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【発明の名称】 定着装置
【発明者】 【氏名】蜂須賀 利治

【要約】 【課題】定着ベルトを加圧ローラに巻き付けて定着ニップ部を長くするタイプの定着装置において、定着前における記録材のたるみや後端跳ね現象による画像こすれを高精度に防止する。

【解決手段】定着ローラ502と加熱ローラ506間に定着ベルト508が掛け回され、定着ローラ502に加圧ローラ512が圧接して定着ニップ部としての第2の定着工程部N2が形成されているとともに、転写紙514の進入側において、補助ローラ516によって定着ベルト508が加圧ローラ512に巻き付けられて定着ニップ部としての第1の定着工程部N1が形成されている。第1の定着工程部N1の記録材進入口における加圧ローラ512の接線Bと、定着ベルト508の接線Cとがなす角度θは、10°≦θの条件を満たすように設定されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】定着ローラと、定着用熱源を有する加熱ローラと、該定着ローラと加熱ローラ間に掛け回された無端状の定着ベルトと、該定着ベルトを介して上記定着ローラに圧接される加圧ローラと、画像を担持した記録材の進入側において上記定着ベルトの内側に接触して設けられ該定着ベルトを上記加圧ローラに巻き付ける補助ローラを有し、上記補助ローラによって巻き付けられた上記定着ベルトと上記加圧ローラとの間に形成される第1の定着工程部と、上記定着ローラに対する上記加圧ローラの圧接によって該加圧ローラと上記定着ベルトとの間に形成される第2の定着工程部を有する定着装置において、上記第1の定着工程部の記録材進入口における上記加圧ローラの接線と、上記補助ローラと加熱ローラ間の定着ベルトの接線とがなす角度θが、10°≦θの条件を満たすことを特徴とする定着装置。
【請求項2】請求項1記載の定着装置において、上記補助ローラの少なくとも表面層が断熱材で形成されていることを特徴とする定着装置。
【請求項3】請求項1又は2記載の定着装置において、上記加熱ローラを、上記第2の定着工程部から上記記録材が排出される方向と略逆方向に押圧する加熱ローラ付勢部材を有し、上記第1の定着工程部の定着圧が該加熱ローラ付勢部材の付勢力の調整によって調整されることを特徴とする定着装置。
【請求項4】請求項1乃至3のうちの一つに記載の定着装置において、上記加圧ローラが定着用熱源を有していることを特徴とする定着装置。
【請求項5】加圧ローラが定着ベルトを介して定着ローラに圧接して形成される定着ニップ部の上流側に、さらに加圧ローラに定着ベルトを巻き付けて定着ニップ部を形成し、画像を担持した記録材を上記2段階の定着ニップ部に通して定着を行う定着方法において、上記上流側の定着ニップ部の記録材進入口を、上記加圧ローラの接線と、上記定着ベルトとがなす角度θが、10°≦θの条件を満たす状態にして記録材を進入させることを特徴とする定着方法。
【請求項6】像担持体上に形成された画像を記録材に転写し、該画像を担持した記録材を定着装置で定着する画像形成装置において、上記定着装置が請求項1乃至4のうちの一つに記載の定着装置であることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録材を搬送しながら熱と圧力により定着を行うベルト定着方式の定着装置及び定着方法、この定着装置を有する複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】画像形成装置に用いられる定着装置としては、従来より、熱源を有する定着ローラに、加圧ローラを圧接して定着ニップ部を形成し、この定着ニップ部で記録材を挟持・搬送しながら熱と圧力により定着する熱ローラ定着方式が知られている。熱ローラ定着方式では、その構成上、溶融したトナーが十分に冷却凝固しないうちに定着ローラと分離することを避けられないため、定着ローラの表面にトナーが付着するいわゆるオフセット現象が生じ易い等の問題がある。そこで、近年においては、構成上、トナーの冷却工程を十分に得ることができるベルト定着方式が注目されてきており、種々の提案がなされている。
【0003】ベルト定着方式では、例えば特開平6−318001号公報に記載されているように、無端状の定着ベルトを、内部にハロゲンヒータ等の熱源を有する加熱ローラと、定着ローラ間に掛け回して回転駆動し、定着ローラ側において定着ベルトの外から加圧ローラを圧接して該加圧ローラと定着ベルトとの間に定着ニップ部を形成する構成となっている。加熱ローラにより加熱された定着ベルトの保持熱によりトナーが溶融し、加熱ローラよりも記録材の搬送方向下流側に位置する定着ニップ部で定着がなされるとともに、トナーの冷却が行われるものである。この例では、定着ニップ部の温度を低くしてオフセット現象を抑制するために、記録材を定着ベルトに接近させた状態で定着ニップ部へ案内し、定着ニップ部手前で記録材を十分に予熱することを特徴としている。
【0004】熱ローラ定着方式の定着ローラに比べ、定着ベルトはその熱容量が極めて小さく、それ故に定着ニップ部通過時は急激な冷却作用が得られてオフセット現象を高精度に防止することができる。しかしながら、ベルト定着方式では定着ベルトの熱容量が小さいために十分な定着熱量が得られにくいという問題もある。この問題を解消するために、例えば特開平9−160405号公報には、定着ローラに対する加圧ローラの圧接によって形成される通常の定着ニップ部に加えて、定着ニップ部の入口側において、定着ベルトの内側から補助ローラによって該定着ベルトを加圧ローラに巻き付け、プレニップ部ともいうべき定着ニップ部を形成して全体の定着ニップ部幅を広くする技術が開示されている。定着ニップ部幅を長くすることにより、記録材と定着ベルトの接触時間が長くなり、記録材に対して十分な熱を供給することができる。
【0005】ベルト定着方式の定着装置としては、その他に、例えば特開平8−137306号公報、特開平4−273279号公報、特開平4−362984号公報等に記載のものがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】画像形成装置本体と定着装置との間に記録材の搬送速度差があって、定着装置側の搬送速度が相対的に遅い場合には、記録材にたるみが生じ、記録材が周辺部材に接触し易くなる。記録材が定着工程前に周辺部材に接触すると、記録材上の未定着画像がこすられ、いわゆる「画像こすれ」が発生する。上記特開平9−160405号公報に記載の技術のように、定着ニップ部の幅を通常より長くするタイプにおいては、記録材が定着ニップ部に進入する前に定着ベルトに接触し易い。これを、図7に基づいて説明する。図7に示すように、定着ローラ100と、内部にハロゲンヒータ102を有する加熱ローラ104との間に定着ベルト106が掛け回され、定着ローラ100に対して定着ベルト106を介して加圧ローラ108が圧接されている。未定着画像を担持した記録材112はガイド部材で案内され定着ニップ部Nに進入する。
【0007】このように、通常の定着ニップ部N2に加えてその上流側に定着ニップ部N1を形成するタイプでは、定着ニップ部N1を形成するために定着ニップNの入口が狭くなり、記録材112にたるみが生じた場合には記録材112の画像面が定着ベルト106に接触する。また、このタイプの定着装置では、図8に示すように、記録材11の前部が定着ニップ部Nを通過中に記録材112の後端が例えば図示しない画像形成装置の転写ローラを通過してフリーになると、記録材112のコシの強さにより、記録材112は定着ベルト106の接線A方向に近づき、記録材112のいわゆる後端跳ね現象が生じる。この場合、記録材112の画像面は定着ベルト106に接触し易くなり、上記画像こすれが発生する。この記録材の後端跳ねによる画像こすれ現象は、普通紙よりもこしの強い厚紙では特に顕著となる。
【0008】そこで、本発明は、定着ニップ部の幅を長くするタイプにおいて、画像こすれの問題を解消でき、十分な定着熱量が得られるとともにオフセット現象を抑制できる特性を活かすことができる定着装置、定着方法及びこの定着装置を有する画像形成装置の提供を、その主な目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、定着ローラと、定着用熱源を有する加熱ローラと、該定着ローラと加熱ローラ間に掛け回された無端状の定着ベルトと、該定着ベルトを介して上記定着ローラに圧接される加圧ローラと、画像を担持した記録材の進入側において上記定着ベルトの内側に接触して設けられ該定着ベルトを上記加圧ローラに巻き付ける補助ローラを有し、上記補助ローラによって巻き付けられた上記定着ベルトと上記加圧ローラとの間に形成される第1の定着工程部と、上記定着ローラに対する上記加圧ローラの圧接によって該加圧ローラと上記定着ベルトとの間に形成される第2の定着工程部を有する定着装置において、上記第1の定着工程部の記録材進入口における上記加圧ローラの接線と、上記補助ローラと加熱ローラ間の定着ベルトの接線とがなす角度θが、10°≦θの条件を満たすことを特徴とする定着装置。
【0010】請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の構成において、上記補助ローラの少なくとも表面層が断熱材で形成されている、という構成を採っている。
【0011】請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の構成において、上記加熱ローラを、上記第2の定着工程部から上記記録材が排出される方向と略逆方向に押圧する加熱ローラ付勢部材を有し、上記第1の定着工程部の定着圧が該加熱ローラ付勢部材の付勢力の調整によって調整される、という構成を採っている。
【0012】請求項4記載の発明によれば、請求項1乃至3のうちの一つに記載の構成において、上記加圧ローラが定着用熱源を有している、という構成を採っている。
【0013】請求項5記載の発明によれば、加圧ローラが定着ベルトを介して定着ローラに圧接して形成される定着ニップ部の上流側に、さらに加圧ローラに定着ベルトを巻き付けて定着ニップ部を形成し、画像を担持した記録材を上記2段階の定着ニップ部に通して定着を行う定着方法において、上記上流側の定着ニップ部の記録材進入口を、上記加圧ローラの接線と、上記定着ベルトとがなす角度θが、10°≦θの条件を満たす状態にして記録材を進入させる、という構成を採っている。
【0014】請求項6記載の発明によれば、像担持体上に形成された画像を記録材に転写し、該画像を担持した記録材を定着装置で定着する画像形成装置において、上記定着装置が請求項1乃至4のうちの一つに記載の定着装置である、という構成を採っている。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。まず、図5に基づいて、画像形成装置としてのカラー複写機の全体構成及び機能について概略的に説明する。露光手段としての書き込み光学ユニット400は、カラースキャナ200からのカラー画像データを光信号に変換して原稿画像に対応した光書き込みを行い、像担持体である感光体402上に静電潜像を形成する。該書き込み光学ユニット400は、レーザーダイオード404、ポリゴンミラー406とその回転用モータ408、f/θレンズ410や反射ミラー412等により構成されている。感光体402は、矢印で示すように反時計回りの向きに回転され、その周囲には、感光体クリーニングユニット414、除電ランプ416、電位センサ420、回転式現像装置422のうちの選択された現像器(図8では現像器438)、現像濃度パターン検知器424、中間転写ベルト426等が配置されている。
【0016】回転式現像装置422は、ブラック用現像器428、シアン用現像器430、マゼンタ用現像器432、イエロー用現像器434と、角現像器を回転させる図示しない回転駆動部を有している。各現像器は、静電潜像を可視像化するために、現像剤の穂を感光体402の表面に接触させて回転する現像スリーブや、現像剤を汲み上げて攪拌するために回転する現像パドル等を有している。待機状態では、回転式現像装置422は、ブラック現像の位置にセットされており、コピー動作が開始されると、カラースキャナ200で所定のタイミングからブラック画像のデータの読み取りがスタートし、この画像データに基づいてレーザ光による光書き込み・静電潜像(ブラック潜像)の形成が始まる。
【0017】このブラック潜像の先端部から現像するために、ブラック用現像器428の現像位置に潜像先端部が到達する前に、現像スリーブを回転開始してブラック潜像をブラックトナーで現像する。そして、以後、ブラック潜像領域の現像動作を続けるが、潜像後端部がブラック現像位置を通過した時点で、速やかにブラックのための現像位置から次の色んお現像位置まで、回転式現像装置422が回転する。当該動作は、少なくとも、次の画像データによる潜像先端部が到達する前に完了させる。像形成サイクルが開始されると、まず、感光体402は矢印で示すように反時計回りの向きに、中間転写ベルト426は時計回りの向きに、図示しない駆動モータによって回転させられる。中間転写ベルト426の回転に伴って、ブラックトナー像形成、シアントナー像形成、マゼンタトナー像形成、イエロートナー像形成が行われ、最終的にブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に、中間転写ベルト426上に重ねられ、トナー像が形成される。
【0018】中間転写ベルト426は、駆動ローラ444、転写対向ローラ446a、446b、クリーニング対向ローラ448及び従動ローラ群に張架されており、図示しない駆動モータにより駆動制御されるようになっている。感光体402に順次形成されるブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各トナー像が中間転写ベルト426上で正確に順次位置合わせされ、これによって4色重ねのベルト転写画像が形成される。このベルト転写画像は転写コロナ放電器454により記録材(用紙)に一括転写される。
【0019】給紙バンク456内の各記録紙カセット458、460、462には装置本体内のカセット464に収容された用紙のサイズとは異なる各種サイズの用紙が収容されており、これらのうち、指定されたサイズ紙の収容カセットから、該指定された用紙が給紙コロ466によってレジストローラ対470方向に給紙・搬送される。図5において、符号468はOHP用紙や厚紙等のための手差し給紙トレイを示す。像形成が開始される時期に、用紙は上記いずれかのカセットの給紙口から給送され、レジストローラ対470のニップ部で待機する。そして、コロナ放電器454に中間転写ベルト426上のトナー像の先端がさしかかるときに、丁度用紙先端がこの像先端に一致するようにレジストローラ対470が駆動され、用紙と像のレジスト合わせが行われる。
【0020】このようにして、用紙が中間転写ベルト426と重ねられて、正電位につながれたコロナ放電器454の上を通過する。このとき、コロナ放電電流で用紙が正電荷で荷電され、トナー画像が用紙に転写される。続いて、コロナ放電器454の図上左側に配置された図示しない除電ブラシの箇所を通過するときに用紙は除電され、中間転写ベルト426から剥離して紙搬送ベルト472に移る。中間転写ベルト426から4色重ねトナー像を一括転写された用紙は、紙搬送ベルト472によりベルト定着方式の定着装置500へ搬送され、この定着装置500で熱と圧力によりトナー像を定着される。定着を終えた用紙は排出ローラ対480で機外へ排出され、図示しないトレイにスタックされる。これにより、フルカラーコピーが得られる。
【0021】次に、ベルト定着方式の定着装置500について詳細に説明する。図1に示すように、定着装置500は、定着ローラ502と、内部に定着用熱源としてのハロゲンヒータ504を有する加熱ローラ506と、定着ローラ502と加熱ローラ506間に掛け回された無端状の定着ベルト508と、定着ベルト508を介して定着ローラ502に対向して設けられ、該定着ローラ502に付勢手段としての加圧スプリング510の付勢力により圧接された加圧ローラ512と、画像を担持した記録材としての転写紙514の進入側において定着ベルト508の内側に接触して設けられ、該定着ベルト508を加圧ローラ512に巻き付けるとともに定着ベルト508の走行方向を変化させる補助ローラ516と、定着ベルト508の温度を検知するためのサーミスタ518と、加熱ローラ506を転写紙514が排出される方向(矢印E方向)と略逆方向に押圧する加熱ローラ付勢部材としての加圧スプリング520と、転写紙514を定着ニップ部入口に案内するガイド部材522等を有している。
【0022】定着ローラ502に対する加圧ローラ512の圧接によって、定着ベルト508と加圧ローラ512との間に定着ニップ部としての第2の定着工程部N2が形成されている。また、補助ローラ516による巻き付けによって第2の定着工程部N2の上流側には、定着ニップ部としての第1の定着工程部N1が形成されている。第1の定着工程部N1と第2の定着工程部N2により、全体としての定着工程部(定着ニップ部)Nが形成されている。
【0023】定着ベルト508は、ニッケル、ポリイミド等の耐熱性樹脂、炭素鋼、あるいはステンレス鋼等により形成された薄肉の無端状のベルトである。定着ベルト508の表層には、フッ素系樹脂やシリコンゴム等の耐熱離型層が被覆された構成となっている。ここにいう無端状ベルトとは、ニッケル電鋳法によるベルト継ぎ目の無いもの、又はステンレス鋼や鉄系材料の超薄肉厚板の精密突き合わせ技術(例えば溶接)による加工法によって製作した継ぎ目のあるもの等のベルトを意味する。定着ベルト508はハロゲンヒータ504により加熱ローラ506を介して加熱され、サーミスタ518の検知値に基づいて図示しないカラー複写機の制御手段により所定の温度に制御される。
【0024】定着ローラ502は中心に芯金502aを有し、その外周にニップ幅を十分な長さにするための断熱性弾性部材502bを有している。断熱性弾性部材502bとしては、柔らかい耐熱性の材料、例えば発泡シリコンゴムを採用することができる。断熱性弾性部材502bは十分な厚さを有するもので、本実施形態では、定着ローラ502の直径の15%から20%程の厚さを有している。定着ローラ502は図示しない駆動源により矢印方向に回転駆動され、これに伴って加圧ローラ512が矢印方向に従動回転する。加圧ローラ512を駆動源により回転駆動し、定着ローラ502を従動回転させるようにしてもよい。
【0025】加圧ローラ512は中心に芯金512aを有し、その表層に耐熱性の離型層512bを有している。芯金512aは、アルミニウム材、ステンレス鋼若しくは炭素鋼等により構成され、離型層512bはフッ素系樹脂、シリコンゴム等により構成される。本実施形態では、転写紙514の定着ベルト508からの剥離性をよくするために定着工程部Nの形状を下向きの円弧形状としており、これは加圧ローラ512の硬度を硬くすることによってなされている。加熱ローラ506は、装置の立ち上がりを早くするために、小径で薄肉の金属パイプを使用し、低熱容量化してある。金属パイプの材料としては、アルミニウム、鉄、銅、炭素鋼、ステンレス鋼等を採用することができる。
【0026】補助ローラ516は、図2に示すように、芯金524と、この芯金524の外周面に被覆された断熱部材としての表面層526を有している。表面層526の材質は発泡シリコンゴムである。表面層526の材質としては他に、ゴム、セラミックス、フェルト等を採用することができる。勿論、補助ローラ516全体を断熱部材で構成してもよい。
【0027】第1の定着工程部N1では、転写紙514のシワが発生しないように、加圧ローラ512に対する定着ベルト508の接触圧、すなわち第1の定着工程部N1の定着圧を低く設定している。この第1の定着工程部N1における定着圧の設定は、加圧スプリング520により定着ベルト508のテンションを調整することによって行われる。第2の定着工程部N2では、所望の定着性を得るために、定着ローラ502に対して加圧ローラ512が圧接されており、ここでの定着圧の設定は加圧スプリング510により行われる。
【0028】本実施形態における定着動作は、転写紙514が第1の定着工程部N1及び第2の定着工程部N2を通過することによってなされる。第1の定着工程部N1では定着圧が弱いので、転写紙514はシワを生じることなく挟持・搬送されるとともにトナー画像に対する前段階的加熱を受け、第2の定着工程部N2へ進入する。第2の定着工程部N2では所定の定着温度と所定の定着圧により確実に定着がなされる。定着ベルト508の熱容量は低いので、第2の定着工程部N2の出口部位では定着ベルト508の温度は急激に低下し、冷却機能が発現してトナーが定着ベルト508に付着するオフセット現象が防止される。
【0029】また、本実施形態では、図3に示すように、第1の定着工程部N1の記録材記録材進入口における加圧ローラ512の接線Bと、補助ローラ516と加熱ローラ506間の定着ベルト508の接線Cとがなす角度(=ベルト角度)θが0°より大きくなるように、厳密には、10°≦θの条件を満たすように設定されている。その理由を以下に述べる。なお、図3では図1で示した構成要素の主要なもののみ表示している。図4は、ベルト角度θを変化させて画像こすれの度合いを調べた実験結果のグラフである。図4から、0°<θ<5°の範囲では画像こすれに対してほとんど効果がないことが分かる。また、5°≦θ<10°の範囲では、薄紙では効果があるものの、厚紙ではその後端跳ね性により依然画像こすれが発生することが分かる。本実施形態では、上記実験事実に鑑み、転写紙514の厚みの大小に拘らず画像こすれを防止するという観点から、ベルト角度θを10°以上とした。
【0030】上述のように、熱ローラ定着方式の定着ローラに比べて定着ベルトはその熱容量が極めて小さいため、定着ベルト508が転写紙514と接触する定着工程部Nよりも加熱ローラ506が転写紙搬送方向上流に位置する構成では、定着ベルト508が定着工程部Nに達するまではなるべくその熱を奪わないようにすることが定着装置の熱効率を向上させることになる。かかる観点から考慮して、上記構成によれば、転写紙514の先端部が第1の定着工程部N1の記録材進入口に達する前に転写紙514が定着ベルト508に接触することが抑制されるので、定着装置の熱効率を向上させる上で有利である。また、本実施形態では補助ローラ516が断熱部材としての表面層526を有しているので、定着ベルト508から補助ローラ516への熱移動が極めて少なく、定着装置の熱効率の向上に大きく寄与する。
【0031】次に、図6に基づいて他の実施形態を説明する。なお、上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既にした構成上及び機能上の説明は省略する。上記実施形態では、加熱ローラ506にのみ定着用熱源としてのハロゲンヒータ504を設けたが、本実施形態では、加圧ローラ512にも定着用熱源として例えばハロゲンヒータ528を設けている。この場合、ハロゲンヒータ528には、加圧ローラ512が定着ベルト508から熱を奪うことを抑制する機能を持たせてもよく、あるいはハロゲンヒータ504と共に所定の定着熱を立ち上げるように機能させてもよい。
【0032】
【発明の効果】請求項1又は6記載の発明によれば、定着工程部の記録材進入口における加圧ローラの接線と、補助ローラと加熱ローラ間の定着ベルトの接線とがなす角度θが、10°≦θの条件を満たすようにしたので、記録材にたるみが生じたり、記録材に後端跳ね現象が生じても、記録材の厚みの大小に拘らず、画像こすれの発生を高精度に抑制することができる。換言すれば、画像形成装置本体と定着装置間の搬送速度を一致させる精密な構成及び制御を要することなく、簡易な構成で低コストに画像こすれの発生を高精度に抑制することができる。
【0033】請求項2又は6記載の発明によれば、補助ローラの少なくとも表面層が断熱材で形成されている構成としたので、定着装置の熱効率を向上させることができる。
【0034】請求項3又は6記載の発明によれば、第1の定着工程部の定着圧を調整することができる構成としたので、第1の定着工程部における記録材の状況に応じてシワを発生させない最適な定着圧を設定することができる。
【0035】請求項4又は6記載の発明によれば、加圧ローラが定着用熱源を有している構成としたので、定着装置の立ち上がり時に加圧ローラにより定着ベルトから熱が奪われるのを抑制して立ち上げ時間が長くなることを防止でき、また、加熱ローラの定着用熱源と共に通電することにより立ち上げ時間を短くすることができる。
【0036】請求項5記載の発明によれば、上流側の定着ニップ部の間口を、加圧ローラの接線と、定着ベルトとがなす角度θが、10°≦θの条件を満たす状態にして記録材を進入させることとしたので、記録材にたるみが生じたり、記録材に後端跳ね現象が生じても、記録材の厚みの大小に拘らず、画像こすれの発生を高精度に抑制することができる。
【出願人】 【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
【出願日】 平成12年3月21日(2000.3.21)
【代理人】 【識別番号】100067873
【弁理士】
【氏名又は名称】樺山 亨 (外1名)
【公開番号】 特開2001−265139(P2001−265139A)
【公開日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願番号】 特願2000−78330(P2000−78330)