トップ :: G 物理学 :: G03 写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ




【発明の名称】 クリーニングブレード
【発明者】 【氏名】福岡 達也

【要約】 【課題】機械的強度、耐摩耗性、耐加水分解性、耐オゾン性、低歪み性、耐トナー性等をすべて満足し、さらに高い振動減衰性を有し、かつ損失係数および弾性率の温度依存性が小さく、低コストで生産性に優れる電子写真装置用クリーニングブレード【解決手段】損失係数が0.1以上であるシート状のゴム状弾性体の表面に、耐摩耗性の弾性コーティング層を設けたクリーニングブレード

【解決手段】損失係数が0.1以上であるシート状のゴム状弾性体の表面に、耐摩耗性の弾性コーティング層を設けたクリーニングブレード
【特許請求の範囲】
【請求項1】 剛性支持部材に弾性ブレード部材が設けられた感光体ドラムのクリーニングブレードにおいて、弾性ブレード部材が、表面に弾性コーティング層が施されたゴム状弾性体であり、そのゴム状弾性体損失係数が、−20〜70℃で0.1以上であることを特徴とするクリーニングブレード。
【請求項2】 ゴム状弾性体の弾性率の比が、70℃/25℃が0.5〜1.0、且つ−20℃/25℃が1.0〜5.0であることを特徴とする請求項1に記載のクリーニングブレード。
【請求項3】 ゴム状弾性体が、シリコーンゴム、ブチルゴムあるいはエチレンプロピレンゴムから選ばれることを特徴とする請求項1あるいは2に記載のクリーニングブレード。
【請求項4】 弾性コーティング層が、ポリウレタンエラストマーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のクリーニングブレード
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真方式を用いた印刷装置に使用されている感光体ドラム表面の残留トナーを除去するのに用いられるクリーニングブレードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4にクリーニングブレードの一般的な使用形態を示す。複写機やレーザービームプリンタなどの電子写真方式を用いた印刷装置においては、印刷媒体として感光体ドラム5が使用されている。この感光体ドラム5は、アルミニウムなどの導体で形成された円筒状のドラムの外周面に光導電体が塗布されており、複写時に一様に感光体ドラム5の外周面の光導電体が帯電され、光学系から送られた原稿の画像情報を含む光によって感光され、感光体ドラム5の表面に潜像を形成する。
【0003】形成された潜像は現像剤であるトナー6により顕像化されて記録紙に転写されて画像を形成する。画像を転写後は、感光体ドラム5上に残留したトナー6がクリーニングブレード7によって掻き落とされて除去され、次の印刷サイクルに備える。
【0004】電子写真複写機やレーザービームプリンタ等での高画質、高速印刷を阻害する要因の1つにバウンディングと呼ばれる現象がある。このバウンディング現象とは、クリーニングブレードが、感光体ドラムから受ける力により、大きく振動し感光体ドラムの外周面から瞬間的な離れ動作を繰り返す現象である。このバウンディング現象が発生すると、クリーニングブレードは感光体ドラムに対して安定的な摺刷が出来難くなる。
【0005】その結果、トナーの除去が不完全なまま、次の帯電・現像・転写のサイクルに移行すると、感光体ドラムの軸方向に対して平行な横筋が入った出力画像が発生し易くなってくる。さらに、このようなバウンディング現象が発生すると、クリーニングブレードが感光体ドラムの外周面でバウンドする騒音が発生するので、オフィスなどの環境を悪化させることにもなる。
【0006】従来のクリーニングブレードのブレード部材に使用される素材としては、機械的強度、耐摩耗性、耐加水分解性、耐オゾン性、低歪み性、耐トナー性等に優れ、しかも当接する相手部材を損傷しない点から、硬度60〜80(JIS K6253 タイプA)のポリウレタンエラストマーからなるゴム状弾性体が多く使用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ポリウレタンエラストマーは、一般的に優れた力学特性を有する反面、粘弾性の温度依存性が大きく、損失係数(tanδ)の小さい高温域では、振動吸収性の低下を招き、前述したバウンディング現象を起し、クリーニング不足や異音が生じていた。また、低温域では弾性率が上昇することでゴム弾性が低下し、その結果ブレード先端の欠けや感光体ドラムに傷を付けること等が起っていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を解決するものであり、機械的強度、耐摩耗性、耐加水分解性、耐オゾン性、低歪み性、耐トナー性等をすべて満足し、さらに高い振動減衰性を有し、かつ損失係数および弾性率の温度依存性が小さく、低コストで生産性に優れる電子写真装置用クリーニングブレードを提供するものである。
【0009】すなわち、本発明のクリーニングブレードは、一定の損失係数を有するシート状のゴム状弾性体の表面に、均一な膜厚の耐摩耗性の弾性コーティング層を設け、短冊状に裁断することで鋭いエッジ部分を形成し、クリーニングブレードとしての諸特性を付与させたものである。
【0010】ゴム状弾性体の損失係数は、0.1未満では振動減衰効果が少なく、バウンディング現象を起してしまう。したがって、複写機、プリンタ等の機器内の温度が−20〜70℃の範囲であることから、ゴム状弾性体が−20〜70℃の温度の範囲で振動減衰性を考慮すると、損失係数が0.1以上を満足することが必要である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳述する。図3に本発明のクリーニングブレードの斜視図を示す。本発明は、剛性支持部材1に弾性ブレード部材2が設けられたクリーニングブレードにおいて、弾性ブレード部材2が、損失係数が0.1以上であるゴム状弾性体21の表面に弾性コーティング層22が施されているクリーニングブレードである。
【0012】さらに、ゴム状弾性体21の損失係数が、−20〜70℃で0.1以上であるクリーニングブレードである。さらに、ゴム状弾性体21の弾性率の比が、70℃/25℃が0.5〜1.0、且つ−20℃/25℃が1.0〜5.0であるクリーニングブレードである。さらに、ゴム状弾性体が、シリコーンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴムから選ばれる少なくとも1種のゴム状弾性体であるクリーニングブレードである。さらに、弾性コーティング層が、ポリウレタンエラストマーからなるクリーニングブレードである。
【0013】本発明で使用されるブレード部材を構成するゴム状弾性体は、その硬度は特に限定されるものではないが、機器の設計や感光体ドラムへの圧接力を考慮すると、硬度20〜70(JIS K6253 タイプA)の範囲から適宜に選定することが好ましく、更に硬度50〜70の範囲が好ましい。
【0014】ゴム状弾性体の損失係数が0.1未満では振動減衰効果が少なく、バウンディング現象を起してしまう。通常、複写機、プリンタ等の機器内の設計温度が−20〜70℃の範囲であることから、ゴム状弾性体についても−20〜70℃の温度の範囲での振動減衰性を考慮すると、損失係数が0.1以上を満足することが必要である。
【0015】ゴム状弾性体の弾性率の比は、70℃/25℃が0.5未満では感光体ドラムへの圧接力が不十分となり、安定的な摺刷が出来難く、且つ−20℃/25℃が5.0より大きいと感光体ドラムへの圧接力が大きすぎて傷を付けたり、またゴム弾性の低下により、クリーニングブレード先端の欠けが生じてしまう。したがって、ゴム状弾性体の弾性率の比は、感光体ドラムとの圧接力を考慮すると、70℃/25℃が0.5〜10、且つ−20℃/25℃が1.0〜5.0であることが好ましい。
【0016】本発明のゴム状弾性体の素材としては、上記に示した損失係数および弾性率の温度依存性、成形性、振動減衰性などを考慮すると、シリコーンゴム、低反撥性シリコーンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンゴムの単一材、またはそれらのブレンド材が好ましい。
【0017】本発明の弾性コーティング層は、耐摩耗性、表面平滑性などを考慮すると、ポリウレタンエラストマーが好ましい。その硬度は70以上(JIS K6253タイプA)が好ましい、硬度70未満では軟質のため耐摩耗性が極端に劣ってしまう。
【0018】また、弾性コーティングの厚さは5μm以上あれば耐摩耗性、耐加水分解性、耐オゾン性、低歪み性、耐トナー性、表面平滑性等の特性が得られるが、均一な厚みの弾性コーティングの量産安定性と裁断におけるエッジ部分の形成を考慮すると5〜100μmの範囲が好ましい。
【0019】本発明の剛性支持部材は、通常用いられるものであれば特に限定されず、例えば、りん酸塩やクロメート処理等で表面処理された鋼板やアルミニウム合金板等が好ましい。
【0020】本発明のクリーニングブレードの製造は、ゴム状弾性体をシート状に成形加工後、必要であれば表面を改質し、液状タイプまたは溶剤で希釈したポリウレタンエラストマーからなる弾性コーティング材を塗装または刷毛塗り等により塗布する。この弾性コーティング層を施したシートを短冊状に裁断し、エッジ部分を形成することで均一なクリーニング特性を満足する。得られた弾性ブレード部材を、接着剤を用いて剛性支持部材に貼り付けてクリーニングブレードを得る。
【0021】ゴム状弾性体と弾性コーティング層の密着性を向上させるための表面改質には、短波長紫外線照射、コロナ放電、火炎処理などを用いた公知の表面改質方法を用いることができる。
【0022】本発明で使用される接着剤には、通常ゴム状弾性体と金属の接着に用いられる液状接着剤(フェノール系、エポキシ系等)やホットメルト接着剤が好ましく用いられる。
【0023】以下、実施例および比較例にて本発明のクリーニングブレードを詳述する。図1に実施例1から3のクリーニングブレードの構成の断面図を示した。
【実施例1】剛性支持部材1にはクロメート処理された厚み1.2mmの鋼板をプレス加工によりプリンターに取り付く形状に加工し用いた。ゴム状弾性体21として、ブチルゴム(JSR製、CHLOROBUTHYL 1066)を補強剤(カーボンブラック、クレー)、軟化剤(パラフィンオイル)、架橋剤等により硬度60に調整した配合物を使用し、厚み1.6mmのシート状に圧延成形し、その表面に表1の配合のポリウレタンエラストマーを、溶剤を用いて2倍に希釈しスプレー法により被覆し、乾燥炉で120℃、30分間乾燥固化して弾性コーティング22を形成した。この複層構造物を短冊状に裁断してなるブレード部材2を、接着剤4を用いて剛性支持部材1と貼り合せ、クリーニングブレードを得た。得られたクリーニングブレードは、各使用温度においても異音などの動作不具合は無く、印刷画像は常に良好であった。
【0024】
【表1】

硬度97(JIS K6253、 タイプA)
【0025】
【実施例2】ゴム状弾性体21として、硬度60の低反撥性シリコーンゴム(トーレ・ダウコーニング社製、DY32−6060u)を用いた以外は、実施例1と同じである。得られたクリーニングブレードは、各使用温度においても異音などの動作不具合は無く、印刷画像は常に良好であった。
【0026】
【実施例3】ゴム状弾性体21として、エチレンプロピレンゴム(JSR製、EP22)を用いた以外は実施例1と同じである。得られたクリーニングブレードは、各使用温度においても異音などの動作不具合は無く、印刷画像は常に良好であった。
【0027】
【比較例1】図2に比較例1のクリーニングブレードの構成の断面図を示した。ブレード部材2として硬度60の液状ウレタンゴム(ダイセル化学工業製、プラクセルEP−1130)を厚み1.6mmのシート状に成形した単層構造物を用いた以外は実施例1と同じである。得られたクリーニングブレードは、使用温度が高温になると異音が生じた。印刷画像はほぼ良好であったが、異音発生時は画像が乱れた。
【0028】
【比較例2】図2に比較例2のクリーニングブレードの構成の断面図を示した。ブレード部材2として実施例1で用いた、ブチルゴムを任意の補強剤、軟化剤、架橋剤等により、硬度60に調整した配合物を使用し、厚み1.6mmのシート状に圧延成形した単層構造物を用いた以外は実施例1と同じであるクリーニングブレードを得た。
【0029】得られたクリーニングブレードは、使用温度が高温になると異音が生じ、また長期使用すると異音が生じた。装置を開けてクリーニングブレードを確認すると、感光体ドラムの回転によりブレード部材が反転しており、またエッジ部が摩耗していた。印刷画像は粗悪なものであった。
【0030】表2に、実施例1〜3、比較例1で用いたブレード部材の損失係数(tanδ)と弾性率の温度依存性を示した。損失係数および弾性率は、レオバイブロン測定器により昇温速度2℃/分、周波数11Hzで測定した。
【表2】

【0031】表3に、実施例1〜3、比較例1、2で用いたブレード部材の摩耗量、さらに実施例1〜3、比較例1、2で得られたクリーニングブレードを実装試験した際の印刷画質の経時変化とブレード部材の反転の有無、5000回転後のエッジ部分の状態を示した。
【0032】摩耗量はテーバー摩耗試験(JIS K6264準拠:研磨砥石H−22、荷重9.8N、回転数1000回転)にて測定し、反転の有無および5000回転後のエッジ部分の状態は、プリンター(ソニー・テクトロニクス社製、Phaser560PJ)のクリーニングユニットに実装し印刷した後のクリーニングブレードを目視により確認した。
【表3】

【0033】
【発明の効果】本発明のクリーニングブレードは、ブレード部材の温度依存性が小さく減衰性の大きいゴム状弾性体と耐摩耗性の良好な弾性コーティングの複層構造となっているため、 従来あったような、高温域での振動吸収性の低下によるバウンディング現象に起因した、クリーニング不足や異音が無く、さらにまた、低温域での弾性率が上昇することによるゴム弾性の低下に起因した、クリーニングブレード先端の欠けや感光体ドラムに傷を付けること等が起こらない、低温から高温まで優れたクリーニング性能と耐久性を有するものとなった。
【出願人】 【識別番号】000237020
【氏名又は名称】ポリマテック株式会社
【出願日】 平成12年3月15日(2000.3.15)
【代理人】 【識別番号】100071098
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 省躬
【公開番号】 特開2001−265186(P2001−265186A)
【公開日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願番号】 特願2000−72949(P2000−72949)