| 【発明の名称】 |
トナー用低臭気ポリエステル樹脂および低臭気ポリエステル系トナー |
| 【発明者】 |
【氏名】伊藤 弘一
【氏名】岩崎 等
【氏名】清水 浩二
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| 【要約】 |
【課題】電子写真法、静電記録法や静電印刷法等において、静電荷像または磁気潜像の現像のための乾式トナーに有用で、加熱定着部での臭気が少ないポリエステル樹脂およびポリエステル系トナーを提供する。
【解決手段】多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とからなるポリエステル樹脂であって、多価アルコール成分が、液体クロマトグラフィーで測定された分布においてイソプロペニルフェノールのプロピレンオキサイド1モル付加物が10面積%以下である、次式(1)で表される芳香族ジオール成分を含むポリエステル樹脂およびこの樹脂を含むトナー。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とからなるポリエステル樹脂であって、多価アルコール成分が、液体クロマトグラフィーで測定された分布においてイソプロペニルフェノールのプロピレンオキサイド1モル付加物が10面積%以下である、次式(1)で表される芳香族ジオール成分を含む、トナー用低臭気ポリエステル樹脂。 【化1】
(式中、Rは炭素数3以下のアルキレン基を表し、X及びYは式2.0≦X+Y≦7.0を満足する数である) 【請求項2】 式(1)で表される芳香族ジオール成分の量が全酸成分に対して15〜110モル%である、請求項1項記載の樹脂。 【請求項3】 請求項1に記載したポリエステル樹脂をバインダー樹脂として含む、低臭気ポリエステル系トナー。 【請求項4】 式(1)で表される芳香族ジオール成分の量が全酸成分に対して15〜110モル%である、請求項3項記載のトナー。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、トナー用低臭気ポリエステル樹脂および低臭気ポリエステル系トナーに関する。本発明は、特に、電子写真法、静電記録法や静電印刷法等において、静電荷像または磁気潜像の現像のための乾式トナーのバインダー樹脂として有用な低臭気ポリエステル樹脂およびそのような樹脂をバインダー樹脂として含む、加熱定着部での臭気が少ないポリエステル系トナーに関する。 【0002】 【従来の技術】電子写真印刷方法および静電荷現像方法により画像を得る方法においては、感光体上に形成された静電荷像をあらかじめ摩擦により帯電させたトナーによって現像したのち定着される。定着方式としては、現像によって得られたトナー像を、加圧及び加熱されたローラーを用いるヒートローラー方式と電気オーブンまたはフラッシュビーム光を用いる非接触定着方式とがある。これらのプロセスを問題なく通過するためには、トナーは、まず安定した帯電量を保持することが必要であり、次に紙への定着性が良好である必要がある。また、装置は加熱体である定着部を有するため、装置内で温度が上昇したときにトナーがブロッキングしないことが必要である。 【0003】さらに、最近では、コピーの消費量も増し、長時間にわたり印刷を継続する傾向が強くなり、帯電の安定化が必要であり、さらに長時間印刷を行うことで定着部内のトナーが長時間加熱された状態になるため、加熱によりトナーが変質しないことが重要視されている。トナーが変質しないための対策として、加熱時に分解しない金属錯体等の荷電制御剤及びオレフィン系の添加剤を使用してきた。しかしながら、トナー中に占める樹脂の比率は大きく、主成分として用いる樹脂によって上記性能は大きく影響を受ける場合が多い。そのため、主成分である樹脂に関する検討を行うことが必要となった。 【0004】トナーに用いられる樹脂としては、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂が主流である。まず、スチレンアクリル系樹脂を用いたトナーについては、長時間にわたり加熱された定着部の中で、トナーが劣化し、残存モノマーなどの揮発成分が発生して、定着部での臭気が発生することが問題となった。さらに、スチレンアクリル系樹脂及びそれを用いたトナーについても、残存モノマーなどの揮発成分の低減には限界があり、定着部で発生する臭気を十分に防止することができなかった。一方、ポリエステル系樹脂を用いたトナーについても、長期に加熱された定着部の中で、トナーに含まれる副生物などが原因で、臭気を発生するという問題があるが、スチレンアクリル系樹脂を用いたトナーに比べると、その揮発成分と成分量に関してポリエステル系樹脂を用いたトナーの方が軽度で優位にある。したがって、ポリエステル系樹脂を用いたトナーでの改良検討が多くなされており、定着部での臭気の発生を低減することが強く望まれている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、電子写真法、静電記録法や静電印刷法等において、静電荷像または磁気潜像の現像のための乾式トナーのバインダー樹脂として有用な低臭気ポリエステル樹脂およびそのような樹脂をバインダー樹脂として含む、加熱定着部での臭気が少ないポリエステル系トナーを提供しようとするものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリエステル系トナーの加熱定着部の臭気について鋭意研究した結果、主成分として用いるポリエステル系樹脂に起因する成分を低減することにより、加熱定着部での臭気を防止できることを見出し、本発明に到達したものである。 【0007】すなわち、本発明は、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とからなるポリエステル樹脂であって、多価アルコール成分が、液体クロマトグラフィーで測定された分布においてイソプロペニルフェノールのプロピレンオキサイド1モル付加物が10面積%以下である、次式(1)で表される芳香族ジオール成分を含む、トナー用低臭気ポリエステル樹脂を提供する。 【0008】 【化2】
【0009】(式中、Rは炭素数3以下のアルキレン基を表し、X及びYは式2.0≦X+Y≦7.0を満足する数である) 本発明は、また、上記ポリエステル樹脂をバインダー樹脂として含む、低臭気ポリエステル系トナーを提供する。本発明の樹脂およびトナーにおいて、上記式(1)で表される芳香族ジオール成分の量は全酸成分に対して15〜110モル%であるのが好ましい。 【0010】 【発明の実施の形態】本発明のポリエステル樹脂は、トナーの非オフセット性を良好とするため、3価以上の多価カルボン酸成分および/または3価以上の多価アルコール成分を含んでいてもよい。3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸およびそれらの酸無水物などを挙げることができる。また、3価以上の多価アルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトラオール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンなどが挙げられる。特に好ましくは、トリメリット酸および/またはその酸無水物、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンであり、これらの3価以上の多価カルボン酸成分と3価以上の多価アルコール成分は、それぞれ単独で使用してもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。これらの成分を樹脂を架橋または分岐化し、定着の温度幅を改良するために用いる場合、その使用量は全酸成分に対して1〜30モル%であるのが好ましく、特に好ましくは1〜27モル%である。これらの成分が1モル%未満のポリエステル樹脂を用いたトナーは非オフセット性が劣ることがあり、逆に30モル%を越えるポリエステル樹脂を用いたトナーは耐ブロッキング性が劣ることがある。 【0011】本発明のポリエステル樹脂に用いられる前記式(1)の芳香族ジオール成分としては、例えば、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.2)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの芳香族ジオールはガラス転移温度を上げる効果があるため、得られるトナーの耐ブロッキング性が良好となる。特に、2.1≦n≦8であるポリオキシプロピレン(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび2.0≦n≦3.0であるポリオキシエチレン(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。これらの芳香族ジオール成分の使用量は、全酸成分に対して、好ましくは15〜110モル%であり、特に好ましくは20〜105モル%である。芳香族ジオール成分の使用量が15モル%未満のポリエステル樹脂を用いたトナーは粉砕性が悪くなりすぎて、目標とするトナー粒径が得られにくい。逆に、芳香族ジオール成分が110モル%を越えるとトナーの臭気を増加させる傾向にある。 【0012】本発明のポリエステル樹脂の前記式(1)の芳香族ジオール成分において、液体クロマトグラフィーで測定された分布におけるイソプロペニルフェノールのプロピレンオキサイド1モル付加物が10面積%以下であることが本発明において最も重要である。イソプロペニルフェノールのプロピレンオキサイド1モル付加物が10面積%を越える式(1)の芳香族ジオール成分を用いた樹脂を使用したトナーは、定着部での臭気が多くなる傾向にある。好ましくは7面積%以下であり、特に好ましくは5面積%以下である。 【0013】本発明のポリエステル樹脂に用いられる脂肪族ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの脂肪族ジオールは、縮重合反応速度を向上せしめる作用を有する。これらのうちでは、定着性の点からエチレングリコール、ネオペンチルグリコールおよびブタンジオールが好ましい。脂肪族ジオールの使用量は、全カルボン酸成分に対して10〜110モル%が好ましく、15〜105モル%が特に好ましい。 【0014】本発明のポリエステル樹脂に用いられる2価カルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、セバシン酸、イソデシル琥珀酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸並びにこれらのモノメチルエステル、モノエチルエステル、ジメチルエステル、ジエチルエステルなどやそれらの酸無水物が挙げられ、特に好ましくはテレフタル酸、イソフタル酸およびアジピン酸であり、それぞれ単独で使用してもよく、複数組み合わせて使用してもよい。これらの成分は、樹脂のTgとのバランスを考えて使用すればよい。その使用量は、全酸成分に対して70〜100モル%であることが好ましく、特に好ましくは73〜100モル%である。2価カルボン酸成分が70モル%未満のポリエステル樹脂を用いたトナーは、耐ブロッキング性が劣ることがある。 【0015】本発明のポリエステル樹脂の製造に際しては、上記成分を反応容器に投入し、加熱昇温して、エステル化反応またはエステル交換反応を行う。次いで、常法に従って該反応で生じた水またはアルコールを除去する。その後、引き続き重合反応を実施するが、このとき150mmHg以下の真空下でジオール成分を留出除去させながら縮重合を行う。 【0016】エステル化反応またはエステル交換反応および重合に際しては、一般に公知の重合触媒、例えば、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなどを用いることができる。また、重合温度、触媒量については特に限定されるものではないが、高温で副生物として発生する脂肪族ジオール成分を低減するためには比較的反応温度が低い領域でも反応する触媒を選択することが重要である。なかでも、三酸化アンチモン、チタンブトキサイドおよびジブチルスズオキサイドが特に好ましい。 【0017】ゲル化反応を伴うポリエステル樹脂においては、高真空下でジオール成分を留出除去させながら縮重合を進めていく課程でゲル化反応が生じ、反応系内の粘度が急激に上昇する。従って、反応に際しては、この粘度上昇に対応しながら反応系内の真空度を調整してゲル化反応を制御する方法を用いるのが好ましい。そして、所望の粘度に到達した時に反応系内の圧力を常圧に戻し、窒素により加圧して反応容器より樹脂を取り出すことが重要であり、高温で副生物として発生する脂肪族ジオール成分を低減するためには、樹脂の取り出し時間を3時間以内、特に2時間以内とすることが好ましい。 【0018】本発明のポリエステル樹脂は、非オフセット性を良好とするため、非線状ポリエステル樹脂であるのが好ましい。本発明のポリエステル樹脂は、軟化温度が110〜170℃であるのが好ましい。軟化温度が110℃未満のポリエステル樹脂を使用したトナーは非オフセット性が不良となることがあり、逆に軟化温度が170℃を越える樹脂を用いたトナーは定着性が不良となることがある。 【0019】また、本発明のポリエステル樹脂は、酸価が0.5〜20mgKOH /gであるのが好ましい。酸価がこの範囲のポリエステル樹脂を用いたトナーは、耐湿性に優れ、安定した画像を与えることができる。また、本発明のポリエステル樹脂のガラス転移温度は、トナーの耐ブロッキング性と定着性の観点から50〜72℃であるのが好ましい。ガラス転移温度が50℃未満の樹脂を用いた場合、トナーの耐ブロッキング性が不良となることがあり、逆に72℃を越える樹脂を用いた場合、トナーの定着性が不良となることがある。 【0020】さらに、上述した樹脂を用いた本発明のトナーは、トナーの電荷が正および負極性となる荷電制御剤、オレフィン系樹脂等の離型剤、シリカ等の流動改質剤等を用いて得られる。すなわち、本発明のトナーには、帯電量の調整、帯電安定性の付与等を目的として荷電制御剤が使用される。そのような荷電制御剤には、トナーが正極性または負極性となる荷電制御剤がある。まず、トナーが負極性を示す荷電制御剤としては、例えば、含金属モノアゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、4級アンモニウム塩、ニトロイミダーゾール誘導体等を挙げることができ、これらは複数組み合わせて使用されてもよく、好ましくは含金属モノアゾ染料である。これらの負極性を示す荷電制御剤の使用量は、通常、全トナー中に、0.1〜3重量%、好ましくは0.4〜2.5重量%である。トナーが正の極性を示す荷電制御剤としては、例えば、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等を挙げることができ、これらは複数組み合わせて使用されてもよく、好ましくはニグロシン染料である。これらの正の極性を示す荷電制御剤の使用量は、通常、全トナー中に、0.1〜5.0重量%であり、好ましくは0.4〜4.5重量%である。さらに、上述した正極性および負極性の荷電制御剤を複数併用してもよい。 【0021】本発明のトナーには、ヒートローラーとの離型性を良好とし、非オフセット性を改善する目的で離型剤が使用される。例えば、ポリオレフィン、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、部分ケン化脂肪酸エステル、高級脂肪酸、高級アルコール、パラフィンワックス、アミドワックス、多価アルコールエステル、シリコーンワニス、脂肪族フロオロカーボン、シリコンオイル等が挙げられ、任意に1種以上使用すればよい。これらの離型剤の使用量は、トナー中に、8重量%以下が好ましく、特に好ましくは6重量%以下である。 【0022】本発明のトナーには、着色剤が用いられ、例えば、有彩色の染料またはカーボンブラック、カーボンブラックの表面を樹脂で被覆しているグラフト化カーボンブラックのような顔料が用いられる。かかる着色剤としては、公知のものが全て使用可能であり、特に限定されるものではない。着色剤の使用量は、トナー中に、好ましくは0.1〜10重量%であり、特に好ましくは0.5〜8重量%である。 【0023】本発明のトナーには、必要に応じて流動性向上剤等が用いられる。流動性向上剤としては、例えば、シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素等を挙げることができ、特にシリカの微粉末が好ましい。これらの流動性向上剤の使用量は、得られたトナー微粉末に対して0.05〜0.7重量%が好ましく、特に好ましくは0.1〜0.6重量%である。 【0024】本発明のトナーを得るための混練工程においては、本発明のポリエステル樹脂の軟化温度を基準にして、それよりも−10℃から+40℃の範囲の温度下で混練することが好ましく、特に好ましくは樹脂の軟化温度よりも−5℃から+30℃の範囲である。かかる範囲の温度で混練した場合、樹脂が溶融し、添加剤などの分散が安定して得られる。 【0025】また、本発明のトナーの平均粒径は、5〜15μmであるのが好ましく、特に好ましくは6〜13μmである。かかる領域の粒径を有するトナーは、画像安定性に優れる。本発明において、樹脂の軟化温度は、島津製作所(株)製フローテスターCFT−500を用い、1mmφ×10mmのノズルにより、荷重294N(30kgf)において、昇温速度3℃/min の等速昇温下で測定した時に、サンプル1.0g中の1/2が流出した時の温度を言う。また、ガラス転移温度は、示差走差熱量計を用いて、昇温速度5℃/min で測定した時のチャートのベースラインとガラス転移温度近傍にある吸熱カーブの接線との交点の温度を言う。また、酸価は、KOH溶液による滴定法により測定した。さらに、式(1)の芳香族ジオール成分に含まれるイソプロペニルフェノールのプロピレンオキサイド1モル付加物については、液体クロマトグラフィーのUV検出器を用いて分析を行った。 【0026】 【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明の実施の態様がこれに限定されるものではない。また、実施例で示される樹脂の評価基準は以下によった。 評価基準1)非オフセット性の評価法ローラー速度200mm/sに設定した温度可変の複写機を用いて複写を行い、非オフセット性の評価を行った。また、定着ローラーにトナーが移行するときの温度をオフセット発生温度と定め、以下の基準を用いて非オフセット性を判断した。 【0027】 オフセット発生温度230℃以上のトナーが優れたトナー: ◎ オフセット発生温度220℃のトナーが良好であるトナー: ○ オフセット発生温度200℃のトナーが使用可能であるトナー: △ オフセット発生温度200℃未満のトナーが使用不可であるトナー: ×2)耐ブロッキング性サンプルを約5g秤量し、サンプル瓶に投入して、これを50℃に保温された乾燥機内に約24時間放置し、トナーの凝集程度を評価して耐ブロッキング性の指標とした。評価基準を以下の通りとした。 【0028】 サンプル瓶を逆さにするだけで分散するトナーが優れたトナー: ◎ サンプル瓶を逆さにし、2〜3回叩くと分散するトナーが 実用可能であるトナー: ○ サンプル瓶を逆さにし、4〜5回以上叩くと分散するトナーが 使用不可であるトナー: ×3)画像安定性上記非オフセット性の評価と同じ条件下に、定着温度140℃で耐刷テスト(1万枚)を行い、トナーの帯電量を基準として、画像安定性を評価した。 【0029】 帯電量(画像濃度)が安定しているトナーが優れたトナー: ◎ 初期の帯電量と最終の帯電量に若干変化があるが、 画像濃度に影響が少ないトナーが良好なトナー: ○ 帯電量(画像濃度)に変化があるが、添加剤により 改良可能であるトナーが実用可能なトナー: △ 画像濃度が大きく変化するトナーが使用不可であるトナー: ×4)臭気の評価上記画像安定性の評価と同じ条件下に30枚程度の連続複写を行って、定着部周辺の臭気の評価を実施した。臭気の評価は、以下の評価基準により行った。 【0030】 10人全員が臭気がないとしたトナーが優れたトナー: ◎ 10人中2人が臭いがするとしたトナーが良好なトナー: ○ 10人中4人が臭いがするとしたトナーが使用可能なトナー: △ 10人中6人が臭いがするとしたトナーが使用不可のトナー: ×なお、表中に用いた以下の記号は、下記のモノマーを示すものである。 【0031】ジオールA:ソプロペニルフェノールのプロピレンオキサイド1モル付加物が10面積%の成分であるポリオキシプロピレン(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジオールB:ソプロペニルフェノールのプロピレンオキサイド1モル付加物が7面積%の成分であるポリオキシプロピレン(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジオールC:ソプロペニルフェノールのプロピレンオキサイド1モル付加物が5面積%の成分であるポリオキシプロピレン(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジオールD:ソプロペニルフェノールのプロピレンオキサイド1モル付加物が2面積%の成分であるポリオキシプロピレン(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジオールE:ソプロペニルフェノールのプロピレンオキサイド1モル付加物が1面積%の成分であるポリオキシプロピレン(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジオールF:ソプロペニルフェノールのプロピレンオキサイド1モル付加物が15面積%の成分であるポリオキシプロピレン(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンポリエステル樹脂製造例表1および表2に示される仕込み組成に従って、モノマーおよび全酸成分に対して500ppm の三酸化アンチモンを蒸留塔備え付けの反応容器に投入した。次いで、撹拌翼回転数を120rpm に保ち、昇温をスタートし、反応系内の温度が260℃になるまで加熱し、この温度を保持した。反応系から水が留出し、エステル化反応が開始してから約8時間後、水の留出がなくなり、反応を終えた。次いで、反応系の温度を冷却して235℃に保ち、反応容器内の真空度が1.0mmHgになるまで約40分かけて減圧し、反応系からジオール成分を留出させ、縮合反応を行った後、反応とともに反応系の粘度が上昇し、粘度上昇とともに真空度を上昇させ、所望の軟化温度を示すトルクになるまで反応を実施した。そして、攪拌翼が所定のトルクを示した時点で反応系を常圧に戻し、再加熱して発生するジオール成分を低減するため、窒素により加圧して約2時間以内に反応物を取り出し、冷却し、透明な樹脂A〜Jを得た。このようにして得られた樹脂A〜Jを液体ガスクロマトグラフィーにより組成分析した結果、表1および表2に示す樹脂組成を示した。また、樹脂の特性値を同じく表1および表2に示す。 【0032】 【表1】
【0033】 【表2】
【0034】実施例上記で得られた樹脂A〜EおよびG〜Iをそれぞれトナー化した。トナーの配合には、樹脂を92重量部、カーボンブラック(三菱化学社製#44)を5重量部、ワックス(三洋化成社製660P)を2重量部、負帯電性の荷電制御剤(オリエント化学社製S−34)を1重量部使用し、ヘンシェルミキサーで30分間混合した。次いで、得られた混合物を2軸混練機で溶融混練した。溶融混練は内温を樹脂の軟化温度に設定して行った。混練後、冷却してトナー魂を得、ジェットミル微粉砕機で微粉砕し、分級機でトナーの粒径を整え、粒径を7μmとした。得られた微粉末に対して、0.25重量%のシリカ(日本アエロジル社製R−972)を加え、ヘンシェルミキサーで混合して付着させ、最終的にトナーA〜EおよびG〜Iを得た。 【0035】得られたトナーに対して前述の評価方法を用いてトナー評価を行った。これらのトナーの評価結果を表3に示す。表3からわかるように、非オフセット性に関しては、トナーGは優れており、トナーA〜E、トナーHは良好であり、トナーIはやや劣っていたが実用上使用可能であった。また、耐ブロッキング性については、トナーA〜E、トナーGは優れており、トナーHは良好であり、トナーIはやや劣っていたが実用上使用可能であった。さらに、画像安定性については、トナーA〜Eは優れており、トナーG,Hは良好であり、トナーIはやや劣っていたが実用上使用可能であった。そして、臭気については、トナーC〜E、トナーGは優れており、トナーB及びトナーHは良好であり、トナーA及びトナーIはやや劣っていたが実用上使用可能であった。 【0036】 【表3】
【0037】比較例樹脂FおよびJを用いて実施例と同一条件、同一方法でトナーF、トナーJを得て、トナー評価を行った。表4に示すように、非オフセット性については、トナーFは良好であり、トナーJは使用不可能であった。また、耐ブロッキング性に関しては、トナーFは優れており、トナーJは使用不可能であった。さらに、画像安定性については、トナーFは優れており、トナーJは使用不可能であった。さらに臭気については、トナーF及びJは使用不可能であった。 【0038】 【表4】
【0039】 【発明の効果】以上述べてきたように、本発明で示した特定のポリエステル系樹脂を用いたトナーは、非オフセット性、耐ブロッキング性、画像安定性が良好であり、かつ、定着部で発生する臭気を防止することが可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006035 【氏名又は名称】三菱レイヨン株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年4月18日(2000.4.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077517 【弁理士】 【氏名又は名称】石田 敬 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−305786(P2001−305786A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月2日(2001.11.2) |
| 【出願番号】 |
特願2000−116890(P2000−116890) |
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