| 【発明の名称】 |
電子写真感光体及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】木下 建彦
【氏名】青戸 淳
【氏名】鈴木 康夫
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| 【要約】 |
【課題】電子写真感光体の製造方法に関し、詳しくは長期間の保存においても、粘度上昇などの塗料としての変化が少なく、電子写真感光体用感光層塗工液として安定性に優れる、従って生産性に優れる電子写真感光体の製造方法及びその塗工液を提供し、感光体製造時においても、塗工ムラ、白ポチなどの塗工欠陥がなく、高収率に生産できる電子写真感光体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】電荷発生物質として、少なくとも非対称型ジスアゾ顔料及びもう一つ以上の電荷発生物質を含有する感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、前記感光層を少なくとも下記一般式(1)に示す非対称ジスアゾ顔料及びもう一つ以上の電荷発生物質を含有し、その電荷発生層用塗工液中の水分含有量が0.5〜10wt%である塗工液を用いて形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電荷発生物質として、少なくとも非対称型ジスアゾ顔料及びもう一つ以上の電荷発生物質を含有する感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、前記感光層を少なくとも下記一般式(I)に示す非対称ジスアゾ顔料及びもう一つ以上の電荷発生物質を含有し、その電荷発生層用塗工液中の水分含有量が0.5〜10wt%である塗工液を用いて形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。 【化1】 Cp1−N=N−A−N=N−Cp2 …(I) (式中Aは炭素原子でアゾ基の窒素原子に結合している2価の残基を示す。またCp1,Cp2は互いに構造の異なるカプラー残基を示す。) 【請求項2】 前記非対称ジスアゾ顔料が、次の一般式(II)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。 【化2】
(式中、A,Bは構造が異なるカプラー残基を表わす。) 【請求項3】 電荷発生層用塗工液の非対称型ジスアゾ顔料とともに含有する電荷発生物質が、フタロシアニン顔料であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体の製造方法。 【請求項4】 前記フタロシアニン顔料がτ型無金属フタロシアニン顔料であることを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体の製造方法。 【請求項5】 前記フタロシアニン顔料がX型無金属フタロシアニン顔料であることを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体の製造方法。 【請求項6】 電荷発生物質として、少なくとも非対称型ジスアゾ顔料及びもう一つ以上の電荷発生物質を含有する感光層を有する電子写真感光体に用いる塗工液において、前記感光層用塗工液に少なくとも上記一般式(I)に示す非対称ジスアゾ顔料及びもう一つ以上の電荷発生物質を含有し、かつ水分含有量が0.5〜10wt%であることを特徴とする電子写真感光体用塗工液。 【請求項7】 前記非対称ジスアゾ顔料が下記一般式(II)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項6に記載の電子写真感光体用塗工液。 【化3】
(式中、A,Bは構造が異なるカプラー残基を表わす。) 【請求項8】 請求項6または7に記載の電荷発生層用塗工液の非対称型ジスアゾ顔料とともに含有する電荷発生物質が、フタロシアニン顔料であることを特徴とする請求項6または7に記載の電子写真感光体用塗工液。 【請求項9】 前記フタロシアニン顔料がτ型無金属フタロシアニン顔料および/またはX型無金属フタロシアニン顔料であることを特徴とする請求項8に記載の電子写真感光体用塗工液。 【請求項10】 電荷発生物質として、少なくとも非対称型ジスアゾ顔料及びもう一つ以上の電荷発生物質を含有する感光層を有する電子写真感光体において、前記感光層を少なくとも下記一般式(I)に示す非対称ジスアゾ顔料及びもう一つ以上の電荷発生物質を含有し、その電荷発生層用塗工液中の水分含有量が0.5〜10wt%である塗工液を用いて形成することを特徴とする電子写真感光体。 【化4】 Cp1−N=N−A−N=N−Cp2 …(I) 【請求項11】 前記非対称ジスアゾ顔料が、前記一般式(II)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項10に記載の電子写真感光体。 【請求項12】 前記電荷発生層用塗工液の非対称型ジスアゾ顔料とともに含有する電荷発生物質が、フタロシアニン顔料であることを特徴とする請求項10または11記載の電子写真感光体。 【請求項13】 前記もう一つ以上がτ型無金属フタロシアニン顔料および/またはX型無金属フタロシアニン顔料であることを特徴とする請求項10乃至12の何れかに記載の電子写真感光体。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真感光体塗工液の製造方法に関し、詳しくは長期間の保存においても粘度上昇などの塗料としての変化が少なく、電子写真感光体用感光層塗工液として安定性に優れる。従って、生産性に優れる電子写真感光体の製造方法及びその塗工液に関するものである。さらに本発明は電子写真感光体の製造方法に関し、詳しくは感光体製造時においても塗工ムラ、白ポチなどの塗工欠陥がなく、高収率に生産できる電子写真感光体の製造方法に関するものである。さらに本発明は電子写真感光体に関し、詳しくはハーフトーン画像における濃度ムラの画像欠陥がなく、電子写真特性上も安定な感度を示す感光体に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、電子写真感光体用の光導電性素材として、Se,CbS,ZnOなどの無機材料が用いられてきたが、光感度、熱安定性、毒性等の問題を持つことから、近年では有機光導電性材料を用いた電子写真感光体の開発が盛んに行なわれており、電荷発生材料および電荷輸送材料を含有する感光層を有する電子写真感光体は、すでに実用化されるに到っている。一方、電子写真感光体には、レーザープリンター、デジタル複写機などの半導体レーザーを光源とする電子写真装置の出現、さらに感光体の共通化といった観点から、可視から近赤外領域まで幅広い分光感度特性を持つことが要求され始めている。従来、これら感光体に用いる電荷発生材料として、異なるスペクトル領域で分光感度特性を有する2種類以上の顔料を用いることが提案されている。例えば、特開昭63−148264号公報、特開平01−177553号公報、特開平01−270060号公報、特開平7−128890号公報、特開平8−29998号公報などが挙げられる。 【0003】可視域においてはアゾ顔料、特に前記一般式(I)に示すような非対称アゾ顔料が用いられ、750〜850nmの波長領域に光感度を有する有機光導電材料としては、スクエアリウム顔料、フタロシアニン顔料、ピリリウム染料とポリカーボネートとの共晶錯体、ピロロピロール顔料、アゾ顔料等が知られているが、特にフタロシアニン顔料は比較的長波長域まで分光吸収をもつとともに光感度を有し、また中心金属や結晶形の種類によって様々なバリエーションが得られることから、半導体レーザ用の電子写真感光体として盛んに研究が行なわれている。 【0004】しかしながら、2種類以上の顔料を電荷発生材料として用いることにより、分光感度域は広がるものの、逆に2種類以上の電荷発生材料物質として用いることで、塗工液としての特性、さらに静電特性は不安定となる。つまり、通常の電子写真感光体は、少なくとも光導電性物質を有機溶媒中にて分散してなる電子写真感光体用感光層塗工液を導電性支持体上に塗工することで形成されるが、これら塗工液は初期的には均一で静電特性上も問題ないが、使用期間が長くなると粘度上昇や静電特性上の劣化(特に感度)を生じるようになる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記従来の問題点を解決することにある。従って、本発明の目的は、上記従来技術に鑑みて、電子写真感光体の製造方法に関し、詳しくは長期間の保存においても、粘度上昇などの塗料としての変化が少なく、電子写真感光体用感光層塗工液として安定性に優れる、従って生産性に優れる電子写真感光体の製造方法及びその塗工液を提供することにある。さらに本発明は電子写真感光体の製造方法に関し、詳しくは感光体製造時においても、塗工ムラ、白ポチなどの塗工欠陥がなく、高収率に生産できる電子写真感光体及びその製造方法を提供することを目的とするものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明の発明者らは、上記課題に対し、鋭意検討した結果、電子写真感光体用感光層塗工液中の水分率が0.5〜10wt%であるような塗工液を用いることで解決できることを見いだし、本発明に至った。本発明によれば、電荷発生物質として少なくとも非対称型ジスアゾ顔料及びもう一つ以上の電荷発生物質を含有する感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、前記感光層を少なくとも下記一般式(I)に示す非対称ジスアゾ顔料及びもう一つ以上の電荷発生物質を含有し、その電荷発生層用塗工液中の水分含有量が0.5〜10wt%である塗工液を用いて形成することを特徴とする電子写真感光体及びその製造方法、塗工液が提供される。 【0007】 【化5】 Cp1−N=N−A−N=N−Cp2 …(I) (式中Aは炭素原子でアゾ基の窒素原子に結合している2価の残基を示す。またCp1,Cp2は互いに構造の異なるカプラー残基を示す。) 【0008】好ましくは、前記塗工液中に含有する非対称ジスアゾ顔料が下記一般式(II)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体、これを搭載した電子写真装置、及び該成立体の製造方法、塗工液が提供される。 【0009】 【化6】
(式中、A,Bは構造が異なるカプラー残基を表わす。) 【0010】また好ましくは、前記電荷発生層用塗工液の非対称型ジスアゾ顔料とともに含有する電荷発生物質がフタロシアニン顔料であること、またそのフタロシアニン顔料がτ型無金属フタロシアニン顔料又はX型無金属フタロシアニン顔料であることを特徴とする電子写真感光体、これを搭載した電子写真装置、該成立体の製造方法、塗工液が提供される。 【0011】以下に、本発明の電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体用塗工液、電子写真感光体に関して詳細に説明する。本発明では前記一般式(I)に示した極めて高感度な非対称ジスアゾ顔料を用いるが、これら非対称ジスアゾ顔料は、相当するジアゾニウム塩化合物とAまたはBに相当するカプラーとを2段階に順次反応させるか、あるいは最初のAまたはBとのカップリング反応によって得られるジアゾニウム塩化合物を単離した後、更に残りのカプラーを反応させることによって得られることができる。これら非対称ジスアゾ顔料のA、Cp1、Cp2の例を以下に示す。 中心骨格Aの例【0012】 【表1−1】
【0013】 【表1−2】
カップラー残基Cp1,Cp2の例【0014】 【表2−1】
【0015】 【表2−2】
【0016】 【表2−3】
【0017】 【表2−4】
【0018】 【表2−5】
【0019】 【表2−6】
【0020】 【表2−7】
【0021】これら非対称ジスアゾ顔料の中でも、特にA−20に示すフルオレノンを中心骨格とする前記一般式(II)に示す化合物が、感度及び電位安定性の点からも特に好ましい。 【0022】特にフタロシアニン顔料、更にはX型無金属フタロシアニン顔料、τ型無金属フタロシアニン顔料を用いることが好ましい。この理由については明らかではないが、X型、τ型に分類されるような無金属フタロシアニン顔料のHOMOレベルが前記ジスアゾ顔料のHOMOレベルに近く、相互作用をすることで顔料を混合することによって生じる増感効果が有効に発生するとともに、静電特性上も残留電位、帯電電位低下といった問題が生じにくくなっていると考える。 【0023】フタロシアニン顔料には例えばX型、τ型等の無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、銅フタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、クロロアルミニウムフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン等の金属フタロシアニンがあり、公知の材料として用いることができる。 【0024】τ型無金属フタロシアニン顔料はCu−Kα特性X線(波長1.541Å)を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θの主要ピークが7.6°、9.2°、16.8°、17.4°、20.4°、20.9°、21.7°、27.6°(それぞれ±0.2°)に存在する無金属フタロシアニン顔料であり、特開昭58−182639号公報、特開昭60−19154号公報等に記載の方法で得ることができる。 【0025】X型無金属フタロシアニン顔料はCu−Kα特性X線(波長1.541Å)を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θの主要ピークが7.5°、9.1°、16.7°、17.3°、22.3°、23.8°(それぞれ±0.2°)に存在する無金属フタロシアニン顔料であり、USP3357989号明細書、USP3594163号明細書、特開昭49−4338号公報、特開昭60−243089号公報等に記載の方法で得ることができる。本発明の感光層(4)または電荷発生層(5)に含有するフタロシアニン顔料、特にτ型無金属フタロシアニンまたはX型無金属フタロシアニン顔料と前記一般式(I)で表わされるジスアゾ顔料の含有比は5:1〜1:5であることが好ましい。5:1よりτ型無金属フタロシアニン顔料が多いと必要とする可視域の感度が不足し、静電疲労後の帯電性が低下し、1:5よりジスアゾ顔料が多いと同様に可視域の感度が低下し、かつ帯電性が低下する。 【0026】本発明に示される電子写真感光体用感光層塗工液は、導電性支持体上に感光層を塗布、形成するために使用されるものである。この電子写真感光体用感光層塗工液への水分の添加は顔料分散前に添加してもよいし、分散後樹脂液を添加して攪拌後でもかまわない。ただ、分散後の方が望ましい。図1は本発明の電子写真感光体の構成例の一つを示す断面図であり、導電性支持体(2)の上に本発明に示す電子写真感光体用感光層塗工液を塗布して形成した感光層(4)を積層した構成をとっている。図2は本発明の電子写真感光体の構成例を示す断面図であり、導電性支持体(2)の上に少なくとも電荷発生層(5)、電荷輸送層(6)を積層した構成をとっている。図3は本発明の別の構成例を示す断面図であり、導電性支持体(2)と電荷発生層(5)の間に中間層(3)が設けられている。図4は、本発明のさらに別の構成例を示す断面図であり、電荷輸送層の上に保護層(21)を設けたものである。 【0027】以下、図2、3、4に示す機能分離型の構成に則り、説明する。導電性支持体(2)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研磨などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体(2)として用いることができる。 【0028】この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性支持体(2)として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、或いは導電性酸化チタン、導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、2−ブタノン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。 【0029】さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体(2)として良好に用いることができる。 【0030】電荷発生層(5)は電荷発生層用塗工液として少なくとも一般式(I)に示される非対称ジスアゾ顔料、もう1種類以上の電荷発生物質(好ましくはフタロシアニン顔料であるが)、及び全量に対して好ましくは0.5〜10wt%の水、又必要に応じて結着樹脂中に分散させた液を用いることにより形成される。水分を含有することにより、液物性が安定し、塗工性が向上する理由は定かではないが、問題としている塗膜上の白ポチは電荷発生層の下層と電荷発生層用塗工液または感光層用塗工液との接触角が何らかの原因で大きくなり、濡れ性が悪く、はじきが生じるわけであるが、水の存在によって、感光層塗工液又は電荷発生層用塗工液の表面張力を下げ、中間層又は素管と濡れ性を上昇させることで白ポチを防止することができるためと考えられる。またこの塗工液の表面張力が下がる理由としては塗工液中に分散する顔料の親水基が水分との間に柔らかい結合(水素結合レベルの)を生じ、複数の顔料が凝集を生ずる。ただ樹脂が顔料と吸着しているために、ある大きさになると安定し、そこから顔料凝集体は成長及び相互間によるゲル化を防止できると考えられる。従って水分含有量の影響は大きく、例えば10wt%以上の水分を含有した場合、過剰な凝集を生じ、最悪分散が破壊される危険性が生じ、しかも結着樹脂の再析出などの問題をはらんでいる。0.5wt%以下であれば、塗膜上の白ポチには効果が少ない。 【0031】電荷発生層(5)はこれら成分を適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを中間層(3)上に塗布し、乾燥することによって形成される。感光層(4)または電荷発生層(5)に用いられる結着樹脂としては、主成分(50wt%以上)としては、本発明に示すブチラール樹脂を用いるが、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等なら併用してもよい。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し10〜500重量部、好ましくは25〜300重量部が適当である。 【0032】ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられる。また、電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm、好ましくは0.1〜2μmである。 【0033】塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート、マイヤーバーコート、ローラコート、カーテンコート等の方法を用いることができる。生産性、塗膜の均一性から浸漬塗工により形成することが好ましい。浸漬塗工は図5に示すように被塗工物(11)を塗工液(12)中にaの方向に下げることにより浸漬させ、ついでbの方向に引き上げることにより、被塗工物表面に塗工液層(14)を形成する方法である。 【0034】電荷輸送層(6)は、電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、ジクロロメタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。 【0035】電荷輸送層(6)に含有する電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ[1,2−b]チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。 【0036】正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体、その他ポリマー化された正孔輸送物質等公知の材料が挙げられる。 【0037】電荷輸送層に用いられる結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、特開平5−158250号公報、特開平6−51544号公報記載の各種ポリカーボネート共重合体等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は5〜50μm程度とすることが好ましい。 【0038】本発明においては電荷輸送層(6)中にレベリング剤、酸化防止剤を添加してもよい。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用でき、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜1重量部が適当である。酸化防止剤としては、ビンダードフェノール系化合物、硫黄系化合物、燐系化合物、ヒンダードアミン系化合物、ピリジン誘導体、ピペリジン誘導体、モルホリン誘導体等の酸化防止剤を使用でき、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜5重量部程度が適当である。 【0039】本発明の電子写真感光体の中間層(3)にはモアレ防止、残留電位の低減等のために金属酸化物が含有される。酸化チタン、酸化アルミニウム、シリカ、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化インジウム等が挙げられる。2種類以上の金属酸化物を加えてもよい。さらに本発明の中間層(3)として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤、チタニルキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物、有機チタニル化合物も用いることができる。これらの中間層(3)は前述の感光層のごとく適当な溶媒、分散、塗工法を用いて形成することができる。 【0040】このほか、本発明の中間層(3)には、Al2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜形成法にて設けたものも良好に使用できる。 【0041】また、中間層(3)中に含有される結着樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロンなどの熱可塑性樹脂、ポリウレタン、メラミン、エポキシ、アルキッド、フェノール、ブチラール、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。 【0042】さらに本発明の中間層(3)に含有する金属酸化物(P)と結着樹脂(R)との比率P/Rが体積比で0.9/1〜2/1の範囲であることが好ましい。中間層のP/R比が0.9/1未満であると中間層の特性が結着樹脂の特性に左右され、特に温湿度の変化および繰り返しの使用で感光体特性が大きく変化してしまう。またP/R比が2/1を越えると中間層の層中に空隙が多くなり、電荷発生層との接着性が低下するとともにさらに3/1を越えると空気がたまるようになり、これが感光層の塗布乾燥時において気泡の原因となり、塗布欠陥となってしまう。中間層(3)の膜厚は0.1〜10μmが適当である。 【0043】保護層(21)は、感光体の耐久性向上の目的で設けられ、これに使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等に挙げられる。保護層(21)には、そのほか耐摩耗性を向上させる目的でポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂、シリコーン樹脂、または酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム等の無機材料などを添加することができる。 【0044】保護層(21)の形成法としては、通常の塗布法を用いることができる。なお保護層(21)の厚さは0.1〜10μmが適当である。また、以上の他に真空薄膜作成法にて形成したa−C、a−SiCなどの公知の材料も保護層(21)として用いることができる。本発明においては感光層(4)と保護層(21)との間に別の中間層(図示せず)を設けることも可能である。前記別の中間層は一般に樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としてはポリアミド、アルコール可溶性ナイロン樹脂、水溶性ブチラール樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等が挙げられる。前記別の中間層の形成法としては、前述のごとく通常の塗布法を用いることができる。なお、膜厚は0.05〜2μmが適当である。 【0045】 【実施例】次に、本発明を実施例を挙げて説明する。 (実施例1)酸化チタン(CR−EL:石原産業製)50重量部、アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50−S(固形分50wt%):大日本インキ化学工業製)15重量部、メラミン樹脂(スーパーベッカミンL−121−60(固形分60wt%):大日本インキ化学工業製)10重量部、メチルエチルケトン100重量部からなる混合物をボールミルで72時間分散し、中間層用塗工液として作製し、これを用いてφ30mm×340mmのアルミニウムドラム上に塗布し、130℃で20分間乾燥して、膜厚4μmの中間層を作成した。次に、A型チタニルフタロシアニン15重量部、下記構造式(III)のジスアゾ顔料15重量部、イオン交換水12.5重量部をシクロヘキサノン300重量部中、ボールミルにて192時間分散を行なった。分散終了後ポリビニルブチラール(エスレックBX−1:積水化学工業(製))4重量部をメチルエチルケトン300重量部、シクロヘキサノン1680重量部に溶解した樹脂液を添加し、3時間分散を行ない、電荷発生層用塗工液G1を作成した。この塗工液G1を前記中間層上に浸漬塗工法にて塗布し、130℃で10分間乾燥して膜厚0.2μmの電荷発生層を作成した。構造式(IV)で示される電荷輸送物質8重量部、ポリカーボネート(Zタイプ:粘度平均分子量5万)10重量部、シリコーンオイル(KF−50:信越化学工業社製)0.002重量部をテトラヒドロフラン100重量部に溶解し、電荷輸送層用塗工液を作成した。これを前記電荷発生層上に塗布し、130℃で30分間乾燥して膜厚30μmの電荷輸送層を形成し、実施例1の感光体を得た。 【0046】 【化7】
【0047】 【化8】
【0048】(実施例2)実施例1で電荷発生層用塗工液に添加するイオン交換水の量を25重量部へ変更した以外は、実施例1と同様にして作製した。(塗工液をG2とする) 【0049】(実施例3)実施例1で電荷発生層用塗工液に添加するイオン交換水の量を125重量部へ変更した以外は、実施例1と同様にして作製した。(塗工液をG3とする) 【0050】(実施例4)実施例1で電荷発生層用塗工液に添加するイオン交換水の量を250重量部へ変更した以外は、実施例1と同様にして作製した。(塗工液をG4とする) 【0051】(比較例1)実施例1で電荷発生層用塗工液に添加するイオン交換水の量を0重量部へ変更した以外は、実施例1と同様であり、本塗工液には合成ゼオライトを添加し1ヶ月毎の交換を実施した。(塗工液をH1とする) 【0052】(比較例2)実施例1で電荷発生層用塗工液に添加するイオン交換水の量を350重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして作製した。(塗工液をH2とする) 【0053】(比較例5〜8、比較例3〜4)実施例1において、非対称型ジスアゾ顔料を下記構造式(V)に示される非対称型ジスアゾ顔料とし、A型チタニルフタロシアニンをX型無金属フタロシアニン顔料に変更した以外は、実施例1と同様にして作製した。(塗工液はそれぞれG5〜8及びH3〜4とする) 【0054】 【化9】
【0055】(実施例9〜12、比較例5〜6)実施例1〜4、比較例1〜2において、A型チタニルフタロシアニン顔料に変えてτ型無金属フタロシアニン顔料に変更した以外は実施例1〜4、比較例1〜2と同様にして作製した。(塗工液はG9〜12及びH5〜H6とする) 【0056】(実施例13〜16、比較例7〜8)実施例5〜8、比較例3〜4において、X型無金属フタロシアニン顔料に変えてτ型無金属フタロシアニン顔料に変更した以外は、実施例5〜8、比較例3〜4と同様にして作製した。(塗工液はG13〜16及びH7〜H8とする) 【0057】以上のようにして作成した電子写真感光体の静電特性は(株)リコー製複写機イマジオMF250Eに白部電位(Vw)が900(−V)になるように合わせた上で黒部電位(VL)の測定により評価した。又、塗工液の粘度はE型粘度計(ELD 東京計器社製)を20℃の条件下で測定した。また電子写真感光体製造時における塗工性については電荷発生層塗工時における塗工欠陥(白ポチ、白抜け、塗工ムラ)の発生有無を連続100本塗工時に目視で評価した。水分率は電量滴定式水分測定装置((株)三菱化成 CA−06型)で測定した。また以上の電子写真特性、粘度、水分率、塗工欠陥については、塗工液を常温下、3ヶ月間、6ヶ月間保存し、評価を継続した。結果を表1に示す。表中の白ポチに関しては、以下のようなランク付けを実施した。 【0058】 【表3−1】
【0059】 【表3−2】
【0060】 【表3−3】
【0061】 【表3−4】
○:発生なし△:目視で発見されたが、画像に影響なし×:目視で発見され、なおかつ画像上にも発生同様に塗工ムラに関しても以下のようなランク付けを実施した。 ○:発生なし△:スジムラが目視で発見されたが、画像に影響なし×:スジムラが目視で発見され、なおかつ画像上にも発生××:画像に濃淡差が激しくでる(液のよどみを拾ったようなムラ) 表1の結果から実施例のような塗工液中の水分率が0.5〜10wt%までであると、液粘度は6ヶ月までも安定で且つ実機内電位も特に問題なく、安定した液品質が得られている。又白ポチ、塗工ムラといった塗膜欠陥も発生しておらず、生産上の収率も高いことが分かる。又それはフタロシアニン顔料を含有しているときに顕著であり、さらにはX型/τ型無金属フタロシアニン顔料であるとき効果が著しい。比較例ではいずれも低水分率では白ポチが発生し、且つ経時の粘度変化も大きいことが分かり、高水分率では激しい濃淡ムラを発生し且つ実機内電位も同一付着量にも関わらず変化しており、増感に影響を与えていることが分かる。 【0062】 【発明の効果】以上、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明によれば長期保存においても粘度上昇などの塗料として変化が少なく、電子写真感光体用感光層塗工液として安定性に優れる。従って生産性に優れる電子写真感光体の製造方法及びその塗工液が得られることが分かる。さらに本発明は電子写真感光体の製造方法に関し、詳しくは感光体製造時においても塗工ムラ、白ポチなどの塗工欠陥がなく、高収率に生産できる電子写真感光体の製造方法及び電子写真感光体としても画像欠陥がなく、実機における電位変動の少ない、感度変動の少ない電子写真感光体を提供することができるという極めて優れた効果を奏するものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006747 【氏名又は名称】株式会社リコー
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| 【出願日】 |
平成12年4月21日(2000.4.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100105681 【弁理士】 【氏名又は名称】武井 秀彦
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| 【公開番号】 |
特開2001−305759(P2001−305759A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月2日(2001.11.2) |
| 【出願番号】 |
特願2000−120554(P2000−120554) |
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