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【発明の名称】 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び、電子写真装置
【発明者】 【氏名】岩崎 真宏

【要約】 【課題】物性等の選択の自由度が高く、製造が容易で、製造時の電荷輸送材料の収率が高く、高画質の画像を形成可能な電子写真感光体の提供。

【解決手段】導電性支持体表面に、電荷輸送材料を含む感光層が少なくとも1層形成されてなる電子写真感光体であって、前記電荷輸送材料が、下記式で表される繰り返し単位を有する電荷輸送性化合物と絶縁性化合物とをブロック共重合及び/又はグラフト共重合させてなることを特徴とする電子写真感光体である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 導電性支持体表面に、電荷輸送材料を含む感光層が少なくとも1層形成されてなる電子写真感光体であって、前記電荷輸送材料が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する電荷輸送性化合物と絶縁性化合物とをブロック共重合及び/又はグラフト共重合させてなることを特徴とする電子写真感光体。
一般式(1)
【化1】

一般式(1)において、Ar1及びAr2はアリール基を示す。又、一般式(1)で表される繰り返し単位を有する電荷輸送性化合物全体として、Ar1あるいはAr2で示されるアリール基のうち、1つ以上には、置換基として、反応性基を有する。X1及びX2は、それぞれ独立にアリーレン基を示し、該アリーレン基は、置換されていてもよい。X3は、芳香族環構造を有する2価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基を示す。Lは、2価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基を示す。Lは、枝分れ構造又は環構造を含んでもよい。mは、0又は1を示す。
【請求項2】 前記反応性基が、ヒドロキシメチル基である請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項3】 請求項1又は2に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、除電手段、およびクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段と、を含むことを特徴とする、電子写真装置に着脱自在なプロセスカートリッジ。
【請求項4】 請求項1又は2に記載の電子写真感光体、あるいは、請求項3に記載のプロセスカートリッジを含むことを特徴とする電子写真装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な電荷輸送性共重合体を用いた電子写真感光体、それを用いたプロセスカートリッジ、及び、電子写真装置に関し、特に、デジタル式電子写真法に好適な電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び、デジタル式電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真技術は、高速で、高印字品質が得られる等の利点を有するために、近年、複写機、プリンター、ファクシミリ等の分野において、中心的役割を果たしている。電子写真技術において用いられる電子写真感光体としては、従来からセレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金等の無機光導電性材料を用いたものが広く知られている。一方、これらの無機系感光体に比べ、コスト、製造性、廃棄性等の点で優れた利点を有する有機光導電性材料を用いた電子写真感光体の研究も活発に行われ、現在では無機系感光体を凌駕するに至っている。特に、光電導の素過程である光電荷発生と電荷輸送をそれぞれ別々の層に担わせる機能分離型積層構成のものが開発されたことにより、材料選択の自由度が増し、著しい性能の向上を遂げ、現在ではこの機能分離積層型の有機感光体が電子写真感光体の主流となっている。
【0003】すなわち、電荷発生能と電荷輸送能の両方に優れた材料は希有であり、またその様な材料の設計開発も困難であったが、一方にのみ秀でた材料なら設計開発も容易であり、各機能に秀でた材料を組合せ用い機能分離型積層構成を採用することで、高性能な電子写真感光体を得ることが可能となった。機能分離積層型有機感光体用の電荷発生層としては、キノン系顔料、ぺリレン系顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、セレン等の電荷発生能に優れた顔料を蒸着等により直接成膜したもの、あるいは高濃度で結着樹脂中に分散したものが実用化されている。一方、電荷輸送層としては、ヒドラゾン系化合物、ベンジジン系化合物、アミン系化合物、スチルベン系化合物等の電荷輸送能に優れた低分子化合物を絶縁性樹脂中に分子分散したものが用いられている。
【0004】ところで、従来の光学的に原稿を感光体上に結像させて露光するアナログ方式の電子写真式複写機に用いる感光体としては、濃度階調による中間調の再現性を良好にするために、図1に示すような光誘起電位減衰特性を持つ感光体、すなわち、露光量に対し比例的に電位減衰を起こす感光体(以下、「J字型感光体」という。)であることが要求される。上記の無機系感光体、機能分離型の積層型有機感光体は全てこの範疇に入る光誘起電位減衰特性を示す。
【0005】しかしながら、近年の高画質化、高付加価値化、ネットワーク化等の要請に伴い盛んに研究開発が行われているデジタル方式の電子写真装置では、一般にドット等の面積率で階調を出す面積階調方式を採用するため、むしろ図2に示すような、ある露光量に達するまでは電位減衰せず、その露光量を越えると急峻な電位減衰が起こる、いわゆるS字型の光誘起電位減衰特性を有する感光体(以下、「S字型感光体」という。)を使用する方が、画素の鮮鋭度が高められる等の点から望ましい。
【0006】このS字型光誘起電位減衰特性は、ZnO等の無機顔料あるいはフタロシアニン等の有機顔料を樹脂中に粒子分散した単層型感光体において公知の現象である(例えば、R.M.Schaffert:「Electrophotography」、Focal Press,p.344(1975)、J.W.Weigl,J.Mammino,G.L.Whittaker,R.W.Radler,J.F.Byrne:「Current Problems in Electrophotography」,Walter de Gruyter,p.287(1972))。特に、現在多用されている半導体レーザーの発信波長である近赤外域に光感度を有するフタロシアニン系顔料を樹脂中に分散したレーザ露光用単層感光体が多数提案されている(例えば、グエン・チャン・ケー,相沢:日本化学会誌,p.393(1986)、特開平1−169454号公報、同2−207258号公報、同3−31847号公報、同5−313387号公報等)。
【0007】しかしながら、これらの単層型感光体では、単一材料で電荷発生と電荷輸送の両機能を担う必要があるものの、上述したように両機能共に優れた性能を有する材料は稀有であり、実用に耐え得るものは未だ得られていない。特に顔料粒子は、一般的に多くのトラップレベルを有するため、電荷輸送能が低く、電荷が残留する、繰り返し安定性が低い等の欠点があり、電荷輸送を担わせるには不適当である。この問題を根本的に解決し、材料選択の自由度を上げ、ひいては総合的な感光体特性を向上させるためには、S字型感光体においても、機能分離構成の導入が不可欠である。
【0008】この問題に対し、D.M.Pai等は、電荷発生層と電荷輸送層とからなる積層型感光体において、電荷輸送層として少なくとも2つの電荷輸送領域及び1つの電気的不活性領域を含み、該電荷輸送領域として、互いに接触して回旋状電荷輸送路を形成してなる不均一電荷輸送層を用いることにより、任意の電荷発生層との組合せでS字型光誘起電位減衰特性が実現できることを報告している(特開平6−83077号公報(米国特許第5306586号明細書))。
【0009】又、本発明者等は、電荷発生層、不均一電荷輸送層、及び、均一電荷輸送層から成る3層構成の感光体が、S字型光誘起電位減衰特性を示すことを発明し(特願平7−208552号公報)、上記D.M.Pai等の発明から更に機能分離度を高めることに成功した。
【0010】しかしながら、これらの発明において、鍵となる光誘起電位減衰特性をS字型にする機能(以下、「S字化」という)を担う不均一電荷輸送層の具体例としては、フタロシアニン顔料の樹脂分散膜、六方晶セレンの樹脂分散膜、ポリビニルカルバゾール−ドデシルメタクリレート相分離系ブロック共重合体が開示されているのみであり、しかもこれ等の材料には以下に示すような問題があり、上記発明を実用化するには、不均一電荷輸送層材料の新たな開発が不可欠な課題であった。
【0011】すなわち、フタロシアニン顔料、六方晶セレン等の電荷発生能を有する着色顔料を不均一電荷輸送層用電荷輸送材料として用いると、特に電荷輸送層側から電荷発生層を露光する構成を採った場合、不均一電荷輸送層での光吸収及びそれに伴う電荷発生により、光感度や帯電性に悪影響が出たり、繰り返し安定性が低下する等の問題が生起した。
【0012】この問題は、不均一電荷輸送層に吸収のない波長域に光感度を有する電荷発生層を用い、且つ、該波長域内のみの露光を行う露光装置を用いることにより回避することができるが、材料や装置に制約が貸せられることとなり、根本的な改善策が望まれる。更に、フタロシアニン顔料の樹脂分散膜や六方晶セレンの樹脂分散膜の製造に当たっては、これら顔料の粉砕及び/又は分散工程が必要であるが、粉砕には莫大なエネルギーを要し、且つ不純物混入の危険性を伴う。更に又、安定な分散液を得ることは一般的に困難であり、分散溶剤やバインダー樹脂の探索に多大な労力を要すると共に、選択材料に著しい制約を受ける。又、分散液中での結晶成長や凝集化による分散液の変性は一般的に避けられず、長期に亘る使用は不可能であり、コストアップをもたらす。
【0013】一方、ポリビニルカルバゾール−ドデシルメタクリレート相分離系ブロック共重合体は、特殊な2官能性開始剤を用いて合成されるものであり、製造が困難、コストが高い等の問題があった。更に、機械的強度が弱い、電荷移動度が小さい、電荷注入性が低い等の問題もあった。しかしながら、相分離系ブロック共重合体では、塗布液としては均一溶液であり、乾燥時に相分離し所望とする不均一電荷輸送層を与えるものであるため、上記のような粉砕/分散に関する問題は、根本的に解消されると云う利点を有する。又、顔料ではないため、上記の光暴露に関する問題も発生しない。
【0014】ところで、電荷輸送性高分子としては、ポリビニルカルバゾールが電子写真感光体用の電荷輸送材料として有効であることが古くから知られているが、機械的強度が弱い、電荷移動度が小さい、電荷注入性が低い等の実用上の本質的な問題があった。この問題を解決するため、電荷輸送層に要求される機能である電荷輸送能と、成膜性、可撓性、強度等の機械的特性を分離し、それぞれを別々の材料に担わせる機能分離の発想に基づく材料開発が為され、前述のように現在では、高い電荷輸送能を有するトリアリールアミン系電荷輸送性低分子化合物と、成膜性、可撓性、強度に優れたポリカーボネート系樹脂からなる分子分散系複合材料が、電子写真用電荷輸送層材料の主流となっている。
【0015】しかしながら、このような分子分散系複合材料では、分子分散された電荷輸送性低分子化合物が経時及び/又は加熱で結晶化してしまい、特性が劣化するという問題があり、特に高温下での使用やあるいは発熱を伴うデバイスへの適用には制限があった。また、高画質が得られる液体現像方式の電子写真装置用の電子写真感光体に用いた場合、現像液に触れることで、電荷輸送性低分子化合物の溶解あるいは結晶化等が起こり、電荷輸送層が変性あるいはクラックが生じる等の問題があった。更に又、十分な電荷輸送性を確保するためには、電荷輸送性低分子化合物を樹脂中に35〜60wt%の高濃度で分散する必要があり、可撓性、強度等の機械的特性に優れた樹脂を用いても、複合膜としての機械的特性には限界があった。
【0016】更なる高寿命化、高耐久化、低コスト化が要請される電子写真感光体を初め、有機電子デバイスに幅広く、有機電荷輸送材料が活用されるには、上記のような問題の克服が不可欠であり、その手段として、近年、ポリビニルカルバゾールに代わる高性能電荷輸送性高分子の研究開発が、再び活発化している。現在までに、トリアリールアミン系電荷輸送性低分子化合物が高い電荷輸送性を有すると云う知見を基に、トリアリールアミン骨格を主鎖あるいは側鎖に含む電荷輸送性高分子が多数、開発されている(例えば、米国特許4,806,443号明細書、同4,806,444号明細書、同4,801,517号明細書、同4,937,165号明細書、同4,959,288号明細書、特開昭61−20953号公報、特開平1−134456号公報、同1−134457号公報、同1−134462号公報、同4−133065号公報、同4−133066号公報、同8−176293号公報、同8−176293号公報等)。
【0017】しかしながら、これらの電荷輸送性高分子は、単独重合体もしくは数種のモノマーを混合し共重合させたランダム共重合体であり、本質的に相分離性を示すことはなく、それら単独ではS字化のための不均一電荷輸送層を形成することはできない。この問題に対し、本発明者等は、それら電荷輸送性高分子に該電荷輸送性高分子と非相溶な絶縁性高分子を加えた相分離性ポリマーブレンドがS字化のための不均一電荷輸送層として有効に機能し得ることを発明した(特開平10−69109等)。
【0018】しかしながら、ポリマーブレンドでは、一般に相分離スケールが数μm以上の大きさであり、画像の均質性が低下する場合があると云う問題があった。更に、乾燥速度、乾燥温度等の成膜条件により、相分離スケールが大きく変化し、それに伴い電子写真特性が大きく変化してしまうと云う製造再現性上の問題もあった。
【0019】前記問題を解決するために、本発明者等は、相分離スケールの小さい電荷輸送性ブロック共重合体又は電荷輸送性グラフト共重合体により、不均一電荷輸送層が構成され、十分な機械強度、適切な不均一電荷特性を有し、耐久性の高いS字型の電子写真感光体を提案している。
【0020】しかしながら、技術の進歩に伴い、物性等の選択の自由度が高い電荷輸送材料を収率良く得、容易に製造可能な電子写真感光体が要求されている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術における上記のような実情に鑑みなされたものであって、上記問題点等を克服し、上記諸要求等に応えることによって、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、物性等の選択の自由度が高く、製造が容易で、製造時の電荷輸送材料の収率が高く、高画質の画像を形成可能な電子写真感光体、それを用いたプロセスカートリッジ、及び、電子写真装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、電荷輸送材料及び高分子材料に関して鋭意検討を重ねた結果、所望とする機能を有する複数のブロックを共有結合で連結させると云うブロック共重合あるいはグラフト共重合化の手法により、各機能を損ねることなく、多機能を有する材料が、容易かつ高収率にて得られ、トリアリールアミン構造を含む電荷輸送性ブロックと絶縁性ブロックとからなる共重合体が電荷輸送材料として優れた総合特性を有すること、特に、該両ブロックが、非相溶性である場合には、S字型感光体用の不均一電荷輸送層材料として好適であることを見出し本発明を完成するに至った。
【0023】前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、<1> 導電性支持体表面に、電荷輸送材料を含む感光層が少なくとも1層形成されてなる電子写真感光体であって、前記電荷輸送材料が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する電荷輸送性化合物と絶縁性化合物とをブロック共重合及び/又はグラフト共重合させてなることを特徴とする電子写真感光体である。
一般式(1)
【0024】
【化2】

【0025】一般式(1)において、Ar1及びAr2はアリール基を示す。又、一般式(1)で表される繰り返し単位を有する電荷輸送性化合物全体として、Ar1あるいはAr2で示されるアリール基のうち、1つ以上には、置換基として、反応性基を有する。X1及びX2は、それぞれ独立にアリーレン基を示し、該アリーレン基は、置換されていてもよい。X3は、芳香族環構造を有する2価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基を示す。Lは、2価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基を示す。Lは、枝分れ構造又は環構造を含んでもよい。mは、0又は1を示す。尚、前記電荷輸送材料において、電荷輸送性化合物に由来する部位は、電荷輸送性ブロックに相当し、絶縁性化合物に由来する部位は、絶縁性ブロックに相当する。以下、前記電荷輸送材料において、前記電荷輸送性化合物に由来する部位を「電荷輸送性ブロック」と称することがあり、前記絶縁性化合物に由来する部位を「絶縁性ブロック」と称することがある。
<2> 前記反応性基が、ヒドロキシメチル基である前記<1>に記載の電子写真感光体である。
前記電子写真感光体においては、ヒドロキシメチル基等の反応性基が硬化部位となって、電荷輸送性ブロックが硬化されているのが好ましい。前記電荷輸送性ブロックと前記絶縁性ブロックとは、互いに非相溶性であるのが好ましい。前記絶縁性ブロックは、ビニル系モノマーを重合させてなるのが好ましい。前記ビニル系モノマーは、下記一般式(2)で示される化合物の少なくとも1種を含有するのが好ましい。
【0026】一般式(2)
【化3】

【0027】一般式(2)中、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又は、アリール基を示す。R1〜R3のいずれかが、アルキル基又はアリール基の場合、該アルキル基又はアリール基は、置換されていてもよい。R4は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシル基、アシル基、アシルオキシ基、又は、アルコキシルカルボニル基を示す。R4が、アルキル基、アリール基、アルコキシル基、アシル基、アシルオキシ基、又は、アルコキシルカルボニル基の場合、R4は、置換されていてもよい。
【0028】前記電子写真感光体において、前記電荷輸送材料を含む感光層が、電荷輸送層であり、更に、少なくとも1層の電荷発生層が形成され、全体として積層型感光層を構成しているのが好ましい。前記電荷輸送層が、2以上の層からなり、該電荷輸送層の少なくとも1層が、前記電荷輸送材料を含むのが好ましい。前記電荷輸送層が、少なくとも、不均一電荷輸送層と均一電荷輸送層とからなり、前記電荷輸送材料を含む層が、不均一電荷輸送層であるのが好ましい。また、前記電子写真感光体においては、50%電位減衰に要する露光量が、10%電位減衰に要する露光量の5倍未満であるのが好ましく、3倍未満であるのがより好ましい。
【0029】<3> 前記<1>又は<2>に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、除電手段、及びクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段と、を含むことを特徴とする、電子写真装置に着脱自在なプロセスカートリッジである。
<4> 前記<1>又は<2>に記載の電子写真感光体、あるいは、前記<3>に記載のプロセスカートリッジを含むことを特徴とする電子写真装置である。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
[電子写真感光体]本発明の電子写真感光体は、導電性支持体表面に、感光層が少なくとも1層形成されてなり、必要に応じてその他の層が形成されてなる。
【0031】−感光層−前記感光層は、電荷輸送材料を含み、必要に応じてその他の成分を含む。前記電荷輸送材料は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する電荷輸送性化合物と絶縁性化合物とをブロック共重合及び/又はグラフト共重合させてなる。
一般式(1)
【0032】
【化4】

【0033】一般式(1)において、Ar1及びAr2はアリール基を示す。又、一般式(1)で表される繰り返し単位を有する電荷輸送性化合物全体として、Ar1あるいはAr2で示されるアリール基のうち、1つ以上には、置換基として、反応性基を有する。X1及びX2は、それぞれ独立にアリーレン基を示し、該アリーレン基は、置換されていてもよい。X3は、芳香族環構造を有する2価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基を示す。Lは、2価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基を示す。Lは、枝分れ構造又は環構造を含んでもよい。mは、それぞれ0又は1を示す。
【0034】前記電荷輸送材料において、前記電荷輸送性ブロックは、電荷移動度、電荷注入性、電荷寿命、可視光及び赤外光透過性、化学的安定性等の点で、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するブロックであることが必要である。特に、一般式(1)で表される繰り返し単位を有する電荷輸送性化合物全体として、Ar1あるいはAr2で示されるアリール基のうち、1つ以上には、置換基として、反応性基を有するため、前記電荷輸送材料は、高い電荷輸送能と共に、種々の特性を有する絶縁性ブロックの導入と云うアロイ化の手法により、機械的強度、ガラス転移温度、結晶化度、屈折率、接着性、吸着性、可撓性、溶解性、溶融性、相分離状態等の様々な物性を持たせることが可能である。又、前記反応性基の数、導入位置等を調整することにより、これらの物性を容易に制御することが可能と(即ち、物性等の選択の自由度が高く)なる。更に又、前記反応性基により、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する電荷輸送性化合物と絶縁性化合物とを共重合させる際の反応率が高くなるため、高収率で前記電荷輸送材料が得られ、結果的に、これを用いた本発明の電子写真感光体の製造が容易になる。
【0035】尚、前記電荷輸送性ブロックにおいては、上記一般式(1)で表される繰り返し単位におけるAr1、Ar2のいずれかが常に置換基としての反応性基を有している必要はなく、例えば、繰り返し単位ごとに、反応性基を有していなかったり、繰り返し単位におけるAr1又はAr2の片方が反応性基を有していたり、Ar1、Ar2の双方が反応性基を有していたりしてもよい。また、前記電荷輸送性ブロックにおいては、その外のトリアリールアミン構造を含む繰り返し単位を含むのも好ましく、該電荷輸送性ブロックの式量としては、2000以上が好ましい。
【0036】前記一般式(1)において、Ar1及びAr2で示されるアリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ピレニル基等が挙げられる。これらは、メチル基、エチル基、メトキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。また、前記反応性基としては、ヒドロキシメチル基、ホルミル基、カルボキシル基等が挙げられ、中でもヒドロキシメチル基が好ましい。反応性基としてヒドロキシメチル基を有するアリール基の具体例としては、以下のものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0037】
【化5】

【0038】一般式(1)において、X1及びX2は、それぞれ独立にアリーレン基を示し、該アリーレン基は、置換されていてもよい。該アリーレン基としては、具体的には、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、これらが置換されている場合、その置換基としては、メチル基、エチル基、メトキシ基、又は、ハロゲン基等が挙げられる。
【0039】一般式(1)において、X3は、芳香族環構造を有する2価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基を示す。その具体例としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、メチレンジフェニル基、シクロヘキシレデンジフェニル基、オキシジフェニル基、チオジフェニル基等が挙げられる。これらは、置換されていてもよく、置換基としては、メチル基、エチル基、メトキシ基、又は、ハロゲン原子等が挙げられ、この中でも特に、置換又は未置換のビフェニレン基又はターフェニレン基が、電荷輸送性の点で特に好ましい。
【0040】上記一般式(1)中、Lは、2価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基を示し、枝分かれ構造又は環構造を含んでもよい。Lとしては、機械的強度等の点から、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、シロキサン結合等から選ばれる結合基を有するC1〜C20のヘテロ原子含有炭化水素基が好ましい。その具体例としては、以下のものが挙げられる。
【0041】
−O−CO−C24−CO−O−,−O−CO−C64−CO−O−, −CH2−O−CH2−,−O−CO−O−, −C36Si(CH32−O−Si(CH32−C36−, −CO−O−C24−O−CO−, −C24−CO−O−C24−O−CO−C24−, −O−CO−O−C64−C(CH32−C64−O−CO−O−,【0042】一般式(1)で表される繰り返し単位の具体例を、部分構造式(部分構造式1〜75)によって表1〜15に示したが、これらに限定されるものではない。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
【表4】

【0047】
【表5】

【0048】
【表6】

【0049】
【表7】

【0050】
【表8】

【0051】
【表9】

【0052】
【表10】

【0053】
【表11】

【0054】
【表12】

【0055】
【表13】

【0056】
【表14】

【0057】
【表15】

【0058】これらの中でも、高移動度、高分子化の点で、部分構造式2、7、12、22、27、32、37、42、47、及び、52で表される繰り返し単位が好ましい。
【0059】前記電荷輸送材料において、前記絶縁性ブロックとしては、機械的強度、可撓性、可視光及び赤外光透過性、化学的安定性等の点から、下記一般式(2)で示されるビニルモノマーの少なくとも1種を重合し得られたものが好ましい。
【0060】一般式(2)
【化6】

【0061】一般式(2)中、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又は、アリール基を示す。R1〜R3のいずれかが、アルキル基又はアリール基の場合、該アルキル基又はアリール基は置換されていてもよく、置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、メトキシ基、クロロメチル基、フェニル基、トリル基等が挙げられる。
【0062】一般式(2)中、R4は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシル基、アシル基、アシルオキシ基、又は、アルコキシルカルボニル基を示す。R4が、アルキル基、アリール基、アルコキシル基、アシル基、アシルオキシ基、又は、アルコキシルカルボニル基の場合、R4は置換されていてもよく、該置換基としては、ハロゲン原子、フェニル基等が挙げられる。R4が、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、又は、アルコキシカルボニル基の場合、その炭素数としては1〜18個が好ましい。R4が、アリール基の場合、該アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ピレニル等が挙げられる。
【0063】前記絶縁性ブロックとしては、電荷輸送性の観点から、その極性が低い程好ましい。前記絶縁性ブロックの極性は、ビニルモノマーの重合物にあっては、該ビニルモノマーのビニル基への水素付加体の双極子モーメントによって支配され、該双極子モーメントが、2D以下であるのが好ましく、1.5D以下であるのがより好ましく、1D以下であるのが更に好ましい。
【0064】一般式(2)中、R1〜R3が、水素原子又はアルキル基であり、且つ、R4が、アルキル基、アリール基、アルキル基置換アリール基、又は、アリール基置換アルキル基である場合、その水素付加体の双極子モーメントが1D以下であるため特に好ましい。
【0065】前記絶縁性ブロックのガラス転移点としては、機械的強度、表面汚染耐性等の点からは、30℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、90℃以上が更に好ましい。又、前記絶縁性ブロックとしては、成膜性、相分離性等の高分子特性を発揮させ得る点で、その式量が2000以上であるのが好ましい。
【0066】前記電荷輸送材料は、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する電荷輸送性化合物と絶縁性化合物とをブロック共重合又はグラフト共重合させてなることが必要である。前記電荷輸送材料が、ブロック共重合体又はグラフト共重合体でない、単なる単独重合体・ランダム共重合体の場合には、前記絶縁性ブロックの種々の特性を、電荷輸送能に影響なく制御することが困難となるからである。
【0067】一方、前記電荷輸送材料が、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する電荷輸送性化合物と絶縁性化合物とを、ブロック共重合又はグラフト共重合させたものであれば、その構成ブロックの連結形式は如何なるものでも構わない。構成ブロックの連結形式としては、例えば、前記電荷輸送性ブロックを「A」、前記絶縁性ブロックを「B」とすると、AB型、ABA型、BAB型、(AB)n型、(AB)nA型、及びB(AB)n型のブロック共重合体、電荷輸送性ブロックを主鎖、絶縁性ブロックを側鎖とするグラフト共重合体、絶縁性ブロックを主鎖、電荷輸送性ブロックを側鎖とするグラフト共重合体、若しくはABA型等のブロック共重合体の側鎖にA及び/又はBをグラフト化したブロック−グラフト共重合体等が挙げられる。
【0068】前記電荷輸送材料を製造する際、前記電荷輸送性化合物と前記絶縁性化合物との配合比としては、生成する電荷輸送材料における前記電荷輸送性ブロックと絶縁性ブロックとの組成比(電荷輸送性ブロック/絶縁性ブロック)が、電荷輸送性ドメインと電気的不活性マトリックスとの体積比(電荷輸送性ドメイン/電気的不活性マトリックス)で、後述の数値範囲内となるよう任意に調整するのが好ましい。
【0069】前記電荷輸送材料の合成方法としては、例えば、「第4版実験化学講座28高分子合成(丸善、1992)」、「マクロモノマーの化学と工業(アイピーシー、1990)」、「高分子の相溶化と評価技術(技術情報協会、1992)」、「高分子新素材One Point 12ポリマーアロイ(共立、1988)」、「Angew.Macromol.Chem.,143,pp.1−9(1986)」、「日本接着学会誌,26,pp.112−118(1990)」、「Macromolecules,28,pp.4893−4898(1995)」、「J.Am.Chem.Soc.,111,pp.7641−7643(1989)」、「特開平6−83077号公報」等の文献に記載されているブロック共重合体又はグラフト共重合体を与え得る任意の適当な合成法が挙げられる。
【0070】例えば、予め、電荷輸送性重合体と絶縁性重合体とを合成し、それら重合体同士を反応結合させることによって所望とするブロック共重合体が得られる。又、電荷輸送性ブロックを形成するモノマーと絶縁性ブロックを形成するモノマーとの重合形式が同じであり、且つ、両者の反応性が大きく異なる場合には、単にそれらモノマーの混合物を重合させることで、先ず、反応性の高い方のモノマーが重合し、該モノマーが消費された後、反応性の低い方のモノマーが重合し、所望とするブロック共重合体が得られる。更に、予め一方のモノマーの重合物を合成し、該重合物の末端及び/又は側鎖にアゾ、過酸エステル、パーオキシ、ジチオカルバマート、アルカリ金属アルコラート、アルカリ金属アルキル等の重合開始能を有する基を含む重合開始剤を導入し、該重合開始剤により、他方のモノマーを重合させることによっても、所望とするブロック共重合体又はグラフト共重合体が得られる。この方法によれば、重縮合又は重付加系重合体と付加重合又は開環重合系重合体からなるブロック共重合体又はグラフト共重合体を容易に得ることができる。更に又、分子中にアゾ、過酸エステル、パーオキシ等の重合開始能を有する基を複数含む化合物を用い、先ず、一部の重合開始基から、一方のモノマーを重合させ、次に残りの重合開始基から、他方のモノマーを重合させることによっても所望とするブロック共重合体が得られる。
【0071】更には、カチオンリビング重合法、アニオンリビング重合法、ラジカルリビング重合法等のリビング重合法により、各モノマーを逐次重合させることによっても所望とするブロック共重合体を得ることができる。リビング重合法は、各ブロックの分子量を容易に制御でき、且つ分子量分布の狭い重合体を与え得ると云う利点を有する。更に、イモータル重合法、Iniferter法等により、各モノマーを逐次重合させることによっても所望とするブロック共重合体を得ることができる。更に又、予め一方のモノマーの重合物の末端に他方のモノマーを導入したマクロモノマーを合成し、該マクロモノマーを重合することによって所望とするグラフト共重合体を得ることができる。
【0072】一般式(1)において、反応性基がヒドロキシメチル基である場合、例えば、ブロック共重合化した後、ビルズマイヤー法により芳香環にホルミル基を導入し、その後還元することで、芳香環にヒドロキシメチル基を導入することができる。又、電荷輸送性重合体に予めホルミル基を導入し、共重合化の後ホルミル基を還元し、ヒドロキシメチル体とすることも可能である。その際、用いる還元剤としては、比較的温和な条件で反応可能な点、後処理の精製がし易い点から、水素化ホウ素ナトリウム等が好ましい。又、ホルミル化の反応条件を制御することで、芳香環に導入するヒドロキシメチル基数を制御することができる。
【0073】前記電荷輸送材料の分子量(重量平均分子量)としては、特に制限はないが、成膜性、相分離性等の高分子特性を発揮させ得る点で、2000以上が好ましく、1万以上がより好ましく、2万以上が更に好ましい。また、前記電荷輸送材料の分子量の上限に関しては、電気的特性上の制限は特にないが、湿式塗布法によって電荷輸送層を塗布形成する場合には、適当な溶液粘度を与える範囲内にあることが必要となるため、一般的には5000000以下が好ましい。
【0074】ポリマーブレンド、ポリマーアロイの分野でよく知られているように、一般に、異なる高分子は、互いに非相溶であり、それらの混合物及びブロック共重合体又はグラフト共重合体は相分離状態をとる。一般に、単なる混合物、即ち、ポリマーブレンドでは、その相分離のスケールとしては、数μm以上のマクロ的なものとなる(マクロ相分離)。これに対し、各成分が共有結合で連結されたブロック共重合体やグラフト共重合体では、サブミクロン以下の微細なドメインからなる相分離状態を与える(ミクロ相分離)。ブロック共重合体及びグラフト共重合体における相分離のスケールは、一般的に、各ブロックの平均長と同一次元であり、各ブロックの式量にほぼ比例することが知られている。
【0075】前記電荷輸送材料も、一般的にミクロ相分離状態をとる。しかしながら、前記電荷輸送材料は、必ずしもミクロ相分離状態をとるものばかりではなく、各ブロックの組合せによっては、相溶性を示し相分離を起こさないことも可能である。一般的に、相溶性は、分子量(各ブロックの式量)が小さくなる程、又、互いの溶解度パラメーター差が小さくなる程高くなる。
【0076】以上説明した前記電荷輸送材料は、高い電荷輸送能と、優れた機械的特性等を兼ね備えているため、種々の有機電子デバイスに好適に用いられ、例えば、有機電子写真感光体を初め、有機EL素子、有機フォトリフラクティブ素子、有機光センサー等の各種有機電子デバイス用の電荷輸送材料として好適である。特に、機能分離型電子写真感光体に好適に用いられる。
【0077】例えば、高い電荷輸送性と成膜性、顔料への吸着性及び接着性を兼ね備えたものは、電荷発生能を有する顔料と併用することで、優れた単層型感光体、及び、積層型感光体用の電荷発生層を与える。又、高い電荷輸送性と機械的強度、化学的強度及び低表面エネルギーを兼ね備えたものは、電荷輸送層又は表面保護層用材料として有効である。特に、電荷輸送性ブロックに、反応性基としてヒドロキシメチル基が導入された場合、イソシアネートやアルコキシシラン類を添加し、架橋硬化させることで、非常に強靭な電荷輸送性膜を与え、表面保護層としても有効である。
【0078】更に、電荷輸送性ブロックがドメイン、絶縁性ブロックがマトリックスとなるミクロ相分離状態を与えるものは、機能分離S字型感光体用の不均一電荷輸送層として好適である。特に、前記電荷輸送性ブロックと前記絶縁性ブロックとが非相溶性である場合には、サブミクロンスケールのミクロ相分離構造を与え、それを不均一電荷輸送層として用いた積層型感光体は、優れたS字型感光体として機能し、上述したような従来のS字型感光体が持つ問題・課題を根本的に解決することができる。更には、前記絶縁性ブロックとして、所望とする他の諸特性を発揮する成分を共重合さることで、更なる高機能化材料への展開も可能である。
【0079】−導電性支持体−前記導電性支持体としては、当業界でそのような支持体として利用されうる任意の種類から選択でき、不透明又は実質的に透明であってよい。該導電性支持体の具体例としては、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼等の金属類、及び、アルミニウム、チタン、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、白金、ジルコニウム、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、ITO等の薄膜を設けたプラスチック、ガラス及びセラミックス等、あるいは導電性付与剤を塗布又は含浸させた紙、プラスチック、ガラス及びセラミックス等が挙げられる。これらの導電性支持体は、ドラム状、シート状、プレート状等、適宜の形状のものとして使用することができる。
【0080】更には、必要に応じて導電性支持体の表面には、各種の処理を行うことができる。例えば、表面の酸化処理や薬品処理、及び、着色処理等、又は、砂目立て、ホーニング等の機械的粗面化処理等が挙げられる。導電性支持体表面の酸化処理や機械的粗面化処理は、導電性支持体表面を粗面化するのみならず、その上に塗布される層の表面形状をも制御し、露光用光源としてレーザー等の可干渉光源を用いた場合に問題となる支持体表面及び/又は積層界面での正反射による干渉縞の発生を防止するという効果を発揮する。
【0081】−本発明の電子写真感光体の層構成−図3ないし図6は、本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す模式拡大断面図である。図3において、電子写真感光体10は、導電性支持体1上に、電荷発生層2と、S字化・電荷輸送を担う不均一電荷輸送層3とを順次有する積層型電子写真感光体である。図4においては、電子写真感光体10’は、導電性支持体1’上に、電荷発生層2’と、S字化を担う不均一電荷輸送層3’と、主な電荷輸送を担う均一電荷輸送層4と、を順次有する積層型電子写真感光体である。図5においては、電子写真感光体10’’は、導電性支持体1’’上に、不均一電荷輸送層3’’と、電荷発生層2’’と、を順次有する積層型電子写真感光体である。図6においては、電子写真感光体10’’’は、導電性支持体1’’’上に、均一電荷輸送層4’と、不均一電荷輸送層3’’’と、電荷発生層2’’’と、を順次有する積層型電子写真感光体である。
【0082】ただし、電荷の注入や電荷の発生を助ける等の目的のために電荷発生層と不均一電荷輸送層との間に適当な中間層を設けることもできる。また、電荷発生層と不均一電荷輸送層との間に均一電荷輸送層を挿入し、該均一電荷輸送層の厚みを変えることにより、後述のE50%/E10%値を1〜5の範囲内の任意の値に設定することも可能である。
【0083】本発明の電子写真感光体の層構成としては、単層・積層のいずれの構成でもよいが、特に、優れたS字型光誘起電位減衰特性を示す点で、積層構成の電子写真感光体が好ましい。また、上述のような電荷発生層、不均一電荷輸送層、及び、均一電荷輸送層を有する(即ち、積層構成の電子写真感光体において、電荷輸送層が、不均一電荷輸送層と均一電荷輸送層とを有する)のが更に好ましい。電子写真感光体が、積層構成の場合、電荷発生層で発生した電荷が、不均一電荷輸送層の電気的不活性マトリックスの障害に出会い、最初に一時停止するまでの間の移動距離が感光層の全厚みに対して充分小さければ、その間の電位減衰は無視できるものとなり、より理想的なS字性を示す。従って、電荷発生層とS字化のための不均一電荷輸送層とが近接している図4、6に示す構成等の電子写真感光体がより良いS字性を与える。更に、前記電荷輸送材料が、前記不均一電荷輸送層中に含まれるのが特に好ましい。
【0084】ここで、S字型光誘起電位減衰特性発現の機構について説明する。S字型光誘起電位減衰特性発現の機構に関しては、トラップ説{例えば、北村,小門:電子写真学会誌,Vol.20,p.60(1982)}、D.M.Pai等が上記の特許で唱えている回旋状電導説等幾つかの提案はあるものの、未だ確立された説はない。しかしながら、これまでにS字型感光体として報告されている上記の顔料樹脂分散型単層感光体、D.M.Pai等の電荷発生層および不均一電荷輸送層からなる積層感光体、および著者等の電荷発生層、不均一電荷輸送層及び均一電荷輸送層からなる積層感光体においては、少なくとも電荷発生領域に隣接する電荷輸送領域の電荷輸送路が電気的不活性マトリックス中に電荷輸送性ドメインが分散されてなる不均一な構造を有するものであるという共通点を認めることができる。尚、ここでいう電気的不活性とは、その輸送エネルギーレベルが、電荷輸送ドメインの輸送エネルギーレベルから大きくかけ離れており、通常の電界強度では、実質的に輸送電荷が注入されることがなく、輸送電荷にとって事実上の電気的絶縁状態にあることを意味する。
【0085】本発明において、非相溶性の電荷輸送性ブロックと絶縁性ブロックとからなる共重合体を含有する相分離系不均一電荷輸送層を用いた積層型感光体が、なぜS字型光誘起電位減衰特性を発揮するかは必ずしも明らかではないが、D.M.Paiらが唱える回旋状電導説によれば、S字型光誘起電位減衰が起こる過程は、以下のようなものであると推定されている。
【0086】まず、不均一電荷輸送層では、電気的不活性マトリックス中に分散された電荷輸送性ドメインが互いに接触し、回旋状の電荷輸送路を形成しているものと考えられている。この場合、電子写真感光体が帯電され感光層に高電界が印加されると、露光により電荷発生層で発生した電荷は電界によるクーロン力により電界に沿って、電荷発生層から電荷輸送層に注入され、電荷輸送性ドメイン中を電界方向に移動する。しかし、電荷輸送性ドメインの末端凸部に到達した所で、電気的不活性マトリックスの障壁に出会い、電界により移動方向が規制されているため、ここで該電荷の移動は一旦停止することになる。
【0087】この間の移動距離が感光層の全厚みに対して充分小さければ、この間の電位減衰は無視できるものとなる。殆ど全ての表面電荷に相当する電荷が注入された後は、該注入電荷近傍での表面に垂直な局部的電界は無視できるほど小さくなり、停止していた電荷は電界による束縛を逃れ表面に垂直な方向以外の方向に拡散することが可能となり、回旋状に連なる連結路を辿って最初に電荷が停止された所よりも深部に達する。この深部において、先程と同様に電荷は再び十分な高電界に晒されドメイン内を電界方向に沿って移動し、再び電気的不活性マトリックスの障壁に出会い、移動を停止する。しかし、前の電荷の移動で電界強度は低下しているので、より多くの電荷が回旋状電荷輸送路を通り次の絶縁性障壁にまで達する。かくして、電荷の移動はカスケード的に起こり、S字型の光誘起電位減衰となる、と云うのがD.M.Pai等による説明である。
【0088】尚、顔料樹脂分散型の単層S字感光体においては、露光光は表面近傍で吸収されそこで電荷が発生されるため、該光吸収/電荷発生の領域を電荷発生層、それに続く残りの領域を電荷輸送層と見なすことができ、同様に上記説明が当てはまる。
【0089】本発明において、非相溶性の電荷輸送性ブロックと絶縁性ブロックとからなる共重合体を含有する相分離系不均一電荷輸送層を用いた積層型感光体が、S字型の光誘起電位減衰挙動を呈するのも、電荷輸送性ブロックからなる相が電荷輸送性ドメイン、絶縁性ブロックからなる相が電気的不活性マトリックスを形成し、上記のような現象が起きているためと推定されるが、本発明の最大範囲は、理論により拘束されるものではない。
【0090】尚、光誘起電位減衰特性のS字性の尺度には、例えば、帯電電位を50%減衰させるのに要する露光量(E50%)(以下、単に「E50%」と称することがある。)と10%減衰させるのに要する露光量(E10%)(以下、単に「E10%」と称することがある。)との比(E50%/E10%)を用いることができる。理想的なJ字型感光体で電位減衰が露光量に比例している場合、E50%/E10%値は5となる。一般的なJ字型感光体では、電界強度の低下に伴い、電荷発生効率および/または電荷輸送能が低下するため、E50%/E10%値は5を越える値を示す。一方、S字型の究極である、ある露光量までは全く電位減衰せず、その露光量で一気に残留電位レベルまで電位減衰する階段状の光誘起電位減衰曲線では、E50%/E10%値は1となる。したがって、S字型とはE50%/E10%値が1以上5未満の値を示すものとして規定される。上述のような好ましいデジタル特性を発揮するには、E50%/E10%値は3未満の値であることが好ましく、より好ましくは2未満の値である。但し、階調性を高める等の理由で、アナログ特性を併用する場合には、E50%/E10%値は、およそ1.5〜4の範囲内で好適な結果を与える。本発明のS字型電子写真感光体はこのような好ましいE50%/E10%値を与え得る。
【0091】−本発明の電子写真感光体が積層構成である場合の各層−前記本発明の電子写真感光体が、積層構成の電子写真感光体である場合、前記感光層は、電荷発生層、電荷輸送層を有し、必要に応じてその他の層を有してなる。
【0092】−−電荷発生層−−前記電荷発生層においては、J字型、S字型を問わず、積層構成の電子写真感光体に、電荷発生層として用いられ得る任意の電荷発生材料を用いることができる。前記電荷発生材料としては、例えば、非晶質セレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、その他、セレン化合物及びセレン合金、酸化亜鉛、酸化チタン、a−Si、a−SiC等の無機系光導電性材料、フタロシアニン系、スクアリウム系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、アントラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩系、チアピリリウム塩系等の有機顔料及び染料等が挙げられる。
【0093】これらの中でも、前記フタロシアニン系化合物は、デジタル式の電子写真装置に光源として現在広く使用されているLED及びレーザーダイオードの発信波長である600〜850nmに優れた光感度を有するため特に好ましい。前記フタロシアニン系化合物としては、無金属フタロシアニン、金属フタロシアニン、及びそれらの誘導体等が挙げられる。金属フタロシアニンの中心金属としては、Cu、Ni、Zn、Co、Fe、V、Si、Al、Sn、Ge、Ti、In、Ga、Mg、Pb、Li等が挙げられ、又、これら中心金属の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、アルキル化物、アルコキシ化物等も使用できる。
【0094】前記フタロシアニン系化合物としては、具体的には、チタニルフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ジクロロ錫フタロシアニン、ジメトキシ珪素フタロシアニン等が挙げられる。又、上記化合物のフタロシアニン環に任意の置換基が導入された置換フタロシアニン類も使用することができる。更に、上記化合物のフタロシアニン環中の任意の炭素原子が窒素原子で置換されたアザフタロシアニン類も有効である。これらフタロシアニン系化合物の形態としては、アルモルファス又は全ての結晶形のものが使用可能である。これ等フタロシアニン系化合物の中でも、無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、およびジクロロ錫フタロシアニンは、特に優れた光感度を有しており、特に好ましい。
【0095】また、殆どのフタロシアニン系化合物が、正孔を主たる輸送電荷とするp型半導体の性質を有しているのに対し、ジクロロ錫フタロシアニン、電子吸引性基を有するフタロシアニン類及びアザフタロシアニン類は、電子を主たる輸送電荷とするn型半導体であるため、電荷発生材料として、これらのフタロシアニン系化合物を含み、導電性基体上に電荷発生層と電荷輸送層とを順次積層してなるS字型感光体は、それを負帯電で使用した場合、高感度で且つ導電性支持体からの正電荷の注入が抑えられ、暗減衰が小さく帯電性が高いという良好な電子写真特性を示す。
【0096】更に、六方晶セレン、アントラキノン系顔料及びペリレン系顔料も電荷発生効率に優れるため、電荷発生材料として好適に使用できる。レーザー光のビーム径は、発信波長が短くなる程小径化できるため、更なる高画質化を目指し、露光用レーザーの短波長化の検討がなされているが、これらの化合物は、紫外域から可視域に光感度を有するため、短波長レーザー用の電荷発生材料として特に好ましく用いることができる。これらの電荷発生材料は、1種単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0097】前記電荷発生層は、前記電荷発生材料を真空蒸着法により直接成膜する方法、又は、前記電荷発生材料を結着樹脂中に分散又は溶解させる方法により作製できる。前記電荷発生層に、結着樹脂を用いる場合、その結着樹脂の種類としては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、シリコン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。
【0098】これらの結着樹脂は、ブロック、ランダム、又は、交互共重合体でよい。また、前述した電荷輸送材料も電荷発生層用の結着樹脂として有効である。これらの結着樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0099】前記電荷発生層において、前記電荷発生材料と前記結着樹脂との配合比(体積比)(電荷発生材料/結着樹脂)としては、10/1〜1/10が好ましく、3/1〜1/1がより好ましい。前記電荷発生材料の前記結着樹脂に対する配合比が、前述の数値範囲を超えると、暗減衰が増大し湿式塗布法では均質な厚みの層を得れないことがある一方、前述の数値範囲に満たないと、光感度の低下、残留電位の増大等の障害が起きることがある。
【0100】また、前記電荷発生層は、前記電荷発生材料、結着樹脂等を所定の溶媒に分散・溶解させ電荷発生層用塗布液として、塗布形成するのが好ましい。該所定の溶媒としては、クロロベンゼン、酢酸ブチル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、プロパノール等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0101】前記電荷発生層の厚みとしては、一般的には、0.05〜5μmが適当であり、好ましくは0.1〜2.0μmの範囲に設定される。
【0102】前記電荷発生層の塗布形成方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の塗布形成方法が挙げられる。
【0103】−−電荷輸送層−−前記電荷輸送層としては、前述のように不均一電荷輸送層と均一電荷輸送層とを有するのが好ましい。
<不均一(S字化)電荷輸送層>前記不均一電荷輸送層(S字化電荷輸送層、以下、「S字化電荷輸送層」と称することがある。)は、電気的不活性マトリックス中に電荷輸送性ドメインが分散されてなる不均一構造を特徴とする電荷輸送路を形成する層であって、その形成のためには、任意の適当な方法を採用することができる。
【0104】例えば、適当な溶媒中に絶縁性結着樹脂を溶解させた溶液に、電荷輸送能を有する物質、例えば電荷輸送能を有する微粒子(以下、電荷輸送性微粒子という。)を分散させ、浸漬コーティング法等により塗布した後、乾燥させることにより得ることができる。また、予め電荷輸送性微粒子を熱硬化性樹脂あるいはシランカップリング剤等の架橋性化合物により被覆不溶化したものを、適当な溶媒中に絶縁性の結着樹脂を溶解させた溶液に分散させ、浸漬コーティング法等により塗布した後、乾燥させることによって得ることもできる。更に、絶縁性の結着樹脂中に電荷輸送能を有する物質を均一に分散させたものに加熱処理、溶剤処理等を施すことにより電荷輸送材料の微結晶を析出させることによっても得ることができる。更に又、絶縁性ブロックと電荷輸送性ブロックとからなるブロック共重合体又はグラフト共重合体(電荷輸送能を有する物質)において、絶縁性ブロックがマトリックス、電荷輸送性ブロックがドメインとなるミクロ相分離状態を為す系も使用可能である。
【0105】前記溶媒としては、クロロベンゼン、酢酸ブチル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、プロパノール等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0106】これらのS字化電荷輸送層の形成方法において、回旋状電荷輸送経路の形成は、電荷輸送性ドメイン同士の確率的な接触に依存する。その接触の確率が高すぎると、電荷輸送経路は回旋状とならずS字性が低下し、又その接触の確率が低すぎると、電荷輸送層全体を貫く連続した電荷輸送経路が形成できなくなり、残留電位の増大を招く。電荷輸送性ドメインの互いの接触は、必ずしも直接接触している必要はなく、電荷輸送性ドメイン間の非常に薄い絶縁層は、電荷がそのギャップを飛び越えることができ、且つそこでの捕獲が無視できるならばその存在は許容される。ここでいう回旋状電荷輸送路とは、電荷の移動が膜厚方向に対して1回以上逆行するように形成されている電荷輸送路のことである。
【0107】前述の電荷輸送性ブロック及び絶縁性ブロックを有する電荷輸送材料は、これら両ブロックが互いに非相溶である時、S字化電荷輸送層として有効に機能する。従って、本発明においては、前記不均一電荷輸送層としては、主要構成成分として前述の電荷輸送材料を含むのが、S字化の観点から好ましい。
【0108】前記不均一電荷輸送層において、前記電気的不活性マトリックスを形成する絶縁性ブロックとしては、主輸送電荷に対し、電気的に不活性であれば如何なるものでも構わないが、1013Ω・cm以上の体積抵抗率を有するのが好ましく、1014Ω・cm以上の体積抵抗率を有するのがより好ましい。前記体積抵抗率が、前記数値範囲に満たないと、電気的不活性マトリックスの電気的絶縁性が損なわれ、S字性が失われたり暗減衰が増加する傾向にある。
【0109】前記絶縁性ブロックの具体例としては、ポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアルキルビニルエーテル、ポリカーボネート、ポリエステル等、及び、これらのブロック、グラフト、ランダム、又は交互共重合体等が挙げられるが、特に、上記一般式(2)で表されるビニルモノマーの少なくとも1種を重合して得られる重合体が、機械的強度、可撓性、相分離性等の点から、特に好ましい。
【0110】前記不均一電荷輸送層において、前記電荷輸送性ドメインを形成する電荷輸送性ブロックとしては、電荷輸送能を有するものであれば如何なるものでも構わないが、トリアリールアミン構造を有するのが、電荷輸送性、化学的安定性等の点で好ましく、特に、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する電荷輸送性化合物を含むのが好ましい。この場合、前記不均一電荷輸送層の上層形成用塗布液の溶媒によっては、不均一電荷輸送層の電荷輸送性ブロック部分が膨潤し、相分離性の低下が起こり、十分なS字化度が得られない場合がある。その場合には、ヒドロキシメチル基(反応性基)に対し、1/100〜10当量の硬化系モノマーを添加し、架橋させるのが有効であり、1/10〜1当量が好ましい。
【0111】前記硬化系モノマーとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等のウレタン系モノマー類、あるいは、トリメトキシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン等のアルコキシシラン類が有効であるがこの限りではない。場合によっては、熱や酸によってヒドロキシメチル基の脱水をともなって架橋させることも可能である。
【0112】前記電荷輸送材料において、電荷輸送性ブロックと絶縁性ブロックとの組成比(電荷輸送性ブロック/絶縁性ブロック)としては、それらの相分離の結果として得られる電荷輸送性ドメインと電気的不活性マトリックスとの体積比(電荷輸送性ドメイン/電気的不活性マトリックス)が、10/1〜1/10となる範囲内で任意に設定される。前記体積比としては、4/1〜1/2がより好ましい。
【0113】前記電荷輸送性ドメインの前記電気的不活性マトリックスに対する体積比が、前記数値範囲を超えると、電荷輸送性ドメインが密に接触あるいは電荷輸送性ブロックがマトリックスとなってしまい、実質的に均一な構造の電荷輸送路を形成し、前述のS字型光誘起電位減衰特性発現に不可欠な電荷輸送路の不均一構造が消失し、S字性が失われることがある。一方、前記電荷輸送性ドメインの体積比が、前記数値範囲に満たないと、電荷輸送路が分断され、残留電位の増大、応答速度の低下等の障害を招くことがある。
【0114】前記不均一電荷輸送層の相分離構造としては、電荷輸送性ブロックがドメインとなり、絶縁性ブロックがマトリックスとなるものであれば如何なる構造を取っても構わないが、電荷輸送性ブロックからなる相が島、絶縁性ブロックからなる相が海となる相分離構造をとる場合に、より優れたS字性が得られる。又、スピノーダル分解により得られる変調構造をとる場合にも、好ましいS字性が得られる。
【0115】相分離構造としては、構成ブロックの種類及び分子量により、熱力学的に最も安定な構造が存在する。一般的には、例えば、Aブロック、Bブロックからなる共重合体においては、連結形式には依らず、A/B組成比にのみ依存し、A/B比の増加に伴い、Aが球状ドメインでBがマトリックス、Aが棒状ドメインでBがマトリックス、A/B交互層、Bが球状ドメインでAがマトリックス、Bが棒状ドメインでAがマトリックスへと系統的に変化する。しかしながら、湿式塗布法により、層を塗布形成する場合には、用いる溶媒及び乾燥速度等により、相分離構造を任意に制御することができる。例えば、A/B比が大きく熱力学的にはB球Aマトリックスをとる場合でも、塗布溶媒として、Bの良溶媒であり、且つ、Aの貧溶媒である溶媒を選択すれば、A球Bマトリックス構造を得ることができる。
【0116】更に、A、B両者の良溶媒を用い、急速に溶媒を除去すると、スピノーダル分解状態で凍結した相分離構造(変調構造)を得ることができる。更にまた、A/B比が大きく、熱力学的にはB球Aマトリックスをとる共重合体に、Bのみと相溶性のある重合体を添加すると、Aが球、B及びBのみと相溶性のある重合体がマトリックスとなる相分離構造を得ることもできる。
【0117】前記不均一(S字化)電荷輸送層の厚みとしては、0.1〜50μmが適当であり、0.2〜15μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。前記厚みが、前記数値範囲に満たないと、S字性が低下することがある。前記厚みの上限に関しては、用いるS字化電荷輸送層の電荷輸送能により制限され、応答速度、残留電位等が許容される範囲内で設定される。
【0118】前記電荷輸送性ドメインの体積平均粒子径としては、0.005〜3μmが好ましく、0.01〜1μmがより好ましく、0.02〜0.5μmが更に好ましい。前記平均粒子径が、前記数値範囲を超えると、好ましい層の厚みの範囲内で、S字化に必要な電荷輸送路の不均一構造を形成できる確率が低くなり、S字性が低下することがある。一方、前記平均粒子径が、前記数値範囲に満たないと、電荷輸送路が均一な構造に近付き、S字性が低下することがある。
【0119】前記電荷輸送性ドメインの電荷移動度は、電子写真感光体の応答速度を支配する一因子であり、移動度が高い程、高速の電子写真装置に好適に用いられる。本発明の電子写真感光体を電子写真装置に用いる場合、前記電荷移動度としては、少なくとも、現像に用いる電界強度域において、10-6cm2/Vs以上が好ましく、5×10-6cm2/Vs以上がより好ましい。尚、前記電荷移動度を直接測定することは困難であり、電荷輸送性ブロックと同一構造の電荷輸送性高分子の電荷移動度で代用することができる。該電荷移動度の測定は、当業界において常法である、「Time−of−Flight法」により行うことができる。
【0120】更に、前記S字化電荷輸送層中に、主たる輸送電荷と逆極性の電荷のみを輸送し得る化合物を添加することにより、残留電位の低下、繰り返し安定性の向上等の効果を得ることもできる。
【0121】更にまた、前記S字化電荷輸送層中に、電荷輸送性高分子及び/又は絶縁性高分子を添加することもできる。電荷輸送性高分子を添加する場合、前述の電荷輸送材料における電荷輸送性ブロックと相溶性を有するのが好ましい。絶縁性高分子を添加する場合には、前述の電荷輸送材料における絶縁性ブロックと相溶性を有するのが好ましい。
【0122】前記不均一電荷輸送層の塗布形成方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。尚、塗布液は均一溶液又はミセル溶液であってもよい。
【0123】<均一電荷輸送層>前記電子写真感光体において、前記均一電荷輸送層を設ける場合、その均一電荷輸送層の材料としては、当業界でJ字型積層感光体の電荷輸送層に用いられている任意の材料から選択できる。
【0124】前記均一電荷輸送層の材料としては、例えば、ベンジジン系化合物、アミン系化合物、ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、カルバゾール系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよく、絶縁性樹脂(例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート等)中に均一分子分散させた固溶膜等としてもよい。あるいは、それ自身電荷輸送能を有する高分子化合物等を用いてもよく、更に、セレン、a−Si、a−SiC等の電荷輸送能を有する無機物質等を用いることもできる。
【0125】前記電荷輸送能を有する(電荷輸送性)高分子化合物としては、ポリビニカルバゾール等の電荷輸送能を有する基を側鎖に含む高分子化合物、特開平5−232727号公報等に開示されているような電荷輸送能を有する基を主鎖に含む高分子化合物、及び、ポリシラン等が挙げられる。
【0126】前記均一電荷輸送層の材料としては、特に製造上の観点から、電荷輸送性高分子化合物が好ましい。すなわち、不均一電荷輸送層と均一電荷輸送層とを積層成膜する場合、均一電荷輸送層中に、電荷輸送性低分子化合物を用いると、電荷輸送性低分子化合物が不均一電荷輸送層中に混入してしまい、不均一電荷輸送層の電気的不活性マトリックスの主たる電荷に対する絶縁性が低下することによりS字性が損なわれたり、あるいは不均一電荷輸送層中に混入した電荷輸送性低分子が、不均一電荷輸送層中で電荷トラップとなり残留電位の増大、輸送能の低下及び光感度の低下等の障害が発生することがある。
【0127】この問題は、特に、湿式塗布法により各層を塗布形成する場合に顕著になる(もちろん、これらの問題は、上層の塗布溶剤として、下層を溶解及び膨潤し難い溶剤を選択する、又は、不均一電荷輸送層を架橋硬化性のものとし、上層塗布溶剤による溶解及び膨潤が起こらないようにする等により、回避することが可能である)。
【0128】ところが、上述したように、高分子同士は相溶することなく相分離を起こすことが一般的であることが知られており、均一電荷輸送層として、電荷輸送性高分子化合物を用いた場合、不均一電荷輸送層樹脂と相溶することなく相分離するため、上記のような混入の問題は殆ど発生せず、材料および製造法の選択に当たっての制約が解消されるという利点を有する。
【0129】更に、均一電荷輸送層用の電荷輸送性高分子化合物としては、上記一般式(1)で表される構造の少なくとも1種以上を繰り返し単位として含有する電荷輸送性樹脂が、高い電荷輸送能を有し、機械的特性にも優れているので特に好ましい。特に、不均一電荷輸送層に用いたブロックまたはグラフト共重合体の電荷輸送性ブロックと同一構造の電荷輸送性高分子を均一電荷輸送層に用いると、不均一電荷輸送層から均一電荷輸送層への電荷の注入が非常にスムーズになり、特に好ましい。尚、均一電荷輸送層中に、電荷輸送性マトリックスに囲まれるような電気的不活性な領域が存在してもよい。例えば表面摩擦力の低減、磨耗の低減、または表面への異物付着の低減等を目的に低表面エネルギーの絶縁性粒子等を含有させることができる。また、均一電荷輸送層には、電荷輸送能の向上等を目的として、電荷輸送性微粒子等を添加することもできる。
【0130】また、前記電荷輸送材料のうち、電荷輸送性ブロックと絶縁性ブロックとが相溶性であるものは、均一電荷輸送層中に有効に利用できる。さらに、上述したように均一電荷輸送層中には電荷輸送性マトリックスに囲まれるような電気的不活性な領域が存在してもよいため、前記電荷輸送材料のうち、電荷輸送性ブロックがマトリックス、絶縁性ブロックがドメインとなるミクロ相分離状態をとるものも、均一電荷輸送層として用いることができる。前記電子写真感光体において、均一電荷輸送層が最表層となる構成の場合、機械的強度の観点から、架橋硬化性材料を用い、形成される均一電荷輸送層を用いるのが好ましい。
【0131】前記均一電荷輸送層の厚みとしては、50μmが適切であり、30μm以下が好ましい。前記均一電荷輸送層の塗布形成方法としては、前記均一電荷輸送層の材料等を所定の溶媒中に分散・溶解させ、塗布形成するのが好ましい。該所定の溶媒としては、クロロベンゼン、酢酸ブチル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、プロパノール等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0132】前記均一電荷輸送層の形成方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法が挙げられる。又、セレン等の気相成膜可能なものは、真空蒸着法等により直接成膜することもできる。
【0133】前記不均一電荷輸送層及び均一電荷輸送層を含む電荷輸送層全体の厚みとしては、5〜50μmが適当であり、10〜40μmが好ましい。
【0134】前記電子写真感光体において、前記電荷輸送層が、電荷発生層と露光光源との間に存在する場合、実効の光感度の低下を防ぐ点から、電荷輸送層は、露光波長の光に対し事実上透明であるのが望ましい。また、電荷輸送層における露光に用いる光の透過率は、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましい。しかしながら、低感度での使用が望まれる場合には、露光波長の光に対し吸収のある物質を添加し、実効的な光感度を調整することもできる。
【0135】−−その他の層−−前記電子写真感光体は、所望により、下引層、保護層、ブロッキング層、乱反射層等を有する。前記下引層は、前記導電性支持体と前記感光層との間に、所望により、一層又は複数層設けられる。前記下引層は、感光層の帯電時において、導電性支持体から感光層への電荷の注入を阻止すると共に、感光層を導電性支持体に対して一体的に接着保持せしめる接着層としての作用、場合によっては、干渉縞の原因となる光の正反射を防止する作用等を有する。
【0136】前記下引層に用いる樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、アルコール可溶性ナイロン樹脂、ニトロセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド等の樹脂及びこれらの共重合体、又は、ジルコニウムアルコキシド化合物、チタンアルコキシド化合物、シランカップリング剤等の硬化性金属有機化合物等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、帯電極性と同極性の電荷のみを輸送し得る材料も使用可能である。
【0137】前記下引層の厚みとしては、0.01〜10μmが適当であり、0.05〜5μmが好ましい。前記下引層の塗布形成方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法等が挙げられる。
【0138】前記保護層は、帯電部材から発生するオゾンや酸化性ガス等、及び紫外光等の化学的ストレス、あるいは、現像剤、紙、クリーニング部材等との接触に起因する機械的ストレスから感光層を保護し、感光層の実質の寿命を改善するために有効である。特に、薄層の電荷発生層を上層に用いる層構成において、効果が顕著である。
【0139】前記保護層は、導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させて形成される。前記導電性材料としては、ジメチルフェロセン等のメタロセン化合物、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化チタン、酸化インジウム、ITO等の金属酸化物等の材料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の公知の樹脂等が挙げられる。また、アモルファスカーボン等の半導電性無機膜も保護層として用いることができる。
【0140】これらの保護層が、抵抗制御型の保護層である場合、その電気抵抗としては、109〜1014Ω・cmが好ましい。前記電気抵抗が、前記数値範囲を超えると、残留電位が増加してしまい、一方、前記数値範囲に満たないと、沿面方向での電荷漏洩が無視できなくなり、解像度の低下が生じてしまう。前記保護層の厚みとしては、0.5〜20μmが適当であり、1〜10μmが好ましい。また、前記保護層を設けた場合、必要に応じて、感光層と保護層との間に、保護層から感光層への電荷の漏洩を阻止するブロッキング層を設けることができる。このブロッキング層の材料としては、保護層の場合と同様に公知の材料を用いることができる。
【0141】以上説明した本発明の電子写真感光体においては、電子写真装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは、光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、各層又は最上層中に、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等を添加することができる。前記酸化防止剤としては、公知のものを用いることができ、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が挙げられる。前記光安定剤としては、公知のものを用いることができ、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体、及び、光励起状態をエネルギー移動あるいは電荷移動により失活し得る電子吸引性化合物又は電子供与性化合物等が挙げられる。更に、表面磨耗の低減、転写性の向上、クリーニング性の向上等を目的として、最表面層にフッ素樹脂等の低表面エネルギーの絶縁性粒子を分散させてもよい。
【0142】以上説明した本発明の電子写真感光体は、物性等の選択の自由度が高く、製造が容易で、製造時の電荷輸送材料の収率が高く、高画質の画像が形成可能である。
【0143】[プロセスカートリッジ]プロセスカートリッジとは、電子写真装置の消耗部品を適時交換する目的で、電子写真装置の構成部品のいくつかをカートリッジに組み込み、容易に交換作業を行えるようにしたものである。プロセスカートリッジは、電子写真装置の中に装着された状態で取引される他、交換部品あるいは補修部品として、単体でも取引されている。
【0144】プロセスカートリッジに組み込まれ得る構成部品としては、一般に、帯電手段、除電手段、及びクリーニング手段が挙げられ、これらをその目的に応じて任意に組み合わせることができる。
【0145】本発明のプロセスカートリッジは、電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、除電手段、およびクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段と、を含み、かつ、該電子写真感光体が前記本発明の電子写真感光体であることが特徴となる。プロセスカートリッジに組み込まれ得る電子写真感光体以外の構成部品については、特に制限は無く、従来公知の物が問題無く採用され得る。
【0146】[電子写真装置]本発明の電子写真感光体を搭載する電子写真装置としては、電子写真法によるものであれば如何なるものでも構わないが、特にデジタル処理された画像信号に基づき露光を行う電子写真装置が好ましい。デジタル処理された画像信号に基づき露光を行う電子写真装置とは、レーザーまたはLED等の光源を用い、2値化またはパルス幅変調や強度変調を行い多値化された信号に従い露光を行う電子写真装置であり、例としてLEDプリンター、レーザープリンター、レーザー露光式デジタル複写機などを挙げることができる。
【0147】搭載する本発明の電子写真感光体のE50%/E10%値としては、5未満の値が好ましく、更に好ましいデジタル特性を発揮するには、3未満の値がより好ましく、2未満の値が更に好ましい。また、現像後の電子写真感光体の初期化あるいは電子写真特性の安定化等の目的で、画像形成用の露光光源とは別に、光源を併用することができる。その光源の発光域としては、不均一電荷輸送層に吸収されるものであっても吸収されないものであっても構わないが、少なくとも電荷発生層まで光が届く方が好ましい。
【0148】本発明の電子写真装置の好ましい一例を図7に模式的に示す。図7の電子写真装置はレーザープリンターであり、電子写真感光体である円筒形の感光ドラム11の周りに、前露光用光源(赤色LED)12、帯電手段である帯電用スコロトロン13、像露光手段である露光用レーザー光学系14、現像手段である現像器15、転写用コロトロン16、及び、クリーニング手段であるブレード式クリーニング器17が、この順序で配置されている。露光用レーザー光学系14は、例えば、発信波長780nmの露光用レーザーダイオードを備えており、デジタル処理された画像信号に基づき発光する。発光したレーザー光14aはポリゴンミラーと複数のレンズ、ミラーにより走査されながら電子写真感光体表面を露光するように構成されている。尚、18は用紙を示す。
【0149】本発明の電子写真装置においては、感光体ドラム11が本発明の電子写真感光体である。勿論、感光体ドラム11と、帯電用スコロトロン13、現像器15、前露光用光源(赤色LED)12、および、ブレード式クリーニング器17からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段と、を含み、かつ、該電子写真感光体が前記本発明の電子写真感光体であるプロセスカートリッジを含む構成であっても構わない。尚、本発明のプロセスカートリッジ及び電子写真装置においては、非接触帯電方式の帯電用スコロトロンに代えて、電子写真感光体に直接接触して帯電する接触帯電方式の帯電器である帯電ロール、帯電ブレード等を用いてもよい。
【0150】本発明の電子写真装置について、図面を以って説明したが、本発明はかかる構成に限定されるものではなく、電子写真感光体以外の構成部品については、特に制限は無く、従来公知の物が問題無く採用され得る。
【0151】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、当業者は高分子合成化学及び電子写真技術の公知の知見から、以下の実施例に変更を加えることが可能である。
【0152】[合成例1−反応性重合開始剤:4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸クロリド)の合成]塩化チオニル140mlを氷冷し、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)48gを徐々に加えた。これを30℃で6時間加熱し、過剰の塩化チオニルを減圧下で留去した。その後、残留物をクロロホルムより再結晶化して、20gの4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸クロリド)結晶を得た。
【0153】[合成例2]N,N’−ビス(m,m−ジメチルフェニル)−N,N’−ビス[p−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]−[p−ターフェニル]−4,4’’−ジアミン100g、エチレングリコール200g、及び、テトラブトキシチタン0.2gを、窒素気流下で4時間加熱還流した。その後、徐々に0.5mmHgまで減圧しながら過剰のエチレングリコールを留去しつつ230℃に加熱しそのまま4時間反応を続けた。その後、室温まで冷却し、塩化メチレンを加え不溶分を溶解させ、メタノールに沈殿させることにより、両末端にヒドロキシ基を有するプレポリマー89gを得た。得られたプレポリマーの重量平均分子量は、6.1×104であった。
【0154】前記プレポリマー40gとトリエチルアミン0.5gとをジクロロメタン120mlに溶解させ、これを0℃以下に冷却した。ここに、「合成例1」で得られた4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸クロリド)5.6gをジクロロメタン20mlに溶解させた溶液を滴下した。室温で1時間反応させた後に、30℃で5時間反応させた。その後、ここから溶媒を留去し、テトラヒドロフランを加えて溶解させ、メタノール500mlに滴下し、1時間撹拌した後に濾別した。この再沈殿操作を更に2回繰り返した。残った化合物を乾燥して両末端にアゾ型重合開始剤を有するポリマー31gを得た。
【0155】[合成例3]
「合成例2」で得られた両末端にアゾ型重合開始剤を有するポリマー6gと、n−ドデシルメタクリレート8gとをトルエン120mlに溶解し、窒素置換した後に65℃で70時間加熱した。ここから溶媒を除去し、テトラヒドロフランを加え、この溶液をメタノール500mlに滴下し、1時間撹拌した後に濾別した。得られた固体をn−ヘキサンで十分に洗浄し、副生するポリ(n−ドデシルメタクリレート)を除去しトリブロック共重合体10gを得た。得られたトリブロック共重合体の重量平均分子量は、8×104であり、トリアリールアミン構造を含む電荷輸送性ブロックとポリ(n−ドデシルメタクリレート)とからなる絶縁性ブロックの重量組成比(電荷輸送性ブロック:絶縁性ブロック)は、1H−NMRスペクトルの解析から、およそ3:2と計算された。
【0156】[合成例4]
「合成例3」で得られたトリブロック共重合体6gを、塩化メチレン100mlに溶解し、DMF10mlに溶解したオキシ塩化リン5gを20分かけて滴下した。その後、5日間室温で反応させた後メタノールに再沈させ、ろ過後乾燥させて燈色のポリマーを4.8g得た。得られたポリマー(ホルミル化されたブロック共重合体)4gをTHF50mlに溶解し、氷浴中で約5℃まで冷却した。これに、水素化ホウ素ナトリウム200mgを加え、反応液の燈色が淡黄色になるまで約1.5時間攪拌した。その後、メタノールに再沈させ、下記構造式で表される繰り返し単位を有するブロック共重合体(重量平均分子量:6.7×104)を3.2g得た。これを「ブロック共重合体1」とする。
【0157】ブロック共重合体1【化7】

【0158】[合成例5]
「合成例2」で得られた、両末端にアゾ型重合開始剤を有するポリマー6gをトルエン120mlに溶解し、スチレン25gを加え、窒素置換した後に70℃で100時間加熱した。これをメタノール500mlに滴下し、沈降した固体を濾別し、濾液を分析したところスチレン共重合体が検出された。次に、濾別した固体(スチレン共重合体)13gを細かく粉砕し、キシレン2L中に入れ、24時間撹拌して不溶分と可溶分とに分別した。1H−NMRスペクトル及びGPC分析の結果、可溶分は未反応の電荷輸送性高分子と電荷輸送性ブロックに富むブロック共重合体であり、不溶分が目的とするブロック共重合体であった。得られたブロック共重合体の重量平均分子量は14×104であった。1H−NMRスペクトルの解析から、目的とするブロック共重合体の電荷輸送性ブロックと絶縁性ブロックとの重量組成比(電荷輸送性ブロック:絶縁性ブロック)は、およそ35:65であった。
【0159】[合成例6]
「合成例4」において、用いた共重合体(「合成例3」で得られたトリブロック共重合体)を「合成例5」で得られたブロック共重合体に代えたほかは、「合成例4」と同様にして下記構造式で表される繰り返し単位を有するヒドロキシメチル体(重量平均分子量:11×104)を合成した。これを「ブロック共重合体2」とする。
【0160】ブロック共重合体2【化8】

【0161】[合成例7]
「合成例2」において、N,N’−ビス(m,m−ジメチルフェニル)−N,N’−ビス[p−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]−[p−ターフェニル]−4,4’’−ジアミンを、3,3’−ジメチル−N,N’−ビフェニル−N,N’−ビス[4−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンに代えた外は、「合成例2」と同様にし、更に、「合成例3」と同様にして、下記構造式で示されるブロック共重合体を合成した。トリフェニルアミン構造を含む電荷輸送性プレポリマーの重量平均分子量は9.1×103、最終的に得られたヒドロキシメチル共重合体の重量平均分子量は1.9×104であり、電荷輸送性ブロックと絶縁性ブロックとの組成比(電荷輸送性ブロック:絶縁性ブロック)は、およそ3:2と計算された。ここで、得られたブロック共重合体を、「ブロック共重合体3」とする。
【0162】ブロック共重合体3【化9】

【0163】(実施例1)
<電子写真感光体の作製>−電荷発生層の形成−CuKαを線源とするX線回折スペクトルにおいて、少なくとも、ブラッグ角度(2θ±0.2)、8.3、13.7、及び、28.3に強い回折ピークを有するジクロロ錫フタロシアニン結晶4重量部をポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックスBM−S、積水化学社製)2重量部及びクロロベンゼン100重量部と混合し、ガラスビーズと共にペイントシェーク法で2時間処理して分散させ、電荷発生層用塗布液を得た。得られた電荷発生層用塗布液を、浸漬コーティング法で、アルミニウム基板(20×100×2mm、導電性支持体)上に塗布し、115℃において10分間加熱乾燥して厚み0.5μmの電荷発生層を形成した。
【0164】−S字化(不均一)電荷輸送層の形成−次に、「合成例4」で得られた「ブロック共重合体1」の10重量部をシクロヘキサノン90重量部に溶解させ、作製したS字化電荷輸送層用塗布液を、上記電荷発生層上に浸漬コーティング法にて塗布した後、115℃で10分間加熱乾燥させて、厚み3μmのS字化電荷輸送層を形成した。このS字化電荷輸送層を、ルテニウム酸染色法による透過型電子顕微鏡で観察したところ、変調構造と思われる相分離構造が観測された。また、前記相分離構造のスケールは、およそ0.03μm、電荷輸送性相の体積比率は、およそ60%であった。更に、S字化(不均一)電荷輸送層における電荷輸送性ブロックと同一構造の電荷輸送性高分子の電荷移動度は、5V/μmの電界強度下で、6×10-5cm2/Vsであった。
【0165】−均一電荷輸送層の形成、電子写真感光体の作製−次に、高分子電荷輸送材料である重量平均分子量8万の下記構造式1で示される繰り返し単位を有する化合物15重量部をクロロベンゼン85重量部に溶解した均一電荷輸送層用塗布液を、上記S字化電荷輸送層上に浸漬コーティング法で塗布し、135℃において1時間加熱乾燥させて、厚み20μmの均一電荷輸送層を形成し、図4に示す層構成の電子写真感光体を作製した。
【0166】構造式1【化10】

【0167】<電子写真特性・画質・耐久性の測定・評価>−電子写真特性・耐久性の測定・評価−得られた電子写真感光体に対し、一部改造を加えた静電複写紙試験装置(エレクトロスタティックアナライザーEPA−8100、川口電機製作所社製)を用いて、常温常湿(20℃、40%RH)環境下、電子写真特性の評価を行った。コロナ放電電圧を調整し、電子写真感光体表面を−750Vに帯電させた後、干渉フィルターを通し750nmに単色化したハロゲンランプ光を電子写真感光体表面で1μW/cm2の光強度になるように調整し、7秒間照射したところ、E50%/E10%の値が2.2である、図2に示すようなS字型の光誘起電位減衰を示した。又、E50%値は3μJ/cm2、残留電位は25Vであった。
【0168】更に、これを15000回繰り返し、15000回目の電子写真特性の評価を行ったところ、E50%/E10%の値が2.3である、図2に示すようなS字型の光誘起電位減衰を示した。又、E50%値は3.1μJ/cm2、残留電位は28Vであった。
【0169】−画質・耐久性の測定・評価−本実施例の「電子写真感光体の作製」において、導電性支持体を、アルミニウム製ドラム(30mm径)に代えた外は、総て同様にして作製した電子写真感光体を用い、レーザープリンター(Laser Press 4105、富士ゼロックス社製)に搭載し、常温常湿(20℃、40%RH)環境下2000枚連続印字試験を行った(A4横方向)。この際、最適な露光量を得るため、レーザー光の光路にNDフィルターを入れた。得られた画像について、目視により画質評価を行ったところ、1枚目及び2000枚連続印字後の印字サンプルともに画質に優れていた。
【0170】(実施例2)
<電子写真感光体の作製>−下引層の形成−「実施例1」で用いたのと同様のアルミニウム基板上に、ジルコニウムアルコキシド化合物(商品名:オルガチックスZC540、マツモト製薬社製)10重量部、シラン化合物(商品名:A1110、日本ユニカー社製)1重量部、イソプロパノール40重量部、及び、n−ブタノール20重量部からなる下引層用塗布液を浸漬コーティング法で塗布した後、150℃において10分間加熱乾燥し、厚み0.1μmの下引層を形成した。
【0171】−電荷発生層の形成−CuKαを線源とするX線回折スペクトルにおいて少なくともブラッグ角度(2θ±0.2)7.4、16.6、25.5、及び、28.3に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン微結晶4重量部を、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(商品名:UCARソリューションビニル樹脂VMCH、ユニオンカーバイド社製)2重量部、キシレン67重量部、及び、酢酸ブチル33重量部と混合し、ガラスビーズと共にペイントシェーク法で2時間処理して分散し、電荷発生層用塗布液を得た。得られた電荷発生層用塗布液を浸漬コーティング法で上記下引層上に塗布し、100℃において10分間加熱乾燥し、厚み0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0172】−S字化(不均一)電荷輸送層の形成−「実施例1」における「S字化(不均一)電荷輸送層の形成」と同様にして、厚み3μmのS字化電荷輸送層を形成した。
【0173】−均一電荷輸送層の形成−「実施例1」における「均一電荷輸送層の形成、電子写真感光体の作製」において、高分子電荷輸送材料を、重量平均分子量12万の下記構造式2で示される繰り返し単位を有する化合物に代えた外は、「実施例1」と同様にして、厚み20μmの均一電荷輸送層を形成し、図4に示す層構成の電子写真感光体を作製した。
【0174】構造式2【化11】

【0175】<電子写真特性・画質・耐久性の測定・評価>「実施例1」における「電子写真特性・画質・耐久性の測定・評価」と同様にして測定・評価を行ったところ、「電子写真特性・耐久性の測定・評価」では、初期の電子写真感光体においては、光誘起電位減衰特性は、残留電位が15V、E50%値が1μJ/cm2、E50%/E10%値が2.0のS字型であり、15000回繰り返し試験を行った電子写真感光体においては、光誘起電位減衰特性は、残留電位が20V、E50%値が1.2μJ/cm2、E50%/E10%値が2.1であり、いずれも図2に示すようなS字型の光誘起電位減衰を示した。また、「画質・耐久性の測定・評価」では、1枚目及び2000枚連続印字後の印字サンプルとも画質に優れていた。
【0176】(実施例3)
<電子写真感光体の作製>「実施例2」の「電荷発生層の形成」において、クロロガリウムフタロシアニン微結晶を、CuKαを線源とするX線回折スペクトルにおいて少なくともブラッグ角度(2θ±0.2)7.5、9.9、12.5、16.3、18.6、25.1及び28.3に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン微結晶に代え、分散溶媒であるキシレン67重量部及び酢酸ブチル33重量部を、モノクロロベンゼン100重量部に代え、又、「S字化(不均一)電荷輸送層の形成」において、S字化電荷輸送層の厚みを24μmに変え、「均一電荷輸送層の形成」の工程を設けなかった外は、「実施例2」と同様にして、図3に示す層構成の電子写真感光体を作製した。
【0177】<電子写真特性・画質・耐久性の測定・評価>「実施例1」における「電子写真特性・画質・耐久性の測定・評価」と同様にして測定・評価を行ったところ、「電子写真特性・耐久性の測定・評価」では、初期の電子写真感光体においては、光誘起電位減衰特性は、残留電位が14V、E50%値が0.5μJ/cm2、E50%/E10%値が2.4のS字型であり、15000回繰り返し試験した電子写真感光体においては、光誘起電位減衰特性は、残留電位が21V、E50%値が0.7μJ/cm2、E50%/E10%値が2.3であり、いずれも図2に示すようなS字型の光誘起電位減衰を示した。また、「画質・耐久性の測定・評価」では、1枚目及び2000枚連続印字後の印字サンプルとも画質に優れていた。
【0178】(実施例4)
<電子写真感光体の作製>−電荷発生層の形成−六方晶セレン12重量部を、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(商品名:UCARソリューションビニル樹脂VMCH、ユニオンカーバイド社製)1.8重量部及び酢酸イソブチル100重量部と混合し、ステンレス鋼ビーズとともにペイントシェーカーで5時間処理して分散させ、電荷発生層用塗布液を得た。得られた電荷発生層用塗布液を浸漬コーティング法で、「実施例1」で用いたのと同様のアルミニウム基板上に塗布し、100℃において10分間加熱乾燥し、厚み0.15μmの電荷発生層を形成した。
【0179】−S字化(不均一)電荷輸送層の形成−「実施例1」の「S字化(不均一)電荷輸送層の形成」において、「合成例4」で得られた「ブロック共重合体1」を「合成例6」で得られた「ブロック共重合体2」に代え、S字型電荷発生層の厚みを、23μmに変えた外は、「実施例1」と同様にして、S字化電荷輸送層を形成し、図3に示す層構成の電子写真感光体を作製した。尚、S字化電荷輸送層をルテニウム酸染色法による透過型電子顕微鏡で観察したところ、変調構造と思われる相分離構造が観測された。また、相分離構造のスケールはおよそ0.01μm、電荷輸送性相の体積比率はおよそ60%であった。また、本電荷輸送性ブロックと同一構造の電荷輸送性高分子の電荷移動度は、5V/μmの電界強度下で、8×10-6cm2/Vsであった。
【0180】<電子写真特性・画質・耐久性の測定・評価>「実施例1」の「電子写真特性・画質・耐久性の測定・評価」において、「電子写真特性・耐久性の測定・評価」におけるハロゲンランプ光の露光波長を、500nmに変えた外は、「実施例1」と同様にして測定・評価したところ、初期の電子写真感光体においては、光誘起電位減衰特性は、残留電位が5V、E50%値が0.8μJ/cm2、E50%/E10%値が2.2のS字型であり、15000回繰り返し試験した電子写真感光体においては、光誘起電位減衰特性は、残留電位が10V、E50%値が1.0μJ/cm2、E50%/E10%値が2.0であり、いずれも図2に示すようなS字型の光誘起電位減衰を示した。また、「実施例1」と同様に「画質・耐久性の測定・評価」を行ったところ、1枚目及び2000枚連続印字後の印字サンプルとも画質に優れていた。
【0181】(実施例5)
<電子写真感光体の作製>「実施例2」の「S字化(不均一)電荷輸送層の形成」において、「ブロック共重合体1」を「ブロック共重合体2」に代えた外は、「実施例2」と同様に電子写真感光体を作製した。
【0182】<電子写真特性・画質・耐久性の測定・評価>「実施例1」における「電子写真特性・画質・耐久性の測定・評価」と同様にして測定・評価を行ったところ、「電子写真特性・耐久性の測定・評価」では、初期の電子写真感光体においては、光誘起電位減衰特性は、残留電位が15V、E50%値が1.5μJ/cm2、E50%/E10%値が2.1のS字型であり、15000回繰り返し試験した電子写真感光体においては、光誘起電位減衰特性は、残留電位が22V、E50%値が1.6μJ/cm2、E50%/E10%値が2.2であり、いずれも図2に示すようなS字型の光誘起電位減衰を示した。また、「画質・耐久性の測定・評価」では、1枚目及び2000枚連続印字後の印字サンプルとも画質に優れていた。
【0183】(実施例6)
<電子写真感光体の作製>「実施例2」の「S字化(不均一)電荷輸送層の形成」において、「ブロック共重合体1」を「ブロック共重合体3」に代えた外は、「実施例2」と同様に電子写真感光体を作製した。
【0184】<電子写真特性・画質・耐久性の測定・評価>「実施例1」における「電子写真特性・画質・耐久性の測定・評価」と同様にして測定・評価を行ったところ、「電子写真特性・耐久性の測定・評価」では、初期の電子写真感光体においては、光誘起電位減衰特性は、残留電位が18V、E50%値が1.4μJ/cm2、E50%/E10%値が1.9であり、15000回繰り返し試験した電子写真感光体においては、光誘起電位減衰特性は、残留電位が20V、E50%値が1.4μJ/cm2、E50%/E10%値が2.0であり、いずれも図2に示すようなS字型の光誘起電位減衰を示した。また、「画質・耐久性の測定・評価」では、1枚目及び2000枚連続印字後の印字サンプルとも画質に優れていた。
【0185】(実施例7)
<電子写真感光体の作製>「実施例2」の「S字化(不均一)電荷輸送層の形成」において、「ブロック共重合体1」を「ブロック共重合体2」に代え、更に、S字化(不均一)電荷輸送層用塗布液にヘキサメチレンジイソシアネート0.05重量部を添加した外は、「実施例2」と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0186】<電子写真特性・画質・耐久性の測定・評価>「実施例1」における「電子写真特性・画質・耐久性の測定・評価」と同様にして測定・評価を行ったところ、「電子写真特性・耐久性の測定・評価」では、初期の電子写真感光体においては、光誘起電位減衰特性は、残留電位が10V、E50%値が1.2μJ/cm2、E50%/E10%値が1.9であり、15000回繰り返し試験した電子写真感光体においては、光誘起電位減衰特性は、残留電位が20V、E50%値が1.5μJ/cm2、E50%/E10%値が1.9であり、いずれも図2に示すようなS字型の光誘起電位減衰を示した。また、「画質・耐久性の測定・評価」では、1枚目及び2000枚連続印字後の印字サンプルとも画質に優れていた。
【0187】(実施例8)
<電子写真感光体の作製>「実施例2」の「S字化(不均一)電荷輸送層の形成」において、「ブロック共重合体1」を「ブロック共重合体3」に代え、更に、S字化(不均一)電荷輸送層用塗布液にキシレンジイソシアネート0.03重量部を添加した外は、「実施例2」と同様に電子写真感光体を作製した。
【0188】<電子写真特性・画質・耐久性の測定・評価>「実施例1」における「電子写真特性・画質・耐久性の測定・評価」と同様にして測定・評価を行ったところ、「電子写真特性・耐久性の測定・評価」では、初期の電子写真感光体においては、光誘起電位減衰特性は、残留電位が15V、E50%値が1.5μJ/cm2、E50%/E10%値が1.8であり、15000回繰り返し試験した電子写真感光体においては、光誘起電位減衰特性は、残留電位が23V、E50%値が1.6μJ/cm2、E50%/E10%値が2.2であり、いずれも図2に示すようなS字型の光誘起電位減衰を示した。また、「画質・耐久性の測定・評価」では、1枚目及び2000枚連続印字後の印字サンプルとも画質に優れていた。
【0189】(比較例1)
<電子写真感光体の作製>「実施例2」の「電子写真感光体の作製」において、「S字化(不均一)電荷輸送層の形成」の工程を設けなかった外は、「実施例2」と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0190】<電子写真特性・画質・耐久性の測定・評価>「実施例1」における「電子写真特性・画質・耐久性の測定・評価」と同様にして測定・評価を行ったところ、「電子写真特性・耐久性の測定・評価」では、初期の電子写真感光体においては、光誘起電位減衰特性は、残留電位が18V、E50%値が2.6μJ/cm2、E50%/E10%値が5.2であり、図1に示すようなJ字型の光誘起電位減衰を示した。また、13000回繰り返し試験後に、残留電位及びE50%/E10%値に増加の傾向が見られ、15000回繰り返し試験した電子写真感光体においては、残留電位が30Vまで上昇した。また、「画質・耐久性の測定・評価」では、細線の再現性等の点で、実施例と比較して印字品質が劣っていた。
【0191】(比較例2)
<電子写真感光体の作製>CuKαを線源とするX線回折スペクトルにおいて、少なくとも、ブラッグ角度(2θ±0.2)、8.3、13.7、及び、28.3に強い回折ピークを有するジクロロ錫フタロシアニン結晶5重量部をビスフェノールZタイプポリカーボネート樹脂(商品名:PC−Z、三菱瓦斯化学社製)10重量部及びクロロベンゼン100重量部と混合し、ステンレスビーズと共にペイントシェーク法で4時間処理して分散させた後、得られた分散液を浸漬コーティング法で、実施例1で用いたのと同様のアルミニウム基板上に塗布し、115℃において60分間加熱乾燥して、厚み23μmの単層型電子写真感光体を形成した。
【0192】<電子写真特性・画質・耐久性の測定・評価>得られた単層型電子写真感光体について、「実施例1」における「電子写真特性・画質・耐久性の測定・評価」と同様にして測定・評価を行ったところ、「電子写真特性・耐久性の測定・評価」では、初期の電子写真感光体においては、光誘起電位減衰特性は、残留電位が5V、E50%値が2.5μJ/cm2、E50%/E10%値が1.7であり、図2に示すようなS字型の光誘起電位減衰を示した。また、15000回繰り返し試験した電子写真感光体においては、残留電位が15V、E50%値が2.7μJ/cm2、E50%/E10%値が1.7であり、図2に示すようなS字型の光誘起電位減衰を示した。また、「画質・耐久性の測定・評価」では、1枚目の印字品質は同等であったが、2000枚目では、地肌かぶりが発生し、且つ、細線の再現性が著しく低下していた。
【0193】実施例においては、絶縁性ブロックとして、耐久性の高いブロックを導入したことから、画質、電子写真特性に優れると共に、耐久性にも優れていることがわかる。
【0194】
【発明の効果】本発明によれば、物性等の選択の自由度が高く、製造が容易で、製造時の電荷輸送材料の収率が高く、高画質の画像を形成可能な電子写真感光体、それを用いたプロセスカートリッジ、及び、電子写真装置を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
【出願日】 平成12年4月21日(2000.4.21)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳 (外3名)
【公開番号】 特開2001−305766(P2001−305766A)
【公開日】 平成13年11月2日(2001.11.2)
【出願番号】 特願2000−120901(P2000−120901)