トップ :: G 物理学 :: G03 写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ




【発明の名称】 電子写真感光体
【発明者】 【氏名】近藤 晃弘

【氏名】小幡 孝嗣

【要約】 【課題】近赤外光に対して高感度を有し、電気特性に優れ、繰返し使用による感度低下がなく、帯電電位が安定で、耐摩耗性に優れた電子写真感光体を提供する。

【解決手段】感光体8aは導電性基体1上に、電荷発生層5と電荷輸送層6とを積層して成る感光層4aを備える。電荷発生層5中には電荷発生物質2としてX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.4°、9.6°、11.6°、13.3°、17.9°、24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうち9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが第2の最大ピークを示す結晶型オキソチタニルフタロシアニン化合物を含有し、電荷輸送層6中には電荷輸送物質3として一般式(I)で表されるベンゾフラン−ヒドラゾン化合物を含有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 導電性基体上に感光層を備える電子写真感光体において、前記感光層中に、電荷発生物質として、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.4°、9.6°、11.6°、13.3°、17.9°、24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうち9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが第2の最大ピークを示す結晶型オキソチタニルフタロシアニン化合物を含有し、電荷輸送物質として、下記一般式(I)で表されるベンゾフラン−ヒドラゾン化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
【化1】

[式(I)中、Ar1,Ar2,Ar3およびAr4は、置換基を含んでもよいアリール基、置換基を含んでもよい複素環基、置換基を含んでもよいアラルキル基、置換基を含んでもよい炭素数が1〜5のアルキル基、置換基を含んでもよい炭素数が1〜5のフルオロアルキル基または置換基を含んでもよい炭素数が1〜5のパーフルオロアルキル基を示す。Ar1とAr2とは、互いに原子、原子団、置換基を含んでもよいアルキレン基、置換基を含んでもよいビニレン基または2価の連結基によって環構造を形成してもよい。R1は、置換基を含んでもよいアリール基、置換基を含んでもよい複素環基、置換基を含んでもよいアラルキル基、置換基を含んでもよい炭素数が1〜5のアルキル基、置換基を含んでもよい炭素数が1〜5のフルオロアルキル基または置換基を含んでもよい炭素数が1〜5のパーフルオロアルキル基を示す。aは、置換基を含んでもよい炭素数が1〜3のアルキル基、置換基を含んでもよい炭素数が1〜5のフルオロアルキル基、置換基を含んでもよい炭素数が1〜5のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜3のジアルキルアミノ基、ハロゲン原子あるいは水素原子を示し、nは、1〜3の整数を示す。ただし、nが2以上のとき、複数のaの各々は同一であってもよく、異なってもよく、互いに環を形成してもよい。]【請求項2】 前記感光層は、電荷発生物質として前記結晶型オキソチタニルフタロシアニン化合物を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質として前記一般式(I)で表されるベンゾフラン−ヒドラゾン化合物を含有する電荷輸送層との積層構造から成ることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
【請求項3】 前記感光層は、電荷発生物質として前記結晶型オキソチタニルフタロシアニン化合物を含有し、電荷輸送物質として前記一般式(I)で表されるベンゾフラン−ヒドラゾン化合物を含有する単一層構造から成ることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
【請求項4】 積層構造から成る前記感光層の前記電荷輸送層は、結着樹脂として、ビニル化合物の重合体もしくはその共重合体、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂またはエポキシ樹脂を含有することを特徴とする請求項2記載の電子写真感光体。
【請求項5】 前記結着樹脂として、下記一般式(II)で表される少なくとも1種のポリカーボネートを含有することを特徴とする請求項4記載の電子写真感光体。
【化2】

[式(II)中、R2およびR3は、それぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリール基、置換基を有してもよい炭素数7〜17のアラルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン原子または水素原子を表す。Xは、直接結合しているか、あるいは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数1〜10の環状アルキリデン基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリレーン基、スルホニル基またはカルボニル基を表す。Zは、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数6〜12のアリレーン基、炭素数7〜17のアリレーンアルキル基またはハロゲン原子を表す。Wは、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキルエステル基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリールエステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、水酸基、ハロゲン原子または水素原子を示す。bおよびdは、1〜4の整数を表し、uは、10〜200の整数を表す。]
【請求項6】 前記結着樹脂として、下記一般式(III)で表される少なくとも1種のポリエステルを含有し、ポリエステルの結着樹脂全体に占める割合が5重量%以上、50重量%以下の範囲であることを特徴とする請求項4記載の電子写真感光体。
【化3】

[式(III)中、g,hおよびiは、1〜10の整数を表し、v,w,xおよびyは、10〜1000の整数を表す。]
【請求項7】 前記結着樹脂として、下記一般式(II)で表される少なくとも1種のポリカーボネートと、下記一般式(III)で表される少なくとも1種のポリエステルとを含有し、ポリエステルの結着樹脂全体に占める割合が5重量%以上、50重量%以下であり、ポリカーボネートとポリエステルとの重量比が、ポリカーボネート/ポリエステルで9/1〜7/3の範囲であることを特徴とする請求項4記載の電子写真感光体。
【化4】

【化5】

[式(II)中、R2およびR3は、それぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリール基、置換基を有してもよい炭素数7〜17のアラルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン原子または水素原子を表す。Xは、直接結合しているか、あるいは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数1〜10の環状アルキリデン基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリレーン基、スルホニル基またはカルボニル基を表す。Zは、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数6〜12のアリレーン基、炭素数7〜17のアリレーンアルキル基またはハロゲン原子を表す。Wは、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキルエステル基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリールエステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、水酸基、ハロゲン原子または水素原子を示す。bおよびdは、1〜4の整数を表し、uは、10〜200の整数を表す。また式(III)中、g,hおよびiは、1〜10の整数を表し、v,w,xおよびyは、10〜1000の整数を表す。]
【請求項8】 前記感光層は、酸化防止物質として、α−トコフェロールを含有し、酸化防止物質と電荷輸送物質との重量比が、酸化防止物質/電荷輸送物質で0.1/100以上、5/100以下の範囲であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
【請求項9】 前記感光層は、酸化防止物質として、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル−フェノールを含有し、酸化防止物質と電荷輸送物質との重量比が、酸化防止物質/電荷輸送物質で0.1/100以上、10/100以下の範囲であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
【請求項10】 前記感光層上に、ジメチルポリシロキサンと結着樹脂とを含有し、ジメチルポリシロキサンと結着樹脂との重量比が、ジメチルポリシロキサン/結着樹脂で0.001/100以上、5/100以下の範囲である表面層を含むことを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定のX線回折スペクトルを示す結晶型オキソチタニルフタロシアニン化合物を電荷発生物質として用い、また特定の構造を有するベンゾフラン−ヒドラゾン化合物を電荷輸送物質として用いた電子写真感光体に関し、特に近赤外波長域において高い感度を有する電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、実用化されている電子写真感光体(以下、単に「感光体」ともいう)は無機系材料を用いた無機感光体と有機系材料を用いた有機感光体とに分類される。
【0003】従来、感光体の感度および耐久性から無機系材料が主として用いられていた。その代表的なものとしては、アモルファスセレン(a−Se)またはアモルファスセレンひ素(a−AsSe)等から成るのセレン系感光体、色素増感した酸化亜鉛(ZnO)または硫化カドミウム(CdS)を結着樹脂中に分散した感光体およびアモルファスシリコン(a−Si)を使用した感光体がある。しかし、セレン系およびCdSを使用した感光体は耐熱性や保存安定性が低く、また毒性を有するためにその廃棄が問題となり公害をもたらす原因となる。ZnO樹脂分散系感光体は感度や耐久性が低いので現在はほとんど使用されていない。無公害性の感光体として注目されるa−Si感光体は感度や耐久性が高いが、プラズマCVD法を用いるというその製造プロセスに起因して画像欠陥が発生し、また生産性の低さに起因して製造コストが上昇する。
【0004】一方、感光体に用いられる有機系材料は材料自体が多種存在するために適宜選択することで保存安定性がよく毒性のない感光体が提供でき、また塗工による薄膜形成が容易であることから低コストでの製造が可能である。したがって、近年、有機系感光体の感度や耐久性の向上が急激に図られており、現在感光体としては特別な場合を除いて有機系材料が使用されるようになってきている。
【0005】また、近年、従来の白色光に代わってレーザ光を光源とし、高速化、高画質およびノンインパクト化を図ったレーザビームプリンタ等が広く普及するに至り、その要求に耐え得る感光体の開発が望まれている。特に、レーザ光の中でも近年進展の著しい半導体レーザを光源とする方式が種々試みられており、この場合、該光源の波長は800nm前後であることから、800nm前後の長波長光に対して高い感度を有する感光体が強く望まれている。
【0006】この要求を満たす有機系材料としてはスクアリック酸メチン系色素、インドリン系色素、シアニン系色素、ビリリウム系色素、ポリアゾ系色素、フタロシアニン系色素およびナフトキノン系色素等が知られているが、スクアリック酸メチン系色素、インドリン系色素、シアニン系色素およびビリリウム系色素は長波長化が可能であるが実用的安定性、すなわち繰返し特性が低い。ポリアゾ系色素は長波長化が難しく、かつ製造的に不利である。ナフトキノン系は感度が低い。
【0007】フタロシアニン系色素のうち、金属フタロシアニン化合物を用いた感光体は、米国特許第3357989号、特開昭49−11136号、米国特許第4214907号および英国特許第1268422号の公報等から明らかなように、感度ピークはその中心金属によって変動するが、いずれも700〜750nmと比較的長波長側にある。また、特開昭59−49544号公報には、オキソチタニルフタロシアニン類を基体上に蒸着して電荷発生層を作成し、さらにその上に2,6−ジメトキシ−9,10−ジヒドロキシアントラセンを主成分とする電荷輸送層を設けた感光体が記載されているが、該感光体は残留電位が高く使用方法にやや制約を受け、蒸着法による膜厚の不均一性から諸電気特性の再現性が低く、感光体の工業的規模での大量生産上制約を受ける。
【0008】これらのフタロシアニン系色素のうち、高い感度を示すオキソチタニルフタロシアニンの研究が近年精力的に行われている。オキソチタニルフタロシアニンは、電子写真学会誌 第32巻、第3号、282頁に記載のとおり、X線回折スペクトルの回折角の違いから数多くの結晶型に分類されている。具体的に、特徴的な結晶型を示すと、特開昭61−217050号および特開昭61−239248号の公報にはα型が記載され、特開昭62−67094号公報にはA型が記載され、特開昭63−366号および特開昭63−198067号の公報にはC型が記載され、特開昭63−20365号、特開平2−8256号および特開平1−17066号の公報にはY型が記載され、特開平3−54265号公報にはM型が記載され、特開平3−54264号公報にはM−α型が記載され、特開平3−128973号公報にはI型が記載され、特開昭62−67094号公報にはI,II型が記載されている。
【0009】ところで、オキソチタニルフタロシアニンの結晶において構造解析から格子定数が判っているものは、C型、PhaseI型およびPhaseII型である。PhaseII型は三斜晶系、PhaseI型およびC型は単斜晶系に属する。これらの公知の結晶格子定数から上記公報に記載された結晶型を解析すると、A型およびI型はPhaseI型に属し、α型およびB型はPhaseII型に属し、M型はC型に属する。これは、J.of Imaging Science and Technology Vol.37, No6, 1993, p605〜609に説明されている。
【0010】一方、感光体そのものの問題として、露光に使用されるレーザ光の基体での反射が主たる原因と考えられる干渉縞の発生がある。この解決手法としては、いくつかの技術が公知である。その1つの手法とし、電荷発生層の膜厚を厚くし、露光したレーザ光を吸収させて基体からの反射をなくす手法が知られている。電荷発生層を蒸着法で形成する場合、蒸着法で形成できる膜厚には制限があり、またその制御が難しい。これに対して、電荷発生層を結着樹脂分散液を塗布して形成する場合、任意の膜厚で再現性よく形成することができ、その制御は容易である。また、蒸着時の高真空度装置が不要となるので加熱による熱分解や熱変性を避けることができる。さらに、蒸着法のように、蒸着後、種々の方法で蒸着品の結晶化を行わなければならないといった工業的生産上での煩わしさがない。
【0011】また、特公平5−55860号公報には、オキソチタニルフタロシアニン化合物と結着樹脂とを含む電荷発生層上に、ヒドラゾン化合物と結着樹脂とを含む電荷輸送層を積層した感光体が記載されている。この公報では、800nm前後に感度を有する感光体を提供しているものの、現在の高画質化および高速化に要求される感度には及ばない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、半導体レーザ用の近赤外光に対して高い感度を有し、電気特性に優れ、繰返し使用しても感度の低下がほとんど起こらず、帯電電位が安定で、さらに耐摩耗性に優れた電子写真感光体を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、導電性基体上に感光層を備える電子写真感光体において、前記感光層中に、電荷発生物質として、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.4°、9.6°、11.6°、13.3°、17.9°、24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうち9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが第2の最大ピークを示す結晶型オキソチタニルフタロシアニン化合物を含有し、電荷輸送物質として、下記一般式(I)で表されるベンゾフラン−ヒドラゾン化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
【0014】
【化6】

【0015】[式(I)中、Ar1,Ar2,Ar3およびAr4は、置換基を含んでもよいアリール基、置換基を含んでもよい複素環基、置換基を含んでもよいアラルキル基、置換基を含んでもよい炭素数が1〜5のアルキル基、置換基を含んでもよい炭素数が1〜5のフルオロアルキル基または置換基を含んでもよい炭素数が1〜5のパーフルオロアルキル基を示す。Ar1とAr2とは、互いに原子、原子団、置換基を含んでもよいアルキレン基、置換基を含んでもよいビニレン基または2価の連結基によって環構造を形成してもよい。R1は、置換基を含んでもよいアリール基、置換基を含んでもよい複素環基、置換基を含んでもよいアラルキル基、置換基を含んでもよい炭素数が1〜5のアルキル基、置換基を含んでもよい炭素数が1〜5のフルオロアルキル基または置換基を含んでもよい炭素数が1〜5のパーフルオロアルキル基を示す。aは、置換基を含んでもよい炭素数が1〜3のアルキル基、置換基を含んでもよい炭素数が1〜5のフルオロアルキル基、置換基を含んでもよい炭素数が1〜5のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜3のジアルキルアミノ基、ハロゲン原子あるいは水素原子を示し、nは、1〜3の整数を示す。ただし、nが2以上のとき、複数のaの各々は同一であってもよく、異なってもよく、互いに環を形成してもよい。]本発明に従えば、導電性基体上の感光層中に、電荷発生物質として、上記X線回折スペクトルを示す結晶型オキソチタニルフタロシアニン化合物を含有し、電荷輸送物質として、上記一般式(I)で表されるベンゾフラン−ヒドラゾン化合物を含有することによって、半導体レーザ用の近赤外光に対して高い感度を有する感光体を実現することができる。また、本発明の感光体は、電気特性に優れ、繰返し使用しても感度の低下がほとんど起こらず、帯電電位が安定で、さらに耐摩耗性に優れている。
【0016】また本発明は、前記感光層は、電荷発生物質として前記結晶型オキソチタニルフタロシアニン化合物を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質として前記一般式(I)で表されるベンゾフラン−ヒドラゾン化合物を含有する電荷輸送層との積層構造から成ることを特徴とする。
【0017】本発明に従えば、導電性基体上に、電荷発生層と電荷輸送層とを積層して成る感光層を形成した積層型(機能分離型)の感光体において、電荷発生層が電荷発生物質として上記X線回折スペクトルを示す結晶型オキソチタニルフタロシアニン化合物を含有し、電荷輸送層が電荷輸送物質として上記一般式(I)で表されるベンゾフラン−ヒドラゾン化合物を含有する。このような積層型の感光体は、半導体レーザ用の近赤外光に対して高い感度を有する。また、本発明の積層型の感光体は、電気特性に優れ、繰返し使用しても感度の低下がほとんど起こらず、帯電電位が安定で、さらに耐摩耗性に優れている。
【0018】また本発明は、前記感光層は、電荷発生物質として前記結晶型オキソチタニルフタロシアニン化合物を含有し、電荷輸送物質として前記一般式(I)で表されるベンゾフラン−ヒドラゾン化合物を含有する単一層構造から成ることを特徴とする。
【0019】本発明に従えば、導電性基体上に、感光層を単層で形成した単層型(分散型)の感光体において、感光層が、電荷発生物質として上記X線回折スペクトルを示す結晶型オキソチタニルフタロシアニン化合物を含有し、また電荷輸送物質として上記一般式(I)で表されるベンゾフラン−ヒドラゾン化合物を含有する。このような単層型の感光体は、半導体レーザ用の近赤外光に対して高い感度を有する。また、本発明の積層型の感光体は、電気特性に優れ、繰返し使用しても感度の低下がほとんど起こらず、帯電電位が安定で、さらに耐摩耗性に優れている。
【0020】また本発明は、前記導電性基体と感光層との間に中間層を設けても構わない。導電性基体と感光層との間に設けられた中間層によって、導電性基体から感光層への電荷注入による感光体の表面電荷の消失および減少を防止することができる。また、導電性基体表面の欠陥を被覆して、感光体の帯電性を改善したり、感光層の導電性基体に対する接着性や塗工性を改善することができる。これによって、欠陥のない画像を形成することができる。
【0021】このような中間層は下引き層とも呼ばれ、たとえばアルミニウム陽極酸化膜、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよび酸化チタン等の無機材料やポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、でんぷん、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、カゼインおよびN−メトキシメチル化ナイロン等の有機材料を用いた層で実現することができる。なお、これらの層に酸化チタン、酸化スズおよび酸化アルミニウム等の粒子を分散させてもよい。
【0022】また本発明は、積層構造から成る前記感光層の前記電荷輸送層は、結着樹脂として、ビニル化合物の重合体もしくはその共重合体、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂またはエポキシ樹脂を含有することを特徴とする。
【0023】本発明に従えば、積層型の前記感光体の電荷輸送層が上述した中から選ばれる結着樹脂を含有することによって、半導体レーザ用の近赤外光に対して高い感度を有する感光体を実現することができ、また電気特性に優れ、繰返し使用しても感度の低下がほとんど起こらず、帯電電位が安定で、さらに耐摩耗性に優れた感光体を実現することができる。
【0024】また本発明は、前記結着樹脂として、下記一般式(II)で表される少なくとも1種のポリカーボネートを含有することを特徴とする。
【0025】
【化7】

【0026】[式(II)中、R2およびR3は、それぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリール基、置換基を有してもよい炭素数7〜17のアラルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン原子または水素原子を表す。Xは、直接結合しているか、あるいは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数1〜10の環状アルキリデン基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリレーン基、スルホニル基またはカルボニル基を表す。Zは、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数6〜12のアリレーン基、炭素数7〜17のアリレーンアルキル基またはハロゲン原子を表す。Wは、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキルエステル基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリールエステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、水酸基、ハロゲン原子または水素原子を示す。bおよびdは、1〜4の整数を表し、uは、10〜200の整数を表す。]
本発明に従えば、積層型の前記感光体の電荷輸送層が特に上記一般式(II)で表される少なくとも1種のポリカーボネートを含有することによって、半導体レーザ用の近赤外光に対して高い感度を有する感光体を実現することができ、また電気特性に優れ、繰返し使用しても感度の低下がほとんど起こらず、帯電電位が安定で、さらに耐摩耗性に優れた感光体を実現することができる。
【0027】また本発明は、前記結着樹脂として、下記一般式(III)で表される少なくとも1種のポリエステルを含有し、ポリエステルの結着樹脂全体に占める割合が5重量%以上、50重量%以下の範囲であることを特徴とする。
【0028】
【化8】

【0029】[式(III)中、g,hおよびiは、1〜10の整数を表し、v,w,xおよびyは、10〜1000の整数を表す。]
本発明に従えば、積層型の前記感光体の電荷輸送層が特に上記一般式(III)で表される少なくとも1種のポリエステルを上述の範囲の割合で含有することによって、半導体レーザ用の近赤外光に対して高い感度を有する感光体を実現することができ、また電気特性に優れ、繰返し使用しても感度の低下がほとんど起こらず、帯電電位が安定で、さらに耐摩耗性に優れた感光体を実現することができる。
【0030】また本発明は、前記結着樹脂として、下記一般式(II)で表される少なくとも1種のポリカーボネートと、下記一般式(III)で表される少なくとも1種のポリエステルとを含有し、ポリエステルの結着樹脂全体に占める割合が5重量%以上、50重量%以下であり、ポリカーボネートとポリエステルとの重量比が、ポリカーボネート/ポリエステルで9/1〜7/3の範囲であることを特徴とする。
【0031】
【化9】

【0032】
【化10】

【0033】[式(II)中、R2およびR3は、それぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリール基、置換基を有してもよい炭素数7〜17のアラルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン原子または水素原子を表す。Xは、直接結合しているか、あるいは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数1〜10の環状アルキリデン基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリレーン基、スルホニル基またはカルボニル基を表す。Zは、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数6〜12のアリレーン基、炭素数7〜17のアリレーンアルキル基またはハロゲン原子を表す。Wは、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキルエステル基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリールエステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、水酸基、ハロゲン原子または水素原子を示す。bおよびdは、1〜4の整数を表し、uは、10〜200の整数を表す。また式(III)中、g,hおよびiは、1〜10の整数を表し、v,w,xおよびyは、10〜1000の整数を表す。]
本発明に従えば、積層型の前記感光体の電荷輸送層が特に上記一般式(II)で表される少なくとも1種のポリカーボネートを含有し、また上記一般式(III)で表される少なくとも1種のポリエステルを上述の範囲の割合で含有し、さらにポリカーボネートとポリエステルとの重量比を上述の範囲で含有することによって、半導体レーザ用の近赤外光に対して高い感度を有する感光体を実現することができ、また電気特性に優れ、繰返し使用しても感度の低下がほとんど起こらず、帯電電位が安定で、さらに耐摩耗性に優れた感光体を実現することができる。
【0034】また本発明は、前記感光層は、酸化防止物質として、α−トコフェロールを含有し、酸化防止物質と電荷輸送物質との重量比が、酸化防止物質/電荷輸送物質で0.1/100以上、5/100以下の範囲であることを特徴とする。
【0035】本発明に従えば、前記感光層が、α−トコフェロールを上述の範囲で含有することによって、感光層の酸化を防止することができる。
【0036】また本発明は、前記感光層は、酸化防止物質として、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル−フェノールを含有し、酸化防止物質と電荷輸送物質との重量比が、酸化防止物質/電荷輸送物質で0.1/100以上、10/100以下の範囲であることを特徴とする。
【0037】本発明に従えば、前記感光層が、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル−フェノールを上述の範囲で含有することによって、感光層の酸化を防止することができる。
【0038】また本発明は、前記感光層上に、ジメチルポリシロキサンと結着樹脂とを含有し、ジメチルポリシロキサンと結着樹脂との重量比が、ジメチルポリシロキサン/結着樹脂で0.001/100以上、5/100以下の範囲である表面層を含むことを特徴とする。
【0039】本発明に従えば、前記感光層上に設けられ、ジメチルポリシロキサンと結着樹脂とを上述の範囲で含有する表面層によって感光層の表面を保護することができる。このような表面層は、たとえば熱可逆性または熱硬化性樹脂を主体とする層で実現することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】図1〜図4は、本発明の実施の一形態である電子写真感光体8a〜8dのそれぞれを示す断面図である。図1は中間層を持たない積層型(機能分離型)の感光体8aを示し、図2は中間層を持たない単層型(分散型)の感光体8bを示し、図3は中間層を有する積層型の感光体8cを示し、図4は中間層を有する単層型の感光体8dを示す。図1を参照して、感光体8aは導電性基体1の上に積層型の感光層4aを形成して構成される。感光層4aは、導電性基体1の上に形成され、電荷発生物質2と結着樹脂9とを含有する電荷発生層5と、電荷発生層5の上に形成され、電荷輸送層3と結着樹脂10とを含有する電荷輸送層6とから構成される。積層型の感光層4aは、電荷発生層5の上に電荷輸送層6を積層するものに限らず、逆に電荷輸送層6の上に電荷発生層5を積層しても構わない。図2を参照して、感光体8bは、導電性基体1の上に単層型の感光層4bを形成して構成される。感光層4bは、電荷発生物質2、電荷輸送物質3および結着樹脂11を含有する。図3を参照して、感光体8cは、導電性基体1の上に中間層7を形成し、中間層7の上に積層型の前記感光層4aを形成して構成される。図4を参照して、感光体8dは、導電性基体1の上に中間層7を形成し、中間層7の上に単層型の前記感光層4bを形成して構成される。
【0041】導電性基体1としては、導電性基体1自体が導電性を有するもの、たとえばアルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、ニッケルおよびチタン等を用いることができ、その他にアルミニウム、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、チタン、酸化インジウムおよび酸化錫等を蒸着したプラスチックや紙、導電性粒子を含有したプラスチックや紙、導電性ポリマを含有したプラスチック等を用いることができ、これらの形状としてはドラム状、シート状およびシームレスベルト状等が使用できる。
【0042】中間層(下引き層)7は、上述したようにアルミニウム陽極酸化膜、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよび酸化チタン等の無機材料やポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、でんぷん、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、カゼインおよびN−メトキシメチル化ナイロン等の有機材料を用いた層で実現することができる。なお、これらの層に酸化チタン、酸化スズおよび酸化アルミニウム等の粒子を分散させてもよい。
【0043】感光層4a,4bが含有する電荷発生物質2としては、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.4°、9.6°、11.6°、13.3°、17.9°、24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうち9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが第2の最大ピークを示す結晶型オキソチタニルフタロシアニン化合物である。
【0044】オキソチタニルフタロシアニンの合成方法は、モーザーおよびトーマスの「フタロシアニン化合物」(MOSER and THOMAS.“Phthalocianine Compounds”)に記載されている公知の方法を参照することができる。
【0045】たとえば、o−フタロニトリルと四塩化チタンとを加熱融解することまたはα−クロロナフタレン等の有機溶媒の存在下で加熱することで、ジクロロチタニウムフタロシアニンが収率よく得られ、さらに得られたジクロロチタニウムフタロシアニンを塩基もしくは水で加水分解することによってオキソチタニルフタロシアニンが得られる。また、1,3−ジイミノイソインドリンとテトラブトキシチタンとをN−メチルピロリドン等の有機溶媒で加熱することによってオキソチタニルフタロシアニンが得られる。なお、得られたオキソチタニルフタロシアニンにはベンゼン環の水素原子が塩素、フッ素、ニトロ基、シアノ基またはスルホン基等の置換基で置換されたフタロシアニン誘導体が含有されていてもよい。
【0046】このようなオキソチタニルフタロシアニン組成物を水の存在下で、ジクロロエタン等の水に非混和性の有機溶媒で処理することによって本発明の結晶型が得られる。オキソチタニルフタロシアニンを水の存在下で水に非混和性の有機溶媒で処理する方法としては、オキソチタニルフタロシアニンを水で膨潤させ有機溶媒で処理する方法、あるいは膨潤処理を行わずに、水を有機溶媒中に添加し、その中にオキソチタニルフタロシアニン粉末を投入する方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、オキソチタニルフタロシアニンを水で膨潤させる方法としては、オキソチタニルフタロシアニンを硫酸に溶解させ、水中で析出させてウエットペースト状にする方法、あるいはホモミキサ、ペイントミキサ、ボールミルまたはサンドミル等の撹拌・分散装置を用いて、オキソチタニルフタロシアニンを水で膨潤させ、ウエットペースト状にする方法等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0047】また、加水分解によって得られたオキソチタニルフタロシアニン組成物を溶液中もしくは結着樹脂を溶解させた溶液中で充分な時間撹拌すること、もしくは機械的な歪力をもってミシングすることによって、本発明の結晶型が得られる。この攪拌処理に用いられる装置としては一般的な撹拌装置の他に、ホモミキサ、ペイントミキサ、ディスパーサ、アジター、あるいはボールミル、サンドミル、ペイントシェーカ、ダイノミル、アトライタおよび超音波分散装置等を用いることができる。攪拌処理後、ろ過し、メタノール、エタノールおよび水等を用いて洗浄し、単離してもよいし、攪拌処理後、結着樹脂を加えてそのまま塗布液として使用してもよい。また、攪拌処理の際に予め結着樹脂を加えていたものは、そのまま塗布液として使用することができる。
【0048】なお、本発明の結晶型オキソチタニルフタロシアニン化合物は、上記の製造方法によって製造されたもののみに限定されず、いかなる製造方法によって製造されても本発明の特定のピークを示す限り本発明の範囲に属するものである。
【0049】このようにして得られた結晶型オキソチタニルフタロシアニン化合物は、電子写真感光体4a〜4dの電荷発生物質2として優れた特性を発揮する。本発明では、上記の結晶型オキソチタニルフタロシアニン化合物だけでなく他の電荷発生物質2を併用してもよい。そのような電荷発生物質2としては、本発明の結晶型オキソチタニルフタロシアニン化合物とは結晶型において異なるα型、β型、Y型およびアモルファスのオキソチタニルフタロシアニン、また他のフタロシアニン類、さらにアゾ顔料、アントラキノン顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料およびスクエアリウム顔料等が挙げられる。
【0050】図1および図3に示される積層型の感光体8a,8cの場合、電荷発生層5は真空蒸着法、スパッタリング法およびCVD法等の気相堆積法によって作製される。また、電荷発生物質2を溶解またはボールミル、サンドグラインダ、ペイントシェーカおよび超音波分散機等によって粉砕し、分散し、必要に応じて結着樹脂9と溶剤とを加えて電荷発生層用塗布液を調製し、導電性基体1がシート状の場合にはベーカアプリケータ、バーコータ、キャスティングおよびスピンコート等によって、ドラム状の場合にはスプレー法、垂直型リング法および浸漬塗工法等によて塗布して作製することができる。
【0051】なお、調製した塗布液を塗布する方法は、塗布層の厚さを任意に設定できるので、画像形成時に露光したレーザ光が吸収される膜厚に電荷発生層5を形成して導電性基体1からの反射光をなくすことができる。このような効果は再現性よく得られ、制御も容易である。また、この方法は蒸着法と比較して蒸着時の高真空度装置が不要であり、加熱による熱分解や熱変性を避けることができ、さらに蒸着品の結晶化等、工業的生産上における煩わしさがない。
【0052】電荷発生層5に使用可能な結着樹脂9としては、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、アクリル酸ベンジルエステルおよびメタクリル酸エステル等のビニル化合物の重合体またはその共重合体、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、セルロースエステルおよびセルロースエーテル等セルロース系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0053】電荷発生層用塗布液に使用可能な溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチルおよび酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフランおよびジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒が挙げられ、これらを単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。
【0054】電荷発生層5の膜厚としては、0.05〜5μmの範囲、特に0.08〜1μmの範囲が好ましい。
【0055】感光層4a,4bが含有する電荷輸送物質3としては、ベンゾフラン−ヒドラゾン化合物である。ベンゾフラン−ヒドラゾン化合物としては、前記一般式(I)で表されるベンゾフラン−ヒドラゾン化合物が好適である。
【0056】具体的なAr1,Ar2,Ar3およびAr4の例としては、フェニル、トリル、メトキシフェニル、ナフチル、ピレニルおよびビフェニル等のアリール基、ベンゾフリル、ベンチアゾリル、ベンゾオキサゾリルおよびN−エチルカルバゾリル等の複素環基、メチルベンジル、メトキシベンジルおよび2−チエニルメチル等のアラルキル基、メチル、エチルおよびn−プロピル等のアルキル基、トリフルオロメチル等のパーフルオロアルキル基、1,1,1−トリフルオロエチル等のフルオロアルキル基が挙げられる。
【0057】具体的なR1の例としては、フェニル、トリル、メトキシフェニル、ナフチル、ピレニルおよびビフェニル等のアリール基、ベンゾフリル、ベンチアゾリル、ベンゾオキサゾリルおよびN−エチルカルバゾリル等の複素環基、メチルベンジル、メトキシベンジルおよび2−チエニルメチル等のアラルキル基、メチル、エチルおよびn−プロピル等のアルキル基、トリフルオロメチル等のパーフルオロアルキル基、1,1,1−トリフルオロエチル等のフルオロアルキル基が挙げられる。
【0058】具体的なaの例としては、メチル、エチル、n−プロピルおよびIso−プロピル等のアルキル基、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシおよびIso−プロポキシ等のアルコキシ基、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよびジ−iso−プロピルアミノ等のジアルキルアミノ基、フッ素、塩素および臭素等のハロゲン原子が挙げられ、一般的に電子供与性の置換基であることが好ましい。
【0059】特に、上記一般式(I)で示されるベンゾフラン−ヒドラゾン化合物のうち、電子写真特性、コストおよび製造等の観点から優れたものとしては、Ar1とAr2およびAr3とAr4のうちのいずれか一方がフェニル基、p−メチルフェニル基または2−チエニルメチル基であり、他方がメチル基、エチル基またはフェニル基であり、R1がメチル基あるいはトリフルオロメチル基であり、aが水素原子であるものが挙げられる。
【0060】本発明の上記一般式(I)で示されるベンゾフラン−ヒドラゾン化合物は種々の方法で合成することができるが、通常以下の合成過程で容易に合成される。すなわち、下記一般式(IV)で示される2−アシルベンゾ[b]フラン化合物誘導体(1.0当量)と下記一般式(V)で示されるヒドラジン化合物(1.0〜1.1当量)とをエタノール、メタノール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテルまたは1,4−ジオキサン等の溶剤中において、酢酸等の有機酸あるいは酢酸ナトリウムおよび酢酸カリウム等の有機塩の触媒量(0.001〜0.1当量)とともに60〜110℃の温度で2〜8時間加熱撹拌することによって合成される。
【0061】
【化11】

【0062】
【化12】

【0063】式(IV)中、Ar1,Ar3,Ar4,aおよびnは式(I)と同義であり、式(V)中、Ar1およびAr2は式(I)と同義である。
【0064】上記一般式(I)で示される本発明のベンゾフラン−ヒドラゾン化合物の具体的な例としては、たとえば次の構造を有するもの(例示化合物No1〜42)が挙げられるが、これによって本発明のベンゾフラン−ヒドラゾン化合物が限定されるものではない。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
【表3】

【0068】
【表4】

【0069】図1および図3に示される積層型の感光体8a,8cの電荷輸送層6は、結着樹脂10として、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンおよびポリ塩化ビニル等のビニル化合物の重合体もしくはその共重合体、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂またはエポキシ樹脂を含有することが好ましく、またポリエステルカーボネートおよびシリコーン樹脂等も用いることができ、これらを単独あるいは2種類以上混合して使用してもよく、また部分的に架橋した熱硬化性樹脂を使用してもよい。
【0070】また、結着樹脂10として、上記一般式(II)で表される少なくとも1種のポリカーボネートを含有することが好ましい。これによって、感光体の耐磨耗性がさらに向上する。一般式(II)で示される本発明のポリカーボネートの具体的な例として、たとえば次の構造を有するもの(II−1〜II−8)が挙げられるが、これによって本発明のポリカーボネートが限定されるものではない。
【0071】
【表5】

【0072】さらに、結着樹脂10として、上記一般式(III)で表される少なくとも1種のポリエステルを含有し、ポリエステルの結着樹脂10全体に占める割合が5重量%以上、50重量%以下の範囲に、特に10重量%以上、30重量%以下の範囲に選ばれることが好ましい。なお、5重量%未満では、混合効果の発現が弱い傾向にあり、50重量%を超えると塗液としての粘度低下等の不具合を招く。
【0073】またさらに、結着樹脂10として、上記一般式(II)で表される少なくとも1種のポリカーボネートと、上記一般式(III)で表される少なくとも1種のポリエステルとを含有し、ポリエステルの結着樹脂10全体に占める割合が5重量%以上、50重量%以下の範囲に選ばれ、ポリカーボネートとポリエステルとの重量比が、ポリカーボネート/ポリエステルで9/1〜7/3の範囲に選ばれることが好ましい。これによって、感光体の耐磨耗性がさらに向上する。
【0074】前記一般式(I)で示される電荷輸送物質3としてのベンゾフラン−ヒドラゾン化合物は、結着樹脂10に対して、0.2〜1.5重量部の範囲、特に0.3重量部以上、1.2重量部以下の範囲で使用することが好ましい。
【0075】なお、電荷輸送層6には必要に応じてレベリング剤、酸化防止剤および増感剤等の各種添加剤を含んでもよい。
【0076】特に、酸化防止剤としてはα−トコフェロールおよび2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル−フェノールが好適である。α−トコフェロールは電荷輸送物質3に対して0.1重量%以上、5重量%以下の範囲で含まれることが好ましい。2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル−フェノールは電荷輸送物質3に対して0.1重量%以上、10重量%以下の範囲で含まれることが好ましい。これによって、電位特性が優れ、また塗布液としての安定性が向上する。
【0077】電荷輸送層6の膜厚は、5〜60μmの範囲、特に10〜40μmの範囲が好ましい。
【0078】電荷輸送層6は、電荷輸送物質3を溶剤に溶解し、結着樹脂10を加えて電荷輸送層用塗布液を調製し、導電性基体1がシートの場合にはベーカアプリケータ、バーコータ、キャスティングおよびスピンコート等によって、ドラム状の場合にはスプレー法、垂直型リング法および浸漬塗工法等によって塗布して作製される。
【0079】電荷輸送層用塗布液に使用可能な溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチルおよび酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフランおよびジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒が挙げられる。
【0080】図2および図4に示される単層型の感光体8b,8dの場合には、電荷輸送物質3を上述したような配合比で含有する電荷輸送層の6中に、電荷発生物質2として上述した本発明の結晶型オキソチタニルフタロシアニン化合物を分散したものが感光層4bとなる。この場合、結晶型オキソチタニルフタロシアニン化合物の粒径は充分に小さいことが必要であり、たとえば1μm以下とすることが好ましい。感光層4b中に分散される電荷発生物質2の量は、過少では感度不足、過多では帯電性低下、感度低下を誘発する等の弊害があり、0.5〜50重量%の範囲、特に1〜20重量%の範囲が好ましい。感光層4bの膜厚は、5〜50μmの範囲、特に10〜40μmの範囲が好ましい。
【0081】なお、単層型の感光体8b,8dにおいても、成膜性、可撓性および機械的強度等を改善するために、公知の可塑剤、残留電位を抑制するための添加剤、分散安定向上のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング剤、たとえばシリコーンオイルやフッ素系オイルの界面活性剤、その他の添加剤を感光層4bに加えてもよい。特に、レベリング剤としてはジメチルポリシロキサンが好適であり、結着樹脂11に対して0.001重量%以上、5重量%以下の範囲で含まれることが好ましい。これによって表面性の優れた感光体8b,8dが得られる。
【0082】このような感光層4a,4bの上には、最表面層として、たとえば熱可塑性あるいは熱硬化性ポリマを主体とするオーバコート層を設けてもよい。特に、ジメチルポリシロキサンと結着樹脂とを含有し、ジメチルポリシロキサンと結着樹脂との重量比が、ジメチルポリシロキサン/結着樹脂で0.001/100以上、5/100以下の範囲である表面層を設けることが好ましい。
【0083】ここで、オキソチタニルフタロシアニン化合物の結晶型に関して説明する。既知の結晶型の中で、比較的感度特性のよい結晶型として、Y型とM−α型とがある。なお、他にI型とM型とがあるが、これらは電子写真学会誌第32巻、第3号、282頁に記載のとおり、M−α型を処理して得られた結晶であり、M型と結晶系や特性が類似しているので、M−α型に含めることとする。
【0084】しかし、本発明の新規の結晶型はこのどちらとも一致しないばかりか、さらに良好な特性を示す。すなわち、本発明の結晶型はM−α型とは主ピーク位置が異なり、具体的にはM−α型がブラッグ角(2θ±0.2°)7.2°、14.2°、24.0°および27.1°であるのに対して、本発明の結晶型は7.3°、9.4°、9.6°、11.6°、13.3°、17.9°、24.1°および27.2°であり、全く別の結晶系であることは明白である。
【0085】また、Y型の主ピークは9.6°、11.7°、15.0°、24.1°および27.1°であり、本発明の結晶型とピーク位置は似ているが、2つのスペクトルはその相対強度の関係が大きく異なっている。すなわち、ブラッグ角(2θ±0.2°)で、本発明の最大ピーク位置は9.4°と9.7°の重なったピーク束であるのに対して、Y型の最大ピーク位置は27.3°である。ちなみに、M−α型は27.3°である。相対強度は結晶型によって決定されるものであるので、ピーク強度が著しく相違している2つのスペクトルは双方の結晶系が異なることが原因に他ならない。
【0086】さらに、Y型では特開平7−271073号公報の図1にあるとおり、ブラッグ角18°付近と24°付近に2つの明瞭なピークが見られるスペクトルであることに対して、本発明の結晶型ではブラッグ角(2θ±0.2°)17.9°、24.1°には1つのピークしか見られない点でも大きく異なっている。また、光感度特性、繰返し使用特性および溶剤安定性において本発明の結晶型のオキソチタニルフタロシアニンの方が優っている。
【0087】またさらに、特開平8−209023号公報にブラッグ角(2θ±0.2°)9.6°に最大ピークを持つオキソチタニルフタロシアニンが記載されているが、これは電子写真学会誌第32巻、第3号、282頁に報告のない新規の結晶型である。本発明の出願人はどのような合成法でもこの結晶型を製造することができず、我々の結晶型と光感度特性等の特性の比較はできなかったが、該結晶型の主要ピークがブラッグ角(2θ±0.2°)7.22°、9.60°、11.60°、13.40°、14.88°、18.34°、23.62°、24.14°および27.32°であるという記述に対し、本発明の結晶型では18.34°±0.2°と23.62°±0.2°にはピークは存在しない。したがって該公報に記載の結晶型とも本発明の結晶型は異なる。
【0088】上記のようにして本発明の感光体8a〜8dが得られる。本発明において用いられる結晶型のオキソチタニルフタロシアニン化合物は、長波長域でも大きな感度を示すので、長波長域の光、特に半導体レーザおよびLEDに最適な感光波長域を有する感光体8a〜8dを得ることができる。また、本発明の結晶型オキソチタニルフタロシアニン化合物は結晶型が安定であり、溶剤や熱に対する結晶安定性に優れ、感光体としての光感度特性および繰返し使用特性に優れるという特徴を有する。これらの特徴は、上述した本発明の結晶型オキソチタニルフタロシアニン化合物の製造方法や性質のみならず、感光体の製造やその使用上においても大きな長所になるものである。
【0089】以下、実施例によって本発明の感光体をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0090】(製造例1)o−フタロジニトリル40g、4塩化チタン18gおよびα−クロロナフタレン500mlを、窒素雰囲気下200〜250℃で3時間加熱撹拌し反応させ、100〜130℃まで放冷後、熱時濾過し、100℃に加熱したα−クロロナフタレン200mlで洗浄してジクロロチタニウムフタロシアニン粗生成物を得た。この粗生成物を室温にてα−クロロナフタレン200ml、次いでメタノール200mlで洗浄後、さらにメタノール500ml中で1時間熱懸洗を行った。濾過後、得られた粗生成物を水500ml中で、pHが6〜7になるまで熱懸洗を繰返した後、乾燥してオキソチタニルフタロシアニン中間結晶を得た。
【0091】この結晶は、図8に示されるようなX線回折スペクトルを示す。すなわち、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に最大回折ピークを示し、かつ7.4°、9.7°および27.3°に回折ピークを有する特開平2−8256号公報や特開平7−271073号公報に記載のY型と呼ばれる結晶型オキソチタニルフタロシアニンであることが判る。
【0092】この結晶1.0gをメチルエチルケトン30gと混合し、ペイントコンディショナ装置(レッドレベル社製)によって直径2mmのガラスビーズとともにミリング処理し、メタノールで洗浄した後、乾燥して本発明の結晶を得た。
【0093】この結晶は、図5に示されるようなX線回折スペクトルを示す。すなわち、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.4°と9.7°との重なったピーク束に最大回折ピークを示し、かつ7.3°、9.4°、9.6°、11.6°、13.3°、17.9°、24.1°および27.2°に回折ピークを有する本発明の結晶型のオキソチタニルフタロシアニンであることが判る。なお、X線回折の測定は以下の条件で測定した。以下同様である。
【0094】
X線源 CuKα=1.54050Å電圧 40kV電流 50mAスタート角度 5.0deg.
ストップ角度 30.0deg.
ステップ角度 0.02deg.
測定時間 0.5deg./sec測定方法 θ/2θ スキャン方法【0095】(製造例2)製造例1の中間で得られたオキソチタニルフタロシアニン中間結晶1.0gとポリブチラール(積水化学工業社製エスレックBL−1)0.6gとをメチルエチルケトン40gに混合し、ビーズミル装置によって直径2mmのガラスビーズとともにミリング処理し、本発明の結晶を得た。
【0096】この結晶は、図6に示されるようなX線回折スペクトルを示す。すなわち、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.4°と9.7°との重なったピーク束に最大回折ピークを示し、かつ7.3°、9.4°、9.6°、11.6°、13.3°、17.9°、24.1°および27.2°に回折ピークを有し、さらに14.1°から14.9°において、強度の同程度の回折ピークを複数本有することで台形状を示すピーク分離困難なピークの集合体を示している本発明の結晶型のオキソチタニルフタロシアニンであることが判る。
【0097】(製造例3)製造例1の中間で得られたオキソチタニルフタロシアニン中間結晶とポリブチラール(積水化学工業社製エスレックBL−1)と塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(積水化学工業社製エスレックM−1)とをメチルエチルケトンに混合し、ペイントコンディショナ装置によって直径2mmのガラスビーズとともにミリング処理し、本発明の結晶を得た。
【0098】この結晶は、図7に示されるようなX線回折スペクトルを示す。すなわち、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.4°と9.7°との重なったピーク束に最大回折ピークを示し、かつ7.3°、9.4°、9.6°、11.6°、13.3°、17.9°、24.1°および27.2°に回折ピークを有し、さらに14.1°から14.9°において、強度の同程度の回折ピークを複数本有することで台形状を示すピーク分離困難なピークの集合体を示し、またさらに9.0°位置に9.4°と9.7°の重なったピーク束の半分程度の強度のピークが、該ピーク束のショルダーピークとして存在している本発明の結晶型のオキソチタニルフタロシアニンであることが判る。
【0099】(製造例4)例示化合物No1に示したヒドラゾン化合物を製造した。5−(2*,2*−ジフェニルビニル)−2−アセチルベンゾ[b]フラン1.0g(1.0当量)をエタノール6mlに溶解して、N−フェニル−N−メチルヒドラジン0.43g(1.2当量)、触媒として酢酸0.05mlを室温にて加え、その後、60〜70℃に保ち5時間、加熱撹拌する。反応の終了を薄膜クロマトグラフィ(T.L.C)にて確認した後、放冷し、生じた固形物を濾別し、エタノールで洗浄する。この固形物をエタノールより再結晶を行うことによって目的とするヒドラゾン化合物(例示化合物No1)が1.23g黄色結晶として得られた(収率934.1%)。
【0100】このようにして得られたヒドラゾン化合物(例示化合物No1)の構造確認は、1H−NMR、通常13C−NMRおよびDEPT13513C−NMRを測定することによって行った。1H−NMRの測定結果を図9に示し、通常13C−NMRの測定結果を図10に示し、DEPT13513C−NMRの測定結果を図11に示す。これらのNMRシグナルは、目的とするヒドラゾン化合物(例示化合物No1)の構造をよく支持している。
【0101】(実施例1)アルミニウムを蒸着したポリエステルフィルムを導電性基体1として、この導電性基体1の上に、酸化チタン2.1gと共重合ナイロン(東レ社製CM8000)3.9gとをメチルアルコール32.9gとジクロロエタン61.1gとの混合溶剤に溶解した塗布液を塗布し、乾燥して、膜厚1μmの中間層7を形成した。
【0102】製造例1において得られた本発明の結晶型オキソチタニルフタロシアニン1重量部と、ポリブチラール(積水化学工業社製エスレックBL−1)1重量部とをメチルエチルケトン70重量部に混合し、ペイントコンディショナ装置(レッドレベル社製)によって直径2mmのガラスビーズとともに分散処理し、得られた塗布液を中間層7の上に塗布し、乾燥して、膜厚0.4μmの電荷発生層5を形成した。
【0103】電荷輸送物質3としての本発明の例示化合物No1で示されるベンゾフラン−ヒドラゾン化合物10重量部、結着樹脂10としてのポリカーボネート(II−1)8重量部、ポリエステル(III)2重量部、酸化防止物質としてのα−トコフェロール0.2重量部、およびレベリング剤としてのポリジメチルシロキサン0.0002重量部を混合し、テトラヒドロフランを溶剤として15wt%の溶液を作り、電荷発生層5の上に塗布し、乾燥膜厚20μmの電荷輸送層6を形成した。
【0104】以上のようにして、中間層7、電荷発生層5および電荷輸送層6から構成される中間層を有する積層型の電子写真感光体試料1を得た。
【0105】(実施例2)アルミニウムを蒸着したポリエステルフィルムを導電性基体1として、この導電性基体1の上に直接、実施例1の分散処理によって得られた塗布液を塗布し、乾燥して、膜厚0.4μmの電荷発生層5を形成した。形成した電荷発生層5の上に本発明の例示化合物No3で示されるベンゾフラン−ヒドラゾン化合物10重量部、結着樹脂10としてのポリカーボネート(II−1)7重量部、ポリエステル(III)3重量部、酸化防止物質としての2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル−フェノール0.5重量部を混合し、テトラヒドロフランを溶剤とし15wt%の溶液を作り、電荷発生層5の上に塗布し、乾燥膜厚20μmの電荷輸送層6を形成し、中間層を持たない積層型の感光体試料2を得た。
【0106】(実施例3)電荷発生層5の結着樹脂9として塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(積水化学工業社製エスレックM−1)を用い、電荷輸送物質3としての本発明の例示化合物No5で示されるベンゾフラン−ヒドラゾン化合物10重量部、結着樹脂10としてのポリカーボネート(II−1)9重量部、ポリエステル(III)1重量部、酸化防止物質としてのα−トコフェロール0.2重量部、およびレベリング剤としてのポリジメチルシロキサン0.0002重量部を混合し、テトラヒドロフランを溶剤とし15wt%の塗布液を作り、電荷発生層5の上に塗布し、乾燥膜厚20μmの電荷輸送層6を作成し、中間層を持たない機能分離型の感光体試料3を得た。
【0107】(実施例4)アルミニウムを蒸着したポリエステルフィルムを導電性基体1として、この導電性基体1の上に酸化チタンと共重合ナイロン(東レ社製CM8000)とを、メチルアルコールとジクロロエタンとの混合溶剤に溶解した塗布液を塗布し、乾燥して、膜厚1μmの中間層7を形成した。
【0108】製造例2において得られた本発明の結晶型オキソチタニルフタロシアニンを含む塗布液を中間層7の上に塗布し、乾燥して、膜厚0.4μmの電荷発生層5を形成した。
【0109】次に本発明の例示化合物No1で示されるベンゾフラン−ヒドラゾン化合物を10重量部、結着樹脂10としてのポリカーボネート(II−1)8重量部、ポリエステル(III)2重量部、酸化防止物質としての2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル−フェノール0.5重量部およびレベリング剤としてのポリジメチルシロキサン0.0002重量部を混合し、テトラヒドロフランを溶剤とし15wt%の溶液を作り、上記電荷発生層5の上に塗布し、乾燥膜厚25μmの電荷輸送層6を形成した。
【0110】以上のようにして、中間層7、電荷発生層5および電荷輸送層6から構成される積層型の感光体試料4を得た。
【0111】(実施例5)電荷輸送物質3に本発明の例示化合物No18で示されるベンゾフラン−ヒドラゾン化合物を用い、実施例4と同様な積層型の感光体試料5を得た。
【0112】(実施例6)アルミニウムを蒸着したポリエステルフィルムを導電性基体1として、この導電性基体1の上に酸化チタンと共重合ナイロン(東レ社製CM8000)とを、メチルアルコールとジクロロエタンとの混合溶剤に溶解した塗布液を塗布し、乾燥して、膜厚1μmの中間層7を形成した。
【0113】製造例3において得られた本発明の結晶型オキソチタニルフタロシアニンを含む塗布液を中間層7の上に塗布し、乾燥して、膜厚0.4μmの電荷発生層5を形成した。
【0114】次に本発明の例示化合物No1で示されるベンゾフラン−ヒドラゾン化合物10重量部、結着樹脂10としてのポリカーボネート(II−1)8重量部、ポリエステル(III)2重量部、酸化防止物質としての2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル−フェノール0.5重量部、およびレベリング剤としてのポリジメチルシロキサン0.0002重量部を混合し、テトラヒドロフランを溶剤とし15wt%の溶液を作り、上記電荷発生層5の上に塗布し、乾燥膜厚25μmの電荷輸送層6を作成した。
【0115】以上のようにして、中間層7、電荷発生層5および電荷輸送層6から構成される積層型の感光体試料6を得た。
【0116】(実施例7)電荷輸送物質3に本発明の例示化合物No20で示されるベンゾフラン−ヒドラゾン化合物を用い、実施例6と同様な積層型の感光体試料7を得た。
【0117】(実施例8)アルミニウムを蒸着したポリエステルフィルムを導電性基体1として、この導電性基体1の上に酸化チタンと共重合ナイロン(東レ社製CM8000)とを、メチルアルコールとジクロロエタンとの混合溶剤に溶解した塗布液を塗布し、乾燥して、膜厚1μmの中間層7を形成した。
【0118】製造例1において得られた本発明の結晶型オキソチタニルフタロシアニン1重量部、例示化合物No7で示されるベンゾフラン−ヒドラゾン化合物10重量部、結着樹脂10としてのポリカーボネート(II−1)8重量部、ポリエステル(III)2重量部、および酸化防止物質として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル−フェノール0.5重量部を混合し、テトラヒドロフランを溶剤とし15重量%の溶液を作り、ペイントコンディショナ装置(レッドレベル社製)によって直径2mmのガラスビーズとともに分散した。この分散で得られた塗布液を中間層7の上に塗布し、乾燥膜厚25μmの感光層4bを作製した。
【0119】以上のようにして、電荷輸送層に電荷発生物質を分散した単層型の感光体試料8を得た。
【0120】(実施例9)電荷発生層5にα−トコフェロールを加えないこと以外は、実施例1と同様にして積層型の感光体試料9を得た。
【0121】(実施例10)電荷発生層5に2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル−フェノールを加えないこと以外は、実施例2と同様にして積層型の感光体試料10を得た。
【0122】(実施例11)電荷発生層5にポリジメチルシロキサンを加えないこと以外は、実施例1と同様にして積層型の感光体試料11を作成したが、感光体表面に凹凸が生じ、均一な塗膜が得られなかった。
【0123】(実施例12)電荷発生層5の結着樹脂としてビスフェノールAをモノマー成分とするポリカーボネート樹脂を用いる以外は、実施例1と同様にして積層型の感光体試料12を得た。
【0124】(実施例13)2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル−フェノールを加えないこと以外は、実施例8と同様にして単層型の感光体試料13を得た。
【0125】(比較例1)製造例1の中間において得られた図8のX線回折パターンを持つオキソチタニルフタロシアニンの結晶を用いて、実施例1と同様な積層型の感光体試料14を得た。
【0126】(比較例2)製造例1の中間において得られた図8のX線回折パターンを持つオキソチタニルフタロシアニンの結晶を用いて、実施例2と同様な積層型の感光体試料15を得た。
【0127】(比較例3)電荷輸送物質3として、従来から知られている電荷輸送物質である4−(ジエチルアミノ)−ベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン化合物を用いる以外は、実施例1と同様にして積層型の感光体試料16を得た。
【0128】(比較例4)電荷発生物質2として製造例1の中間において得られた図8のX線回折パターンを持つオキソチタニルフタロシアニンの結晶を用いる以外は、実施例8と同様にして単層型の感光試料17を得た。
【0129】(比較例5)電荷輸送物質3として従来から知られている電荷輸送物質である4−(ジエチルアミノ)−ベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン化合物を用いる以外は、実施例8と同様にして単層型の感光体試料18を得た。
【0130】(比較例6)電荷発生物質2として製造例1の中間において得られた図8のX線回折パターンを持つオキソチタニルフタロシアニンの結晶を用い、電荷輸送物質3として従来から知られている電荷輸送物質である4−(ジエチルアミノ)−ベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン化合物を用い、電荷発生層5にα−トコフェロールを加えず、これ以外は実施例2と同様にして積層型の感光体試料19を得た。
【0131】(比較例7)電荷発生物質2として製造例1の中間において得られた図8のX線回折パターンを持つオキソチタニルフタロシアニンの結晶を用い、電荷輸送物質3として従来から知られている電荷輸送物質である4−(ジエチルアミノ)−ベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン化合物を用い、これ以外は実施例11と同様にして積層型の感光体試料20を得たが、感光体表面に凹凸が生じ、均一な塗膜は得られなかった。
【0132】(比較例8)電荷発生物質2として製造例1の中間において得られた図8のX線回折パターンを持つオキソチタニルフタロシアニンの結晶を用い、電荷輸送物質3として従来から知られている電荷輸送物質である4−(ジエチルアミノ)−ベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン化合物を用い、ポリカーボネート(II−1)を6重量部とし、ポリエステル(III)を4重量部とし、酸化防止物質は何も加えず、レベリング剤も何も加えず、これ以外は実施例1と同様にして積層型の感光体試料21を得た。以上の実施例で作成した試料1〜21を表6に示す。
【0133】
【表6】

【0134】(評価)このようにして作製した電子写真感光体は、静電記録紙試験装置(川口電機社製;EPA−8200)によって電子写真特性を評価した。測定条件は、加電圧:−6kV、スタティック:No.3であり、干渉フィルタで分光した780nmの単色光(照射光:2μW/cm2)による−500V〜−250Vに減衰させるに要する露光量E1/2(μJ/cm2)および初期電位V0(−ボルト)を測定した。また単層型電子写真感光体も同じであり、干渉フィルタで分光した780nmの単色光(照射光:10μW/cm2)による+500V〜+250Vに減衰させるに要する露光量E1/2(μJ/cm2)および初期電位V0(+ボルト)を測定した。
【0135】また、市販のデジタル複写機(シャープ社製AR5130)を改造し、ドラム部に表1の感光体を使用し、トナーを消費することなく露光だけを行う連続空実写(Non Copy Aging)を3万回行い、その前後において、帯電電位ならびに前記静電記録紙試験装置を用い、E1/2の測定を行った。さらに、高温高湿度環境下(35℃、85%)での連続空コピー(Non Copy Aging)を3万回行い、その前後において、残留電位の測定を行った。
【0136】さらに、感光体膜厚の減少具合をスガ試験機社製摩耗試験機を用いて評価した。測定条件は、研磨材=酸化アルミニウム#2000、荷重200g・f、摩擦回数=10000回で行った。これらの結果を表7に示す。また、感光体表面の膜の均一さを目視によって観察した結果を表8に示す。
【0137】
【表7】

【0138】
【表8】

【0139】表7に示すように、実施例1〜8までは、どの試料も帯電電位の耐久試験(3万回)後の電位劣化は、従来の試料である比較例1,2と比べて、充分小さく、かつ初期感度(半減露光量)においても充分高いうえに、耐久試験後でも感度劣化が小さいという特徴が判る。さらに、高温高湿度下での耐久試験(3万回)後の残留電位上昇は、従来の試料と比べて、充分小さいという特徴も判る。
【0140】また、表8に示すように、レベリング剤としてポリジメチルシロキサンを加えないものは、表面全体に柚子肌状の欠陥が全てにおいて発生していることが判る。
【0141】以上のように本形態によれば、特定のX線回折スペクトルを示す結晶型オキソチタニルフタロシアニン化合物を電荷発生物質2とし、特定の構造を有するベンゾフラン−ヒドラゾン化合物を電荷輸送物質3として用いることによって、長波長域での感度が著しく高く、かつ高耐久性の電子写真感光体を提供することができる。したがって、本発明の電子写真感光体は昨今開発の進展が著しい半導体レーザ光を光源としたレーザプリンタやデジタル複写機等の感光体として好適に用いることができる。
【0142】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、導電性基体上の感光層中に、電荷発生物質としてX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.4°、9.6°、11.6°、13.3°、17.9°、24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうち9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが第2の最大ピークを示す結晶型オキソチタニルフタロシアニン化合物を含有し、電荷輸送物質として一般式(I)で表されるベンゾフラン−ヒドラゾン化合物を含有したので、半導体レーザ用の近赤外光に対して高い感度を有し、また電気特性に優れ、繰返し使用しても感度の低下がほとんど起こらず、帯電電位が安定で、さらに耐摩耗性に優れた感光体を提供することができる。
【0143】また本発明によれば、積層型(機能分離型)の感光体において、電荷発生層に電荷発生物質として上記X線回折スペクトルを示す結晶型オキソチタニルフタロシアニン化合物を含有し、電荷輸送層に電荷輸送物質として一般式(I)で表されるベンゾフラン−ヒドラゾン化合物を含有したので、上述したような効果が得られる積層型の感光体を提供することができる。
【0144】また本発明によれば、単層型(分散型)の感光体において、感光層に電荷発生物質として上記X線回折スペクトルを示す結晶型オキソチタニルフタロシアニン化合物を含有し、また電荷輸送物質として一般式(I)で表されるベンゾフラン−ヒドラゾン化合物を含有したので、上述したような効果が得られる単層型の感光体を提供することができる。
【0145】また本発明によれば、電荷輸送層中に結着樹脂としてビニル化合物の重合体もしくはその共重合体、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂またはエポキシ樹脂を含有することが好ましい。
【0146】また本発明によれば、前記結着樹脂として一般式(II)で表される少なくとも1種のポリカーボネートを含有することが好ましい。
【0147】また本発明によれば、前記結着樹脂として一般式(III)で表される少なくとも1種のポリエステルを含有し、ポリエステルの結着樹脂全体に占める割合を5重量%以上、50重量%以下の範囲とすることが好ましい。
【0148】また本発明によれば、結着樹脂として、一般式(II)で表される少なくとも1種のポリカーボネートと、一般式(III)で表される少なくとも1種のポリエステルとを含有し、ポリエステルの結着樹脂全体に占める割合を5重量%以上、50重量%以下の範囲とし、ポリカーボネートとポリエステルとの重量比をポリカーボネート/ポリエステルで9/1〜7/3の範囲とすることが好ましい。
【0149】また本発明によれば、感光層中に酸化防止物質としてα−トコフェロールを含有し、酸化防止物質と電荷輸送物質との重量比を酸化防止物質/電荷輸送物質で0.1/100以上、5/100以下の範囲としたので、感光層の酸化を防止することができる。
【0150】また本発明によれば、感光層中に酸化防止物質として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル−フェノールを含有し、酸化防止物質と電荷輸送物質との重量比を酸化防止物質/電荷輸送物質で0.1/100以上、10/100以下の範囲としたので感光層の酸化を防止することができる。
【0151】また本発明によれば、感光層上に、ジメチルポリシロキサンと結着樹脂とを含有し、ジメチルポリシロキサンと結着樹脂との重量比をジメチルポリシロキサン/結着樹脂で0.001/100以上、5/100以下の範囲とした表面層を設けたので、感光層の表面を保護することができる。
【出願人】 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【出願日】 平成12年4月26日(2000.4.26)
【代理人】 【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
【公開番号】 特開2001−305765(P2001−305765A)
【公開日】 平成13年11月2日(2001.11.2)
【出願番号】 特願2000−126496(P2000−126496)