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【発明の名称】 静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリア
【発明者】 【氏名】島村 宏之

【要約】 【課題】磁気特性や流動性、ハンドリング性に優れ、かつ低温低湿下、高温高湿下に拘わらず、高品質な画像が安定して得られる静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリアを提供する。

【解決手段】ケイ素と鉄の複合酸化鉄が粒子表面に存在する酸化鉄粒子からなる酸化鉄粉末を含有する静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリア。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ケイ素と鉄の複合酸化鉄が粒子表面に存在する酸化鉄粒子からなる酸化鉄粉末を含有することを特徴とする静電複写磁性トナー。
【請求項2】 上記酸化鉄粒子が、ケイ素と鉄の複合酸化鉄で表面が被覆されている請求項1記載の静電複写磁性トナー。
【請求項3】 上記酸化鉄粒子の複合酸化鉄中のケイ素成分の存在量が、酸化鉄粒子全体に対してケイ素に換算して0.05〜2重量%である請求項1又は2記載の静電複写磁性トナー。
【請求項4】 超音波探査映像装置を用いて、走査範囲24mm×16mm、超音波周波数25MHz、ゲイン30db、画像輝度出力0〜2.5V条件下にて測定した際に、0.5Vにて画像を2値化して得られた画像において、下記式(1)の画像解析分散性不良率が15%以下である請求項1、2又は3記載の静電複写磁性トナー。
画像解析分散性不良率(%)=(凝集粒子又はボイドによる分散不良部分による反射画像部分面積)/(画像全体面積)×100 ・・・ (1)
【請求項5】 下層がケイ素と鉄の複合酸化鉄にて被覆され、その上層がアルミニウム成分にて被覆されている酸化鉄粒子からなる酸化鉄粉末を含有することを特徴とする静電複写磁性トナー。
【請求項6】 上記酸化鉄粒子の下層の複合酸化鉄中のケイ素成分の含有量が酸化鉄粒子全体に対してケイ素に換算して0.05〜2重量%であり、上記上層のアルミニウム成分の含有量が、酸化鉄粒子全体に対してアルミニウムに換算して0.01〜1重量%である請求項5記載の静電複写磁性トナー。
【請求項7】 超音波探査映像装置を用いて、走査範囲24mm×16mm、超音波周波数25MHz、ゲイン30db、画像輝度出力0〜2.5V条件下にて測定した際に、0.5Vにて画像を2値化して得られた画像において、下記式(2)の画像解析分散性不良率が15%以下である請求項5又は6記載の静電複写磁性トナー。
画像解析分散性不良率(%)=(凝集粒子又はボイドによる分散不良部分による反射画像部分面積)/(画像全体面積)×100 ・・・ (2)
【請求項8】 ケイ素と鉄の複合酸化鉄が粒子表面に存在する酸化鉄粒子からなる酸化鉄粉末を含有することを特徴とする静電潜像現像用キャリア。
【請求項9】 上記酸化鉄粒子が、ケイ素と鉄の複合酸化鉄で表面が被覆されている請求項8記載の静電潜像現像用キャリア。
【請求項10】 上記酸化鉄粒子の複合酸化鉄中のケイ素成分の存在量が、酸化鉄粒子全体に対してケイ素に換算して0.05〜2重量%である請求項8又は9記載の静電潜像現像用キャリア。
【請求項11】 超音波探査映像装置を用いて、走査範囲24mm×16mm、超音波周波数25MHz、ゲイン30db、画像輝度出力0〜2.5V条件下にて測定した際に、0.5Vにて画像を2値化して得られた画像において、下記式(1)の画像解析分散性不良率が15%以下である請求項8、9又は10記載の静電潜像現像用キャリア。
画像解析分散性不良率(%)=(凝集粒子又はボイドによる分散不良部分による反射画像部分面積)/(画像全体面積)×100 ・・・ (1)
【請求項12】 下層がケイ素と鉄の複合酸化鉄にて被覆され、その上層がアルミニウム成分にて被覆されている酸化鉄粒子からなる酸化鉄粉末を含有することを特徴とする静電潜像現像用キャリア。
【請求項13】 上記酸化鉄粒子の下層の複合酸化鉄中のケイ素成分の含有量が酸化鉄粒子全体に対してケイ素に換算して0.05〜2重量%であり、上記上層のアルミニウム成分の含有量が、酸化鉄粒子全体に対してアルミニウムに換算して0.01〜1重量%である請求項12記載の静電潜像現像用キャリア。
【請求項14】 超音波探査映像装置を用いて、走査範囲24mm×16mm、超音波周波数25MHz、ゲイン30db、画像輝度出力0〜2.5V条件下にて測定した際に、0.5Vにて画像を2値化して得られた画像において、下記式(1)の画像解析分散性不良率が15%以下である請求項12又は13記載の静電潜像現像用キャリア。
画像解析分散性不良率(%)=(凝集粒子又はボイドにとる分散不良部分による反射画像部分面積)/(画像全体面積)×100 ・・・ (1)
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリアに関し、詳しくはケイ素と鉄の複合酸化鉄が粒子表面に存在する酸化鉄粒子からなる酸化鉄粉末、並びに、下層がケイ素と鉄の複合酸化鉄にて被覆され、その上層がアルミニウム成分にて被覆されている酸化鉄粒子からなる酸化鉄粉末をそれぞれ含有する静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリアであり、分散性、流動性、ハンドリング性に優れ、かつ環境変化に対する吸湿安定性等の諸特性がバランス良く向上した酸化鉄粉末を含有していることにより、磁気特性や流動性、ハンドリング性に優れ、かつ低湿下、高湿下に拘わらず、高品質な画像が安定して得られる静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリアに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】電子写真法は、一般的にトナーのみを使用する一成分現像法と、トナーとキャリアを併用する二成分現像法に大別されるが、一成分トナーや二成分キャリアには磁性を有する各種酸化物が利用されている。この各種酸化物の中でも、酸化鉄粉末は、粉末を構成する微粒子が比較的容易に得られ、かつその磁気特性や黒色顔料としての安定性が優れているので広く汎用されている。
【0003】この静電複写磁性トナー(以下、場合により磁性トナーと称する)及び静電潜像現像用キャリア(以下、場合により磁性キャリアと称する)の用途においては、最近、特にファイン化が進んでおり、種々の特徴ある酸化鉄粉末を利用して、様々な要求特性の改善を目的とした磁性トナー及び磁性キャリアが数多く提案されている。
【0004】上記提案の内、昨今、ケイ素元素を粒子表面に存在させた酸化鉄粉末を用いた事例が幾つか開示されている。
【0005】例えば、特開平7−239571号公報や特開平7−306545号公報に代表されるような、使用する磁性酸化鉄の最表面におけるFe/Si原子比が1.2〜4.0であることを特徴とする磁性トナーや、特開平11−249335号公報や特開平11−282201号公報に代表されるような、磁性酸化鉄の鉄元素溶解率が20重量%までに存在するケイ素元素の含有量を変数とし、特定の式を満たすことを特徴とする静電荷像現像用トナー等である。
【0006】上記技術により得られる効果については、ケイ素成分を酸化鉄粒子表面に存在させることにより、磁性トナーの流動性や高湿度下の帯電安定性等が改善されると記載されている。
【0007】しかし、このケイ素成分を添加することによる流動性の改善効果は高いが、一方でその化合物の特性にもよるが、その多くは吸湿性を有するため、例えばケイ素成分化合物が単独で酸化鉄粒子表面に存在している場合には、その含有量を特定の範囲内で調整するだけでは、磁気特性や流動性、ハンドリング性に優れ、かつ低温低湿下、高温高湿下に拘わらず、高品質な画像が安定して得られる磁性トナーや磁性キャリアを得ることは困難であった。
【0008】本発明は、上記課題である、磁気特性や流動性、ハンドリング性に優れ、かつ低温低湿下、高温高湿下に拘わらず、高品質な画像が安定して得られる磁性トナー及び磁性キャリアを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述のように、磁気特性や流動性、ハンドリング性に優れ、かつ低温低湿下、高温高湿下に拘わらず、高品質な画像が安定して得られる磁性トナーや磁性キャリアについて、本発明者等は鋭意検討の結果、ケイ素と鉄の複合酸化鉄を粒子表面に配することにより、ケイ素成分に起因する吸湿性を抑えた酸化鉄粒子からなる酸化鉄粉末を磁性トナー及び上記キャリアに応用することにより、耐環境性を向上させつつ、上記他特性も維持できることを知見した。
【0010】本発明は、上記知見に基づきなされたもので、ケイ素と鉄の複合酸化鉄が粒子表面に存在する酸化鉄粒子からなる酸化鉄粉末を含有することを特徴とする静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリアを提供するものである。
【0011】また、本発明は、下層がケイ素と鉄の複合酸化鉄にて被覆され、その上層がアルミニウム成分にて被覆されている酸化鉄粒子からなる酸化鉄粉末を含有することを特徴とする静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリアを提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明でいう酸化鉄粒子とは、好ましくはマグネタイトを主成分とするものであり、コアとなるマグネタイトを主成分とする酸化鉄粒子にはケイ素、アルミニウム等の各種の有効元素を含有するものも包含される。以下の説明では、酸化鉄粒子としてその代表的なものであるマグネタイト粒子について説明する。また、酸化鉄粉末又はマグネタイト粉末とは、酸化鉄粒子又はマグネタイト粒子の集合をいう。
【0013】ケイ素元素を粒子表面に存在させた酸化鉄粉末を用いた磁性トナーについては、従来の技術に述べたが、かかるケイ素元素を粒子表面に存在させた酸化鉄粉末については、おおよそ以下に述べる公知技術の開示がある。■ケイ素酸化物を物理的な処理により粒子表面に付着させた酸化鉄粒子(特開平6−130718号公報等)、■ケイ素酸化物を湿式中和処理等により粒子表面に共沈させた酸化鉄粒子(特開平6−230603号公報等)、■水酸化第一鉄コロイド水溶液中にコロイダルシリカを添加し、酸化反応を行うことにより粒子表面に無水ケイ酸を含む酸化鉄を被覆した酸化鉄粒子(特開平7−267646号公報)、■Fe及びAlを含む非磁性酸化鉄又は非磁性含水酸化物微粒子粉末が表面に固着している酸化鉄粒子(特開平7−240306号公報)。
【0014】上記公知技術における酸化鉄粒子中のケイ素成分の含有形態は、ケイ素酸化物単体(上記■及び■)、鉄を除く他元素との複合酸化物等(上記■)、ケイ素成分と鉄との非磁性酸化物又は非磁性含水酸化物(上記■)となっており、かかる技術による酸化鉄粒子からなる酸化鉄粉末は、磁性トナーに用いた場合の磁性トナーの耐環境性に対して何ら改善する思想がないか、又は改善が不十分なものであった。
【0015】これに対し、本発明の磁性トナー及び磁性キャリアに用いられる酸化鉄粉末中の酸化鉄粒子は、ケイ素と鉄の複合酸化鉄が粒子表面に存在していることにより、ケイ素成分の長所である酸化鉄粉末自体の流動性を失うことなく、吸湿性を抑制することができ、特に磁性トナーの耐環境性を改善することができたのである。また、磁性酸化鉄中にケイ素酸化物を調整しながら取り込ませた酸化鉄粒子からなる酸化鉄粉末を使用しているので、上記公知技術■により懸念される磁性トナーの磁気特性に与える影響もない。
【0016】即ち、本発明の静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリアは、ケイ素と鉄の複合酸化鉄が粒子表面に存在する酸化鉄粒子からなる酸化鉄粉末を含有することを特徴とする。
【0017】本発明の静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリア中の酸化鉄粒子は、その表面にケイ素と鉄の複合酸化鉄が存在する。ここでケイ素と鉄の複合酸化鉄が存在するとは、芯材(コア材)となる酸化鉄コア粒子の表面にケイ素と鉄の複合酸化鉄の微粒子が分散又は被覆している状態をいう。さらに、被覆している状態は、緻密な形成層でも、多量の微粒子による固着や付着による形成層のどちらも意味するが、酸化鉄コア粒子の表面にケイ素と鉄の複合酸化鉄の微粒子が層状に被覆している状態が最も好ましい。また、ここでいうケイ素と鉄の複合酸化鉄とは、2価鉄成分をケイ素成分存在下で酸化することにより、ケイ素を取り込む又は結合した酸化鉄をいう。酸化鉄コア粒子は、通常は湿式法で製造されるが、乾式法で製造されたものでもよい。また、この酸化鉄コア粒子中には、上記のように、粒子内部にケイ素、アルミニウム等の各種の有効元素を含有していてもよい。
【0018】なお、上記酸化鉄粒子表面にケイ素と鉄の複合酸化鉄が存在するかどうかを評価する簡便な方法については、後述する実施例中で詳しく述べるが、ケイ素成分は水酸化アルカリ水溶液に可溶であることを利用する。試料となる酸化鉄粉末を水酸化アルカリ水溶液中に投入、超音波撹拌して粒子表面からケイ素成分を溶出させた際に、水酸化アルカリ水溶液中にケイ素成分しか溶出しない場合には、ケイ素成分は鉄との複合酸化物を形成しておらず、水酸化アルカリ水溶液中にケイ素成分が溶出し、かつ水酸化アルカリ水溶液中に鉄成分が不溶のまま分散した場合には、ケイ素成分は鉄との複合酸化物を形成しているものと判断できた。これは、複合酸化鉄中のケイ素成分が溶解しても、微細な酸化鉄粒子は不溶ながら、水酸化アルカリ水溶液中でコロイド状に存在することに起因するからである。
【0019】本発明の静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリアは、上記酸化鉄粒子の複合酸化鉄中のケイ素成分の存在量が、酸化鉄粒子全体に対してケイ素に換算して0.05〜2重量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜2重量%である。ケイ素成分の存在量が0.05重量%未満の場合、酸化鉄粉末自体の流動性が不良となることに起因して、磁性トナーの流動性も不良となり、2重量%を超える場合には、酸化鉄粉末に通常要求される磁気特性、特に飽和磁化の低下を招くことから、磁性トナーの磁気特性も不良となる。この磁気特性(外部磁場796kA/mでの飽和磁化)は、70Am2 /kg以上が好ましく、さらには75Am2 /kg以上が好ましい。また、酸化鉄粒子中の複合酸化鉄を形成するケイ素と鉄のモル比は、好ましくはSi:Fe=1:100〜100:1、より好ましくは5:100〜75:25である。
【0020】本発明の静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリアは、超音波探査映像装置を用いて、走査範囲24mm×16mm、超音波周波数25MHz、ゲイン30db、画像輝度出力0〜2.5V条件下にて測定した際に、0.5Vにて画像を2値化して得られた画像において、下記式(1)の画像解析分散性不良率が15%以下であることが好ましい。
画像解析分散性不良率(%)=(凝集粒子又はボイドによる分散不良部分による反射画像部分面積)/(画像全体面積)×100 ・・・ (1)
【0021】この評価方法によれば、磁性トナーや磁性キャリア中の酸化鉄粉末の分散性が定量的に捉えることができ、この数値が低いほど凝集粒子又はボイドによる分散不良が少なく、磁性トナーや磁性キャリアの特性が安定しているものと評価できる。この画像解析分散性不良率が15%を超える場合には、磁性トナーや磁性キャリア中の酸化鉄粉末の分散性に劣ることにより、得られる画像濃度のムラ等が生じ易い。
【0022】本発明の静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリアは、上記酸化鉄粉末の凝集度が40以下であることが好ましく、凝集度が40を超える場合には、酸化鉄粉末の取り扱い性、樹脂への混合性、トナー製造設備への供給安定性が悪いことに起因して、トナー自体の流動性に影響を及ぼす恐れがある。
【0023】本発明の静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリアは、上記酸化鉄粉末の付着力が5×10-10 N/contact以下であることが好ましく、付着力が5×10-10 N/contactを超える場合には、酸化鉄粒子同士の付着が強く、トナー製造時の粉末取り扱いのハンドリング性、つまり酸化鉄粒子同士が付着することによる搬送設備の負荷、及び磁性トナー製造時の樹脂と酸化鉄粉末の混合状態が悪くなり、分散性に劣り、製造された磁性トナー中での偏在が生じることになる。
【0024】本発明の静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリアは、10℃、20%RHと35℃、85%RHの各環境下で4Hr曝露された後の吸湿率(重量%)をそれぞれΔWLL、ΔWHHとし、比表面積(m2 g)をAとした時に、上記酸化鉄粉末が、下記式(2)を満足することが好ましい。磁性トナーや磁性キャリアを製造する際、表面に露出する酸化鉄粒子の存在が考えられる。つまり、各環境下での吸湿変化に対し、下記式(2)の範囲外では磁性トナー及び磁性キャリアの流動性、帯電性、抵抗の安定性に悪影響を生じる恐れがある。
(ΔWHH−ΔWLL)/A≦0.05 ・・・ (2)
【0025】本発明の静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリアは、上記複合酸化鉄中のケイ素成分の存在量が、上記酸化鉄粒子全体に対してケイ素に換算して0.5〜2重量%であり、かつ上記酸化鉄粉末の電気抵抗が1×104 Ω・cm以上であることが好ましい。ケイ素成分が0.5重量%未満の場合には、抵抗は1×104 Ω・cm未満となり、抵抗が高いことが望まれる磁性トナーや磁性キャリアについては、ケイ素を0.5重量%以上にする必要がある。ケイ素成分が2重量%を超える場合には、酸化鉄粉末自体の飽和磁化が低下し、磁性トナーや磁性キャリアの磁気特性上好ましくない。
【0026】本発明の静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリアは、上記酸化鉄粉末のSUS容器内で解砕した際の容器内の残存率が20重量%以内であることが好ましい。この酸化鉄粉末の容器内の残存率が20重量%を超える場合には、粉体を取り扱うホッパー、搬送設備への残存が増え、樹脂との混合時の配合量のずれ、混練機への供給を考えると不都合であり、取り扱いにくく、磁性トナーや磁性キャリアの品質にバラツキを生じる。
【0027】本発明の静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリアは、上記酸化鉄粉末の色差計による黒色度(L)が18.5以下、反射率(60度)が80%以上であることが好ましい。酸化鉄粉末においては、L値は低い方が黒みが強い方向にあり、反射率は高いと樹脂への分散性が良好となる。粉末として樹脂への分散性がよく、黒色度も凝集体ではなく、分散した際、黒色度の高いものが顔料として最も適しており、近年のトナー小径化に伴い、高解像度、かつ濃度の高い画像を得るためには、使用される磁性体も黒色度が高いものが要求されるので、上記条件を満たす酸化鉄粉末を用いた磁性トナーはそのような要求を満たしている。さらに、樹脂中への分散性や塗料としての分散性に優れていることから、本発明の酸化鉄粉末は黒色顔料用粉末としても好適な特性を有している。
【0028】以上、述べたケイ素と鉄の複合酸化鉄が粒子表面に存在する酸化鉄粒子からなる酸化鉄粉末を含有する静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリアによれば、磁気特性や流動性、ハンドリング性に優れ、かつ低温低湿下、高温高湿下に拘わらず、高品質な画像が安定して得られる。
【0029】また、本発明の静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリアは、下層がケイ素と鉄の複合酸化鉄にて被覆され、その上層がアルミニウム成分にて被覆されている酸化鉄粒子からなる酸化鉄粉末を含有することを特徴とする。
【0030】このような磁性トナー及び磁性キャリアは、上記効果に加え、環境変化に対する帯電安定性をもバランスよく向上させることができる。この最表面層のアルミニウム成分の被覆についても、緻密な形成層でも、多量の微粒子にとる固着や付着による形成層どちらでも構わない。
【0031】本発明の静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリアは、上記酸化鉄粒子の下層の複合酸化鉄中のケイ素成分の含有量が酸化鉄粒子全体に対してケイ素に換算して0.05〜2重量%であり、上記上層のアルミニウム成分の含有量が、酸化鉄粒子全体に対してアルミニウムに換算して0.01〜1重量%であることが好ましく、アルミニウム成分の含有量は0.05〜0.5重量%であるとより好ましい。アルミニウムの含有量が0.01重量%未満の場合には、環境変化に対する帯電安定性効果が乏しく、1重量%を超えると上記酸化鉄粒子におけるケイ素と鉄の複合酸化鉄の被覆効果をなくす上に、アルミニウム成分の増加により飽和磁化の低下や吸湿性の不良を招き、結局磁性トナーや磁性キャリアの性能低下につながる。
【0032】本発明の静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリアは、10℃、20%RH、20℃、60%RH、35℃、85%RHの各環境下で4Hr曝露された酸化鉄粉末の帯電量(μC/g)をそれぞれBLL、BNN、BHHとした時に、上記酸化鉄粉末が、下記式(3)を満足することが好ましい。
|BNN×0.8|≦|BLL及びBHH|≦|BNN×1.2| ・・・ (3)
【0033】マシン、トナーが使用される環境は、使用態様によって種々あり、低温低湿から高湿高温のあらゆる環境下においても同様も性能を発揮することが要求される。一成分系トナーにおいては、酸化鉄粉末が40〜50重量%、二成分系キャリアにおいては、酸化鉄粉末が約90重量%含有されており、用いられる酸化鉄粉末の帯電量変化が環境の変化に対して±20%を超えるとトナーの環境安定性が損なわれる恐れがある。
【0034】本発明の静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリアは、下記の要件を満足することが望ましく、その理由は上記ケイ素と鉄の複合酸化鉄が粒子表面に存在する酸化鉄粒子からなる酸化鉄粉末を含有する静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリアに関する場合と同様である。
【0035】(1)超音波探査映像装置を用いて、走査範囲24mm×16mm、超音波周波数25MHz、ゲイン30db、画像輝度出力0〜2.5V条件下にて測定した際に、0.5Vにて画像を2値化して得られた画像において、下記式(1)の画像解析分散性不良率が15%以下である。
画像解析分散性不良率(%)=(凝集粒子又はボイドによる分散不良部分による反射画像部分面積)/(画像全体面積)×100 ・・・ (1)
(2)上記酸化鉄粉末の凝集度が40以下である。
(3)上記酸化鉄粉末の付着力が5×10-10 N/contact以下である。
(4)10℃、20%RHと35℃、85%RHの各環境下で4Hr曝露された後の吸湿率(重量%)をそれぞれΔWLL、ΔWHHとし、比表面積(m2 /g)をAとした時に、上記酸化鉄粉末が、下記式(1)を満足する。
(ΔWHH−ΔWLL)/A≦0.05 ・・・ (1)
(5)上記複合酸化鉄中のケイ素成分の存在量が、上記酸化鉄粒子全体に対してケイ素に換算して0.5〜2重量%であり、かつ上記酸化鉄粉末の電気抵抗が1×104 Ω・cm以上である。
(6)上記酸化鉄粉末の色差計による黒色度(L)が18.5以下、反射率(60度)が80%以上である。
【0036】次に、本発明の静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリアの具体的な製造方法について述べる。
【0037】本発明の磁性トナーは、上述した酸化鉄粉末、下記に記載の結着樹脂、汎用の荷電性制御剤、ワックスを加え、常法の撹拌混合、溶融混練、冷却、粗粉砕、微粉砕、粗粉/微粉カットを行い、製造することができる。なお、上記原料に汎用の染料や外添剤を適宜加えても良い。
【0038】〔結着樹脂例〕ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエン、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレンビニルトルエン共重合体等のスチレン及びその置換体の単独重合体及びそれらの共重合体;スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体等のスチレンとアクリル酸エステルとの共重合体;スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸n−ブチル共重合体等のスチレンとメタクリル酸エステルとの共重合体;スチレンとアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルとの多元共重合体;その他スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレンと他のビニル系モノマーとのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸、フェノール樹脂、脂肪族又は脂肪族炭化水素樹脂、石油樹脂、塩素化パラフィン等が単独又は混合して使用でき、特に圧力定着方式に供せられるトナー用の結着樹脂として、低分子ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、高級脂肪酸、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等が単独又は混合して使用できる。
【0039】また、本発明の磁性キャリアは、上述した酸化鉄粉末と下記に記載の結着樹脂を用いて、常法の撹拌混合、溶融混練、冷却、微粉砕を行い、製造することができる。なお、上記原料に汎用の荷電性制御剤を適宜加えても良い。
【0040】〔結着樹脂例〕エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のポリオレフィン系の化合物の他、以下のようなモノマーを単独又は共重合させた樹脂が使用可能である。
【0041】スチレン、クロルスチレン、ビニルスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレンイソブチレン等のモノオレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸のエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン等の単独重合体あるいは共重合体が使用でき、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィン、ワックス類が挙げられる。
【0042】
【実施例】以下、実施例等に基づき本発明を具体的に説明する。なお、本実施例及び比較例においては、発明の実施の形態の項で述べた通り、酸化鉄粉末として、代表的なマグネタイトを主成分とするものを選択、実施したが、本発明はかかる事例に限定されるものではない。
【0043】<マグネタイト粉末製造例>〔製造例1〕Fe2+2.0mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液50リットルと、3.60mol/lの水酸化ナトリウム水溶液50リットルを混合撹拌した。この時のpHは6.5であった。そのスラリーを温度85℃とpHを6〜7に維持しながら65リットル/minの空気を吹き込み反応を終了させた(マグネタイトコア粒子の製造)。
【0044】このスラリー中のマグネタイトコア粒子に対し、ケイ酸ナトリウム水溶液(Si1.1mol/l)を3リットルと、ケイ素と鉄のモル比が1:2になるように硫酸第一鉄水溶液(Fe2+1.3mol/l)を5リットルと、水酸化ナトリウム水溶液を混合し、pHを9とした。そのスラリーを80℃に維持しながら65リットル/minの空気を吹き込み再度酸化し反応を終了させた(粒子表面への複合酸化鉄層形成)。
【0045】得られた生成粒子は、通常の濾過洗浄、乾燥、粉砕工程により処理しマグネタイト粉末を得た。このマグネタイト粉末について、下記の方法にて、諸特性を評価した。その結果を表1に示す。
【0046】(マグネタイト粉末の特性評価)
(1)Si、Al含有量分析サンプルを溶解し、ICPにて測定した。
【0047】(2)マグネタイト粉末中のマグネタイト粒子表面における、ケイ素と鉄の複合酸化鉄の有無試料5gを0.1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液100mlに添加した後、温度を50℃に維持し4時間撹拌を続ける。撹拌終了後、室温まで放冷した後、シャープ(株)製超音波洗浄槽(サイレントソニックUC−602型)にて5分間分散を行った。分散後、磁石を用いてマグネタイトを直ちに沈降させ、沈降したマグネタイトスラリーの上部に漂っている未沈降分散粒子を含む上澄み部分を分取した。この分取液5mlに塩酸+フッ酸(1:1)混合溶液1mlを加えて酸性とし、さらに全量が10mlになるように純水を加えて溶液化し、ICPにてケイ素、鉄元素の有無を確認した。それぞれの元素について0.1μg/mlの濃度を確認できた場合を○、確認できなかった場合を×と評価した。
【0048】(3)比表面積島津−マイクロメリティックス(株)製2200型BET計にて測定した。
【0049】(4)磁気特性東英工業(株)製振動試料型磁力計VSM−P7を使用し、外部磁場796kA/mにて飽和磁化を測定した。
【0050】(5)凝集度Hosokawa Micron(株)製「Powder Tester TypePT−E」(商品名)を用いて、振動時間65secにて測定した。測定結果を所定の計算式にて凝集度を求めた。
【0051】(6)付着力島津粉体付着力測定装置(EB−3300CH)を用いて、試料をセル容器の縁いっぱいに入れる(粉重量を測定)。セル内の切断面より1cmまで、プレス後、上記測定器により測定し、所定の計算式にて算出した。
【0052】(7)吸湿率乾燥機で105℃、1Hrにて予め乾燥(乾燥重量W1 )させ、環境室内にて10℃、20%RHと35℃、85%RHの環境下に各々4Hr曝露し(吸湿後の重量W2 )、各々の重量測定を以下の式にて吸湿率(重量%)を算出した(ΔWLL;10℃、20%、ΔWHH;35℃、85%)。
吸湿率(重量%)=(W2 −W1 )/W1 ×100また、面積当たりの吸湿率変化は、以下の式にて表される。
(ΔWHH−ΔWLL)/A(比表面積)
【0053】(8)電気抵抗試料10gをホルダーに入れ、60MPの圧力を加えて、25mmφの錠剤型に成形後、電極を取り付け、15MPの加圧状態で測定した。測定に使用した試料の厚さ、及び断面積と抵抗値から算出してマグネタイト粒子の電気抵抗値を求めた。
【0054】(9)SUS容器残存率サンプルミル(Matsushita Electric Industrial(株)製 SSC612CA)に専用のSUS容器内に試料を10g入れ、ミルにて5秒撹拌した後、静かに容器を取り外し、容器を逆さまにして試料を取り出した。取り出した試料の重量A(g)を測定し、下記式にて容器内の残存量を求めた。
SUS容器内残存量(重量%)=[(10−A)/10]×100【0055】(10)黒色度、反射率スチレンアクリル系樹脂(三洋化成(株)製、TB−1000F)をトルエン(樹脂:トルエン=1:2)にて溶解した液を60g、試料10g、直径1mmのガラスビーズ90gを内容積140mlのビンに入れ、蓋をした後、ペイントシェーカー(トウヨウセイキ社製)にて30分混合した。これをガラス板上に4milのアプリケーターを用いて塗布し、乾燥後、色差計にて黒色度、ムラカミ式GLOSS METER(GM−3M)にて60度の反射率を測定した。
【0056】(11)帯電量試料を環境室内にて、10℃、20%RH、20℃、60%RH、35℃、85%RHの各環境下で4Hrで曝露させ、鉄粉キャリア(パウダーテック(株)製、TEFV 200/300)を用いて、ブローオフ型帯電量測定装置(東芝ケミカル(株)製、TB−200型)にて各環境下の帯電量値BLL、BNN、BHHを求めた。
【0057】〔製造例2〕製造例1において、複合酸化鉄被覆形成処理を終えたスラリーに、さらに硫酸アルミニウム水溶液(Al0.6mol/l)3リットルを混合し、その後pHを6に調整して反応を終了させた。
【0058】得られた生成粒子は、通常の濾過洗浄、乾燥、粉砕工程により処理しマグネタイト粉末を得た。このマグネタイト粉末について、製造例1と同様の方法にて、諸特性を評価した。その結果を表1に示す。
【0059】〔製造例3〕ケイ酸ナトリウム水溶液の添加を行わない以外は、製造例1と同様の方法にてマグネタイト粉末を得た。このマグネタイト粉末について、製造例1と同様の方法にて、諸特性を評価した。その結果を表1に示す。
【0060】〔製造例4〕製造例1において、マグネタイトコア粒子の製造を終えたスラリーに、ケイ酸ナトリウム水溶液(Si0.6mol/l)を3リットルと水酸化ナトリウム水溶液を混合し、pHを10とした後、そのスラリーを80℃に維持しながら希硫酸にてpH6まで中和した。
【0061】得られた生成粒子は、通常の濾過洗浄、乾燥、粉砕工程により処理しマグネタイト粉末を得た。このマグネタイト粉末について、製造例1と同様の方法にて、諸特性を評価した。その結果を表1に示す。
【0062】〔製造例5〕ケイ酸ナトリウム水溶液の添加を行わない以外は、製造例1と同様の方法にてマグネタイト粉末を得た。このマグネタイト粉末について、製造例2と同様の方法にて、諸特性を評価した。その結果を表1に示す。
【0063】<静電複写磁性トナー製造例>〔実施例1〕製造例1により得られたマグネタイト粉末、熱可塑性樹脂(三洋化成(株)製、TB−1000F)、荷電性制御剤(オリエント化学(株)製、ボントロンS−34)、ワックス(三洋化成(株)製、ビスコール550P)をそれぞれ重量比100:100:1:2にて計量し、ヘンシェルミキサーにて混合、さらに2軸ニーダーにて180℃での溶融混練を行った。得られた混練物を冷却ローラーにて板状に成形し、混練物のプレートを得た。得られたプレートをバンタムミルにて粉砕後、ジェットミルにて微粉砕を行い、風力分級機(日清エンジニアリング(株)製、ターボクラシファイア TC−15M)にて、平均粒径8μmの粒子を得た。この粒子に対して流動化剤としてのシリカ微粒子(日本エアロジル(株)製、R−972)を1.2重量%添加して、現像用トナーを作成した。得られたトナーとLBPプリンター(キャノン(株)製、LBP−930)を使って実写した。
【0064】この試験において、下記の評価を行い、得られた結果を表2に示す。
(12)ヘンシェルミキサー混合時の内面へのマグネタイト粒子の居付きの観察現像用トナー製造の際、ヘンシェルミキサーにて混合後、ミキサーの内面を目視観察し、マグネタイト粒子の居付きが確認できなかったものを○、居付きが確認できたものを×と評価した。
【0065】(13)混練物プレート中におけるマグネタイト粉末のSEMによる分散状態の観察。
板状のプレートを切断し、その切断面を走査型電子顕微鏡にて観察し(観察倍率20〜5000倍)、破断面に酸化鉄凝集粒子が確認できなかったものを○、凝集粒子が多く観察されたものを×と評価した。
【0066】(14)混練物プレート中における超音波探査法による分散性の評価板状のプレートを超音波探査映像装置(日立建機(株)製、AT−7500)を使用して、観察条件として走査範囲24mm×16mm、超音波周波数25MHz、ゲイン30dbにて測定した。得られた画像について、画像の輝度の出力を0〜2.5Vとした際の0.5Vでの画像を2値化し、凝集粒子又はボイドによる分散不良部分によって反射画像部分の面積を、画像全体の面積に対する百分率で評価した。
【0067】(15)磁性トナーを用いた実写画像濃度による耐環境性評価上記LBPプリンター(キャノン(株)製、LBP−930)を1.3倍のプリントスピードに改造したものを用いて、10℃、20%RHの環境と、35℃、80%RHの環境で初期プリントと1000枚の耐刷プリント試験を行い、それぞれの画像について「マクベス反射濃度計」(グレタグマクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定し、各環境における初期画像濃度と耐刷画像濃度を測定した。
【0068】〔実施例2及び比較例1〜3〕使用するマグネタイト粉末を製造例2〜5により得られたものを使用した以外は、実施例1と同様に現像用トナーを作成した。作成した現像用トナーについて実施例1と同様に評価した結果を表2に示す。
【0069】<静電潜像現像用キャリア製造例>〔実施例3〕製造例1により得られたマグネタイト粉末と熱可塑性樹脂(三洋化成(株)製、TB−1000F)をそれぞれ重量比70:30にて計量し、ヘンシェルミキサーにて混合、さらに2軸ニーダーにて180℃での溶融混練を行った。得られた混練物を冷却ローラーにて板状に成形し、混練物のプレートを得た。得られたプレートを粉砕及び分級して、平均粒径30ミクロンのキャリアを得た。得られたキャリア粉末に、製造例1で得られた磁性トナーを5重量%混合し、現像剤とした。
【0070】この試験において、上記(12)〜(14)の評価、及び下記(16)の帯電量耐久テストを行い、キャリア性能を評価した。得られた結果を表3に示す。
【0071】(16)磁性キャリアの帯電量による耐環境性評価現像剤10gを10℃、20%RHの環境下、もしくは35℃、85%RHの環境下に4時間曝露した後、内容積500mlのポリビンに入れ、120rpmで回転するボールミルの回転装置にて撹拌混合を30分間行った。この試料を用い、トナーの帯電量をブローオフ帯電量測定装置(東芝ケミカル(株)製、TB−200)にて各環境下における帯電量を測定した。
【0072】〔実施例4〕使用するマグネタイト粉末を製造例2により得られたものを使用してキャリア粉末を作成し、製造例2で得られた磁性トナーを現像剤に用いた以外は、実施例3と同様に現像剤を作成した。作成した現像剤について実施例3と同様に評価した結果を表3に示す。
【0073】〔比較例4〜6〕使用するマグネタイト粉末を製造例3〜5により得られたものを使用してキャリア粉末を作成し、それぞれ製造例3〜5で得られた磁性トナーを現像剤に用いた以外は、実施例3と同様に現像剤を作成した。作成した現像剤について実施例3と同様に評価した結果を表3に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】表2の結果より、実施例1及び2の磁性トナーは、トナー製造の際のヘンシェル内部でのマグネタイト粒子の居付きが無く、トナーの流動性、ハンドリング性が良好であり、SEM及び超音波探査法による分散性の評価、トナーの実写評価も良好であると同時に、環境によらず画像濃度も良好であった。これに比べ、比較例1〜3の磁性トナーは、マグネタイト粒子表面に何も表面処理していないものや、中和共沈によりケイ素成分やアルミニウム成分が単独で粒子表面に存在しているため、トナーの流動性、ハンドリング性、SEM及び超音波探査法による分散性の評価いずれにおいても劣っており、トナーの実写評価では実用に耐えるレベルであるものの、耐環境性評価については著しく劣った結果であった。
【0078】また、表3の結果より、実施例3及び4の現像剤は、キャリア製造の際のヘンシェル内部でのマグネタイト粒子の居付きが無く、作業性が良好であり、SEM及び超音波探査法による分散性の評価も良好であり、かつ低温低湿下、高温高湿下でのキャリア帯電量の差も小さかった。これに比べ、比較例4〜6の現像剤は、マグネタイト粒子表面に何も表面処理していないものやマグネタイト粒子表面にケイ素成分やアルミニウム成分が単独で粒子表面に存在しているため、トナーの流動性、ハンドリング性、SEM及び超音波探査法による分散性の評価いずれにおいても劣っており、低温低湿下、高温高湿下での帯電量の差も大きく、安定性に欠けるものであった。
【0079】
【発明の効果】本発明に係るケイ素と鉄の複合酸化鉄が粒子表面に存在する酸化鉄粒子からなる酸化鉄粉末を含有する静電複写磁性トナー及び静電潜像現像用キャリアは、ケイ素成分に起因する吸湿性を抑える作用を有する酸化鉄粉末を用いていることにより、磁気特性や流動性、ハンドリング性に優れ、かつ低温低湿下、高温高湿下に拘わらず、高品質な画像が安定して得られる。
【出願人】 【識別番号】000006183
【氏名又は名称】三井金属鉱業株式会社
【出願日】 平成12年4月26日(2000.4.26)
【代理人】 【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修
【公開番号】 特開2001−305784(P2001−305784A)
【公開日】 平成13年11月2日(2001.11.2)
【出願番号】 特願2000−125885(P2000−125885)