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【発明の名称】 加熱定着ローラー
【発明者】 【氏名】伊藤 哲朗

【氏名】磯貝 崇

【氏名】高橋 恒志

【要約】 【課題】高湿環境下においても画像担持体4が定着装置1を通過する際に加熱定着ローラー2に電荷が発生することがなく通紙性に優れた加熱定着ローラーを提供することを課題とする。

【解決手段】加熱定着ローラーは、金属製の芯金と、この芯金上に、それぞれが順番に、且つ、それぞれが異なる材料で互いに同心に形成された複数の弾性層と、を備え、複数の弾性層のなかの最下層の弾性層は、表面抵抗率1×10Ω未満の材料からなり、最外層の弾性層は、表面抵抗率1×10Ω以上且つ1×1016Ω未満の材料からなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属製の芯金と、この芯金上に、それぞれが順番に、且つ、それぞれが異なる材料で互いに同心に形成された複数の弾性層と、を備えた加熱定着ローラーであって、上記複数の弾性層のなかの最下層の弾性層は、表面抵抗率が1×10Ω未満の材料からなり、上記複数の弾性層のなかの最外層の弾性層は、表面抵抗率が1×1016Ω未満の材料からなることを特徴とする加熱定着ローラー。
【請求項2】 請求項1に記載された加熱定着ローラーにおいて、上記複数の弾性層のそれぞれは、シリコーンゴム、又は、フッ素ゴムを材料とすることを特徴とする加熱定着ローラー。
【請求項3】 請求項2に記載された加熱定着ローラーにおいて、上記複数の弾性層のなかの最外層の弾性層は、フルオロ変性シリコーンゴムを材料とすることを特徴とする加熱定着ローラー。
【請求項4】 請求項2に記載された加熱定着ローラーにおいて、上記複数の弾性層のなかの最外層の弾性層は、ジメチルシリコーンゴム、又は、フェニル変性シリコーンゴムを材料とし、充填剤として湿式シリカを用いたことを特徴とする加熱定着ローラー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真式複写機・プリンター等の画像形成装置に使用される定着装置に関し、特にその加熱定着ローラーの技術の分野に関する。
【0002】
【従来の技術】複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置では、帯電した光電導性の材料に画像に応じた光を照射することにより画像に応じて潜像が形成される。この潜像にトナーを静電気的に吸着させることにより現像が行われ、現像されたトナー画像は記録紙等の画像担持体に静電的に転写、吸着される。こうしてトナー画像が静電吸着された画像担持体は定着装置を通過するとき、熱と圧力が通常加えられることによりトナー画像が画像担持体に固定される。電子写真方式の画像形成装置は概略すれば以上のとおりのものであるが、この技術自体は周知のものであるからこれ以上の説明はしない。
【0003】図1は定着装置の断面図の一例であって、従来技術及び本発明実施例の概要を説明するための図である。また、図2は、図1の定着装置に使用されている加熱定着ローラーの断面図である。
【0004】この定着装置1は加熱定着ローラー2及び加圧ローラー3を有しており、加圧ローラー3は、金属等の剛性材料で構成された円筒状であって、バネ6等の付勢部材によって加熱ローラー2に向けて押圧される。トナー5が静電吸着された画像担持体4は図中左方から矢印c方向に搬送されてくる。加熱定着ローラー2は、アルミ等金属製、円筒状の芯金8とその周囲に弾性層9を、また、内部にはヒーター7を有しており、不図示の駆動源によって矢印a方向に回転駆動される。加熱定着ローラー2の回転に従動して加圧ローラー3は矢印b方向に回転する。
【0005】弾性層9は加圧ローラー3の圧力により変形して幅を持ったニップ部nが形成される。搬送された画像担持体4がニップ部nを通過する際、この幅内において十分に加熱され、さらに圧力によりトナー5が画像担持体4の繊維等の間に浸透する。
【0006】図2に示されるように弾性層9は更に幾つかの層から形成されており、アルミ芯金8に接する最下層の比較的厚みのあるシリコーンゴムの最下層91、その上のフッ素ゴム等からなる耐油性のある何層かの中間層92、更に最も外のシリコーンオイルを含浸させた比較的薄いシリコーンゴムの最外層93によって構成される。
【0007】通常、シリコーンゴムは表面抵抗率が1×1016Ω以上の絶縁性であり、画像担持体(記録紙)4と接触分離することで静電気が発生し、非常に大きな負帯電性を示す。
【0008】このため、画像担持体4が定着装置1を通過する際、これが加熱定着ローラー2に強く吸引されて巻き付くことによって、通紙不良が発生するという問題があった。
【0009】この問題に対処するため、上記最下層91の比較的厚みのあるシリコーンゴムの層に導電性フィラーを添加し、このシリコーンゴムの表面抵抗率を1×10Ω未満にする技術が知られている。こうすることにより、発生した静電気の電荷を芯金8の方に散逸させて、巻き付を防止するようにしている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが、高湿環境下においては、このような1×10Ω以下にする導電化処理によってもある程度の電荷が発生するため十分でなく、更に、画像担持体4が水分を吸収して剛性が低下することとも相まって、なおも巻き付が発生することがある。
【0011】本発明はこうした高湿環境下においても画像担持体4が定着装置1を通過する際に加熱定着ローラー2に電荷が発生することがなく通紙性に優れた加熱定着ローラーを提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】以上の課題は、本発明において、以下のような手段により解決される。すなわち、第1番目の発明の加熱定着ローラーは、金属製の芯金と、この芯金上に、それぞれが順番に、且つ、それぞれが異なる材料で互いに同心に形成された複数の弾性層と、を備えており、複数の弾性層のなかの最下層の弾性層は、表面抵抗率が1×10Ω未満の材料からなり、複数の弾性層のなかの最外層の弾性層は、表面抵抗率が1×1016Ω未満の材料からなるものである。なお、ここで、表面抵抗率は、JISK6911試験方法により得られた表面抵抗率である。
【0013】第2番目の発明の加熱定着ローラーは、第1番目の発明の加熱定着ローラーにおいて、複数の弾性層のそれぞれを、シリコーンゴム、又は、フッ素ゴムを材料とするものである。第3番目の発明の加熱定着ローラーは、第2番目の発明の加熱定着ローラーにおいて、複数の弾性層のなかの最外層の弾性層を、フルオロ変性シリコーンゴムを材料とするものである。また、第4番目の発明の加熱定着ローラーは、第2番目の発明の加熱定着ローラーにおいて、複数の弾性層のなかの最外層の弾性層に、ジメチルシリコーンゴム、又は、フェニル変性シリコーンゴムを材料とし、充填剤として湿式シリカを用いたものである。
【0014】以上の構成の加熱定着ローラーは、画像担持体(転写紙)の剛性が低下するような高湿環境下においても、画像担持体が定着装置を通過する際に加熱定着ローラーに電荷が発生することがなく通紙性に優れたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】図1及び図2は本実施例においてそのまま使用する。加熱定着ローラー2は芯金8の周りに、最下層91、中間層92及び最外層93を有している。最下層91は比較的厚みを有しており、導電性フィラーが添加されたシリコーンゴム又はフッ素ゴムからなり、中間層92は、シリコーンゴム又はフッ素ゴム等の耐油性を持たせた層であり単数又は複数の層からなる。
【0016】最外層93はシリコーンオイルを含浸させたシリコーンゴム又はフッ素ゴムからなる。最外層93のシリコーンゴムはフルオロ変性シリコーンゴムとすることがでる。また、最外層93のシリコーンゴムはジメチルシリコーンゴム又はフェニル変性シリコーンゴムとすることができ、充填剤には湿式シリカを用いることができる。
【0017】先に述べたように、画像担持体4と加熱定着ローラー2の接触、剥離によって発生する静電気によって加熱定着ローラー2は一定の電位に帯電し、この電位が大きいと画像担持体4は、加熱定着ローラー2に静電吸着される。
【0018】この発明では、最下層91と最外層93の表面電気抵抗率を調整することにより、離型性に影響を及ぼすことなく、加熱定着ローラー2への画像担持体4の巻き付きが防止される。最外層93の表面電気抵抗率を調整するには、離型性に影響を与えない程度の量の導電性フィラーが添加される。
【0019】図3は、最下層91の表面抵抗率と最外層93の表面抵抗率とを種々の値で組み合わせたときに、高湿(例えば、室温30℃、相対湿度85%)環境下における通紙性、及び、離型性(トナーが加熱定着ローラーに付着しない程度)の良否を表にしたものである。
【0020】表面抵抗率は、最下層91については1×1016Ω以上、1×10Ω以上且つ1×1016Ω未満、及び1×10Ω未満の領域について、また、最外層93については、1×1016Ω以上、及び1×10Ω未満の領域について調べた。表中、○印は良好、×印は不良で満足できないもの、△印は良いとも悪いとも判断できないことを意味する。なお、表面抵抗率は、JISK6911試験方法により得られた表面抵抗率である。
【0021】この表からわかるように、最外層93及び最下層91がともに1×1016Ω以上の表面抵抗率を持つ場合、離型性においては満足できるが、通紙性については満足できないことがわかり、このような加熱定着ローラー2は実質上使用することができない。
【0022】最外層93が1×1016Ω以上の表面抵抗率を持ち、最下層91が1×10Ω未満の表面抵抗率を持つ場合は、離型性においては満足できるが、通紙性については良いとも悪いとも判断できないので、このような加熱定着ローラー2は実質上使用することができない。
【0023】最外層93が表面抵抗率1×10Ω以上且つ1×1016Ω未満の範囲に入り、最下層91が1×10Ω未満の範囲に入る場合、通紙性及び離型性において満足できるものであり、このような加熱定着ローラー2は良好に使用することができる。
【0024】最外層93が表面抵抗率1×10Ω未満、最下層91が1×10Ω未満の表面抵抗率を持つ場合は、離型性に満足できない点が出るので、加熱定着ローラー2は良好に使用することができない。
【0025】以上のことから、最下層91が表面抵抗率1×10Ω未満、最外層93が表面抵抗率1×10Ω以上且つ1×1016Ω未満の範囲に入るような加熱定着ローラーが通紙性及び離型性において満足できるので、本発明では、この値の範囲が採用される。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、画像担持体(転写紙)の剛性が低下するような高湿環境下においても、画像担持体が定着装置を通過する際に加熱定着ローラーに電荷が発生することがなく通紙性に優れた加熱定着ローラーを得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000006079
【氏名又は名称】ミノルタ株式会社
【出願日】 平成12年3月16日(2000.3.16)
【代理人】 【識別番号】100108730
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 正景 (外1名)
【公開番号】 特開2001−265144(P2001−265144A)
【公開日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願番号】 特願2000−73353(P2000−73353)