| 【発明の名称】 |
電子写真用感光体及びこれを用いた電子写真装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】岩崎 真宏
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| 【要約】 |
【課題】材料選択の自由度の増加及び光感度の更なる向上を可能とし、且つより高いS字性をほぼ確実に得ることができる電子写真用感光体及びこれを用いた電子写真装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、導電性支持体1上に、電荷発生層2及び不均一電荷輸送層3を有する電子写真用感光体において、不均一電荷輸送層3は、結着樹脂と、結着樹脂中に分散され有機低分子電荷輸送材料を含む電荷輸送性ドメインとを含有し、有機低分子電荷輸送材料が下記一般式【化1】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 導電性支持体上に、電荷発生層及び不均一電荷輸送層を有する電子写真用感光体において、前記不均一電荷輸送層は、結着樹脂と、前記結着樹脂中に分散され有機低分子電荷輸送材料を含む電荷輸送性ドメインとを含有し、前記有機低分子電荷輸送材料が下記一般式(1)で表されるジアミン誘導体であることを特徴とする電子写真用感光体。 【化1】
[式中、X1 〜X4 は、互いに独立に、置換又は未置換のアリール基を示す。]【請求項2】 前記導電性支持体上に更に均一電荷輸送層を有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真用感光体。 【請求項3】 前記不均一電荷輸送層の前記結着樹脂が非晶質脂肪族ポリオレフィンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真用感光体。 【請求項4】 前記不均一電荷輸送層において、前記結着樹脂が1013Ωcm以上の体積抵抗率を有し、前記電荷輸送性ドメインが0.005〜5μmの平均粒子径を有し、且つ前記結着樹脂中に体積率20〜60%で分散されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真用感光体。 【請求項5】 前記導電性支持体上に、前記電荷発生層、前記不均一電荷輸送層および前記均一電荷輸送層が順次積層されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の電子写真用感光体。 【請求項6】 50%電位減衰に要する露光量が10%電位減衰に要する露光量の3倍未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真用感光体。 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子写真用感光体と、デジタル処理された画像信号に基づき前記電子写真用感光体を露光する露光光源と、を備えることを特徴とする電子写真装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、導電性支持体、電荷発生層及び電荷輸送層を備える電子写真用感光体及びこれを用いた電子写真装置に係り、特にデジタル電子写真法に好適な電子写真用感光体及び電子写真装置に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、電子写真技術は、高速、高印字品質が得られる等の利点を有するために、複写機、プリンター、ファクシミリ等の分野において、中心的役割を果たしている。 【0003】電子写真技術において用いられる電子写真用感光体としては、従来からセレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金等の無機光導電性材料を用いたものが広く知られている。一方、これらの無機系感光体に比べ、コスト、製造性、廃棄性等の点で優れた利点を有する有機光導電性材料を用いた電子写真用感光体の研究も活発化し、現在では無機系感光体を凌駕するに至っている。特に、光電導の素過程である光電荷発生と電荷輸送をそれぞれ別々の層に担わせる機能分離型積層構成のものが開発されたことにより、材料選択の自由度が増し、著しい性能の向上を遂げ、現在ではこの機能分離積層型の有機感光体が電子写真用感光体の主流となっている。機能分離積層型有機感光体用の電荷発生層としては、キノン系顔料、ぺリレン系顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、セレン等の電荷発生能を有する顔料を蒸着等により直接成膜したもの、あるいは高濃度で結着樹脂中に分散したものが実用されている。一方、電荷輸送層としては、ヒドラゾン系化合物、ベンジジン系化合物、アミン系化合物、スチルベン系化合物等の電荷輸送能を有する低分子化合物を絶縁性樹脂中に分子分散したものが広く用いられている。 【0004】ところで、従来の光学的に原稿を感光体上に結像させて露光するアナログ方式の電子写真式複写機に用いる感光体としては、濃度階調による中間調の再現性を良好にするために、図7に示すような光誘起電位減衰特性を持つ感光体、すなわち、露光量に対し比例的に電位減衰を起こす感光体(以下、「J字型感光体」という。)が要求される。上記の無機系感光体、機能分離型の積層有機感光体は全てこの範疇に入る光誘起電位減衰特性を示す。 【0005】しかしながら、近年の高画質化、高付加価値化、ネットワーク化等の要請に伴い盛んに研究開発が行われているデジタル方式の電子写真装置では、一般にドット等の面積率で階調を出す面積階調方式を採用するため、むしろ図8に示すような、ある露光量に達するまでは電位減衰せず、その露光量を越えると急峻な電位減衰が起こる、いわゆるS字形の光誘起電位減衰特性を有する感光体(以下、「S字型感光体」という。)を使用する方が、画素の鮮鋭度が高められる等の点から望ましい。 【0006】S字型光誘起電位減衰特性は、ZnO等の無機顔料あるいはフタロシアニン等の有機顔料を樹脂中に粒子分散した単層型の感光体において公知の現象である{例えば、R.M.Schaffert:「Electrophotography」,Focal Press,p.344(1975)、J.W.Weigl,J.Mammino,G.L.Whittaker,R.W.Radler,J.F.Byrne:「Current Problems in Electrophotography」, Walter de Gruyter,p.287 (1972)}。特に、現在多用されている半導体レーザーの発振波長である近赤外域に光感度を有するフタロシアニン系顔料を樹脂中に分散したレーザ−露光用単層感光体が多数提案されている{例えば、グエン・チャン・ケー,相沢:日本化学会誌,p.393(1986)、特開平1−169454号公報、同2−207258号公報、同3−31847号公報、同5−313387号公報}。しかしながら、これらの単層型感光体では単一材料で電荷発生と電荷輸送の両機能を担う必要があるものの、両機能共に優れた性能を有する材料は稀有であり、実用に耐え得るものは未だ得られていない。特に顔料粒子は、一般的に多くのトラップレベルを有するため、電荷輸送能が低かったり、電荷が残留する等の欠点があり、電荷輸送を担わせるには不適当である。唯一の例外的な実用例はZnO樹脂分散単層感光体であり、この感光体はオフセット印刷用マスター版として活用されている{例えば、河村:「電子写真技術の基礎と応用」,電子写真学会編,コロナ社,p.424(1988)}。しかしながら、これも電子写真特性における高速性、耐久性に対する要求の低いマスター版として用いた故の成功例であり、本発明の利用分野である複写機、プリンター等に用いる感光体としては実用に耐えるレベルにはない。これらの観点から、S字型感光体においても、材料選択の自由度を上げるため、ひいては総合的な感光体特性を向上させるために、機能分離の導入が望まれる。 【0007】そこで、D.M.Pai等は、特開平6−83077号公報(米国特許第5306586号明細書)に開示されるように、電荷発生層と電荷輸送層からなる積層型感光体において、電荷輸送層として、少なくとも2つの電荷輸送領域および1つの電気的不活性領域を含み、該電荷輸送領域が互いに接触して回旋状電荷輸送路を形成してなる不均一電荷輸送層を用いることにより、任意の電荷発生層との組合せでS字型光誘起電位減衰特性が実現できることを開示している。同公報には、光誘起電位減衰特性をS字形にする機能(以下「S字性」という)を担う不均一電荷輸送層の具体例として、ポリビニルカルバゾール−ドデシルメタクリレート相分離系ブロック共重合体が開示されている。 【0008】また、本発明者等は、特開平9−96914号公報に記載されるように、電荷発生層、不均一電荷輸送層、及び均一電荷輸送層から成る3層構成の感光体がS字型光誘起電位減衰特性を示すことを発明し、上記D.M.Pai等の発明よりもさらに機能分離度の向上を図っている。この発明においては、S字性を担う不均一電荷輸送層として、フタロシアニン顔料の樹脂分散膜、六方晶セレンの樹脂分散膜等が例示されている。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】ところで、前述した「S字性」の尺度には、例えば、帯電電位を50%減衰させるのに要する露光量E50%と10%減衰させるのに要する露光量E10%との比E50%/E10%を用いることができ、S字形の究極である、ある露光量までは全く電位減衰せず、その露光量で一気に残留電位レベルまで電位減衰する階段状の光誘起電位減衰曲線では、E50%/E10%値は1となる。したがって、「S字性」は、E50%/E10%値が1以上5未満の値を示すものとして規定されるが、E50%/E10%値が1に近いほどS字性が高く、5に近いほどS字性が低いということになる。 【0010】そして、S字型感光体には、電荷発生層等の材料選択の自由度の増加、及び露光波長に対する十分な光感度が求められており、特にデジタル式の電子写真装置に用いるS字型感光体には、より高いS字性が要求されている。 【0011】しかしながら、前述した従来の公報(特開平6−83077号公報及び特開平9−96914号公報)に記載のS字型感光体は、電荷輸送層を表面側とした構成を採った場合、その層を介して電荷発生層を露光するので、不均一電荷輸送層に吸収のない波長域に光感度を有する材料を電荷発生層として用いる必要がある。また、該波長域内のみの露光を行う露光光源を用いなければならない等の制約がある。これは、不均一電荷輸送層での光吸収及び電荷発生は、実効の光感度、及びS字化能力を低下させる傾向があるからである。更に、上記公報に記載のS字型感光体においては、S字型の光誘起電位減衰特性が得られなかったり、S字型の光誘起電位減衰特性が得られたとしてもそのS字性が十分高いとは言えない場合があった。 【0012】そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、導電性支持体上に積層する電荷発生層、及び不均一電荷輸送層の順序に関係なく、材料選択の自由度の増加及び光感度の更なる向上を可能とし且つより高いS字性をほぼ確実に得ることができる電子写真用感光体及びこれを用いた電子写真装置を提供することを目的とする。 【0013】 【課題を解決するための手段】前述したS字型光誘起電位減衰特性発現の機構に関しては、トラップ説{例えば、北村,小門:電子写真学会誌,Vol.20,p.60(1982)}、D.M.Paiらが上記の米国特許(又は公開公報)で唱えている回旋状電導説等幾つかの提案はあるものの、未だ確立された説はない。しかしながら、これまでにS字型感光体として報告されている上記の顔料樹脂分散単層感光体や、D.M.Pai等が開示した、電荷発生層および不均一電荷輸送層からなる積層感光体、更には、本発明者等が提案した、電荷発生層、不均一電荷輸送層および均一電荷輸送層からなる積層感光体においては、少なくとも電荷発生直後の電荷輸送路が電気的不活性マトリックス中に電荷輸送性ドメインが分散されてなる、不均一な構造を有するものであるという共通点を認めることができる。 【0014】そこで、本発明者等は、機能分離が導入された、電荷発生層、不均一電荷輸送層および均一電荷輸送層から成る3層構成感光体、ならびに電荷発生層および不均一電荷輸送層から成る2層構成感光体に関して鋭意検討を重ねた結果、S字化のための不均一電荷輸送層として特定の有機低分子電荷輸送性材料を結着樹脂中に粒子状態にて分散させて成る層がS字化のための不均一電荷輸送層として有効に機能することを見出し、本発明を完成するに至った。 【0015】すなわち、本発明の電子写真用感光体は、導電性支持体上に、電荷発生層及び不均一電荷輸送層を有する電子写真用感光体において、不均一電荷輸送層は、結着樹脂と、前記結着樹脂中に分散され有機低分子電荷輸送材料を含む電荷輸送性ドメインとを含有し、有機低分子電荷輸送材料が下記一般式(1)で表されるジアミン誘導体であることを特徴とする。 【化2】
[式中、X1 〜X4 は、互いに独立に、置換又は未置換のアリール基を示す。]上記一般式(1)で表されるジアミン誘導体は、露光光源から通常発せられる赤外光及び可視光に対する透過性に優れている。そのため、本発明の電子写真用感光体において、不均一電荷輸送層側から電荷発生層に露光する場合でも、不均一電荷輸送層における光の吸収が十分に防止される。従って、導電性支持体上に積層される電荷発生層、不均一電荷輸送層の順序に関係なく電荷発生層が十分に露光され、光感度がより向上する。また、本発明の電子写真用感光体によれば、不均一電荷輸送層が赤外光及び可視光の波長域での透過性に優れるため、露光光源の種類が制限されることがない。また電荷発生層を構成する材料が、特定の露光波長域にのみ光感度を有する材料に限定されることもないため、電荷発生層についての材料選択の自由度が増加する。更に、本発明の電子写真用感光体によれば、不均一電荷輸送層において赤外光及び可視光の吸収、及び電荷の発生が十分に防止されるため、セレンやフタロシアニン系化合物等の顔料を低分子電荷輸送性材料として用いる場合に比べ、より高いS字性をほぼ確実に得ることが可能となる。 【0016】本発明の電子写真用感光体は、導電性支持体上に更に均一電荷輸送層を有していてもよい。 【0017】更に、本発明の電子写真装置は、上記電子写真用感光体と、デジタル処理された画像信号に基づき電子写真用感光体を露光する露光光源とを備えることを特徴とする。 【0018】この電子写真装置によれば、デジタル処理された画像信号に基づき露光光源により電子写真用感光体が露光される場合に、電子写真用感光体においてより高い画素の鮮鋭度をほぼ確実に得ることができ、文字品質及び画質に優れた印字画像が得られる。また、上記電子写真用感光体の露光に使用する露光光源の種類が制限されないので、本発明の電子写真装置によれば、露光光源の選択の自由度も高まる。 【0019】なお、本発明の電子写真用感光体は、光誘起電位減衰曲線のS字化をもたらすが、そのS字性の尺度には、前述したようにE50%/E10%値が用いられる。理想的なJ字型感光体で電位減衰が露光量に比例している場合、E50%/E10%値は5となる。一般的なJ字型感光体では、電界強度の低下に伴い、電荷発生効率および/または電荷輸送能が低下し、E50%/E10%は5を越える値を示す。一方、S字形の究極である、ある露光量までは全く電位減衰せず、その露光量で一気に残留電位レベルまで電位減衰する階段状の光誘起電位減衰曲線では、E50%/E10%値は1となる。したがって、S字形とはE50%/E10%値が1以上5未満の値を示すものとして規定されるが、好ましいデジタル特性を発揮するには、E50%/E10%値が3未満の値であることが好ましい。より好ましくは2未満の値である。本発明の電子写真用感光体は、このような好ましい値を取りうる。 【0020】本発明の電子写真用感光体がなぜS字型光誘起電位減衰特性を発揮するかは必ずしも明らかではないが、S字型の電位減衰発現の鍵は、電荷輸送の途中、特に電荷輸送の初期に存在する電荷輸送に関わる不均一構造にあると考えられる。上記D.M.Paiらの特許によれば、S字型光誘起電位減衰が起こる過程は、以下のようなものであると推定されている。 【0021】まず、不均一電荷輸送層では、電気的不活性マトリックス中に分散された電荷輸送性ドメインが互いに接触し、回旋状の電荷輸送路を形成しているものと考えられている。この場合、電子写真用感光体が帯電され感光層に高電界が印加されると、露光により電荷発生層で発生した電荷は電界に沿って電荷発生層から電荷輸送層に注入され、電荷輸送性ドメイン中を電界方向に移動する。しかし、電気的不活性マトリックスの障壁に出会い、ここで電荷の移動は一旦停止する。この間の移動距離が感光層の全膜厚に対して充分小さければ、この間の電位減衰は無視できるものとなる。殆ど全ての表面電荷に相当する電荷が注入された後は、該注入電荷近傍での表面に垂直な局部的電界は無視できるほど小さくなり、一旦停止していた電荷は電界の束縛を逃れ表面に垂直な方向以外の方向に拡散することが可能となり、回旋状に連なる連結路を辿って最初に電荷が停止された所よりも深部に達する。この深部において、先程と同様に電荷は再び十分な高電界に晒され、且つ電気的不活性マトリックスの障壁に出会い、移動を停止する。しかし、前の電荷の移動で電界強度は低下しているので、より多くの電荷が回旋状電荷輸送路を通り次の絶縁性障壁にまで達する。かくして、電荷の移動はカスケード的に起こり、S字型の光誘起電位減衰となる、というのがD.M.Paiらによる説明である。 【0022】本発明の電子写真用感光体がS字型の光誘起電位減衰を呈するのも、このような現象が起きていると推定されるが、本発明の最大範囲は、理論により拘束されるべきではない。但し、上記理論が、本発明の理解と解釈とを助けるであろう。 【0023】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について更に詳細に説明する。 【0024】図1〜図4はそれぞれ、本発明の電子写真用感光体の実施形態を模式的に示す断面図である。図1においては、導電性支持体1上に光電荷発生を担う電荷発生層2が設けられ、その上にS字化のための不均一電荷輸送層(S字化電荷輸送層)3が設けられている。図2においては、不均一電荷輸送層3の上に更に均一電荷輸送層4が設けられている。本発明の電子写真用感光体としては、図1及び図2の形態が好ましく、特に、感光体の表面を負極に帯電し、負に帯電したトナーで現像する現在主流となっている電子写真装置においては、図2の形態、すなわち導電性支持体1上に電荷発生層2、不均一電荷輸送層3、均一電荷輸送層4が順次積層されている形態が好ましい。これは次の理由による。すなわち、現在主流となっている電子写真装置において、電荷発生層2を感光体の表面層として用いる場合、高解像度化やトナークリーニング性などのシステム上の不都合が生じる可能性がある。また電荷発生層2の膜厚は通常1μm程度と薄いため、短期間で感光体表面の膜減りが起こる傾向がある。そのため、電荷発生層2の表面に保護層を新たに設ける必要が生じる。これに対して、図1及び図2に示すように電荷輸送層を最表面にすると、その膜厚は通常20〜30μm程度と大きいため、約半分の膜厚になるまで長期間にわたり使用可能になる。よって、感光体の表面を負極に帯電し、負に帯電したトナーで現像する電子写真装置において、導電性支持体1上に電荷発生層2、不均一電荷輸送層3、均一電荷輸送層4が順次積層されている形態が好ましいのである。ただし、電子写真感光体は、上記図1及び図2の形態に限定されず、図3及び図4に示すような形態を採ってもよい。 【0025】図3においては、導電性支持体1上に不均一電荷輸送層3が設けられ、その上に電荷発生層2が設けられている。図4においては、導電性支持体1上に均一電荷輸送層4が設けられ、その上に不均一電荷輸送層3が設けられ、さらにその上に電荷発生層2が設けられている。 【0026】これらの電子写真用感光体は、さらに所望により下引き層、保護層および/または乱反射層等を含むことができる。 【0027】前述したように、電荷発生層で発生した電荷が不均一電荷輸送層の電気的不活性マトリックスの障害に出会い最初に一旦停止するまでの間の移動距離が感光層の全膜厚に対して充分小さければ、その間の電位減衰は無視できるものとなり、より理想的なS字型感光体となる。つまり、電荷発生層とS字化のための不均一電荷輸送層は近接している方がより良いS字性を与える。ただし、電荷の注入や電荷の発生を助ける等の目的のために電荷発生層と不均一電荷輸送層の間に中間層を設けることもできる。また、E50%/E10%値が3以上の所望とする不完全なS字性を得るために、電荷発生層と不均一電荷輸送層の間に均一電荷輸送層を挿入することも可能である。 【0028】本発明の電子写真用感光体に用いるS字化のための不均一電荷輸送層は、結着樹脂と、結着樹脂中に分散され有機低分子電荷輸送材料を含む電荷輸送性ドメインとを含有し、この有機低分子電荷輸送材料が下記一般式(1)で表されるジアミン誘導体となっている。 【化3】
[式中、X1 〜X4 は、互いに独立に、置換又は未置換のアリール基を示す。]上記一般式(1)で表されるジアミン誘導体は、赤外光及び可視光の透過性に優れており、電荷発生材料として広く用いられるSe、フタロシアニン等の感光波長域の光に対しては透明である。すなわち上記ジアミン誘導体における赤外光及び可視光の吸収が減少する。このため、不均一電荷輸送層側から電荷発生層を露光する場合であっても、電荷発生層に到達する露光量の減少が防止され、実効の光感度が向上すると共にS字性が高くなる。また、上記一般式(1)で表されるジアミン誘導体は、露光波長域である赤外光及び可視光の波長域で電荷発生能を有しないので、電荷発生層、不均一電荷輸送層、均一電荷輸送層がこの順序で積層された構成において電荷輸送層側から露光を行う場合、発生電荷が通過する不均一電荷輸送路が長くなり、E50%/E10%値が3より十分小さくなり、S字性が向上する。 【0029】このように、本発明の電子写真用感光体は、不均一電荷輸送層用の電荷輸送性材料としてSe、フタロシアニン顔料等の高い電荷発生能を有する着色顔料を用いる場合に比べて光感度が十分に向上すると共に、用い得る電荷発生層の材料選択の自由度がより向上し、露光装置等の選択に制約が生じることもなくなる。また、S字性も向上する。 【0030】更に上記一般式(1)で表されるジアミン誘導体は、電荷輸送性、化学的安定性等の点でも優れている。 【0031】上記一般式(1)の材料を構成するX1〜X4の組み合わせの具体例は表1、表2に示す通りである。但し、X1〜X4は表1、表2に示すものに限定されるものではない。 【0032】 【表1】
【0033】 【表2】
【0034】電荷輸送性ドメインの平均粒子径は通常は0.001〜10μmであり、好ましくは0.005〜5μm、特に好ましくは0.01〜1μmの範囲である。電荷輸送性ドメインの平均粒子径が5μmより大きいと、好ましい膜厚の範囲内でのS字化に必要な電荷輸送路の不均一構造の形成が不可能となり、S字性が損なわれる傾向がある。他方、電荷輸送性ドメインの平均粒子径が0.005μmより小さいと、電荷輸送路が均一な構造に近付き、この場合もまたS字性が損なわれる傾向がある。ここで、不均一電荷輸送層中の電荷輸送性ドメインが、本発明に用いるジアミン誘導体を含有する電荷輸送性微粒子の凝集体よりなる場合、電荷輸送性ドメインの粒子径とは、その凝集体の径(凝集2次粒子径)をいうものとする。但し、上記電荷輸送性微粒子が絶縁被覆されている場合には、電荷輸送性ドメインの粒子径とは、たとえ絶縁被覆化した電荷輸送性微粒子が凝集体を形成していたとしても、凝集体を構成する個々の電荷輸送性微粒子自身の粒子径をいうものとする。また、各電荷輸送性微粒子は電荷輸送能が維持される範囲内であれば有機低分子電荷輸送性材料の他に如何なるものを含有しても構わない。例えば1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオンや4,4’−ブチリデン、ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノールなどの酸化剤を含有することができる。 【0035】また、S字化のための不均一電荷輸送層中に、主たる輸送電荷と逆極性の電荷のみを輸送し得る化合物を添加することにより、残留電位の低下、繰り返し安定性の向上等の効果を得ることもできる。かかる化合物としては、例えばナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物やアントラキノン化合物が挙げられる。 【0036】不均一電荷輸送層を構成する結着樹脂としては、電気的不活性なマトリックスとして機能するものならば、任意の樹脂を利用できる。その例として、非晶質脂肪族ポリオレフィン、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。また、これらの結着樹脂はブロック、ランダムまたは交互共重合体を挙げることができる。さらに、これらの結着樹脂は、単独あるいは2種以上混合して用いることもできる。 【0037】また、これらの電気的不活性マトリックスとなる結着樹脂の体積抵抗率は、1013Ωcm以上が好ましく、より好ましくは1014Ωcm以上である。体積抵抗率が1013Ωcmより低いと、結着樹脂の電気的絶縁性が損なわれ、S字性が失われる傾向にある。また、結着樹脂の体積抵抗率は、1013Ωcm以上であることが好ましい。 【0038】上記結着樹脂の中でも、日本ゼオン社製ゼオネックス樹脂に代表される非晶質脂肪族ポリオレフィンは体積抵抗率が1017Ωcm以上と非常に絶縁性が高く、S字性が高くなるため、特に好ましい。 【0039】結着樹脂中の電荷輸送性ドメインの体積比率は通常は10〜70%の範囲で任意に設定されるが、20〜60%の範囲が好ましい。電荷輸送性ドメインの体積比率が60%より多いと、電荷輸送性ドメイン同士が密に接触してしまい、実質的に均一な構造の電荷輸送路を形成し、上記のS字型光誘起電位減衰特性の発現に不可欠な電荷輸送路の不均一構造が消失し、S字性が失われる傾向がある。さらにまた、暗減衰の増加、機械的強度の低下等の障害を招く傾向もある。他方、電荷輸送性ドメインの体積比率が20%より少ないと、充分な電荷輸送能が得られず、残留電位の増大、光感度の低下、応答速度の低下等の障害を招く傾向がある。 【0040】電荷輸送性ドメインを結着樹脂中に分散させて成る膜は、適当ないかなる方法にて製造しても構わない。但し、製造性の向上、コストの低減等の観点からは、溶剤中に結着樹脂を溶解させた溶液に、電荷輸送性ドメインを分散させた塗工液を浸漬コーティング法等の湿式塗布法により塗布した後、乾燥させる方法が好ましい。 【0041】上記のような電荷輸送性ドメインを分散させた塗工液を得る方法としては適当な任意の分散方法を用いることができるが、例えば、アトライター分散法、サンドミル法、ダイノウミル法、サンドグラインダーミル法、ボールミル法、ペイントシェーク法、超音波分散法等を挙げることができる。 【0042】溶剤中に結着樹脂を溶解させた溶液に電荷輸送性ドメインを分散させた塗工液を用い、湿式塗布法によって不均一電荷輸送層を製造する場合、該溶剤としては、結着樹脂に対する溶解度が十分に高いことに加え、電荷輸送性ドメインに対する溶解度が十分に低く、実質的にそれらドメインを溶解しない溶剤を選択することが望ましい。これは、電荷輸送性ドメインを溶解する溶剤を使用すると、それらドメインを構成する物質が絶縁性の結着樹脂中に分子分散状態にて混入し、結着樹脂の絶縁性が損なわれ、S字性が悪化する傾向にあるためである。 【0043】この点、本発明の一般式(1)で示されるジアミン誘導体は、剛直なターフェニル骨格を有するため、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系の一般的な有機溶剤に対する溶解性が低く、溶剤の選択性も高いので本発明に用いる不均一電荷輸送層の形成に適している。 【0044】これらの不均一電荷輸送層の形成方法において、回旋状電荷輸送経路の形成は、電荷輸送性ドメイン同士の確率的な接触に依存する。その接触の確率が多すぎると、電荷輸送経路は回旋状とならず、またその接触の確率が少なすぎると連続した電荷輸送経路が形成できなくなる。尚、電荷輸送性ドメインの互いの接触は必ずしも直接に接触している必要はなく、電荷輸送性ドメイン間の非常に薄い絶縁層は、電荷がそのギャップを飛び越えることができ、且つそこでの捕獲が無視できるならば、その存在は許容される。ここで云う回旋状電荷輸送路とは、電荷の移動が膜厚方向すなわち電界方向に対して少なくとも1回以上逆行するように形成されている電荷輸送路のことである。 【0045】不均一電荷輸送層を形成するための塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。 【0046】本発明で用いる不均一電荷輸送層の膜厚の下限は0.1μmが適当であり、好ましくは0.2μm、さらに好ましくは0.5μmの範囲に設定される。膜厚の下限が0.1μmより薄いとS字性が失われる傾向がある。一方、膜厚の上限は、用いるS字型電荷輸送層の電荷輸送能により制限され、応答速度、残留電位等が許容される範囲内で設定されるが、通常は50μmであり、好ましくは30μm、より好ましくは25μmである。膜厚の上限が50μmより大きいと、感度が低下し、残留電位が増加する傾向がある。 【0047】また、本発明の電子写真用感光体に用いる導電性支持体は、電子写真技術の分野でそのような支持体として利用されうる任意の種類から選択でき、不透明または実質的に透明であることができる。その例として、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類、及び、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、白金、酸化錫、酸化インジウム、ITO等の薄膜を設けたプラスチックフィルム、ガラスおよびセラミックス等、あるいは導電性付与剤を塗布または含浸させた紙、プラスチックフィルム、ガラスおよびセラミックス等が挙げられる。また、これらの導電性支持体は、ドラム状、シート状、プレート状等、適宜の形状のものとして使用することができる。さらに必要に応じて導電性支持体の表面には、各種の処理を行うことができる。かかる処理としては、例えば、表面の酸化処理や薬品処理、着色処理等、砂目立て、ホーニング等の機械的粗面化処理等が挙げられる。導電性支持体表面の酸化処理や機械的粗面化処理は、導電性支持体表面を粗面化するのみならず、その上に塗布される層の表面をも粗面化し、露光用光源としてレーザー等の可干渉光源を用いた場合に問題となる支持体表面および/または積層膜界面での正反射による干渉縞の発生を防止すると云う効果を発揮し得る。 【0048】また、導電性支持体と、電荷発生層及び電荷輸送層を持つ感光層との間に任意的に設けられる一層または複数層の前記下引き層は、感光層の帯電時において導電性支持体から感光層への電荷の注入を阻止すると共に、感光層を導電性支持体に対して一体的に接着保持せしめる接着層としての作用を示す。場合によっては下引き層は、電子写真感光体において干渉縞の原因となる光の内部正反射を防止する作用等を示す。 【0049】下引き層としては、公知のものを用いることができ、例えば、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、アルコール可溶性ナイロン樹脂、ニトロセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド等の樹脂およびこれらの共重合体、または、ジルコニウムアルコキシド化合物、チタンアルコキシド化合物、シランカップリング剤等の硬化性金属有機化合物を、単独または2種以上を混合して用いることができる。また、帯電極性と同極性の電荷のみを輸送し得る材料も使用可能である。 【0050】また、下引き層の膜厚は、0.01〜10μmが適当であり、好ましくは0.05〜5μmの範囲である。塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。 【0051】本発明の電子写真用感光体における電荷発生層を構成する材料(電荷発生材料)は、J字型、S字型を問わず、積層感光体に電荷発生層として用いられ得る任意の種類の材料から選択することができる。かかる電荷発生材料としては、例えば非晶質セレン、六方晶セレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、その他セレン化合物およびセレン合金、酸化亜鉛、酸化チタン、a−Si、a−SiC等の無機系光導電性材料、フタロシアニン系、スクアリウム系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、アントラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩系、チアピリリウム塩系等の有機顔料および染料が挙げられる。また、これらの有機顔料および染料は、単独あるいは2種以上混合して用いることもできる。 【0052】フタロシアニン系化合物は、デジタル式の電子写真装置に光源として現在広く使用されているLEDおよびレーザーダイオードの発振波長である600〜850nmに優れた光感度を有するため、本発明に用いる電荷発生層の電荷発生材料として特に好ましい。フタロシアニン系化合物として、無金属フタロシアニン、金属フタロシアニン、それらの誘導体が利用できる。金属フタロシアニンの中心金属としては、Cu、Ni、Zn、Co、Fe、V、Si、Al、Sn、Ge、Ti、In、Ga、Mg、Pb等が挙げられる。またこれら中心金属の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、アルキル化物、アルコキシ化物等も使用できる。具体的には、チタニルフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ジクロロ錫フタロシアニン等を挙げることができる。また、上記フタロシアニン系化合物のフタロシアニン環に任意の置換基が導入された置換フタロシアニン類も使用することができる。さらにまた、上記フタロシアニン系化合物のフタロシアニン環中の任意の炭素原子が窒素原子で置換されたアザフタロシアニン類も有効である。これらフタロシアニン系化合物の形態としては、アモルファスまたは全ての結晶形のものが使用可能である。 【0053】これらフタロシアニン系化合物の中でも、無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、およびジクロロ錫フタロシアニンは、デジタル式の電子写真装置に光源として現在広く使用されているLEDおよびレーザーダイオードの発振波長である600〜850nmに特に優れた光感度を有しており、本発明に用いる電荷発生材料として特に好ましい。 【0054】また、六方晶セレンも電荷発生効率に優れるため、電荷発生材料として好ましく使用できる。レーザー光のビーム径は発振波長が短くなるほど小径化できるため、更なる高画質化を目指し、露光用レーザーの短波長化の検討がなされているが、六方晶セレンの感光域は約650nm以下の短波長域を覆っているため、六方晶セレンはこの範囲の短波長レーザー用の電荷発生材料として特に好ましく用いることができる。 【0055】電荷発生層に結着樹脂を用いる場合、その結着樹脂の種類は特に限定されないが、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が用いられる。これらの結着樹脂はブロック、ランダムまたは交互共重合体であることができる。また、これらの結着樹脂は、単独あるいは2種以上を混合して用いてもよい。 【0056】結着樹脂に対する電荷発生材料の配合比(体積比)は、0.1〜10の範囲が好ましい。より好ましくは、1〜3の範囲に設定される。電荷発生材料の結着樹脂に対する配合比が10より多いと、湿式塗布法では均質な膜を得ることが困難になる傾向がある。また、0.1より少ないと光感度の低下等の障害が起きる傾向がある。 【0057】上記電荷発生層は、前記電荷発生材料を真空蒸着法等により直接成膜したり、電荷発生材料を結着樹脂中に分散または溶解した溶液を導電性支持体等に塗工することにより作製できる。また、本発明で用いる電荷発生層の膜厚は一般的には、0.05〜5μmが適当であり、好ましくは0.1〜2.0μmの範囲に設定される。 【0058】塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。 【0059】不均一電荷輸送層とともに均一電荷輸送層を併設する場合、その均一電荷輸送層は、当業界でJ字型積層感光体に電荷輸送層として用いられる任意のものから選択できる。例えばベンジジン系化合物、アミン系化合物、ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、カルバゾール系化合物等のホール輸送性低分子化合物、またはフルオレノン系化合物、マロノニトリル系化合物、ジフェノキノン系化合物等の電子輸送性低分子化合物を、単独でまたは2種以上を混合して絶縁性樹脂(ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等)中に均一に分子分散した固溶膜として用いることができる。あるいは、それ自身電荷輸送能を有する高分子化合物等を用いることができる。また、セレン、アモルファスシリコン、アモルファスシリコンカーバイト等の電荷輸送能を有する無機物質を用いることもできる。上記電荷輸送性高分子化合物としては、ポリビニカルバゾール等の電荷輸送能を有する基を側鎖に含む高分子化合物、特開平5−232727号公報等に開示されているような電荷輸送能を有する基を主鎖に含む高分子化合物、およびポリシラン等を挙げることができる。 【0060】本発明に用いる均一電荷輸送層としては、特に製造上、電荷輸送性高分子化合物を用いることが好ましい。すなわち、不均一電荷輸送層と均一電荷輸送層を積層製膜する場合、均一電荷輸送層に電荷輸送性低分子化合物を用いると、電荷輸送性低分子化合物が不均一電荷輸送層に混入してしまい、不均一電荷輸送層の電気的不活性マトリックスの主たる輸送電荷に対する絶縁性が低下することによりS字性が損なわれたり、あるいは不均一電荷輸送層中に混入した電荷輸送性低分子が不均一電荷輸送層において電荷トラップとなり残留電位の増大、輸送能の低下及び光感度の低下等の障害が発生する傾向がある。この問題は特に、湿式塗布法により、各層を成膜する場合に顕著になる傾向がある(もちろん、これらの問題は、上層の塗布溶剤として下層を溶解および膨潤し難いものを選択したり、不均一電荷輸送層の結着樹脂として均一電荷輸送層の電荷輸送性低分子化合物と相溶性のないものを選択したりすること等により回避することが可能である)。ところが、高分子同士は相溶することなく相分離を起こすことが一般的であることが知られており、均一電荷輸送層として、電荷輸送性高分子化合物を用いた場合、不均一電荷輸送層の結着樹脂と相溶することなく相分離するため、上記のような混入の問題は殆ど発生しない。従って、材料および製造法の選択に当たっての制約が解消されるという利点を有する。 【0061】このような電荷輸送性高分子化合物としては、下記一般式【化4】
[式中、R1 およびR2 は、互いに独立に、置換又は未置換アリール基から選択され、Yは芳香族環構造を有する2価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基を示し、AおよびBは、互いに独立に、置換又は未置換フェニレン基から選択され、Lは枝分れもしくは環構造を含んでもよい2価の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基を示し、mおよびnは、それぞれ0または1から選ばれる整数を意味する。]で表される構造の少なくとも1種以上を繰り返し単位として含有する電荷輸送性樹脂が、高い電荷輸送能を有し、機械的特性にも優れているので特に好ましい。 【0062】A及びBの例としては、フェニレン基、メチルフェニレン基、メトキシフェニレン基、ハロゲン置換フェニレン基などが挙げられる。 【0063】Lは、機械的強度、可撓性等の点でエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合又はウレタン結合を有し、且つ炭素数20以下の2価のヘテロ原子含有炭化水素基であることが好ましい。 【0064】この均一電荷輸送層中には電荷輸送性マトリックスに囲まれるような電気的不活性な領域が存在してもよい。例えば表面磨耗および摩擦の低減、または表面への異物付着の低減等を目的に低表面エネルギーの絶縁性粒子等を含有させることができる。また、均一電荷輸送層は輸送能の向上等のために、電荷輸送性微粒子等を含むこともできる。 【0065】本発明で用いる均一電荷輸送層の膜厚は50μm以下、好ましくは30μm以下に設定される。塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。また、Se等の気相成膜可能なものは、真空蒸着法等により直接成膜することもできる。 【0066】本発明の電子写真用感光体においては、電荷発生層及び電荷輸送層を備える感光層の上に必要に応じて保護層を設けてもよいが、保護層は、電子写真用感光体を帯電させる帯電部材から発生するオゾン、酸化性ガス等、および紫外光等の化学的ストレス、あるいは、現像剤、紙、クリーニング部材等との接触に起因する機械的ストレスから感光層を保護し、感光層の実質の寿命を改善するために有効である。特に、薄層の電荷発生層を表面側の層に用いる電子写真用感光体において、効果が顕著である。 【0067】保護層は、適当な結着樹脂中に導電性材料を含有させて形成される。導電性材料としては、ジメチルフェロセン等のメタロセン化合物、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化チタン、酸化インジウム、ITO等の金属酸化物等の材料を用いることができるが、これらに限定されるものではない。結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の公知の樹脂を用いることができる。また、アモルファスカーボン等の半導電性無機膜も保護層として用いることができる。保護層の体積抵抗率は109 〜1014Ωcmの範囲が好ましい。体積抵抗率が1014Ωcmを超えると残留電位が増加する傾向があり、109 Ωcm未満になると沿面方向での電荷漏洩が無視できなくなり、解像力の低下が生じる傾向がある。 【0068】保護層の膜厚は0.5〜20μmが適当であり、好ましくは1〜10μmの範囲に設定される。 【0069】また、保護層を設けた場合、必要に応じて、感光層と保護層との間に、保護層から感光層への電荷の漏洩を阻止するブロッキング層を設けることができる。このブロッキング層としては、保護層の場合と同様に公知のものを用いることができる。 【0070】本発明の電子写真用感光体においては、電子写真装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは、光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、各層または最上層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等を添加することもできる。 【0071】酸化防止剤としては、公知のものを用いることができ、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が挙げられる。 【0072】光安定剤としては、公知のものを用いることができ、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体、および、光励起状態をエネルギー移動あるいは電荷移動により失活し得る電子吸引性化合物または電子供与性化合物等が挙げられる。 【0073】さらに、表面磨耗の低減、転写性の向上、クリーニング性の向上等を目的として、最表面層にフッ素樹脂等の絶縁性粒子を分散させてもよい。 【0074】本発明の電子写真用感光体を搭載する電子写真装置としては、電子写真法を用いるものであれば如何なるものでも構わないが、特にデジタル処理された画像信号に基づき電子写真用感光体を露光する電子写真装置が好ましい。デジタル処理された画像信号に基づき電子写真用感光体を露光する電子写真装置とは、レーザーまたはLED等の露光光源を用い、2値化またはパルス幅変調や強度変調を行い多値化された光により露光を行う電子写真装置であり、例としてLEDプリンター、レーザープリンター、レーザー露光式デジタル複写機などを挙げることができる。 【0075】また、現像後の電子写真用感光体の初期化あるいは電子写真特性の安定化等の目的で、画像形成用の露光光源とは別に、光源を併用することができ、その光源の発光域としては、不均一電荷輸送層に吸収されるものであっても吸収されないものであっても構わないが、少なくとも電荷発生層まで光が届く方が好ましい。 【0076】図6は、本発明の電子写真用感光体を搭載する電子写真装置の好適な実施形態を模式的に示す断面図である。この電子写真装置は、レーザプリンタであり、このプリンタでは、感光体ドラム11の周りに前露光用光源(赤色LED)12、帯電用スコロトロン13、露光用レーザー光学系14、現像器15、転写用コロトロン16およびクリーニングブレード17がプロセスの順序に順次配置されている。露光用レーザー光学系14は、発振波長780nmの露光用レーザーダイオードを備えており、デジタル処理された画像信号に基づき発光する。露光用レーザー光学系14は、発光したレーザー光14aを、図示しないポリゴンミラー、複数のレンズおよびミラーにより走査しながら感光体11上を露光するように構成されている。なお、18は用紙を示す。 【0077】次に、本発明の内容を実施例によって具体的に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、当業者は電子写真技術に関する任意の知見から、以下の実施例に変更を加えることが可能である。 【0078】 【実施例】(合成例)ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミン22.4g、ジヨードターフェニル20.0g、炭酸カリウム16.8g、硫酸銅五水和物1.0gを1Lのフラスコ中で、弱い窒素気流下230℃、30時間加熱攪拌した。その後、水500mlを加えて加熱攪拌し、不溶な結晶をろ過した。ろ別して残った結晶をクロロナフタリン300mlに160℃で加熱溶解し、シリカゲル200gを通して不溶な銅粉を除去した後、トルエン300mlを加えて放置した。析出した結晶をろ過しテトラヒドロフラン200mlで結晶を洗浄した後、乾燥し下記構造式(表1の化合物10) 【化5】
で表される目的化合物16.2g(収率58%)を得た。この目的化合物の融点は300℃より大きい値であった。 (実施例1)アルミニウム基板上に、ジルコニウムアルコキシド化合物(商品名:オルガチックスZC540、マツモト製薬社製)10重量部、シランカップリング剤(商品名:A1100、日本ユニカー社製)1重量部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックスBM−S、積水化学社製)0.5重量部、及びブタノール25重量部からなる溶液を浸漬コーティング法で塗布し、175℃において10分間加熱乾燥し、膜厚0.8μmの下引き層を形成した。次にヒドロキシガリウムフタロシアニン微結晶4重量部を、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(商品名:UCARソリューションビニル樹脂VMCH、ユニオンカーバイド社製)2重量部、クロロベンゼン100重量部と混合し、ガラスビーズと共にペイントシェーク法にて3時間分散処理して得られた分散液を浸漬コーティング法にて上記下引き層上に塗布し、100℃において10分間加熱乾燥し、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。 【0079】次に、合成例で得られた上記構造式(化合物10)で示されるジアミン系ホール輸送性化合物の微結晶5重量部、非晶質脂肪族ポリオレフィン(商品名: ゼオネックス480、日本ゼオン社製、体積抵抗率1017Ωcm)10重量部、およびシクロヘキサン85重量部を、3mmφのステンレス鋼ビーズを用いてボールミル法により24時間分散処理した。得られた分散液を、上記電荷発生層上に浸漬コーティング法にて塗布した後、120℃で10分間加熱乾燥させて、膜厚5μmの不均一電荷輸送層を形成した。この不均一電荷輸送層中のジアミン系ホール輸送性化合物微結晶の体積比率はおよそ33%であった。また、ジアミン系ホール輸送性化合物微結晶の平均粒子径は0.5μmであった。 【0080】次に、高分子電荷輸送材料である重量平均分子量6万の下記構造式【化6】
で示される繰り返し単位よりなる化合物15重量部をモノクロロベンゼン85重量部に溶解した塗布液を、上記不均一電荷輸送上に浸漬コーティング法で塗布し、135℃において1時間加熱乾燥させて、膜厚15μmの均一電荷輸送層を形成し、図2に示した層構成の電子写真用感光体を作製した。 【0081】このようにして得られた電子写真用感光体に対し、静電複写紙試験装置(エレクトロスタティックアナライザーEPA−8100、川口電機製作所社製)を用いて、常温常湿(20℃、40%RH)の環境下、電子写真特性の評価を行った。−6.5kVのコロナ放電により感光体表面を帯電させた後、干渉フィルターを通し750nmに単色化したハロゲンランプ光を感光体表面上で5mW/m2の光強度になるように調整し、10秒間照射したところ、図5に示すS字形の光誘起電位減衰特性を示した。また、この光誘起電位減衰曲線からE50%値が4.4mJ/m2、E50%/E10%値は1.6と算出された。 (実施例2)不均一電荷輸送層の膜厚を20μmに変更し、均一電荷輸送層を設けなかった以外は実施例1と同様にして図1に示した層構成の電子写真用感光体を作製した。 【0082】得られた電子写真用感光体を、実施例1と同様にして評価したところ、その光誘起電位減衰特性はE50%値が5.0mJ/m2であり、E50%/E10%値が1.8のS字形であった。 (実施例3)不均一電荷輸送層作製に用いる結着樹脂および溶剤をそれぞれポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックスBM−S、積水化学社製、体積抵抗率1014Ωcm)およびエタノールに変更した以外は実施例2と同様にして電子写真用感光体を作製した。この不均一電荷輸送層中のジアミン系ホール輸送性化合物微結晶の体積比率はおよそ33%であり、ジアミン系ホール輸送性化合物微結晶の平均粒子径は0.6μmであった。 【0083】得られた電子写真用感光体を、実施例1と同様にして評価したところ、その光誘起電位減衰特性はE50%値が6.5μJ/cm2であり、E50%/E10%値が2.1のS字形であった。 (実施例4)不均一電荷輸送層作製用の有機低分子電荷輸送材料および溶剤をそれぞれ下記構造式(表1の化合物14) 【化7】
【0084】で示されるトリアリールアミン系ホール輸送性化合物およびメタノールに変更し、不均一電荷輸送層の乾燥温度を100°Cに変更した以外は実施例2と同様に電子写真用感光体を作製した。 【0085】この不均一電荷輸送層中のトリアリールアミン系ホール輸送性化合物微結晶の体積比率はおよそ33%、また、トリアリールアミン系ホール輸送性化合物微結晶の平均粒子径は0.6μmであった。 【0086】得られた電子写真用感光体を、実施例1と同様にして評価したところ、その光誘起電位減衰特性はE50%値が6.9μJ/cm2であり、E50%/E10%値が2.3のS字形であった。 (実施例5)電荷発生層作製用の電荷発生材料および溶剤をそれぞれクロロガリウムフタロシアニン微結晶およびキシレン/酢酸ブチル混合溶剤(混合比2:1)に変更した以外は、実施例1と同様に電子写真用感光体を作製した。 【0087】得られた電子写真用感光体を、実施例1と同様にして評価したところ、その光誘起電位減衰特性は、E50%値が4.8mJ/m2、E50%/E10%値が1.6のS字形であった。 (実施例6)電荷発生層作製用の電荷発生材料および溶剤をそれぞれチタニルフタロシアニン微結晶および酢酸ブチルに変更した以外は、実施例1と同様に電子写真用感光体を作製した。 【0088】得られた電子写真用感光体を、実施例1と同様にして評価したところ、その光誘起電位減衰特性はE50%値が4.2mJ/m2、E50%/E10%値が1.6のS字形であった。 (実施例7)電荷発生層作製用の電荷発生材料および溶剤をそれぞれジクロロ錫フタロシアニン微結晶および酢酸ブチルに変更した以外は、実施例1と同様に電子写真用感光体を作製した。 【0089】得られた電子写真用感光体を、実施例1と同様にして評価したところ、その光誘起電位減衰特性はE50%値が20mJ/m2、E50%/E10%値が1.7のS字形であった。 (実施例8)電荷発生層作製用の電荷発生材料、結着樹脂および溶剤をそれぞれX型無金属フタロシアニン微結晶、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックスBM−S、積水化学社製)およびシクロヘキサノンに変更した以外は実施例1と同様にして電子写真用感光体を作製した。 【0090】得られた電子写真用感光体を、実施例1と同様にして評価したところ、その光誘起電位減衰特性はE50%値が15mJ/m2、E50%/E10%値が1.6のS字形であった。 (実施例9)電荷発生層を、六方晶セレン12重量部を、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(商品名:UCARソリューションビニル樹脂VMCH、ユニオンカーバイド社製)1.8重量部および酢酸イソブチル100重量部と混合し、ステンレス鋼ビーズと共にアトライターにて5時間分散処理して得られた分散液を浸漬コーティング法で塗布し、135℃において10分間加熱乾燥し作製した以 外は実施例1と同様にして電子写真用感光体を作製した。 【0091】得られた電子写真用感光体を、露光波長を500nmに変更した以外は実施例1と同様にして評価したところ、その光誘起電位減衰特性はE50%値が4.5mJ/m2、E50%/E10%値が1.5のS字形であった。 (比較例1)不均一電荷輸送層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして電子写真用感光体を作製した。 【0092】得られた電子写真用感光体の電子写真特性を、実施例1と同様の方法で評価したところ、光誘起電位減衰曲線は図1のようなJ字形となりS字形とはならなかった。E50%/E10%値は5.1であった。 (比較例2)不均一電荷輸送層作製用の有機低分子電荷輸送性材料をヒドロキシガリウムフタロシアニン(500〜900nmに電子吸収を示す)に変更した以外は実施例3と同様に電子写真用感光体を作製した。この不均一電荷輸送層中のヒドロキシガリウムフタロシアニン微結晶の体積比率はおよそ33%、また、ヒドロキシガリウムフタロシアニン微結晶の平均粒子径は0.1μmであった。 【0093】得られた電子写真用感光体の電子写真特性を、実施例1と同様の方法で評価したところ、光誘起電位減衰曲線は図7のようなE50%/E10%値が5.2のJ字形となりS字形とはならなかった。 (比較例3)不均一電荷輸送層として、フタロシアニン1重量部、結着樹脂としてフッ素系樹脂(セントラル硝子(株)製セフラルコートA202B6重量部)、硬化剤としてメラミン樹脂((株)三和ケミカル製、ニカラックMW−30)1重量部、シクロヘキサノン25重量部をガラスビーズ40重量部と共にペイントシェーカーで分散した後、ガラスビーズを分離し、不均一電荷輸送層塗布液とした以外は、実施例1と同様にして電子写真用感光体を作製した。 【0094】得られた電子写真用感光体について、実施例1と同様にして評価したところ、その光誘起電位減衰特性はE50%値が1.28μJ/cm2であり、E50%/E10%値が3.0であった。 【0095】以上の実施例1〜9、及び比較例1〜3の結果より、本発明の電子写真用感光体によれば、E50%/E10%値が十分に低くなり(2.3以下)、より高いS字性がほぼ確実に得られることが分かった。 (実施例10)アルミニウム基板の代わりにホーニング処理を施したアルミニウムドラムを使用した以外は、実施例1と同様に電子写真用感光体を作製し、この電子写真用感光体を、図6に示した構成のレーザープリンター(Laser Press 4105、富士ゼロックス社製)に搭載して印字試験を行った。この際、最適な露光量を得るため、レーザー光の光路にNDフィルターを挿入し、露光光量を調整した。 (比較例4)アルミニウム基板の代わりにアルミニムドラムを使用した以外は、比較例1と同様にして電子写真用感光体を作製し、この電子写真用感光体を搭載した実施例10と同様の構成を持つレーザープリンターについて実施例10と同様にして印字試験を行った。 【0096】実施例10と比較例4で得られた印字の品質を比べたところ、実施例10の方が細線の再現性等の点で、印字品質が優れていた。 【0097】 【発明の効果】以上説明したように本発明の電子写真用感光体によれば、特定の電荷輸送性ドメインを結着樹脂中に分散して成る不均一電荷輸送層を用いることにより、電子写真用感光体の材料選択の自由度及び電子写真装置の露光光源の選択の自由度が増すと共に、より高いS字性をほぼ確実に得ることができ、デジタル式電子写真装置において極めて有効である。 【0098】また、本発明の電子写真用感光体を使用した電子写真装置によれば、デジタル処理された画像信号に基づき上記電子写真用感光体の露光を行うことにより、電子写真用感光体の画素の鮮鋭度がほぼ確実に高まり、文字品質および画質に優れた印字画像を得ることができる。更に、上記電子写真用感光体の露光に使用する露光光源の種類が制限されないので、露光光源の選択の自由度も高まる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005496 【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年4月21日(2000.4.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088155 【弁理士】 【氏名又は名称】長谷川 芳樹 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−305764(P2001−305764A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月2日(2001.11.2) |
| 【出願番号】 |
特願2000−121473(P2000−121473) |
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