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【発明の名称】 MICRプリンター用磁性トナーおよびその製造方法
【発明者】 【氏名】新井 孝明

【要約】 【課題】A4紙を連続的に300,000枚程度印刷した場合であっても、優れた画像濃度や、読み取り精度が得られるMICRプリンター用磁性トナー、およびその製造方法を提供する。

【解決手段】バインダー樹脂と、磁性粉とを含有するMICRプリンター用磁性トナーにおいて、金属酸化物粒子を外表面に含むとともに、当該金属酸化物粒子の体積抵抗を1×105〜1×1011Ω・cmの範囲内の値とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 バインダー樹脂と、磁性粉とを含有するMICRプリンター用磁性トナーにおいて、金属酸化物粒子を外表面に含むとともに、当該金属酸化物粒子の体積抵抗を1×105〜1×1011Ω・cmの範囲内の値とすることを特徴とするMICRプリンター用磁性トナー。
【請求項2】 前記金属酸化物粒子の一部が露出していることを特徴とする請求項1に記載のMICRプリンター用磁性トナー。
【請求項3】 前記金属酸化物粒子の平均一次粒子径を50nm〜1μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載のMICRプリンター用磁性トナー。
【請求項4】 前記金属酸化物粒子の硬度を、モース硬度で5〜7.5の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のMICRプリンター用磁性トナー。
【請求項5】 前記金属酸化物粒子の添加量を、全体量に対して、0.1〜2重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のMICRプリンター用磁性トナー。
【請求項6】 前記金属酸化物粒子が、酸化アルミニウムおよび酸化チタン、あるいはいずれか一方の金属酸化物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のMICRプリンター用磁性トナー。
【請求項7】 前記磁性粉が、残留磁化の値が24〜40emu/gの第1の磁性粉と、残留磁化の値が1〜24emu/g未満の第2の磁性粉との混合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のMICRプリンター用磁性トナー。
【請求項8】 バインダー樹脂と、磁性粉とを含有するMICRプリンター用磁性トナーの製造方法において、バインダー樹脂と、磁性粉とを混合して、球状に成形する第1の工程と、体積抵抗が1×105〜1×1011Ω・cmの範囲の金属酸化物粒子を外表面に添加する第2の工程と、を含むことを特徴とするMICRプリンター用磁性トナーの製造方法。
【請求項9】 前記第2の工程において、流動式混合機、機械式固定化装置、高速気流中衝撃式固定化装置、または熱式固定化装置を用いて前記金属酸化物粒子を外表面に固定化することを特徴とする請求項8に記載のMICRプリンター用磁性トナーの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、A4紙を連続的に300,000枚程度印刷した場合であっても、優れた画像濃度や、読み取り精度が得られるMICRプリンター用磁性トナー(以下、MICRトナーと称する場合がある。)、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、小切手、有価証券、請求書、チケット等において、これらの偽造や変造防止を目的として、フォントと呼ばれる識別マークが印刷されている。この識別マークを用いた偽造防止方式を、一般にMICRシステム(MagneticInk Character Recognition system)、電子写真方式を用いてフォントを印刷するためのトナーをMICRプリンター用磁性トナー(単に、MICRトナーと称するばあいがある。)とそれぞれ呼んでおり、これらは、例えば、特開平2−134648号公報、特開平5−80582号公報およびUSP5,034,298号公報に開示されている。しかしながら、従来のMICRトナーは、画像濃度が低かったり、読み取りエラーが多い等の問題が見られた。また、MICRトナーは磁性粉を含んでいるため比重の値が大きく、そのため流動性や搬送性が低下する傾向があった。
【0003】そこで、特開平4−358164号公報、特開平4−358165号公報および特開平7−77829号公報には、2種類の磁性粉を使用し、残留磁化を4.0〜7.0emu/gの範囲内の値に制限したMICRトナーが開示されている。しかしながら、依然として読み取りエラーが多く、しかも画像濃度を高める必要があったり、耐久性が低かったり、さらには含まれる磁性粉の分散性が乏しいという問題も見られた。
【0004】そこで、本発明の発明者らは、特願平10−137153号に、残留磁化の値が24〜40emu/gの範囲内の値である第1の磁性粉と、残留磁化の値が1〜24emu/g(ただし、24emu/gは含まない。)の範囲内の値である第2の磁性粉とを含み、かつ、トナー全体の残留磁化を、7〜20emu/g(ただし、7emu/gは含まない。)の範囲内の値とした、画像濃度や、読み取り精度に優れたMICRトナーを提案している。また、流動性等を改良するため、シランカップリング剤処理、およびシリコーンオイル処理した乾式シリカ微粉末を外添することを提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特願平10−137153号において提案したMICRトナーは、初期的な画像濃度や、読み取り精度に関しては優れているものの、A4紙を連続印刷すると、徐々に読み取り精度が低下し、50,000枚程度印刷すると、読み取り精度が80%以下になる傾向が見られた。したがって、アモルファスシリコン感光体を用いた場合に要求される、長期連続印刷性、例えば、A4紙、30万枚の連続印刷にも耐え得るMICRトナーとしては、耐久性が不十分な場合が見られた。また、MICRトナーに、乾式シリカ微粉末を外添した場合には、当該乾式シリカ微粉末の平均粒径が小さいために、研磨効果を発揮することができず、さらには、乾式シリカ微粉末を外添すると、逆に帯電量が増加するため、導電性制御効果についても発揮することができなかった。したがって、乾式シリカ微粉末を外添した場合には、A4紙を50,000枚程度連続印刷すると、アモルファスシリコン感光体上に、多くのMICRトナーが残存する傾向が見られた。
【0006】そこで、本発明の発明者らは、鋭意検討した結果、特定の体積抵抗を有する金属酸化物粒子をMICRトナーの外表面に固定することにより、当該金属酸化物粒子が、SiC表面を有するアモルファスシリコン感光体等に対して特異的な研磨機能を発揮するとともに、優れた導電性制御機能を発揮して、MICRトナー自身により、感光体上に残存するMICRトナーを掻き落として、耐久性を向上させるとともに、いわゆる像流れ現像についても効果的に防止できることを見出した。よって、本発明は、MICRトナー自身に研磨効果を発揮させ、アモルファスシリコン感光体上に残存するMICRトナー量を低下させるとともに、MICRトナーの導電性抑制効果を発揮させ、SiC表面を有するアモルファスシリコン感光体等を具備した電子写真装置を用いて、A4紙を連続的に30万枚程度印刷した場合であっても、優れた画像濃度や、読み取り精度が得られるMICRトナー、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、バインダー樹脂と、磁性粉を含有するMICRプリンター用磁性トナーにおいて、金属酸化物粒子を外表面に含むとともに、当該金属酸化物粒子の体積抵抗を1×105〜1×1011Ω・cmの範囲内の値としたMICRトナーが提供され、上述した問題を解決することができる。すなわち、このように構成することにより、MICRトナー自身に研磨効果を発揮させるとともに、MICRトナーの導電安定性を厳密に制御することができるため、画像濃度や、読み取り精度についての耐久性を著しく向上させることができる。
【0008】また、本発明のMICRトナーを構成するにあたり、以下の構成を採ることが好ましい。
■金属酸化物粒子を一部が露出した状態で固定してある。
■金属酸化物粒子の平均粒子径を50nm〜1μmの範囲内の値とする。
■金属酸化物粒子の硬度を、モース硬度で5〜7.5の範囲内の値とする。
■金属酸化物粒子の添加量を、全体量に対して、0.1〜2重量%の範囲内の値とする。
■金属酸化物粒子の種類を、酸化アルミニウム(アルミナ)および酸化チタン(チタニア)、あるいはいずれか一方の金属酸化物とする。
このように構成することにより、MICRトナー自身にさらに優れた研磨効果を発揮させることができ、しかも、MICRトナーの導電性制御がより良好となる。
【0009】また、本発明のMICRトナーを構成するにあたり、磁性粉が、残留磁化の値が24〜40emu/gの第1の磁性粉と、残留磁化の値が1〜24emu/g未満の第2の磁性粉との混合物であることが好ましい。このように構成することにより、MICRトナー中における磁性粉の分散性を著しく向上させることができ、結果として、画像濃度や、読み取り精度について向上させることができる。
【0010】また、本発明の別の態様は、バインダー樹脂と、磁性粉とを含有するMICRトナーの製造方法であり、バインダー樹脂と、磁性粉とを混合して、球状に成形する第1の工程と、体積抵抗が1×105〜1×1011Ω・cmの範囲の金属酸化物粒子を外表面に添加する第2の工程とを含むことを特徴としている。
【0011】また、MICRトナーの製造方法を実施するにあたり、第2の工程において、金属酸化物粒子を流動式混合機、機械式固定装置、高速気流中衝撃式固定装置、または熱式固定装置を用いて外表面に添加することが好ましい。これらの固定装置を使用することにより、金属酸化物粒子を外表面に一部が露出した状態で容易に固定化することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】[第1の実施形態]第1の実施形態のMICRトナーは、バインダー樹脂および磁性粉の球状成形品の外表面に金属酸化物粒子を含んでおり、当該金属酸化物粒子の体積抵抗を1×105〜1×1011Ω・cmの範囲内の値することを特徴としている。以下、本発明におけるMICRトナーの実施の形態を、必須構成成分であるバインダー樹脂や磁性粉、金属酸化物粒子、任意成分であるワックス類やシリカ粒子等の観点、および得られたトナーの形態や特性の観点から具体的に説明する。
【0013】[バインダー樹脂]
(1)種類本発明におけるMICRトナーに使用するバインダー樹脂の種類は特に制限されるものではないが、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等の熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。ただし、ソックスレー抽出器を用いて測定される架橋部分量(ゲル量)が10重量%以下の値、より好ましくは0.1〜10重量%の範囲内の値であれば、バインダー樹脂中に、トナーの保存安定性や形態保持性、あるいは耐久性が向上することから、一部架橋構造が導入されていることも好ましい。
【0014】(2)バインダー樹脂における官能基また、このようなバインダー樹脂において、磁性粉の分散性を向上させるために、ヒドロキシ基(水酸基)、カルボキシル基、アミノ基およびグリシドキシ(エポキシ)基から選択される少なくとも一つの官能基を分子内に有する樹脂を使用することが好ましい。
【0015】(3)バインダー樹脂の分子量また、バインダー樹脂において、二つの重量分子量ピーク(低分子量ピークと、高分子量ピークと称する。)を有することが好ましい。具体的に、低分子量ピークが3,000〜20,000の範囲内であり、もう一つの高分子量ピークが300,000〜1,500,000の範囲内であることが好ましい。重量分子量ピークがこのような範囲内にあれば、MICRトナーを容易に定着させることができ、また、耐オフセット性を向上させることもできる。なお、バインダー樹脂の重量分子量は、分子量測定装置(GPC)を用いて測定することができる。
【0016】(4)バインダー樹脂のガラス転移点また、バインダー樹脂において、ガラス転移点(Tg)を55〜70℃の範囲内の値とするのが好ましい。バインダー樹脂のガラス転移点が、55℃未満では、得られたトナー同士が融着し、保存安定性が低下する場合がある。一方、バインダー樹脂のガラス転移点が、70℃を超えると、MICRトナーの定着性が乏しくなる場合がある。なお、バインダー樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定することができる。
【0017】[磁性粉]
(1)種類本発明におけるMICRトナーに使用する磁性粉の種類は特に制限されるものではないが、例えば、酸化鉄(マグネタイト)、鉄粉、コバルト粉、ニッケル粉およびフェライト類をそれぞれ主成分とした磁性粉や、酸化鉄にコバルトやニッケル等の金属をドーピングした磁性粉等の1種単独または2種以上の組み合わせを挙げることができる。特に、コバルトやニッケル等の遷移金属をドーピングした磁性粉は、残留磁化の値が高いことから、本発明への使用に好適である。なお、後述する残留磁化の値や分散性等を調整するには、例えば、残留磁化の値が異なる2種類の磁性粉を使用することが好ましいが、キャリアを添加して、ニ成分系とする場合には、1種類の磁性粉を使用することも好ましい。すなわち、キャリアによりMICRトナーの流動性や搬送性を制御することができるためである。
【0018】(2)残留磁化磁性粉において、少なくとも2種以上の磁性粉(第1の磁性粉および第2の磁性粉と称する。)を使用し、第1の磁性粉における残留磁化の値を24〜40emu/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉における残留磁化の値を1〜24emu/g(ただし、24memu/gは含まない。)とすることが好ましい。このように残留磁化の値が異なる、少なくとも2種類の磁性粉を混合使用することにより、得られるMICRトナーの残留磁化の値を容易に調節することができ、MICRトナーの流動性、搬送性、現像特性等を任意に制御することができるため、画像濃度や読み取り精度を著しく向上させることができる。また、このような範囲に残留磁化の値を調節することにより、磁性粉のアスペクト比、BET値、嵩密度等の調節も容易になるため、バインダー樹脂に対するこれらの磁性粉の分散性や耐久性を飛躍的に向上させることもできる。したがって、MICRトナーの分散性や画像濃度等の特性のバランスがより向上することから、第1の磁性粉における残留磁化を25〜38emu/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉における残留磁化を5〜23emu/gの範囲内の値とすることがより好ましく、さらに、第1の磁性粉における残留磁化を26〜35emu/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉における残留磁化を10〜20emu/gの範囲内の値とすることがより好ましい。なお、残留磁化の値は、磁性粉に対して、10キロエルステッドの磁界を印加した後に、磁界をゼロとしたときの、磁気メモリ量と定義することができる。より具体的には、磁力測定器を用いて、このような条件で磁性粉のヒステリシス曲線を測定することにより、磁性粉の残留磁化を算出することができる。
【0019】また、MICRトナーに、キャリアを添加して、ニ成分系とする場合には、キャリアによりMICRトナーの流動性や搬送性を制御することができるため、必要な磁性粉の使用量を低下することができる。よって、残留磁化の値が比較的高い、具体的には、25〜38emu/gの磁性粉を用いることにより、1種類の磁性粉を使用した場合であっても、優れた画像濃度や読み取り精度を得ることができる。
【0020】(3)飽和磁化磁性粉に関して、残留磁化の値が異なる磁性粉を第1および第2の磁性粉としたときに、第1の磁性粉における飽和磁化の値を80〜85emu/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉における飽和磁化の値を85〜90emu/g(ただし、85emu/gは含まない。)とすることが好ましい。飽和磁化の値は、残留磁化の値に密接に関係しており、このように飽和磁化の値が異なる、少なくとも2種類の磁性粉を混合使用することにより、残留磁化の値を微妙に調整することができ、結果として、得られるトナーにおける画像濃度や読み取り精度を向上させることができる。また、このような範囲に飽和磁化の値を調節することにより、磁性粉のアスペクト比、BET値、嵩密度等の調節も容易になるため、バインダー樹脂に対するこれらの磁性粉の分散性や耐久性を向上させることもできる。
【0021】したがって、トナーの分散性や画像濃度等の特性のバランスがより向上することから、第1の磁性粉における飽和磁化を81〜84emu/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉における飽和磁化を86〜89emu/gの範囲内の値とすることがより好ましく、さらに、第1の磁性粉における飽和磁化を82〜83emu/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉における飽和磁化を87〜88emu/gの範囲内の値とすることがより好ましい。なお、飽和磁化の値は、磁性粉に対して、10キロエルステッドの磁界を印加し飽和させた時の、磁気メモリ量と定義することができる。より具体的には、留磁化と同様に、磁性粉のヒステリシス曲線を測定することにより、磁性粉の残留磁化を算出することができる。
【0022】(4)アスペクト比磁性粉のアスペクト比(長径/短径)に関して、残留磁化の値が異なる磁性粉を第1および第2の磁性粉としたときに、第1の磁性粉のアスペクト比(長径/短径)を2.0〜100(−)の範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉のアスペクト比(長径/短径)を1.0〜2.0(−)(ただし、2.0は含まない。)の範囲内の値とすることが好ましい。このように、アスペクト比の値2.0を基準として、それ以上の一定範囲内の磁性粉と、それ未満の一定範囲内の磁性粉とを混合使用することにより、バインダー樹脂に対するこれらの磁性粉の分散性を飛躍的に向上させることができる。また、磁性粉の分散性が向上する結果、磁性粉が塊状で存在する傾向が少なくなる。よって、MICRトナーが割れたり、磁性粉が脱離する傾向が少なくなり、MICRトナーの耐久性も飛躍的に向上させることもできる。さらに、アスペクト比が大きな磁性粉は、残留磁化の値が大きいために、かかる磁性粉を配合したMICRトナーを使用した場合、画像濃度や読み取り精度を著しく向上させることができる。
【0023】したがって、MICRトナーにおける磁性粉の分散性や印字濃度等の特性のバランスがより向上することから、第1の磁性粉におけるアスペクト比を2.5〜10.0(−)の範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉におけるアスペクト比を1.2〜1.7(−)の範囲内の値とすることがより好ましく、さらに、第1の磁性粉におけるアスペクト比を3.0〜5.0(−)の範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉におけるアスペクト比を1.3〜1.6(−)の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0024】(5)BET値また、磁性粉のBET値に関して、残留磁化の値が異なる磁性粉を第1および第2の磁性粉としたときに、第1の磁性粉のBET値を10〜30m2/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉のBET値を1〜10m2/g(ただし、10m2/gは含まない。)とすることが好ましい。このようにBET値の値が異なる、少なくとも2種類の磁性粉を混合使用することにより、得られるMICRトナーの残留磁化の値や分散性を容易に調節することができる。また、このように構成すると、MICRトナーにおける画像濃度や読み取り精度を著しく向上させることができるとともに、バインダー樹脂に対するこれらの磁性粉の分散性や耐久性を向上させることもできる。したがって、MICRトナーにおける磁性分の分散性や画像濃度等の特性のバランスがより向上することから、第1の磁性粉におけるBET値を11〜25m2/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉におけるBET値を2〜9m2/gの範囲内の値とすることがより好ましく、さらに、第1の磁性粉におけるBET値を12〜20m2/gの範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉におけるBET値を4〜8m2/gの範囲内の値とすることがより好ましい。なお、BET値は、BET吸着法により、比表面積として求めることができる。
【0025】(6)嵩密度磁性粉の嵩密度に関して、残留磁化の値が異なる磁性粉を第1および第2の磁性粉としたときに、第1の磁性粉の嵩密度を1〜1.2g/cm3の範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉の嵩密度を1.2〜2.0g/cm3(ただし、1.2g/cm3は含まない。)とすることが好ましい。このように嵩密度の値が異なる、少なくとも2種類の磁性粉を混合使用することにより、得られるトナーの残留磁化の値や分散性を容易に調節することができる。また、このように構成すると、トナーにおける画像濃度や読み取り精度を著しく向上させることができるとともに、バインダー樹脂に対するこれらの磁性粉の分散性や耐久性を向上させることもできる。したがって、トナーの分散性や画像濃度等の特性のバランスがより向上することから、第1の磁性粉における嵩密度を1.05〜1.2g/cm3の範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉における嵩密度を1.3〜1.6g/cm3の範囲内の値とすることがより好ましく、さらに、第1の磁性粉における嵩密度を1.1〜1.2g/cm3の範囲内の値とし、かつ、第2の磁性粉における嵩密度を1.3〜1.5g/cm3の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0026】(7)形態また、磁性粉の形態は特に制限されるものではないが、針状、粒状、あるいは球状、さらには不定形の磁性粉を使用することができる。ここで、針状の磁性粉は、一般に嵩密度および飽和磁化の値が小さく、バインダー樹脂に対する分散性が乏しいものの、残留磁化の値、保持力の値、BET値およびアスペクト比(長径/短径)が大きいという特徴がある。また、粒状の磁性粉は、一般に残留磁化の値、飽和磁化の値、保持力の値あるいはBET値が比較的大きい一方、アスペクト比(長径/短径)や嵩密度の値が比較的小さく、バインダー樹脂に対する分散性は良好であるという特徴がある。さらに、球状の磁性粉は、一般に残留磁化の値、保持力の値、BET値あるいはアスペクト比(長径/短径)は小さいものの、嵩密度および飽和磁化の値が比較的大きく、バインダー樹脂に対する分散性は良好であるという特徴がある。
【0027】また、本発明において、残留磁化の値が異なる磁性粉を第1および第2の磁性粉としたときに、第1の磁性粉の形態を針状とし、かつ、第2の磁性粉の形態を粒状とすることが好ましい。この理由は、形状が異なる少なくとも2種類の磁性粉を混合使用することにより、得られるトナーの残留磁化の値や分散性を容易に調節することができるためである。すなわち、針状の磁性粉は、一般に、残留磁化の値やBET表面積の値が大きいが、分散性が乏しく、飽和磁化の値が小さいという問題がある。一方、粒状の磁性粉は、一般に、分散性が良好で、飽和磁化の値が大きいが、残留磁化の値やBET表面積の値が比較的小さいという問題がある。したがって、針状および粒状の磁性粉のいずれか一方のみを使用しても、残留磁化や分散性等の相反する特性において、バランスの採れたトナーを得ることが困難な場合がる。それに対して、このように磁性粉を混合使用することにより、トナーにおける画像濃度や読み取り精度を著しく向上させることができるとともに、バインダー樹脂に対するこれらの磁性粉の分散性や耐久性を容易に向上させることができる。
【0028】(8)添加量また、磁性粉の添加量に関しても特に制限されるものではないが、例えば、磁性粉の添加量をバインダー樹脂100重量部あたり、1〜60重量部の範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、磁性粉の添加量が1重量部未満となると、いわゆるカブリ現象が発生しやすく、また、読み取り性が低下する場合があるためである。一方、磁性粉の添加量が60重量部を超えると、分散性や攪拌性が低下し、さらには画像濃度等が低下する場合があるためである。したがって、MICRトナーの画像濃度等と、分散性等とのバランスがより良好なことから、磁性粉の添加量をバインダー樹脂100重量部あたり、20〜55重量部の範囲内の値とするのがより好ましく、30〜50重量部の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0029】次に、残留磁化の値が異なる磁性粉を第1および第2の磁性粉とした場合の、これらの磁性粉における添加比率について説明する。すなわち、第1および第2の磁性粉における添加量の比率については特に制限されるものではないが、第1の磁性粉を100重量部としたときに、第2の磁性粉を10〜1000重量部の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、第2の磁性粉の添加量が10重量部未満となると、磁性粉の分散性やMICRトナーの耐久性が低下する場合があるためであり、一方、第2の磁性粉の添加量が1000重量部を超えると、MICRトナーの画像濃度等が低下する場合があるためである。したがって、第1の磁性粉を100重量部としたときに、第2の磁性粉を20〜500重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、さらに好ましくは、第2の磁性粉を50〜300重量部の範囲内の値とすることである。
【0030】(9)表面処理次に、磁性粉の表面処理について説明する。磁性粉の分散性や、MICRトナーの耐久性を向上させることができることから、第1および第2の磁性粉あるいはいずれか一方の磁性粉を、表面処理剤を用いて処理することが好ましい。その場合の表面処理剤として、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、シアネート系樹脂、ウレタン系樹脂等を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。また、表面処理剤の使用量を、磁性粉100重量部あたり、0.1〜100重量部の範囲内の値とするのが好ましい。表面処理剤の使用量が0.1重量部未満となると、表面処理効果が発揮されない場合があり、一方、100重量部を超えると、トナーの画像濃度等が低下する場合がある。したがって、表面処理効果およびトナーの画像濃度等とのバランスがより良好なことから、表面処理剤の使用量を、磁性粉100重量部あたり、0.5〜20重量部の範囲内の値とするのがより好ましく、1.0〜10重量部の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0031】[金属酸化物粒子]図1を参照しながら、金属酸化物粒子(導電性研磨剤微粒子)15について説明する。図1は、金属酸化物粒子を外表面に含むMICRトナーの部分的なモデル図であり、当該MICRトナー11は、バインダー樹脂6と、2種類の磁性粉8、9とからなるトナー母粒子13の外表面に、一部が露出した状態で金属酸化物粒子15が固定されている状態を示している。以下、かかる金属酸化物粒子15の種類、体積抵抗および特性等につき、詳細に説明する。
【0032】(1)種類金属酸化物粒子の種類としては、硬度が大きな微粒子、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化チタン(チタニア)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)等の1種単独または2種以上の組み合わせが挙げられる。また、これらの金属酸化物粒子のうち、酸化アルミニウムおよび酸化チタン、あるいはいずれか一方であることがより好ましい。例えば、酸化チタンや、酸化アルミニウムは、それぞれ白色性が高いため、MICRトナーに使用しても、印刷したMICRトナーが本来有する色を、変色させるおそれが少ないことから好適である。また、これらの金属酸化物粒子は、化学的にも安定であり、しかも耐熱性にも優れているため、現像後、可視像を加熱定着した場合であっても、劣化が少ないことから好適である。また、結晶構造がルチル型の酸化チタンは、アナタ−ゼ型の酸化チタン等と比較して、さらに研磨性により優れていることから好適である。
【0033】(2)体積抵抗■範囲金属酸化物粒子の体積抵抗を、1×105〜1×1011Ω・cmの範囲内の値とすることが必要であり、1×106〜1×1010Ω・cmの範囲内の値とすることが好ましく、1×107〜1×109Ω・cmの範囲内の値とすることがより好ましい。この理由を、図4を参照しながら具体的に説明する。図4は、実施例1、2および比較例1、2のデータの一部を示したものであり、横軸に、MICRトナーにおける金属酸化物粒子の体積抵抗(Ω・cm)を採って示してあり、縦軸に、当該MICRトナーを用いて、A4紙、30万枚、MICRフォント(E−13B)からなる画像評価パターンを印刷した場合の画像濃度の値を採って示してある。なお、当該画像濃度の値は、マクベス濃度計を用いて測定した値であり、例えば、基準値として、非印刷状態のA4紙(白と表示する場合がある。)の場合には0.07となり、画像評価パターンをベタ状態に印刷した場合には1.78となる。図4から理解されるように、使用する金属酸化物粒子の体積抵抗が、1×105Ω・cm以上となると、長期間連続印刷後であっても、約80%以上の高い画像濃度の値を得ることができる。これは、金属酸化物粒子の体積抵抗が、逆に1×105Ω・cm未満となると、帯電量を過度に低下させるために、粒子径が大きいトナーが帯留するためである。一方、図4から同様に理解されるように、使用する金属酸化物粒子の体積抵抗が、1×1011Ω・cm以下となると、長期間連続印刷後に、約80%以上の高い画像濃度の値を得ることができる。これは、金属酸化物粒子の体積抵抗が、逆に1×1011Ω・cmを超えると、導電量が上がりすぎて、チャージアップし、選択現像を加速するためである。よって、金属酸化物粒子の体積抵抗を、1×10〜1×1010Ω・cmの範囲内の値とすることにより、導電性制御機能を有効に発揮して、長期間連続印刷後であっても、優れた画像濃度、すなわちより高い読取率を得ることができる。
【0034】■測定方法金属酸化物粒子の体積抵抗は、上下の電極(電極面積5cm2)間に、測定対象の金属酸化物粒子を挟み込み、荷重1kgの条件で押圧して、電極間距離を0.5cmに調整した後、電極間に1〜500Vの電圧を印加して、流れる電流値を測定することにより、換算して求めることができる。なお、後述するキャリアの体積抵抗についても、同様の方法で測定することができる。
【0035】■調整方法また、金属酸化物粒子の体積抵抗は、上述した種類の金属酸化物粒子に対して、酸化スズ処理や、酸化インジウム処理等の導電化処理剤を施すことにより、1×105〜1×1011Ω・cmの範囲内の値に容易に調整することができる。例えば、ヘンシェルミキサー等の混合装置内に、金属酸化物粒子および導電化処理剤をそれぞれ収容し、混合攪拌することにより、付着する導電化処理剤量により、金属酸化物粒子の体積抵抗を調整することができる。より具体的には、導電化処理剤の処理量を、全体量に対して、0.01〜10重量%の範囲内の値とすることが好ましく、0.05〜5重量%の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0036】(3)硬度また、金属酸化物粒子の硬度を、モース硬度で5〜7.5の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、金属酸化物粒子のモース硬度が5未満となると、感光体に対して、優れた研磨効果を発揮することが困難となる場合があるためであり、一方、モース硬度が7.5を超えると、アモルファスシリコン感光体や搬送ローラ等の部材についても研磨するおそれが生じるためである。なお、感光体の表面保護層21(図2及び図3参照)として、シリコンカーバイド(SiC)層を有するアモルファスシリコン感光体(α―Si感光体)を研磨する場合を考えても、金属酸化物粒子のモース硬度を6〜7.5の範囲内の値とすることが好ましい。
【0037】(4)平均粒子径また、金属酸化物粒子の平均粒子径を、50nm〜1μmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、金属酸化物粒子の平均粒子径が50nm未満となると、研磨効果を発揮するのが困難となる場合があるためであり、一方、かかる平均粒子径が1μmを超えると、一部を露出した状態で固定することが困難となり、金属酸化物粒子が脱離しやすくなる場合があるためである。したがって、金属酸化物粒子の研磨効果と、脱離防止とのバランスがより良好となることから、金属酸化物粒子の平均粒子径を100nm〜900nmの範囲内の値とすることがより好ましく、200nm〜800nmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。また、均一な研磨力が得られることから、金属酸化物粒子の粒度分布は狭いほうが好ましいが、具体的に、粒度分布計で測定される粒度分布において、平均粒子径の±100nmの範囲内に、粒子重量の80重量%が分布していることが好ましい。さらに、金属酸化物粒子の固定が容易となることから、金属酸化物粒子の平均粒子径をdとし、トナー母粒子の平均粒子径をDとしたときに、D/dを10〜500の範囲内の値とすることが好ましく、50〜300の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0038】(5)添加量また、金属酸化物粒子の添加量を、全体量に対して、0.5〜2重量%の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、金属酸化物粒子の添加量が0.5重量%未満となると、研磨効果を発揮するのが困難となったり、あるいは、導電安定性の調整が困難となる場合があるためであり、一方、かかる添加量が2重量%を超えると、やはり導電安定性の調整が困難となったり、金属酸化物粒子が脱離しやすくなる場合があるためである。したがって、金属酸化物粒子の脱離防止と、研磨効果と、導電安定性の調整とのバランスがより良好となることから、金属酸化物粒子の添加量を1〜1.5重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、1.3〜1.4重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0039】この点、下記表1に示すMICRトナーにおける金属酸化物粒子(酸化チタン)の添加量を検討した結果を踏まえて、さらに詳細に説明する。すなわち、実施例1のMICRトナーにおいて、酸化チタンの添加量を0.1〜5重量%の範囲で変えて、MICRトナーを作成するとともに、印刷試験(A4紙、5万枚)を行い、導電安定性および脱離性を下記基準で評価したものである。
(導電安定性の評価)
◎:選択現像や、トナー付着が全く見られない。
〇:選択現像や、トナー付着がわずかに見られる。
△:選択現像や、トナー付着が少々見られる。×:顕著な選択現像や、トナー付着が見られる。
(脱離性の評価)
◎:MICRトナーから金属酸化物粒子の脱離が全く見られない。
〇:MICRトナーから金属酸化物粒子の脱離がわずかに見られる。
△:MICRトナーから金属酸化物粒子の脱離が少々見られる。
×:顕著なMICRトナーから金属酸化物粒子の脱離が見られる。
【0040】
【表1】

【0041】したがって、金属酸化物粒子の脱離防止と、導電安定性の調整との評価結果が優れていることから、金属酸化物粒子の添加量を1〜1.5重量%の範囲内の値とすることが好ましいことが理解される。
【0042】(6)露出程度また、金属酸化物粒子の露出程度として、トナー母粒子の外部に突出した金属酸化物粒子の容積を、金属酸化物粒子の体積を100容量%としたときに、10〜90容量%の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる金属酸化物粒子の露出程度が10容量%未満となると、金属酸化物粒子が容易に脱離する場合があるためであり、一方、90容量%を超えると、研磨効果を発揮することが困難となる場合があるためである。したがって、金属酸化物粒子の脱離防止と、研磨効果とのバランスがより良好となることから、金属酸化物粒子の露出程度を20〜80容量%の範囲内の値とすることがより好ましく、30〜40容量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0043】[添加剤]
(1)ワックス類本発明のMICRプリンター用磁性トナーにおいて、画像濃度を高め、読取ヘッドへのオフセットや像スミアリングを有効に防止することができることから、ワックス類を添加することが好ましい。好ましいワックス類は、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、テフロン(登録商標)系ワックス、フィッシャートロプッシュワックス等が挙げられる。また、ワックス類の添加量を、例えば、トナー全体量を100重量%としたときに、1〜5重量%の範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、ワックス類の添加量が1重量%未満となると、読取ヘッドへのオフセットや像スミアリング等を効率的に防止することができない場合があり、一方、ワックス類の添加量が5重量%を超えると、ワックスが遊離して、感光体ドラム表面に付着し、濃度低下を生じる場合があるためである。
【0044】(2)電荷制御剤また、帯電レベルや帯電立ち上がり性(短時間で、一定の電荷レベルに帯電するかの指標)の向上および優れた流動性が得られることから、MICRトナーに対して、電荷制御剤を添加することが好ましい。ここで、電荷制御剤には、電荷(帯電量)を一定範囲内に調整する機能を有する電荷調整剤(CCA)と、電荷(帯電量)を増化させる機能を有する電荷増強樹脂(CCR)とがある。したがって、本発明のMICRトナーにおいて、電荷調整剤および電荷増強樹脂あるいはいずれか一方を添加することが好ましい。
【0045】具体的に、好ましい電荷調整剤(CCA)としては、アジン化合物、アジン化合物からなる直接染料、ニグロシン化合物、金属塩類、アルコキシル化アミン、アルキルアミド、4級アンモニウム塩等の1種または2種以上が挙げられる。特に、ニグロシン化合物は、帯電量についての瞬時の立ち上げが可能であり、また、飽和帯電量の制御が容易なことから、本発明において最適である。また、好ましい電荷増強樹脂(CCR)としては、4級アンモニウム塩を有する樹脂またはオリゴマー、カルボン酸塩を有する樹脂またはオリゴマー、カルボキシル基を有する樹脂またはオリゴマー等の1種または2種以上が挙げられる。特に、4級アンモニウム塩、カルボン酸塩あるいはカルボキシル基を有するスチレン−アクリル系共重合体の使用は、帯電量の立ち上がりをより助長することができることら、本発明において最適である。
【0046】また、電荷制御剤の添加量を、具体的に、MICRトナーの全体量を100重量%としたときに、0.1〜10重量%の範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、電荷制御剤の添加量が0.1重量%未満となると、電荷を制御する機能が有効に発揮されない場合があり、一方、電荷制御剤の添加量が10重量%を超えると、トナーの分散性や耐久性が低下する場合があるためである。
【0047】(3)内添剤また、本発明のMICRトナーには、上述したワックス類および電荷制御剤以外の内添剤、例えば、着色剤、染料、顔料、カップリング剤、シリカ粒子等を配合することも好ましい。
【0048】(4)外添剤また、本発明のMICRトナーには外添剤を添加することも好ましく、流動性をより制御できることから、外添剤として、シリカ粒子(シリカ微粉末)を添加することが好ましい。この場合、乾式シリカ微粉末と湿式シリカ微粉末とを併用して添加することが好ましい。このように種類の異なるシリカ微粉末を併用することにより、MICRトナーの帯電性が環境条件(湿度条件)により影響されることを有効に防止することができる。また、外添剤の添加量を、例えば、MICRトナーを100重量部としたときに、0.1〜5重量部の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる添加量が0.1重量部未満の値となると、トナーの流動性が低下して、結果として画像濃度が低下する場合があるためである。一方、かかる添加量が5重量部を超えると、MICRトナーの耐久性が低下したり、帯電制御が困難となる場合があるためである。したがって、外添剤の添加量を、1〜3重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0049】[MICRトナー]
(1)残留磁化本発明において、MICRトナーの残留磁化を、7.0〜20emu/g(ただし、7.0emu/gは含まない。)の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、MICRトナーにおける残留磁化の値が、7.0emu/g以下となると、MICRトナーの画像濃度や読み取り精度が著しく低下するためであり、一方、MICRトナーにおける残留磁化の値が、20emu/gを超えると、逆にMICRトナーの読み取り精度が低下したり、分散性や耐久性が低下する場合があるためである。したがって、より優れたMICRトナーの読み取り精度等を得るために、残留磁化を8〜18emu/gの範囲内の値とするのがより好ましく、10〜15emu/gの範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0050】(2)飽和磁化次に、MICRトナーの飽和磁化の値について説明する。かかるMICRトナーの飽和磁化の値は特に制限されるものではないが、例えば、20〜45emu/gの範囲内の値とすることが好ましい。MICRトナーにおける飽和磁化の値が、20emu/g未満となると、画像濃度や読み取り精度が著しく低下する場合があるためであり、一方、MICRトナーにおける残留磁化の値が、45emu/gを超えると、逆に読み取り精度が低下する場合があるためである。したがって、より優れたMICRトナーの読み取り精度等を得るために、MICRトナーの飽和磁化を、25〜40emu/gの範囲内の値とするのがより好ましく、30〜32.5emu/gの範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0051】(3)形態および平均粒子径また、MICRトナーの形態についても特に制限されるものでないが、具体的に、トナーの読み取り精度や画像濃度が向上し、しかも容易に製造できることから、球状または粒状であることが好ましい。また、MICRトナーの平均粒子径を1〜20μmの範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、平均粒子径がかかる範囲外となると、トナーの読み取り精度や画像濃度が低下する場合があり、また、製造上の制御も困難となる場合があるためである。したがって、MICRトナーの平均粒子径を、4〜15μmの範囲内の値とするのがより好ましく、5〜13μmの範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0052】[第2の実施形態]第2の実施形態は、MICRトナーの製造方法に関し、バインダー樹脂と、磁性粉とを混合して、球状に成形する第1の工程と、体積抵抗が1×105〜1×1011Ω・cmの範囲の金属酸化物粒子を外表面に添加する第2の工程とを含んでいる。
【0053】(1)第1の工程第1の工程は、バインダー樹脂と、磁性粉とを混合し、成形することにより、球状のトナー母粒子を作成する工程である。かかるトナー母粒子の製造方法は特に制限されるものではなく、例えば、プロペラミキサー、ニーダ、Vブレンダ、ヘンシェルミキサー等を用いて、バインダー樹脂と磁性粉とを均一に混練し、次いで、粉砕機を用いて粉砕し、さらに分級することにより、所望の平均粒子径を有するトナーを得ることができる。また、この時点で、上述したワックス類や、荷電制御剤等の内添剤を添加することが好ましい。なお、トナー母粒子の平均粒径を、MICRトナーおよび金属酸化物粒子の平均粒子径を考慮して、具体的に、0.5〜18μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.8〜15μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
【0054】(2)第2の工程第2の工程は、金属酸化物粒子の一部分をトナー母粒子の表面から突き出した状態で固定化する工程である。すなわち、トナー母粒子と金属酸化物粒子とを均一に混合し、例えば、静電力によりトナー母粒子の表面に金属酸化物粒子を付着させた後、固定化装置等を用いて、機械的または熱的衝撃を与えることにより、金属酸化物粒子をトナー母粒子中に打ち込む工程である。
【0055】ここで、第2の工程で使用する固定化装置としては、表面改質装置や表面改質システムとしての市販品を用いることができ、例えば、流動式混合機の代表例としては、三井鉱山(株)製のヘンシェルミキサー(商品名)が挙げられ、機械式固定装置(乾式メカノケミカル法)によるものとしては、岡田精工(株)製のメカノケミカル(商品名)や、ホソカワミクロン株式会社製のメカノフュージョンシステム(商品名)等が挙げられる。また、高速気流中衝撃法式固定装置によるものとしては、(株)奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム(商品名)や、川崎重工(株)製のクリプトロンシステム(商品名)を挙げることができる。また、熱式固定装置としては、日本ニューマチック工業(株)製のサーフュージング(商品名)を挙げることができる。なお、これらの固定装置における処理条件については、金属酸化物粒子の固定の状態を考慮して適宜定めれば良いが、例えば、上述したヘンシェルミキサーを用いた場合、トナー50Kgに対して、1重量%の金属酸化物粒子を固定する場合、表2に示す結果から判断できるように、回転数1200〜2000rpm,2〜6分の条件とするか、あるいは回転数1400〜1800rpm,1〜6分の条件とすることが好ましい。
【0056】
【表2】

【0057】[第3の実施形態]次に、本発明のMICRトナーを用いた、画像形成方法についての実施形態を説明する。
【0058】(1)感光体先ず、図2を参照して、現像剤を適用する画像形成装置の感光体の構成について説明する。図2は、感光体ドラムの感光層の層構成を説明するための要部断面模式図である。図2に示すように、この感光体21の感光層は、導電性基体23上に、Si/Ge/H等の元素からなる光吸収層25、Si/H/B/O等の元素からなるキャリア注入阻止層27、Si/H等の元素からなるキャリア励起・輸送層29(光導電層)、及び、表面保護層31が順次に形成された層構成を有する。
【0059】この表面保護層31は、例えば厚さが0.3〜1×10μm程度のSiC層から形成されており、このように構成することにより、感光体ドラムの寿命を著しく伸ばすことができる。しかしながら、SiC層からなる表面保護層31の表面は、一般に平滑でなく、微小突起物(コーン)が多数存在しており、また、このSiC層は、親水性が強いために、コロナ放電によって生じる硝酸アンモニウム等の親水性化合物が、イオン生成物として、SiC層の微小突起物間に溜まりやすいという傾向がある。したがって、例えば、連続印刷を行ったり、高湿条件下で印刷すると、感光体ドラム表面に、MICRトナーが多量に付着したり、トナーフィルミングが発生したり、あるいは、イオン生成物の付着が発生しやすくなる場合が見られた。そのため、感光体の電荷がリークして、いわゆる「像流れ」の現象が発生しやすいという問題が見られた。
【0060】これに対して、本発明のMICRトナーを用いることにより、表面に固定された金属酸化物粒子15が、SiC層の微小突起物の先端付近を研摩して、SiC層表面を平滑化するとともに、微小突起物どうしの間に堆積したイオン生成物を効率的に取り除くことができる。したがって、表面保護層31として、SiC層を有する感光体を使用した場合であっても、「像流れ」の発生を有効に防止することができる。また、本発明のMICRトナーは、外表面に金属酸化物粒子が適度に固定されているため、押圧された場合に、内側に向かって適度に変形することができ、過度に研磨力を発揮することがない。したがって、クリーニングブレードや摺擦ローラ等で押圧して、MICRトナーにより研摩した場合においても、感光体表面を傷付けることがない。
【0061】(2)画像形成方法次に、画像形成装置の構成を説明するための模式図である図3を参照しながら、MICRトナーを含む現像剤を用いて画像形成する方法について、画像形成装置の構成例とともに説明する。かかる画像形成装置において、ドラム状のα−Si系感光体21の周囲には、コロナ帯電器41、LEDヘッド43(露光器)、現像ローラ45、転写機47、摺擦ローラ49、クリーニングブレード51が配設されている。したがって、コロナ帯電器41による感光体21の表面の均一帯電、およびLEDヘッド43による選択画像露光による静電潜像の形成後に、現像ローラ45により現像剤61が感光体21の表面に供給され、現像によりMICRトナー11からなる可視像が形成されることになる。このとき、現像剤61中のMICRトナー11表面に固定された金属酸化物粒子15により、感光体21の表面が適度に摩擦されて、表面保護層であるSiC層31を研摩することができる。また、金属酸化物粒子15は、トナー母粒子13に固定されているので、脱落するおそれが少なく、現像不良、画像欠陥などの原因となることがない。
【0062】また、感光体21の表面のMICRトナー11は、転写機47により紙63(被転写材)に転写され、続いて、定着器(図示せず)により、紙63上に定着されることになる。ただし、この転写工程においては、感光体21の表面上のMICRトナー11がすべて紙63に対して、転写されるのではなく、一部分のMICRトナー11(残存トナー)が感光体21上に残ることになる。したがって、本発明のMICRトナーを用いた場合、残存トナー11として、摺擦ローラ49により感光体21の表面に対して圧接されるため、MICRトナー11の金属酸化物粒子15による研摩効果が大きくなり、SiC層31を効果的に研摩することができる。
【0063】次に、感光体21上の残存トナー11は、クリーニングブレード51により感光体21の表面から除かれるが、このときも、感光体21上の残存トナー11は、クリーニングブレード51と感光体21との間に付与される機械的な力により、残存トナー11表面に露出した金属酸化物粒子15によって、感光体21の表面におけるSiC層31を効果的に研摩することができる。なお、摺擦ローラ49としては、弾性ローラが用いられ、感光体21の表面に対して摺擦ローラ49を圧接することが好ましい。すなわち、摺擦ローラ49を、感光体21に対してずり応力が掛かるように回転させることにより、感光体21におけるSiC層31を、さらに効果的に研摩、クリーニングすることができる。その他、本発明のMICRトナーを用いることにより、SiC層31を有する感光体21であっても、有効に像流れを防止することができるが、像流れ防止効果をさらに改善できることから、感光体21の内面にヒータ(図示せず。)を取付けて,加熱することも好ましい。
【0064】
【実施例】[実施例1]
(1)MICRトナーの作成■第1の工程混合容器内に、磁性粉として、表3に示すような残留磁化の値が異なる、第1の酸化鉄20重量部と、第2の酸化鉄20重量部とをそれぞれ収容した。
【0065】
【表3】

【0066】次いで、スチレン−アクリル共重合体(軟化点123℃、Tg:65℃)100重量部と、フィシャートロプッシュワックス(サゾールワックスC2、重量平均分子量:1262)2.5重量部とを混合容器内に収容した後、均一に混合分散して磁性粉との混合物とした。なお、第1および第2の磁性粉については、それぞれ100重量部あたり、1重量部のγ−アミノプロピルトリエトキシシランを添加混合し、これらの磁性粉表面を予め表面処理を施しておいた。また、疎水化処理した乾式シリカ微粉末は、乾式シリカ微粉末に対してγ−アミノプロピルトリエトキシシランを用いてアミノ基を導入した後、シリコーンオイルによりさらに疎水化処理したものである。
【0067】次いで、得られた混合物を、粉砕機を用いて粗粒子に粉砕し、さらに分級して、平均粒子径が7μmのトナー母粒子を作成した。なお、粒度分布計を用いて、トナー母粒子の粒度分布を測定し、5〜10μmの範囲内に粒子重量の80重量%が分布していることを確認した。
【0068】■第2の工程次いで、得られたトナー母粒子100重量部あたり、導電化処理した金属酸化物粒子である酸化チタン(平均粒径0.4μm)1.4重量部と、疎水化処理した乾式シリカ微粉末(平均粒径0.01μm)1.0重量部とをそれぞれ添加し、トナー母粒子の周囲に酸化チタンおよび乾式シリカ微粉末を均一に帯電付着させた後、ヘンシェルミキサーFM20C/I(三井鉱山(株)製)を用い、回転数1600rpm、4分の条件で、金属酸化物粒子をトナー母粒子の外表面に一部露出した状態で固定し、MICRトナーとした。
【0069】(2)MICRトナーの評価得られたMICRトナーについて、以下の特性評価を行った。また、かかるMICRトナーを京セラ(株)製プリンター(エコシス、FS−3700)に収容し、小切手に相当するA4紙上に、フォント(E−13Bタイプ)の連続印刷を行い、画像濃度等の評価を行った。
【0070】(2−1)残留磁化、飽和磁化および保持力の測定得られたMICRトナーの残留磁化、飽和磁化および保持力を、磁力測定器VSM(東英工業(株)製)を用いて、それぞれ測定した。得られた結果を表4に示す。
【0071】(2−2)分散性評価ミクロトームMT6000−XL(RMC社製)を用いて、MICRトナーを切断した。次いで、電子顕微鏡を用いてトナー断面を観察し、以下の基準で、MICRトナーにおける磁性粉の分散性を評価した。結果を表4に示す。なお、評価が×であれば磁性粉の分散性が悪くてMICRトナーとして使用することはできないが、評価が△であれば許容範囲であり、評価が〇であれば好ましくMICRトナーとして使用することができることを意味している。
〇:磁性粉の塊(100倍写真にて直径1mm以上)は全く観察されない。
△:磁性粉の塊(100倍写真にて直径1mm以上)が1個観察される。
×:磁性粉の塊(100倍写真にて直径1mm以上)が2個以上観察される。
【0072】(2−3)画像濃度評価得られたMICRトナーを京セラ(株)製プリンター(エコシス、FS−3750)に収容し、ソリッドブラックパターンをプリントし、マクベス反射型濃度計RD914(マクベス社製)を用いて、画像濃度測定を行った。得られた結果を表4に示す。
【0073】(2−4)耐久性評価得られたMICRトナーを京セラ(株)製プリンター(エコシス、FS−3750)に収容した後、MICRフォントであるE−13BおよびCMC−7により、画像評価用パターンをA4紙に連続印刷し、MICRトナーの耐久性を評価した。得られた結果を表4に示す。
【0074】(2−5)読取性評価得られたMICRトナーを京セラ(株)製プリンター(エコシス、FS−3750)に収容し、MICRフォントであるE−13BおよびCMC−7をそれぞれA4紙30万枚分連続印刷した後、MICRトナー用読取機マイカクオリファイヤ(RDM社製)を用いて、読取率を測定した。結果を表4および図5(10万枚連続印刷まで)に示す。なお、E−13BおよびCMC−7の読取率(%)がそれぞれ80〜200%の範囲内であれば、適性にフォントが読み取れたということができる。
【0075】[実施例2〜4および比較例1〜3]金属酸化物粒子の体積抵抗を表4に示すように変えたほかは、実施例1と同様に、MICRトナーをそれぞれ製造して、評価した。得られた結果を、表4および図4、5に示す。
【0076】[実施例5〜8および比較例4〜6]また、実施例1および2における金属酸化物粒子の種類を、乾式シリカ微粉末からアルミナ(平均粒径0.4μm)に変えたほかは、実施例1〜4および比較例1〜3と同様に、MICRトナーを作成して評価した。得られた結果を表5に示す。
【0077】
【表4】

【0078】
【表5】

【0079】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明のMICRトナー(MICRプリンター用現像剤を含む。)によれば、体積抵抗を1×105〜1×1011Ω・cmの範囲内の値とした金属酸化物粒子を外表面に固定することにより、優れた研磨効果や、電荷調整効果を発揮して、例えば、A4紙を連続的に300,000枚程度印刷した場合であっても、優れた画像濃度や、読み取り精度が得られるようになった。
【0080】また、本発明のMICRトナーによれば、親水性のSiC表面を有するアモルファスシリコン感光体等に適用しても、特異的な研磨機能や、優れた導電性制御機能を発揮することができ、MICRトナー自身により、感光体上に残存するMICRトナーを掻き落とすことができるとともに、いわゆる像流れ現像を防止できるようになった。【0081】さらに、本発明のMICRトナーの製造方法によれば、例えば、A4紙を連続的に300,000枚程度印刷した場合であっても、優れた画像濃度や、読み取り精度が得られるMICRトナーを、効率的に得ることができるようになった。
【出願人】 【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
【出願日】 平成12年4月27日(2000.4.27)
【代理人】 【識別番号】100086759
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 喜平 (外1名)
【公開番号】 特開2001−305785(P2001−305785A)
【公開日】 平成13年11月2日(2001.11.2)
【出願番号】 特願2000−127142(P2000−127142)