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【発明の名称】 画像形成装置
【発明者】 【氏名】安東 滋仁

【要約】 【課題】記録媒体上に可視画像と不可視画像を形成可能で、しかも低コストでかつ小型の画像形成装置を提供する。

【解決手段】不可視光に吸収域を有する不可視用トナーFtと可視光に吸収域を有するブラック用トナーとを上下2段構造のハウジング101,102に収容する現像器4Wを備えるとともに、各ハウジング101,102内に設けられた現像ロール103,108及び搬送ロール104,109の回転動作を制御することにより、不可視用現像剤Ftを用いて現像を行う第1の動作モードとブラック用現像剤Ktを用いて現像を行う第2の動作モードとを切り替え可能に構成された画像形成装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 不可視光に吸収域を有する第1の現像剤と可視光に吸収域を有する第2の現像剤とを共通の現像器に収容するとともに、前記第1の現像剤を用いて現像を行う第1の動作モードと、前記第2の現像剤又は前記第1及び第2の現像剤を用いて現像を行う第2の動作モードとを切り替え可能な切り替え手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】 前記第1の現像剤と前記第2の現像剤とを混合した状態で共通の現像器に収容してなることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】 前記第1の現像剤は、前記第2の現像剤よりも高い現像性を有することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真方式に基づいて画像形成を行う画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、画像中に付加情報を重畳して埋め込む付加データ埋め込み技術がある。近年、この付加データ埋め込み技術を静止画像等のデジタル著作物の著作権保護、不正コピー防止に利用する動きが活発になってきている。
【0003】付加データ埋め込み技術をデジタル著作物に利用する場合、著作権IDやユーザーID等の付加データを、視覚的に目立たないように埋め込んだ画像データを流通させる。有価証券等の偽造を防止するために、様々な対策がカラー画像形成装置に盛り込まれている。その手法の一つとして、コピーやプリントアウトに使用した画像形成装置を特定するために、画像上に目視で認識しずらい画像形成装置固有の記号を一定の変調量で画像情報に重畳させる技術がある。
【0004】この技術を用いた場合は、仮に、その画像形成装置を用いて有価証券の偽造が行われても、偽造物の画像を特定の波長域を抽出可能な読み取り装置で読み取って上記画像形成装置固有の記号を判読することにより、偽造に使われた画像形成装置を特定できるため、偽造者の追跡に有効な手がかりとなる。
【0005】しかしながら、上記技術においては、画像形成装置の階調特性によっては、低濃度域で画像形成装置特有の記号を重畳しても、それが画像濃度に反映されずに判読不可になったり、階調が硬調な濃度域では、重畳した画像形成装置固有の記号が目視で容易に認識されたりするという問題があった。
【0006】このような事情から、視覚的に目立たないように付加情報を埋め込む技術として、例えば、特開平1−225978号公報、特開平6−113115号公報、特開平6−171198号公報、特開平6−122266号公報に記載された技術が知られている。
【0007】特開平1−225978号公報に記載された技術は、潜像担持体に画像情報に応じた静電潜像を形成し、この静電潜像を、該静電潜像と逆極性でかつ透明度の高い絶縁性トナーで現像して不可視トナー像を形成し、該不可視トナー像を転写材に転写・定着させて不可視画像を形成するものである。このようにして得られた不可視画像の顕像化は、転写材上の絶縁性トナー部のみを帯電させ、有色トナーにより現像することで行われる。
【0008】特開平6−113115号公報に記載された技術は、画像形成方式の異なるパターン形成装置を別個に備え、450nm以下、650nm以上の波長領域で、分光反射特性のピークを持つ記録材料を用いて、所定のパターンを記録するものである。
【0009】特開平6−171198号公報及び特開平6−122266号公報に記載された技術は、電子写真方式、静電記録方式又はインクジェット記録方式により、基体上に赤外線吸収性色素からなる着色領域と赤外線反射色素からなる着色領域とを並列又は重ねて形成し、着色領域の少なくとも一方が文字、数字、記号、模様などの画像であり、かつ上記2種の着色領域が肉眼で実質的に判別不能又は判別困難となるよう画像を記録するものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、電子写真方式のように記録材料(現像剤)としてトナーを使う画像形成装置において、記録媒体上に可視画像を形成する場合は、可視光に吸収域を有するトナー(以下、可視用トナーという)を用いて現像を行い、記録媒体上に不可視画像を形成する場合は、不可視光に吸収域を有するトナー(以下、不可視用トナーという)を用いて現像を行うことになる。
【0011】そのため、例えばフルカラー画像形成装置に不可視画像の形成機能を追加する場合は、不可視画像による付加情報を埋め込むために新たに現像器を組み込む必要があり、これによって装置のコストアップや大型化を招いてしまう。
【0012】本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、記録媒体上に可視画像と不可視画像を形成可能で、しかも低コストでかつ小型の画像形成装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係る画像形成装置においては、不可視光に吸収域を有する第1の現像剤と可視光に吸収域を有する第2の現像剤とを共通の現像器に収容するとともに、第1の現像剤を用いて現像を行う第1の動作モードと第2の現像剤又は第1及び第2の現像剤を用いて現像を行う第2の動作モードとを切り替え可能な切り替え手段を備えた構成となっている。
【0014】上記構成の画像形成装置において、記録媒体上に可視画像を形成する場合は第1の動作モードが選択されて第1の現像剤を用いた現像が行われ、記録媒体上に不可視画像を形成する場合は第2の動作モードが選択されて第2の現像剤又は第1及び第2の現像剤を用いた現像が行われる。これにより、共通の現像器を用いて可視画像と不可視画像の形成を行うことが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0016】図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略図である。図示した画像形成装置は、像担持体1、帯電器2、像書き込み装置3、ロータリー現像装置4、一次転写ロール5、クリーニングブレード6、中間転写体7、複数(図では3つ)の支持ロール8,9,10、二次転写ロール11等を備えて構成されている。
【0017】像担持体1は、全体としてドラム状に形成されたもので、その外周面(ドラム表面)に感光層を有している。この像担持体1は図の矢印方向に回転可能に設けられている。帯電器2は、像担持体1を一様に帯電するものである。像書き込み装置3は、帯電器2によって一様に帯電された像担持体1に像光を照射することにより、静電潜像を形成するものである。
【0018】ロータリー現像装置4は、イエロー用の現像剤を収容する現像器4Yと、マゼンタ用の現像剤を収容する現像器4Mと、シアン用の現像剤を収容する現像器4Cと、、ブラック用及び不可視用の現像剤を収容する現像器4Wを有するものである。このロータリー現像装置4は、上記4つの現像器4Y,4M,4C,4Wが順に像担持体1と近接・対向するように回転駆動することにより、それぞれに対応する静電潜像にトナーを転移して可視トナー像及び不可視トナー像を形成するものである。
【0019】一次転写ロール5は、像担持体1との間で中間転写体7を挟持しつつ、像担持体1上に形成されたトナー像(可視トナー像又は不可視トナー像)を中間転写体7上に転写(一次転写)するものである。クリーニングブレード6は、転写後に像担持体1上に残ったトナーをクリーニング(除去)するものである。中間転写体7は、無端ベルト状に形成されたもので、複数の支持ロール8,9,10によって周回可能に支持されている。二次転写ロール11は、図示しない用紙搬送手段によって矢印方向に搬送される記録用紙(記録媒体)を支持ロール10との間で挟持しつつ、中間転写体7上に転写されたトナー像を記録用紙に転写(二次転写)するものである。
【0020】図2は本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の要部として、ロータリー現像装置4における現像器4Wの構成を示す概略図である。図示のように現像器4Wには、上下2段構造からなる2つのハウジング101,102が設けられている。上部のハウジング101にはブラック用現像剤Ktが収容され、下部のハウジング102には不可視用現像剤Ftが収容されている。なお、上部のハウジング101に不可視用現像剤、下部のハウジング102にブラック用現像剤が収容されていてもよい。
【0021】ハウジング101には、現像ロール103、搬送ロール104、現像剤層規制部材105及び一対のオーガー106,107が設けられている。現像ロール103は、その周面にブラック用現像剤Ktを担持して像担持体1との対向領域に搬送する回転可能な円筒担持体と磁石ロールとによって構成されている。搬送ロール104は、現像ロール103に現像剤を搬送する回転可能な円筒担持体と磁石ロールとによって構成されている。現像剤層規制部材105は、搬送ロール104の周面に担持される現像剤の層厚を調整することにより、現像ロール103上に担持される現像剤の量を規制するものである。オーガー106,107は、ハウジング101内で現像剤を循環移動させるためのものである。
【0022】同様に、ハウジング102には、現像ロール108、搬送ロール109、現像剤層規制部材110及び一対のオーガー111,112が設けられている。これらの構成部品の機能については上記ハウジング101内に設けられた構成部品と同様であるため、ここではその機能説明を省略することとする。
【0023】上記構成からなる現像器4Wは、図示せぬ制御部からの動作指令に従って動作モードを切り替え可能に構成されている。すなわち、ブラック用現像剤Ktを用いて現像を行う動作モード(第1の動作モード)では、ハウジング101,102に設けられた機能部が次のように動作する。先ず、ハウジング101内では、現像ロール103と搬送ロール104の各円筒担持体が共に回転した状態となる。この状態では、ハウジング101内に収容されたブラック用現像剤Ktが現像ロール103と像担持体1との対向領域(現像領域)に一定量ずつ送り込まれる。
【0024】これに対して、ハウジング102内では、現像ロール108の円筒担持体だけが回転し、搬送ロール109の円筒担持体は停止した状態となる。この状態では、不可視用現像剤Ftが搬送ロール109から現像ロール108へと搬送されないため、現像ロール108と像担持体1との対向領域(現像領域)に不可視用現像剤Ftが送り込まれず、よって当該領域に不可視用現像剤Ftが存在しなくなる。
【0025】一方、不可視用現像剤Ftを用いて現像を行う動作モード(第2の動作モード)では、ハウジング101,102に設けられた機能部が次のように動作する。先ず、ハウジング101内では、現像ロール103の円筒担持体だけが回転し、搬送ロール104の円筒担持体は停止した状態となる。この状態では、ブラック用現像剤Ktが搬送ロール104から現像ロール103へと搬送されないため、現像ロール103と像担持体1との対向領域にブラック用現像剤Ktが送り込まれず、よって当該領域にブラック用現像剤Ktが存在しなくなる。
【0026】これに対して、ハウジング102内では、現像ロール108と搬送ロール109の各円筒担持体が共に回転した状態となる。この状態では、ハウジング102内に収容された不可視用現像剤Ftが現像ロール108と像担持体1との対向領域に一定量ずつ送り込まれる。つまり、本第1実施形態においては、ハウジング101,102内の各機能部の動作状態を反転制御することにより、画像形成時の動作モードを自在に切り替えられる構成になっている。
【0027】なお、かかる動作モードの切り替えは、ロータリー現像装置4の回転駆動によって像担持体1に現像器4Wを対向させたときに、各ハウジング101,102内の現像ロール103,108が像担持体1に接触するケースを想定したものであり、現像ロール103,108が像担持体1に接触しないケースでは別の手法、例えば現像バイアスの印加対象を現像ロール103,108の間で切り替えるだけで動作モードの切り替えが可能となる。
【0028】ここで、本実施形態で用いられる現像剤は、非磁性トナーと磁性キャリアとを混合した二成分現像剤である。トナーとしては、重量平均粒径が9μmで、負帯電性のポリエステル系トナーが使用されている。また、キャリアとしては、結着樹脂中に磁性粉を分散させた、いわゆる磁性粉分散型樹脂キャリア又は球形フェライト粒子に樹脂皮膜を施した、いわゆるフェライトキャリアが使用されているが、他の材料からなるトナー又はキャリアを用いることもできる。
【0029】さらに詳述すると、例えば、トナーとして、ポリエステル樹脂と顔料を混練粉砕してベーストナーとした後、このベーストナーに対し、疎水化処理を施した平均粒径40nmのTiO2微粉末をトナー表面に外添したものを用いた。イエロー、マゼンタ、シアン用のトナーには、それぞれ各色用の顔料を用い、いずれも重量平均粒径7μmのトナーとした。また、ブラック用トナーには顔料としてカーボンを用い、不可視用トナーには無色の赤外吸収顔料を用いて、それぞれ重量平均粒径9μmのトナーとした。
【0030】また、キャリアとしては、平均粒径50μmのフェライト粒子100重量部及び分子量95,000のメタクリレート樹脂1重量部を、トルエン500重量部とともに加圧式ニーダーに入れ、常温で15分混合した後、減圧混合しながら70℃に上昇し溶剤を留去した後冷却し、105μmのふるいで篩分して評価用キャリアとした。
【0031】上記トナーとキャリアとを混合した現像剤としては、例えば、トナー濃度(TC:Toner Concentration)を8wt%、現像剤中のトナーの帯電量を20μC/gとしたものを用いることができる。ここでトナー濃度(TC)は、次式で表わされる。
TC(wt%)=現像剤に含まれるトナー重量(g)/現像剤の総重量(g)
【0032】上記トナーとキャリアとを混合して現像剤としたときのトナーの電荷量は、高すぎるとトナーのキャリアに対する付着力が強くなりすぎて、トナーが現像されないといった現象が発生する。一方、電荷量が低すぎるとトナーのキャリアに対する付着力が弱くなり遊離トナーによるトナークラウドが発生し、プリントにおけるカブリが問題となる。トナーを転移して良好な現像を行うという観点からは、現像剤中のトナーの電荷量が絶対値で5〜80μC/g、好ましくは、10〜60μC/gの範囲にあることが望ましい。
【0033】続いて、本第1実施形態に係る画像形成装置の動作例として、記録用紙上にフルカラーの可視画像と不可視画像の両方を形成する場合について説明する。
【0034】先ず、像担持体1が回転駆動され、帯電器2によって像担持体1の表面が一様に帯電された後、その像担持体1に像書き込み装置3による像光が照射されて静電潜像が形成される。この静電潜像はイエロー用の現像器4Yによって現像された後、そのトナー像が一次転写ロール5によって中間転写体7上に転写される。このとき記録用紙に転写されずに像担持体1に残ったトナーは、クリーニングブレード6によりクリーニングされる。その後、マゼンタ、シアンについても、上記同様に帯電器2による帯電、像書き込み装置3による像光の照射、各現像器4M,4Cによるトナー像の形成、中間転写体7へのトナー像の転写が行われる。
【0035】続いて、上記同様に帯電器2による帯電、像書き込み装置3による像光の照射が行われた後、先に説明した第1の動作モードで、ブラック用現像剤を用いた現像器4Wによるトナー像の形成、中間転写体7へのトナー像の転写が行われる。これにより、中間転写体7にはブラックのトナー像が転写される。
【0036】こうして中間転写体7に対する4色のトナー像の転写が終了すると、これに続いて再び、像担持体1の表面が帯電器2によって一様に帯電された後、像書き込み装置3からの像光の照射されて静電潜像が形成される。この静電潜像は、先程と同じ現像器204Wによって現像されるが、それに先立つ動作モードの切り替え(第1の動作モードから第2の動作モードへの切り替え)により、像担持体1上には不可視用トナーによるトナー像(不可視トナー像)が形成される。この不可視トナー像は、一次転写ロール5によって中間転写体7上に転写される。
【0037】これにより、中間転写体7上には、4色(イエロー,マゼンタ,シアン,ブラック)のトナー像が重ね合わされたフルカラーの可視トナー像と不可視トナー像の両方が形成される。このようにして形成された可視トナー像と不可視トナー像は二次転写ロール11により一括して記録用紙に転写される。これにより、記録用紙上にはフルカラーの可視画像と不可視画像とが混在した記録画像が得られる。
【0038】ちなみに、上記の動作例では、記録用紙上にフルカラーの可視画像と不可視画像の両方を形成する場合を説明したが、これ以外にも、例えば、第1の動作モードだけで画像形成を行うことによりフルカラー又は白黒の可視画像のみを記録用紙上に形成したり、第2の動作モードだけで画像形成を行うことにより不可視画像のみを記録用紙上に形成したりすることも可能である。
【0039】このように本第1実施形態に係る画像形成装置によれば、ブラック用現像剤と不可視用現像剤を共通の現像器4Wに収容するとともに、ブラック用現像剤を用いて現像を行う第1の動作モードと不可視用現像剤を用いて現像を行う第2のモードとを切り替え可能に構成することにより、現像器の個数を増やすことなく、記録用紙上にフルカラーの可視画像と不可視画像とを形成することができる。これにより、装置の低コスト化と小型化を同時に実現することが可能となる。
【0040】次に、本第1実施形態に係る画像形成装置において、実際に記録用紙上に不可視画像を形成し、その分光特性を調査した結果について述べる。この調査にあたっては、本第1実施形態の画像形成装置を用いて、記録用紙上に不可視用トナーによる不可視ベタ画像と、イエロー、マゼンタ、シアンのトナー像が重ね合わされた可視ベタ画像を形成し、記録用紙上の各画像の分光反射率を分光反射率測定装置により測定した。その測定結果を図3に示す。なお、図3における不可視画像の分光反射率は、その画像形成に用いたトナーの分光反射率に相当するものとなる。
【0041】図3において、波長400nmから波長700nmまでの範囲は、肉眼で見ることのできる可視光領域である。この可視光領域において、不可視ベタ画像(図3における不可視画像)の分光反射率は可視ベタ画像(図3における可視画像)の分光反射率よりも高くなっている。よって、不可視ベタ画像と可視ベタ画像とが重なる部分では、肉眼による不可視ベタ画像の観察が不可となる。また、不可視ベタ画像の分光反射率は記録用紙の分光反射率よりも低くなっている。両者(不可視ベタ画像と記録用紙)の分光反射率差が大きくなると、不可視ベタ画像のみが記録された部分では、肉眼による不可視画像の観察が可能となる。
【0042】一方、波長700nm以上の領域は、肉眼で見ることのできない不可視光領域(近赤外光領域)である。この不可視光領域においては、波長800nmまでの間に可視ベタ画像の分光反射率が急激に高くなる一方、不可視ベタ画像の分光反射率が大幅に低下し、これによって不可視ベタ画像の分光反射率が可視ベタ画像の分光反射率よりも低くなっている。両者(不可視ベタ画像と可視ベタ画像)の分光反射率差が大きくなると、特定の手段によって不可視画像の読み取りが可能となる。具体的な読み取り手段としては、例えば、赤外光成分を有する照明を記録用紙に照射しつつ、赤外光に感度を有するイメージセンサで記録用紙上の画像を読み取るものが考えられる。
【0043】次に、不可視画像の読み取りと肉眼における視認性と画像の分光特性を調査した結果について述べる。この調査にあたっては、本第1実施形態の画像形成装置を用いて、記録用紙上に不可視ベタ画像と不可視ラダー画像(1ドット分のラインを1ドットおきに並べた画像)とイエロー、マゼンタ、シアンのトナー像を重ね合わせた可視ベタ画像とを形成した。このとき、記録用紙上での不可視用トナーの量を変えることにより、可視光領域及び不可視光領域における分光反射率を変化させた。各評価画像における不可視用トナーの量を表1に示す。
【0044】
【表1】

【0045】こうして形成した画像の分光特性の評価は、可視ベタ画像と不可視ベタ画像の分光反射率測定を行い、波長が400nmから700nmまでの範囲(可視光領域)における不可視ベタ画像と記録用紙の分光反射率差の最大値と、波長が700nmから1000nmまでの範囲(不可視光領域)における不可視ベタ画像と可視ベタ画像の分光反射率差の最大値を調べた。
【0046】また、不可視画像の読み取りの評価は、可視ベタ画像と不可視ラダー画像が重なる部分に赤外光成分を有する照明(例えば、ハロゲンランプ)を照射し、赤外光に感度を有するイメージセンサにより画像の読み取りを行った。読み取った不可視ラダー画像の評価指標は、1ドット分のラインが1ドットおきにきちんと並んでいるかどうかといった、いわゆるラダーの解像性を目視で確認し、確認できたものを○、確認できなかったものを×とした。
【0047】さらに、肉眼における視認性の評価は、背景部に不可視ラダー画像と不可視ベタ画像を記録した部分を目視で観察し、目視で不可視画像を確認できたものを○、確認できなかったものを×とした。上記のような方法で評価を行った結果を表2に示す。
【0048】
【表2】

【0049】この表2に示される結果より、画像形成時の条件として、可視光領域における記録用紙と不可視画像との最大分光反射率差が10%以内で、かつ、不可視光領域(本形態では近赤外光領域)における不可視画像と可視画像との最大分光反射率差が10%以上とすることにより、可視光領域では肉眼で確認することができず、特定の方法でのみ読み取ることのできる不可視画像を形成することができる。また、可視画像の画像品質を損なうことなく、可視画像の任意の位置に付加情報を埋め込むことができ、さらに、すでに付加情報を埋め込まれた画像に新たな付加情報を埋め込むことができる。
【0050】加えて、フルカラー画像による可視画像の下層に不可視画像を形成することにより、上層のフルカラー画像が不可視画像を保護する保護層として働くようになる。これにより、例えば記録用紙上での擦れによる不可視画像の欠落を防止できるなど、より耐久性のある不可視画像を付加情報として埋め込むことが可能となる。
【0051】続いて、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態においては、上記第1実施形態との比較において、特に、現像器4Wの構成と動作モードの切り替え手段とが異なるものとなっている。
【0052】図4は本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の要部として、ロータリー現像装置4における現像器4Wの構成を示す概略図である。図4において、ハウジング202には、不可視用トナー(第1の現像剤)と可視用トナーの一つであるブラック用トナー(第2の現像剤)とキャリアとを混合してなる現像剤(以下、混合現像剤という)FKtが収容されている。
【0053】また、ハウジング201内には、現像ロール202、現像剤層規制部材203及び一対のオーガー205,206が設けられている。現像ロール202は、その周面に混合現像剤FKtを担持して像担持体1との対向領域に搬送する回転可能な円筒担持体と磁石ロールとによって構成されている。現像剤層規制部材203は、現像ロール202の周面に担持される混合現像剤FKtの層厚を調整することにより、現像ロール202上に担持される混合現像剤FKtの量を規制するものである。オーガー205,206は、ハウジング201内で混合現像剤FKtを循環移動させるためのものである。
【0054】上記混合現像剤FKtは、例えば、不可視用トナーの濃度を5wt%、ブラック用トナーの濃度を8wt%となるようにしたものを用いることができる。このとき、混合現像剤中の不可視用トナーの帯電量は15μC/g、ブラック用トナーの帯電量は20μC/gとなった。また、不可視用トナーとブラック用トナーをキャリアとともに混合した混合現像剤のTCは、キャリアの表面を不可視用トナーとブラック用トナーが隙間なく1層だけ覆った状態を上限とするのが望ましい。例えば、不可視用トナーとブラック用トナーの重量平均粒径が9μm、キャリアの重量平均粒径が50μmの場合、不可視用トナーとブラック用トナーを合わせたTCは、18wt%を超えないように設定するのが好ましい。この理由は、TCがそれ以上に高くなりすぎると、トナーのキャリアに対する付着力が弱くなって遊離トナーによるトナークラウドが発生し、プリントにおけるカブリが問題となるためである。
【0055】このような混合現像剤を用いて現像を行う場合は、上述のように不可視用トナーの帯電量とブラック用トナーの帯電量とが異なるため、現像ロール202に印加する現像バイアスに対して両者の現像性に違いが生じる。一般に、トナーの帯電量が低いほど現像性が高くなる傾向にある。よって、上記の例では不可視用トナーの方がブラック用トナーよりも高い現像性を有するものとなる。ちなみに、ここで述べる現像性とは、トナーの現像の難易性を示すもので、この現像性が高いものほど現像されやすいトナーとなる。
【0056】図5は混合現像剤中におけるトナーの現像性の違いを示すもので、ここでは横軸を現像バイアス、縦軸を現像トナー量としたグラフ形式で表わしている。図5において、現像バイアスがV1からV2(但し、V2>1)の間では、不可視用トナーによる現像トナー量が徐々に増加していき、現像バイアスがV2以上では該現像トナー量が一定量で推移している。これに対して、ブラック用トナー(可視用トナー)の場合は、現像バイアスがV1からV2の間では現像されず(現像トナー量がほぼゼロ)、現像バイアスがV2からV3(但し、V3>V2)の間で現像トナー量が徐々に増加し、V3以降では一定量で推移している。
【0057】このことから本第2実施形態においては、画像形成時に現像バイアスを切り替えることにより、第1の動作モードと第2の動作モードとを切り替えることが可能となる。すなわち、現像バイアスをV1からV2の間に設定した場合は、不可視用トナーのみを用いて現像することが可能となり、現像バイアスをV2からV3の間に設定した場合は、不可視用トナーとブラック用トナーの両方を用いて現像することが可能となる。これにより、先の第1実施形態に比較して、現像器4Wの構成を簡素化することができるため、画像形成装置のさらなる低コスト化と小型化を実現することが可能となる。
【0058】ここで、本第2実施形態の画像形成装置を用いて、記録用紙上に不可視用トナーを用いた不可視ベタ画像と、ブラック用トナーを用いたブラックベタ画像と、イエロー、マゼンタ、シアンのトナー像を重ね合わせた可視ベタ画像とを形成し、それぞれの画像の分光反射率を分光反射率測定装置により測定したところ、図6のような結果が得られた。
【0059】図6において、波長400nmから波長700nmまでの肉眼で見ることのできる可視光領域において、不可視ベタ画像の分光反射率は、ブラックベタ画像及び可視ベタ画像の分光反射率よりも高いため、不可視ベタ画像とブラックベタ画像及び可視ベタ画像とが重なる部分では、肉眼による不可視ベタ画像の観察が不可となる。したがって、上述のように現像バイアスを高い設定(図5におけるV2以上の設定)にして、ブラック用トナーと不可視用トナーを一緒に用いた現像を行っても、肉眼ではブラックベタ画像と可視ベタ画像しか観察されないため、問題は発生しない。ただし、不可視ベタ画像の分光反射率と記録用紙の分光反射率の差が大きくなると、不可視ベタ画像のみが記録された部分では、肉眼による不可視画像の観察が可能となる。
【0060】一方、波長700nm以上の肉眼で見ることのできない不可視光領域においては、波長800nmまでの間に可視ベタ画像の分光反射率が急激に高くなる一方、不可視ベタ画像の分光反射率が大幅に低下し、これによって不可視ベタ画像の分光反射率が可視ベタ画像の分光反射率よりも低くなっている。両者(不可視ベタ画像と可視ベタ画像)の分光反射率差が大きくなると、特定の手段によって不可視画像の読み取りが可能となる。また、不可視ベタ画像の分光反射率はブラックベタ画像の分光反射率よりも高くなっている。両者(不可視ベタ画像とブラックベタ画像)の分光反射率差が大きくなると、ブラックベタ画像の読み取りが可能となる。これにより、ブラック用トナーと不可視用トナーを一緒に用いて現像を行っても、ブラック用トナーで現像されている部分を特定できるため、不可視用トナーによる不可視画像のみを特定の手段(既述)によって読み取ることが可能となる。
【0061】以上の結果から、不可視用トナーと可視用トナーを混合した混合現像剤を使用する場合においても、肉眼で確認することができず、特定の方法でのみ読み取ることのできる付加情報を埋め込むことができる。また、不可視画像と可視画像を異なる解像度とすることで、読み取りの際に可視画像と不可視画像を効率よく分離することができ、さらに不可視画像の解像度を可視画像の解像度よりも低くすることで、読み取りに使用するイメージセンサを併用することができる。
【0062】なお、上記第2実施形態においては、トナーの帯電量を異なるものとすることにより、ブラック用トナーと不可視用トナーの現像性に違いを持たせるようにしたが、トナーの現像性を変える要因としては、上記トナーの帯電量の他にも、例えば、トナーの粒径、トナーとキャリア間の付着力、現像ロール202と像担持体1との回転速度比と距離などが挙げられる。
【0063】また、上記第1,第2実施形態においては、像担持体として感光体を使用しているが、本発明はこれに限らず、例えば、像担持体として誘電体を使用し、静電プリンターに使用されている放電記録ヘッドや、特開昭59−190854号公報に開示されているイオン流制御ヘッドなどにより像担持体上に静電潜像を形成するものであってもよい。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように本発明の画像形成装置によれば、画像形成時の動作モード(第1の動作モード、第2の動作モード)を適宜切り替えることにより、共通の現像器を使用して可視画像と不可視画像を形成することができる。これにより、記録媒体上に可視画像と不可視画像を形成可能で、しかも低コストでかつ小型の画像形成装置を提供することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
【出願日】 平成12年3月17日(2000.3.17)
【代理人】 【識別番号】100086298
【弁理士】
【氏名又は名称】船橋 國則
【公開番号】 特開2001−265182(P2001−265182A)
【公開日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願番号】 特願2000−75138(P2000−75138)