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【発明の名称】 電子デバイス、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置
【発明者】 【氏名】山田 渉

【氏名】額田 克己

【氏名】石井 理恵

【氏名】関 三枝子

【要約】 【課題】ポットライフの長いケイ素含有コーティング剤を用いて高機能な硬化膜を形成させた、電子デバイス及び電子写真感光体、並びに該電子写真感光体を具備するプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供すること。

【解決手段】基材表面に、ケイ素含有コーティング剤を塗布し硬化させた硬化膜を1層以上有する電子デバイスであって、前記ケイ素含有コーティング剤が、少なくとも、下記一般式(I)で表される光機能性有機ケイ素化合物と、有機金属化合物と、多座配位子と、を含むことを特徴とする電子デバイスである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基材表面に、ケイ素含有コーティング剤を塗布し硬化させた硬化膜を1層以上有する電子デバイスであって、前記ケイ素含有コーティング剤が、少なくとも、下記一般式(I)で表される光機能性有機ケイ素化合物と、有機金属化合物と、多座配位子と、を含むことを特徴とする電子デバイス。
F−[D−A]b (I)
(一般式(I)中、Fは光機能性化合物から誘導される有機基、Dは可とう性サブユニット、Aは−Si(R1(3-a)aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基、R1は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のアリール基、Qは加水分解性基を表し、aは1〜3の整数、bは1〜4の整数を表す。)
【請求項2】 基材表面に、ケイ素含有コーティング剤を塗布し硬化させた硬化膜を1層以上有する電子写真感光体であって、前記ケイ素含有コーティング剤が、少なくとも、下記一般式(I)で表される光機能性有機ケイ素化合物と、有機金属化合物と、多座配位子と、を含むことを特徴とする電子写真感光体。
F−[D−A]b (I)
(一般式(I)中、Fは光機能性化合物から誘導される有機基、Dは可とう性サブユニット、Aは−Si(R1(3-a)aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基、R1は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のアリール基、Qは加水分解性基を表し、aは1〜3の整数、bは1〜4の整数を表す。)
【請求項3】 請求項2に記載の電子写真感光体と、帯電手段、除電手段、及びクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段と、を含むことを特徴とする、画像形成装置に着脱自在なプロセスカートリッジ。
【請求項4】 使用済みの請求項3に記載のプロセスカートリッジに対し、トナーを充填することにより再生されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項5】 請求項2に記載の電子写真感光体、あるいは、請求項3又は4に記載のプロセスカートリッジを含むことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ケイ素含有コーティング剤を塗布、硬化して得られる硬化膜を有する電子デバイス及び電子写真感光体、並びに該電子写真感光体を具備するプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ケイ素を含有するコーティング剤(樹脂)は耐熱性、酸化安定性、耐候性(光、オゾン、放射線)、電気特性(絶縁性、耐コロナ性)、界面特性(離型性、消泡性、撥水性)等、種々の特性において、他の樹脂とは違うユニークな性質を有するため、建築産業分野、機械産業分野、電気産業分野、医療分野、自動車分野等においてシーリング剤、コーティング剤、接着剤等として広く応用されている。
【0003】また、近年では電子デバイス分野への応用も検討されている。電子デバイス分野における(光)有機機能性材料は、電子写真感光体や、有機エレクトロルミネッセンス素子、メモリー素子、波長変換素子等の有機電子デバイスにおいて、生産性、材料設計の容易さ、安全性等の点から注目され、種々の改良が重ねられて実用化されている。このような有機電子デバイスの安定化、長寿命化の観点から、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子では、発生するジュール熱により膜のモルホルジー変化を引き起こさない材料が求められている。
【0004】また、電子写真感光体では、オゾンやNOx等に対する化学的な安定性のみならず、熱や機械力等の物理的なストレスに対して、安定な有機機能性材料が求められている。
【0005】上記のような要求に応えるため、’’Proceedings of IS&T’s Eleventh International Congresson Advances in Non−Impact Printing Technologies,p.57〜59’’、特許第2575536号や特開平9−190004公報では、有機機能性材料として、ケイ素を含有するコーティング剤を使用することを開示している。このケイ素を含有するコーティング剤は、ゾル−ゲル法により、シロキサン結合の強固な3次元ネットワークを形成させる、いわゆる有機−無機ハイブリッド化によって、機械的な強度を大きく改善させている。
【0006】しかし、有機材料と無機材料とからなるコーティング剤等は、両者の性質が大きく異なるため相溶性が悪く、単に混合しただけでは均一な硬化膜を形成させにくい。そこで特開平9−190004号公報には、電荷輸送剤にケイ素を含有し加水分解性を有する基(ケイ素含有基)を直接導入した有機ケイ素変成正孔輸送性化合物を用い、無機材料と有機材料とを直接強固に化学結合させて、均一に相溶させる方法が開示されている。
【0007】その一方で、光応答性材料にケイ素含有基を直接導入し、無機ガラス中に分散させる方法が、電子写真感光体のみならず、ガラスの着色、ポリマーレンズや塗装の表面保護、FRPやカーボン繊維強化樹脂用ファイバーとポリマーとの接着層、非線形光学材料、フォトクロミック材料、フォトケミカルホールバーニング材料等の種々の分野にも検討されており、今後の展開が期待されている。
【0008】しかしながら、ケイ素含有基を直接導入した機能性有機ケイ素化合物を用いても、単に混合し塗布したのみでは硬化反応が起こる前に相分離を起こしてしまい、均一な膜が得られない。そこで、一般には、米国特許第5,116,703号明細書や特開平9−188764号公報に開示されているように、有機材料としての機能性有機ケイ素化合物と、無機材料前駆体と、を予め共加水分解し部分的に反応させた後、基材等にコーティングする方法が利用されている。この共加水分解は、これらの材料を溶解可能な溶剤に溶解し、適量の水とともに酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等の酸触媒や、各種の金属アルコキシド等のエステル交換触媒を加えて行うものであり、均一な膜を得る方法として非常に有効である。
【0009】ところが、上記のような触媒は活性が高いため、加水分解後に架橋化反応をも進行させてしまう。この架橋化反応は室温程度でも進行してしまうので、時間と共にゲル化が進行し、いわゆるポットライフを長くとれないという問題があった。
【0010】この点を解決する方法として、特許第2,721,106号公報には、反応溶液に不溶な触媒を用いて共加水分解を行い、ポリシロキサンを合成後に反応溶液から該触媒を分離する方法が記載されている。通常用いられる液体状の触媒を反応溶液に溶解し、均一溶液として使用する場合に比べて、この方法は、触媒の表面のみで反応が進行するため、反応速度をコントロールでき、ポットライフを長くすることができる。しかし、反応溶液に不溶な触媒を用いて行う共加水分解は、通常加熱下で行われることが一般的であり、そのため、反応性及び相溶性が類似している機能性有機ケイ素化合物と無機材料前駆体とを用いないと、反応性の高い化合物のみの加水分解が進行し、相分離や架橋化等が進行する可能性がある。
【0011】また特許第2,721,106号公報には、有機成分の分子量が小さく、比較的均一な有機−無機ハイブリッド膜が得られやすいものについてのみ開示されており、光機能性有機化合物のように有機成分の分子量が200以上、300以上、さらには400以上といった大きな分子量を持ち、無機成分と性質が大きく異なる材料系への有効性については開示されておらず、一定の有機成分を使用する場合にしか、上記方法は適用できないという問題点がある。
【0012】そこで、本発明者らは、先に、特願平11−257784号において光機能性コーティング液の製造方法及び光機能性硬化膜の製造方法を、また、特願平11−257785号において電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体及び画像形成装置を開示し、光機能性有機化合物のような大きな分子量を有し、無機成分との性質が大きく異なる材料系にも有効なコーティング液の製造方法等を提案し、いかなる有機成分を使用しても、均一な有機−無機ハイブリッド膜が形成できるように上記問題の解決を図った。これにより、ポットライフを長くすることは可能になったが、工業ベースで考えると、より長いポットライフが求められ、より安定なコーティング剤の製造方法の開発が切望されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、ポットライフの長いケイ素含有コーティング剤を用いて高機能な硬化膜を形成させた、電子デバイス及び電子写真感光体、並びに該電子写真感光体を具備するプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、機能性部位を有する加水分解性ケイ素化合物をコーティング剤の1成分として使用し、さらに有機金属化合物及び多座配位子等を混合したケイ素含有コーティング剤を、基材表面に少なくとも1層以上塗布し、硬化させると、組成が均一で高機能な硬化膜を有する電子デバイスが得られることを見出し、かかる硬化膜を設けて電子写真感光体を作製して、プロセスカートリッジ、画像形成装置に設けると、耐久性等が向上することを見出し、本発明に至った。
【0015】すなわち、本発明の電子デバイスは、基材表面に、ケイ素含有コーティング剤を塗布し硬化させた硬化膜を1層以上有する電子デバイスであって、前記ケイ素含有コーティング剤が、少なくとも、下記一般式(I)で表される光機能性有機ケイ素化合物と、有機金属化合物と、多座配位子と、を含むことを特徴とする。
F−[D−A]b (I)
(一般式(I)中、Fは光機能性化合物から誘導される有機基、Dは可とう性サブユニット、Aは−Si(R1(3-a)aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基、R1は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のアリール基、Qは加水分解性基を表し、aは1〜3の整数、bは1〜4の整数を表す。)
【0016】また、本発明の電子写真感光体は、基材表面に、ケイ素含有コーティング剤を塗布し硬化させた硬化膜を1層以上有する電子写真感光体であって、前記ケイ素含有コーティング剤が、少なくとも、下記一般式(I)で表される光機能性有機ケイ素化合物と、有機金属化合物と、多座配位子と、を含むことを特徴とする。
F−[D−A]b (I)
(一般式(I)中、Fは光機能性化合物から誘導される有機基、Dは可とう性サブユニット、Aは−Si(R1(3-a)aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基、R1は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のアリール基、Qは加水分解性基を表し、aは1〜3の整数、bは1〜4の整数を表す。)
【0017】前記有機金属化合物としては、下記一般式(II)で表される化合物であることが好ましい。
Al(OR2c(3-c) (II)
(一般式(II)中、R2は炭素数1〜10のアルキル基を表し、Eは一般式R3COCHCOR4を表す。ここで、R3、R4はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のフッ化アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基を表す。また、cは0〜3の整数を表す。)
【0018】前記多座配位子としては、2座配位子であることが好ましく、該2座配位子としては、下記一般式(III)で表される化合物であることが好ましい。
【0019】
【化1】

【0020】(一般式(III)中、R5、R6はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基、若しくは炭素数1〜10のフッ化アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基を表す。)
【0021】また、上記一般式(I)中のFとしては、下記一般式(IV)で表されることが好ましい。
【0022】
【化2】

【0023】(一般式(IV)中、Ar1〜Ar4はそれぞれ独立に置換又は未置換のアリール基を表し、Ar5は置換若しくは未置換のアリール基又はアリーレン基を表し、kは0又は1を表す。また、Ar1〜Ar5のうち1〜4個は−D−Aで表される結合基と結合可能な結合手を有する。Dは可とう性サブユニット、Aは−Si(R1(3-a)aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基、R1は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のアリール基、Qは加水分解性基を表し、aは1〜3の整数を表す。)
【0024】さらに上記ケイ素含有コーティング剤に、上記一般式(I)におけるAと結合可能な成分を1種以上含むことが好ましい。
【0025】また、本発明の電子写真感光体としては、ケイ素含有コーティング剤を塗布し硬化させた硬化膜が最表面層として設けられていることが好ましい。
【0026】一方、本発明のプロセスカートリッジは、上記本発明の電子写真感光体と、帯電手段、除電手段、及びクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段と、を含むことを特徴とし、画像形成装置に着脱自在である。
【0027】また、本発明のプロセスカートリッジとしては、使用済みの上記プロセスカートリッジに対し、トナーを充填することにより再生されたものであってもよい。
【0028】さらに、本発明の画像形成装置は、上記本発明の電子写真感光体、あるいは、上記本発明のプロセスカートリッジを含むことを特徴とする。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の電子デバイス、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置について、説明する。
【0030】[A]電子デバイス本発明の電子デバイスは、基材表面に、ケイ素含有コーティング剤を塗布し硬化させた硬化膜を1層以上有する電子デバイスであって、前記ケイ素含有コーティング剤が、少なくとも、下記一般式(I)で表される光機能性有機ケイ素化合物と、有機金属化合物と、多座配位子と、を含んだ状態となっている。
F−[D−A]b (I)
(一般式(I)中、Fは光機能性化合物から誘導される有機基、Dは可とう性サブユニット、Aは−Si(R1(3-a)aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基、R1は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のアリール基、Qは加水分解性基を表し、aは1〜3の整数、bは1〜4の整数を表す。)
【0031】以下、前記ケイ素含有コーティング剤及びその製造方法を説明するとともに、本発明の電子デバイスについて詳細に説明する。
【0032】[1]ケイ素含有コーティング剤本発明のケイ素含有コーティング剤は、少なくとも、下記一般式(I)で表される光機能性有機ケイ素化合物と、有機金属化合物と、多座配位子と、を含む。
F−[D−A]b (I)
(一般式(I)中、Fは光機能性化合物から誘導される有機基、Dは可とう性サブユニット、Aは−Si(R1(3-a)aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基、R1は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のアリール基、Qは加水分解性基を表し、aは1〜3の整数、bは1〜4の整数を表す。)
【0033】また上記一般式(I)におけるAと結合可能な成分(化合物)を1種以上含むことが好ましい。以下、上記化合物について説明する。
【0034】(1)光機能性有機ケイ素化合物本発明において使用される光機能性有機ケイ素化合物は、上記一般式(I)に示したような構造を有している。
【0035】一般式(I)中で、Dで表される可とう性サブユニットの具体例としては、−Cn2n−、−Cn(2n-2)−、−Cn(2n-4)−で表される2価の炭化水素基(ここで、nは1〜15の整数を表す。)、−COO−、−S−、−O−、−CH2−C64−、−N=CH−、−C64−C64−、及びこれらを組み合わせたものや置換基を導入したものが挙げられる。またbは2〜4の整数がより好ましい。bを2〜4とすると一般式(I)で表される光機能性有機ケイ素化合物中にSi原子を2つ以上含むことになり、無機ガラス質ネットワークが形成されやすくなり、機械的強度を向上させることができる。
【0036】一般式(I)中、Fとして具体的には、フタロシアニン系化合物、ポリフィリン系化合物、アゾベンゼン系化合物、トリス(ビピリジル)−ロジウム系化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等から誘導される有機基が挙げられる。特に正孔輸送性化合物から誘導される有機基が好ましい。また上記一般式(I)中のFとしては、光機能性を有する部位であれば何ら限定されるものではなく、例えば以下の一般式(IV)に表すものを挙げることができる。しかし本発明はこれらに限定されるものではない。なお、光機能性を有する部位とは、屈折率変化、伝導度変化、非線形光学効果、構造変化、色変化等の何らかの機能を発生する部位を意味する。
【0037】
【化3】

【0038】(一般式(IV)中、Ar1〜Ar4はそれぞれ独立に置換又は未置換のアリール基を表し、Ar5は置換若しくは未置換のアリール基又はアリーレン基を表し、kは0又は1を表す。また、Ar1〜Ar5のうち1〜4個は−D−Aで表される結合基と結合可能な結合手を有する。Dは可とう性サブユニット、Aは−Si(R1(3-a)aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基、R1は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のアリール基、Qは加水分解性基を表し、aは1〜3の整数を表す。)
【0039】一般式(IV)中のAr1〜Ar4はそれぞれ独立に置換または未置換のアリール基を表し、具体的には、以下の構造群1から選択されるものが好ましい。
【0040】
【化4】

【0041】構造郡1中のArは以下の構造群2から選択されるものが好ましい。
【0042】
【化5】

【0043】また、Z’は以下の構造群3から選択されるものが好ましい。
【0044】
【化6】

【0045】ここで、R6は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、または未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基から選択される。R7〜R13は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、または未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、ハロゲンから選択される。m及びsは0または1を表し、q及びrは1から10の整数、t,t’は1から3の整数を表す。ここで、Xは一般式(I)の定義で既に示した−D−Aで表される結合基と結合可能な結合手を有する。
【0046】Wは以下の構造群4から選択されるものが好ましい。
【0047】
【化7】

【0048】(ここで、s’は0〜3の整数を表す。)
一般式(IV)におけるAr5の具体的構造としては、k=0のときは、上記Ar1〜Ar4のm=1の構造が、k=1のときは、上記Ar1〜Ar4のm=0の構造が挙げられる。またk=1のときは、Ar1〜Ar4のいずれかにおいてm=1である。
【0049】有機ケイ素変性正孔輸送性化合物の具体例としては、以下の表1〜表8に示すようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、表中の具体例は、一般式(IV)中のkを特定するかたちで示しており、Ar1〜Ar5のうち、−D−Aと結合する結合手を有する基に関しては、当該−D−Aを含めた状態で特定することにより、一般式(IV)を化合物として特定している。また、表中の「Me」はメチル基を表し、「Pr(i)」はイソプロピル基を表す。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
【表3】

【0053】
【表4】

【0054】
【表5】

【0055】
【表6】

【0056】
【表7】

【0057】
【表8】

【0058】(2)有機金属化合物本発明において使用される有機金属化合物は、後述の多座配位子とともに用いることで、ケイ素含有コーティング剤の安定化剤としての役割を果たすとともに、加水分解用触媒や該ケイ素含有コーティング剤を基材等に塗布し、塗布膜を加熱、硬化させる際の塗布膜の硬化を進行させる触媒としても働く。
【0059】有機金属化合物としては、下記一般式(II)で表される化合物であることが好ましい。
Al(OR2c(3-c) (II)
(一般式(II)中、R2は炭素数1〜10のアルキル基を表し、Eは一般式R3COCHCOR4を表す。ここで、R3、R4はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のフッ化アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基を表す。また、cは0〜3の整数を表す。)
【0060】上記一般式(II)で表される有機金属化合物の例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0061】具体的には、アルミニウムトリエチレート、アルミニウムトリイソプロピレート、アルミニウムトリ(sec−ブチレート)、モノ(sec−ブトキシ)アルミニウムジイソプロピレート、ジイソプロポキシアルミニウム(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムビス(エチルアセトアセテート)モノアセチルアセトネート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムジイソプロポキシ(アセチルアセトネート)、アルミニウムイソプロポキシ−ビス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(トリフルオロアセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)等の有機アルミニウム化合物を使用することができる。
【0062】また、有機アルミニウム化合物以外には、ジブチルスズジラウリレート、ジブチルスズジオクチエート、ジブチルスズジアセテート等の有機ズズ化合物;チタニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトネート)等の有機チタニウム化合物;ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトネート)等のジルコニウム化合物;等も使用することができるが、安全性、低コスト、ポットライフ長さの観点から、有機アルミニウム化合物を使用するのが好ましく、特にアルミニウムキレート化合物がより好ましい。
【0063】(3)多座配位子多座配位子は、上記有機金属化合物の触媒作用によるケイ素含有コーティング剤の硬化反応を阻害することなくゲル化(縮合)を抑制し、ポットライフを長くさせる役割を果たす。
【0064】このような多座配位子としては、以下に示すようなもの及びそれらから誘導されるものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0065】具体的には、アセチルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、ジピバロイルメチルアセトン等のβ−ジケトン類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のアセト酢酸エステル類;ビピリジン及びその誘導体;グリシン及びその誘導体;エチレンジアミン及びその誘導体;8−オキシキノリン及びその誘導体;サリチルアルデヒド及びその誘導体;カテコール及びその誘導体;2−オキシアゾ化合物等の2座配位子;ジエチルトリアミン及びその誘導体;ニトリロトリ酢酸及びその誘導体等の3座配位子;エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)及びその誘導体等の6座配位子;等を挙げることができる。さらに、上記のような有機系配位子の他、ピロリン酸、トリリン酸等の無機系の配位子を挙げることができる。
【0066】多座配位子としては、2座配位子であることが好ましく、具体例としては、上記の他、下記一般式(III)で表される2座配位子が挙げられる。中でも下記一般式(III)で表される2座配位子がより好ましく、下記一般式(III)中のR5とR6とが同一のものが特に好ましい。R5とR6とを同一にすることで、室温付近での配位子の配位力が強くなり、コーティング剤のさらなる安定化を図ることができる。
【0067】
【化8】

【0068】一般式(III)中、R5、R6はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基、若しくはフッ化アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基を表す。
【0069】(4)光機能性有機ケイ素化合物を表す一般式(I)中のAと結合可能な化合物(以下、「無機材料前駆体」という。)
本発明のケイ素含有コーティング剤には、上記3成分の他、無機材料前駆体を混合するのが好ましい。無機材料前駆体としては、例えば、各種シランカップリング剤及び市販のシリコン系ハードコート剤を挙げることができる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0070】シランカップリング剤としては、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の四官能性アルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等の三官能性アルコキシシラン;γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等の二官能性アルコキシシラン;等を挙げることができる。
【0071】また、市販のハードコート剤としては、具体的には、KP−85、X−40−9740、X−40−2239(以上、信越シリコーン社製)及びAY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等を用いることができる。また、撥水性等の付与のために、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン等の含フッ素化合物を加えてもよい。
【0072】シランカップリング剤は任意の量で使用できるが、含フッ素化合物の量は、フッ素を含まない化合物1に対して重量基準で0.5以下とすることが望ましい。これを越えると、架橋膜の成膜性に問題が生じる場合がある。
【0073】また、好ましい例として以下のような一般式(III)で表されるものを挙げることができる。
B−[A]n (V)
(一般式(V)中、Aは−Si(R1(3-a)aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を表し、R1は水素、アルキル基又は置換あるいは未置換のアリール基を表す。Bは、枝分かれを含んでもよいn価の炭化水素基、n価のフェニル基、−NH−、−O−Si−の少なくとも1つ以上から構成される。aは1〜3の整数、nは2以上の整数を表す。)
【0074】具体的には、以下の表9に示すものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0075】
【表9】

【0076】[2]ケイ素含有コーティング剤及び電子デバイスの製造方法本発明のケイ素含有コーティング剤は、以下のようにして製造することができる。
【0077】上述した、少なくとも、光機能性有機ケイ素化合物と、有機金属化合物と、多座配位子と、必要に応じて添加される無機材料前駆体と、を任意の順序で混合、撹拌する。その後、水を添加し、必要に応じて共加水分解用触媒を添加して、1種以上の光機能性有機ケイ素化合物と1種以上の無機材料前駆体を共加水分解して製造される。
【0078】有機金属化合物の配合量は、任意に設定することができるが、ポットライフ、硬化効率の面から、加水分解性ケイ素置換基を含有する化合物(光機能性有機ケイ素化合物と無機材料前駆体)の合計量に対して0.1〜20wt%が好ましく、0.3〜10wt%がより好ましい。
【0079】多座配位子の配合量は、任意に設定することができるが、用いる有機金属化合物の1モルに対し、0.01モル以上、好ましくは0.1モル以上、より好ましくは1モル以上とするのが好ましい。
【0080】本発明のケイ素含有コーティング剤の製造は、無溶媒下で行うこともできるが、必要に応じてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;等の他、種々の溶媒が使用できる。このような溶媒としては、沸点が100℃以下のものが好ましく、任意に混合して使用することができる。
【0081】溶媒量は任意に設定できるが、少なすぎると光機能性有機ケイ素化合物が析出しやすくなるため、光機能性有機ケイ素化合物1重量部に対し0.5〜30重量部、好ましくは、1〜20重量部とするのが好ましい。
【0082】共加水分解を行う際は、以下に挙げるような共加水分解用触媒を配合してもよい。
【0083】共加水分解用触媒としては、塩酸、酢酸、硫酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、プロピオン酸、シュウ酸、パラトルエンスルホン酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸等の有機酸;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等のアルカリ触媒;さらに、共加水分解を行う際の反応溶液に不溶な固体触媒;等を用いることもできる。
【0084】上記反応溶液に不溶な固体触媒としては、アンバーライト15、アンバーライト200C、アンバーリスト15、アンバーリスト15E(以上、ローム・アンド・ハース社製);ダウエックスMWC−1−H、ダウエックス88、ダウエックスHCR−W2(以上、ダウ・ケミカル社製);レバチットSPC−108、レバチットSPC−118(以上、バイエル社製);ダイヤイオンRCP−150H(三菱化成社製);スミカイオンKC−470、デュオライトC26−C、デュオライトC−433、デュオライト−464(以上、住友化学工業社製);ナフィオン−H(デュポン社製)等の陽イオン交換樹脂;アンバーライトIRA−400、アンバーライトIRA−45(以上、ローム・アンド・ハース社製)等の陰イオン交換樹脂;Zr(O3PCH2CH2SO3H)2,Th(O3PCH2CH2COOH)2等のプロトン酸基を含有する基が表面に結合している無機固体;スルホン酸基を有するポリオルガノシロキサン等のプロトン酸基を含有するポリオルガノシロキサン;コバルトタングステン酸、リンモリブデン酸等のヘテロポリ酸;ニオブ酸、タンタル酸、モリブデン酸等のイソポリ酸;シリカゲル、アルミナ、クロミア、ジルコニア、カルシア、マグネシア等の単元系金属酸化物;シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、ゼオライト類等の複合系金属酸化物;酸性白土、活性白土、モンモリロナイト、カオリナイト等の粘土鉱物;L2SO4,MgSO4等の金属硫酸塩;リン酸ジルコニア、リン酸ランタン等の金属リン酸塩;LiNO3,Mn(NO32等の金属硝酸塩;シリカゲルにアミノプロピルトリエトキシシランを反応させて得られる固体等のアミノ基を含有する基が表面に結合している無機固体;アミノ変性シリコーン樹脂等のアミノ基を含有するポリオルガノシロキサン;等が挙げられる。
【0085】特に、共加水分解用触媒として、特願平11−257784号、特願平11−257785号に記載されているように、反応溶液に不溶な触媒を用いて共加水分解を行い、後に反応溶液からこれを取り除くのが望ましい。ここで反応溶液に不溶な固体触媒としては、触媒成分が前記一般式(I)、(IV)、(V)で表される化合物や、他のカップリング剤、含フッ素化合物、水、反応生成物及び溶媒のいずれにも不溶であるものであれば、特に限定されない。
【0086】また反応溶液に不溶な共加水分解用触媒を用いる場合は、バッチ式に限られず、固定床流通式で反応を行うこともできる。
【0087】共加水分解させる際の水の添加量は特に限定されないが、生成物の保存安定性や重合に供する際のゲル化抑制に影響するため、好ましくは加水分解性ケイ素置換基を含有する光機能性有機ケイ素化合物及び無機材料前駆体の加水分解性基をすべて加水分解するのに必要な理論量に対して、30〜500%、さらに好ましくは50〜300モル%の範囲の割合で使用することが好ましい。水の量が500モル%よりも多いと、生成物の保存安定性が悪くなったり、光機能性有機ケイ素化合物が析出しやすくなる。一方、水の量が30モル%より少ないと、未反応の化合物が増大してコーティング剤を塗布し、硬化する時に相分離を起こしたり、強度低下を起こしやすい。
【0088】共加水分解を行う際の反応温度及び時間は原料の種類によっても異なるが、通常、0〜100℃、好ましくは10〜70℃、特に好ましくは、15〜50℃の温度で行うことが好ましい。反応時間(上記温度の保持する時間)は特に制限はないが、反応時間が長くなるとゲル化しやすくなるため、10分から100時間の範囲で行うことが好ましい。
【0089】なおケイ素含有コーティング剤の製造において、光機能性有機ケイ素化合物を始めとして、これとともに配合する有機金属化合物のようなその他の化合物は、全てを同時に混合し反応させてもよいが、反応の度合いを調節するため、逐次添加してもよく、あるいは共加水分解用触媒を除去した後に添加してもよい。
【0090】以上のようにして、ケイ素含有コーティング剤が製造される。このようにして製造されたケイ素含有コーティング剤は、所望の基材表面に塗布される。塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を採用することができ、膜厚は任意に設定することができる。
【0091】ケイ素含有コーティング剤を基材表面に塗布した後、加熱することにより、塗布膜を硬化して硬化膜を形成する。硬化温度(加熱温度)は、任意に設定できるが、所望の強度を得るためには60℃〜200℃とすることが好ましく、80〜170℃とすることがより好ましい。加熱により、塗布後のケイ素含有コーティング剤中の多座配位子は、解離してしまうため、塗布膜に何ら影響を与えることはない。
【0092】硬化時間は、必要に応じて任意に設定できるが、10分〜5時間が好ましい。また、硬化膜を形成させた後、高湿度状態に保ち、特性の安定化を図ることも有効である。さらに、用途によっては、ヘキサメチルジシラザンやトリメチルクロロシラン等を用いて表面処理を行い疎水化してもよい。
【0093】このようにして、本発明におけるケイ素含有コーティング剤を用いて、基材表面に硬化膜を形成させることで、耐久性、安定性及び機能性に優れた本発明の電子デバイスが作製される。
【0094】本発明の電子デバイスとしては、電子写真感光体、有機EL素子、太陽電池、有機導電体、電子写真用キャリア、電荷発生材料等が挙げられ、電子デバイスに設けられる硬化膜の形成に使用されるケイ素含有コーティング剤は、電子写真用キャリアのコート剤、電荷発生材料の表面処理、アルミニウムやニッケルやネサガラス等と有機感光層との中間層等に使用され、特に電子写真感光体の硬化膜の形成に使用すると優れた特性が発揮される。以下、電子デバイスの一例として、ケイ素含有コーティング剤を使用して作製される電子写真感光体について説明する。
【0095】[B]電子写真感光体本発明の電子写真感光体は、基材表面に、ケイ素含有コーティング剤を塗布し硬化させた硬化膜を1層以上有する電子写真感光体であって、前記ケイ素含有コーティング剤が、少なくとも、下記一般式(I)で表される光機能性有機ケイ素化合物と、有機金属化合物と、多座配位子と、を含んだ状態となっている。
F−[D−A]b (I)
(一般式(I)中、Fは光機能性化合物から誘導される有機基、Dは可とう性サブユニット、Aは−Si(R1(3-a)aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基、R1は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のアリール基、Qは加水分解性基を表し、aは1〜3の整数、bは1〜4の整数を表す。)
【0096】また本発明の電子写真感光体は、ケイ素含有コーティング剤を基材に塗布し硬化させた硬化膜が最表面層として設けられているのがより好ましい。
【0097】本発明の電子写真感光体が、例えば、(1)基材としてのアルミニウム等の導電性支持体の表面に(2)下引層を設け、その上に(3)電荷発生層、(4)電荷輸送層、(5)表面保護層を有する積層型感光体である場合、ケイ素含有コーティング剤を塗布し硬化して得られる硬化膜を電荷輸送層、表面保護層として用いると、耐久性に優れた電子写真感光体を作製することができる。特に、最表面層である表面保護層として用いた場合、優れた耐久性が示されるため好ましい。また、ケイ素含有コーティング剤は、微粒子の分散性がよいので、微粒子を高分散な状態に保持させることができる。以下、本発明の電子写真感光体(以下、単に、「感光体」という場合がある)について、上記積層型感光体を例として説明する。
【0098】(1)導電性支持体導電性支持体としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いた金属板、金属ドラム、金属ベルト;導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物;アルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着、あるいはラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト;等が挙げられる。さらに必要に応じて導電性支持体の表面は、画質に影響のない範囲で各種の処理を行うことができる。例えば、表面の陽極酸化被膜処理、熱水酸化処理や薬品処理、着色処理等又は、砂目立て等の乱反射処理等を施すことができる。
【0099】(2)下引層下引層は、導電性支持体と後述する電荷発生層との間に必要に応じて設けられる。下引層を設けると、主として、1)導電性支持体からの不必要なキャリアの注入を阻止し、画像品質が向上し、2)感光体の光減退曲線の環境変動を生じず、安定した画像品質が得られる。また、下引層は、3)適度な電荷輸送能を有し、長期間の繰返し使用時にも電荷が蓄積されないので、感度変動を生じず、4)帯電電圧に対する適度な耐圧性を示し、絶縁破壊による画像欠陥の発生を生じさせない。さらに、5)感光層を支持体に対して一体的に接着保持させる接着層としての作用、6)場合によっては導電性支持体の光の反射光防止作用を示す。
【0100】下引層は、主として結着樹脂からなり、該結着樹脂としては、具体的には、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、水溶性ポリエステル樹脂等が挙げられる。また、結着樹脂に代えて、あるいは、結着樹脂とともに、ニトロセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ジルコニウムキレート化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物、有機チタニル化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。
【0101】導電性支持体表面に必要に応じて形成させる下引層は、上述した結着樹脂等を適当な溶剤に溶解、分散した塗布液をブレードコーティング法、ワイヤーバーコティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法で塗布して形成される。かかる下引層の厚みは0.01〜10μmが好ましく、0.05〜2μmがより好ましい。
【0102】また、本発明におけるケイ素含有コーティング剤により、下引層を形成してもよい。この場合、ケイ素含有コーティング剤に、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、シリコーン樹脂等の微粒子を混合して用いてもよい。
【0103】(3)電荷発生層導電性支持体の表面(下引層が形成されている場合には、該下引層上)には通常、電荷発生層が設けられる。電荷発生層には、少なくとも電荷発生物質が含まれる。電荷発生層に用いられる電荷発生物質としては、例えば、アゾ系顔料、キノン系顔料、縮環芳香族系顔料、ペリレン系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、ビスベンゾイミダゾール系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、キノリン系顔料、レーキ系顔料、アゾレーキ系顔料、アントラキノン系顔料、オキサジン系顔料、ジオキサジン系顔料、トリフェニルメタン系顔料等の種々の有機顔料;アズレニウム系染料、スクウェアリウム系染料、ピリリウム系染料、トリアリルメタン系染料、キサンテン系染料、チアジン系染料、シアニン系染料等の種々の染料;アモルファスシリコン、アモルファスセレン、テルル、セレン−テルル合金、硫化カドミウム、硫化アンチモン、酸化亜鉛、硫化亜鉛等の無機材料;等が挙げられるが、なかでも縮環芳香族系顔料、ペリレン系顔料、アゾ系顔料が、感度、電気的安定性及び照射光に対する光化学的安定性の面で好ましい。電荷発生物質としては、ここに挙げたものを単独で用いることもできるが、2種類以上の電荷発生物質を混合して用いてもよい。
【0104】電荷発生層は上述した電荷発生物質を真空蒸着により蒸着して形成するか、あるいは溶剤中に結着樹脂及び電荷発生物質を溶解、分散した塗布液を塗布することにより形成することができる。
【0105】塗布液を塗布する場合、電荷発生層に使用する結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル型ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルアントラセン樹脂、ポリビニルピレン等が挙げられる。これらの中で特にポリビニルアセタール系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、フェノキシ樹脂及び変性エーテル型ポリエステル樹脂が電荷発生物質を良く分散させ、凝集させず長期にわたり塗布液(分散塗工液)が安定になる。
【0106】このような塗布液を用いることで均一な被膜が形成され、電気特性が向上し、画質欠陥を少なくすることができる。しかしながら、通常の状態で被膜を形成しうる樹脂であれば上記のものに限定されるものではない。これらの結着樹脂は、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。電荷発生物質と結着樹脂との配合比は、体積比で、5:1〜1:2の範囲が好ましい。
【0107】また上記塗布液を調製する際に用いられる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、クロロベンゼン、酢酸メチル、酢酸−n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム等の通常使用される有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0108】塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常使用される方法を適用することができる。電荷発生層の厚みは0.01〜5μmが好ましく、0.1〜2.0μmがより好ましい。厚さが0.01μmよりも薄いと、電荷発生層を均一に形成することが困難になり、5μmを越えると電子写真特性が著しく低下する傾向がある。
【0109】また、電荷発生層中に酸化防止剤、失活剤等の安定剤を加えることもできる。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、硫黄系、リン系、アミン系化合物等の酸化防止剤が挙げられる。失活剤としてはビス(ジチオベンジル)ニッケル、ジ−n−ブチルチオカルバミン酸ニッケル等が挙げられる。
【0110】(4)電荷輸送層電荷輸送層は、本発明におけるケイ素含有コーティング剤を塗布し硬化させた硬化膜が単独、もしくは以下に示すような電荷輸送物質、結着樹脂及び必要に応じて添加される種々の添加剤を含有した状態で形成されたものであることが好ましい。電荷輸送層の上に表面保護層が設けられる場合には、一般の電荷輸送層と同様に、下記電荷輸送物質、結着樹脂及び必要に応じて添加される種々の添加剤からなるものであってもよい。
【0111】電荷輸送物質としては、低分子化合物では、例えば、ピレン系、カルバゾール系、ヒドラゾン系、オキサゾール系、オキサジアゾール系、ピラゾリン系、アリールアミン系、アリールメタン系、ベンジジン系、チアゾール系、スチルベン系、ブタジエン系等の化合物やトリフェニルアミン化合物、トリフェニルメタン化合物が挙げられる。また、高分子化合物では、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ハロゲン化ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアンスラセン、ポリビニルアクリジン、ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂、トリフェニルメタンポリマー、ポリシラン等が挙げられる。これらのうち、トリフェニルアミン化合物、トリフェニルメタン化合物、ベンジジン化合物がモビリティー、安定性、光に対する透明性の面で好ましい。
【0112】電荷輸送層は、本発明におけるケイ素含有コーティング剤を塗布、硬化して得られる硬化膜で形成してもよいが、ケイ素含有コーティング剤を上述した電荷輸送物質と結着樹脂とともに混合して形成してもよい。混合する場合の電荷輸送物質とケイ素含有コーティング剤との配合比(重量比)は10:1〜1:5が好ましい。
【0113】電荷輸送層に結着樹脂を用いる場合、電気絶縁性のフィルムを形成することができる高分子重合体が好ましい。このような高分子重合体としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、フェノール樹脂、ポリアミド、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーラテックス、ポリウレタン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0114】これらの結着樹脂は、単独又は2種類以上混合して用いられるが、特にポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂が、電荷輸送物質との相溶性、溶剤への溶解性、強度にすぐれているので好ましい。
【0115】また、これらの結着樹脂とともに、可塑剤、表面改質剤、酸化防止剤、光劣化防止剤等の添加剤を使用することもできる。可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、ターフェニル、ジブチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、ジオクチルフタレート、トリフェニル燐酸、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種フルオロ炭化水素等が挙げられる。表面改質剤としては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン等のシリコーンオイル類が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、硫黄系、リン系、アミン系化合物等の酸化防止剤が挙げられる。光劣化防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。なお、本発明におけるケイ素含有コーティング剤を使用しない場合、上記各成分を適当な溶剤に溶解して塗布液を作製する。
【0116】塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。電荷輸送層を設けるときに用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン;エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類;等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0117】電荷輸送層の厚みは5〜50μmが好ましく、10〜40μmがより好ましい。厚さが5μmよりも薄いと帯電が困難になり、50μmを越えると電子写真特性が著しく低下する傾向がある。
【0118】(5)表面保護層必要に応じて設けられる表面保護層は、電荷輸送層上に設けられる。表面保護層を設けることで耐久性を向上させることができる。ここで、本発明におけるケイ素含有コーティング剤を塗布し硬化させた硬化膜を表面保護層として用いると、より強度の高い表面層を形成できるため好ましい。また、ケイ素含有コーティング剤に導電性材料、結着樹脂を混合して硬化膜を形成してもよい。
【0119】表面保護層として本発明にいう硬化膜を形成する場合は、ケイ素含有コーティング剤に、必要に応じて、前述の電荷輸送物質、半導電性材料、結着樹脂を添加して、これを電荷輸送層上に塗布、硬化する。
【0120】結着樹脂としては、一般式(I)で表される機能性有機ケイ素化合物と相溶可能であれば、特に制限はないが、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等公知の樹脂を用いることができる。
【0121】本発明におけるケイ素含有コーティング剤に、より強固な硬化膜を得る観点から、シリカやアルミナ等の無機微粒子、PTFEや架橋ポリスチレン等の有機微粒子を添加してもよい。無機微粒子は、画質等の面で、有機基で被覆されたものが好ましい。
【0122】また、シリコーンオイル、フッ素系材料等の潤滑剤や微粒子を含有させることにより、潤滑性、強度を向上させることもできる。潤滑剤としては、前述のフッ素系シランカップリング剤等が好ましい。
【0123】さらに、分散させる微粒子としては、4フッ化エチレン、3フッ化エチレン、6フッ化プロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のフッ素系微粒子;’’第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集p89’’に記載されているようなフッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂からなる微粒子;ZnO−Al23、SnO2−Sb23、In23−SnO2、ZnO−TiO2、ZnO−TiO2、MgO−Al23、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、In23、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物;等を挙げることができる。
【0124】この表面保護層は、上記成分を必要に応じ適当な溶剤に溶解、分散して塗布液を調製し、これを塗布することにより形成される。塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。また表面保護層の厚さは通常0.1〜10μmであり、好ましくは0.5〜7μmである。
【0125】表面保護層の形成に使用する溶剤としては保護層を形成する材料を溶解し、かつ、表面保護層の下にある電荷輸送層を侵さない溶剤が好ましく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン等のエーテル類;キシレン、p−シメン等の芳香族系溶剤;メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等のセルソルブ類;等が挙げられ、なかでも沸点が60〜150℃のアルコール類が成膜性、塗布液の保存安定性の面で好ましい。
【0126】[C]プロセスカートリッジプロセスカートリッジとは、画像形成装置の消耗部品を適時交換する目的で、画像形成装置の構成部品のいくつかをカートリッジに組み込み、容易に交換作業を行えるようにしたものである。プロセスカートリッジは、画像形成装置の中に装着された状態で取引される他、交換部品あるいは補修部品として、単体でも取引されている。
【0127】本発明のプロセスカートリッジは、電子写真感光体と、帯電手段、除電手段、およびクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段と、を含み、かつ、画像形成装置に着脱自在な構成となっている。プロセスカートリッジに組み込まれ得る電子写真感光体以外の構成部品については、特に制限は無く、従来公知の物が問題無く採用され得る。
【0128】また、感光体として長寿命なものを使用する場合は、プロセスカートリッジを、トナーを充填することにより容易に再生される構造とするのが好ましい。そのためには、トナー再充填部を、接着や融着をしないで、ネジ式やクリップ式にして、再充填時にプロセスカートリッジを破壊することなく簡便に開閉できる構造とするのが好ましい。このようにすると、トナーの再充填はトナーボトル等から簡便に行えるため、大幅なコストダウンを図ることができる。また、プロセスカートリッジの寿命が延びることで環境負荷の低減が図れる。
【0129】[D]画像形成装置本発明の画像形成装置は、上述した電子写真感光体、あるいは、該電子写真感光体を含むプロセスカートリッジを具備する電子写真方式の画像形成装置である。
【0130】本発明の画像形成装置は、レーザー光学系やLEDアレイ等の露光手段、トナー等を用いて像を形成する現像手段、トナー像を紙等の媒体に写し取る転写手段、トナー像を紙等の媒体に定着させる定着手段、感光体に付着したトナーやゴミ等を除去するクリーニング手段、感光体表面に残留している静電潜像を除去する除電手段、等も必要に応じて公知の構成で備えてもよい。
【0131】本発明の画像形成装置おいて、帯電方式としては、従来から公知のコロトロン、スコロトロンによる非接触帯電方式、接触帯電方式のいずれでもよいが、前記本発明の感光体は強い機械的強度を有しているため、感光体へのストレスが大きい接触帯電を用いた場合、特に優れた耐久性を示す。
【0132】接触帯電方式は、感光体表面に接触させた導電性部材に電圧を印加することにより感光体表面を帯電させるものである。導電性部材の形状はブラシ状、ブレード状、ピン電極状、あるいはローラー状等何れでもよいが、特にローラー状部材が好ましい。通常、ローラー状部材は外側から抵抗層とそれらを支持する弾性層と芯材から構成される。さらに必要に応じて抵抗層の外側に保護層を設けることができる。
【0133】ローラー状部材は、感光体に接触させることにより特に駆動手段を有しなくとも感光体と同じ周速度で回転し、帯電手段として機能する。しかし、ローラー部材に何らかの駆動手段を取り付け、感光体とは異なる周速度で回転させ、帯電させてもよい。
【0134】芯材の材質としては導電性を有するもので、一般には鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等が用いられる。またその他導電性粒子等を分散した樹脂成形品等を用いることができる。
【0135】弾性層の材質としては導電性あるいは半導電性を有するもので、一般にはゴム材に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散したものである。
【0136】ゴム材としてはEPDM、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソブチレン、SBR、CR、NBR、シリコンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、SBS、熱可塑性エラストマー、ノルボーネンゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンオキシドゴム等が用いられる。
【0137】導電性粒子あるいは半導電性粒子としてはカーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、ZnO−Al23、SnO2−Sb23、In23−SnO2、ZnO−TiO2、MgO−Al23、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、Sb23、In23、ZnO、MgO等の金属酸化物;を用いることができ、これらの材料は単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。
【0138】抵抗層及び保護層の材質としては、結着樹脂に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散し、その抵抗を制御したもので、抵抗率としては、一般的には103〜1014Ωcmであり、好ましくは105〜1012Ωcmであり、さらに好ましくは107〜1012Ωcmである。また膜厚としては、一般的には0.01〜1000μmであり、好ましくは0.1〜500μmであり、さらに好ましくは0.5〜100μmである。
【0139】結着樹脂としては、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂、PFA、FEP、PET等のポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂等が用いられる。
【0140】導電性粒子あるいは半導電性粒子としては、弾性層と同様のカーボンブラック、金属、金属酸化物が用いられる。また必要に応じてヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の酸化防止剤、クレー、カオリン等の充填剤や、シリコーンオイル等の潤滑剤を添加することができる。
【0141】これらの層を形成する手段としてはブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等を用いることができる。
【0142】これらの導電性部材を用いて感光体を帯電させる方法としては、導電性部材に電圧を印加するが、印加電圧は直流電圧、あるいは直流電圧に交流電圧を重畳させたものが好ましい。電圧の範囲としては、直流電圧は要求される感光体帯電電位に応じて正又は負の50〜2000Vが好ましく、特に100〜1500Vが好ましい。交流電圧を重畳させる場合は、ピーク間電圧が400〜1800V、好ましくは800〜1600V、さらに好ましくは1200〜1600Vが好ましい。交流電圧の周波数は50〜20,000Hz、好ましくは100〜5,000Hzである。
【0143】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、文中「部」とあるのは「重量部」を意味する。
【0144】実施例1(1)コーティング剤の作製例示化合物No.13を2部、ビストリメトキシシリルヘキサンを3部、IPA(イソプロピルアルコール)を2部、メタノールを2部採取しよく混合した。さらに、イオン交換樹脂(アンバーリスト15E)0.2部、水(蒸留水)2.4部を加え室温(約25℃、以下同じ)にて10時間攪拌した後、TLC(薄層クロマトグラフィー、展開溶剤:ヘキサン/酢酸エチル=3/1、吸着剤:シリカゲル)により、例示化合物No.13の消失を確認した。
【0145】その後、イオン交換樹脂及び少量の沈殿をろ過により取り除き、アルミニウムトリスアセチルアセトナート0.05部、及びアセチルアセトン0.1部を加え、溶解したものをコーティング剤1とした。このコーティング剤1を密封状態で、30℃にて、ゲル化時間、及びゲルの状態を目視で評価した。結果を表10に示す。
【0146】なお、本発明におけるゲル化時間とは、サンプルとなる液を傾けても流動しなくなるまでの時間をいう。また、本発明者らの過去の検討において、ゲル化後のゲルの状態が透明で沈殿が観測されないコーティング剤からは良好な薄膜が得られることがわかっているため、コーティング剤の素性を判断するための目安として、ゲル化状態の目視による評価を行った。
【0147】(2)電子写真感光体の作製ホーニング処理を施した外径30mmの円筒状のアルミニウム基材表面に、ジルコニウム化合物(商品名:オルガチックスZC540、マツモト製薬社製)10部、シラン化合物(商品名:A1100、日本ユニカー社製)1部、IPA40部、及びブタノール20部からなる溶液を浸漬塗布し、150℃にて、10分間加熱乾燥し、膜厚0.1μmの下引層を形成した。
【0148】次いで、電荷発生物質としてX線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)7.4°、16.6°、25.5°、28.3°に強い回折ピークを持つクロロガリウムフタロシアニン結晶1部をポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−S、積水化学社製)1部及び酢酸ブチル100部と混合し、ガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散させた後、得られた塗布液を上記下引層上に浸漬塗布し、100℃にて、10分間加熱乾燥し、膜厚約0.15μmの電荷発生層を形成した。
【0149】更に、下記構造式CTM−1で示されるベンジジン化合物2部及びビスフェノール(Z)ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量4.4×104)3部を、モノクロロベンゼン15部とテトラヒドロフラン15部との混合溶剤に溶解して得られた塗布液を、上記電荷発生層上に浸漬塗布し、115℃にて、1時間加熱乾燥し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。このようにして作製した感光体をベース感光体1とした。
【0150】
【化9】

【0151】ベース感光体1上に、前記方法により得られたコーティング剤1(30℃にて5日間保管後の物)を浸漬塗布し、130℃にて1時間加熱乾燥し、膜厚約5μmの表面保護層を形成した。このようにして作製した感光体を感光体1とした。この感光体1の表面状態を目視にて観察した。結果を表11に示す。
【0152】(3)電子写真感光体の実機搭載プリントテスト作製した感光体をLaser press 4161 II(富士ゼロックス社製)に搭載し、A4のPPC用紙にて、ハーフトーンパターンの画像を10000枚プリントし、10000枚プリント後の画像(欠陥の有無)、感光体の表面状態(傷、付着物の有無)の評価を行った。結果を表11に示す。
【0153】実施例2〜15(1)コーティング剤の作製実施例1において、例示化合物No.13を表10の成分1に示すものに、ビストリメトキシシリルヘキサンを表10の成分2に示すものにそれぞれ代え、さらに水の添加量を表10に示すように変えた他は、実施例1と同様にしてコーティング剤2〜15をそれぞれ作製し、ゲル化時間、及びゲルの状態を目視で評価した。結果を表10に示す。
【0154】(2)電子写真感光体の作製コーティング剤1の代わりにコーティング剤2〜15をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして感光体2〜15をそれぞれ作製し、これらの感光体の表面状態を目視にて観察した。結果を表11に示す。
【0155】(3)電子写真感光体の実機搭載プリントテスト感光体1の代わりに、感光体2〜15のそれぞれを用いた以外は、実施例1と同様にしてプリントテストを行った。結果を表11に示す。
【0156】比較例1(1)コーティング剤の作製アセチルアセトンを加えないこと以外は実施例1と同様にしてコーティング剤ref1を作製した。このコーティング剤ref1のゲル化時間及びゲル化後のゲルの状態を実施例1と同様に評価した。結果を表10に示す。
【0157】(2)電子写真感光体の作製実施例1と同様にして、コーティング剤ref1(30℃にて5日間保管後の物)をベース感光体1上に浸漬塗布しようとしたが、ゲル化が進行していたため、浸漬塗布することができず、電子写真感光体を作製することができなかった。
【0158】比較例2実施例1で作製されたベース感光体1(コーティング剤を浸漬塗布しない感光体)について、実施例1と同様にしてプリントテストを行った。結果を表11に示す。
【0159】
【表10】

【0160】
【表11】

【0161】表10に示す通り、多座配位子を加えないコーティング剤ref1では、ゲル化時間が2日であったのに対し、実施例1〜15の多座配位子を加えたコーティング剤1〜15では、ゲル化時間が7〜18日で、大幅に液寿命を伸ばすことができた。これにより、コーティング剤として使用可能な期間を大幅に延長することができる。また、表11より、本発明におけるコーティング剤を塗布し硬化させた硬化膜を感光体表面に設けることにより、長期のプリントにも耐えうる高機能な電子写真感光体を作製することができることがわかった。
【0162】
【発明の効果】本発明の電子デバイス及び電子写真感光体、並びに該電子写真感光体を具備するプロセスカートリッジ及び画像形成装置は、ポットライフの長いケイ素含有コーティング剤を用いて高機能な硬化膜が形成されているので、優れた耐久性を有する。
【出願人】 【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
【出願日】 平成12年4月18日(2000.4.18)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳 (外3名)
【公開番号】 特開2001−305772(P2001−305772A)
【公開日】 平成13年11月2日(2001.11.2)
【出願番号】 特願2000−117140(P2000−117140)