| 【発明の名称】 |
電子写真感光体、カートリッジ及び電子写真装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】真下 清和
【氏名】小嶋 文夫
【氏名】小関 一浩
【氏名】上坂 友純
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| 【要約】 |
【課題】電気特性、画質等の本来の電子写真特性を損なわずに高い耐摩耗性及び高い潤滑性を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を備えたカートリッジ及び電子写真装置を提供すること。
【解決手段】導電性支持体と、該導電性支持体上に配置された感光層と、を備えた電子写真感光体であって、前記感光層の表面層が、少なくとも一種の電荷輸送性ポリマーと、少なくとも一種のフッ素原子含有樹脂微粒子と、を含有することを特徴とする電子写真感光体。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 導電性支持体と、該導電性支持体上に配置された感光層と、を備えた電子写真感光体であって、前記感光層の表面層が、少なくとも一種の電荷輸送性ポリマーと、少なくとも一種のフッ素原子含有樹脂微粒子と、を含有することを特徴とする電子写真感光体。 【請求項2】 前記表面層が更に、少なくとも一種のフッ素系樹脂を含有することを特徴とする、請求項1に記載の電子写真感光体。 【請求項3】 前記電荷輸送性ポリマーが下記式[1]:【化1】
(式中、R1、R2及びR3はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、置換又は無置換のアリール基、又はハロゲン原子を表し、Xは置換又は未置換の2価の基を表し、k及びlはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、0又は1を表し、Tは炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の2価の炭化水素基を表す)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。 【請求項4】 前記フッ素原子含有樹脂微粒子がポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロエチレンプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリジクロロジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、及びテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の電子写真感光体。 【請求項5】 前記フッ素原子含有樹脂微粒子の含有量が前記表面層中の固形分全量基準で0.1〜20重量%であることを特徴とする、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の電子写真感光体。 【請求項6】 前記フッ素原子含有微粒子の平均粒径が0.01〜10μmであることを特徴とする、請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の電子写真感光体。 【請求項7】 前記表面層と前記導電性支持体との間に少なくとも一つの電荷発生層を備えたことを特徴とする、請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の電子写真感光体。 【請求項8】 請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の電子写真感光体と、前記電気写真感光体を保持するための支持体と、を備えることを特徴とするカートリッジ。 【請求項9】 請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体の周囲に配置されており、前記電子写真感光体を帯電させるための帯電装置と、前記電子写真感光体の周囲に配置されており、前記電子写真感光体上に静電潜像を形成するための画像入力装置と、前記電子写真感光体の周囲に配置されており、前記静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成するための現像装置と、前記電子写真感光体の周囲に配置されており、前記トナー像を転写材に転写するための転写装置と、前記転写手段の周囲に配置されており、前記転写材にトナー像を定着させるための像定着装置と、前記電子写真感光体の周囲に配置されており、前記電子写真感光体上に残存したトナーを除去するためのクリーニング装置と、を備えることを特徴とする電子写真装置。 【請求項10】 請求項7に記載のカートリッジを備えることを特徴とする、請求項9に記載の電子写真装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は電子写真感光体に関し、詳しくは、耐久性及び表面の潤滑性に優れた電子写真感光体に関する。 【0002】 【従来の技術】電子写真技術は処理速度が速くしかも高い印字品質が得られるという利点を有しているので、近年、複写機およびレーザービームプリンター等の分野においてその適用が急速に進められている。ここで、電子写真技術において用いられる電子写真感光体としては、従来よりセレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、硫化カドミウム等の無機光導電材料を用いたものが広く知られている。 【0003】一方、これらの無機光導電材料を用いた電子写真感光体に比べて製造性および廃棄性の点で優れ、しかも安価である有機光導電材料を用いた電子写真感光体の研究も活発となっている。中でも、露光により電荷を発生する電荷発生層と電荷を輸送する電荷輸送層とを積層した機能分離型の有機積層型感光体は、感度、帯電性およびその繰り返し安定性等の電子写真特性の点で優れているため、種々の提案がなされ、実用化されている。 【0004】これらの有機積層型感光体は上記の電子写真特性に関しては十分な性能を有するものである。しかしながら、近年の複写機、プリンターにおいてはカラー化、高速化、小型化に伴いプロセスの複雑化、高ストレス化が進みつつあり、このような苛酷な条件下で使用する場合には有機積層型感光体では機械的外力に対する耐久性が不十分であった。すなわち、トナー、現像剤、用紙、クリーニング装置材等からの直接的負担により感光体表面に摩擦や傷等が発生したり、トナーフィルミング等の異物付着によって画質欠陥が生じたりするという問題があった。また、コロナ放電により発生するオゾン、窒素酸化物等の低抵抗物質やコピー用紙により生じる紙粉等が有機積層型感光体の表面に付着蓄積すると高湿環境下で画像流れが生じるため、十分に長い感光体寿命を得ることは困難であった。 【0005】これらの問題を解決するためには感光体表面の硬度を増加させる、あるいは感光体表面の潤滑性を増加させる等の方法が有効であると考えられており、その具体的手段として、感光層の表面層中に耐摩耗性及び高い潤滑性を有する微粒子材料を添加して感光体の耐摩耗性および潤滑性を改善する試みが数多く報告されている。例えば、特開平1−205171号公報には無機フィラーを;特開平2−143257号公報には表面酸化処理されたポリエチレン粉体等を;特開平5−45920号公報及び特開平8−62869号公報にはフッ素原子含有樹脂微粒子を;特開昭63−2072号公報には硬化型樹脂又はシリコーン樹脂からなる球状樹脂微粉末を;特開平2−240659号公報にはメラミン−ホルムアルデヒド縮合物又はベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物の微粒子をそれぞれ表面層に添加した有機積層型感光体が開示されている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これらの有機積層型感光体は低分子電荷輸送材料とポリカーボネート等の樹脂からなる電荷輸送層に微粒子材料を添加したものであるため、低分子電荷輸送材料により微粒子材料の分散が阻害された結果、微粒子材料は表面近傍に凝集して多く分布し、内部に向かって分布量が少なくなってしまう。このように微粒子材料の分布が不均一な有機積層型感光体では、長期にわたり高い潤滑性を維持することは困難であった。 【0007】微粒子材料の分散性を高める手段としてはシリコンオイルや界面活性剤等の分散助剤を用いる方法があるが、分散助剤の使用は、感度低下、発生したキャリアの移動の阻害による感光体の光減衰特性の悪化、高い残留電位の発生による繰り返し安定性の低下、画質上でのカブリ、黒点、白ヌケ等の障害等、本来の電気特性や画質に2次障害を与えてしまうので好ましくない。また、特開平8−62869号公報にはフッ素原子含有樹脂微粒子の分散性を向上させるためにフッ素系クシ型グラフトポリマーを添加する技術が開示されているが、このような方法を用いた場合であっても微粒子材料の分散性は不十分であった。 【0008】更に、最近になり、酸化性ガスの発生が少なくなる、電源コストが抑えられる等の理由から接触帯電方式を用いた複写機やプリンタが増えているが、感光体の帯電電位を安定させるために交流成分を有する印加電圧を用いると、電荷輸送層に対する負荷の増大により電荷輸送成分の分解が起こり、その結果感光体の耐摩耗性が低下するという問題があった。 【0009】本発明は上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、電気特性、画質等の本来の電子写真特性を損なわずに高い耐摩耗性及び高い潤滑性を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を備えたカートリッジ及び電子写真装置を提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、感光層の表面層に電荷輸送性ポリマーとフッ素原子含有樹脂微粒子とを含有させた電子写真感光体により上記課題が解決することを見出し、本発明を完成するに至った。 【0011】すなわち、本発明の電子写真感光体は、導電性支持体と、該導電性支持体上に配置された感光層と、を備えた電子写真感光体であって、前記感光層の表面層が、少なくとも一種の電荷輸送性ポリマーと、少なくとも一種のフッ素原子含有樹脂微粒子と、を含有することを特徴とするものである。 【0012】また、本発明のカートリッジは、上記の電子写真感光体と、前記電気写真感光体を保持するための支持体と、を備えることを特徴とするものである。 【0013】更に、本発明の電子写真装置は、上記の電子写真感光体と、前記電子写真感光体の周囲に配置されており、前記電子写真感光体を帯電するための帯電装置と、前記電子写真感光体の周囲に配置されており、前記電子写真感光体上に静電潜像を形成させるための画像入力装置と、前記電子写真感光体の周囲に配置されており、前記静電潜像にトナーを付着させるための現像装置と、前記電子写真感光体の周囲に配置されており、前記静電潜像に付着した前記トナーを転写材に付着させるための転写装置と、前記転写手段の周囲に配置されており、前記転写材にトナーを定着させるための像定着装置と、前記電子写真感光体の周囲に配置されており、前記電子写真感光体上に残存したトナーを除去するためのクリーニング装置と、を備えることを特徴とするものである。 【0014】本発明によれば、感光層の表面層に電荷輸送性ポリマーとフッ素原子含有樹脂微粒子とを含有させることによって、フッ素原子含有樹脂微粒子の表面層への分散性が高められ、感光層の機械的強度が向上する。また、電荷輸送性ポリマーは電荷輸送成分をポリマー構造中に有するので、交流成分の放電等による電荷輸送成分の分解が抑制され、感光層の電気的強度が向上する。従って、このような感光層を備えた電子写真感光体においては、長期間にわたって、電気特性、画質等の本来の電子写真特性を損なわずに高い耐摩耗性及び高い剥離性が達成される。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。 【0016】本発明の電子写真感光体は、導電性支持体と、該導電性支持体上に配置された感光層と、を備えた電子写真感光体であって、前記感光層の表面層が、少なくとも一種の電荷輸送性ポリマーと、少なくとも一種のフッ素原子含有樹脂微粒子と、を含有するものである。 【0017】前記電荷輸送性ポリマーとしては、従来より公知の単独重合体、共重合体、ブロック重合体、クラフト重合体、スターポリマー等を用いることが可能であり、具体的には、カルバゾール環を有する重合体(特開平4−183719号公報に記載の化合物等)、ヒドラゾン構造を有する重合体(特開平3−50555号公報に記載の化合物等)、第三級アミン構造を有する重合体(特許第2865020号公報に記載の化合物等)等が挙げられる。これらの重合体の中でも、下記式[1]:【0018】 【化2】
【0019】(式中、R1、R2及びR3はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、置換又は無置換のアリール基、又はハロゲン原子を表し、Xは置換又は無置換の2価の基を表し、k及びlはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、0又は1を表し、Tは炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の2価の炭化水素基を表す)で表される繰り返し単位を有する重合体を用いることが好ましく、下記式[2]又は[3]:【0020】 【化3】
【0021】 【化4】
【0022】[式中、Y及びZはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、2価の炭化水素基を表し、Aは下記式[4]:【0023】 【化5】
【0024】(式中、R1及びR2はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、又はハロゲン原子を表し、Xは置換又は無置換の2価の芳香族炭化水素基を表し、nは1〜5の整数を表し、kは0又は1を表す)で表される基を表し、B及びB’はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、下記式[5]又は[6]:【0025】 【化6】
【0026】 【化7】
【0027】(式中、R’は水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアリール基、又は置換あるいは無置換のアラルキル基を表し、Y及びZはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、2価の炭化水素基を表し、m’は0又は1を表す)で表される基を表し、mは1〜5の整数を表し、pは5〜5000の整数を表す]で表される重合体を用いることがより好ましい。このような重合体を電荷輸送性ポリマーとして用いると、より高い電荷輸送性及び化学的安定性が得られる傾向にある。 【0028】ここで、Xとしては、下記式[7]〜[13]:【0029】 【化8】
【0030】 【化9】
【0031】 【化10】
【0032】 【化11】
【0033】 【化12】
【0034】 【化13】
【0035】 【化14】
【0036】[式中、R4は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、置換あるいは無置換のフェニル基、置換あるいは無置換のアラルキル基を表し、R5、R6、R7、R8及びR9はそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換あるいは無置換のフェニル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、又はハロゲン原子を表し、R5とR6、R7とR8はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、aは0又は1を表し、Vは下記式[14]〜[23]:【0037】 【化15】
【0038】 【化16】
【0039】 【化17】
【0040】 【化18】
【0041】 【化19】
【0042】 【化20】
【0043】 【化21】
【0044】 【化22】
【0045】 【化23】
【0046】 【化24】
【0047】(式中、bは1〜10の整数を表し、cは1〜3の整数を表す)で表される基のうちのいずれか一種を表し、式[11]及び[12]において他の基と結合する2つの炭素原子はそれぞれ同一のベンゼン環上の炭素であっても異なるベンゼン環上の炭素であってもよい]で表される基のうちのいずれか一種であることが好ましい。Xが上記式[7]〜[13]で表される基のうちのいずれか一種であるとより高い電荷輸送能及び機械的強度が得られる傾向にある。 【0048】また、Y及びZとしては、下記式[24]〜[30]:【0049】 【化25】
【0050】 【化26】
【0051】 【化27】
【0052】 【化28】
【0053】 【化29】
【0054】 【化30】
【0055】 【化31】
【0056】(式中、R10及びR11はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換あるいは無置換のフェニル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、又はハロゲン原子を表し、d及びeはそれぞれ1〜10の整数を表し、f及びgはそれぞれ0〜2の整数を表し、h及びiはそれぞれ0又は1を表し、Vは上記式[14]〜[23]で表される基のうちのいずれかを表す)で表される基のうちのいずれか一種であることが好ましい。Y及びZが上記式[24]〜[30]で表される基のうちのいずれか一種であるとより高い電荷輸送能及び機械的強度が得られる傾向にある。 【0057】更に、上記式[2]及び[3]における重合度pは5〜5000であり、好ましくは10〜1000である。重合度pが5未満であると成膜性が低下して強固な膜が得られず、5000を超えると溶剤に対する溶解性が低下して加工性が悪くなる。また、上記式[2]及び[3]の重量平均分子量は10000〜300000であることが好ましい。重量平均分子量が10000未満であると成膜性が低下して強固な膜が得られ難くなる傾向にあり、300000を超えると溶剤に対する溶解性が低下して加工性が悪くなる傾向にある。 【0058】本発明にかかる電荷輸送性ポリマーの好ましい例、すなわち、上記式[2]又は[3]で表される重合体におけるX、Y、Z、R1、R2、結合位置(式[4]中の2〜4位のうちのいずれか)、k、m、n及びpの好適な組み合わせを表1〜10に示す。なお、表中、Zの欄が「−」と記載されているもの(例えば化合物1等)は重合体[2]の好ましい例であり、Zの欄に基の構造が記載されているもの(例えば化合物8等)は重合体[3]の好ましい例である。表1〜10に記載の化合物のようにポリマー骨格中に電荷輸送構造を有することは、ペンダントポリマーのように側鎖に電荷輸送構造を有するものに比べてフッ素原子含有樹脂微粒子の分散を阻害しない点で好ましい。これらの中でも、Xが下記式[31]又は[32]:【0059】 【化32】
【0060】 【化33】
【0061】で表されるビフェニル構造を有する重合体は、モビリティーが高いという点で特に好ましい。 【0062】 【表1】
【0063】 【表2】
【0064】 【表3】
【0065】 【表4】
【0066】 【表5】
【0067】 【表6】
【0068】 【表7】
【0069】 【表8】
【0070】 【表9】
【0071】 【表10】
【0072】前記重合体[2]及び[3]は従来より公知の方法を用いて合成することが可能である。以下にその合成方法を説明する。 【0073】重合体[2]及び[3]の合成においては、下記式[33]:【0074】 【化34】
【0075】[式中、R1、R2、X、k及びnは上記式[4]と同一の定義内容を表し、Eは水酸基、ハロゲン原子又は下記式[34]:【0076】 【化35】
【0077】(式中、R12はアルキル基、置換又は未置換のアリール基又はアラルキル基を表す)で表される基を表す]で表される単量体が使用される。ここで、前記単量体[33]の合成方法としては、アリールアミン又はジアリールベンジジンとハロゲン化カルボアルコキシアルキルベンゼンとを反応させる方法を用いることが好ましい。このような方法を用いると、アルキレン基が芳香環上の所望の位置に結合した単量体が容易に得られ、これを用いて合成した重合体のイオン化ポテンシャルの制御が容易となる傾向にある。なお、特開平5−80550号公報にはアルキレンカルボン酸エステル基を有する電荷輸送材料の合成方法として、所定の化合物にハロゲン化アルキル基を導入した後マグネシウム(Mg)を用いてグリニヤール試薬とし、該グリニヤール試薬と二酸化炭素とを反応させて得られたカルボン酸をエステル化する方法が記載されている。しかしながら、この方法を用いるとハロゲン化アルキルの高い活性により芳香環のハロゲン化反応が起こりやすく、目的の単量体の収率が低下する傾向にある。 【0078】このようにして得られた単量体を、従来より公知の方法(例えば、日本化学会編、丸善出版、平成4年5月6日発行、第4版実験化学講座28巻、p208〜242)を用いて重合することによって上記式[2]及び[3]で表される電荷輸送性ポリマーを得ることができる。 【0079】例えば、上記式[33]においてEが水酸基である場合、単量体[33]と下記式[35]:【0080】 【化36】
【0081】(式中、Y及びmは上記式[2]と同一の定義内容を表す)で表される2価アルコールとの等量混合物を酸触媒の存在下で反応させることにより、上記式[2]で表される電荷輸送性ポリマーを得ることができる。ここで、前記酸触媒としては硫酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられ、これらの酸触媒は単量体[33]1重量部に対して1/10000〜1/10重量部、好ましくは1/1000〜1/50重量部が使用される。また、上記の重合反応においては反応の進行に伴い生成する水が除去されるが、水と共沸可能な溶剤を前記等量混合物に加えて反応を行うことが好ましい。このような溶剤としてはトルエン、クロロベンゼン、1−クロロナフタレン等が挙げられ、これらの溶剤は単量体[33]1重量部に対して1〜100重量部が使用される。 【0082】反応終了後、反応液をアルコール類、アセトン等の貧溶剤中に滴下して析出した化合物を濾過等により分離し、更に水又は有機溶剤で洗浄し、乾燥して目的の電荷輸送性ポリマーが得られる。なお、必要に応じて、得られた電荷輸送性ポリマーを適当な有機溶剤に溶解させた溶液を貧溶剤に滴下し、ポリマーを析出させる再沈殿処理を繰り返してもよい。再沈殿処理の際には、メカニカルスターラー等で貧溶剤を効率よく攪拌することが好ましい。また、電荷輸送性ポリマーを溶解させる溶剤は、電荷輸送性ポリマー1重量部に対して1〜1000重量部、好ましくは10〜500重量部が使用される。 【0083】上記式[33]におけるEがハロゲン原子である場合は、ピリジン、トリエチルアミン等の有機塩基性触媒の存在下、単量体[33]を有機溶剤に溶解させた溶液と、単量体[33]と等量の2価アルコール[35]を含む水溶液とを混合して激しく攪拌した後、上記と同様にして分離、洗浄を行うことによって電荷輸送性ポリマー[2]を得ることができる。ここで、前記有機塩基性触媒は単量体[33]1当量に対して1〜10当量、好ましくは2〜5当量が使用される。また、前記有機溶剤としては、塩化メチレン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、クロロベンゼン、1−クロロナフタレン等が挙げられる。更に、2価アルコール[34]を溶解させる水は、2価アルコール[35]1重量部に対して1〜1000重量部、好ましくは2〜500重量部が使用される。更にまた、上記反応においてアンモニウム塩、スルホニル塩等の相関移動触媒を用いると反応が促進される傾向にあるので好ましい。 【0084】上記式[33]におけるEが上記式[34]で表される基である場合は、先ず、無機酸、酢酸塩、炭酸塩、金属酸化物等の存在下、単量体[33]と、単量体[33]に対して過剰量の2価アルコール[35]とを混合、加熱してエステル交換反応を行い、得られた中間生成物を重合させることによって電荷輸送性ポリマー[2]を得ることができる。ここで、2価アルコール[35]の使用量は、単量体[33]1当量に対して2〜100当量、好ましくは3〜50当量である。また、前記無機酸としては硫酸、リン酸等;前記酢酸塩及び前記炭酸塩としてはチタンアルコキシド、カルシウムあるいはコバルトの酢酸塩又は炭酸塩等;前記金属酸化物としては酸化亜鉛、酸化鉛等、が挙げられ、これらの化合物は単量体[33]1重量部に対して1/10000〜1重量部、好ましくは1/1000〜1/2重量部が使用される。更に、前記エステル交換反応は200〜300℃で行うことが好ましく、また、エステル交換反応終了後の重合反応は減圧下で行うことが好ましい。重合反応を減圧下で行うと反応が促進される傾向にある。更にまた、上記の反応においては、中間生成物の重合に伴い生成する2価アルコール[35]が除去されるが、2価アルコール[35]と共沸可能な1−クロロナフタレン等の高沸点溶剤を使用すると、常圧下で2価アルコール[35]を除去しながら重合反応を行うことができる。 【0085】上記式[3]で表される電荷移動性ポリマーは、単量体[33]と、単量体[33]に対して過剰量の2価アルコール[35]と、を反応させて下記式[36]:【0086】 【化37】
【0087】(式中、R1、R2、X、Y、k、m及びnは上記式[3]と同一の定義内容を表す)で表される単量体を得、次いで、上記と同様の方法を用いて、単量体[36]と2価カルボン酸又はそのハロゲン化物とを反応させることにより得ることができる。 【0088】一方、本発明において使用されるフッ素原子含有樹脂微粒子としては特に制限はないが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロエチレンプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリジクロロジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、又はテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体からなるものであることが好ましい。これらのフッ素原子含有樹脂微粒子を用いると、より高い耐摩耗性及びより高い潤滑性が得られる傾向にある。また、前記フッ素原子含有樹脂微粒子の含有量は、表面層中の固形分全量基準で0.1〜20重量%であることが好ましく、1〜10重量%であることがより好ましい。フッ素原子含有樹脂微粒子の含有量が0.1重量%未満であると潤滑性が不十分となる傾向にあり、20重量%を超えると耐摩耗性の低下や残留電位の上昇が起こりやすい傾向にある。更に、フッ素原子含有樹脂微粒子の平均粒径は、0.01〜10μmであることが好ましく、0.01〜5μmであることがより好ましい。フッ素原子含有樹脂微粒子の平均粒径が0.01μm未満であると潤滑性が不十分となる傾向にあり、10μmを超えると分散性が不十分となるとともに成膜後の表面に凹凸を生じ、均一な電荷分布が得られ難くなる傾向にある。 【0089】なお、本発明にかかる感光層は、電荷輸送性ポリマーとフッ素原子含有樹脂微粒子とを用いることによりフッ素原子含有樹脂微粒子が均一に分散した表面層を備えるものであるが、該表面層が更に少なくとも一種のフッ素系樹脂を含有するものであると、前記フッ素原子含有樹脂微粒子の分散性がより向上する傾向にあるので好ましい。ここで、前記フッ素系樹脂としては、具体的には、フッ素系グラフトポリマー、フッ化アルキル基等のフッ素電子含有基を有する重合成分と水酸基又はカルボキシ基を有する重合成分とからなる共重合体等が挙げられる。これらの中でも、フッ素系グラフトポリマーを用いることは、フッ素原子含有樹脂微粒子の分散性がより向上する点で好ましい。また、前記フッ素系樹脂の含有量は、表面層中の固形分全量基準で0.01〜5重量%であることが好ましく、0.02〜2重量%であることがより好ましい。フッ素系樹脂の含有量が前記下限値未満であると十分に高い分散性向上効果が得られない傾向にあり、前記上限値を超えると残留電位の上昇及び機械的強度の低下が起こりやすい傾向にある。これらのフッ素系樹脂は、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン等の構造を有し且つ分子鎖の末端に重合性の官能基を有するオリゴマー(分子量:1000〜10000)と、フッ化アルキル基等のフッ素原子含有基を側鎖に有するモノマー(単量体)と、の共重合反応により得ることができる。 【0090】本発明の電子写真感光体における感光層は、電荷輸送性ポリマー、フッ素原子含有樹脂微粒子及び電荷発生材料を同一の層に含有する単一層型であってもよく、電荷発生材料及びバインダ樹脂を含有する電荷発生層と、電荷輸送性ポリマー及びフッ素原子含有樹脂微粒子を含有する電荷輸送層と、に機能を分離した積層型であってもよいが、好ましくは機能分離型の積層型感光体である。機能分離型の積層型感光体であると、感度、帯電性及び繰り返し安定性がより向上する傾向にある。 【0091】ここで、前記電荷発生材料としては、非晶質セレン、結晶性セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金等のセレン化合物又はセレン合金、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機系光導電性材料;フタロシアニン系化合物、スクアリウム系化合物、アントアントロン系化合物、ペリレン系化合物、アゾ系化合物、アントラキノン系化合物、ピレン系化合物、ピリリウム塩、チアピリリウム塩等の有機顔料又は染料、等が挙げられる。これらの電荷発生材料の中でも、無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン等のフタロシアニン系化合物を用いることは感度、環境安定性、繰り返し安定性がより向上するという点で好ましい。また、前記電荷発生材料の含有量に特に制限はないが、感光層が単層型である場合には、感光層中の固形分全量基準で20〜60重量%であることが好ましい。電荷発生材料の含有量が前記下限値未満であると感度の低下及び繰り返し安定性の低下が起こりやすくなる傾向にあり、前記上限値を超えると暗減衰の増加及び環境安定性の低下が起こりやすくなる傾向にある。 【0092】前記感光層が積層型である場合、前記バインダ樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、シリコン樹脂、フェノール樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。これらのバインダ樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上の混合物として使用してもよい。なお、前記バインダ樹脂の使用量に特に制限はないが、電荷発生材料1重量部に対して0.3〜2重量部であることが好ましい。バインダ樹脂の使用量が前記下限値未満であると塗膜強度の低下及び暗減衰の増加が起こりやすくなる傾向にあり、前記上限値を超えると感度の低下及び繰り返し安定性の低下が起こりやすくなる傾向にある。 【0093】なお、前記感光層が積層型である場合には、感光層と導電性支持体との間に下引層を設けてもよい。下引層とは、積層構造を有する感光層が帯電した場合に、導電性支持体から感光層へ電荷が流入することを阻止するとともに、感光層を導電性支持体に対して一体的に接着保持させる接着層として機能し、更にその材質によっては導電性支持体の光反射を防止する層を意味する。ここで、下引層に使用するバインダ樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ジルコニウムキレート化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物、有機チタニル化合物、シランカップリング剤等が挙げられ、これらのバインダ樹脂は1種を単独で使用してもよく、2種以上の混合物として使用してもよい。更に、これらのバインダ樹脂は、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、シリコーン樹脂等の微粒子と混合して使用することもできる。 【0094】本発明に使用する導電性支持体としては、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類;アルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、バナジウム、酸化スズ、酸化インジウム、ITO(酸化インジウムスズ)等の薄膜を設けたプラスチックフィルム;導電性付与剤を塗布又は含浸させた紙又はプラスチック、等が挙げられる。これらの導電性支持体の形状に特に制限はないが、一般的には、ドラム状、シート状、プレート状等の形状で使用される。なお、前記導電性支持体は、画質に影響のない範囲で、表面の酸化処理、薬品処理、着色処理、乱反射処理(砂目立て等)等を行うことができる。 【0095】更に、本発明においては、酸化防止剤、光安定化剤、熱安定剤等の添加剤を前記感光層に配合することができる。ここで、酸化防止剤としてはヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、p−フェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びこれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機リン化合物等;光安定化剤としてはベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン及びこれらの誘導体等、が挙げられる。これらの添加剤を感光層に配合すると、複写機中で発生するオゾンや酸化性ガス、光、熱等による感光体の劣化が抑制される傾向にある。 【0096】更にまた、本発明の電子写真感光体においては電荷輸送性ポリマー及びフッ素原子含有樹脂微粒子を含有する層が表面層となるが、該表面層と導電性支持体との間に低分子電荷輸送材料及びバインダ樹脂を含有する電荷輸送層を配置してもよい。ここで、前記低分子電荷輸送材料及びバインダ樹脂としては、それぞれ従来より公知のものが使用できる。 【0097】次に、本発明の電子写真感光体の製造方法について説明する。 【0098】感光層が電荷発生層と電荷輸送層とを備えた機能分離型の積層構造である場合は、先ず、電荷発生材料及びバインダ樹脂を含有する溶液を導電性支持体に塗布して電荷発生層を成膜する。次に、電荷輸送性ポリマー及びフッ素原子含有樹脂微粒子を含有する溶液を電荷発生層上に更に塗布して電荷輸送層を成膜し、本発明の電子写真感光体が得られる。ここで、電荷輸送性ポリマーを溶解させる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環上又は直鎖状のエーテル類、等が挙げられ、これらの溶剤は単独で使用してもよく、2種以上の混合物として使用してもよい。また、フッ素原子含有樹脂微粒子及び電荷発生材料を溶液に分散させる方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライター、ダイノミール等を用いた従来より公知の方法を使用することができる。更に、溶液を導電性支持体上に塗布する方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の従来より公知の方法を使用することができる。更に、前記電荷発生層及び電荷輸送層の膜厚に特に制限はないが、電荷発生層の膜厚は、通常0.01〜5.0μm、好ましくは0.1〜2.0μmであり、電荷輸送層の膜厚は、通常10〜30μm、好ましくは15〜30μmである。 【0099】一方、感光層が電荷輸送ポリマー、フッ素原子含有樹脂微粒子及び電荷発生材料を同一の層に含有する単一層構造である場合は、電荷輸送性ポリマーを溶剤に溶解させ、この溶液にフッ素原子含有樹脂微粒子及び電荷発生材料を加えて分散させ、得られた溶液を導電性支持体上に塗布することにより本発明の電子写真感光体を得ることができる。ここで、使用する溶剤及び溶液の塗布方法は、上記の積層型感光層の場合と同様のものが使用できる。また、前記感光層の膜厚に特に制限はないが、通常10〜100μm、好ましくは20〜40である。 【0100】このようにして得られた本発明の電子写真感光体は高い耐久性及び潤滑性を有しており、これを複写機又はレーザープリンターに用いた場合に、感光体表面の帯電、トナー現像、紙への転写、クリーニング等の工程による電気的及び機械的外力を受けても、長期間にわたって高水準の印字品質を維持することが可能となる。なお、本発明の電子写真感光体の形状に特に制限はないが、一般的には、ドラム状、シート状、プレート状等の形状で使用される。 【0101】図1は、本発明の電子写真装置の一例(ドラム状感光体を備えた電子写真装置)を示す概略構成図である。 【0102】図1においては、ドラム状の電子写真感光体1が支持体2によって保持されており、感光体1は支持体2を中心として矢印の方向に所定の回転速度で回転駆動される。この回転過程において、電源3から電圧の供給を受けた接触帯電用部材4により、感光体1はその周面に正又は負の所定電位の均一帯電を受ける。ここで、接触帯電用部材4には、BCR等導電性を付与したゴム状のロールが使用される。また、感光体1を帯電させる他の方法としてはコロナ放電方式等が挙げられるが、接触帯電方式を用いることはオゾンが発生しにくいという点で好ましい。 【0103】次に、感光体1が画像入力装置(露光装置)5にて光像露光を受けることにより、その周面に露光像に対応した静電潜像が形成される。その後、現像装置6にて前記静電潜像にトナーを付着させてトナー像が形成され、転写装置7にて前記トナー像が転写材Pに転写される。トナー像が転写された後の転写材Pは像定着装置8にて像定着を受けて複写物としてプリントアウトされる。転写工程後の感光体1はクリーニング装置9にてその周面に残存したトナーの除去を受けて清浄面化された後、除電器10により除電されて繰り返して像形成に使用される。 【0104】ここで、感光体1の感光層の表面層は上記の電荷輸送ポリマー及びフッ素原子含有樹脂微粒子を含有するものであり、このような電子写真感光体を電子写真装置に使用することによって、長期間にわたって高水準の印字品質を維持することが可能となる。また、図1の装置は除電器10を有するものであるが、その印字品質を維持することが可能であれば、電子写真装置は除電器を備えていなくてもよい。 【0105】また、本発明においては、電子写真感光体と、該電子写真感光体を保持するための支持体とを備えたカートリッジとして使用することは、電子写真装置における電子写真感光体の脱着が容易となる点でより好ましい。更に、必要に応じて、前記感光体及び前記支持体に加えて、帯電装置、現像装置、クリーニング装置、トナー貯蔵部等を備えたプロセスカートリッジとして使用してもよい。 【0106】 【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、電荷輸送性ポリマーの番号(カッコ内の数字)は表1〜10に記載の化合物番号を表す。 【0107】実施例1(N,N’−ビス−(3,4−ジメチルフェニル)−N,N’−ビス−(4−エトキシカルボニルエチルフェニル)−[1,1’−ビス−(3−メチルフェニル)]−4,4’ジアミンの合成)N,N’− ビス−(3,4−ジメチルフェニル)−3,3’−ジメチルベンジジン6.0g、4−エトキシカルボニルエチルヨードフェニル12.0g、炭酸カリウム5.4g、硫酸銅五水和物1.0g及びn−トリデカン20mlを100mlフラスコに入れ、窒素気流下230℃で1時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、これをトルエン50mlに溶解させて不溶分を濾別した。得られた濾液をトルエンを用いてシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、目的化合物8.2gを油状物として得た。 【0108】(電荷輸送性ポリマー(58)の合成)上記の合成で得られたN,N’−ビス−(3,4−ジメチルフェニル)−N,N’−ビス−(4−エトキシカルボニルエチルフェニル)−[1,1’−ビス−(3−メチルフェニル)]−4,4’ジアミン1.0g、エチレングリコール2.0g及びテトラブトキシチタン0.6gを50mlフラスコに入れ、窒素気流下で3時間加熱還流を行った。N,N’−ビス−(3,4−ジメチルフェニル)−N,N’−ビス−(4−エトキシカルボニルエチルフェニル)−[1,1’−ビス−(3,3’−メチルフェニル)]−4,4’ジアミンが全て消費されたことを確認した後、系を0.5mmHgに減圧してエチレングリコールを留去しながら、更に230℃で5時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、これを塩化メチレン50mlに溶解させて不溶分を濾別した。次に、攪拌しているエタノール100mlに得られた濾液を滴下し、析出した粗生成物を濾取してエタノールで十分に洗浄した後、乾燥させて電荷輸送性ポリマー(58)0.9gを得た。得られた化合物の分子量をGPCにて測定したところ、Mw(重量平均分子量)=1.70×105(スチレン換算、重合度p:約165)であった。 【0109】(電子写真感光体の作製)アルミニウムドラム(外寸:30mm径、340mm長、基板厚さ1.0mm)上に、共重合ナイロン樹脂(アミランCM8000、東レ製) 10重量部をメタノール60重量部とブタノール40重量部との混合液に溶解した溶液を浸漬塗布し、100℃で10分間加熱乾燥して膜厚0.5μmの下引き層を成膜した。 【0110】次に、オキシチタニウムアタロシアニン顔料4重量部、塩ビ-酢ビ共重合体樹脂(VMCH、ユニオンカーバイド製)2重量部、キシレン10重量部、酢酸n−ブチル24重量部からなる溶液をサンドミルで10時間処理した後、テトラヒドロフラン60重量部を加えて電荷発生層用の分散液を調合した。この分散液を前記下引き層の上に浸漬塗布し、100℃で10分間加熱乾燥して膜厚0.15μmの電荷発生層を成膜した。 【0111】次に電荷輸送層として、上記の合成により得られた電荷輸送性ポリマー(58)36重量部、ポリテトラフルオロエチレン微粒子(平均粒径:2μm、商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)3重量部、モノクロルベンゼン120重量部及びテトラヒドロフラン40重量部を混合し、ガラスビーズとともにサンドミルで1時間処理した後、浸漬コーティグ法を用いて得られた塗布液を上記電荷発生層上に塗布し、115℃において1時間加熱乾燥して膜厚25μmの電荷輸送層を成膜し、ドラム状電子写真感光体を得た。 【0112】実施例2電荷輸送層の成膜工程において、塗布液に更にフッ素型クシ型ポリマー(商品名:GF−150、東亜化成(株)製)1重量部を加えたものを用いて成膜を行ったこと以外は実施例1と同様にして、ドラム状電子写真感光体を得た。 【0113】実施例3(N,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス−(3−エトキシカルボニルエチルフェニル)−[1,1’−ビス−(3−メチルフェニル)]−4,4’ジアミンの合成)実施例1におけるN,N’− ビス−(3,4−ジメチルフェニル)−3,3’−ジメチルベンジジンの代わりにN,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−3,3’−ジメチルベンジジン、4−エトキシカルボニルエチルヨードフェニルの代わりに3−エトキシカルボニルエチルヨードフェニル、をそれぞれ用いたこと以外は実施例1と同様にして、N,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス−(3−エトキシカルボニルエチルフェニル)−[1,1’−ビス−(3−メチルフェニル)]−4,4’ジアミンを得た。 【0114】(電荷輸送性ポリマー(26)の合成)上記の合成により得られたN,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス−(3−エトキシカルボニルエチルフェニル)−[1,1’−ビス−(3−メチルフェニル)]−4,4’ジアミン1.0g、エチレングリコール2.0g、及びテトラブトキシチタン0.6gを50mlフラスコに入れ、窒素気流下で3時間加熱還流した。N,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス−(3−エトキシカルボニルエチルフェニル)−[1,1’−ビス−(3−メチルフェニル)]−4,4’ジアミンが全て消費されたことを確認した後、系を0.5mmHgに減圧して過剰のエチレングリコールを留去した。次に、反応液にテレフタル酸ジクロライド0.3gを塩化メチレン10mlに溶解させたものを滴下し、更にトリエチルアミン0.5gを加えて30分間加熱還流した。その後、反応液にメタノール0.5mlを加えて更に30分間加熱還流を行い、反応液を室温に冷却して不溶分を濾別した。攪拌しているエタノール300mlに得られた溶液を滴下し、析出した粗生成物を濾取してエタノールで十分に洗浄した後、乾燥させて電荷輸送性ポリマー(26)0.95gを得た。得られた化合物の分子量をGPCにて測定したところ、Mw(重量平均分子量)=1.75×105(スチレン換算、重合度p:約25)であった。 【0115】(電子写真感光体の作製)電荷輸送性ポリマー(58)の代わりに上記の合成で得られた電荷輸送性ポリマー(26)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ドラム状電子写真感光体を作製した。 【0116】実施例4(N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(3−エトキシカルボニルエチルフェニル)−[1,1’−ビス−(3−メチルフェニル)]−4,4’ジアミンの合成)実施例1におけるN,N’− ビス−(3,4−ジメチルフェニル)−3,3’−ジメチルベンジジンの代わりにN,N’−ジフェニル−3,3’−ジメチルベンジジン、4−エトキシカルボニルエチルヨードフェニルの代わりに3−エトキシカルボニルエチルヨードフェニル、をそれぞれ用いたこと以外は実施例1と同様にして、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(3−エトキシカルボニルエチルフェニル)−[1,1’−ビス−(3−メチルフェニル)]−4,4’ジアミンを得た。 【0117】(電荷輸送性ポリマー(40)の合成)実施例1におけるN,N’−ビス−(3,4−ジメチルフェニル)−N,N’−ビス−(4−エトキシカルボニルエチルフェニル)−[1,1’−ビス−(3−メチルフェニル)]−4,4’ジアミンの代わりにN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(3−エトキシカルボニルエチルフェニル)−[1,1’−ビス−(3−メチルフェニル)]−4,4’ジアミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、電荷輸送性ポリマー(40)を合成した。得られた化合物の分子量をGPCにて測定したところ、Mw(重量平均分子量)=1.80×105(スチレン換算、重合度p:約175)であった。 【0118】(電子写真感光体の作製)電荷輸送性ポリマー(58)の代わりに電荷輸送性ポリマー(40)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ドラム状電子写真感光体を作製した。 【0119】実施例5(電荷輸送性ポリマー(51)の合成)実施例3におけるN,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−3,3’−ジメチルベンジジンの代わりにN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−2,7−ジアミノ−9,9−ジメチルフルオレンを用いたこと以外は実施例3と同様にして、電荷輸送性ポリマー[51]を合成した。得られた化合物の分子量をGPCにて測定したところ、Mw(重量平均分子量)=2.30×105(スチレン換算、重合度p:約40)であった。 【0120】(電子写真感光体の合成)電荷輸送性ポリマー(58)の代わりに電荷輸送性ポリマー[40]を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ドラム状電子写真感光体を作製した。 【0121】比較例1実施例1の電荷輸送層の成膜工程における塗布液の代わりに、下記式[37]:【0122】 【化38】
【0123】で示されるトリアリールアミン化合物16重量部とポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ−300、三菱瓦斯化学製)20重量部をポリテトラフルオロエチレン微粒子(平均粒径2μm、商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)3重量部、フッ素系クシ型グラフトポリマー(商品名:GF−150、東亜合成(株)製)1重量部を、モノクロルベンゼン160重量部に溶解した溶液を塗布液として用いたこと以外は実施例1と同様にして、ドラム状電子写真感光体を作製した。 【0124】このようにして得られた実施例1〜5及び比較例1の電子写真感光体を用いて、以下の評価試験を行った。 【0125】(フッ素原子含有樹脂微粒子の分散性の評価)実施例1〜5及び比較例1の電子写真感光体について、表面層(電荷輸送層)におけるフッ素原子含有樹脂微粒子の平均粒径を以下の手順で測定し、その分散性を評価した。 【0126】各感光体において、表面層の成膜後エポキシ樹脂で包埋し、ミクロトームを用いて表面層から試験片を切り出した。この試験片の断面を透過型電子顕微鏡で観察し、得られた断面像の画像解析を行って、フッ素原子含有樹脂微粒子の平均粒径及び分散状態を確認した。その結果を表1に示す。 【0127】(感光体表面の潤滑性評価試験)実施例1〜5及び比較例1の電子写真感光体をそれぞれ表面性試験機(協和界面化学製)に装着し、ドラムの軸方向にクリーニングブレード(LP4161IIプリンター用ウレタンブレード、富士ゼロックス製、ブレード圧:2.0g/mm)を当接させ、ブレードをワイパー方向に10cm走行させてそのトルクを測定した。この測定を各感光体について10回行い、走行前(初期値)のトルクの平均値を求めた。次に、プリント走行試験を行った後、同様にしてトルクの測定を行った。この結果を表11に示す。 【0128】(プリント走行試験)実施例1〜5及び比較例1の各電子写真感光体を用いて、感光体及びその支持体、帯電部材、現像装置及びクリーニング装置を備えたカートリッジを作製した。次に、各カートリッジを用いて図1に示す電子写真装置を作製した。なお、電子写真装置を構成する各部材の外寸、配置等は、プリンター(LP4161II、富士ゼロックス製)と同様とした。これらの電子写真装置を用いて、テストチャート2万枚のプリント走行試験を行った(温度:20℃、相対湿度:40%(RH))。各試験において得られた、初期画質、プリント走行試験後の画質、及び感光体の摩耗率を表11に示す。 【0129】 【表11】
【0130】表1に示したように、実施例1〜5の感光体においては、フッ素原子含有樹脂微粒子が表面層に均一に分散してることが確認された。これらの感光体ドラムを用いた場合はいずれも、クリーニングブレード走行後のトルク変化が小さかく、また、プリント走行試験後も良好な画質が維持され、摩耗率も小さかった。 【0131】一方、比較例1の感光体においては、最表面から深さ3μmまではフッ素原子含有樹脂微粒子が均一に分散していたが、より深い箇所では分散状態が不均一であった。また、比較例1の感光体ドラムを用いた場合は、クリーニングブレード走行後のトルク上昇が大きく、また、プリント走行試験においてクリーニング不良が発生し、テストチャート全面に摩耗傷が印刷された。 【0132】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、電気特性、画質等の本来の電子写真特性を損なわずに高い耐摩耗性及び高い潤滑性を有する電子写真感光体が得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005496 【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年4月19日(2000.4.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088155 【弁理士】 【氏名又は名称】長谷川 芳樹 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−305773(P2001−305773A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月2日(2001.11.2) |
| 【出願番号】 |
特願2000−118316(P2000−118316) |
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