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【発明の名称】 静電荷像現像用現像剤
【発明者】 【氏名】大場 克則

【氏名】小倉 克之

【氏名】中村 正延

【氏名】古川原 俊郎

【氏名】鳫林 秀樹

【要約】 【課題】印刷時に安定した帯電挙動を示し、かつ、飛散トナーが少ないことで装置内部を汚さず、メンテナンスの容易な静電荷現像用現像剤を提供する。

【解決手段】少なくともバインダー樹脂、及び着色剤を含有してなる着色樹脂粒子と、磁性キャリアからなる静電荷像現像用現像剤において、前記現像剤中の粒径12μm以上16μm未満の着色樹脂粒子の割合と、前記着色樹脂粒子の比電荷量とが、下記式(1)
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくともバインダー樹脂、及び着色剤を含有してなる着色樹脂粒子と、磁性キャリアからなる静電荷像現像用現像剤において、前記現像剤中の粒径12μm以上16μm未満の着色樹脂粒子の割合と、前記着色樹脂粒子の比電荷量とが、下記式(1)
5.18+0.12×A<B − − −(1)
(式中、Aは粒径12μm以上16μm未満の着色樹脂粒子の割合(体積%)を示し、Bは粒径12μm以上16μm未満の着色樹脂粒子の比電荷量Q/M(μC/g)を示す。)を満足することを特徴とする静電荷像現像用現像剤。
【請求項2】 前記バインダー樹脂がポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項3】 前記バインダー樹脂が直鎖ポリエステル樹脂(i)と架橋ポリエステル樹脂(ii)とを組み合わせて用いた樹脂であることを特徴とする請求項1記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項4】 前記直鎖状ポリエステル樹脂(i)と前記架橋ポリエステル樹脂(ii)の混合比率(重量比)が、(i)/(ii)=2/8〜8/2であることを特徴とする請求項3記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項5】 前記直鎖状ポリエステル樹脂(i)の軟化点が80゜C〜120゜Cであり、重量平均分子量(Mw)が7000〜12000であり、重量平均分子量と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が4以下であることを特徴とする請求項3または4記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項6】 前記架橋ポリエステル樹脂(ii)の軟化点が130゜C〜180゜Cであり、テトラヒドロフランに溶解する成分の重量平均分子量(Mw)が100000〜400000であり、重量平均分子量と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が10以上であることを特徴とする請求項3または4記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項7】 更に離型剤を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項8】 更に電荷制御剤を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項9】 前記電荷制御剤がニグロシン系染料及び/又は4級アンモニウム塩化合物を含有することを特徴とする請求項8記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項10】 前記4級アンモニウム塩化合物が下記一般式(1)または(2)または(3)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項9記載の静電荷像現像用現像剤。
<一般式(1)>【化1】

[式中、R1〜R3はCnH2n+1基を表す。但し、nは1〜10の整数を示す。また、R1〜R3は同じであっても異なっていてもよい。]
<一般式(2)>【化2】

[式中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜22個のアルキル基あるいはアルケニル基、炭素数1〜20個の未置換あるいは置換芳香族基、炭素数7〜20個のアラルキル基を表し、A-はモリブデン酸アニオンあるいはタングステン酸アニオン、モリブデンあるいはタングステン原子を含むヘテロポリ酸アニオンを表す。]
<一般式(3)>【化3】

[式中、mは1、2または3を示し、そしてnは0、1または2を示し、Mは水素原子、または1価の金属イオンである。X及びZは1または2を示し、Yは0または1を示す。さらに、X=1の時、Y=1、Z=1となりX=2の時、Y=0、Z=2となる。R5〜R12は水素、炭素数1〜30の直鎖状、あるいは枝分かれした飽和または不飽和のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシレン基、一般式(−C2〜5のアルキレン−O)n−R(但し、Rは水素または炭素数1〜4のアルキル基またはアシル基であり、nは1〜10の整数である)で表されるポリアルキルオキシレン基を表し、R1、R2、R3、R4は水素、または、炭素数1〜30の直鎖状、あるいは枝分かれした飽和または不飽和のアルキル基、または一般式(−CH2−CH2−O)n−R(但し、Rは水素または炭素数1〜4のアルキル基またはアシル基であり、nは1〜10の整数である)で表されるオキシエチル基、更に炭素数5〜12の単核−または多核脂環式残基、単核−または多核芳香族残基または芳香脂肪族残基を表す。]
【請求項11】 更に、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂から選ばれる1種以上の樹脂で被覆された樹脂被覆磁性キャリアを用いることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項12】 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11のいずれかに記載の静電荷像現像用現像剤を用いて20m/分以上の速度で現像することを特徴とする画像形成方法。
【請求項13】 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11のいずれかに記載の静電荷像現像用現像剤を用いて30m/分以上の速度で現像することを特徴とする画像形成方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法、静電記録法、あるいは静電印刷法に用いる静電荷像現像剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真法としては、米国特許第2,297,691号、特公昭42−23910号公報あるいは特公昭43−24748号公報などに各種の方法が記載されているが、通常は、光導電性感光体等の静電潜像担持体上に帯電、露光により静電潜像を形成し、次いでこの静電潜像を、バインダー樹脂中に着色剤を含有するトナー組成物によって現像し、得られたトナー像を転写紙などの支持体に転写、定着して可視画像を形成する方法が一般的である。
【0003】また、電子写真法における現像方法としては多くの方法が知られているが、大別すると、鉄粉、フェライト、ニッケル、ガラス等の微粒子(20〜500μm)からなるキャリアとトナーとの混合物を現像剤として用いる二成分現像法と、トナーのみからなる現像剤を用いる一成分現像法とがある。
【0004】二成分現像法の代表例としては、米国特許第2,618,552号記載のカスケード法や米国特許2,874,063号記載の磁気ブラシ法がある。これらの方法はキャリアが現像剤の攪拌、搬送、帯電などの機能を分担しておりキャリアとトナーの機能分離が明確になっている。そのためトナーの帯電制御や現像剤層の形成が比較的容易で、高速化にも対応可能なことから現在広く用いられている。
【0005】ところで、近年における情報化社会の発展に伴い、電子写真、静電記録、静電印刷の各分野においても印刷画像の高品質化、記録の高速化、高密度化、長期保存安定性等の要求が高まり、静電潜像を非印刷媒体上に記録するトナー特性の改善に寄せられる期待は多大なものとなっている。
【0006】静電画像現像法を使用する装置としては複写機、或いはプリンターが挙げられ、その処理速度としては、メーカー及び種別により異なるが、例えばA4紙の処理枚数に換算すると、オフィス用プリンターで30枚/分程度、オフィス用複写機で60〜100枚/分前後の処理速度を有するマシーンが多い。特に、近年の現像装置の高速化により、処理速度がA4紙縦方向換算で100枚/分、A4紙横方向換算で140枚/分、現像速度としては30m/分に相当するような高速機に移行しつつある。
【0007】このような高速印刷に適した二成分現像剤用トナーにおいては、多部数印刷における安定した帯電挙動とその結果として得られるカブリの少ない安定した画像、長期間の使用においてもマシン内部を汚染しない飛散トナーの解消等が重要な課題であり、これらの課題はトナーの帯電特性に負うところが非常に大きい。
【0008】特に装置内部の汚染について、高速印刷する装置の場合はトナー飛散の問題は大きく、印字画像の汚れに留まらず装置内部を汚染することでメンテナンス性を損ね、さらには装置トラブルにも発展する可能性のある大きな問題である。
【0009】一方、最近では高耐久性向上の点から樹脂としてポリエステル樹脂が使用されるようになったが、ポリエステル樹脂は従来から用いられているスチレン・アクリル系樹脂と比べて負帯電性が強く、特に高速印刷用に用いられる正帯電性トナーを作るには不向きであった。そのため、トナー飛散等、前述した高速印刷用トナーに要求される上記課題をすべて満足するものは得られていないのが実情である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリエステル樹脂を使用した場合でも印刷時に安定した帯電挙動を示し、かつ、飛散トナーが少ない事で装置内部を汚さず、メンテナンスの容易な静電荷像現像用現像剤を提供することを目的とする。特に本発明は、20m/分を超えるような、更には30m/分を超えるような高速印刷時においても上記課題を解決しうる静電荷像現像用現像剤を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、現像に用いられる現像剤のうち、トナー粒子中の12μm以上16μm未満の比較的大きな粒子径範囲に属するトナーの割合(体積%)とその比電荷量が、トナー飛散量に大きく影響することを見出し本発明に至ったのである。
【0012】すなわち本発明は、少なくともバインダー樹脂、及び着色剤を含有してなる着色樹脂粒子と、磁性キャリアからなる静電荷像現像用現像剤において、前記現像剤中の粒径12μm以上16μm未満の着色樹脂粒子の割合と、前記着色樹脂粒子の比電荷量とが、下記式5.18+0.12×A<B − − −(1)
(式中、Aは着色樹脂粒子中の粒径12μm以上16μm未満の割合(体積%)を示し、Bは粒径12μm以上16μm未満の着色樹脂粒子の比電荷量Q/M(μC/g)を示す。)
を満足することを特徴とする静電荷像現像用現像剤を提供するものである。
【0013】一般に、トナーはバインダー樹脂、着色剤、離型剤及び電荷制御剤とを含有してなる着色樹脂粒子であって、そのトナー飛散は、トナーの比電荷量が小さくなるとトナーとキャリアとのクーロン力が磁気ブラシの回転による遠心力にうち勝つことができずにトナーがキャリアから飛んでいく現象であるが、現像時のプロセス速度、トナーの帯電量等が複雑に絡み合い、従来、定性的な議論に留まっていた。
【0014】また、製品に供されるトナーの粒径は約10μmを目標粒子径として製造されるものの、粉砕、分級の仕方にもよるが、一般には一定の粒度分布をもった粉体として得られる。
【0015】このような種々の粒径からなる集合体としての粉体を鋭意調べたところ、12μm以上16μm未満のトナーの割合とその比電荷量とが、上記式(1)の関係を有することによりトナー飛散量を抑制するのに非常に効果的であることを見いだしたのである。上記式(1)の左辺は12μm以上16μm未満の粒径の遠心力により飛散する程度を示し、右辺はその粒径のクーロン力により飛散を抑制する程度を示すものである。
【0016】特に上記式(1)を満足する着色樹脂粒子(トナー)を含む静電荷像現像剤は、20m/分を超えるような、更には30m/分を超えるような高速印刷を行う現像装置用の現像剤として有効に使用できる。
【0017】通常、粉体の粒度分布はマルチサイザー(コールター社製粒度分布測定装置)により簡便に測定でき、また、トナーの粒子径に応じた帯電量分布はE−スパートアナライザー(ホソカワミクロン社製)により簡便に測定できる。本発明によると、このような簡便な測定で得られる値を直接使用することで、トナー飛散量を抑制するように設計することが簡便にできるのである。
【0018】E−スパートアナライザーは、音響振動する極性が互いに逆の2枚の電極間にトナー粒子を落下させることにより、トナー粒子を振動させ、また、電極の電界作用によりトナー粒子を電極へ移動させ、この時のトナーの振動数と移動距離をレーザードップラー法で同時に測定することにより、個々の粒子の粒子径と帯電量を算出するものである。本装置によれば特定の粒子径範囲にある粒子群の帯電量分布を測定できると共に、それら粒子群の総帯電量を容易に測定することができる。E−スパートアナライザーによるトナーの帯電量測定原理の詳細に関しては、「Japan Hardcopy’90論文集」の101〜104ページにおいてホソカワミクロン(株)により発表されている。
【0019】本発明による静電荷像現像用現像剤は、上記式(1)を満足する様にトナーと磁性キャリアとを混合して帯電させて得ることができる。
【0020】本発明では、少なくとも、バインダー樹脂、及び着色剤とを含有してなる着色樹脂粒子を用いる。本発明において用いられるバインダー樹脂としては、トナー化した場合に上記式(1)を満足するものであれば、特に制限なく使用することができる。具体的には、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、スチレンブタジエン樹脂、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、キシレン樹脂、クマロンインデン樹脂等を挙げることができるが、これらの中でもスチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂が好ましく、定着性と耐久性のバランスが良いことから、ポリエステル樹脂が特に好適に使用することができる。
【0021】本発明に使用できるポリエステル樹脂としては特に分子構造や組成が限定されるものではなく、例えば下記に挙げるジカルボン酸とジオールを通常の方法で脱水縮合して得られる樹脂を用いることができる。
【0022】(1)ジカルボン酸類ジカルボン酸としては、例えば無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、アジピン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸等のジカルボン酸又はその誘導体又はそのエステル化物が挙げられる。
【0023】(2)ジオール類また、ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びその誘導体、ポリオキシプロピレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.2)−ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びその誘導体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドランダム共重合体ジオール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体ジオール、エチレンオキサイド−テトラハイドロフラン共重合体ジオール、ポリカプロラクトンジオール等が挙げられる。
【0024】(3)3価以上の多価単量体また、上記のジカルボン酸及びジオールと共に、例えばトリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸等の三官能以上の多価カルボン酸又はその誘導体又はそのエステル化物を、あるいは、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトラオール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリメチロールベンゼン、等の三官能以上の多価アルコールを、あるいは、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体、エポキシ化レゾルシノール−アセトン縮合物、部分エポキシ化ポリブタジエン等の5価以上のエポキシ化合物を、更に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等の2〜4価のエポキシ化合物等を必要に応じて用いることができる。
【0025】本発明におけるポリエステル樹脂は、触媒の存在下で上記の原料成分を用いて脱水縮合反応或いはエステル交換反応を行うことにより得ることができる。この際の反応温度及び反応時間は、特に限定されるものではないが、通常150〜300゜Cで2〜24時間である。
【0026】上記反応を行う際の触媒としては、例えば酸化亜鉛、酸化第一錫、テトラブチルチタネート、モノブチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレート、パラトルエンスルホン酸等を適宜使用する事が出来る。
【0027】ポリエステル樹脂としては、ガラス転移温度が55゜C〜85゜Cで、かつ軟化点が90゜C〜180゜Cであるポリエステル樹脂が好ましい。また、特に100〜170℃であることが好ましい。本発明における軟化点はASTM E28−517による方法にて測定される軟化点である。さらに酸価については、吸湿性の増大による帯電量の低下を生じさせることなく、保存性、現像性の観点からすれば、20mgKOH/g以下が好ましく、中でも、10mgKOH/g以下であることが特に好ましい。
【0028】さらに、以下に記載する様な、直鎖ポリエステル樹脂(i)と架橋ポリエステル樹脂(ii)とを組み合わせた樹脂を用いることが、より広い定着・オフセット領域を確保する上で好ましい。この様な組み合わせを行う場合には、個々の樹脂が、上記ガラス転移温度や軟化点である必要はなく、組み合わされた樹脂が上記ガラス転移温度や軟化点となる様に調製すれば良い。
【0029】なお、架橋ポリエステル樹脂(ii)は、構造中にTHF不溶分が存在しても良い。本発明で言うTHF不溶分とは合成した樹脂粉末1gを専用の濾紙(東洋濾紙製No.86R)にとり、THFを溶媒としてソックスレー型環流装置にて8時間環流した後の濾紙上の残渣を言う。また、本発明で言う架橋とはポリエステル主鎖が枝分かれ状になっている分岐構造、及びポリエステル主鎖が網目状に結合した構造の両方を含む。通常、分岐構造のポリエステルでは本発明で定義するTHF不溶分の含有率は0%であり、網目構造が大きくなるに従いTHF不溶分の含有率は大きくなる。
【0030】本発明においてより好適に用いられる直鎖状ポリエステル樹脂(i)はTHF不溶分を含有せず、軟化点が80゜C〜120゜Cで、かつガラス転移点が55゜C〜85゜Cであるポリエステル樹脂であり、このようなポリエステル樹脂は、例えばジカルボン酸とジオールを通常の方法で脱水縮合して得ることができる。
【0031】本発明で用いるポリエステル樹脂としては、二成分現像用トナーとして適正なガラス転移点、溶融粘度特性を有していれば良い。
【0032】直鎖状ポリエステル樹脂(i)としては、その軟化点が80゜C〜120゜Cの範囲であることが好ましいが、中でも、90゜C〜110゜Cの範囲がより好ましい。分子量としては重量平均分子量(Mw)が7000〜12000が好ましく、重量平均分子量と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnは4以下、中でも3以下であることが好ましい。
【0033】軟化点が80゜C未満、あるいはMwが7000未満の場合は、トナーが凝集現象を生じやすく、保存時や印字の際にトラブルになりやすく、軟化点が120゜Cを越える場合、あるいはMwが12000を越える場合には定着性が悪くなることが多い。
【0034】本発明で用いることのできる架橋ポリエステル樹脂(ii)は、前記のジカルボン酸類(1)とジオール類(2)、さらに3価以上の多価単量体(3)を脱水縮合することにより得ることができる。
【0035】架橋ポリエステル樹脂(ii)としては、その軟化点が130゜C〜180゜Cの範囲であることが好ましいが、中でも、140゜C〜170゜Cの範囲がより好ましい。また、THF不溶分の含有率は0を越えて20%以下、THF可溶分のMwは100000〜400000、Mw/Mnは10以上、特に15以上であることが好ましい。
【0036】軟化点が130゜C未満、あるいはMwが100000以下の場合は、トナーが定着時にオフセット現象を生じやすく、軟化点が180゜Cを越える場合、THF不溶分が20%以上、Mwが400000を越える場合には定着性が悪くなることが多い。
【0037】直鎖状ポリエステル樹脂(i)と架橋ポリエステル樹脂(ii)の混合比率は、重量比(i)/(ii)=2/8〜8/2であることが好ましく、3/7〜7/3であることがより好ましい。直鎖状ポリエステル樹脂の混合比率がこの範囲であると、優れた定着性と優れた耐オフセット性を兼備することが出来る。
【0038】一方、直鎖状ポリエステル、架橋ポリエステル両者ともガラス転移温度(Tg)は45゜C以上のものが好ましく、中でも、Tgが50゜C〜85゜Cのものが特に好ましい。
【0039】さらに、酸価については1〜20mgKOH/gが好ましく、中でも、3〜10mgKOH/gであることが特に好ましい。酸価が高すぎると吸湿性が増し帯電量の低下を招く場合があり、保存性、現像性の点で好ましくない。
【0040】本発明に使用される着色剤としては、上記式(1)を満足するものであれば特に制限されるものではなく、従来公知のものがあげられる。具体的には、黒の着色剤としては製法により分類されるファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、等のカーボンブラックが、青系の着色剤としてはフタロシアニン系のC.I.Pigment Blue 15−3、インダンスロン系のC.I.Pigment Blue 60等が、赤系の着色剤としてはキナクリドン系のC.I.Pigment Red 122、アゾ系のC.I.Pigment Red 22、C.I.PigmentRed 48:1、C.I.Pigment Red 48:3、C.I.Pigment Red 57:1等が、黄系の着色剤としてはアゾ系のC.I.Pigment Yellow 12、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Yellow 14、C.I.Pigment Yellow 17、C.I.Pigment Yellow 97、C.I.Pigment Yellow 155、イソインドリノン系のC.I.Pigment Yellow 110、ベンズイミダゾロン系のC.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 154、C.I.Pigment Yellow 180、等がある。着色剤の含有量は、1重量部から20重量部の範囲内にある。これらの着色剤は1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0041】また、本発明では離型剤を用いることができる。
【0042】本発明のトナ−に使用される離型剤としては、公知慣用のものがいずれも使用でき、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス等合成ワックス、カルナウバワックス、モンタン系エステルワックス及び/又はライスワックス等天然ワックスがである。
【0043】また、上記ワックスは単独で用いても組み合わせて用いても良く、バインダー樹脂に対して0.3〜15重量部、好ましくは1〜5重量部含有させることにより良好な定着オフセット性能が得られる。0.3重量部より少ないと耐オフセット性が不充分となりやすく、15重量部より多いとトナーの流動性が低下し、また、キャリア表面に付着しやすくなることによりスペントキャリアが発生しやすくなり、トナーの帯電特性に悪影響を与える場合が多くなる。
【0044】また、本発明では電荷制御剤、特に正帯電性電荷制御剤を用いることができる。
【0045】本発明に用いられる正帯電性電荷制御剤としては、上記式(1)を満足するものであれば特に制限なく、従来公知慣用の正帯電性電荷制御剤を用いることができる。例えば、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、4級アンモニウム塩を含有する樹脂及び/又はアミノ基を含有する樹脂等を1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0046】電荷制御剤の含有量はバインダー樹脂100重量部当たり0.3〜10重量部用いることが好ましく、より好ましくは1〜5重量部である。
【0047】4級アンモニウム塩化合物としては、下記構造の一般式(I)〜(2)の中から選ばれる少なくとも一種であることが特に好ましい。(1)の構造の化合物にはボントロンP−51;(オリエント化学製)が、(2)の化合物にはTP−302、TP−415、TP−610;(保土谷化学製)がある。
【0048】また、さらに下記一般式(3)の化合物を用いることも好ましい。
【0049】一般式(1)
【0050】
【化4】

[式中、R1〜R3はCnH2n+1基を表す。但し、nは1〜10の整数を示す。また、R1〜R3は同じであっても異なっていてもよい。]
【0051】一般式(2)
【0052】
【化5】

[式中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜22個のアルキル基あるいはアルケニル基、炭素数1〜20個の未置換あるいは置換芳香族基、炭素数7〜20個のアラルキル基を表し、A-はモリブデン酸アニオンあるいはタングステン酸アニオン、モリブデンあるいはタングステン原子を含むヘテロポリ酸アニオンを表す。]
【0053】一般式(3)
【0054】
【化6】

[式中、mは1、2または3を示し、そしてnは0、1または2を示し、Mは水素原子、または1価の金属イオンである。X及びZは1または2を示し、Yは0または1を示す。さらに、X=1の時、Y=1、Z=1となりX=2の時、Y=0、Z=2となる。R5〜R12は水素、炭素数1〜30の直鎖状、あるいは枝分かれした飽和または不飽和のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシレン基、一般式(−C2〜5のアルキレン−O)n−R(但し、Rは水素または炭素数1〜4のアルキル基またはアシル基であり、nは1〜10の整数である)で表されるポリアルキルオキシレン基を表し、R1、R2、R3、R4は水素、または、炭素数1〜30の直鎖状、あるいは枝分かれした飽和または不飽和のアルキル基、または一般式(−CH2−CH2−O)n−R(但し、Rは水素または炭素数1〜4のアルキル基またはアシル基であり、nは1〜10の整数である)で表されるオキシエチル基、更に炭素数5〜12の単核−または多核脂環式残基、単核−または多核芳香族残基または芳香脂肪族残基を表す。]
【0055】より具体的には以下の各化合物がある。
【0056】化合物(1−1)
【0057】
【化7】

【0058】化合物(2−1)
【0059】
【化8】

【0060】化合物(2−2)
【0061】
【化9】

【0062】化合物(2−3)
【0063】
【化10】

【0064】化合物(2−4)
【0065】
【化11】

【0066】化合物(2−5)
【0067】
【化12】

【0068】化合物(2−6)
【0069】
【化13】

【0070】化合物(2−7)
【0071】
【化14】

【0072】化合物(2−8)
【0073】
【化15】

【0074】化合物(2−9)
【0075】
【化16】

【0076】化合物(2−10)
【0077】
【化17】

【0078】化合物(2−11)
【0079】
【化18】

【0080】化合物(3−1)
【0081】
【化19】

【0082】化合物(3−2)
【0083】
【化20】

【0084】本発明においては帯電制御剤としてニグロシン系染料と4級アンモニウム塩化合物を併用するのが好ましい。
【0085】ニグロシン系染料と4級アンモニウム塩化合物の使用重量比率は特に制限されないが、1/9〜9/1であることが好ましく、2/8〜8/2であることがより好ましい。ニグロシン系染料は正帯電付与能力が高いが、帯電の均一性・安定性が不充分となりやすく、単独で使用するとカブリが発生しやすくシャープネスが不足した印刷画像となりがちである。4級アンモニウム塩化合物は正帯電付与能力が不充分で単独での使用には工夫がいるが、これら4級アンモニウム塩化合物とニグロシン系染料と併用することにより、相乗効果の結果、帯電の均一性・安定性が得られ、トナー飛散にも効果的かつ有利に働くとともに連続印刷時にカブリのない鮮明な印刷画像が、容易に、安定して得られる。
【0086】ニグロシン系染料の使用重量比率が1より低いとトナーに十分な帯電が得られにくく、正常な現像が行いにくくなり紙への転写効率が低下しやすい。その結果、ベタ部のトナー付着が不均一で画線の輪郭が不鮮明な低画質画像となる傾向にある。また、低帯電であることが影響してトナー飛散の激しい寿命の短い現像剤となることが多い。また、使用重量比率が9より多いと帯電量が高くなりすぎ、連続印刷においてかぶりの多い低濃度・低画質の不安定な帯電挙動を示す現像剤となることが多い。
【0087】このように上記した範囲で選択すれば、目的の帯電量が容易に得られ、結果として高濃度・高画質の印刷となりトナー飛散も極めて少ない現像剤となる。両者の比率を適宜調節する事により最適の帯電量が得られ、かぶりが無く、画線の輪郭がはっきりとした高濃度かつ高品位の印刷が可能な、トナー飛散の無い長寿命の現像剤を得ることができる。
【0088】本発明における着色樹脂粒子は、トナーとして機能し、上記の様なポリエステル樹脂からなるバインダー樹脂、及び着色剤で構成されるが、着色樹脂粒子には、その他の添加剤を含める様にしても良い。
【0089】一例として、例えば金属石鹸、ステアリン酸亜鉛等の滑剤が、研磨剤として、例えば酸化セリウム、炭化ケイ素等が使用できる。
【0090】本発明のトナーは、特定の製造方法によらず極めて一般的な製造方法に依って得る事ができるが、本発明は、樹脂と着色剤と離型剤と帯電制御剤とを、あらかじめヘンシェルミキサー等の混合撹拌機を用いて非溶融状態で良く混合し、次いで樹脂の融点(軟化点)以上で溶融混練することにより好適に実施することができる。
【0091】なお、本発明のトナーを調製するに当たって、各種正帯電制御剤や各種カーボンブラック等のうちで樹脂に分散しにくいものを用いる場合には、例えば、予め正帯電制御剤及び/又はカーボンブラック等を非溶融状態で予備混合してから、それに離型剤を非溶融状態でさらに混合するという二段予備混合してから、それを溶融混練する様にするのが好ましい。即ち、多段予備混合後、溶融混練するのが最適である。
【0092】さらに上記混合品を、粉砕し、分級することにより本発明のトナーを得ることが出来る。
【0093】具体的には例えば、必要に応じて多段予備混合して得た、上記の樹脂、着色剤、離型剤、及び帯電制御剤とを必須成分とする乾式混合物を、例えば2本ロール、3本ロール、加圧ニーダー、又は2軸押し出し機等の混練手段により混合する。この際、樹脂中に、着色剤等が均一に分散すればよく、その溶融混練の条件は特に限定されるものではないが、通常80゜C〜180゜Cで30秒〜2時間である。着色剤は樹脂中に均一に分散するようにあらかじめフラッシング処理、あるいは樹脂と高濃度で溶融混練したマスターバッチを用いても良い。
【0094】次いで、それを冷却後、ターボミル、クリプトロン等の機械式粉砕機、渦巻き式ジェットミル、カウンタージェットミル、衝突板式ジェットミル等のエアー式粉砕機で微粉砕し、風力分級機等により分級するという方法が挙げられる。
【0095】トナー母体を構成する粒子の体積平均粒径は、特に制限されないが、通常5〜15μmとなる様に調整される。
【0096】トナーは、前記着色樹脂粒子のみ(トナー母体)で上記式(1)を満足するものとすることも可能であるが、着色樹脂粒子と外添剤とを併用したトナーのほうが、容易に上記式(1)を満足するものとなりやすい。
【0097】通常、この様にして得られたトナー母体に対しては、外添剤が、例えばヘンシェルミキサー等の混合機を用いて混合される。
【0098】外添剤は、例えばトナーの流動性向上、帯電特性改良などトナー母体の表面改質のために用いられるもので、二酸化珪素(シリカ)、酸化チタン、アルミナ等の無機微粉体及びそれらをシリコーンオイルなどの疎水化処理剤で表面処理したもの、樹脂微粉体等が用いられる。外添剤としては、中でもシリカが上記式を満足させるのが容易なので好ましい。
【0099】シリカとしては、二酸化珪素のうちで疎水性等を有するものが挙げられ、二酸化珪素を各種のポリオルガノシロキサンやシランカップリング剤等で表面処理したものが挙げられる。例えば、次のような商品名で市販されているものがある。
【0100】AEROSIL:R972、R974、R202、R805、R812、RX200、RA200HS、RY200、R809、RX50(日本アエロジル(株))
WACKER:HDK H2000、H2050EP、HDK H3050EP、HVK2150(ワッカーケミカルズイーストアジア(株))
Nipsil:SS−10、SS−15、SS−20、SS−50、SS−60、SS−100、SS−50B、SS−50F、SS−10F、SS−40、SS−70,SS−72F(日本シリカ工業(株))
【0101】これらのシリカは、異なる平均粒子径の2種以上を併用してもよい。また、シリカの使用割合はトナー母体に対して、通常0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%である。
【0102】本発明の静電荷像現像用現像剤は、上記着色樹脂粒子を含む本発明のトナーと、磁性キャリア、好ましくは表面に樹脂被覆した磁性キャリアとからなる。
【0103】本発明に用いられるキャリアのコア剤(磁性キャリア)は通常の二成分現像方式に用いられる鉄粉、マグネタイト、フェライト等が使用できるが、中でも真比重が低く、高抵抗であり、環境安定性に優れ、球形にし易いため流動性が良好なフェライト、またはマグネタイトが好適に用いられる。コア剤の形状は球形、不定形等、特に差し支えなく使用できる。平均粒径は一般的には10〜500μmであるが、高解像度画像を印刷するためには30〜100μmが好ましい。
【0104】また、これらのコア剤を被覆するコーテング樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテルポリビニルケトン、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、スチレン/アクリル共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコン樹脂あるいはその変性品、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、フェノール樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂等が使用できる。
【0105】これらの中でも、特にシリコン樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂が帯電安定性、被覆強度等に優れ、より好適に使用し得る。つまり本発明で用いられる樹脂被覆キャリアは、コア剤としてフェライト、あるいはマグネタイトを用い、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂から選ばれる1種以上の樹脂で被覆された樹脂被覆磁性キャリアであることが好ましい。
【0106】キャリア芯材表面への樹脂の被覆方法は特に手段を選ぶものではないが、被覆樹脂の溶液中に浸漬する浸漬法、被覆樹脂溶液をキャリア芯材表面へ噴霧するスプレー法、あるいはキャリアを流動エアーにより浮遊させた状態で噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリア芯材と被覆樹脂溶液を混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法などが挙げられる。
【0107】被覆樹脂溶液中に使用される溶剤は被覆樹脂を溶解するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が使用できる。キャリア表面への被覆層の厚さは、通常0.1〜3.0μmである。
【0108】樹脂で被覆された本発明で好適に使用されるキャリアは、必要に応じて加熱処理される。特に架橋成分を含む樹脂で被覆した場合、熱架橋反応により皮膜が強化されて、より耐久性に優れたキャリアとなり好ましい。
【0109】また、加熱処理をすると、その温度条件によりトナーと混合した時の帯電量をコントロール出来る。一般に、加熱温度が高い程、帯電量は高くなる傾向にある。通常、加熱処理は、100℃〜300℃の温度で10分〜5時間行われる。
【0110】そして、加熱処理後は、キャリア同士が固着している場合があるので、ストレスをかけてキャリア粒子をほぐすこともある。
【0111】前記の本発明に好適に用いられるトナーとキャリアを組み合わせて現像剤を作製し、該現像剤中の粒径12μm以上16μm未満のトナーの割合と、該トナーの比電荷量とが、前記の式(1)を満足するようにするには、キャリアとして加熱処理された樹脂被覆キャリアを用いることが好ましい。
【0112】着色樹脂粒子を含むトナーと、樹脂被覆磁性キャリアとの重量割合は特に制限されるものではないが、通常キャリア100重量部当たり、トナー0.5〜10重量部である。
【0113】
【実施例】以下、実施例及び比較例を用いて、本発明を更に詳細に説明する。なお、以下において、組成表内の数値は『重量部』を表わす。最初にトナーを調製するにあたって用いたバインダー樹脂の合成例を下記に示す。
【0114】なお、粒度分布はマルチサイザー(コールター社製)を用いて式(1)のAを、トナーの帯電量はE−スパートアナライザー(ホソカワミクロン社製)を用いて式(1)のBを求めた。条件の詳細は以下の通りである。
【0115】(測定条件)
・現像剤作製条件:・混合比:トナー/キャリア=3/97(重量比)
・混合容器:直径5cm、高さ6cmのポリプロピレン製・混合条件:ストローク3cm、1分間に790回転振動、混合時間3分間・測定条件:・E−スパートアナライザー・トナーブロー圧:0.05MPa・カウント粒子数::1000個・電極間電位差:100VE−スパートアナライザーによりトナーの粒径範囲ごとの比電荷量を測定した。なお、マルチサイザーとE−スパートアナライザーのそれぞれで測定した粒度分布はほぼ一致するものである。
【0116】(直鎖ポリエステルAの合成)
・テレフタル酸:332重量部・イソフタル酸:332重量部・ポリオキシプロピレン−(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:1500重量部を攪拌器、コンデンサー、温度計をセットした四つ口フラスコに入れ、窒素ガス気流下、4重量部のテトラブチルチタネートを添加し、脱水縮合により生成した水を除去しながら、240゜Cにて15時間常圧で反応させた。その後順次減圧し5mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に準じる軟化点により追跡し、軟化点が95゜Cに達した時反応を終了した。得られた線状ポリエステルの分子量は、Mw:9500、Mw/Mn:3.1であり、軟化点は96゜C、酸価は4、DSC測定法によるTgは63゜Cであった。
【0117】(架橋ポリエステルBの合成)
・テレフタル酸:332重量部・イソフタル酸:332重量部・ポリオキシプロピレン−(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:700重量部・トリメチロールプロパン:80重量部・エチレングリコール:130重量部を攪拌器、コンデンサー、温度計をセットした四つ口フラスコに入れ、窒素ガス気流下、4重量部のテトラブチルチタネートを添加し、脱水縮合により生成した水を除去しながら、240゜Cにて10時間常圧で反応させた。その後順次減圧し5mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に準じる軟化点により追跡し、軟化点が151゜Cに達した時反応を終了した。得られた架橋ポリエステルのTHF不溶分は5%、THF可溶分の分子量は、Mw:180000、Mw/Mn:48であり、軟化点は153゜C、酸価は4、DSC測定法によるTgは65゜Cであった。THF不溶分は合成した樹脂粉末1gを専用の濾紙にとり、THFを溶媒としてソックスレー型環流装置にて8時間環流することにより求めた。
【0118】(実施例1)
<トナーの製造>・直鎖ポリエステルA:33重量部・架橋ポリエステルB:67重量部・カーボンブラック・ブラックパールズL(キャホ゛ットスヘ゜シャルティーケミカルス゛ンク製):5重量部・帯電制御剤(正帯電制御剤)
・ニグロシン系染料・ボントロン N−07(オリエント化学工業(株)製):2重量部・4級アンモニウム塩化合物・ボントロン P−51(オリエント化学工業(株)製):1重量部・ワックス・精製カルナウバワックスNo.1(酸価5、セラリカNODA(株)製):2重量部をヘンシェルミキサーで混合し、2軸混練機で混練する。このようにして得た混練物を粉砕、ついで12μm以上16μm未満の粒径の体積%が13.0%になるように分級してトナー原体A’を得た。
【0119】・上記トナー原体A’:100重量部・シリカHDK3050EP(ワッカーケミカルズ(株)):1重量部をヘンシェルミキサーで混合の後、篩いかけをして、トナーA”得た。
【0120】<現像剤の調整>・上記トナーA”:3重量部・キャリア(シリコン樹脂被覆フェライトキャリア)J:97重量部を混合攪拌して現像剤Aを調整した。
【0121】キャリアJはフェライト粒子にシリコン樹脂を塗布した後、250℃にて10分間加熱処理して被覆樹脂を架橋させて製造したキャリアである。
【0122】以下同様に表1の配合にてトナーを製造し、現像剤A(実施例1)と同様にして現像剤B(実施例2)、現像剤C(実施例3)、現像剤E(実施例5)、現像剤F(比較例1)を製造した。
【0123】現像剤D(実施例4)については、表1記載の配合にて実施例3と同様にトナーを作製の後、キャリア(フッソアクリル樹脂被覆マグネタイトキャリア)Kを用いた他は実施例1と同様に製造した。
【0124】キャリアKはマグネタイト粒子にフッソアクリル樹脂を塗布した後、250℃にて10分間加熱処理して被覆樹脂を架橋させて製造したキャリアである。
<現像剤Dの調整>・上記トナーC”:3重量部・キャリア(フッソアクリル樹脂被覆マグネタイトキャリア)K:97重量部【0125】現像剤G(比較例2)については、実施例3と同一のトナーを用い、キャリア(シリコン樹脂被覆フェライトキャリア)Lを用いた他は実施例3と同様に製造した。
【0126】キャリアLは、キャリアJよりも加熱処理温度が50℃低い条件で処理したキャリアである。
<現像剤Gの調整>・上記トナーC”:3重量部・キャリア(シリコン樹脂被覆フェライトキャリア)L:97重量部【0127】12〜16μmの粒径の割合(A)はマルチサイザーにて粒度分布を測定し、体積%の数値から求めた。
【0128】表1.配合表【表1】

TP−302;保土谷化学製【0129】また、上記実施例及び比較例で得られた現像剤について、トナーの帯電量分布をE−スパートアナライザーを用いて測定し、各粒径と各粒径における比電荷量の測定値から、それぞれの現像剤のトナー粒子粒径が12〜16μmのトナーのQ/M(B)を求めた。結果を表2にまとめた。
【0130】表2.
【表2】

【0131】このように、実施例1〜5は式(1)を満たしているのに対し、比較例1,2は満たしていないことが分かる。
【0132】上記現像剤を用いて、分速4.5mの正帯電トナー用プリンターで連続紙での300m連続印字を行い、その際の100m印字後および300m印字後の現像器内部のトナー飛散状況を目視観察した。観察結果を表3に示す。
【0133】表3.
【表3】

○:飛散が全く観察されない△:飛散がほとんど見えないが、装置内部をウエスで拭くとトナー汚れが観察される×:機内飛散が目視で確認出来る××:ひどい機内飛散が確認出来る【0134】このように、実施例1〜5ではトナー飛散が少なく良好であるのに対し、比較例1〜3ではトナー飛散が多く、現像器内部を汚してしまった。
【0135】
【発明の効果】このように、本発明によれば少なくともバインダー樹脂、及び着色剤を含有してなる着色樹脂微粒子と、磁性キャリアからなる静電荷像現像用現像剤において、前記着色微粒子が式(1)を満足するので、トナー飛散が少なく、長期連続使用においても装置内部の汚れが少なく、トナー飛散による印字画像の汚染(カブリ)の少ない画像を得ることができる。特に式(1)を満足する着色樹脂粒子(トナー)を含む静電荷像現像剤は、20m/分を超えるような、更には30m/分を超えるような高速印刷を行う現像装置用の現像剤として有効に使用できる。
【出願人】 【識別番号】000002886
【氏名又は名称】大日本インキ化学工業株式会社
【出願日】 平成12年12月27日(2000.12.27)
【代理人】 【識別番号】100088764
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 勝利
【公開番号】 特開2001−305777(P2001−305777A)
【公開日】 平成13年11月2日(2001.11.2)
【出願番号】 特願2000−397259(P2000−397259)