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【発明の名称】 電子写真感光体の再生方法並びに再生電子写真感光体
【発明者】 【氏名】有賀 保

【要約】 【課題】徹底的に感光体をリサイクルする方法を求めることである。

【解決手段】保護層を有するアモルファスシリコン系感光体の長期使用品を保護層を再成膜することにより素管及びアモルファスシリコン系感光体を再使用することを特徴とするアモルファスシリコン系感光体の再生方法及び再生アモルファスシリコン感光体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 保護層を有するアモルファスシリコン系感光体の長期使用品を保護層を再成膜することにより素管及びアモルファスシリコン系感光体を再使用することを特徴とする電子写真感光体の再生方法。
【請求項2】 保護層が溶媒塗布方法により作製可能な層であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体の再生方法。
【請求項3】 摩耗劣化した感光体の保護層部分の劣化部分を除去したあと再度保護層を成膜することを特徴とする請求項1又は2記載の電子写真感光体の再生方法。
【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかによって得られた再生電子写真感光体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザービームプリンタ、ファクシミリ、デジタルコピー等に用いる電子写真感光体の再生方法並びに再生電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】有機材使用保護層を有するアモルファスシリコン系感光体例としては、非晶質ケイ素感光体と表面層が導電性微粒子を分散した有機高分子材料(特開平5−72783)、非晶質ケイ素感光体と表面層が金属アセチルアセトネート(特開平7−27253、27254,27255)、熱硬化型含フッ素ポリイミド使用保護層(特開平5−119502)、有機高分子バインダー+フッ素系表面保護潤滑層(特開平6−110842)、フッ素系表面保護潤滑層(特公平7−120059)、ポリジメチルシロキサン保護層(特開平7−120951)、有機高分子物質保護層(特開平5−216354)、保護層がパラハイドロキシ安息香酸樹脂(特開昭55−142352)、保護層が熱可塑性樹脂−加熱溶融塗布(特開昭55−70848(特公昭58−1421))、保護層中に無機絶縁物分散(特開昭57−165848)、潤滑剤とアルミナなど研磨剤含有(特開昭56−99347)等があるが、これらはいずれも有機材が保護層としての機能を有するが感光体長期使用後の再生利用までは言及されていない。
【0003】又、アモルファスシリコン系感光体再使用例としては、特開平10−240091と特開平11−7171に感光体再生利用時に再生可能かどうかを判断するための印字枚数記録方法が記載されている。アモルファスシリコンは再利用される。ただし保護層の再塗布に言及かつない。たとえアモルファスシリコンでもあまり摩耗が少ないと画像にじみが生じる。このようにアモルファスシリコンのみを再使用する方法は画像にじみ対策(加熱)が必要である。
【0004】更に、特開平6−186763にアモルファスシリコン系感光層をアルミ基体から除去し再度アモルファスシリコンを形成する再生法が記載されている。この方法は基体のみを再利用する方法のためアモルファスシリコン系感光体自身を再作製しなければならず作製にコスト、手間がかかる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】最近の環境保存の要求から電子写真感光体においてもその耐久性の向上と共に可能なかぎりリサイクル使用することが望まれてきている。ところが従来、感光体の再生利用といえば、感光層を除去して素管のみ再利用するのが一般的であった。特に感光体の大部分を占める有機感光体においては有機材料が本質的に光照射や通電に弱いため長期使用により有機感光体自体が劣化してしまい感光層自体の再利用が困難であった。
【0006】一方、アモルファスシリコン系感光体は非常に耐摩耗性が高いため半永久的に使用可能な高耐久感光体として利用されている。ところが摩耗しにくいことが逆に災いし高湿下でコロナ放電より生成する酸性物質及び水付着による画像ボケが生じやすい。その場合、加熱など画像ボケ対策が必要とされる。これをなくすためにはある程度摩耗し表面が更新されるように感光体設計あるいはプロセス的に設計する必要がある。
【0007】その場合、摩耗がある程度進行すると感光体寿命ということになる。すなわち画像ボケを防止するために必要とされる摩耗がアモルファスシリコンの寿命を決定してしまうことになる。ところがアモルファスシリコン系感光体は電気的耐久性が非常に強くたとえ摩耗は進行しても下部の感光体自体はまだ利用可能である。
【0008】本発明の目的は徹底的に感光体をリサイクルする方法を求めることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで我々は鋭意検討の結果、保護層を有するアモルファスシリコン系感光体の長期使用品を保護層の再成膜することにより素管、アモルファスシリコン系感光体をそのまま再利用する方法を見出した。つまり電気的にも半永久的耐久性を有するアモルファスシリコン系感光体を感光層がついたまま繰返し再利用する方法である。
【0010】具体的には画像ボケを防止するために適度に摩耗する保護層をアモルファスシリコン系感光体上に作製し長期使用摩耗劣化後はアモルファスシリコン系感光体本体はそのままに再度保護層を作製しなおして感光体を再使用することを考えついた。
【0011】この場合、保護層としては無機材でもよいが有機材あるいは無機材含有有機樹脂層が最適であることに気がついた。なぜなら感光体再生時に浸漬塗布方法、あるいはスプレー塗工方法のような比較的簡単にかつ多量生産が可能な成膜方法が利用できるからである。 また特開昭55−70848(特公昭58−1421)のように可塑性樹脂を塗布後に加熱溶融する成膜方法も可能である。
【0012】従来のアモルファスシリコンの保護層のようにCVD方法を用いるのは再生感光体のコストアップにつながる。
【0013】さてアモルファスシリコン系感光体を再生する際に注意すべきことがある。長期使用感光体表面には様々な付着物及びキズがついている。これを切削除去しなければならない。切削バイトによる研磨、あるいは紙ヤスリ部材による研磨などが可能である。
【0014】その際、保護層が主に有機物あるいは無機フィラー分散樹脂膜である場合は有機溶媒への浸漬、超音波照射などにより保護層のみ溶解除去し、アモルファスシリコン系感光体表面を洗浄後に再度有機保護層を塗布形成すればよい。
【0015】なお最初にアモルファスシリコン系感光体作製時に使用した保護層と劣化後に再塗布する保護層とはその組成、製造方法が異なっていてもよい。もちろん使用する複写機、プリンターの機種が異なっていてもよい。要するに高価なアルミニウム支持体とアモルファスシリコン系感光層本体をそろえて再使用するのが本発明の目的である。
【0016】さて本発明感光体の構成を図1に示す。図1の1は導電性支持体、具体的にはアルミ素管、ニッケルベルト、ステンレス鋼などである。2はアモルファスシリコン系感光体、3は保護層である。ここでは1,2は無機材、3が有機材あるいは無機材フィラー添加有機樹脂層の場合を示す。ここで感光体2は多層構造でもよい。すなわち従来広く使用されているアモルファスシリコン系感光体が使用できる。
【0017】例えば2の構成として基盤側からブロッキング層すなわち電荷注入阻止層、電荷輸送層、電荷発生層、無機保護層の順になっていてもよい。またこのうち電荷発生層、電荷輸送層は単層でもよい。このアモルファスシリコン系感光体の作成方法は通常のプラズマCVD方法が好ましい。この方法によればガスソースの切換えだけで単層の光導電層、あるいは積層構造の光導電層を作製できる。材料的にはa−Si:Hを基本に、780nm程度の長波長吸収とするためにa−SiGe:H構成としてもよい。本発明の応用範囲は正帯電型、負帯電型いずれも可能である。感光体の帯電極性に応じてIII属元素ドープによるP型層、V属元素ドープによるn型層をブロッキング層として用いてもよい。またSiCx、SiNx等の層を有していてもよい。またフッ素元素含有SiC層を設けていてもよい。
【0018】要するに通常使用されるアモルファスシリコン系感光体に適度に摩耗しかつ塗布方法で成膜できる保護層を設ければ本発明の感光体として使用できる。
【0019】保護層3は有機感光体の保護層として使用されているものが利用できる。熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂あるいはこれらの樹脂に耐摩耗性フィラーとして酸化チタン、酸化ケイ素など金属酸化物を含有してもよい。またホール輸送材あるいは電子輸送材、酸化防止剤を含有させてもよい。またフッ素含有化合物、シリコンオイルなどにより表面の摩擦係数を低減させてもよい。またテトラメトキシシラン等を使用してゾルゲル手法によりガラス上膜に成膜した保護層でもよい。
【0020】樹脂としてはエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂などがあげられる。また有機ジルコニウム、有機チタニウム系の熱硬化樹脂でもよい。有機保護層3の形成方法は樹脂およびその他の添加剤を有機溶媒とともに分散あるいは溶解した液を使用して浸漬塗布方法あるいはスプレー塗工方法によりアモルファスシリコン系感光体上に形成する。これら有機保護層は感光体の長期使用により摩耗していく。その摩耗量はプロセス条件、機械寿命を考慮して設計される。あまり摩耗量が少ないとコロナ付着堆積物による画像流れが発生する。逆に摩耗量が大きすぎると保護層交換の時間が早まる。
【0021】有機保護層の再塗布による感光体再生の時期は機械寿命に達したあと、あるいは感光体寿命に達したあとのいずれでもよい。再生前の状態としては保護層が殆ど摩耗した状態(図2−■)、あるいは保護層の一部が残留した状態(図2−■)でもよい。いずれの場合も再生塗工前に感光体表面上のトナーその他の付着物、及び感光体表面の劣化部分を研磨あるいは溶媒ふき取りあるいは水あるいは有機溶媒洗浄により除去し清浄な面を出す必要がある。その後保護層を積層塗布する(図2−■)。保護層が一部残留している場合(図2−■)は溶媒浸漬、超音波処理、により保護層をほぼ完全に除去し(図2−■→■)新たに保護層を再塗布する方法(図2−■→■)が好ましい。このようにしてアルミ支持体、アモルファスシリコン系感光体をそのまま再利用する。
【0022】保護層再塗布の方法としてはスプレー塗工方法、浸漬塗工方法、リング塗工方法など通常の塗工方法が利用できる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例を挙げて説明する。
実施例130φアルミニウム素管に公知の方法でシランガス、水素ガス、水素希釈ジボランガスによりブロッキング層(約3μm)を設けた。その上にシランガス、エチレンガス、水素ガス、水素希釈ジボランガスにより電荷輸送層を設けた(20μm)。さらにシランガス、水素ガス、水素希釈ジボランガスにより電荷発生層を形成した(約2μm)。さらにシランガス、水素ガス、アンモニアガスで中間層(0.4μm)を設けた。さらにこの上に酸化スズ/酸化アンチモン導電粉15部、ポリウレタン樹脂55部、ウレタン硬化剤5部の組成でスプレー塗布により有機樹脂硬化膜を厚さ約2μmで設けた。この感光体を使用して自製複写試験機で画像出しを行い良好な画像の得られることを確認した。その後、自製疲労機械で800V帯電,6kVコロナ照射、0.25μA/cm2で電気的疲労を8時間かけた。さらに自製複写試験機で画像だしを繰返した。この際、感光体表面に画像に現れる微少のキズがついた。
【0024】この欠陥部表面を紙やすりで修復し、その後表面をアルコールできれいにふきとり、本感光体の上部に再度、有機樹脂硬化膜をスプレー塗工で設けたところ画像欠陥が修復された感光体が得られた。このようにアモルファスシリコンを使用した感光体の長期使用劣化後には保護層のみ再塗布してアモルファスシリコン系感光体の再利用が可能である。
【0025】実施例280φアルミ素管上に実施例1と同様にして作製したアモルファスシリコン使用の感光体を入手しこの上にポリカーボネート10部、酸化チタン1部、の組成のフィラーを添加した有機保護層をスプレー塗工方法により約2μmの厚さで設けた。この感光体を使用して自製複写試験機で画像だしを行い良好な画像の得られることを確認した。その後、自製疲労機械で800V帯電、6kVコロナ照射、0.25μA/cm2で電気的疲労を8時間かけた。さらに自製複写試験機で画像出しを繰返し行い保護層を約1μm摩耗させた。その後、劣化感光体表面をアルコールできれいにふきとり再度保護層を塗工し良好な画像の得られることを確認した。このようにアモルファスシリコンを使用した感光体の上に有機樹脂の保護層を設けることにより適度に保護層が削れ、アモルファスシリコン系特有の画像流れの生じにくい感光体が作製可能であるとともに、長期使用劣化後には保護層のみ再塗布すればアモルファスシリコン系感光体の再利用が可能であることがわかった。
【0026】実施例380φアルミ素管上に実施例1と同様にして作製したアモルファスシリコン使用の感光体を入手しこの上にポリカーボネート10部、ポリビニルカルバゾール1部の組成の有機保護層を浸漬塗工方法により約2μmの厚さで設けた。この感光体を使用して自製複写試験機で画像出しを行い画像流れのない良好な画像の得られることを確認した。その後、自製疲労機械で800V帯電,6kVコロナ照射、0.25μA/cm2で電気的疲労を8時間かけた。その後、本感光体をジクロロメタンに浸漬し保護層フィルムを溶解除去した。その後表面をきれいにふきとり、本感光体の上部に再度、有機樹脂膜をスプレー塗工で設けた。このようにアモルファスシリコンを使用した感光体の上に有機樹脂の保護層を設け適度に削れるようにすることによりアモルファスシリコン系特有の画像流れの生じにくい感光体が作製可能で、長期使用劣化後には保護層のみ再塗布すればアモルファスシリコン系感光体の再利用が可能であることがわかった。
【0027】
【発明の効果】請求項1によれば、保護層を有するアモルファスシリコン系感光体の長期使用品を保護層のみ再成膜することにより素管、アモルファスシリコン系感光体を再使用することを特徴とする電子写真感光体の再生方法が得られ、素管、アモルファスシリコン感光体の両方が再利用ができる。
【0028】請求項2によれば、保護層が溶媒塗布方法により作製可能な層であることを特徴とする請求項1の電子写真感光体の再生方法が得られ、感光体再利用の際、保護層作製が大量生産に向いている溶媒塗布方法でできるため低コスト化が可能である。
【0029】請求項3によれば、摩耗劣化した感光体の保護層部分の劣化部分を除去したあと再度保護層を成膜することを特徴とする請求項1又は2記載の電子写真感光体の再生方法が得られ、再生感光体の再生前の感光体表面に起因する画像欠陥が除去できる。
【出願人】 【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
【出願日】 平成12年4月21日(2000.4.21)
【代理人】 【識別番号】100078994
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀岳 (外2名)
【公開番号】 特開2001−305753(P2001−305753A)
【公開日】 平成13年11月2日(2001.11.2)
【出願番号】 特願2000−120498(P2000−120498)