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【発明の名称】 加圧ローラ、加熱装置及び画像形成装置
【発明者】 【氏名】中川 健

【氏名】友行 洋二

【要約】 【課題】熱伝導率が低い多孔質ゴムを用いた断熱加圧ローラでありながら、好適な硬度と表面離型性を有し、連続使用や高温使用状態においてもローラの硬度変化の少ない耐久性に優れた加圧ローラの提供、断熱性能、クイックスタート性に優れ、しかも耐久性に優れた加熱装置及び画像形成装置の提供。

【解決手段】トナー像を担持する被記録材を搬送し、該被記録材に熱エネルギーを付与するための加熱手段に対向して配置され、該被記録媒体に圧力を付与するための加圧ローラにおいて、芯金に弾性層が設けられたロール形状を有し、該弾性層中に、外殻を有する内部が中空状の充填材を含み、且つ、該充填材が、その軟化温度よりも20℃以上高い温度で加熱処理されたものであることを特徴とする加圧ローラ、これを用いた加熱装置及びこれを用いた画像形成装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トナー像を担持する被記録材を搬送し、該被記録材に熱エネルギーを付与するための加熱手段に対向して配置され、該被記録材に圧力を付与するための加圧ローラにおいて、芯金に弾性層が設けられたロール形状を有し、該弾性層中に、外殻を有する内部が中空状の充填材を含み、且つ、該充填材が、その軟化温度よりも20℃以上高い温度で加熱処理されたものであることを特徴とする加圧ローラ。
【請求項2】 トナー像を担持する被記録材を搬送し、該被記録材に熱エネルギーを付与するための加熱手段に対向して配置され、該被記録材に圧力を付与するための加圧ローラであって、芯金に弾性層が設けられたロール形状を有し、該弾性層中に、外殻を有する内部が中空状の充填材を含み、更に、該充填材が、上記加熱装置の最高動作温度以上で加熱処理されたものであることを特徴とする加圧ローラ。
【請求項3】 前記加熱処理の加熱温度は、150℃乃至350℃である請求項1または2に記載の加圧ローラ。
【請求項4】 前記充填材は、100℃乃至230℃に軟化温度を有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の加圧ローラ。
【請求項5】 前記充填材は、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、或いは塩化ビニリデンと(メタ)アクリロニトリルとの共重合体のいずれかからなる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の加圧ローラ。
【請求項6】 前記充填材は、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、或いは塩化ビニリデンと(メタ)アクリロニトリルとの共重合体のいずれかからなり、且つ、該充填材の外表面に炭酸カルシウム、タルク、若しくはシリカの無機化合物が付着されている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の加圧ローラ。
【請求項7】 前記弾性層は、シリコーンゴム層中に前記充填材が分散されている請求項1乃至6のいずれか1項に記載の加圧ローラ。
【請求項8】 更に、最外面部にフッ素樹脂またはフッ素ゴムラテックスによって形成された離型層を有する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の加圧ローラ。
【請求項9】 トナー像を担持した被記録材に熱エネルギーを付与するための加熱手段と、この加熱手段に対向して配置され、該被記録材に圧力を付与するための加圧ローラとを有し、上記被記録材に熱エネルギーと圧力を付与することにより上記トナー像(未定着画像)を被記録材に加熱定着させる加熱装置であって、上記加圧ローラが請求項1乃至8のいずれか1項に記載の加圧ローラであることを特徴とする加熱装置。
【請求項10】 前記加熱手段は、回転駆動されるまたは従動回転する回転体である請求項9に記載の加熱装置。
【請求項11】 前記加圧ローラは回転駆動し、前記加熱手段は、回転体であって該加圧ローラに対して従動回転するように構成されている請求項10に記載の加熱装置。
【請求項12】 被記録材に未定着画像を形成担持させる画像形成手段と、上記未定着画像を上記被記録材に加熱定着させるための加熱装置とを有する画像形成装置であって、上記加熱装置が請求項9乃至11のいずれか1項に記載の加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、レーザープリンタ、ファクシミリ等の電子写真プロセスを用いる画像形成装置の定着装置に使用される加圧ローラ、これを用いた加熱装置及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】加熱装置は、画像形成装置に用いられる加熱定着装置や、記録剤(トナー)を加熱して画像のツヤ等の表面性を改質する像加熱装置、非加熱材を乾燥する場合やラミネート加工する場合等の熱処理に用いられる装置等として従来より広く用いられている。以下、電子写真複写機やプリンタ等の画像形成装置に装備される加熱定着装置を例に採って、従来技術の加熱装置について説明する。
【0003】画像形成装置の加熱定着装置は、例えば、転写シート、静電記録紙、エレクトロファックス紙、印字用紙等の被記録材に、転写方式或いは直接方式で形成担持させた、目的の画像情報に対応した未定着画像(トナー画像)を被記録材面上に永久固着画像として熱定着させるためのものである。加熱定着装置は、熱ローラ方式やフィルム加熱方式等のように、加熱手段と加圧手段とを対向圧接させて圧接ニップ部(定着ニップ部)を形成し、その圧接ニップ部に画像定着すべき被記録材を導入し、挟持搬送させることによって未定着画像を被記録材面に熱圧定着させる接触加熱型の装置が多用されている。以下、これらの加熱方式について説明する。
【0004】(1)熱ローラ定着方式加熱手段としての加熱ローラ(定着ローラ)と、これに圧接させた加圧手段としての弾性加圧ローラとからなる平行圧接ローラ対を基本構成とする。このローラ対を回転させ、ローラ対の圧接ニップ部に画像定着すべき被記録材を導入して挟持搬送させ、加圧ローラの熱と圧接ニップ部の加圧力とによって未定着画像を被記録材面に熱圧定着させるものである。
【0005】(2)フィルム加熱装置フィルム加熱方式に関しては、特開昭63−313182号公報、特開平2−157878号公報、特開平4−44075〜44083号公報、特開平4−204980〜204984号公報等で種々に提案されている。フィルム加熱方式では、加熱手段として加熱体と耐熱性フィルム(定着フィルム)とを有し、加圧手段として弾性加圧ローラを有する。そして、弾性加圧ローラによって耐熱性フィルムを加熱体に圧接させて圧接ニップ部を形成し、この圧接ニップ部において耐熱性フィルムを加熱体に密着させて摺動搬送させ、圧接ニップ部における耐熱性フィルムと弾性加圧ローラとの間に画像定着すべき被記録材を導入し、被記録材を耐熱性フィルムと共に搬送させる。このときに、加熱体から耐熱性フィルムを介して被記録材に付与される熱と、圧接ニップ部における加圧力とによって、未定着画像が被記録材面に熱圧定着される。被記録材は、圧接ニップ部を通過後に耐熱性フィルムから分離されて定着画像が得られる。
【0006】このフィルム加熱方式の加熱装置においては、耐熱性フィルムとしてエンドレスフィルムを用い、フィルムの回転駆動方式としてフィルム内面側に駆動ローラを設け、フィルムにテンションを加えながら回転駆動させる方式と、フィルムをフィルムガイドにルーズに外かんさせ、加圧手段としての加圧ローラを駆動することでフィルムを加圧ローラに対し従動駆動させる方式とがある。これらの中でも、部品点数が少なくてすむことから、後者の加圧回転駆動方式が採用されることが多い。
【0007】上記(2)のフィルム加熱方式の定着装置には下記のような利点がある。先ず、フィルム加熱方式の定着装置には低熱容量のヒータを用いることができるため、(1)の熱ローラ方式の定着装置に比べ、ウエイトタイムの短縮(クイックスタート)が可能となる。また、クイックスタートが可能となることにより、非プリント動作時の予熱が必要なくなり、総合的に省電力化を図ることができる。更に、ヒータに代表される加熱手段を低熱容量化するだけでなく、加圧手段に対しても低熱容量化することで、省電力化が有効に図られている。
【0008】例えば、このようなものとして、加圧ローラの弾性層に多孔質のスポンジゴムを用いた断熱加圧ローラが実用化されている。スポンジゴムの断熱加圧ローラの製法の一例としては、次のような方法が挙げられる。先ず、シリコーンゴム組成物に発泡材を加えた原料未加硫ゴムを押し出し機によってチューブ状に押し出し、加硫炉を通して、加熱、加硫、発泡させてスポンジゴムチューブを得る。次に、このゴムチューブに接着剤を塗布した芯金を挿入し、スポンジローラを作る。更に、得られたスポンジローラのスポンジ外表面にプライマを塗布し、乾燥後、四弗化エチレン−パーフロロアルコキシエチレン共重合体(PFA)チューブを被覆し、更に、接着剤硬化のための熱処理を行うことで離型層を形成し、多孔質弾性層を有する断熱加圧ローラが得られる。
【0009】かかる多孔質弾性層を有する加圧ローラでは、多孔質の母材である弾性体よりも空気の方が熱伝導率が低いため、気孔の割合を多くして密度を下げると、みかけの熱伝導率が下がるので、断熱効果を高めることができる。しかし、気孔の割合を無限に多くすることはできず、下記に述べるように限界がある。シリコーンスポンジローラを例に採って説明すると、密度が低いシリコーンスポンジゴムは、一般にソリッドシリコーンゴムよりも柔らかくなる。このように硬度が下がると、定着ニップ部の幅が太くなり、被記録材が加熱される時間が増え、トナーの被記録材への定着性は良くなるものの、その一方で、慴動面積が増えるのでフィルムの回転負荷が高くなり、最悪の場合にはスリップが発生する。このため、スポンジローラの発泡倍率には、上限が存在していた。
【0010】また、発泡倍率を上げるとシリコーンスポンジのセル径は大きくなる傾向があり、セルによってできる表面の凹凸が、ローラの最外面部にある離型層にも凹凸を生じてしまうことが起こる。この結果、この凹凸の凹み部分にトナーが溜り、ローラ汚れの起点となってしまうことがあった。これに対し、上記のような凹凸が無く、しかも熱伝導率が低い、加圧ローラに好適な断熱材料として、中空球体をシリコーンゴム中に充填材として含有させたものが考えられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ここで使用する中空球体の材質がガラスである場合には、充填材自体が硬いので、充填材の量を増やして熱伝導率を十分に下げると、ゴム硬度が上昇し過ぎてしまい、加圧ローラの低硬度と低熱伝導率を両立させることが難しくなる。また、中空球体の材質がアクリロニトリル等の樹脂であるものを使用すれば、充填材自体が柔らかいため低熱伝導率と低硬度を両立した加圧ローラを得ることが可能となるが、樹脂の耐熱温度が低いため、高温環境下での使用によって充填材の軟化が生じ、弾性層を構成しているゴムの硬度の低下をもたらし、耐久性を達成できないという問題がある。
【0012】従って、本発明の目的は、熱伝導率が低い多孔質ゴムを用いた断熱加圧ローラでありながら、加圧ローラとしての好適な硬度と表面離型性を有し、しかも連続使用や高温使用状態においても、ローラの硬度変化の少ない耐久性に優れた断熱加圧ローラを提供することにある。又、本発明の目的は、断熱性能が高く、クイックスタート性に優れ、しかも、耐久性に優れた加熱装置及びこれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、下記の本発明によって達成される。即ち、本発明は、トナー像を担持する被記録材を搬送し、該被記録材に熱エネルギーを付与するための加熱手段に対向して配置され、該被記録材に圧力を付与するための加圧ローラにおいて、芯金に弾性層が設けられたロール形状を有し、該弾性層中に、外殻を有する内部が中空状の充填材を含み、且つ、該充填材が、その軟化温度よりも20℃以上高い温度で加熱処理されたものであることを特徴とする加圧ローラ、及び、トナー像を担持する被記録材を搬送し、該被記録材に熱エネルギーを付与するための加熱手段に対向して配置され、該被記録材に圧力を付与するための加圧ローラであって、芯金に弾性層が設けられたロール形状を有し、該弾性層中に、外殻を有する内部が中空状の充填材を含み、更に、該充填材が、上記加熱装置の最高動作温度以上で加熱処理されたものであることを特徴とする加圧ローラである。更には、トナー像を担持した被記録材に熱エネルギーを付与するための加熱手段と、この加熱手段に対向して配置され、該被記録材に圧力を付与するための加圧ローラとを有し、上記被記録材に熱エネルギーと圧力を付与することにより上記トナー像(未定着画像)を被記録材に加熱定着させる加熱装置であって、上記加圧ローラが上記いずれかの加圧ローラであることを特徴とする加熱装置、及び、被記録材に未定着画像を形成担持させる画像形成手段と、上記未定着画像を上記被記録材に加熱定着させるための加熱装置とを有する画像形成装置であって、加熱装置が上記の加熱装置であることを特徴とする画像形成装置である。
【0014】更に、上記本発明の加圧ローラの好ましい実施形態としては、外殻を有する内部が中空である略球状の充填材(以下、単に、中空球状充填材と呼ぶ)に対する加熱処理が、150℃乃至350℃の温度でなされているもの、または、該充填材の外壁が100℃乃至230℃に軟化点を有していること、更に、該充填材が、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、または塩化ビニリデンと(メタ)アクリロニトリルとの共重合体のいずれかからなるもの、更には、中空球状充填材の外表面に、炭酸カルシウム、タルク、若しくはシリカ等の無機化合物を付着させたもの、また、加圧ローラの弾性層がシリコーンゴムからなり、シリコーンゴム層中に上記充填材を分散させもの、更には、加圧ローラの最外面部にフッ素樹脂またはフッ素ゴムラテックスによって形成される離型層を有するものが挙げられる。
【0015】上記の各種実施形態の加圧ローラによれば、クイックスタート性に優れ、長期連続使用でも加圧ローラが汚損することのない加熱定着装置が実現され、消費電力が少なく、長期連続使用を行っても信頼性の高い画像形成装置が実現される。
【0016】尚、本発明において、充填材の軟化温度の測定は、以下の通りに行う。充填材を容器内のシリコーンオイル中に分散させ、容器のシリコーンオイルの液温をモニターリングしながら、シリコーンオイルを加熱して一定の昇温スピードで昇温させる。このシリコーンオイルの昇温過程での容器内の充填材が分散されているシリコーンオイルの体積変化を、横軸にシリコーンオイルの温度とし、縦軸をシリコーンオイルの体積とした温度−体積曲線で表す。この温度−体積曲線において、最初に現れる極大値を軟化温度とする。尚、昇温過程での容器内の充填材が分散されているシリコーンオイルの体積は、例えば、容器内の充填材が分散されているシリコーンオイルの液面の高さを計測することにより測定することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。電子写真方式を用いた本発明の画像形成装置は、図5のように構成されている。以下、図5を参照しながら説明する。図5において、1は感光ドラム、2は帯電ローラ、3はレーザー露光装置、4は反射ミラー、5は現像スリーブ、6はトナー(記録剤)、7はトナー容器、8は転写ローラ、9は被記録材としての紙、10はクリーニングブレード、11は廃トナー容器、12は定着器、13はペーパーカセット、14は給紙ローラ、15は分離パッド、16は高圧電源である。
【0018】感光ドラム1は、矢印の方向に回転可能に構成され、高圧電源16から給電される帯電装置である帯電ローラ2によって一様に帯電される。レーザ露光装置3から発せられたレーザー光は、反射ミラー4で反射され、感光ドラムへと照射されて、感光ドラム上に静電潜像が形成される。トナー容器7の中にはトナー6が充填されており、現像スリーブ5の回転に伴い、適量のトナーが適度の帯電を受けた後、現像スリーブ5上に適宜に供給されている。該現像スリーブ5上に担持されて現像領域へと搬送されたトナーが、感光ドラム1上の静電潜像に付着されることで、該潜像が現像されてトナー像として可視化される。
【0019】ペーパーカセット13より給紙ローラ14はタイミングをとって、被記録材を1枚ずつ給紙する。分離パッド15は給紙ローラと当接して配置され、その表面の摩擦係数、接地角度、形状は、紙等の被記録材を1度の給紙毎に1枚のみ送るように調整されている。可視化された感光ドラム上のトナー像は、転写ローラ8によって被記録材上に転写される。そして、転写されずに感光ドラム上に残った転写残トナーは、クリーニングブレード10により廃トナー容器11内に収納され、これにより表面をクリーニングされた感光ドラムは、繰り返し次の画像形成プロセスに入る。また、トナー像を乗せた被記録材9は加熱装置12によって加熱、加圧を受け、トナー像が紙上に永久定着される。
【0020】このような加熱装置の一例として、図4に、フィルム加熱装置の一例の断面図を示した。図4において、103は定着フィルム、102は加熱ヒータで、加熱ヒータ102は、良熱伝導性基板と通電により発熱する発熱体108を有している。加熱ヒータ102の温度制御は、CPUが、サーミスタ107の検知温度が一定になるように、発熱体108への給電電力をトライアックを介して制御することによって行われる。101は、加熱ヒータ102を保持する横長ステーである。
【0021】また、104は、定着フィルム103を駆動する駆動ローラを兼ねた加圧ローラであり、例えば、鉄、ステンレス等の芯金104aの周囲に弾性層104bが設けられ、更に、その最外面部にフッ素樹脂等の離型性の表面層が形成されたものが用いられる。そして、上記加熱ヒータ102と加圧ローラ104との間に形成される定着ニップ部Nに、被記録材Pを搬送通過させることにより、トナー像Tを加熱・加圧して被記録材P上に定着させるように構成されている。
【0022】本発明の画像形成装置においては、かかる加圧ローラに、本発明の加圧ローラが用いられる。本発明の加圧ローラは、芯金に弾性層が設けられたロール形状を有し、該弾性層中に、外殻を有する内部が中空である略球状の充填材(中空球状充填材)を含み、該充填材が、その軟化温度よりも20℃以上高い温度で加熱処理されたものであること、或いは、装着される加熱装置の最高動作温度以上で加熱処理されたものであることを特徴とする。以下、本発明の加圧ローラについて説明する。
【0023】本発明の加圧ローラ104を構成する弾性層104bの母材としては、発熱体108からの熱を直接受けるため、耐熱性が高いものを用いることが好ましい。このようなものとしては、例えば、高温加硫型シリコーンゴム(HTV)、付加反応硬化型シリコーンゴム(LTV)、縮合反応硬化型シリコーンゴム(RTV)、フッ素ゴム、またはこれらの混合物等が挙げられる。具体的には、例えば、ジメチルシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、メチルフェニルシリコーンゴム、ビニルシリコーンゴム等のシリコーンゴム;フッ化ビニリデンゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレンゴム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテルゴム、ホスファゼン系フッ素ゴム、フルオロポリエーテル等のフッ素ゴム;等を使用することができる。これらのゴムは、それぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】本発明の加圧ローラは、上記のような材料からなる弾性層104bに、内部の中空部分とそれを囲む外殻とからなる中空球状充填材を含んでいる。弾性層104b中に、このような中空球状充填材を含有させることによって、本発明の加圧ローラは、加圧ローラとして最適な熱伝導率(断熱性)を有するものとなる。例えば、弾性層の熱伝導率が0.146W/m・K以下となるように中空球状充填材を混合させることによって、加熱定着装置の作動時に、加熱体(発熱体)が加圧ローラに奪われる熱量を小さく抑えることが可能となる。これにより、フィルムの表面の温度上昇速度を向上させることができる結果、加熱装置のクイックスタートが可能となる。本発明者らの検討によれば、本発明の加圧ローラにおいては、弾性層の熱伝導率を0.146〜0.084W/m・Kとなるように構成することが好ましく、更には、0.105〜0.09W/m・Kとなるようにすることがより好ましいことがわかった。
【0025】弾性層104bの中に含有させることによって、加圧ローラに、上記のような好適な断熱性を実現し得る中空球状充填材としては、例えば、ガラスバルーン、シリカバルーン、カーボンバルーン、フェノール樹脂バルーン、塩化ビニリデン樹脂バルーン、アクリロニトリル樹脂バルーン、塩化ビニリデンと(メタ)アクリロニトリルとの共重合体からなる樹脂バルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン、シラスバルーン等が挙げられる。
【0026】更に、定着ニップ部の幅を十分に確保するためには、上記弾性層104bの硬度が、Asker−C 9.8N荷重で測定した場合に、30度〜60度となるように構成することが好ましい。従って、本発明の加圧ローラにおいては、この条件を満たすようにするために、上記に挙げた中空球状充填材の中でも、比較的充填材自身が柔らかい、例えば、塩化ビニリデン樹脂や塩化ビニリデンと(メタ)アクリロニトリルとの共重合体等の、樹脂製のものを使用することが特に好ましい。
【0027】また、中空球状充填材を母材の弾性体に混合するときに、充填材の破壊を防ぐため、若しくは充填材の分散性を向上させるために、中空球状充填材の表面に、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、酸化チタン等の無機化合物を付着させたものを使用することも有効である。また、上記に挙げたような中空球状充填材の中空部に低融点炭化水素を内包させておき、使用時に加熱して、数十倍の大きさに発泡させて使用してもよい。
【0028】但し、弾性層の熱伝導率を下げて断熱性を高めるためには、中空球状充填材(以下、中空フィラーとも呼ぶ)の分散時若しくは発泡後の真比重が、0.01〜0.40、0.02〜0.30であるようにすることがより好ましい。即ち、真比重が0.01より小さいと、配合、取り扱いが難しいばかりか、中空フィラーの耐圧強度が不十分で、成形時に破壊されてしまうおそれがあるため好ましくない。
【0029】また、本発明で用いる中空フィラーの粒径は、300μm以下、通常1〜300μm、好ましくは5〜200μm、更に好ましくは10〜100μm程度であるとよい。粒径が大き過ぎると、成形時の射出圧力により中空フィラーが破壊されてしまうので好ましくない。
【0030】また、中空フィラーの配合量は、シリコーンゴム等の弾性体母材100重量部に対して、0.5〜30重量部、好ましくは1.0〜20重量部とするとよい。配合量が少な過ぎると加圧ローラの熱伝導率が十分に下がらないため、クイックスタート性を充分に向上させることができず、好ましくない。一方、多過ぎると、均一な配合が困難となり、且つ、ゴム強度も不十分なものとなってしまうため好ましくない。また、この中空フィラーの配合量は、上記と同様の理由から、ゴム材料(即ち、中空フィラー含有弾性材料全体)に対して、体積比率で10〜80容量%、特に15〜75容量%であることが好ましい。
【0031】本発明の加圧ローラを構成する上記の弾性層は、従来のものと同様に、最外面部に離型層を有することが好ましい。弾性体の最外面部に設ける離型層としては、耐熱性、離型性の観点から、フッ素樹脂等の材料を用いて形成することが好ましい。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素樹脂、或いはフッ素ゴムラテックスをそれぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0032】また、弾性体の最外層を形成するための離型層材料には、帯電防止性、接着性向上等の目的に応じて、カーボンブラック、マイカ、導電性フィラー等の充填材を含有させることができる。上記離型層は、上記フッ素樹脂をチューブ状に押し出し成形し、弾性体の外周にかぶせるように設けてもよいし、粉体または溶液に分散されたフッ素樹脂塗料を弾性体にコーティングして設けても構わない。また、特開平11−7214号公報に開示されるように、型内に離型層を先立って形成して、弾性体を後から注入することにより弾性体の最外面部に離型層を設けても構わない。
【0033】上記のような材料を用いて形成された、例えば、アクリロニトリル若しくは塩化ビニリデンを主成分とする中空球体等を充填材として含有する弾性層を有する本発明の加圧ローラは、熱容量が小さく、熱伝導率も低いため、これを使用することで、定着装置のクイックスタート性を大きく向上させることが可能となる。また、充填材が、略球状形状を持つため、弾性体内で補強性を発現し、これにより弾性体の機械的強度や硬度を維持させることにも貢献している。
【0034】しかしながら、上記したような材料からなる充填材は、通常、その母材である樹脂の軟化温度が70〜200℃程度であるため、画像形成装置の長時間連続使用時に加圧ローラが昇温し、例えば、150℃以上の熱履歴が合計で数時間以上におよぶときは充填材の外壁が軟化し、弾性層内での補強効果が減少し、ゴム硬度を維持できなくなることが生じる。つまり、画像形成装置の製品寿命の中で、使用開始直後は、例えば、定着ニップ幅が5mmであったものが、製品寿命末期になるとゴム硬度が下がり、定着ニップ幅が7mmに増えてしまうという問題が発生する。このように定着ニップ幅が大きく増えると、記録紙が定着ニップ部で加熱を受ける時間が長くなって定着過多となり、トナー像が記録紙上から定着フィルムに転移し、定着フィルムの回転一周後にまた記録紙に付着する、いわゆる高温オフセットが発生するため、好ましくない。
【0035】以上のような耐久によって生じるローラ硬度の変化をなくすために、本発明者らが鋭意検討した結果、弾性層を構成している母材であるゴムの加硫後に、弾性層に含有させる中空球状充填材の外壁をあらかじめ軟化させるための加熱処理を行うことが有効であることを見いだした。即ち、このようにして、中空球状充填材を有する弾性層内における高度の補強効果を初めから少なくしておけば、充填材の外壁軟化温度以上の使用温度での連続使用が行なわれた場合でも弾性層の硬度がほぼ一定に保たれ、ローラ硬度の変化を抑制できる。従って、本発明の加圧ローラにおいては、中空球状充填材として、上記のような加熱処理を施したものを使用することを特徴とする。
【0036】更に、本発明者らが鋭意検討した結果、上記のような効果を生み出すための中空球状充填材に対する加熱処理の温度は、充填材の外壁の軟化温度よもり数十℃、更には、軟化温度よりも20℃以上高い温度であることを要し、充填材の外壁を炭化させて、以後の加温に対して弾性体の物性変動を安定化させるためには、更に、軟化温度よりも50℃以上高い温度で加熱処理したものを含有させることがより好ましいことがわかった。
【0037】更に、この際に、弾性体の母材の劣化を防ぐためには、400℃以下、更には350℃以下で加熱処理することが好ましく、また、加熱時間は加熱温度を上げれば短くすることができるが、生産性の観点からは24時間以下とすることが好ましいこともわかった。また、加熱温度を上げれば加熱時間10分でも効果があるが、上記充填材を含む材料は断熱性が高いため、内部まで処理を浸透させるためには30分間以上の加熱処理することが好ましい。この加熱処理は、弾性層の最外面部の離型層を成形する前に行なっても、後で行なっても構わないが、弾性体母材の加硫がある程度すすんで、充填材の補強性が必要なくなる一次加硫の後に行なうことがより好ましい。また、加熱処理を加速させるために、金型内に成形品を残した状態で、弾性層の熱膨脹による加圧環境下で加熱処理してもよい。
【0038】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を更に具体的に説明する。
〔実施例1〕信越化学工業製の付加硬化型液状シリコーンゴム材料KE1218A液(主剤)/B液(硬化剤)各50部に、中空球形充填材として松本油脂製薬製のマイクロバルーンF80S(材質:アクリロニトリル製、軟化温度:160〜170℃)を3重量部、ポリエチレングリコール1部を添加し、15分撹拌を続け、シリコーンゴム組成物を得た。
【0039】アルミニウム製の直径13mmの芯金が中心部に装着された内径20mmの型内に、上記で得たシリコーンゴム組成物を注型し、150℃で1時間、一次加硫を行った後、型から脱型してゴムローラを得た。次に、200℃で4時間、2次加硫を行った後、更に、230℃で4時間の加熱処理を施した。上記2次加硫後のローラ硬度は、AskerC9.8N荷重で58°であったのに対し、230℃4時間の加熱処理後のそれは53°であり、ローラ硬度が若干低下していることを確認した。このようなゴムローラの表層にゴム用プライマをスプレー方式で塗布し、乾燥後、PFAチューブを被覆し、150℃で2時間加熱を行ってPFAチューブを接着して離型層を形成し、本実施例の加圧ローラを得た。
【0040】このローラを加圧力を98Nとして図4に示した加熱装置に装着し、得られた加熱装置を図5に示した構成の画像形成装置に用いた。そして、この画像形成装置を用い、A4サイズの再生紙に対して連続で5万枚印字したところ、加圧ローラ表面にはトナーの付着はなかった。また、ローラ硬度は、5万枚連続印字前に53°であったものが、連続印字後には52.5°に変化しており、ニップ幅は6mmであったものが、6.2mmになっていたが、高温オフセットを生じることなく、画像形成を良好な状態で終了することができた。
【0041】〔比較例1〕信越化学工業製の付加硬化型液状シリコーンゴム材料KE1218A液(主剤)/B液(硬化剤)各50部に、松本油脂製薬製のマイクロバルーンF80Sを3重量部、ポリエチレングリコール1部を添加し、15分撹拌を続け、実施例1で使用したと同様のシリコーンゴム組成物を得た。アルミ製の直径13mmの芯金が中心部に装着された内径20mmの型内に、上記で得たシリコーンゴム組成物を注型し、150℃で1時間一次加硫を行った。型から脱型し、ゴムローラを得た。更に、200℃で4時間2次加硫を行った。2次加硫後のローラ硬度は、AskerC9.8N荷重で58°であった。更に、このゴムローラの表層にプライマをスプレー方式で塗布し、乾燥後、PFAチューブを被覆し、150℃で2時間加熱を行ってPFAチューブを接着して離型層を形成した。接着後の硬度は56°であった。このようにして、ゴムローラ形成後に加熱処理を行なわなかった以外は実施例1と同様にして、本比較例の加圧ローラを得た。
【0042】このローラを加圧力を150Nとして図4に示した加熱装置に装着し、得られた加熱装置を図5に示した構成の画像形成装置に用いた。そして、この画像形成装置を用い、A4サイズの再生紙に対して連続で5万枚印字した。この結果、加圧ローラ表面にはトナーの付着はなかったものの、ローラ硬度は、連続印字前後で56°であったものが53°に変化しており、ニップ幅も6mmから8mmになり、連続通紙3万枚を経過した時点で、ホットオフセットが断続的に発生するようになってしまった。又、3万枚時点で、高温高湿環境下で薄紙を通紙すると、フィルムの慴動トルクが大き過ぎて、紙とフィルムとがスリップしてしまい、画像不良が発生した。
【0043】〔実施例2〕信越化学工業製の付加硬化型液状シリコーンゴム材料KE1218A液(主剤)/B液(硬化剤)各50部に、中空球形充填材として松本油脂製薬製のマイクロバルーンF85(材質:アクリロニトリル製、軟化温度:160〜170℃)を4重量部、ポリエチレングリコール1部を添加し、15分撹拌を続け、シリコーンゴム組成物を得た。アルミ製の直径13mmの芯金が中心部に装着された内径20mmの型内に、上記のシリコーンゴム組成物を注型し、150℃で1時間、一次加硫を行った後、型から脱型してゴムローラを得た。次に、200℃で4時間2次加硫を行った後、プライマ(ダイキン工業製、GLP−103SR)を5μmスプレーコートし、乾燥後、フッ素ゴムラテックス(ダイキン工業製GLS213)を10μmスプレーコートし、乾燥して離型層を形成した。その後、300℃で30分焼成して加熱処理を行なって、本実施例の加圧ローラを得た。
【0044】この加圧ローラを加圧力を98Nとして図4の加熱装置に装着し、得られた加熱装置を図5に示した構成の画像形成装置に用いた。そして、この画像形成装置を用い、A4サイズの再生紙に対して連続で5万枚印字した。この結果、加圧ローラ表面にはトナーの付着はなく、また、ローラ硬度は連続印字前後で48°であったものが47.5°に変化しており、ニップ幅は6mmから6.2mmになったが、高温オフセットを生じることなく、画像形成を良好な状態で終了することができた。また、フィルムの慴動トルクの増加はなく、特に問題は生じず、十分な耐久性を持っていた。
【0045】〔実施例3〕内径20mmの筒状金型をPFA塗料(デュポン社製)中に浸漬後、引き上げ、乾燥・焼成して、筒状金型の内面に厚さ40μmのPFAからなるフッ素樹脂層を形成した。次に、このPFA層の表面をフッ素樹脂表面処理剤(潤工社製、品番テトラエッチA)で処理をした。この表面処理の後、フッ素樹脂層の表面にゴム用接着剤(東レダウコーニング社製、品番DY39012)を塗布して筒状金型を準備した。一方、アルミニウム製で外径13mmの芯金の表面を、切削加工により2μmの表面粗さに仕上げ、洗浄した後、その表面に約2μmの厚さでゴム用接着剤(東レダウコーニング社製、品番DY39012)を塗布した。前記筒状金型の中空に、前記芯金を挿入し、これら全体を加硫用金型内に設置した。
【0046】信越化学工業製付加硬化型液状シリコーンゴム材料KE1218A液(主剤)/B液(硬化剤)各50部に、中空球形充填材として松本油脂製薬製マイクロバルーンF80S(材質:アクリロニトリル製、軟化温度:160〜170℃)を3重量部、ポリエチレングリコール1部を添加し、15分撹拌を続け、シリコーンゴム組成物を得た。そして、先に準備した筒状金型のフッ素樹脂層とローラ状基体との空隙に、上記シリコーンゴム組成物をインジェクションにより注入し、150℃で1時間1次加硫を行った。加硫後、筒状金型ごと加硫用金型から取り外し、次いで、筒状金型を脱型した。脱型後、230℃の雰囲気で4時間、2次加硫とバルーン軟化を兼ねた加熱処理を行った。フッ素樹脂層表面を研磨して約20μmの厚さとして離型層を形成し、本実施例の加圧ローラを完成させた。
【0047】この加圧ローラを加圧力を150Nとして図4の加熱装置に装着し、得られた加熱装置を図5に示した画像形成装置に用いた。そして、この画像形成装置を用い、A4サイズの再生紙に対して連続で5万枚印字した。この結果、加圧ローラ表面にはトナーの付着はなく、また、ローラ硬度は連続印字前後で58°であったものが57.5°に変化しており、ニップ幅は6mmから6.2mmになったが、オフセットを生じることなく、画像形成を良好な状態で終了することができた。また、特に問題は生じず、十分な耐久性を持っていた。
【0048】[比較例2]加硫材と各種発泡材とを加えたシリコーンゴムを押し出し機を用いてチューブ状に連続的に押し出して、250℃の加硫炉を20分かけて通過させ、シリコーンゴムを加硫、発泡させ、内径が約13mmのスポンジシリコーンゴムチューブを得た。シリコーンゴムチューブは冷却後、所望の長さに切断する。外径14mmのアルミニウム芯金の表面をサンドブラスにより粗らし、耐熱金属用プライマを塗布し、乾燥する。次に、この芯金を、先に調製した切断されたシリコーンゴムチューブに挿入した後、150℃の雰囲気中で10分間、接着剤の硬化を行う。芯金上の所定位置からはみだしたシリコーンスポンジを所定端面でカットし、砥石が回転駆動される研磨機によってスポンジローラの外径が20mmになるよう研磨する。
【0049】研磨加工後のスポンジ表面に、接着剤を厚さ10μmほどドクターナイフを用いた成型法やスプレーコーティング法若しくはディッピング法により塗布し、乾燥後、50μmのPFAチューブを被覆し、接着剤硬化のため150℃の雰囲気中で10分間熱処理を行ない比較例2の加圧ローラを作成した。得られた加圧ローラを加圧力を98Nとして図4の加熱装置に装着し、得られた加熱装置を図5に示した画像形成装置に用いた。そして、この画像形成装置を用い、A4サイズの再生紙に対して連続で5万枚印字した。この結果、加圧ローラ硬度は連続印字前後で53°であったものが52°に変化し、ニップ幅は6mmから6.5mmになったが、フィルム内面の削れに特に問題は生じなかった。しかし1万枚を経過した時点で、加圧ローラ表面にトナーの付着が生じ始め、1万5千枚で記録紙上にトナー汚れが転移し始めた。
【0050】[他の実施形態]上記実施例においてはフィルム加熱方式の加熱装置について本発明の実施形態を説明したが、本発明の加圧ローラの効果は、フィルム加熱装置に限らず、熱ローラ方式の加熱装置若しくは電磁誘導加熱方式の定着装置においても有効である。図2に、本発明の加圧ローラを使用した熱ローラ方式の加熱装置の断面図を示した。31は、アルミニウムや鉄等の良熱伝導性を有する金属の中空パイプであり、矢示の方向に回転駆動を受ける。32はハロゲンヒータであり、中空パイプの中心に固定されている。このハロゲンヒータは、通電によってフィラメントが発熱、発光し、シリコンゴム、フッ素ゴム等で作られる耐熱弾性層33と中空パイプを加熱する。加圧ローラ104は、従動回転し、定着ローラと圧接され、圧接部に挿入される被記録材Pは、加熱、加圧され、被記録材上にあるトナー像Tは、被記録材Pに融着し、永久定着される。上記のような熱ローラ方式の加熱装置に、本発明の実施例の加圧ローラを装着したものを用いた画像形成装置においても、実施例1〜3と同様の効果が得られることが確認できた。
【0051】また、図3に示した、コア36、コイル37等からなる励磁手段によって磁性部材38に磁力を作用させ、磁性部材38に誘導電流を生じさせて加熱する電磁誘導加熱方式の定着装置の加圧部材に、本発明の実施例の加圧ローラを使用した画像形成装置においても、実施例1〜3と同様の効果が得られることが確認できた。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、断熱性能が高く、クイックスタート性に優れ、また、ローラ最外層の表面粗さが小さく、トナー付着が少なく離型性に優れ、しかも、連続使用や高温使用状態においても、ローラの硬度変化の少ない耐久性に優れた断熱加圧ローラ、該加圧ローラを用いた定着装置及び画像形成装置が提供される。即ち、中空球状充填体材を有する多孔質ゴム層を弾性層として有する定着器用加圧ローラは、クイックスタート性に優れ、また、ローラ最外層の表面粗さが小さく、トナー付着が少なく離型性に優れているという特長をもつものの、長期連続使用により充填材が軟化し、ローラ硬度が変化するという問題があったが、充填材の軟化温度よりも20℃以上高い温度で熱処理を行った中空球状充填体材を使用することによって、熱伝導率が低い多孔質ゴムで有りながら、加圧ローラとして好適な硬度を確保し、連続使用または高温使用状態でローラの硬度変化が少ない断熱加圧ローラが実現される。
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【出願日】 平成12年3月22日(2000.3.22)
【代理人】 【識別番号】100077698
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 勝広 (外1名)
【公開番号】 特開2001−265147(P2001−265147A)
【公開日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願番号】 特願2000−80457(P2000−80457)