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【発明の名称】 電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカートリッジ
【発明者】 【氏名】有賀 保

【要約】 【課題】繰り返し使用に対しても耐摩耗性に優れ、かつ静電的に安定した感光体、及び、異常画像の少ない、安定した画像を得ることのできる電子写真方法、電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカートリッジを提供する。

【解決手段】導電性支持体上に、少なくともpH緩衝剤及び耐摩耗性粒子を含有する層を設けたことを特徴とする電子写真感光体、該電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写クリーニング及び除電を繰り返し行う電子写真方法前記電子写真感光体を有し、少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段を備えた電子写真装置、前記電子写真感光体を有し、少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段を備えた装置本体に着脱自在とした電子写真装置用プロセスカートリッジ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 導電性支持体上に、少なくともpH緩衝剤及び耐摩耗性粒子を含有する層を設けたことを特徴とする電子写真感光体。
【請求項2】 pH緩衝剤及び耐摩耗性粒子を含有する層が、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を有する感光体における電荷輸送層である請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項3】 pH緩衝剤及び耐摩耗性粒子を含有する層が、少なくとも感光層の上に保護層を設けた感光体における保護層である請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項4】 pH緩衝剤が、プロトン酸又はプロトン酸とその共役塩基とからなるものである請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体。
【請求項5】 プロトン酸の解離基部分のモル数に対して、プロトン酸共役塩基のモル数が1以下である請求項4に記載の電子写真感光体。
【請求項6】 プロトン酸が、分子量10000以上のカルボン酸基を有する化合物である請求項4又は5に記載の電子写真感光体。
【請求項7】 耐摩耗性粒子が、金属酸化物粒子である請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体。
【請求項8】 感光層の膜厚が、25μm以下である請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体。
【請求項9】 電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写クリーニング及び除電を繰り返し行う電子写真方法であって、該電子写真感光体が、請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真方法。
【請求項10】 電子写真感光体を有し、少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段を備えた電子写真装置であって、該電子写真感光体が、請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。
【請求項11】 電子写真感光体を有し、少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段を備えた装置本体に着脱自在とした電子写真装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感光体が、請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真感光であることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真感光体(本発明においては、単に感光体ということがある)、電子写真方法、電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカートリッジに関し、さらに詳しくは、繰り返し使用に対しても耐摩耗性に優れ、かつ静電的に安定した電子写真感光体、この感光体を用いてなる繰り返し使用に対しても異常画像の少ない、安定した画像を得ることのできる電子写真方法、電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真方式を用いた情報処理システム機の発展には目覚ましいものがあり、特に情報をデジタル信号に変換し、光によって情報記録を行う光プリンターには、そのプリント品質、信頼性において著しい向上が認められる。このデジタル記録技術は、プリンターのみならず、通常の複写機にも応用され、いわゆるデジタル複写機が開発されている。また、従来からあるアナログ複写にこのデジタル記録技術を搭載した複写機には、多様な情報処理機能が付加されるため、今後、その需要がますます高まってくると予想される。一方、カールソンプロセス又はその類似プロセスにおいては、繰り返し使用される電子写真感光体の条件としては、感度、受容電位、電位保持性、電位安定性、残留電位、分光特性等の静電特性に優れていることが要求される。また最近は、画質上、高解像度が望まれ、そのため感光体膜厚がより薄いものが望まれている。この要望に応じるためには、さらに感光体の耐摩耗性が要求されることとなる。
【0003】本出願人は、先に、静電的安定性が保持された電子写真感光体として、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質及び電荷輸送物質を、同一の層又はそれぞれ別異の層に含有する感光層を設けてなる電子写真感光体であって、該感光層中にpKa7.0以下のpH緩衝剤を添加したことを特徴とする電子写真感光体、特に、該pH緩衝剤がpKa7.0以下の酸とその共役塩基とを併有するものである電子写真感光体を提案した(特開平07−191477号公報)。また、耐摩耗性向上のために、最表面層に耐摩耗性粒子、例えば、金属酸化物粒子を含有させることも知られている。しかしながら、金属酸化物粒子を含有させると残留電位が増大したり、帯電性が低下したりして、静電的な疲労が著しく増加するという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような従来の欠点を解消し、繰り返し使用に対しても耐摩耗性に優れ、かつ静電的に安定した感光体を提供すると共に、この感光体を用いてなる繰り返し使用に対しても異常画像の少ない、安定した画像を得ることのできる電子写真方法、電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカートリッジを提供することをその課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、導電性支持体上に、少なくともpH緩衝剤及び耐摩耗性粒子を含有する層を設けることによって、繰り返し使用に対しても耐摩耗性に優れ、かつ静電的に安定した感光体とすることができ、この感光体を用いることによって、繰り返し使用に対しても異常画像の少ない、安定した画像を得ることのできる電子写真方法、電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカートリッジとすることができるということを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。すなわち、本発明によれば、導電性支持体上に、少なくともpH緩衝剤及び耐摩耗性粒子を含有する層を設けたことを特徴とする電子写真感光体、電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写クリーニング及び除電を繰り返し行う電子写真方法であって、該電子写真感光体が上記電子写真感光体であることを特徴とする電子写真方法、電子写真感光体を有し、少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段を備えた電子写真装置であって、該電子写真感光体が上記電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置並びに電子写真感光体を有し、少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段を備えた装置本体に着脱自在とした電子写真装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感光体が上記電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジが提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明は、まず、導電性支持体上に、少なくともpH緩衝剤及び耐摩耗性粒子を含有する層を設けたことを特徴とする電子写真感光体を提供する。以下、本発明の電子写真感光体を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の電子写真感光体を示す概略断面図である。この電子写真感光体は、導電性支持体1上に、電荷発生材料と電荷輸送材料とを主成分とする単層感光層2が設けられている。この単層感光層2に、pH緩衝剤及び耐摩耗性粒子が含有される。図2は、本発明の電子写真感光体の別の例を示す概略断面図である。この電子写真感光体は、導電性支持体1上に、電荷発生材料を主成分とする電荷発生層2’と、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層2”とが、積層された構成となっているものである。この電荷輸送層2”に、pH緩衝剤及び耐摩耗性粒子が含有される。図3は、本発明の電子写真感光体の他の例を示す概略断面図である。この電子写真感光体は、導電性支持体1上に、感光層2を設け、さらにその上に保護層3を設けたものである。この保護層3に、pH緩衝剤及び耐摩耗性粒子が含有される。図4は、本発明の電子写真感光体のさらに別の例を示す概略断面図である。この電子写真感光体は、導電性支持体1上に、電荷発生層2’と電荷輸送層2”を分別して設け、その上に保護層3を設けたものである。この電荷輸送層2’及び/又は保護層3に、pH緩衝剤及び耐摩耗性粒子が含有される。図5は、本発明の電子写真感光体のさらに他の例を示す概略断面図である。この電子写真感光体は、導電性支持体1上に、図4に示す電荷発生層2’と電荷輸送層2”を逆転させて設け、その上に保護層3を設けたものである。この電荷輸送層2’及び/又は保護層3に、pH緩衝剤及び耐摩耗性粒子が含される。これら電子写真感光体においては、感光層の下に下引き層を設けてもよい。
【0007】ここでは、保護層3にpH緩衝剤及び耐摩耗性粒子を含有させる場合について説明する。導電性支持体1としては、体積抵抗1010Ωcm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの又はアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板及びそれらを、押し出し、引き抜き等の工法によって素管化後、切削、超仕上げ、研摩等の表面処理をした管等を使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されているエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも用いることができる。
【0008】さらに、上記支持体上に、導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性支持体1として用いることができる。ここに用いる導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉、導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物粉体等が挙げられる。用いる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂があり、これらは単独で用いてもよく、混合物として用いてもよい。
【0009】このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂とを適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエン等に分散し塗布することにより設けることができる。さらに、適当な円筒基体上に、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)等を素材として、上記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、導電性支持体31として好適である。
【0010】次に、感光層について説明する。電荷発生層2’は、電荷発生材を必要に応じてバインダー樹脂と共に、適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波等を用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。必要に応じて、電荷発生層2’に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等を挙げることができる。中でも、ポリビニルブチラールに代表されるポリビニルアセタールは好適な結着樹脂である。この結着樹脂の量は、重量基準で電荷発生物質100部に対し、通常は、0〜500部、好ましくは、10〜300部である。
【0011】電荷発生層2’に用いられる電荷発生材料としては、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、フタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料等が挙げられる。ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられるが、特に、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が好適である。塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を採用することができる。電荷発生層2’の膜厚は、通常は、0.01〜5μm程度であり、好ましくは、0.1〜2μmである。
【0012】電荷輸送層2”は、電荷輸送物質及び結着樹脂を、適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層2’上に塗布し乾燥することにより形成することができる。また、必要により、可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電荷輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他、公知の正孔輸送物質を挙げることができる。これらの電荷輸送物質は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0013】結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が挙げられる。電荷輸送物質の量は、重量基準で結着樹脂100部に対し、通常は、20〜300部、好ましくは、40〜150部である。ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン等を挙げることができる。また、高解像度を得るためには、電荷輸送層2”の膜厚は、5〜25μm程度とすることが好ましい。
【0014】本発明の感光体においては、電荷輸送層2”中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等、一般の樹脂に使用されるものがそのまま使用でき、その使用量は、重量基準で結着樹脂に対し、0〜30%程度である。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー又はオリゴマー等が挙げられ、その使用量は、重量基準で結着樹脂に対し、0〜1%がである。保護層3の主成分は結着樹脂であり、この結着樹脂としては、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等が挙げられる。保護層の形成法としては、通常の塗布法が採用されるが、特に、電荷輸送層に影響の少ないスプレー塗工方法が好ましい。なお 保護層の厚さは、0.1〜10μm程度が適当である。その他、保護層3には 電荷輸送物質が含有されていてもよい。
【0015】本発明は、上記のような電子写真感光体であって、導電性支持体上に、少なくともpH緩衝剤及び耐摩耗性粒子を含有する層を設けたことを特徴とする電子写真感光体である。このpH緩衝剤及び耐摩耗性粒子を含有する層としては、電荷輸送層2”であっても保護層3であってもよく、また、双方であってもよい。まず、pH緩衝剤及び耐摩耗性粒子を含有する層が、保護層3である場合について説明する。
【0016】pH緩衝剤とは、溶液中においてpH緩衝作用を有する物質を言い、外部から水素イオンが加えられた場合には、この水素イオンと反応して全体の水素イオン濃度を一定に保持する作用を有するものである。pH緩衝剤としては、pHの変化に対して緩衝性を有するものであれば制限はないが、カルボン酸基を有するプロトン酸、その塩又はプロトン酸とその共役塩基の組み合わせたものが好ましい。また、感光体内を移動しにくくするために、ある程度分子量の大きなもの、特に分子量10000以上のカルボン酸基を有するプロトン酸であることが好ましい。プロトン酸のみを用いてもよいが、少量の共役塩基を添加することによってpH緩衝性効果はより発現する。ここに、プロトン酸の共役塩基としては、ナトリウム、カリウム等の金属の水酸化物又はアミン類が挙げられる。これら塩基物質は、多量に添加すると残留電位の増大を招くので、プロトン酸の解離基部分のモル数に対して、プロトン酸共役塩基のモル数が1以下、好ましくは、0.1モル以下とすることが望ましい。このようなpH緩衝剤としては、例えば、有機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等を挙げることができ、また、4級アンモニウム塩等も挙げられる。有機酸としては、アクリル酸、アジピン酸、アスパラギン酸、アミノ安息香酸、アミノ酪酸、安息香酸、イソニコチン酸、グアノシン酸、グルタミン酸、トリクロロ酢酸、ピコリン酸、フルオロ安息香酸、マレイン酸、リンゴ酸、クロロフェノールレッド、ブロムクレゾールグリーン等を挙げることができる。これらpH緩衝剤のpKaは7〜1が好ましい。このpKaが1以下では、静電特性安定化にあまり効果はなく、7以上では、オゾン等の酸性物質の進入の影響に対して、同様に効果がないものとなる。pH緩衝剤の含有量は、重量基準で保護層3の全固形分に対し、通常は、0.5〜30%、好ましくは、1〜10%である。pH緩衝剤の含有量が、0.5%未満では、通常、静電特性安定化に与える寄与は小さく、30%を越えると、機械的強度、抵抗の湿度依存性等に悪影響を与えるので好ましくない。(以上の「pH緩衝剤」に関する記載に誤謬はないか、ご確認下さい。)
【0017】耐摩耗性粒子としては、ポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂等の有機高分子物質や金属酸化物の粒子を挙げることができる。金属酸化物としては 酸化チタン、酸化アルミ、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化鉄、酸化ジルコニウム等が挙げられる。これら耐摩耗性粒子の粒径は、光散乱防止の観点から、通常は、0.01〜1μm、好ましくは、0.05〜0.5μmである。耐摩耗性粒子の含有量は、重量基準で保護層3の全固形分に対し、通常は、5〜30%、好ましくは、10〜20%である。耐摩耗性粒子の含有量が、5%未満では、耐摩耗性効果は小さく、30%を越えると、残留電位の増加が著しくなるので好ましくない。
【0018】本出願人は、先に、感光体の静電的安定性を保持するためには、感光体中の酸塩基性バランスを保つことが重要であることを提案をした(特開平07−191477号公報)。感光体外部から酸性物質や塩基性物質が頻繁に進入してきて、感光体電気特性を変化させる状況にあっては、その対応する手段としては上記提案は有効であるが、通常のpH緩衝剤は、感光層中に溶解又は微細粒子として存在するために、耐摩耗性を得ることはできないものであった。本発明は、pH緩衝剤を用いると共に耐摩耗性粒子を用いることによって、耐摩耗性を有し、かつ静電的に安定な感光体を得ることを達成したものである。なお、耐摩耗性粒子として金属酸化物を用いる場合は、静電的に不安定となることがあるので、pH緩衝剤を併用することは、特に有効となる。
【0019】次に、pH緩衝剤及び耐摩耗性粒子を含有する層が、電荷輸送層2”である場合について説明する。この場合においても、上記保護層3について説明したところと基本的には変わるところはない。ただ、耐摩耗性粒子の含有量としては、電荷輸送層2”の全固形分に対し、通常は、5〜10%、好ましくは、5〜7%とすることが望ましい。
【0020】本発明は、導電性支持体上に、少なくともpH緩衝剤及び耐摩耗性粒子を含有する層を設けたことを特徴とする電子写真感光体を提供すると共に、電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写クリーニング及び除電を繰り返し行う電子写真方法であって、該電子写真感光体が、上記電子写真感光体であることを特徴とする電子写真方法、電子写真感光体を有し、少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段を備えた電子写真装置であって、該電子写真感光体が、上記電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置並びに電子写真感光体を有し、少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段を備えた装置本体に着脱自在とした電子写真装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感光体が、上記電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジを提供するものである。
【0021】この電子写真方法、電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカートリッジについて、図面に基づき説明する。図6は、本発明の電子写真方法、電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカトリッジを示す略図である。図6においては、感光体4は本発明の感光層が設けられてなるものである。感光体4はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。帯電チャージャ6、転写前チャージャ10、転写チャージャ13、分離チャージャ14、クリーニング前チャージャ16には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ)、帯電ローラをはじめとする公知の手段が採用される。転写手段には、一般に上記の帯電器が使用できるが、図6に示されるように転写チャージャ13と分離チャージャ14とを併用したものが効果的である。また、画像露光部8、除電ランプ等の除電光源5には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の発光物のいずれをも用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用いることもでできる。このような光源等は、図6に示される工程の他に、光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程又は前露光等の工程を設けることにより、感光体に光が照射される。現像ユニット9により、感光体4上に現像されたトナーは、転写紙12に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体4上に残存するトナーも生じる。この残存トナーは、ファーブラシ17及びクリーニングブラシ18により、感光体より除去される。このクリーニングは、クリーニングブラシ18のみで行なわれることもあり、クリーニングブラシには、ファーブラシ、マグファーブラシをはじめとする公知のものが採用される。電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られ、正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。このような現像手段には、公知の方法が適用され、また、除電手段にも公知の方法が採用される。
【0022】図7は、本発明の電子写真方法、電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカトリッジの別の例を示す略図である。感光体4は、本発明の感光層が設けられてなるものである。駆動ローラ19により駆動され、帯電チャージャ6による帯電、像露光源20による像露光、現像(図示せず)、転写チャージャ13による転写、クリーニング前露光源21によるクリーニング前露光、クリーニングブラシ18によるクリーニング、除電光源5による除電が繰返し行なわれる。
【0023】以上の図に示した電子写真プロセスは、本発明における実施態様を例示するものであって、その他の実施態様も可能である。例えば、図7においては、支持体側よりクリーニング前露光を行っているが、これは感光層側から行ってもよく、像露光、除電光の照射を支持体側から行ってもよい。また、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光及びその他の公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行なうこともできる。
【0024】上記のような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に組み込まれて固定されていてもよく、着脱自在としたプロセスカートリッジの形態で装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1つの装置(部品)である。図8は、本発明の電子写真装置用プロセスカートリッジの1例を示す概略図である。プロセスカートリッジの形状等は、多数挙げることができるが、図8に示すものは、一般的な1例である。感光体4は、導電性支持体上に本発明の感光層が設けられてなるものである。6は帯電チャージャ、8は画像露光部、18はクリーニングブラシ、22は現像ローラを示す。
【0025】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によってなんら限定されるものではない。なお、「部」とあるのは、重量基準である。
実施例1アルミニウム製シリンダー上に、下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液及び電荷輸送層塗工液を順次、塗布し乾燥して、電子写真感光体を作製した。
〔下引き層塗工液〕
二酸化チタン粉末 15部 アルキド、メラミン樹脂液(固形分) 3部 2−ブタノン 150部〔電荷発生層塗工液〕
チタニルフタロシアニン粉末 1.5部 ポリビニルブチラール 1部 テトラヒドロフラン 90部〔電荷輸送層塗工液〕
ポリカーボネート 10部 下記構造式の電荷輸送物質 8部【化1】

テトラヒドロフラン 80部 シリコンオイル 0.0004部下引き層の膜厚は約3.5μm、電荷発生層の膜厚は約0.5μm、電荷輸送層の膜厚は約20μmであった。この上に、下記組成の保護層液を塗布して保護層を形成した。
〔保護層塗工液〕
ポリカーボネート 15部 下記構造式の電荷輸送物質 11部【化2】

酸化アルミニウム粉体 5部 テトラヒドロフラン 800部 シクロヘキサノン 200部 ポリアクリル酸(分子量75万) 1部【0026】実施例2実施例1において、酸として用いたポリアクリル酸に共役塩基としてドデシルアミンをポリアクリル酸1部に対して0.07部の割合(カルボキシル基に対してアミン基が1対0.04の割合)で混合した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0027】実施例3実施例1において、酸として用いたポリアクリル酸に共役塩基として水酸化ナトリウムをポリアクリル酸1部に対して0.05部の割合で混合した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0028】比較例実施例1において、ポリアクリル酸を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0029】参考例実施例2において、ドデシルアミンをポリアクリル酸(1g)のカルボキシル基と等モル(1.8g)添加した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0030】〔評価〕このようにして作製した積層型電子写真感光体の感度を評価するために、この感光体を、静電複写紙試験装置〔(株)川口電気製作所製〕を用いて、暗所で−6kvのコロナ放電を20秒間行って帯電〔電位Vm(V)〕させた後、さらに20秒間暗所にて放置した後、表面電位V0(V)を測定した。次いで、780nmの単色光を感光体表面で5μW/cm2となる光量により照射し−800Vからの電位が1/2になるまでの露光量E1/2(uJ/cm2)を算出した。さらに、露光後30秒後の電位〔残留電位V30(V)〕を測定した。続いて、感光体が−800Vを維持したまま0.29μA/cm2の電流が流れるよう、白色光量及び帯電量を調整して15分間連続して疲労させ、感光体特性を調べた。結果を表1に示す。
【表1】

【0031】表1から明らかなように、ポリアクリル酸を添加しない比較例1においては、残留電位が高いものであるのに対し、ポリアクリル酸を添加した実施例1においては、残留電位が減少している。ただ、実施例1においては、帯電性がやや低いものとなっている。このように、酸を添加することによって残留電位を低減させることができる。しかし、酸を添加したのみでは、抵抗が低くなりため画像ボケの原因となりやすいため、共役塩基を少量添加することによって(実施例2、3)、帯電性及び残留電位のバランスがとれるものとなる。酸に対する塩基の量は、モル比で0.05以下が好ましい。なお、いずれの感光体においても、金属酸化物が存在するため耐摩耗性に優れたものとなっている。また、電荷輸送層の膜厚を20μmと薄くしたために、高解像度の画像が得られるものである。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、繰り返し使用に対しても耐摩耗性に優れ、かつ静電的に安定した電子写真感光体、この感光体を用いてなる繰り返し使用に対しても異常画像の少ない、安定した画像を得ることのできる電子写真方法、電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカートリッジが提供され、複写装置、ファクシミリ、プリンター等の設計、製作分野に寄与するところは大きい。
【出願人】 【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
【出願日】 平成12年4月25日(2000.4.25)
【代理人】 【識別番号】100074505
【弁理士】
【氏名又は名称】池浦 敏明
【公開番号】 特開2001−305761(P2001−305761A)
【公開日】 平成13年11月2日(2001.11.2)
【出願番号】 特願2000−124081(P2000−124081)