トップ :: G 物理学 :: G03 写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ




【発明の名称】 電子写真感光体およびその製造方法、ならびに、該電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジおよび電子写真装置
【発明者】 【氏名】八百 健二

【氏名】上條 由紀子

【氏名】額田 秀美

【氏名】竹川 一郎

【要約】 【課題】電気的な感度の高い電子写真感光体およびその製造方法、ならびに、該電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供すること。

【解決手段】導電性支持体表面に少なくとも1層の感光層が形成されてなる電子写真感光体において、前記感光層のうち少なくとも1層に、フタロシアニン化合物と、結着樹脂としての高分子化合物と、前記フタロシアニン化合物および前記高分子化合物の双方と親和性を持つ両親和性化合物と、が含まれることを特徴とする電子写真感光体およびその製造方法、ならびに、該電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジおよび電子写真装置である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 導電性支持体表面に少なくとも1層の感光層が形成されてなる電子写真感光体において、前記感光層のうち少なくとも1層に、フタロシアニン化合物と、結着樹脂としての高分子化合物と、前記フタロシアニン化合物および前記高分子化合物の双方と親和性を持つ両親和性化合物と、が含まれることを特徴とする電子写真感光体。
【請求項2】 前記フタロシアニン化合物が、下記一般式(I)で表されるヒドロキシメタルフタロシアニンであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
【化1】

(上記式中、MeはAl、Ga、In、Si、GeまたはSnを示し、X1〜X4は、それぞれ独立にH、Cl、BrまたはIを示す。k、m、p、およびqはそれぞれ独立に1〜4の整数であり、nはMeがAl、GaまたはInの場合は1であり、MeがSi、Ge、またはSnの場合は2である。)
【請求項3】 前記両親和性化合物が、フタロシアニン化合物と親和性を持つ構成単位と、結着樹脂と親和性を持つ構成単位と、を有する高分子化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
【請求項4】 前記両親和性化合物が、下記一般式(II)表される構成単位を有する高分子化合物であることを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体。
【化2】

(上記式中、MeはAl、Ga、In、Si、GeまたはSnを示し、X1〜X4は、それぞれ独立にH、Cl、BrまたはIを示し、R1'は直接結合、炭素数1〜12の置換もしくは未置換のアルキレン基、あるいは、置換もしくは未置換のアリーレン基を示し、R2、R3およびR5〜R8はそれぞれ独立に、水素、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜12の置換もしくは未置換のアルキル基、あるいは、置換もしくは未置換のアリール基を示し、R4は水素または炭素数1〜6の置換もしくは未置換のアルキル基を示し、k、m、p、およびqはそれぞれ独立に1〜4の整数であり、rおよびsは共重合比を表す。)
【請求項5】 前記両親和性化合物が、スルホン酸塩化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1に記載の電子写真感光体の製造方法であって、フタロシアニン化合物と、結着樹脂としての高分子化合物と、両親和性化合物と、を含有する塗布液を導電性支持体表面に浸漬塗布して、少なくとも1層の感光層を形成する工程を含むことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
【請求項7】 請求項1〜5のいずれか1に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、およびクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段と、を含むことを特徴とする、電子写真装置に着脱自在なプロセスカートリッジ。
【請求項8】 請求項1〜5のいずれか1に記載の電子写真感光体、または、請求項7に記載のプロセスカートリッジを含むことを特徴とする電子写真装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真感光体に関するものであり、更に詳しくは、導電性支持体上に感光層を設けてなる電子写真感光体であって、感度の良好な感光層を有する電子写真感光体に関するものである。また本発明は、かかる電子写真感光体の製造方法、ならびに、該電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真感光体は、高速かつ高印字品質が得られるという利点を有するため、複写機およびレーザービームプリンター等の分野において著しく利用されている。これら電子写真装置において用いられる電子写真感光体として、従来からのセレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、硫化カドミウム等無機光導電材料を用いた電子写真感光体に比べ、安価で製造性および廃棄性の点で優れた利点を有する有機光導電材料を用いた電子写真感光体が主流を占める様になってきている。なかでも、露光により電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層と、を積層した機能分離型積層有機感光体は、感度・帯電性およびその繰り返し安定性等、各種電子写真特性の点で優れており、種々の提案が成され、実用化されている。
【0003】しかし、近年複写機及びレーザービームプリンター等のカラー化、高速化が進み、従来の電子写真感光体では対応できない面が出現してきた。その1つが電気的な感度である。帯電プロセスにおいて帯電された表面電位は、露光により減衰するが、この減衰の時間対応が遅いと、画像を形成するまでの時間が長くなり、また、時間を速くしようとすると、コントラストが不十分になり、カラー化、高速化に対応できない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の目的は、電気的な感度の高い電子写真感光体を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる良好な特性を有する電子写真感光体の製造方法、並びに、該電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記した課題について鋭意検討を重ねた結果、電荷発生を担う感光層を、フタロシアニン化合物と、結着樹脂としての高分子化合物と、前記フタロシアニン化合物および前記高分子化合物の双方と親和性を持つ両親和性化合物と、が含まれる構成とすることで、電気的感度の問題を解消することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】一般的に、フタロシアニン化合物、とりわけヒドロキシメタルフタロシアニンは、元々電気的感度が高いが、結着樹脂に対する分散性が十分でない場合があり、その特性を十分に発揮し得ない場合が多かった。しかし、本発明においては、フタロシアニン化合物および前記高分子化合物の双方と親和性を持つ両親和性化合物を感光層に含ませることで、フタロシアニン化合物の均一分散性が実現でき、フタロシアニン化合物固有の特性である高い電気的感度をいかん無く発揮できる。すなわち、【0007】(1)本発明の電子写真感光体は、導電性支持体表面に少なくとも1層の感光層が形成されてなる電子写真感光体において、前記感光層のうち少なくとも1層に、フタロシアニン化合物と、結着樹脂としての高分子化合物と、前記フタロシアニン化合物および前記高分子化合物の双方と親和性を持つ両親和性化合物と、が含まれることを特徴とするものである。
【0008】前記とフタロシアニン化合物しては、ヒドロキシメタルフタロシアニンであることが電気的感度の点で好ましく、下記一般式(I)で表されるヒドロキシメタルフタロシアニンであることが特に好ましい。
【0009】
【化3】

【0010】(上記式中、MeはAl、Ga、In、Si、GeまたはSnを示し、X1〜X4は、それぞれ独立にH、Cl、BrまたはIを示す。k、m、p、およびqはそれぞれ独立に1〜4の整数であり、nはMeがAl、GaまたはInの場合は1であり、MeがSi、Ge、またはSnの場合は2である。)
【0011】ヒドロキシメタルフタロシアニン、とりわけ上記一般式(I)で表されるヒドロキシメタルフタロシアニンは、電気的感度は高いが、結着樹脂に対する分散性に劣るため、本発明の効果が、より一層高く発揮される。
【0012】一般式(I)で表されるヒドロキシメタルフタロシアニンとしては、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることが望ましく、CuKα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、28.1°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニンであることがより望ましい。結着樹脂としての高分子化合物は、下記一般式(III)で表される構成単位を含有する高分子化合物であることが望ましい。
【0013】
【化4】

【0014】(上記式中、R1〜R3およびR5〜R8はそれぞれ独立に、水素、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜12の置換もしくは未置換のアルキル基、あるいは、置換もしくは未置換のアリール基を示し、R4は水素または炭素数1〜6の置換もしくは未置換のアルキル基を示し、rおよびsは共重合比を表す。)
【0015】前記両親和性化合物としては、フタロシアニン化合物と親和性を持つ構成単位と、結着樹脂と親和性を持つ構成単位と、を有する高分子化合物であることが望ましく、下記一般式(II)表される構成単位を有する高分子化合物であることがより望ましい。
【0016】
【化5】

【0017】(上記式中、MeはAl、Ga、In、Si、GeまたはSnを示し、X1〜X4は、それぞれ独立にH、Cl、BrまたはIを示し、R1'は直接結合、炭素数1〜12の置換もしくは未置換のアルキレン基、あるいは、置換もしくは未置換のアリーレン基を示し、R2、R3およびR5〜R8はそれぞれ独立に、水素、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜12の置換もしくは未置換のアルキル基、あるいは、置換もしくは未置換のアリール基を示し、R4は水素または炭素数1〜6の置換もしくは未置換のアルキル基を示し、k、m、p、およびqはそれぞれ独立に1〜4の整数であり、rおよびsは共重合比を表す。)
【0018】前記両親和性化合物としては、スルホン酸塩化合物であることも望ましい態様である。
【0019】本発明の電子写真感光体としては、導電性支持体表面に形成される感光層が、少なくとも、電荷発生機能を有する電荷発生層と、電荷輸送機能を有する電荷輸送層と、からなり、前記電荷発生層がフタロシアニン化合物と、結着樹脂としての高分子化合物と、前記フタロシアニン化合物および前記高分子化合物の双方と親和性を持つ両親和性化合物と、が含まれる層であることが好ましい。
【0020】また、この場合、前記電荷輸送機能を有する電荷輸送層に、電荷輸送材料として、下記一般式(IV)〜(VI)で表される化合物群の中から選ばれる少なくとも1種類以上の化合物が含まれることが好ましい。
【0021】
【化6】

【0022】(上記式中、R9およびR10はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子を表し、R11〜R14はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子または置換アミノ基を表す。またi〜lはそれぞれ独立に、1〜4の自然数を表す。)
【0023】
【化7】

【0024】(上記式中、R15およびR16はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子を表し、mおよびnはそれぞれ独立に、1〜4の自然数を表す。R17は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基を表す。)
【0025】
【化8】

【0026】(上記式中、R18およびR23はそれぞれ独立に、直接結合またはアルキレン基を表し、R19〜R22はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子を表し、o〜rはそれぞれ独立に、1〜4の自然数を表す。)
【0027】(2)本発明の電子写真感光体の製造方法は、上記(1)の電子写真感光体の製造方法であって、フタロシアニン化合物と、結着樹脂としての高分子化合物と、両親和性化合物と、を含有する塗布液を導電性支持体表面に浸漬塗布して、少なくとも1層の感光層を形成する工程を含むことを特徴とする。本発明の電子写真感光体の製造方法によれば、上記優れた特性を有する本発明の電子写真感光体を容易に製造することができる。
【0028】(3)本発明のプロセスカートリッジは、上記(1)の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、およびクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段と、を含むことを特徴とし、電子写真装置に着脱自在なものである。
【0029】(4)本発明の電子写真装置は、上記(1)の電子写真感光体、または、上記(3)のプロセスカートリッジを含むことを特徴とする。
電子写真装置は、一般に、電子写真感光体と、該電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、電子写真感光体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、トナーにより電子写真感光体表面の静電潜像を現像してトナー画像を得る現像手段と、形成されたトナー画像を転写材表面に転写する転写手段と、を有するものであり、本発明の電子写真装置は、このうちの電子写真感光体が上記(1)の電子写真感光体であるか、あるいは、同電子写真感光体を含む部材群が上記(3)のプロセスカートリッジであることを特徴とするものである。本発明の電子写真装置において、前記帯電手段としては、接触帯電方式の帯電手段であることであることが望ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。
<電子写真感光体>本発明の電子写真感光体は、導電性支持体表面に少なくとも1層の感光層が形成されてなる電子写真感光体において、前記感光層のうち少なくとも1層に、フタロシアニン化合物と、結着樹脂としての高分子化合物と、前記フタロシアニン化合物および前記高分子化合物の双方と親和性を持つ両親和性化合物と、が含まれることを特徴とする。以下、かかる感光層を「本発明の構成を成す感光層」と称する。本発明の構成を成す感光層は、電荷発生を担う感光層である。
【0031】(電子写真感光体の全体構成)本発明の電子写真感光体の構成について、図を用いて説明する。本発明の電子写真感光体は、以下に示すいずれの構成であっても問題無く、逆に、これらの構成に限定されるものではない。なお、以下に示す電子写真感光体の構成を示す各概略断面図は、電子写真感光体の一部について拡大して表したものである。
【0032】図1は、第1の実施形態の電子写真感光体の構成を示す概略断面図である。この電子写真感光体は、導電性支持体1上に電荷発生層3−aが設けられ、その上に電荷輸送層3−bが設けられている。第1の実施形態の電子写真感光体では、電荷発生層3−aが本発明の構成を成す感光層となる。
【0033】図2は、第2の実施形態の電子写真感光体の構成を示す概略断面図である。この電子写真感光体は、第1の実施形態の層構成に対し、さらに導電性支持体1と電荷発生層3−aとの間に、下引き層2が設けられているものである。第2の実施形態の電子写真感光体でも、電荷発生層3−aが本発明の構成を成す感光層となる。
【0034】図3は、第3の実施形態の電子写真感光体の構成を示す概略断面図である。この電子写真感光体は、第1の実施形態の層構成に対し、さらに電荷輸送層3−b上に表面保護層4が設けられているものである。第3の実施形態の電子写真感光体でも、電荷発生層3−aが本発明の構成を成す感光層となる。
【0035】図4は、第4の実施形態の電子写真感光体の構成を示す概略断面図である。この電子写真感光体は、第3の実施形態の層構成に対し、さらに導電性支持体1と電荷発生層3−aとの間に、下引き層2が設けられているものである。第4の実施形態の電子写真感光体でも、電荷発生層3−aが本発明の構成を成す感光層となる。
【0036】図5は、第5の実施形態の電子写真感光体の構成を示す概略断面図である。この電子写真感光体は、導電性支持体1上に単層型の感光層3−cが設けられている。第5の実施形態の電子写真感光体では、単層型の感光層3−cが本発明の構成を成す感光層となる。
【0037】図6は、第6の実施形態の電子写真感光体の構成を示す概略断面図である。この電子写真感光体は、第5の実施形態の層構成に対し、さらに導電性支持体1と単層型の感光層3−cとの間に下引き層2が設けられているものである。第6の実施形態の電子写真感光体でも、単層型の感光層3−cが本発明の構成を成す感光層となる。
【0038】図7は、第7の実施形態の電子写真感光体の構成を示す概略断面図である。この電子写真感光体は、第6の実施形態の層構成に対し、さらに単層型の感光層3−c上に表面保護層4が設けられているものである。第7の実施形態の電子写真感光体でも、単層型の感光層3−cが本発明の構成を成す感光層となる。本発明の電子写真感光体としては、これらの構成のうち、少なくとも、第1の実施形態〜第4の実施形態の如き、電荷発生層と電荷輸送層とを含む2層以上からなる機能分離型(積層型)電子写真感光体が、より一層高い電気感度を実現するという目的において好ましい。
【0039】(本発明の構成を成す感光層)本発明の構成を成す感光層は、フタロシアニン化合物と、結着樹脂としての高分子化合物と、前記フタロシアニン化合物および前記高分子化合物の双方と親和性を持つ両親和性化合物と、が含まれる。また、本発明の構成を成す感光層には、その他の物質が含まれていてもよい。以下、各構成成分毎に説明し、最後に本発明の構成を成す感光層の形成について説明する。
【0040】a)フタロシアニン化合物本発明で用いられるフタロシアニン化合物としては、特に限定されるものではなく、公知のあらゆるフタロシアニン化合物を挙げることができ、具体的には例えば、無金属フタロシアニン化合物、メタルフタロシアニン、ヒドロキシメタルフタロシアニン、ハロゲン化メタルフタロシアニン等を挙げることができる。
【0041】これらのなかでも、電気的感度の点でヒドロキシメタルフタロシアニンが好ましく、とりわけ下記一般式(I)で表されるヒドロキシメタルフタロシアニンは、電気的感度は高いが、結着樹脂に対する分散性に劣るため、本発明の効果が、より一層高く発揮される。
【0042】
【化9】

【0043】(上記式中、MeはAl、Ga、In、Si、GeまたはSnを示し、X1〜X4は、それぞれ独立にH、Cl、BrまたはIを示す。k、m、p、およびqはそれぞれ独立に1〜4の整数であり、nはMeがAl、GaまたはInの場合は1であり、MeがSi、Ge、またはSnの場合は2である。)
【0044】一般式(I)で表されるヒドロキシメタルフタロシアニンは、極めて高い電気感度を示す。本発明で特に好ましく使用できるヒドロキシメタルフタロシアニンは、一般式(I)で表される範囲であれば、特に限定されるものではないが、ヒドロキシガリウムフタロシアニンが、より電気感度が高く好ましい。なかでも、CuKα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、28.1°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニンが、他層との組み合わせも含めて、特に好ましい。
【0045】b)結着樹脂本発明で用いられる結着樹脂は、高分子化合物であれば特に限定されるものではなく、公知の高分子化合物を使用することができるが、一般式(I)で表されるヒドロキシメタルフタロシアニンを均一に分散させるという観点で、下記一般式(III)で表される構成単位を含有する高分子化合物であることが望ましい。
【0046】
【化10】

【0047】(上記式中、R1〜R3およびR5〜R8はそれぞれ独立に、水素、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜12の置換もしくは未置換のアルキル基、あるいは、置換もしくは未置換のアリール基を示し、R4は水素または炭素数1〜6の置換もしくは未置換のアルキル基を示し、rおよびsは共重合比を表す。)
【0048】上記一般式(III)中のR1〜R3およびR5〜R8で表されるアルキル基としては、直鎖型、分岐型および環状のいずれであってもよく、また、R4で表されるアルキル基としては、直鎖型および分岐型のいずれであってもよい。
【0049】上記一般式(III)中に置換アルキル基が含まれる場合、当該置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、ケイ素含有基、ビニル基、アルコキシ基等が挙げられ、アクセプター性の程度が適合する点からハロゲン原子が最も好ましい。共重合比r:sとしては、1:9〜9:1の範囲とすることが好ましく、2:8〜5:5の範囲とすることがより好ましい。
【0050】それ以外の高分子化合物としては、ビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプあるいはその他のタイプのポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾールなどが挙げられる。
【0051】これらの結着樹脂は、単独あるいは2種以上混合して用いることが可能である。フタロシアニン化合物と結着樹脂との配合比(重量比)としては、10:1〜1:10の範囲が望ましく、3:7〜7:3の範囲がより望ましい。
【0052】c)両親和性化合物本発明において、「両親和性化合物」とは、前記フタロシアニン化合物および前記高分子化合物の双方と親和性を持つ化合物のことを言う。ここで「親和性」とは、前記フタロシアニン化合物および前記高分子化合物の双方に対し、反応性(結合性)を有するか、あるいは、相溶性を有することを意味する。前記反応性とは、詳しくは、化合物同士が一定の反応により、安定な状態で結合状態を形成していることを言う。また、前記相溶性とは、溶解度パラメーターが同一ないしは近似していることを意味し、例えば、基本骨格構造中の極性基が同一もしくは類似している場合(具体的には、共にビニル系の重合体である場合、共に同じ芳香環を有している場合等)には、相溶性が良好であるといえる。
【0053】本発明において、前記フタロシアニン化合物の分散性を向上させる目的で用いられる両親和性化合物としては、前記フタロシアニン化合物および前記高分子化合物の双方と親和性を持つ化合物であれば特に限定されないが、好ましい態様として、■前記フタロシアニン化合物と親和性を持つ構成単位と、前記結着樹脂と親和性を持つ構成単位と、を有する高分子化合物、および、■スルホン酸塩化合物、の2つが挙げられる。
【0054】■前記フタロシアニン化合物と親和性を持つ構成単位と、前記結着樹脂と親和性を持つ構成単位と、を有する高分子化合物両親和性化合物とするためには、これを高分子化合物とし、その構成単位として、それぞれと親和性を持つものを採用することが有効である。なかでも、前記フタロシアニン化合物と同一ないし近似した構造を持つ構成単位と、前記結着樹脂と同一ないし近似した構造(特に、同一の構造)を持つ構成単位と、を有する高分子化合物が、前記フタロシアニン化合物および前記高分子化合物の双方と極めて相溶性が高く、特に好ましい。
【0055】このような高分子化合物としては、上記の条件を満たすものであれば、特に限定されるものではないが、下記一般式(II)表される構成単位を有する高分子化合物であることが、フタロシアニン化合物(特には、ヒドロキシメタルフタロシアニン)と、結着樹脂である高分子化合物と、のインタラクションを強め、分散性を格段に向上させ得る点で特に好ましい。
【0056】
【化11】

【0057】(上記式中、MeはAl、Ga、In、Si、GeまたはSnを示し、X1〜X4は、それぞれ独立にH、Cl、BrまたはIを示し、R1'は直接結合、炭素数1〜12の置換もしくは未置換のアルキレン基、あるいは、置換もしくは未置換のアリーレン基を示し、R2、R3およびR5〜R8はそれぞれ独立に、水素、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜12の置換もしくは未置換のアルキル基、あるいは、置換もしくは未置換のアリール基を示し、R4は水素または炭素数1〜6の置換もしくは未置換のアルキル基を示し、k、m、p、およびqはそれぞれ独立に1〜4の整数であり、rおよびsは共重合比を表す。)
【0058】上記一般式(II)中のR1'で表されるアルキレン基、および、R2、R3、R5〜R8で表されるアルキル基としては、直鎖型、分岐型および環状のいずれであってもよく、また、R4で表されるアルキル基としては、直鎖型および分岐型のいずれであってもよい。
【0059】両親和性化合物として、前記フタロシアニン化合物と親和性を持つ構成単位と、前記結着樹脂と親和性を持つ構成単位と、を有する高分子化合物を用いた場合には、その添加量としては、フタロシアニン化合物100重量部に対して0.01〜30重量部の範囲とすることが好ましく、0.05〜20重量部の範囲とすることがより好ましい。
【0060】■スルホン酸塩化合物両親和性化合物としてのスルホン酸塩化合物は、その構造中にスルホン酸またはスルホン酸塩が含まれていれば、何ら限定されるものではないが、具体例としては、下記一般式(VII)〜一般式(X)で表される化合物を挙げることができ、これらのなかでも下記一般式(VII)で表されるフタロシアニン系スルホン酸またはフタロシアニン系スルホン酸塩が、電荷発生材料として使用するフタロシアニン化合物との相溶性に優れ、好ましい。さらに、下記一般式(VII)中の中心金属Meが、電荷発生材料として使用するフタロシアニン化合物の中心金属と同一のものであることが特に好ましい。
【0061】
【化12】

【0062】(上記式中、MeはAl、Ga、In、Si、GeまたはSnを示し、X1〜X4は、それぞれ独立にH、Cl、BrまたはIを示す。k、m、q、およびpはそれぞれ独立に1〜4の整数であり、nはMeがAl、GaまたはInの場合は1であり、MeがSi、Ge、またはSnの場合は2である。Dは、直接結合、炭素数1〜20のアルキレン基、または、炭素数1〜20の1部置換されたアルキレン基を示す。Zは水素またはアルカリ金属を表す。
【0063】Gはポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリビニル系ポリマーまたはそれらの共重合体等の高分子鎖を表し、Rは分子量3000以下の置換基を表し、G1〜G8はそれぞれ独立にGと同様の高分子鎖を表す。)
【0064】両親和性化合物として、スルホン酸塩化合物を用いた場合には、その添加量としては、フタロシアニン化合物100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲とすることが好ましく、0.05〜5重量部の範囲とすることがより好ましい。
【0065】d)その他の物質本発明の構成を成す感光層には、その他の物質を含有させることもできる。該その他の物質としては、電子写真装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光・熱による感光体の劣化を防止する目的で添加する、酸化防止剤・光安定剤・熱安定剤などの添加剤を挙げることができる。また、本発明の構成を成す感光層が単層型の感光層である場合には、必要に応じて光電特性を改善する等の目的で、電荷輸送材料を添加してもよい。
【0066】酸化防止剤としては、具体的にはフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、有機イオウ系酸化防止剤、有機燐系酸化防止剤などが挙げられる。有機硫黄系および有機燐系酸化防止剤は、2次酸化防止剤と言われフェノール系あるいはアミン系などの1次酸化防止剤と併用することにより相乗効果を得ることができる。酸化防止剤の添加量としては、本発明の構成を成す感光層の全固形分の15重量%以下が好ましく、より好ましくは10重量%以下である。
【0067】光安定剤としては、具体的にはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テトラメチルピペリジン系などの誘導体が挙げられる。光安定剤の添加量としては、本発明の構成を成す感光層の全固形分の5重量%以下が好ましく、より好ましくは1重量%以下である。
【0068】また感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、本発明の構成を成す感光層中に1種以上の電子受容性物質を含有せしめることもできる。本発明に使用可能な電子受容性物質としては、電子受容性を示すものであれば特に限定されるものではないが、特にフルオレノン系、キノン系や、Cl,CN,NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が好ましい。電子受容性物質の添加量としては、本発明の構成を成す感光層の全固形分の10重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以下である。本発明の構成を成す感光層が単層型の感光層である場合に必要に応じて添加される電荷輸送材料は、後述の電荷輸送層の項で述べるものと同様である。その添加量は、感光層の全固形分の5〜50重量%とすることが好ましい。
【0069】e)本発明の構成を成す感光層の形成(本発明の電子写真感光体の製造方法)
本発明の構成を成す感光層は、前記フタロシアニン化合物と、前記結着樹脂としての高分子化合物と、前記両親和性化合物と、必要に応じて添加されるその他の物質と、を適当な有機溶媒に溶解、分散した塗布液を調製し、該塗布液を導電性支持体表面、あるいは、導電性支持体表面に形成された後述の電荷輸送層の上に塗布した後、加熱乾燥することにより形成することができる。
【0070】塗布に供する有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル類;クロロホルム、ジクロルメタン、ジクロルエタン、四塩化炭素、トリクロルエチレンなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどのエステル類;あるいはベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼンなどの芳香族類;などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの有機溶媒は、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0071】また、塗布液には平滑性向上のためのレベリング剤として、シリコーンオイルを微量添加することもできる。前記塗布液の固形分濃度としては、0.1〜50重量%の範囲とすることが望ましく、0.5〜10重量%の範囲とすることがより望ましい。フタロシアニン化合物を結着樹脂の溶解した塗布液中に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、ダイノーミル、サンドミル、コロイドミルなどの方法を採用することができる。
【0072】塗布方法としては、感光体の形状や用途に応じて浸漬塗布法、リング塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラー塗布法等の通常の方法を採用することができる。乾燥は、室温での指触乾燥の後に加熱乾燥するのが好ましい。加熱乾燥は、30℃〜200℃の温度で5分〜2時間の範囲の時間で行うことが望ましい。
【0073】本発明の構成を成す感光層が電荷発生層である場合には、その厚みは、一般には0.01〜5μm、好ましくは0.05〜2.0μmの範囲に設定される。一方、本発明の構成を成す感光層が単層型の感光層である場合には、その厚みは5〜50μm程度であり、10〜40μmとすることがさらに好ましい。以上のように本発明の構成を成す感光層は、導電性支持体表面(下引き層が形成されている場合には、その上)に形成される。
【0074】(導電性支持体)前記導電性支持体としては、一般に電子写真感光体の導電性支持体として用いられているものであれば特に制限はなく、公知の支持体、例えば、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、ニッケル等の金属類;蒸着により、アルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム、酸化インジウム、酸化錫等の薄膜を設けた、紙、プラスチックまたはガラス;蒸着同様の金属からなる金属箔をラミネートした紙、プラスチックまたはガラス;カーボンブラック、酸化インジウム、酸化錫−酸化アンチモン粉・金属粉・沃化銅等を結着樹脂に分散した塗布液を塗布して導電処理した紙、プラスチックまたはガラス;等各種の支持体が好適に挙げられる。
【0075】前記導電性支持体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドラム状、シート状、プレート状、パイプ状等が挙げられる。
【0076】前記導電性支持体には、必要に応じて、鏡面切削、エッチング処理、陽極酸化処理、粗切削処理、センタレス研削処理、サンドブラスト処理、ウエットホーニング処理等の各種の表面処理を行うことができる。前記表面処理によって、支持体表面を粗面化することにより、レーザービームのような可干渉光源を用いた場合に発生し得る感光体内での干渉光による木目状の濃度斑を防止することができる。特に、前記導電性支持体として、金属製のパイプ基材を用いる場合に、有効である。粗面化の程度としては、中心線平均粗さRa75(JIS B 0601)で、0.05〜2μmの範囲とすることが望ましい。
【0077】(下引き層)導電性支持体の表面(感光層の下)には、必要に応じて下引き層を設けてもよい。下引き層は、導電性支持体からの不必要な電荷の注入を阻止するために有効なものであり、感光体の帯電性を向上させる作用を有している。さらに、感光層と導電性支持体との接着性を向上させる作用も有している。
【0078】前記下引き層としては、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物や、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、マンガンあるいはシリコン原子等を包含する有機金属化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、複数化合物の重縮合物として用いてもよい。
【0079】更に、これらの化合物の中でも、ジルコニウムもしくはシリコンを含有する有機金属化合物を用いた場合には、残留電位を低下させることができるため、環境による電位変化が少なく、繰り返し使用による電位の変化が少ない等、優れた性能を得ることができる。
【0080】前記シリコンを含有する有機金属化合物としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。
【0081】前記ジルコニウムを含有する有機金属化合物としては、例えばジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
【0082】前記チタンを含有する有機金属化合物としては、例えばテトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
【0083】前記アルミニウムを含有する有機金属化合物としては、例えばアルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
【0084】前記下引き層中には、電気特性の向上や光散乱性の向上等を目的として、必要に応じて、各種の有機または無機微粉末を含有させることができる。前記有機または無機微粉末としては、特に制限はなく、公知の有機又は無機微粉末から適宜選択して用いることができるが、特に、電子輸送性を有する多環キノン系顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料などの有機顔料;酸化チタン、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料やアルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料;テフロン(登録商標)樹脂粒子;ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子;などが有効である。これら有機または無機微粉末の粒径としては、0.01〜2μm程度のものが好ましい。
【0085】前記有機または無機微粉末は必要に応じて添加されるが、添加される場合には下引き層の固形分に対して、重量比で10〜60重量%程度とすることが好ましく、30〜70重量%程度とすることがより好ましい。
【0086】前記有機又は無機微粉末を、前記下引層中に分散・含有させるには、前記有機又は無機微粉末を、前記樹脂成分等が溶解された溶液中に添加した後、分散処理して行う。前記分散処理は、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等を用いて行うことができる。前記溶液に用いる溶剤は、本発明の構成を成す感光層のところで述べたものと同様のものを用いることができる。
【0087】前記下引き層の厚みとしては、0.1〜10μmが好ましい。前記下引き層の厚みが、0.1μm以下の場合には、前記導電性支持体の隠蔽が不十分となるため、黒点や白点が発生することがある一方、10μmを超える場合には、残留電位が増加することがある。
【0088】(電荷輸送層)本発明の電子写真感光体が、機能分離型(積層型)電子写真感光体である場合には、電荷輸送層が形成される。電荷輸送層は、前記本発明の構成を成す感光層である電荷発生層の上に形成されてもよいし、その逆でもよい。前記電荷輸送層は、少なくとも電荷輸送材料および結着樹脂からなる。
【0089】電荷輸送層に用いられる電荷輸送材料としては、電荷を輸送する機能を持つ材料であれば特に限定されるものではないが、一例を挙げると、オキサジアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、芳香族第3級アミノ化合物、芳香族第3級ジアミノ化合物、1,2,4−トリアジン誘導体、ヒドラゾン誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、α−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、カルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質;キノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、フルオレノン化合物、オキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、ジフェノキノン化合物などの電子輸送物質;あるいは以上に示した化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体;などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。
【0090】本発明の電子写真感光体においては、特に下記一般式(IV)〜(VI)で表される化合物群の中から選ばれる少なくとも1種類以上の化合物を電荷輸送材料として用いることが、前記本発明の構成を成す感光層である電荷発生層との組み合わせにおいて好ましい。
【0091】
【化13】

【0092】(上記式中、R9およびR10はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子を表し、R11〜R14はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子または置換アミノ基を表す。またi〜lはそれぞれ独立に、1〜4の自然数を表す。)
【0093】
【化14】

【0094】(上記式中、R15およびR16はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子を表し、mおよびnはそれぞれ独立に、1〜4の自然数を表す。R17は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基を表す。)
【0095】
【化15】

【0096】(上記式中、R18およびR23はそれぞれ独立に、直接結合またはアルキレン基を表し、R19〜R22はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子を表し、o〜rはそれぞれ独立に、1〜4の自然数を表す。)
これらの中でも、下記化学式(1)〜(3)で表される化合物が、他の材料との組み合わせにおいて、優れた電荷輸送機能を示し、特に好ましい。
【0097】
【化16】

【0098】電荷輸送層に使用する結着樹脂については、特に限定されるものではないが、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、含珪素架橋型樹脂等が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、併用してもよい。
【0099】電荷輸送層には、その他の物質として、本発明の構成を成す層の項で述べた酸化防止剤・光安定剤・熱安定剤などの添加剤を含有させることもでき、その添加割合も同様である。
【0100】電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(重量比)は、10:1〜1:5の範囲が好ましい。電荷輸送層は、電荷輸送材料と、結着樹脂と、必要に応じて添加されるその他の物質と、を適当な有機溶媒に溶解、分散した塗布液を調製し、該塗布液を導電性支持体表面に形成された既述の電荷発生層の上、あるいは、導電性支持体表面に塗布した後、加熱乾燥することにより形成することができる。塗布に供する有機溶媒としては、本発明の構成を成す感光層の項で述べたものと同様の有機溶媒が好適に用いられる。
【0101】電荷輸送材料を結着樹脂中および有機溶媒に溶解、分散させる方法、および、塗布液の塗布方法としては、本発明の構成を成す感光層の項で述べたものと同様の方法を採用することができる。電荷輸送層の乾燥膜厚は、一般的には5〜50μmであり、好ましくは10〜30μmである。
【0102】(表面保護層)感光層の上には必要に応じ表面保護層を形成することができる。表面保護層としては、絶縁性樹脂保護層と、絶縁性樹脂の中に抵抗調整剤を添加した低抵抗保護層と、がある。低抵抗保護層の場合には、例えば絶縁性樹脂中に導電性微粒子を分散した層が挙げられる。該導電性微粒子としては、電気抵抗が109Ω・cm以下で白色、灰色もしくは青白色を呈する平均粒径が0.3μm以下(好ましくは0.1μm以下)の微粒子が適当であり、例えば、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸化インジウム、酸化錫とアンチモンあるいは酸化アンチモンとの固溶体の担体またはこれらの混合物、あるいは単一粒子中にこれらの金属酸化物を混合したものや、被覆したものが挙げられる。なかでも、酸化錫、酸化錫とアンチモンあるいは酸化アンチモンとの固溶体は電気抵抗を適切に調節することが可能で、かつ、保護層を実質的に透明にすることが可能であるので、好ましく用いられる。
【0103】絶縁性樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート等の縮合樹脂や、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルアミドのようなビニル重合体等が用いられる。
【0104】表面保護層は、上記表面保護層を構成する成分を適当な有機溶媒に溶解、分散した塗布液を調製し、該塗布液を感光層の上に塗布した後、加熱乾燥することにより形成することができる。塗布に供する有機溶媒としては、本発明の構成を成す感光層の項で述べたものと同様の有機溶媒が好適に用いられる。塗布液の濃度は、その組成および塗布適性から、適宜選択すればよい。
【0105】また、塗布液の塗布方法としては、本発明の構成を成す感光層の項で述べたものと同様の方法を採用することができる。表面保護層の乾燥膜厚は、一般的には0.5〜20μmであり、好ましくは1〜6μmである。
【0106】(電子写真感光体の用途)以上のようにして得られた本発明の電子写真感光体は、ライトレンズ系複写機、近赤外光もしくは可視光に発光するレーザービームプリンター、ディジタル複写機、LEDプリンター、レーザーファクシミリ等の電子写真装置、あるいは該電子写真装置に備えられるプロセスカートリッジに好適に用いることができる。また、前記本発明の電子写真感光体は、一成分系、二成分系の正規現像剤あるいは反転現像剤とも併用することができる。更に、前記本発明の電子写真感光体は、帯電ローラーや帯電ブラシを有する接触帯電器を備えた電子写真装置に用いても、電流リークの発生が少なく、容易に良好な画質を得ることができる。
【0107】<電子写真装置>次に、前記本発明の電子写真感光体を備えた電子写真装置について説明する。図8は、本発明の電子写真感光体を備えた電子写真装置の第1の実施形態を示す概略説明図である。この電子写真装置は、本発明の電子写真感光体である電子写真感光体10と、電子写真感光体10の表面を帯電する帯電器(帯電手段)11と、帯電器11に電圧を印加するための電源12と、電子写真感光体10の表面に潜像を形成する画像入力器(潜像形成手段)13と、トナーにより電子写真感光体10表面の静電潜像を現像してトナー画像を得る現像器(現像手段)14と、形成されたトナー画像を転写材20表面に転写する転写器(転写手段)15と、電子写真感光体10表面の残存トナー等を除去するクリーニング器(クリーニング手段)16と、電子写真感光体10表面の残存電位を除去する除電器17と、転写材20表面に転写されたトナー画像を熱および/または圧力等により定着する定着器18と、を有する。電子写真感光体10の上には、コロナ放電方式(非接触帯電方式)の帯電器11が配置され、帯電器11は、電源12から供給された電圧により作動する。
【0108】図9は、本発明の電子写真感光体を備えた電子写真装置の第2の実施形態を示す概略説明図である。図9において、図8と同じ符号は、図8と同様の部材及び構成を示している。図9においては、帯電器11’として帯電ローラー等の接触帯電方式の帯電器が採用されている点が、第1の実施形態の電子写真装置と異なっている。
【0109】帯電器11’を構成する接触帯電用部材としては、例えば、導電性を付与したゴム状のロールであるBCRとよばれる部材などがある。接触帯電方式では、帯電器が電子写真感光体と接触するため、コロナ放電方式と比較してオゾンを発生しにくいというメリットがある。しかし、電子写真感光体に与える機械的ストレスが強いため、電子写真感光体の磨耗が促進されるという欠点もある。なお、本実施形態のように接触帯電方式の帯電器を用いる構成の場合、除電器17が設けられていないものもある。
【0110】接触帯電方式の帯電器の中でも、注入帯電型の帯電器を用いることが好ましい。注入帯電型の帯電器としては、特開平11−212333号公報に記載の発明等、種々の方式のものがあるが、例えば、カーボンブラックなどの導電粉を蒸留水等に混入した液体を、ウレタン等のスポンジに染み込ませて、これを電子写真感光体に接触させて、接触帯電を実施する液体注入帯電方式の帯電器等が挙げられる。注入帯電型の帯電器を用いるメリットは、電子写真感光体と帯電器との隙間での放電によるNOX等の生成を防止し、電子写真感光体のクリーニング機構を省略することができる点にある。注入帯電型の帯電器を用いた場合、放電性生物が生じない利点を生かして、回収トナー量を削減し、電子写真感光体の磨耗を減少させる目的でクリーニング機能を排除することも好ましい。
【0111】図10は、本発明の電子写真感光体を備えた電子写真装置の第3の実施形態を示す概略説明図である。図10において、図8と同じ符号は、図8と同様の部材及び構成を示している。また、帯電器11’として帯電ローラー等の接触帯電方式の帯電器が採用され、かつ、クリーニング手段が省略された構成となっている。なお、図10においては、画像入力器、除電器、および電源の図示が省略されているが、勿論、本電子写真装置には、これら部材も備えられている。
【0112】この電子写真装置では、第1の実施形態の電子写真装置と異なり、本発明の電子写真感光体である電子写真感光体10、帯電器11、および現像器14が、カートリッジ19により一体に支持されている。
【0113】このように、前記本発明の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、および本実施形態では含まれないクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段と、を一体に支持し、電子写真装置に着脱自在であるプロセスカートリッジを用いることにより、ユーザーはトナーによる手や衣服の汚れを回避することができるという利点を有する。
【0114】以上、本発明の電子写真感光体を備えた電子写真装置について、3つの実施形態を挙げて説明したが、本発明の電子写真感光体は、これら実施形態に示された電子写真装置に限定されず、あらゆる電子写真装置に好適に使用することができる。
【0115】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって限定されるものではない。
<実施例1>[電子写真感光体の作製]
(導電性支持体の準備)導電性支持体には、ED管アルミニウム(84mmφ)の表面を、アルミナ球状微粉末(体積平均粒子径D50=30μm)を用いて液体ホーニング法により中心線平均粗さRa75=0.18μmに粗面化処理したものを用いた。
【0116】(下引き層の形成)ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学社製)4重量部をn−ブチルアルコール170重量部に溶解させ、さらに有機ジルコニウム化合物(アセチルアセトンジルコニウムブチレート)30重量部および有機シラン化合物(γ−アミノプロピルトリメトキシシラン)3重量部の混合物を混合攪拌し、下引き層形成用塗布液を得た。前記導電性支持体の表面に、得られた下引き層形成用塗布液を浸漬塗布法により塗布し、150℃において1時間の硬化処理を行い、膜厚1.2μmの下引き層を形成した。
【0117】(電荷発生層の形成)CuKα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、28.1°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン3重量部、結着樹脂としての塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(VMCH、日本ユニカー社製)2重量部、両親和性化合物としての下記化合物(5−1)0.05重量部、および、モノクロロベンゼン105重量部からなる混合物をサンドミルにより4時間分散処理し、電荷発生層形成用塗布液を得た。
【0118】
【化17】

【0119】前記下引き層が形成された導電性支持体の表面に、得られた電荷発生層形成用塗布液を浸漬塗布法により塗布し、これを135℃において15分間乾燥させて膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0120】(電荷輸送層の形成)N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン4重量部と、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ300、三菱化学社製)6重量部と、をテトラヒドロフラン60重量部および2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.2重量部に加えて溶解させ、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
【0121】前記下引き層および電荷発生層が形成された導電性支持体の表面に、得られた電荷輸送層形成用塗布液を浸漬塗布法により塗布し、これを120℃において40分間乾燥させて、膜厚25μmの電荷輸送層を形成した。以上のようにして、3層からなる実施例1の電子写真感光体を作製した。
【0122】(評価試験)得られた実施例1の電子写真感光体を、接触帯電方式の帯電器を有するプリンター(PC−PR1000/4R、日本電気社製)に装着して、A4用紙で3万枚のプリントテストを行い、1万枚プリント後の画質を評価し、また、3万枚プリント後の電子写真感光体の電気感度(dV/dE)、残留電位および帯電電位について測定し、評価を行った。結果を下記表1にまとめて示す。
【0123】<実施例2>実施例1において、電荷発生層の結着樹脂として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(VMCH、日本ユニカー社製)の代わりに、下記化合物(5−2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例2の電子写真感光体を作製した。
【0124】
【化18】

【0125】得られた実施例2の電子写真感光体について、実施例1と同様の評価試験を実施した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0126】<実施例3>実施例1において、電荷発生層の両親和性化合物として、前記化合物(5−1)の代わりに、下記化合物(5−3)を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例3の電子写真感光体を得た。
【0127】
【化19】

【0128】得られた実施例3の電子写真感光体について、実施例1と同様の評価試験を実施した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0129】<実施例4>実施例1において、電荷発生層の両親和性化合物として、前記化合物(5−1)の代わりに、下記化合物(6−1)を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例4の電子写真感光体を得た。
【0130】
【化20】

【0131】得られた実施例4の電子写真感光体について、実施例1と同様の評価試験を実施した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0132】<実施例5>実施例4において、電荷発生層の結着樹脂として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(VMCH、日本ユニカー社製)の代わりに、前記化合物(5−2)を用いたこと以外は実施例4と同様にして実施例5の電子写真感光体を作製した。得られた実施例5の電子写真感光体について、実施例1と同様の評価試験を実施した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0133】<実施例6>実施例1において、電荷発生層の両親和性化合物として、前記化合物(5−1)の代わりに、CH3(CH212−SO3Hを用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例6の電子写真感光体を得た。得られた実施例6の電子写真感光体について、実施例1と同様の評価試験を実施した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0134】<比較例1>実施例1において、電荷発生層の両親和性化合物である化合物前記(5−1)を加えなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の電子写真感光体を得た。得られた比較例1の電子写真感光体について、実施例1と同様の評価試験を実施した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0135】
【表1】

【0136】上記表1で明らかなように、実施例1〜6で得られた本発明の電子写真感光体は、接触帯電装置により帯電させる方式のプリンターに装着してプリントテストを行っても、いずれも電気感度が高く、良好な画質が得られた。これは、電荷発生層において、本質的に高感度なヒドロキシメタルフタロシアニンの特性が、結着樹脂、および、それら双方と親和性を持つ両親和性化合物の組み合わせにより、良好な均一分散性が得られることから発現しているためであると推察される。これに対して、本発明の範囲に含まれない比較例1で得られた電子写真感光体では、暗減衰が上昇し、帯電性が低下して、電気感度も低下しており、低濃度部分にかぶりの発生が見られた。
【0137】<実施例7>導電性支持体には、ED管アルミニウム(84mmφ)の表面に、アルミナ球状微粉末(体積平均粒子径D50=30μm)を用いて液体ホーニング法により中心線平均粗さRa75=0.18μmに粗面化処理したものを用いた。
【0138】(下引き層の形成)ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学社製)16重量部とシクロヘキサノン550重量部とを混合攪拌し、次いで、この混合液にレゾール型フェノール樹脂(フェノライトJ−325、大日本インキ化学社製)8重量部を加えて攪拌し、さらに、この混合液に酸化チタン顔料60重量部を加えて、サンドグラインドミルにより5時間分散処理し、下引き層形成用塗布液を得た。前記導電性支持体の表面に、得られた下引き層形成用塗布液を浸漬塗布法により塗布し、170℃において1時間の硬化処理を行い、膜厚4μmの下引き層を形成した。
【0139】(電荷発生層の形成)CuKα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、28.1°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン3重量部、結着樹脂としての塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(VMCH、日本ユニカー社製)2重量部、両親和性化合物としての前記化合物(5−1)0.05重量部、および、モノクロロベンゼン105重量部からなる混合物をサンドミルにより4時間分散処理し、電荷発生層形成用塗布液を得た。前記下引き層が形成された導電性支持体の表面に、得られた電荷発生層形成用塗布液を浸漬塗布法により塗布し、これを135℃において15分間乾燥させて膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0140】(電荷輸送層の形成)N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン40重量部と、ビスフェノールZ型ポリカーボネート(ユーピロンZ300、三菱化学社製)60重量部と、をテトラヒドロフラン200重量部に加えて溶解させ、電荷輸送層形成用塗布液を得た。前記下引き層および電荷発生層が形成された導電性支持体の表面に、得られた電荷輸送層形成用塗布液を浸漬塗布法により塗布し、これを115℃において45分間乾燥させて、膜厚27μmの電荷輸送層を形成した。以上のようにして、3層からなる実施例7の電子写真感光体を作製した。
【0141】(評価試験)得られた実施例7の電子写真感光体を、カラー複写機(A−Color635、富士ゼロックス社製)に装着し、光量を調整してプリントテストを行い、A4用紙で5000枚プリントテストを行い、5000枚プリント後の画質(かぶりおよび黒点数)について評価を行った。結果を下記表2にまとめて示す。
【0142】<実施例8>実施例7において、電荷発生層の結着樹脂として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(VMCH、日本ユニカー社製)の代わりに、前記化合物(5−2)を用いたこと以外は実施例7と同様にして実施例8の電子写真感光体を作製した。得られた実施例8の電子写真感光体について、実施例7と同様の評価試験を実施した。結果を下記表2にまとめて示す。
【0143】<実施例9>実施例7において、電荷発生層の両親和性化合物として、前記化合物(5−1)の代わりに、前記化合物(5−3)を用いたこと以外は実施例7と同様にして実施例9の電子写真感光体を得た。得られた実施例9の電子写真感光体について、実施例7と同様の評価試験を実施した。結果を下記表2にまとめて示す。
【0144】<実施例10>実施例7において、電荷輸送層の電荷輸送材料として、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミンの代わりに、下記化合物(6−2)を用いた以外は、実施例7と同様にして実施例10の電子写真感光体を得た。得られた実施例10の電子写真感光体について、実施例7と同様の評価試験を実施した。結果を下記表2にまとめて示す。
【0145】
【化21】

【0146】<実施例11>実施例7において、電荷発生層の両親和性化合物として、前記化合物(5−1)の代わりに、前記化合物(6−1)を用いたこと以外は実施例7と同様にして実施例11の電子写真感光体を得た。得られた実施例11の電子写真感光体について、実施例7と同様の評価試験を実施した。結果を下記表2にまとめて示す。
【0147】<実施例12>実施例11において、電荷発生層の結着樹脂として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(VMCH、日本ユニカー社製)の代わりに、前記化合物(5−2)を用いたこと以外は実施例11と同様にして実施例12の電子写真感光体を作製した。得られた実施例12の電子写真感光体について、実施例7と同様の評価試験を実施した。結果を下記表2にまとめて示す。
【0148】<実施例13>実施例7において、電荷発生層の両親和性化合物として、前記化合物(5−1)の代わりに、CH3(CH212−SO3Hを用いたこと以外は実施例7と同様にして実施例13の電子写真感光体を得た。得られた実施例13の電子写真感光体について、実施例7と同様の評価試験を実施した。結果を下記表2にまとめて示す。
【0149】<実施例14>実施例11において、電荷輸送層の電荷輸送材料として、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミンの代わりに、前記化合物(6−2)を用いた以外は、実施例11と同様にして実施例14の電子写真感光体を得た。得られた実施例14の電子写真感光体について、実施例7と同様の評価試験を実施した。結果を下記表2にまとめて示す。
【0150】<比較例2>実施例7において、電荷発生層の両親和性化合物である化合物前記(5−1)を加えなかったこと以外は、実施例7と同様にして比較例2の電子写真感光体を得た。得られた比較例2の電子写真感光体について、実施例7と同様の評価試験を実施した。結果を下記表2にまとめて示す。
【0151】
【表2】

【0152】上記表2で明らかなように、実施例7〜14で得られた本発明の電子写真感光体を用いた場合には、かぶりが発生せず、また黒点の発生も少なく、良好な画質が得られた。これは、本発明の電子写真感光体は、高い電気感度が維持される効果を有し、電気特性の劣下が殆どないためであると推察される。これに対して、本発明の範囲に含まれない比較例2で得られた電子写真感光体は、フタロシアニン化合物の分散不均一性に由来すると推察されるかぶりが発生し、さらに黒点の発生が多く、画質異常が認められた。
【0153】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明の電子写真感光体によれば、電荷発生を担う感光層に、フタロシアニン化合物と、結着樹脂としての高分子化合物と、前記フタロシアニン化合物および前記高分子化合物の双方と親和性を持つ両親和性化合物と、が含まれることで、フタロシアニン化合物の感光層への均一分散が実現でき、材料固有の特性である高い電気感度をいかんなく実現できる。このように、良好な電子写真特性を有しており、特にカラー、高速の画像形成において、長期に亘って安定した高品質の画像を得ることができる。また、本発明によれば、かかる良好な特性を有する電子写真感光体の製造方法、並びに、該電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
【出願日】 平成12年4月20日(2000.4.20)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳 (外3名)
【公開番号】 特開2001−305760(P2001−305760A)
【公開日】 平成13年11月2日(2001.11.2)
【出願番号】 特願2000−119484(P2000−119484)