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【発明の名称】 定着装置
【発明者】 【氏名】池上 廣和

【氏名】藤田 貴史

【氏名】中藤 淳

【氏名】由良 純

【要約】 【課題】昇温速度が速くてしかも安全性に優れた定着装置を提供する。

【解決手段】対をなす加熱ローラ18と加圧ローラ19のうち一方の加熱ローラ18の内部に抵抗発熱体71を備え、トナー像を担持した転写材を搬送して一対のローラ18、19間に挟むことによってトナー像を加熱溶融して転写材表面に定着させる定着装置である。加熱ローラ18の温度が所定の限界温度を超えた場合のみ抵抗発熱体71への給電を遮断する安全装置67を加熱ローラ18の内部に実装してなる。安全装置67は、給電を遮断するサーモスタットからなり、その感温部の形状が加熱ローラ18内面の曲率より小さい曲率を有し、一対の離れた部位で加熱ローラ18の内面に当接する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一対のローラからなり、少なくとも一方のローラがその内部に絶縁層と発熱体を積層した加熱ローラであり、トナー像を担持した転写材を搬送して上記一対のローラ間に挟むことにより、上記トナー像を加熱溶融して上記転写材表面に定着させる定着装置において、上記加熱ローラの温度が所定の限界温度を超えた場合のみ上記発熱体への給電を遮断するように作動する安全装置を有し、該安全装置を上記加熱ローラ内部に実装してなることを特徴とする定着装置。
【請求項2】 上記安全装置は、上記加熱ローラの温度が上記所定温度を超えた場合のみ上記発熱体への給電を遮断するサーモスタットであり、該サーモスタット感温部の形状が上記ローラ内曲率より小さい曲率を有し、一対の離れた部位で上記ローラ内面に当接させてなることを特徴とする請求項1の定着装置。
【請求項3】 上記安全装置は、上記加熱ローラの温度が上記所定温度を超えた場合のみ上記発熱体への給電を遮断する温度ヒューズであり、該温度ヒューズを、上記加熱ローラへ外部から交流電源を供給するための一対の給電ブラシを支持するローラ両端に設けた樹脂製のキャップ部材に設けてなることを特徴とする請求項1の定着装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真式の複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いる直接加熱方式の定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】複写機、プリンタ、ファクシミリ等における画像加熱定着装置では、ハロゲンヒータを熱源とした加熱方式が多く採用されてきた。この加熱方式は、一対のローラの少なくとも一方にハロゲンヒータを備えた加熱ローラを有し、この加熱ローラを、温度制御を行うためのサーミスタに代表される温度制御素子に対してポリイミド等の保護フィルムを介して当接させている、また交流電源、トライアック、温度ヒューズ等の安全装置、それらを連絡する電線等からなるAC給電回路によりハロゲンヒータに給電して加熱ローラを昇温させる。これらの装置全体の制御を行っているCPU(中央演算装置)は、サーミスタの検出温度によってハロゲンヒータの通電を制御する信号をトライアックに伝えて駆動を行うことで、加熱ローラの温度を予め設定した温度に制御している。
【0003】安全装置はAC給電回路に直列に挿入して加熱ローラ表面に近接させて配設してあり、加熱ローラの表面温度が所定の限界温度を超えた場合にのみハロゲンヒータへの給電を遮断するように作動する。
【0004】このような画像加熱定着装置では、画像形成部でトナー像を形成した紙等の転写材を入口ガイドによって案内して一対のローラの間へ導き、温度制御された一対のローラの圧接部(定着ニップ部)に進入させ、転写材上の未定着トナー像を一対のローラ間に挟むことにより加熱溶融させ、転写材の表面に定着させて永久画像とする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで近年の環境規制、環境保護意識の高まりから、各種画像形成装置では不使用時に定着装置の発熱体への通電を遮断し、必要な時のみ通電して消費電力を低減させることが行われている。このような省エネ型の画像形成装置では、印刷時に定着ローラの表面温度が即座に設定温度まで達する必要がある。この要求を満たすための一つの手段としては、定着ローラの内面もしくは外面に発熱層を有する直接加熱方式の加熱ローラがある。このような直接加熱方式を用いた定着装置では、加熱定着ローラにはAlやFeなどの金属基体(芯金)上に電気絶縁層と抵抗発熱層とを積層する。この方式は、ハロゲンランプによる輻射加熱に比べて熱効率が向上するとともに、この方式の定着装置はハロゲンランプを用いた定着装置と比較すると立ち上がり時間の短縮が可能である。
【0006】しかしながら、立ち上がり時間の短い急加熱可能な加熱ローラは、異常が生じた場合に高温に成りやすいため、複数の安全装置を設けることになるが、最終的に発熱体への給電を遮断する安全装置を加熱ローラの表面に当接させる必要がある。ところが、このような構成の装置を長期使用すると、ローラ表面のテフロン(登録商標)コートに代表される表面処理を磨耗させ、これに起因して出力画像に欠陥が生じることがあった。
【0007】そこで本発明は、上記従来の問題点を解決するために、昇温速度が速くてしかも安全性に優れた定着装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る定着装置は、上記目的を達成するために、一対のローラからなり、少なくとも一方のローラがその内部に絶縁層と発熱体を積層した加熱ローラであり、トナー像を担持した転写材を搬送して上記一対のローラ間に挟むことにより、上記トナー像を加熱溶融して上記転写材表面に定着させる定着装置において、上記加熱ローラの温度が所定の限界温度を超えた場合のみ上記発熱体への給電を遮断するように作動する安全装置を有し、該安全装置を上記加熱ローラ内部に実装してなることを特徴とする。
【0009】同請求項2に係るものは、上記目的を達成するために、上記安全装置は、上記加熱ローラの温度が上記所定温度を超えた場合のみ上記発熱体への給電を遮断するサーモスタットであり、該サーモスタット感温部の形状が上記ローラ内曲率より小さい曲率を有し、一対の離れた部位で上記ローラ内面に当接させてなることを特徴とする。
【0010】同請求項3に係るものは、上記目的を達成するために、上記安全装置は、上記加熱ローラの温度が上記所定温度を超えた場合のみ上記発熱体への給電を遮断する温度ヒューズであり、該温度ヒューズを、上記加熱ローラへ外部から交流電源を供給するための一対の給電ブラシを支持するローラ両端に設けた樹脂製のキャップ部材に設けてなることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の実施対象となる電子写真方式の画像形成装置の一例の構成を示す断面図である。この装置は、図中の矢印方向に回転する感光体1の周りに、帯電手段2、クリーニング装置3、レーザビームLを感光体1に対して射出するレーザ光学系4、トナーを供給して感光体1上の潜像を顕像化する現像スリーブ5を含む現像装置7、及び転写手段6が配置してある。また、装置の下側に配置してあって図中の矢印a方向に着脱可能な給紙カセット10内の用紙Pは、中板11で支えられ、図示せぬスプリングの付勢力によってアーム12を介して給紙ローラ13に押し付けられている。そして図示せぬ制御部から指令が発せられて給紙ローラ13が回転することにより、給紙カセット10内の最上紙が分離パッド14で重送を防止されながら下流側のレジストローラ15まで搬送され、感光体1上の画像と同期するようにタイミングを取られて転写手段6に向かって送り出されるようになっている。
【0012】転写紙手段6によって感光体1から画像を得た用紙Pは、さらに定着手段16へ搬送され、加熱定着ローラ18と、これに圧接対向する加圧ローラ19との間に狭まれながら搬送され、加熱、加圧され、紙面にトナー像を定着される。その後、画像形成済みの用紙Pは、排紙ローラ20によって画像面を下にして排紙口21から排紙トレイ部22上に排出、載置される。なお排紙トレイ部22は、排出される用紙Pのサイズに対応するために、排紙ストッパは矢印b方向において可動である。なお排紙トレイ部22を構成しているカバー38は回転支点39を中心に開放可能である。
【0013】また図示の装置は、図の紙面右側に操作面が配置してあり、オペレーションパネル30が外装部31の上部前面(図の装置上右側)で突き出ており、また給紙トレイ32がピン33により回動可能に取り付けられている。さらに図の左側に配置したケース34内には、電源35やプリント板36(エンジンドライバボード)等の電装、制御装置やコントローラボード37が収納してある。
【0014】図2は、本発明に係る表面発熱定着ローラ方式の定着装置の第1の実施形態の軸方向断面図である。この装置は、加熱ローラ18に加圧ローラ19を図示せぬスプリングによって一定の加圧力で押し当てている。加熱ローラ18は、軸受51a、51bを介して定着側板50a、50bに取り付けてあり、歯車53が図示せぬ駆動源と噛合して回転駆動される。定着ローラ18は、AlもしくはFeの薄肉パイプを基体としており、その肉厚は0.3〜2.0mm程度である。金属基体70の外面には表面離型層73が形成してあり、内面側には電気絶縁シート72とその内側に抵抗発熱体71とが積層してある。
【0015】また加熱ローラ18の外周面には温度センサ60が当接し、温度センサ60より検出した信号は入力回路61を経てCPU63に取り込み、CPU63は検出した加熱ローラ18の温度を基にトライアック等のドライバ62を介して抵抗発熱体71への通電を制御する。抵抗発熱体71への電源供給経路は、外部の電源より安全回路で電源供給の遮断可能なリレー64を経てドライバ62で制御した後、漏れ電流検出器65を経てサーモスタットを用いた安全回路67を介して抵抗発熱体71に通電するというものになる。
【0016】なお図中80a、80bは受電電極、81は給電ブラシ、82は給電電極板バネ、84は接点バネ、85は端部キャップ部材、86は絶縁部材である。端部キャップ部材85、85は、加熱ローラ18に給電を行う受電電極80a、80bを保持し、また抵抗発熱体71に給電するバネ接点84、84を保持している。また接点バネ84は、受電電極80a、80bと絶縁部材86で連結して配してある。
【0017】この装置が異常状態になったり、CPU63が暴走して制御不能となったり、またトライアック等のドライバ62が故障してクローズ状態となって抵抗発熱体71に交流電源が通電され続けた場合、加熱ローラ18の表面温度は所定の温度より高温となる。安全回路67は、加熱ローラ18の温度が高くなって設定温度を超えると、サーモスタットの内部接点が開いて抵抗発熱体71への給電を遮断する。また安全回路67は、加熱ローラ18の温度が室温に戻っても通電することは無く、この定着装置を備える画像形成装置は故障モードとなり、その旨をオペレータパネルに表示する。この様にして制御系に異常があった場合でも連続通電され、火災に至る危険な状態を起こすことがなくなる。
【0018】なおローラ表面を加熱するタイプの定着装置として、ハロゲンヒータを内蔵したタイプのものがあるが、ハロゲンヒータを採用した加熱ローラでは、ローラ内部にサーモスタットを配した場合にはサーモスタットがヒータからの輻射をさえぎるため、サーモスタットが当接しているローラ内面の温度が低くなって誤動作するが、上述した実施形態のタイプのローラの場合、ローラ内面の発熱部にサーモスタットの感温部が当接しているため、誤動作の心配が無い。
【0019】図3は、本発明に係る表面発熱定着ローラ方式の定着装置の第2の実施形態を示す断面図で、図2のA−A線に沿う断面に相当する図である。安全装置67は加熱ローラ18内に固定して設けてあるため、加熱ローラ18の回転に伴って回転し、停止状態も加熱ローラ18の回転方向で任意の位置となる。そして図示のように加熱ローラ18内部の安全回路67の当接状態は、安全回路67の感温部形状が加熱ローラ18の内径より曲率が小さいため、一対の上縁で、すなわち2箇所で接触している。またこの接触部分間の距離dは、加圧ローラ19と加熱ローラ18よりなるニップ幅nより大きくしてある。
【0020】安全装置67が一箇所だけ狭い幅で、あるいは1点や一縁だけで加熱ローラ18の内面に接触していると、停止状態となったときにその接触部位が加圧ローラ19とのニップ幅n内に位置すると、異常が発生した場合にニップ部分ではローラ表面より温度が低くなり、安全回路67の作動が遅れ、ローラ表面温度が高温に至ってしまう。また安全装置67が全面で加熱ローラ18の内面に接触している場合、異常時は特に作動遅れ等は問題にならないが、安全装置67の熱容量が加熱ローラ18に比べて大きいため、室温より加熱していって所定温度に達した場合に、加熱ローラ18の内部では安全装置67を配した部分とそれ以外の通常の部分で温度ムラが発生する。もちろんこのような現象は、高速立ち上がりを行う上で望ましくない。本実施形態では、上述のような接触形態を採用することでこのような問題を回避して必要な性能を維持できるようになっている。
【0021】図4は、本発明に係る表面発熱定着ローラ方式の定着装置の第3の実施形態の軸方向断面図である。第1の実施形態と共通する部分には共通する符号を付すに止め、重複する内容の説明は省略する。図中左側の端部キャップ部材85で保持した受電電極80は、反対方向へ加熱ローラ18内で延長された先端部に温度ヒューズ68が配してある。通常、加熱ローラ18の温度過上昇の検出に温度ヒューズを用いる場合、強化絶縁チューブを被せて加熱ローラ18の表面に非接触で配するため、応答性が遅くて高速立ち上がりを必要とする定着装置では十分な性能が出せなかったが、加熱ローラ18の内部に置くことで、気流による冷却等の影響を受けずに良好な性能を維持できるようになる。
【0022】
【発明の効果】本発明に係る定着装置は、以上説明してきたようなものなので、小型で低コストな安全回路を有するものとして構成でき、ローラ表面に接触するのではないため、表面のテフロンコート等の表面処理を磨耗させて出力画像に欠陥を生じさせることもないという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
【出願日】 平成12年3月17日(2000.3.17)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−265160(P2001−265160A)
【公開日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願番号】 特願2000−75279(P2000−75279)