| 【発明の名称】 |
電子デバイス、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】山田 渉
【氏名】額田 克己
【氏名】石井 理恵
【氏名】関 三枝子
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| 【要約】 |
【課題】合成時は反応性が低く、共加水分解を行う際は反応性が高い機能性有機ケイ素化合物を含有するケイ素含有コーティング剤を用いて、高機能な硬化膜を形成させた電子デバイス及び電子写真感光体、並びに該電子写真感光体を具備するプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】基材表面に、ケイ素含有コーティング剤を塗布し硬化させた硬化膜を1層以上有する電子デバイスであって、前記ケイ素含有コーティング剤が、水に対する反応性が異なる少なくとも2種以上の加水分解性ケイ素化合物からなり、1の加水分解性ケイ素化合物中の反応性基と異種若しくは同種の置換基に、他の加水分解性ケイ素化合物中の反応性基を交換し、前記少なくとも2種以上の加水分解性ケイ素化合物相互の反応性が同一若しくは近似した状態となっていることを特徴とする電子デバイスである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基材上に、ケイ素含有コーティング剤を塗布し硬化させた硬化膜を1層以上有する電子デバイスであって、前記ケイ素含有コーティング剤が、水に対する反応性が異なる少なくとも2種以上の加水分解性ケイ素化合物を含み、1の加水分解性ケイ素化合物中の反応性基と異種若しくは同種の置換基に、他の加水分解性ケイ素化合物中の反応性基を交換し、前記少なくとも2種以上の加水分解性ケイ素化合物相互の反応性が同一若しくは近似した状態となっていることを特徴とする電子デバイス。 【請求項2】 基材上に、ケイ素含有コーティング剤を塗布し硬化させた硬化膜を1層以上有する電子写真感光体であって、前記ケイ素含有コーティング剤が、水に対する反応性が異なる少なくとも2種以上の加水分解性ケイ素化合物を含み、1の加水分解性ケイ素化合物中の反応性基と異種若しくは同種の置換基に、他の加水分解性ケイ素化合物中の反応性基を交換し、前記少なくとも2種以上の加水分解性ケイ素化合物相互の反応性が同一若しくは近似した状態となっていることを特徴とする電子写真感光体。 【請求項3】 請求項2に記載の電子写真感光体と、帯電手段、除電手段、及びクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段と、を含むことを特徴とする、画像形成装置に着脱自在なプロセスカートリッジ。 【請求項4】 使用済みの請求項3に記載のプロセスカートリッジに対し、トナーを充填することにより再生されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。 【請求項5】 請求項2に記載の電子写真感光体、あるいは、請求項3又は4に記載のプロセスカートリッジを含むことを特徴とする画像形成装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ケイ素含有コーティング剤を塗布、硬化して得られる硬化膜を有する、電子デバイス及び電子写真感光体、並びに該電子写真感光体を具備するプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。 【0002】 【従来の技術】ケイ素を含有するコーティング剤(樹脂)は耐熱性、酸化安定性、耐候性(光、オゾン、放射線)、電気特性(絶縁性、耐コロナ性)、界面特性(離型性、消泡性、撥水性)等、種々の特性において他の樹脂とは違うユニークな性質を有するため建築産業分野、機械産業分野、電気産業分野、医療分野、自動車分野等においてシーリング剤、コーティング剤、接着剤等として広く利用されている。 【0003】また近年では電子デバイス分野への応用も検討されている。電子デバイス分野における有機光機能性材料は、特に電子写真感光体や有機エレクトロルミネッセンス素子、メモリー素子、波長変換素子等の有機電子デバイスにおいて、生産性、材料設計の容易さ、安全性等の点から注目され、種々の改良が重ねられて実用化されている。このような有機電子デバイスの安定化、長寿命化の観点から、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子では、発生するジュール熱により膜のモルホルジー変化を引き起こさない材料が求められている。 【0004】また電子写真感光体では、オゾンやNOx等に対する化学的な安定性のみならず、熱や機械力等の物理的なストレスに対して安定な有機光機能性材料が求められている。 【0005】このような課題を解決するため電子写真感光体の分野においては、”Proceedings of IS&T’s Eleventh International Congress on Advances in Non−Impact Printing Technologies,p.57〜59”、特許第2575536号公報や特開平9−190004号公報に開示されているように、ケイ素を含有するコーティング剤が用いられている。これらはゾル−ゲル法を用いてシロキサン結合で3次元に強固なネットワークを形成させて有機−無機ハイブリッド化させることで機械的強度を大きく改善させるものである。 【0006】通常、有機材料と無機材料とは性質が大きく異なるため相溶性が悪く、単に混合しただけでは均一な硬化膜を形成させにくい。そこで特開平9−190004号公報では、電荷輸送剤にケイ素を含有し加水分解性を有する基(ケイ素含有基)を直接導入した有機ケイ素変性正孔輸送性化合物を用い、無機材料と有機材料とを直接強固に化学結合させて均一に相溶させる方法を開示している。 【0007】その一方で光応答性材料にケイ素含有基を直接導入し、無機ガラス中に分散させる方法が電子写真感光体のみならず、ガラスの着色、ポリマーレンズや塗装の表面保護、FRPやカーボン繊維強化樹脂用ファイバーとポリマーとの接着層、非線形光学材料、フォトクロミック材料、フォトケミカルホールバーニング材料等の種々の分野にも検討されており、今後の展開が期待されている。 【0008】しかしながら、ケイ素含有基を直接導入した機能性有機ケイ素化合物を用いても、単に混合し塗布したのみでは硬化反応が起こる前に相分離を起こしてしまい、均一な膜が得られない。そこで、一般には、米国特許第5,116,703号や特開平9−188764号公報に開示されているように、機能性有機ケイ素化合物と無機材料前駆体とを予め共加水分解し、部分的に反応させた後コーティングする方法が利用されている。この共加水分解は、これらの材料を溶解可能な溶剤に溶解し、適量の水とともに酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等の酸触媒や各種の金属アルコキシド等のエステル交換触媒を加えて反応を行うものであり、均一な膜を得る方法として非常に有効である。 【0009】このような均一な膜を得るためには、機能性有機ケイ素化合物及び無機材料前駆体の、加水分解反応や縮合反応等に対する反応性を少なくとも近似させる必要がある。一般にケイ素化合物の反応性は加水分解性基(反応性基)の種類によって決まるため、機能性有機ケイ素化合物及び無機材料前駆体の加水分解性基を同一のものにすることが望ましい。 【0010】加水分解性基を有する機能性有機ケイ素化合物の合成法としては、特開平10−251277号公報やJ.Chem.Soc.Chem.Commun.(1992)p.1079−1080に挙げられるような種々の方法が提案されている。この方法で合成される機能性有機ケイ素化合物中のケイ素含有基は、SiOMeやSiOEtのような比較的反応性の高いものが多い。これは市販されている無機材料前駆体の多くが加水分解や縮合反応時間の短縮、反応点の増大等のため、反応性の高いものに限られているからである。従って、均一な膜を形成させるには、機能性有機ケイ素化合物中の加水分解性基を反応性の高い基に置換し、無機材料前駆体と同等の反応性を有する化合物とする必要がある。 【0011】しかし、比較的反応性の高い加水分解性基を有する化合物は合成の際に、反応溶剤中の微量の水分と反応したり、吸着剤に吸着したりして収率を低下させ大幅なコストアップを招いてしまう。特に、機能性材料等の原料は高価なためコスト面でのデメリットが顕著に現れる。また、機能性材料は高純度化が要求されるため、合成した化合物を種々の方法により精製する作業が必須であるが、反応性が高いため、使用できる吸着剤、溶剤等が制限されてしまい高純度化が難しい。さらに、合成時の温度、触媒等の反応条件が制限されることにより合成ルートが限定されてしまうため、合成できる機能性有機ケイ素化合物の種類が非常に少なくなってしまう。このような理由から、加水分解性基としては、製造時における反応性が低いものを使用するのが好ましい。 【0012】しかし、反応性の低い機能性有機ケイ素化合物と反応性の高い無機材料前駆体を用いて共加水分解を行うと、反応性の高い化合物の方が加水分解が圧倒的に速く進むためコーティング剤の組成が不均一となり易く、沈殿が生成したりゲル化してしまうことがある。このようなコーティング剤を用いて成膜すると、不均一な膜が形成されやすくなり、熱や機械力等のストレスに対して十分な安定性を維持することができない。 【0013】また不均一なコーティング剤を電子写真感光体の作製に使用すると、塗工面に突起物が形成されトナー等の付着物がついて、画像欠陥等のトラブルが発生してしまう。このような現象はコーティング剤のろ過によりある程度回避することができるが、かかる工程を設けることで大幅なコストアップを招いてしまう。更に、このようなコーティング剤は、ろ過後も再び沈殿が生成したり、ゲル化が起こりやすい傾向がある。かかる現象は、相溶性が高いものを用いた場合であっても観察されるが、相溶性の低いもの同士、例えば機能性材料のように有機成分の分子量が200以上、300以上、さらには400以上といった大きな分子量を持ち、無機成分との相溶性が低い材料を用いた場合にはより顕著に観察される。 【0014】以上のように機能性有機ケイ素化合物は、合成時は反応性が低く、共加水分解を行う際は反応性が高いという相反する性質を有することが望まれる。このような相反する性質を満足させるには、反応性の低い機能性有機ケイ素化合物を合成した後、共加水分解時に各々の加水分解反応に対する反応性を何らかの方法により同一若しくは近似させる必要がある。しかしこのような課題を解決させる有効な手段はいまだ開発されていない。 【0015】 【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、反応性が異なる複数の成分を用い、均一な膜を得ることができるケイ素含有コーティング剤を用いて、高機能な硬化膜を形成させた電子デバイス及び電子写真感光体、並びに該電子写真感光体を具備するプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。 【0016】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、水に対する反応性が異なる少なくとも2種以上の加水分解性ケイ素化合物の反応性を、相互に同一又は近似させる工程を設けて製造したケイ素含有コーティング剤を、基材表面に少なくとも1層以上塗布し、硬化させると、組成が均一で高機能な硬化膜を有する電子デバイスが得られることを見出し、かかる硬化膜を設けて電子写真感光体を作製して、プロセスカートリッジ、画像形成装置に設けると、耐久性等が向上することを見出し、本発明に至った。 【0017】すなわち、本発明の電子デバイスは、基材上に、ケイ素含有コーティング剤を塗布し硬化させた硬化膜を1層以上有する電子デバイスであって、前記ケイ素含有コーティング剤が、水に対する反応性が異なる少なくとも2種以上の加水分解性ケイ素化合物を含み、1の加水分解性ケイ素化合物中の反応性基と異種若しくは同種の置換基に、他の加水分解性ケイ素化合物中の反応性基を交換し、前記少なくとも2種以上の加水分解性ケイ素化合物相互の反応性が同一若しくは近似した状態となっていることを特徴とする。 【0018】また、本発明の電子写真感光体は、基材上に、ケイ素含有コーティング剤を塗布し硬化させた硬化膜を1層以上有する電子写真感光体であって、前記ケイ素含有コーティング剤が、水に対する反応性が異なる少なくとも2種以上の加水分解性ケイ素化合物を含み、1の加水分解性ケイ素化合物中の反応性基と異種若しくは同種の置換基に、他の加水分解性ケイ素化合物中の反応性基を交換し、前記少なくとも2種以上の加水分解性ケイ素化合物相互の反応性が同一若しくは近似した状態となっていることを特徴とする。 【0019】前記置換基としては、アルコキシシリル基であることが好ましい。また、他の加水分解性ケイ素化合物中の反応性基を異種若しくは同種の置換基に交換する際に、当該交換がなされる反応溶液に実質的に不溶な触媒を用いることが好ましく、該触媒としては、イオン交換樹脂であることが好ましい。 【0020】他の加水分解性ケイ素化合物中の反応性基を異種若しくは同種の置換基に交換する際に、前記異種若しくは同種の置換基の前駆体(保護基前駆体)として、1級アルコールを用いることが好ましい。 【0021】前記ケイ素含有コーティング剤としては、加水分解性ケイ素化合物の1種として、下記一般式(I)で表される機能性有機ケイ素化合物を含有することが好ましい。 F−[D−A]b (I) (一般式(I)中、Fは機能性化合物から誘導される有機基を表し、Dは可とう性サブユニットを表し、Aは−Si(R1)(3-a)Qaで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を表し、R1は水素、アルキル基又は置換あるいは未置換のアリール基を表し、Qは加水分解性基を表し、aは1〜3の整数、bは1〜4の整数を表す。) 【0022】前記機能性化合物から誘導される有機基Fとしては、正孔輸送能を有する基であることが好ましく、該有機基Fが、下記一般式(II)で表されることが好ましい。 【0023】 【化1】
【0024】(一般式(II)中、Ar1〜Ar4はそれぞれ独立に置換又は未置換のアリール基を表し、Ar5は置換若しくは未置換のアリール基又はアリーレン基を表し、kは0又は1を表す。またAr1〜Ar5のうちいずれか1以上は、−D−Aで表される結合基と結合可能な結合手を有する。Dは可とう性サブユニット、Aは−Si(R1)(3-a)Qaで示される加水分解性基を有する置換ケイ素基、R1は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のアリール基、Qは加水分解性基を表し、aは1〜3の整数を表す。) 【0025】前記ケイ素含有コーティング剤としては、加水分解性ケイ素化合物の1種として、下記一般式(III)で表される有機ケイ素化合物を含むことが好ましい。 B−[A]n (III) (一般式(III)中、Aは−Si(R1)(3-a)Qaで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を表し、R1は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のアリール基を表し、Qは加水分解性基を表し、Bは枝分かれを含んでもよいn価の炭化水素基、n価のフェニル基、−NH−、−O−Si−の少なくとも1つ以上から構成される。aは1〜3の整数、nは2以上の整数を表す。) 【0026】また、本発明の電子写真感光体としては、ケイ素含有コーティング剤を塗布し硬化させた硬化膜が最表面層として設けられていることが好ましい。 【0027】一方、本発明のプロセスカートリッジは、上記本発明の電子写真感光体と、帯電手段、除電手段、及びクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段と、を含むことを特徴とし、画像形成装置に着脱自在である。 【0028】また、本発明のプロセスカートリッジとしては、使用済みの上記プロセスカートリッジに対し、トナーを充填することにより再生されたものであってもよい。 【0029】さらに、本発明の画像形成装置は、上記本発明の電子写真感光体、あるいは、上記本発明のプロセスカートリッジを含むことを特徴とする。 【0030】 【発明の実施の形態】以下、本発明の電子デバイス、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置について、説明する。 【0031】[A]電子デバイス本発明の電子デバイスは、基材上に、ケイ素含有コーティング剤を塗布し硬化させた硬化膜を1層以上有する電子デバイスであって、前記ケイ素含有コーティング剤が、水に対する反応性が異なる少なくとも2種以上の加水分解性ケイ素化合物を含み、1の加水分解性ケイ素化合物中の反応性基と異種若しくは同種の置換基に、他の加水分解性ケイ素化合物中の反応性基を交換し、前記少なくとも2種以上の加水分解性ケイ素化合物相互の反応性が同一若しくは近似した状態となっている。以下、前記ケイ素含有コーティング剤及びその製造方法を説明するとともに、本発明の電子デバイスについて詳細に説明する。 【0032】[1]ケイ素含有コーティング剤本発明のケイ素含有コーティング剤は、主成分として少なくとも2種以上の加水分解性ケイ素化合物を含み、例えば加水分解性ケイ素化合物である機能性有機ケイ素化合物、及び、加水分解性ケイ素化合物である無機材料前駆体からなるもので、これらが部分的に加水分解された状態となっている。 【0033】(1)機能性有機ケイ素化合物機能性有機ケイ素化合物は、下記一般式(I)で表される化合物であるのが好ましい。 F−[D−A]b (I) (一般式(I)中、Fは機能性化合物から誘導される有機基を表し、Dは可とう性サブユニットを表し、Aは−Si(R1)(3-a)Qaで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を表し、R1は水素、アルキル基又は置換あるいは未置換のアリール基を表し、Qは加水分解性基を表し、aは1〜3の整数、bは1〜4の整数を表す。) 【0034】Dの具体例としては、−CnH2n−、−CnH(2n-2)−、−CnH(2n-4)−で表される2価の炭化水素基(ここで、nは1〜15の整数を表す。)、−COO−、−S−、−O−、−CH2−C6H4−、−N=CH−、−C6H4−C6H4−、及びこれらを組み合わせたものや置換基を導入したものが挙げられる。またbは2〜4の整数がより好ましい。bを2〜4とすると一般式(I)で表される光機能性有機ケイ素化合物中にSi原子を2つ以上含むことになり、無機ガラス質ネットワークが形成されやすくなり、機械的強度を向上させることができる。 【0035】一般式(I)中、Fとして具体的には、フタロシアニン系化合物、ポリフィリン系化合物、アゾベンゼン系化合物、トリス(ビピリジル)−ロジウム系化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、スチルベン系化合物系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等から誘導される有機基が挙げられる。特に正孔輸送性化合物から誘導される有機基が好ましい。また、上記一般式(I)中のFとしては、光機能性を有する部位であれば何ら限定されるものではなく、例えば以下の一般式(II)に表すものを挙げることができる。しかし、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、光機能性を有する部位とは、屈折率変化、伝導度変化、非線形光学効果、構造変化、色変化等の何らかの機能を発生する部位を意味する。 【0036】また一般式(I)中、Fとしては、以下の一般式(II)に示すような有機ケイ素変性正孔輸送性化合物から誘導される有機基がより好ましく、具体的にはアリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、が特に好ましい。なお、上記のような化合物は例示列挙であって、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0037】 【化2】
【0038】(一般式(II)中、Ar1〜Ar4はそれぞれ独立に置換又は未置換のアリール基を示し、Ar5は置換若しくは未置換のアリール基又はアリーレン基を表し、kは0又は1を表す。また、Ar1〜Ar5のうち1〜4個は−D−Aで表される結合基と結合可能な結合手を有する。Dは可とう性サブユニット、Aは−Si(R1)(3-a)Qaで示される加水分解性基を有する置換ケイ素基、R1は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のアリール基、Qは加水分解性基を表し、aは1〜3の整数を表す。) 【0039】一般式(II)におけるAr1〜Ar4はそれぞれ独立に置換又は未置換のアリール基を示し、具体的には、以下の構造群1から選択されるものが好ましい。 【0040】 【化3】
【0041】またArは下記構造群2から選択されるものが好ましい。 【0042】 【化4】
【0043】また、Z’は以下の構造群3から選択されるものが好ましい。 【0044】 【化5】
【0045】ここで、R6は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、または未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基から選択される。R7〜R13は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、または未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、ハロゲンから選択される。m及びsは0または1を表し、q及びrは1〜10の整数、t,t’は1〜3の整数を示す。ここで、Xは一般式(I)の定義で既に示した−D−Aで表される結合基と結合可能な結合手を有する。 【0046】Wは以下の構造群4から選択されるものが好ましい。 【0047】 【化6】
【0048】(ここで、s’は0〜3の整数を示す。) 【0049】一般式(II)におけるAr5の具体的構造としては、k=0のときは、上記Ar1〜Ar4のm=1の構造が挙げられ、k=1のときは、上記Ar1〜Ar4のm=0の構造が挙げられる。またk=1のときは、Ar1〜Ar4のいずれかにおいてm=1である。 【0050】有機ケイ素変性正孔輸送性化合物の具体例としては、以下の表1〜表7に示すようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、表中の具体例は、一般式(II)中のkを特定するかたちで示しており、Ar1〜Ar5のうち、−D−Aと結合する結合手を有する基に関しては、当該−D−Aを含めた状態で特定することにより、一般式(II)を化合物として特定している。また表中の「Me」はメチル基を表し、「iPr」はイソプロピル基を表す。 【0051】 【表1】
【0052】 【表2】
【0053】 【表3】
【0054】 【表4】
【0055】 【表5】
【0056】 【表6】
【0057】 【表7】
【0058】表3に示す例示化合物No.21及び表5に示す例示化合物No.33の合成例を以下に示す。 【0059】・例示化合物No.21の合成例窒素雰囲気下、攪拌機を備えた1リットル三つ口ナスフラスコに、下記構造式で示されるトリフェニルアミン誘導体−1を100g、DMF(ジメチルホルムアミド)を120.3ml及びオキシ塩化リンを144.1ml入れ、100℃で4日間攪拌した。 【0060】反応の終了をTLC(薄層クロマトグラフィー)にて確認した後、反応溶液を氷浴で冷却した。反応溶液中に蒸留水300ml、トルエン300mlを入れ攪拌した。その後、反応溶液をトルエン抽出し、有機層を蒸留水及び10%K2CO3溶液で洗浄した。得られた有機層を活性白土にて共沸脱水処理し、活性白土をろ過にて取り除いた。更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶剤:トルエン)にて精製し、減圧下溶剤を留去し、下記構造式で示されるビスホルミル体誘導体−1を111.6g得た。 【0061】窒素雰囲気下、ナスフラスコにジエチルホスホノ酢酸エチルを110g、THF(テトラヒドロフラン)を500ml、炭酸カリウムを42.5g及びビスホルミル体誘導体−1を46.2g入れ、21時間加熱還流を行った。反応の終了をTLCにて確認した後、反応溶液を室温まで冷却し、蒸留水を1ml加え、攪拌した。その後、反応溶液をトルエン抽出し、有機層を蒸留水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた有機層の溶剤を減圧下留去し、油状物質を57.3g得た。 【0062】ナスフラスコに上記油状物質を57.3g、CH3OHを700ml、THFを700ml、10%−Pd/Cを1g入れ、水素置換し、3日間攪拌した。NMRにて反応の終了を確認し、Pd/Cをセライトろ過にて取り除いた。減圧下で溶剤を留去し油状物質56.8gを得た。 【0063】更に、上記油状物質を56.8g、THFを700ml、蒸留水を400ml、NaOHを23g入れ、2.5時間加熱還流した。反応の終了をTLCにて確認した後、反応溶液を室温まで冷却し、1mol/lのHClをpHが約4になるまで加えて中和し、得られた固体をろ過、乾燥し、下記構造式で示されるカルボン酸誘導体−1を49.3g得た。 【0064】 【化7】
【0065】窒素気流下、三つ口フラスコに炭酸カリウムを25g、DMFを1リットル、カルボン酸誘導体−1を40g、ヨードプロピルトリイソプロポキシシランを64g採り、90℃にて3時間攪拌した。反応溶液が室温になるまで冷却後、酢酸エチルを1リットル加え、不溶分をろ別した。その後、蒸留水2リットルにより2度洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶剤を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶剤:トルエン)で精製し、化合物21(蛍光淡黄色油状物質)63gを得た。 【0066】・例示化合物No.33の合成例窒素雰囲気下、撹拌機を備えた1リットル三つ口ナスフラスコに、下記構造式で示されるビスホルミル体誘導体−2を100g入れ、トルエン2リットルに溶解した。さらにマロン酸を77.4g、ピペリジンを73.2ml入れ、16時間加熱還流した。反応の終了をTLCにて確認した。反応溶液を室温まで冷却し、そのまま濃硫酸60mlを溶解したメタノール溶液を2リットル加え、6時間加熱還流した。反応の終了をTLCにて確認した。反応溶液を室温まで冷却し、蒸留水を2リットル加え、攪拌した。その後、反応溶液をトルエン抽出し、有機層を蒸留水及び10%K2CO3溶液で洗浄した。得られた有機層を活性白土にて共沸脱水処理を行い、活性白土をろ過にて取り除いた。減圧下で溶剤を留去し、油状物質を得た。 【0067】上記方法で得た油状物質を、トルエン1.5リットルとメタノール1リットルとを混合した混合溶液に溶解し、この中に10%−Pd/Cを1g入れ、水素置換し、3日間攪拌した。NMRにて反応の終了を確認し、Pd/Cをセライトろ過にて取り除いた。減圧下で溶剤を留去し、再結晶(溶剤;アセトン/メタノール)することにより、白色結晶を84g得た。 【0068】更に、上記白色結晶84gをTHF1リットルに溶解し、蒸留水を400ml、NaOHを20g入れ、2.5時間加熱還流した。反応の終了をTLCにて確認した後、反応溶液を室温まで冷却し、1mol/lのHClをpHが約4になるまで加えて中和し、得られた固体をろ過、乾燥し、下記構造式で示されるカルボン酸誘導体−2を83g得た。 【0069】 【化8】
【0070】窒素気流下、三つ口フラスコに炭酸カリウムを22g、DMFを1リットル、カルボン酸誘導体−2を50g、ヨードプロピルトリイソプロポキシシランを54g採り、90℃にて3時間攪拌した。反応溶液を室温まで冷却後、酢酸エチル1リットルを加え、不溶分をろ別した。その後、蒸留水2リットルにより2度洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶剤を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶剤:トルエン)で精製し、化合物33(蛍光淡黄色油状物質)を70g得た。 【0071】(2)無機材料前駆体本発明に用いる無機材料前駆体は、例えば、各種シランカップリング剤及び市販のシリコン系ハードコート剤を挙げることができる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0072】シランカップリング剤としては、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の四官能性アルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等の三官能性アルコキシシラン;γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等の二官能性アルコキシシラン;等を挙げることができる。また、市販のハードコート剤としては、具体的には、KP−85、X−40−9740、X−40−2239(以上、信越シリコーン社製)及びAY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等を用いることができる。 【0073】また、無機材料前駆体の好ましい例として、以下のような一般式(III)で示されるものを挙げることができる。 B−[A]n (III) (一般式(III)中、Aは−Si(R1)(3-a)Qaで示される加水分解性基を有する置換ケイ素基を表し、R1は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のアリール基を表し、Bは枝分かれを含んでも良いn価の炭化水素基、n価のフェニル基、−NH−、−O−Si−の少なくとも1つ以上から構成される。aは1〜3の整数、nは2以上の整数を表す。) 【0074】無機材料前駆体としては、具体的には、以下の表8に示すようなものを使用するのが好ましいが、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0075】 【表8】
【0076】[2]ケイ素含有コーティング剤及び電子デバイスの製造方法本発明のケイ素含有コーティング剤の製造方法は、水に対する反応性が異なる少なくとも2種以上の加水分解性ケイ素化合物のうち、1の加水分解性ケイ素化合物中の反応性基と異種若しくは同種の置換基に、他の加水分解性ケイ素化合物中の反応性基を交換して、少なくとも2種以上の加水分解性ケイ素化合物相互の反応性を同一若しくは近似させる工程と、反応性を同一若しくは近似させた状態で共加水分解を行って部分的に反応させる工程と、からなる。 【0077】具体的には、加水分解性ケイ素化合物である機能性有機ケイ素化合物を単独、若しくは、加水分解性ケイ素化合物である無機材料前駆体と共に、保護基前駆体(加水分解性ケイ素化合物中の反応性基を異種若しくは同種の置換基に交換する際に用いられる該置換基の前駆体)と混合し、必要に応じて保護基交換触媒を添加して、撹拌する。保護基前駆体は、機能性有機ケイ素化合物中の反応性基(置換基)と反応し、置換基の交換反応を行って、機能性有機ケイ素化合物中の反応性の低い反応性基を、反応性の高い反応性基(加水分解性置換基)に交換する。これにより、水に対する反応性(加水分解反応に対する反応性)が高い無機材料前駆体と同一若しくは近似した反応性を有する機能性有機ケイ素化合物が作製される。 【0078】機能性有機ケイ素化合物及び無機材料前駆体の反応性を同一若しくは近似させるためには、機能性有機ケイ素化合物中の反応性基を無機材料前駆体中の反応性基と同種のものに交換するのがよいが、最終的に反応性が同一若しくは近似すれば、これとは異種の反応性基に交換してもよい。なお、本発明において、「反応性が近似した」とは、共加水分解を行った際に沈殿、白濁等を生じない程度に反応性が近似した状態を意味する。 【0079】加水分解性置換基にはクロルシリル基、アルコキシシリル基、アセトキシシリル基、エノキシシリル基、アミノシリル基等が用いられるが、その中で最も一般的に用いられるのがアルコキシシリル基である。アルコキシシリル基の加水分解に対する反応性は、アルコキシ基の炭素数に由来し、炭素数が小さい程加水分解の反応性が高いことが知られている。 【0080】ここで、加水分解性置換基としてアルコキシシリル基の場合を例にとると、保護基前駆体とはアルコールを意味し、炭素数の小さいアルコールを用いることにより、反応性の低い反応性基を、反応性(加水分解性)の高い反応性基に交換することができる。一方、炭素数の大きいアルコールを用いると、加水分解性のより低い反応性基に交換することが可能である。炭素数の小さいアルコールの具体例としては、メタノール、エタノール等が挙げられ、炭素数の大きいアルコールの例としては、プロパノール、イソプロパノール、ブタノ−ル等が挙げられる。なお、コーティング剤を塗布する際の硬化反応の効率から考えると、炭素数の小さい保護基前駆体であって、特に1級アルコール等の保護基前駆体を使用することが好ましいが、所望により任意の保護基前駆体を使用することが可能である。 【0081】保護基前駆体の添加量としては、交換する反応性基の数に対し、1〜1000倍量となる添加量とすることが好ましく、2〜10倍量とするのがより好ましい。1倍量よりも少ないと、反応性基の交換を完結させることができず、1000倍量を超えると塗布液の粘度が低くなってしまう。 【0082】保護基前駆体を添加する際に、必要に応じて用いられる触媒(保護基交換触媒)としては,塩酸、酢酸、硫酸、リン酸等の無機酸;ギ酸、プロピオン酸、シュウ酸、パラトルエンスルホン酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸等の有機酸;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等のアルカリ触媒;有機金属;金属アルコキシド;例えばジブチルスズジラウリレート、ジブチルスズジオクチエート、ジブチルスズジアセテート等の有機ズズ化合物;アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、チタニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)及びジルコニウムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトネート)等の金属キレート化合物;ホウ素ブトキシド、ホウ酸等のホウ素化合物;等が挙げられる。 【0083】更に、交換がなされる反応溶液に実質的に不溶な固体触媒として、アンバーライト15、アンバーライト200C、アンバーリスト15、アンバーリスト15E(以上、ローム・アンド・ハース社製);ダウエックスMWC−1−H、ダウエックス88、ダウエックスHCR−W2(以上、ダウ・ケミカル社製)、レバチットSPC−108、レバチットSPC−118(以上、バイエル社製)、ダイヤイオンRCP−150H(三菱化成社製)、スミカイオンKC−470、デュオライトC26−C、デュオライトC−433、デュオライト−464(以上、住友化学工業社製)、ナフィオン−H(デュポン社製)等の陽イオン交換樹脂;アンバーライトIRA−400、アンバーライトIRA−45(以上、ローム・アンド・ハース社製)等の陰イオン交換樹脂;Zr(O3PCH2CH2SO3H)2、Th(O3PCH2CH2COOH)2等のプロトン酸基を含有する基が表面に結合している無機固体;スルホン酸基を有するポリオルガノシロキサン等のプロトン酸基を含有するポリオルガノシロキサン、コバルトタングステン酸、リンモリブデン酸等のヘテロポリ酸;ニオブ酸、タンタル酸、モリブデン酸等のイソポリ酸;シリカゲル、アルミナ、クロミア、ジルコニア、CaO、MgO等の単元系金属酸化物;シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、ゼオライト類等の複合系金属酸化物;酸性白土、活性白土、モンモリロナイト、カオリナイト等の粘土鉱物;Li2SO4、MgSO4等の金属硫酸塩;リン酸ジルコニア、リン酸ランタン等の金属リン酸塩;LiNO3,Mn(NO3)2等の金属硝酸塩;シリカゲル上にアミノプロピルトリエトキシシランを反応させて得られる固体等のアミノ基を含有する基が表面に結合している無機固体;アミノ変性シリコーン樹脂等のアミノ基を含有するポリオルガノシロキサン;等が挙げられる。上述した触媒は後述する加水分解の触媒としても使用できる。 【0084】更にPd/C、ラネーニッケル等の金属触媒;トリクロロメチルシラン、テトラクロロシラン;保護基前駆体と反応することによりコーティング剤成分中の無機材料前駆体を形成しうるハロゲン化シラン等のハロゲン化シラン類;等の触媒も使用することができる。 【0085】使用する触媒の量は、保存安定性、特性、強度等の点で加水分解性置換基を含有する材料の合計量に対して0.1〜20wt%が好ましく、0.3〜10wt%がより好ましい。なお、交換がなされる反応溶液に実質的に不溶な固体触媒を使用した場合は、反応終了後の溶液中から容易に取り除くことができるので、その量は特に限定されるものではない。また加水分解に使用する触媒と保護基の交換反応の両反応に使用できる触媒を使用すれば、作業の簡略化、塗布液安定化を図ることができる。 【0086】また、撥水性等の付与のために、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤;1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン等の含フッ素化合物;等を加えてもよい。シランカップリング剤は任意の量で使用できるが、含フッ素化合物の量は、フッ素を含まない化合物に対して0.5重量%以下とすることが望ましい。0.5重量%を越えると架橋膜の成膜性に問題が生じる場合があるからである。 【0087】なお、反応性基の交換反応終了は、種々の分析手段により確認可能であるが、NMR、TLC(薄層クロマトグラフィー)等による方法が簡便である。特にTLCを使用する場合は、機能性有機ケイ素化合物の消失を確認することで容易に判断できる。 【0088】反応性基の交換は無溶剤下で行うこともできるが、保護基前駆体をはじめとした他の一般の溶剤を用いてもよい。特に、副反応を抑えることができるため、保護基前駆体を溶剤として用いることが好ましい。また、保護基前駆体及び溶剤を脱水させて使用することにより、反応性基の交換反応中の加水分解を抑制させることができる。 【0089】また反応性基の交換反応中の加水分解を抑制する目的のためには、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム等の乾燥剤やオルトぎ酸メチル、オルトぎ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、オルトプロピオン酸メチル、オルトプロピオン酸エチル等の脱水剤を添加することもできる。 【0090】上述した少なくとも2種以上の加水分解性ケイ素化合物相互の反応性を同一若しくは近似させる工程の後に、無機材料前駆体を混合していない場合はこれを混合し、必要に応じて加水分解用触媒を添加して、機能性有機ケイ素化合物と無機材料前駆体とを共加水分解する。加水分解用触媒としては、反応性基の交換に用いた触媒と同様なものを用いることができるが、操作の簡便性、塗布液の安定性の面から、加水分解がなされる反応溶液に実質的に不溶な固体触媒、金属キレート化合物等が好ましい。また使用する触媒の量は、反応性基の交換反応に用いる触媒量と同範囲とするのが好ましい。 【0091】以上のようにして、ケイ素含有コーティング剤が製造される。このようにして製造されたケイ素含有コーティング剤は、所望の基材表面に塗布される。塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を採用することができ、膜厚は任意に設定することができる。 【0092】ケイ素含有コーティング剤を基材表面に塗布した後、加熱することにより、塗布膜を硬化して硬化膜を形成する。硬化温度(加熱温度)は、任意に設定できるが、所望の強度を得るためには60℃〜200℃とすることが好ましく、80℃〜170℃とすることがより好ましい。硬化時間は、必要に応じて任意に設定できるが、10分〜5時間が好ましい。また、硬化反応を行った後、高湿度状態に保ち、特性の安定化を図ることも有効である。さらに、用途によっては、ヘキサメチルジシラザンやトリメチルクロロシラン等を用いて表面処理を行い疎水化してもよい。 【0093】上述のように、機能性有機ケイ素化合物と無機材料前駆体とを予め共加水分解した後、基材等の表面に塗布、硬化させることで、耐久性、安定性及び機能性に優れた本発明の電子デバイスが作製される。 【0094】本発明の電子デバイスとしては、電子写真感光体、有機EL素子、太陽電池、有機導電体、電子写真用キャリア、電荷発生材料等が挙げられ、電子デバイスに設けられる硬化膜の形成に使用されるケイ素含有コーティング剤は、電子写真用キャリアのコート剤、電荷発生材料の表面処理、アルミニウムやニッケルやネサガラス等と有機感光層との中間層等に使用され、特に電子写真感光体の硬化膜の形成に使用すると優れた特性が発揮される。 【0095】電子デバイスの一例としての電子写真感光体の場合、現在主流となっている積層型の電子写真感光体では、一般に最表面層に電荷輸送層が設けられており、搭載されるマシンの高速化、小型化に伴い、コストの削減だけでなく、最表面層の耐久性の向上が課題となっているが、有機ケイ素変性正孔輸送性化合物として加水分解の反応性の低いものを用いた上述のケイ素含有コーティング剤を用いて得られる硬化膜を最表面層として形成すれば、上述のような反応性基の交換工程を設けているので、大幅なコストダウンと耐久性の維持が可能となる。以下、電子デバイスの一例として、ケイ素含有コーティング剤を使用して作製される電子写真感光体について説明する。 【0096】[B]電子写真感光体本発明の電子写真感光体は、基材表面に、ケイ素含有コーティング剤を塗布し硬化させた硬化膜を1層以上有する電子写真感光体であって、前記ケイ素含有コーティング剤が、水に対する反応性が異なる少なくとも2種以上の加水分解性ケイ素化合物を含み、1の加水分解性ケイ素化合物中の反応性基と異種若しくは同種の置換基に、他の加水分解性ケイ素化合物中の反応性基を交換し、前記少なくとも2種以上の加水分解性ケイ素化合物相互の反応性が同一若しくは近似した状態となっている。 【0097】また本発明の電子写真感光体は、ケイ素含有コーティング剤を基材に塗布し硬化させた硬化膜が最表面層として設けられているのがより好ましい。 【0098】本発明の電子写真感光体が、例えば、(1)基材としてのアルミニウム等の導電性支持体の表面に(2)下引層を設け、その上に(3)電荷発生層、(4)電荷輸送層、(5)表面保護層を有する積層型感光体である場合、ケイ素含有コーティング剤を塗布し硬化して得られる硬化膜を電荷輸送層、表面保護層として用いると、耐久性に優れた電子写真感光体を作製することができる。特に、最表面層である表面保護層として用いた場合、優れた耐久性が示されるため好ましい。また、ケイ素含有コーティング剤は、微粒子の分散性がよいので、微粒子を高分散な状態に保持させることができる。以下、本発明の電子写真感光体(以下、単に、「感光体」という場合がある)について、上記積層型感光体を例として説明する。 【0099】(1)導電性支持体導電性支持体としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いた金属板、金属ドラム、金属ベルト;導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物;アルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着、あるいはラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト;等が挙げられる。さらに必要に応じて導電性支持体の表面は、画質に影響のない範囲で各種の処理を行うことができる。例えば、表面の陽極酸化被膜処理、熱水酸化処理や薬品処理、着色処理等又は、砂目立て等の乱反射処理等を施すことができる。 【0100】(2)下引層下引層は、導電性支持体と後述する電荷発生層との間に必要に応じて設けられる。下引層を設けると、主として、1)導電性支持体からの不必要なキャリアの注入を阻止し、画像品質が向上し、2)感光体の光減退曲線の環境変動を生じず、安定した画像品質が得られる。また、下引層は、3)適度な電荷輸送能を有し、長期間の繰返し使用時にも電荷が蓄積されないので、感度変動を生じず、4)帯電電圧に対する適度な耐圧性を示し、絶縁破壊による画像欠陥の発生を生じさせない。さらに、5)感光層を支持体に対して一体的に接着保持させる接着層としての作用、6)場合によっては導電性支持体の光の反射光防止作用を示す。 【0101】下引層は、主として結着樹脂からなり、該結着樹脂としては、具体的には、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、水溶性ポリエステル樹脂等が挙げられる。また、結着樹脂に代えて、あるいは、結着樹脂とともにニトロセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ジルコニウムキレート化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物、有機チタニル化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。 【0102】導電性支持体表面に必要に応じて形成させる下引層は、上述した結着樹脂等を適当な溶剤に溶解、分散した塗布液をブレードコーティング法、ワイヤーバーコティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法で塗布して形成される。かかる下引層の厚みは0.01〜10μmが好ましく、0.05〜2μmがより好ましい。 【0103】また、本発明におけるケイ素含有コーティング剤により、下引層を形成してもよい。この場合、ケイ素含有コーティング剤に、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、シリコーン樹脂等の微粒子を混合して用いてもよい。 【0104】(3)電荷発生層導電性支持体の表面(下引層が形成されている場合には、該下引層上)には通常、電荷発生層が設けられる。電荷発生層には、少なくとも電荷発生物質が含まれる。電荷発生層に用いられる電荷発生物質としては、例えば、アゾ系顔料、キノン系顔料、縮環芳香族系顔料、ペリレン系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、ビスベンゾイミダゾール系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、キノリン系顔料、レーキ系顔料、アゾレーキ系顔料、アントラキノン系顔料、オキサジン系顔料、ジオキサジン系顔料、トリフェニルメタン系顔料等の種々の有機顔料;アズレニウム系染料、スクウェアリウム系染料、ピリリウム系染料、トリアリルメタン系染料、キサンテン系染料、チアジン系染料、シアニン系染料等の種々の染料;アモルファスシリコン、アモルファスセレン、テルル、セレン−テルル合金、硫化カドミウム、硫化アンチモン、酸化亜鉛、硫化亜鉛等の無機材料;等が挙げられるが、なかでも縮環芳香族系顔料、ペリレン系顔料、アゾ系顔料が、感度、電気的安定性及び照射光に対する光化学的安定性の面で好ましい。電荷発生物質としては、ここに挙げたものを単独で用いることもできるが、2種類以上の電荷発生物質を混合して用いてもよい。 【0105】電荷発生層は上述した電荷発生物質を真空蒸着により蒸着して形成するか、あるいは溶剤中に結着樹脂及び電荷発生物質を溶解、分散した塗布液を塗布することにより形成することができる。 【0106】塗布液を塗布する場合、電荷発生層に使用する結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル型ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルアントラセン樹脂、ポリビニルピレン等が挙げられる。これらの中で特にポリビニルアセタール系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、フェノキシ樹脂及び変性エーテル型ポリエステル樹脂が電荷発生物質を良く分散させ、凝集させず長期にわたり塗布液(分散塗工液)が安定になる。 【0107】このような塗布液を用いることで均一な被膜が形成され、電気特性が向上し、画質欠陥を少なくすることができる。しかしながら、通常の状態で被膜を形成しうる樹脂であれば上記のものに限定されるものではない。これらの結着樹脂は、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。電荷発生物質と結着樹脂との配合比は、体積比で、5:1〜1:2の範囲が好ましい。 【0108】また上記塗布液を調製する際に用いられる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、クロロベンゼン、酢酸メチル、酢酸−n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム等の通常使用される有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。 【0109】塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常使用される方法を適用することができる。電荷発生層の厚みは0.01〜5μmが好ましく、0.1〜2.0μmがより好ましい。厚さが0.01μmよりも薄いと、電荷発生層を均一に形成することが困難になり、5μmを越えると電子写真特性が著しく低下する傾向がある。 【0110】また、電荷発生層中に酸化防止剤、失活剤等の安定剤を加えることもできる。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、硫黄系、リン系、アミン系化合物等の酸化防止剤が挙げられる。失活剤としてはビス(ジチオベンジル)ニッケル、ジ−n−ブチルチオカルバミン酸ニッケル等が挙げられる。 【0111】(4)電荷輸送層電荷輸送層は、本発明におけるケイ素含有コーティング剤を塗布し硬化させた硬化膜が単独、もしくは以下に示すような電荷輸送物質、結着樹脂及び必要に応じて添加される種々の添加剤を含有した状態で形成されたものであることが好ましい。電荷輸送層の上に表面保護層が設けられる場合には、一般の電荷輸送層と同様に、下記電荷輸送物質、結着樹脂及び必要に応じて添加される種々の添加剤からなるものであってもよい。 【0112】電荷輸送物質としては、低分子化合物では、例えば、ピレン系、カルバゾール系、ヒドラゾン系、オキサゾール系、オキサジアゾール系、ピラゾリン系、アリールアミン系、アリールメタン系、ベンジジン系、チアゾール系、スチルベン系、ブタジエン系等の化合物やトリフェニルアミン化合物、トリフェニルメタン化合物が挙げられる。また、高分子化合物では、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ハロゲン化ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアンスラセン、ポリビニルアクリジン、ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂、トリフェニルメタンポリマー、ポリシラン等が挙げられる。これらのうち、トリフェニルアミン化合物、トリフェニルメタン化合物、ベンジジン化合物がモビリティー、安定性、光に対する透明性の面で好ましい。 【0113】電荷輸送層は、本発明におけるケイ素含有コーティング剤を塗布、硬化して得られる硬化膜で形成してもよいが、ケイ素含有コーティング剤を上述した電荷輸送物質と結着樹脂とともに混合して形成してもよい。混合する場合の電荷輸送物質とケイ素含有コーティング剤との配合比(重量比)は10:1〜1:5が好ましい。 【0114】電荷輸送層に結着樹脂を用いる場合、電気絶縁性のフィルムを形成することができる高分子重合体が好ましい。このような高分子重合体としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、フェノール樹脂、ポリアミド、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーラテックス、ポリウレタン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。 【0115】これらの結着樹脂は、単独又は2種類以上混合して用いられるが、特にポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂が、電荷輸送物質との相溶性、溶剤への溶解性、強度にすぐれているので好ましい。 【0116】また、これらの結着樹脂とともに、可塑剤、表面改質剤、酸化防止剤、光劣化防止剤等の添加剤を使用することもできる。可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、ターフェニル、ジブチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、ジオクチルフタレート、トリフェニル燐酸、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種フルオロ炭化水素等が挙げられる。表面改質剤としては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン等のシリコーンオイル類が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、硫黄系、リン系、アミン系化合物等の酸化防止剤が挙げられる。光劣化防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。なお、本発明におけるケイ素含有コーティング剤を使用しない場合、上記各成分を適当な溶剤に溶解して塗布液を作製する。 【0117】塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。電荷輸送層を設けるときに用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン;エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類;等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。 【0118】電荷輸送層の厚みは5〜50μmが好ましく、10〜40μmがより好ましい。厚さが5μmよりも薄いと帯電が困難になり、50μmを越えると電子写真特性が著しく低下する傾向がある。 【0119】(5)表面保護層必要に応じて設けられる表面保護層は、電荷輸送層上に設けられる。表面保護層を設けることで耐久性を向上させることができる。ここで、本発明におけるケイ素含有コーティング剤を塗布し硬化させた硬化膜を表面保護層として用いると、より強度の高い表面層を形成できるため好ましい。また、ケイ素含有コーティング剤に導電性材料、結着樹脂を混合して硬化膜を形成してもよい。 【0120】表面保護層として本発明にいう硬化膜を形成する場合は、ケイ素含有コーティング剤に、必要に応じて、前述の電荷輸送物質、半導電性材料、結着樹脂を添加して、これを電荷輸送層上に塗布、硬化する。 【0121】結着樹脂としては、一般式(I)で表される機能性有機ケイ素化合物と相溶可能であれば、特に制限はないが、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等公知の樹脂を用いることができる。 【0122】本発明におけるケイ素含有コーティング剤に、より強固な硬化膜を得る観点から、シリカやアルミナ等の無機微粒子、PTFEや架橋ポリスチレン等の有機微粒子を添加してもよい。無機微粒子は、画質等の面で、有機基で被覆されたものが好ましい。 【0123】また、シリコーンオイル、フッ素系材料等の潤滑剤や微粒子を含有させることにより、潤滑性、強度を向上させることもできる。潤滑剤としては、前述のフッ素系シランカップリング剤等が好ましい。 【0124】さらに、分散させる微粒子としては、4フッ化エチレン、3フッ化エチレン、6フッ化プロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のフッ素系微粒子;’’第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集p89’’に記載されているようなフッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂からなる微粒子;ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO−TiO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、In2O3、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物;等を挙げることができる。 【0125】この表面保護層は、上記成分を必要に応じ適当な溶剤に溶解、分散して塗布液を調製し、これを塗布することにより形成される。塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。また表面保護層の厚さは通常0.1〜10μmであり、好ましくは0.5〜7μmである。 【0126】表面保護層の形成に使用する溶剤としては保護層を形成する材料を溶解し、かつ、表面保護層の下にある電荷輸送層を侵さない溶剤が好ましく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン等のエーテル類;キシレン、p−シメン等の芳香族系溶剤;メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等のセルソルブ類;等が挙げられ、なかでも沸点が60〜150℃のアルコール類が成膜性、塗布液の保存安定性の面で好ましい。 【0127】[C]プロセスカートリッジプロセスカートリッジとは、画像形成装置の消耗部品を適時交換する目的で、画像形成装置の構成部品のいくつかをカートリッジに組み込み、容易に交換作業を行えるようにしたものである。プロセスカートリッジは、画像形成装置の中に装着された状態で取引される他、交換部品あるいは補修部品として、単体でも取引されている。 【0128】本発明のプロセスカートリッジは、電子写真感光体と、帯電手段、除電手段、およびクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段と、を含み、かつ、画像形成装置に着脱自在な構成となっている。プロセスカートリッジに組み込まれ得る電子写真感光体以外の構成部品については、特に制限は無く、従来公知の物が問題無く採用され得る。 【0129】また、感光体として長寿命なものを使用する場合は、プロセスカートリッジを、トナーを充填することにより容易に再生される構造とするのが好ましい。そのためには、トナー再充填部を、接着や融着をしないで、ネジ式やクリップ式にして、再充填時にプロセスカートリッジを破壊することなく簡便に開閉できる構造とするのが好ましい。このようにすると、トナーの再充填はトナーボトル等から簡便に行えるため、大幅なコストダウンを図ることができる。また、プロセスカートリッジの寿命が延びることで環境負荷の低減が図れる。 【0130】[D]画像形成装置本発明の画像形成装置は、上述した電子写真感光体、あるいは、該電子写真感光体を含むプロセスカートリッジを具備する電子写真方式の画像形成装置である。 【0131】本発明の画像形成装置は、レーザー光学系やLEDアレイ等の露光手段、トナー等を用いて像を形成する現像手段、トナー像を紙等の媒体に写し取る転写手段、トナー像を紙等の媒体に定着させる定着手段、感光体に付着したトナーやゴミ等を除去するクリーニング手段、感光体表面に残留している静電潜像を除去する除電手段、等も必要に応じて公知の構成で備えてもよい。 【0132】本発明の画像形成装置おいて、帯電方式としては、従来から公知のコロトロン、スコロトロンによる非接触帯電方式、接触帯電方式のいずれでもよいが、前記本発明の感光体は強い機械的強度を有しているため、感光体へのストレスが大きい接触帯電を用いた場合、特に優れた耐久性を示す。 【0133】接触帯電方式は、感光体表面に接触させた導電性部材に電圧を印加することにより感光体表面を帯電させるものである。導電性部材の形状はブラシ状、ブレード状、ピン電極状、あるいはローラー状等何れでもよいが、特にローラー状部材が好ましい。通常、ローラー状部材は外側から抵抗層とそれらを支持する弾性層と芯材から構成される。さらに必要に応じて抵抗層の外側に保護層を設けることができる。 【0134】ローラー状部材は、感光体に接触させることにより特に駆動手段を有しなくとも感光体と同じ周速度で回転し、帯電手段として機能する。しかし、ローラー部材に何らかの駆動手段を取り付け、感光体とは異なる周速度で回転させ、帯電させてもよい。 【0135】芯材の材質としては導電性を有するもので、一般には鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等が用いられる。またその他導電性粒子等を分散した樹脂成形品等を用いることができる。 【0136】弾性層の材質としては導電性あるいは半導電性を有するもので、一般にはゴム材に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散したものである。 【0137】ゴム材としてはEPDM、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソブチレン、SBR、CR、NBR、シリコンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、SBS、熱可塑性エラストマー、ノルボーネンゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンオキシドゴム等が用いられる。 【0138】導電性粒子あるいは半導電性粒子としてはカーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、Sb2O3、In2O3、ZnO、MgO等の金属酸化物;を用いることができ、これらの材料は単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。 【0139】抵抗層及び保護層の材質としては、結着樹脂に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散し、その抵抗を制御したもので、抵抗率としては、一般的には、103〜1014Ωcmであり、好ましくは105〜1012Ωcmであり、さらに好ましくは107〜1012Ωcmである。また膜厚としては、一般的には、0.01〜1000μmであり、好ましくは0.1〜500μmであり、さらに好ましくは0.5〜100μmである。 【0140】結着樹脂としては、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂、PFA、FEP、PET等のポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂等が用いられる。 【0141】導電性粒子あるいは半導電性粒子としては、弾性層と同様のカーボンブラック、金属、金属酸化物が用いられる。また必要に応じてヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の酸化防止剤、クレー、カオリン等の充填剤や、シリコーンオイル等の潤滑剤を添加することができる。 【0142】これらの層を形成する手段としてはブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等を用いることができる。 【0143】これらの導電性部材を用いて感光体を帯電させる方法としては、導電性部材に電圧を印加するが、印加電圧は直流電圧、あるいは直流電圧に交流電圧を重畳させたものが好ましい。電圧の範囲としては、直流電圧は要求される感光体帯電電位に応じて正又は負の50〜2000Vが好ましく、特に100〜1500Vが好ましい。交流電圧を重畳させる場合は、ピーク間電圧が400〜1800V、好ましくは800〜1600V、さらに好ましくは1200〜1600Vが好ましい。交流電圧の周波数は50〜20,000Hz、好ましくは100〜5,000Hzである。 【0144】 【実施例】以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、文中「部」とあるのは「重量部」を意味する。 【0145】実施例1(1)コーティング剤の作製例示化合物No.28を2部、ビストリメトキシシリルヘキサンを2部、メタノールを2部採取しよく混合した。更に、イオン交換樹脂(アンバーリスト15E)0.2部を加え室温(約25℃、以下同じ)にて2時間攪拌した後、TLC(薄層クロマトグラフィー、展開溶剤:ヘキサン/酢酸エチル=3/1、吸着剤:シリカゲル)により、例示化合物No.28の消失を確認した後、更に、IPA(イソプロピルアルコール)4部と蒸留水1.7部を加え1時間攪拌した。 【0146】その後、イオン交換樹脂を脱脂綿を用いた簡易ろ過装置でろ別し、アルミニウムトリスアセチルアセトナート0.05部を加え、溶解させ室温にて16時間静置したものをコーティング剤1−1とした。また、室温にて40時間静置したものをコーティング剤1−2とした。 【0147】(2)電子写真感光体の作製ホーニング処理を施した外径30mmの円筒状のアルミニウム基材表面に、ジルコニウム化合物(商品名:オルガチックスZC540、マツモト製薬社製)10部、シラン化合物(商品名:A1100、日本ユニカー社製)1部、IPA40部、及びブタノール20部からなる溶液を浸漬塗布し、150℃にて、10分間加熱乾燥し、膜厚0.1μmの下引層を形成した。 【0148】次いで、電荷発生物質としてX線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)7.4°、16.6°、25.5°、28.3°に強い回折ピークを持つクロロガリウムフタロシアニン結晶1部をポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−S、積水化学社製)1部及び酢酸ブチル100部と混合し、ガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散させた後、得られた塗布液を上記下引層上に浸漬塗布し、100℃にて、10分間加熱乾燥し、膜厚約0.15μmの電荷発生層を形成した。 【0149】更に、下記構造式CTM−1で示されるベンジジン化合物2部及びビスフェノール(Z)ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量4.4×104)3部をモノクロロベンゼン15部とテトラヒドロフラン15部の混合溶剤に溶解して得られた塗布液を、上記電荷発生層上に浸漬塗布し、115℃にて、1時間加熱乾燥し、20μmの電荷輸送層を形成した。このようにして作製した感光体をベース感光体1とした。 【0150】 【化9】
【0151】ベース感光体1上に、前記方法により得られたコーティング剤1−1を浸漬塗布し、130℃にて1時間加熱乾燥し、膜厚約5μmの表面保護層を形成した。このようにして作製した感光体を感光体1−1とした。 【0152】同様にベース感光体1上に、コーティング剤1−2を浸漬塗布し、130℃にて1時間加熱乾燥し、膜厚約5μmの表面保護層を形成した。このようにして作製した感光体を感光体1−2とした。これらの感光体の表面状態を目視にて観察した。結果を表10に示す。 【0153】(3)電子写真感光体の実機搭載プリントテスト作製した感光体1−1及び1−2をそれぞれLaser press 4161 II(富士ゼロックス社製)に搭載し、A4のPPC用紙にて、ハーフトーンパターンの画像を10000枚プリントし、10000枚プリント後の画像(欠陥の有無)、感光体の表面状態(傷、付着物の有無)の評価を行った。結果を表11に示す。 【0154】実施例2〜19(1)コーティング剤の作製実施例1において、例示化合物No.28を表9の成分1に示すものに、ビストリメトキシシリルヘキサンを表9の成分2に示すものにそれぞれ代え、さらに水の添加量を表9に示すように変えた他は、実施例1と同様にしてコーティング剤2−1〜19−1及び2−2〜19−2をそれぞれ作製した。 【0155】(2)電子写真感光体の作製コーティング剤1−1及びコーティング剤1−2の代わりにコーティング剤2−1〜19−1及び2−2〜19−2をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして感光体2−1〜19−1及び2−2〜19−2をそれぞれ作製し、これらの感光体の表面状態を目視にて観察した。結果を表10に示す。 【0156】(3)電子写真感光体の実機搭載プリントテスト感光体1−1及び1−2の代わりに、感光体2−1〜19−1及び2−2〜19−2のそれぞれを用いた以外は、実施例1と同様にしてプリントテストを行った。結果を表11に示す。 【0157】比較例1(1)コーティング剤の作製例示化合物No.28を2部、ビストリメトキシシリルヘキサンを2部、IPAを4部、メタノールを2部採取し良く混合した。更に、イオン交換樹脂(アンバーリスト15E)0.2部、蒸留水1.68部を加え室温にて24時間攪拌した後、TLC(薄層クロマトグラフィー、展開溶剤:ヘキサン/酢酸エチル=3/1、吸着剤:シリカゲル)により、例示化合物No.28の消失を確認した。その後、イオン交換樹脂を脱脂綿を用いた簡易ろ過装置によりろ別し、アルミニウムトリスアセチルアセトナート0.05部を加え、溶解させ室温にて16時間静置したものをコーティング剤ref1−1とした。なお、このコーティング剤には僅かな沈殿物が見られた。コーティング剤ref1−1をメンブランフィルターにより沈殿物をろ過し、さらに室温にて40時間静置したものをコーティング剤ref1−2とした。なお、このコーティング剤には沈殿物が見られた。 【0158】(2)電子写真感光体の作製コーティング剤1−1及び1−2の代わりにコーティング剤ref1−1及び1−2を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体ref1−1及びref1−2を作製し表面状態を目視で観察した。結果を表10に示す。 【0159】(3)電子写真感光体の実機搭載プリントテスト感光体1−1及び1−2の代わりに、感光体ref1−1及びref1−2を用いた以外は、実施例1と同様にしてプリントテストを行った。結果を表11に示す。 【0160】 【表9】
【0161】 【表10】
【0162】 【表11】
【0163】 【発明の効果】以上から、ケイ素含有コーティング剤を塗布、硬化させた硬化膜を有する、本発明の電子デバイス及び電子写真感光体、並びに該電子写真感光体を具備するプロセスカートリッジ及び画像形成装置は、低コストで、耐久性に優れる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005496 【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年4月18日(2000.4.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079049 【弁理士】 【氏名又は名称】中島 淳 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−305771(P2001−305771A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月2日(2001.11.2) |
| 【出願番号】 |
特願2000−117139(P2000−117139) |
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