能であった。そして、定着性については、トナーB、C、D、Hは優れていたが、トナーE、Iは良好であり、トナーFはやや劣っていたが実用上使用可能であった。
【0037】
【表3】

【0038】比較例樹脂AおよびGを用いて実施例と同一条件、同一方法でトナーA、トナーGを得て、トナー評価を行った。表4に示すように、トナーAは定着性が優れていたが、両面印刷時の非オフセット性、画像性、耐ブロッキング性が不良であり、使用不可能であった。また、トナーGは非オフセット性、画像性、耐ブロッキング性が優れていたが、定着性が悪く、使用不可能であった。
【0039】
【表4】

【0040】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明で示した特定のポリエステル系樹脂を用いたトナーは、耐ブロッキング性、画像安定性、定着性が良好であり、かつ、両面印刷時の非オフセット性が良好である。
【出願人】 【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱レイヨン株式会社
【出願日】 平成12年4月18日(2000.4.18)
【代理人】 【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬 (外2名)
【公開番号】 特開2001−305790(P2001−305790A)
【公開日】 平成13年11月2日(2001.11.2)
【出願番号】 特願2000−116831(P2000−116831)