| 【発明の名称】 |
画像形成装置の定着装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】伊藤 哲朗
【氏名】高橋 恒志
【氏名】磯貝 崇
|
| 【要約】 |
【課題】離型性能と耐久性に優れた画像形成装置の定着装置を提供する。
【解決手段】定着加熱回転体10は、アルミニウムなどの円筒状芯金11の上に、弾性材層としてシリコーンゴム層12を設け、その上にフッ素ゴム層13を形成し、更にその外側に最外層としてシリコーンオイルなどの離型剤を含浸させたシリコーンゴム層14(以下、オイル含浸シリコーンゴム層)を設ける。オイル含浸シリコーンゴム層14は、離型剤を含浸させた状態での硬度がシリコーンゴム層12の硬度よりも小さい材料で構成し、シリコーンゴムの主ポリマー中にシリコーンポリマーを3重量%以上5重量%以下含有させてある。定着加熱回転体のニップ部においてオイル含浸シリコーンゴム層14がシリコーンゴム層12よりも先に圧縮変形を起こし、含浸させた離型剤が表面に浸出し、優れた離型性能が発揮される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 記録媒体上のトナー画像を溶融加圧して記録媒体上に定着させる定着加熱回転体を備えた画像形成装置の定着装置であつて、前記定着加熱回転体は、金属円筒で構成された芯金の上に弾性材料から構成された複数の弾性材層を備え、且つその最外層の弾性材層は離型剤を含浸させたシリコーンゴム層からなり、前記離型剤を含浸させたシリコーンゴム層は、離型剤を含浸させた状態での硬度がそれ以外の弾性材層の硬度よりも小さく、且つシリコーンゴムの主ポリマー中に分子量が6,000以上のシリコーンポリマーを3重量%以上5重量%以下含有させたことを特徴とする画像形成装置の定着装置。 【請求項2】 前記シリコーンポリマーは、以下の化学式で表されるシリコーンポリマーで、分子量n が6,000以上であることCH2 CH2 (CH3)2 Si-O-(Si-O)n- Si-O(CH3)2-CH2 CH2を特徴とする請求項1記載の画像形成装置の定着装置。 【請求項3】 前記離型剤はシリコーンオイルであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置の定着装置。 【請求項4】 前記最外層のシリコーンゴム層は、シリカフィラーにより補強されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置の定着装置。 【請求項5】 前記最外層のシリコーンゴム層は、両末端ビニル基封鎖の直鎖状ジメチルポリシロキサンからなるシリコーンゴムで構成されたゴム層であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置の定着装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、画像形成装置の定着装置に関し、特に記録媒体の上に形成されたトナー画像を定着させる定着装置に使用される定着部材に関する。 【0002】 【従来の技術】電子写真方式による画像形成装置では、まず、帯電させた感光体上に画像を露光して画像の静電潜像を形成し、この画像静電潜像をトナーで現像して顕像化する。次に、顕像化されたトナー画像を記録媒体上に転写し、加熱ロール等の定着加熱回転体により記録媒体上に転写されたトナー画像を溶融加圧して記録媒体上に定着させる工程を経て画像を記録している。 【0003】従来の定着加熱回転体は、例えば、アルミニウムなどの金属円筒で構成された芯金の上に比較的に厚みのあるシリコーンゴム層を設け、その上にフッ素ゴムなどからなる耐油性の層を形成し、更にその外側に最外層としてシリコーンオイルなどの離型剤を含浸させた比較的薄いオイル含浸シリコーンゴム層を設けたものが使用されている。 【0004】定着加熱回転体の最外層に、オイル含浸シリコーンゴム層を設けてあるのは、記録媒体上に転写されたトナー画像を溶融加圧して記録媒体上に定着させるとき、記録媒体が溶融トナーによつて定着加熱回転体の表面に張り付いてしまうことを防止する離型性能を付与するためのものであり、オイル含浸シリコーンゴム層に含浸させたシリコーンオイルなどの離型剤が定着加熱回転体の表面に浸出してオイル被膜を形成するから、記録媒体は定着加熱回転体に張り付くことなく容易に剥がれるのである。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】このような定着加熱回転体を使用する定着装置では、定着加熱回転体の表面に接触するクリーニング部材が設けられており、定着加熱回転体の表面に残留したトナーなどを除去するように構成されている。 【0006】このため、最外層のオイル含浸シリコーンゴム層が前記したクリーニング部材に接触するために摩耗を生じ、離型性能が低下するという不都合がある。この対策としては、例えば乾式シリカ等の補強剤(フィラー)をオイル含浸シリコーンゴム層に添加して摩耗に対する耐久性を高めたものが提案されている。 【0007】しかし、オイル含浸シリコーンゴム層に補強剤を添加した場合は、摩耗に対する耐久性は高まるが、補強剤の一部が定着加熱回転体の表面に析出して離型性能を低下させるという不都合がある。 【0008】また、オイル含浸シリコーンゴム層の摩耗に対する耐久性を高めるために補強剤の添加量を増やすと、シリコーンゴム自体の硬度が高くなり、離型剤を十分に含浸させることができなくなるとともに、例えば、2本の定着加熱回転体を一対として圧接して使用する場合には、シリコーンゴム自体の硬度が高くなつているため、ニップ部(一対の定着加熱回転体が相互に接触する部分)での最外層の変形量が抑えられ、含浸させた離型剤の浸出が阻害されて離型性能が低下してしまうという不都合がある。 【0009】即ち、定着加熱回転体の最外層のオイル含浸シリコーンゴム層を離型剤が十分に含浸されるように低硬度にした場合は摩耗に対する耐久性の低下によつて離型性能が低下してしまい、また、摩耗に対する耐久性を高めるために乾式シリカなどの補強剤を添加した場合は離型剤の浸出が阻害されて離型性能が低下してしまうという不都合がある。 【0010】この発明は、上記した不都合を解決し、耐久性を損なうことなく、離型性能に優れた定着部材を提供することを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】この発明は上記課題を解決するもので、請求項1の発明は、記録媒体上のトナー画像を溶融加圧して記録媒体上に定着させる定着加熱回転体を備えた画像形成装置の定着装置であつて、前記定着加熱回転体は、金属円筒で構成された芯金の上に弾性材料から構成された複数の弾性材層を備え、且つその最外層の弾性材層は離型剤を含浸させたシリコーンゴム層からなり、前記離型剤を含浸させたシリコーンゴム層は、離型剤を含浸させた状態での硬度がそれ以外の弾性材層の硬度よりも小さく、且つシリコーンゴムの主ポリマー中にシリコーンポリマーを3重量%以上5重量%以下含有させたことを特徴とする。 【0012】そして、前記シリコーンポリマーは、以下の化学式で表されるシリコーンポリマーで、分子量 nが6,000以上であるものCH2 CH2 (CH3)2 Si-O-(Si-O)n- Si-O(CH3)2-CH2 CH2とするとよい。 【0013】また、前記離型剤はシリコーンオイルとする。 【0014】さらに、前記最外層のシリコーンゴム層は、シリカフィラーにより補強されているものであつてもよい。 【0015】前記最外層のシリコーンゴム層は、両末端ビニル基封鎖の直鎖状ジメチルポリシロキサンからなるシリコーンゴムで構成するとよい。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を説明する。図1はこの発明の実施の形態の定着加熱回転体の層構成を説明する縦断面図、図2はその横断面図である。 【0017】図1及び図2において、定着加熱回転体10は、アルミニウムなどの金属で構成された円筒状の芯金11の上に、比較的に厚みのある弾性材層としてのシリコーンゴム層12を設け、その上に耐油材層としてフッ素ゴム層13を形成し、更にその外側に最外層としてシリコーンオイルなどの離型剤を含浸させた比較的薄いシリコーンゴム層14(以下、オイル含浸シリコーンゴム層という)を設けたもので、シリコーンゴム層12、フッ素ゴム層13、最外層のオイル含浸シリコーンゴム層14はそれぞれの厚みが相違するが、いずれも弾性材で構成されており、定着加熱回転体10は複数の弾性材層から構成されている。 【0018】なお、18は定着加熱回転体10を所定の温度に加熱する電気ヒータで、図示しない制御装置により温度制御されて所定の定着温度を維持する。 【0019】最外層のオイル含浸シリコーンゴム層14は、離型剤を含浸させた状態での硬度が、芯金11の上に形成された弾性材層としてのシリコーンゴム層12の硬度よりも小さい材料で構成する。 【0020】そして、最外層のシリコーンゴム層14は、離型剤を含浸させた状態での硬度がそれ以外の弾性材層の硬度よりも小さく、且つシリコーンゴムの主ポリマー中に分子量が6,000以上のシリコーンポリマーを3重量%以上5重量%以下含有させてある。 【0021】前記シリコーンポリマーは、以下の化学式で表されるシリコーンポリマーで、CH2 CH2 (CH3)2 Si-O-(Si-O)n- Si-O(CH3)2-CH2 CH2分子量 nが6,000以上であるものを使用する。 【0022】なお、最外層のシリコーンゴム層14は、両末端ビニル基封鎖の直鎖状ジメチルポリシロキサンからなるシリコーンゴムで構成するとよい。 【0023】以上説明した定着加熱回転体の構成によれば、2本の定着加熱回転体を一対として圧接して使用する場合には、そのニップ部において最外層となるオイル含浸シリコーンゴム層14が、弾性材層であるシリコーンゴム層12よりも先に確実に圧縮変形を起すから、含浸させた離型剤であるシリコーンオイルがシリコーンゴム層14の表面に浸出し、優れた離型性能が発揮される。 【0024】また、定着加熱回転体の最外層は、記録媒体が通過した後は、浸出した離型剤を内部に吸収することが求められるが、最外層のオイル含浸シリコーンゴム層14は、シリコーンゴムの主ポリマー中にシリコーンポリマーを3重量%以上5重量%以下を含有させてあるので、オイル含浸シリコーンゴム層14の機械的強度を低下させることなしに、離型剤を迅速に吸収させることができる。 【0025】図3は、シリコーンゴムの主ポリマーに含有されるシリコーンポリマー含有量と、定着加熱回転体の使用可能温度領域との関係を調べた実験結果を示す図で、横軸は使用可能温度領域を、縦軸はシリコーンポリマー含有量(重量%)を示している。 【0026】シリコーンポリマー含有量が3重量%以上5重量%以下では、高温領域で使用可能温度が180℃よりも低下するが、含有量が5重量%以上では180℃までの高温度領域で使用可能であることが分かる。定着加熱回転体は130℃以上180℃以下の範囲で使用されるから、含有量が3%以上10%以下であれば使用できることが分かる。 【0027】なお、従来の定着加熱回転体はシリコーンポリマーを含有させておらず、図3では比較のためにシリコーンポリマー含有量0%として示してある。 【0028】図4は、シリコーンゴムの主ポリマーに含有されるシリコーンポリマー含有量が、シリコーンオイルの吸収速度と吸収量に及ぼす影響を調べた実験結果を示す図で、シリコーンポリマー含有量(重量%)が0%、3%、5%、7%の場合について、経過時間に対する吸収量を調べたもので、横軸は経過時間を、縦軸はシリコーンオイル吸収量を示す。 【0029】なお、試験片はシリコーンゴムにシリコーンポリマーを0%、3%、5%、7%含有させた2×2×2cmの大きさのもので、粘度100cstのシリコーンオイルを150℃に加熱して経過時間に対する吸収量を調べた。 【0030】シリコーンポリマー含有量が増加するにつれ、吸収量が増加することが分かるが、シリコーンポリマー含有量が0%以上7%以下では、含有量の多少はシリコーンオイルの吸収量にそれ程大きな影響を与えるものでないことが分かる。 【0031】図5は、シリコーンゴムの主ポリマーに含有されるシリコーンポリマー含有量と機械的強度との関係を調べた実験結果を示す図で、横軸はシリコーンポリマー含有量(重量%)を、縦軸は引張強度(MPa)を示している。 【0032】シリコーンポリマーの含有量が増加するにつれ、これに比例して引張強度が低下することが分かる。 【0033】以上の実験結果を示す図3乃至図5を参照すると、定着加熱回転体の使用可能温度領域の点では、シリコーンポリマー含有量が3%以上10%以下であれば使用できるが、一方、機械的強度との関係では、シリコーンポリマー含有量が少ない方が機械的強度が高いので望ましい。そこで、この実施の形態では、シリコーンポリマー含有量を3%以上5%以下に設定したのである。 【0034】これにより、2本の定着加熱回転体を一対として圧接して使用した場合、ニップ部における圧縮変形量が大きく、離型剤が定着加熱回転体の表面に多量に浸出しても、浸出した離型剤はオイル含浸シリコーンゴム層14に迅速に吸収され、オイル含浸シリコーンゴム層14の表層に含まれる離型剤の量が少なくなり過ぎることがなく、常時優れた離型性能を維持することができる。 【0035】また、上記した実施の形態の変形例として、最外層のオイル含浸シリコーンゴム層14の耐摩耗性を向上させるために乾式シリカ等のシリカフィラーを添加して構成しても良い。 【0036】オイル含浸シリコーンゴム層にフィラーを添加した変形例の場合でも、2本の定着加熱回転体を一対として圧接して使用した場合、そのニップ部においてフィラーを添加したオイル含浸シリコーンゴム層14が弾性材層であるシリコーンゴム層12よりも先に確実に圧縮変形を起こすから、含浸させた離型剤が表面に浸出し、優れた離型性能を発揮するほか、耐摩耗性を向上させることができる。 【0037】 【発明の効果】以上説明したとおり、この発明の画像形成装置の定着装置は、定着加熱回転体が、金属円筒で構成された芯金の上に弾性材料から構成された複数の弾性材層を備え、且つその最外層の弾性材層は離型剤を含浸させたシリコーンゴム層からなり、前記離型剤を含浸させたシリコーンゴム層は、離型剤を含浸させた状態での硬度がそれ以外の弾性材層の硬度よりも小さく、且つシリコーンゴムの主ポリマー中に分子量が6,000以上のシリコーンポリマーを3重量%以上5重量%以下含有させたことを特徴とするものである。 【0038】これにより、2本の定着加熱回転体を一対として圧接して使用した場合、そのニップ部において最外層となる離型剤を含浸させたシリコーンゴム層が、弾性材層であるシリコーンゴム層よりも先に確実に圧縮変形を起こし、含浸させた離型剤がシリコーンゴム層14の表面に浸出する。また、定着加熱回転体の最外層のオイル含浸シリコーンゴム層14は、迅速に離型剤を吸収させることができるから、最外層に含まれる離型剤の量が少なくなりすぎることがない。 【0039】以上の通り、この発明によれば、優れた離型性能と耐久性を備えた画像形成装置の定着装置を提供することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000006079 【氏名又は名称】ミノルタ株式会社
|
| 【出願日】 |
平成12年3月14日(2000.3.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100092299 【弁理士】 【氏名又は名称】貞重 和生 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2001−265143(P2001−265143A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月28日(2001.9.28) |
| 【出願番号】 |
特願2000−70306(P2000−70306) |
|