トップ :: G 物理学 :: G03 写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ




【発明の名称】 トナーバインダー
【発明者】 【氏名】中西 秀男

【氏名】岩田 将和

【氏名】加藤 智久

【要約】 【課題】低温定着性と耐オフセット性のいずれにも優れたトナーバインダーを提供する。

【解決手段】テトラヒドロフラン(THF)不溶分を含有するポリエステル(A)およびTHF不溶分を含有しないポリエステル(B)からなるトナーバインダーにおいて、該(A)の160℃における複素粘性率(ηA)と該(B)の160℃における複素粘性率(ηB)の比(ηA/ηB)が5〜50であることを特徴とするトナーバインダー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 テトラヒドロフラン(THF)不溶分を含有するポリエステル(A)およびTHF不溶分を含有しないポリエステル(B)からなるトナーバインダーにおいて、該(A)の160℃における複素粘性率(ηA)と該(B)の160℃における複素粘性率(ηB)の比(ηA/ηB)が5〜50であることを特徴とするトナーバインダー。
【請求項2】 該(A)のガラス転移点(TgA)と該(B)のガラス転移点(TgB)の差(TgA−TgB)が−3℃以下である請求項1記載のトナーバインダー。
【請求項3】 該(A)と該(B)の重量比が60:40〜20:80である請求項1または2記載のトナーバインダー。
【請求項4】 該(A)のTHF不溶分が15重量%以上である請求項1〜3のいずれか記載のトナーバインダー。
【請求項5】 該(A)の軟化点が、131℃以上である請求項1〜4のいずれか記載のトナーバインダー。
【請求項6】 該(A)が、ポリカルボン酸成分とポリオール成分を重縮合してなるポリエステルであり、ポリカルボン酸成分中の3価以上の芳香族ポリカルボン酸またはその無水物の含有量が10〜40モル%であり、かつ該(A)の酸価(AVA)が下式(1)の関係を満たす請求項1〜5のいずれか記載のトナーバインダー。
−10 ≦AVA−[WPA×(XPA−2)×561/MPA]≦ 10 …(1)
〔式中、WPAは(A)中の3価以上の芳香族ポリカルボン酸またはその無水物の含有量(重量%)を、MPAは3価以上の芳香族ポリカルボン酸またはその無水物の平均分子量を、XPAは(A)中の3価以上の芳香族ポリカルボン酸またはその無水物の価数の平均を表す。〕
【請求項7】 該(B)の重量平均分子量(MwB)が、20,000以下である請求項1〜6のいずれか記載のトナーバインダー。
【請求項8】 該(B)が実質的に線状のポリエステルである請求項7記載のトナーバインダー。
【請求項9】 該(B)が、ポリカルボン酸成分とポリオール成分を重縮合してなるポリエステルであり、ポリカルボン酸成分中の3価以上の芳香族ポリカルボン酸またはその無水物の含有量が3〜30モル%であり、かつ該(B)の分子量分布(Mw/Mn)が4以下である請求項1〜8のいずれか記載のトナーバインダー。
【請求項10】 該(B)の酸価(AVB)が下式(2)の関係を満たす請求項9記載のトナーバインダー。
−10 ≦AVB−[WPB×(XPB−2)×561/MPB]≦ 15 …(2)
〔式中、WPBは(B)中の3価以上の芳香族ポリカルボン酸またはその無水物の含有量(重量%)を、MPBは3価以上の芳香族ポリカルボン酸またはその無水物の平均分子量を、XPBは(B)中の3価以上の芳香族ポリカルボン酸またはその無水物の価数の平均を表す。〕
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられる乾式トナー用のトナーバインダーに関する。
【0002】
【従来の技術】乾式トナーに用いられるトナーバインダーには、熱ロール温度が低くてもトナーが定着できること(低温定着性)と、高い熱ロール温度でもトナーが熱ロールに融着しないこと(耐ホットオフセット性)という相反する性能を満たすことが求められている。従来、トナーバインダーとしては、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂などが用いられているが、低温定着性に優れることから、架橋ポリエステルが多用されつつある。近年、省エネルギー化の観点から、従来よりいっそうの低温定着性が求められるとともに、複写機等の装置の小型化の観点から、よりいっそうの耐ホットオフセット性が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ポリエステルの低温定着性と耐ホットオフセット性の向上を狙ったものとして、分子量分布の異なる2種のポリエステルを混合する方法(たとえば特開昭60−214368号公報、特開昭63−225244号公報、特開平4−313760号公報など)が提案されている。しかし、これらに開示されているものは、従来のポリエステルよりも低温定着性と耐ホットオフセット性のバランス(定着特性)は改善傾向にはあるものの、軟化点の異なる二種のポリエステルを粉体混合したものであるために軟化点差を大きくすると、定着性は向上されるが、トナーの混練時に顔料の分散が十分にできない問題が生じる。この二種のポリエステルの軟化点差を小さくすると、顔料分散性は改善されるが、逆に定着特性の向上が不十分になる問題が生じる。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、低温定着性、耐オフセット性のいずれにも優れ、かつ顔料分散性に優れたトナーバインダーを得るべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明はテトラヒドロフラン(THF)不溶分を含有するポリエステル(A)およびTHF不溶分を含有しないポリエステル(B)からなるトナーバインダーにおいて、該(A)の160℃における複素粘性率(ηA)と該(B)の160℃における複素粘性率(ηB)の比(ηA/ηB)が5〜50であることを特徴とするトナーバインダーである。
【0005】以下、本発明を詳述する。本発明のトナーバインダーはテトラヒドロフラン(THF)不溶分を含有するポリエステル(A)とTHF不溶分を含有しないポリエステル(B)から構成される。本発明においては該(A)の160℃における複素粘性率(ηA)と該(B)の160℃における複素粘性率(ηB)の比(ηA/ηB)が定着特性と顔料分散性の両立のために重要であり、該(ηA/ηB)は5〜50、好ましくは8〜40、さらに好ましくは10〜35、特に好ましくは12〜30である。5未満では定着特性(低温定着性と耐オフセット性の両立)が不十分となり、50を越えると顔料分散性が悪化する。複素粘性率は市販の粘弾性測定装置で測定することができる。また、(A)のガラス転移点は(B)のガラス転移点よりも低いことが望ましく、その差(TgA−TgB)は通常0℃以下、好ましくは−3℃以下、さらに好ましくは−5℃以下、特に好ましくは−8℃以下である。TgAに比べてTgBを高くすることで耐オフセット性を損なうことなくηA/ηBを小さくでき、顔料分散性が向上する。
【0006】THF不溶分を含有する非線状ポリエステル(A)としては、ポリオール成分とポリカルボン酸成分の重縮合物などが挙げられる。ポリオール成分としてはジオール(1)および3価以上のポリオール(2)およびその低級酸アルカンエステル(酢酸エステルなど)が挙げられる。ポリカルボン酸成分としてはジカルボン酸(3)、3価以上のポリカルボン酸(4)およびその酸無水物、または低級アルコールエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、エチレングリコールエステルなど)が挙げられる。
【0007】ジオール(1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ドデカンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールFなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜18のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、脂環式ジオールであり、特に好ましいものはビスフェノール類のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイド付加物、炭素数2〜8のアルキレングリコール、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF、およびこれらの併用であり、特に好ましいものはビスフェノール類のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加物、およびこれらと他のジオールの併用である。3価以上のポリオール(2)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);トリスフェノール類(トリスフェノールPAなど);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記トリスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物;上記ノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコールおよびノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物である。
【0008】ジカルボン酸(3)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸、ダイマー酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜50のアルキレンジカルボン酸、炭素数4〜50のアルケニレンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸およびこれらの併用であり、さらに好ましいものは、炭素数4〜50のアルキレンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸、およびこれらと炭素数4〜50のアルキレンジカルボン酸の併用であり、より好ましいものは、炭素数16〜50のアルケニルコハク酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸およびこれらの併用であり、特に好ましいものはテレフタル酸、およびこれと他のジカルボン酸の併用である。3価以上のポリカルボン酸(4)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)、不飽和カルボン酸のビニル重合物(スチレン/マレイン酸共重合物、スチレン/アクリル酸共重合物、α−オレフィン/マレイン酸共重合物、スチレン/フマル酸共重合物など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸であり、特に好ましいものはトリメリット酸である。
【0009】また、(1)、(2)、(3)、(4)とともにヒドロキシカルボン酸(5)を共重合することもできる。ヒドロキシカルボン酸(5)としては、ヒドロキシステアリン酸、硬化ヒマシ油脂肪酸などが挙げられる。
【0010】ポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/2、好ましくは1.5/1〜1/1.3、さらに好ましくは1.3/1〜1/1.2である。3価以上のポリオール(2)および3価以上のポリカルボン酸(4)の比率は、(2)と(4)のモル数の和が(1)〜(5)のモル数の合計に対して、通常0.1〜40モル%、好ましくは1〜25モル%、さらに好ましくは3〜20モル%、特に好ましくは5〜15モル%である。また、3価以上の成分として(4)を含有しているのが好ましく、(2)と(4)の併用が特に好ましく、とりわけ3価以上の芳香族ポリカルボン酸を含有することが好ましい。(4)の比率は、全ポリカルボン酸の合計に対して、通常0〜50モル%、好ましくは10〜40モル%、さらに好ましくは15〜40モル%、特に好ましくは15〜30モル%である。(4)とりわけ3価以上の芳香族ポリカルボン酸を含有することで、耐ホットオフセット性が向上する点で好ましい。
【0011】(A)のTHF不溶分(TA)は、耐オフセット性の観点から、通常15重量%以上、好ましくは20〜50重量%、さらに好ましくは25〜45重量%、特に好ましくは30〜40重量%である。(A)の軟化点は、耐ホットオフセット性の観点から、通常131℃以上であり、好ましくは131〜170℃、さらに好ましくは135〜155℃、特に好ましくは138〜150℃である。(A)のTHF可溶分のピークトップ分子量は、耐ホットオフセット性及び低温定着性の観点から、通常4,000〜30,000、好ましくは4,500〜10,000、さらに好ましくは5,000〜8,000、特に好ましくは5,000〜7,000である。(A)のガラス転移点(TgA)は、耐熱保存性及び低温定着性の観点から、通常30〜80℃であり、好ましくは40〜70℃、さらに好ましくは、45〜65℃、特に好ましくは50〜58℃である。また、前述のように(A)のガラス転移点が(B)よりも低い方が顔料分散性、耐オフセット性の両立の観点から望ましい。(A)の水酸基価は、環境安定性及び帯電量の向上の観点から、通常70mgKOH/g以下、好ましくは5〜50mgKOH/g、さらに好ましくは8〜45mgKOH/gである。(A)の酸価は、環境安定性、帯電の立ち上がり及び耐ホットオフセット性の観点から、通常0〜40mgKOH/g、好ましくは8〜30mgKOH/g、さらに好ましくは13〜30mgKOH/g、特に好ましくは15〜27mgKOH/gである。また、(A)の酸価(AVA)は、(A)中の3価以上の芳香族ポリカルボン酸またはその無水物の含有量(WPA重量%)、3価以上の芳香族ポリカルボン酸またはその無水物の平均分子量(MPA)、(A)中の3価以上の芳香族ポリカルボン酸またはその無水物の価数の平均(XPA)との関数として、{AVA−[WPA×(XPA−2)×561/MPA]}が、好ましくは−10〜10、さらに好ましくは−5〜10、特に好ましくは−5〜5である。
【0012】ポリエステル(B)としては、ポリオール成分とポリカルボン酸成分の重縮合物などが挙げられる。ポリオール成分およびポリカルボン酸成分としては、(A)と同様のジオール(1)、3価以上のポリオール(2)、ジカルボン酸(3)、3価以上のポリカルボン酸(4)が挙げられ、好ましいものも同様である。また、(A)と(B)の組成は同一であってもよく、異なっていてもよい。ポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/2、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.4/1〜1/1.4である。3価以上のポリオール(2)の比率は、全ポリオール成分の合計に対して、通常10モル%以下、好ましくは5モル%以下、さらに好ましくは3モル%以下、特に好ましくは含有しないものである。3価以上のポリカルボン酸(4)の比率は、全ポリカルボン酸の合計に対して、通常0〜30モル%以下、さらに好ましくは3〜30モル%であり、特に好ましいものは7〜24モル%である。3価以上のポリカルボン酸特に芳香族ポリカルボン酸を含有させることでガラス転移点が高くなり、耐熱保存性が向上する点で好ましいが、後述の分子量分布が大きくなると低温定着性の観点で不利になるため、3価以上のポリカルボン酸を含有させる場合は、実質的に1または2官能として反応させ、残りの官能基は未反応として残すのが好ましい。
【0013】(B)の重量平均分子量(MwB)は、低温定着性の観点から、通常20,000以下、好ましくは、2,000〜15,000、さらに好ましくは2,500〜8,000、特に好ましくは3,000〜6,500である。また、(B)は架橋に伴う分岐のあるものよりも、実質的に線状であることが好ましい。(B)の数平均分子量(MnB)は、耐熱保存性の観点から、通常1,000以上、好ましくは、1,500〜10,000、さらに好ましくは1,600〜5,000、特に好ましくは1,800〜4,000である。(B)の分子量分布(Mw/MwB)は、低温定着性の観点から、通常30以下、好ましくは4以下、さらに好ましくは3.5以下、特に好ましくは1.5〜3である。(B)のガラス転移点(TgB)は、耐熱保存性及び低温定着性の観点から、通常30〜80℃であり、好ましくは50〜75℃、さらに好ましくは53〜70℃、特に好ましくは55〜70℃である。(B)の軟化点は、耐熱保存性及び低温定着性の観点から、通常80〜130℃であり、好ましくは80〜120℃、さらに好ましくは、85〜115℃である。また、(B)の軟化点は、(A)の軟化点よりも通常低く、好ましくは10℃以上低く、さらに好ましくは30℃以上低く、特に好ましくは35℃以上低い。(B)の軟化点が(A)よりも低いほうが、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から好ましい。(B)の水酸基価は、環境安定性及び帯電量の向上の観点から、通常70mgKOH/g以下、好ましくは5〜50mgKOH/g、さらに好ましくは10〜45mgKOH/gである。(B)の酸価は、環境安定性及び帯電の立ち上がりの観点から、通常0〜50mgKOH/g、好ましくは1〜45mgKOH/g、さらに好ましくは10〜40mgKOH/g、特に好ましくは15〜35mgKOH/gである。また、(B)の酸価(AVB)は、(B)中の3価以上の芳香族ポリカルボン酸またはその無水物の含有量(WPB重量%)、3価以上の芳香族ポリカルボン酸またはその無水物の平均分子量(MPB)、(B)中の3価以上の芳香族ポリカルボン酸またはその無水物の価数の平均(XPB)との関数として、{AVB−[WPB×(XPB−1)×561/MPB]}が、好ましくは−10〜15、さらに好ましくは−6〜12、特に好ましくは−3〜10である。
【0014】(A)の重量%(WA)と(B)の重量%(WB)の比率は、通常80:20〜20:80、好ましくは60:40〜20:80、さらに好ましくは55:45〜30:70、特に好ましくは50:50〜30:70である。
【0015】本発明のトナーバインダーの具体例としては、以下のものなどが挙げられる。
■(A):ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/フェノールノボラックのエチレンオキサイド付加物/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物(B):ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物■(A):ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物/フェノールノボラックのプロピレンオキサイド付加物/テレフタル酸/無水ドデセニルコハク酸/無水トリメリット酸重縮合物(B):ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物/無水ドデセニルコハク酸/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物■(A):ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物/フェノールノボラックのプロピレンオキサイド付加物/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物(B):ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物■(A):ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物(B):ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物■(A):ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物/フェノールノボラックのプロピレンオキサイド付加物/テレフタル酸/無水トリメリット酸重縮合物(B):ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物/フマル酸/無水トリメリット酸重縮合物【0016】本発明のトナーバインダーの製造方法としては以下の方法などが挙げられる。ポリエステル(A)および(B)は、定法に従い、ポリカルボン酸とポリオールとを、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、窒素などの不活性気流下に150〜280℃に加熱し、脱水縮合することで得られる。反応末期の反応速度を向上させるために減圧にすることも有効である。(A)は、反応終点が近づいたならば、粘度または軟化点を追跡しながら反応を進め、所定の粘度または軟化点に到達した時点で反応装置から取り出し冷却することで得られる。(B)において、3価以上のポリカルボン酸を用いて、1または2官能として反応させる場合は、3価以上のポリカルボン酸として酸無水物を用い、これを加えずに通常のポリエステル化を行った後、3価以上のポリカルボン酸無水物を150〜200℃で加え、常圧または加圧下30分〜2時間反応させることで酸無水物のハーフエステル化のみを優先的に行うようにする。
【0017】(A)と(B)の混合方法としては粉体混合法、溶融混合法のいずれも用いることができる。本発明のトナーバインダーは粉体混合法において特に有効である。また(A)と(B)を混合する際にワックスなど他の成分も同時に混合することもできる。
【0018】本発明のトナーバインダーは、着色剤および必要により離型剤、荷電制御剤などの種々の添加剤等を混合し、乾式トナーとして用いられる。トナー中の本発明のトナーバインダーの含有量は、着色剤として染料または顔料を使用する場合は、通常60〜98重量%であり、磁性粉を使用する場合は、通常25〜80重量%である。また、トナー中にポリエステル(A)、(B)以外の他のバインダー樹脂を含有させさせさせることもできる。他のバインダー樹脂としては、スチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/(メタ)アクリロニトリル共重合体、エポキシ樹脂、ポリウレタン等公知のトナーバインダー樹脂が挙げられる。トナー中の他のバインダー樹脂の含有量は、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。着色剤としては公知の染料、顔料および磁性粉を用いることができる。具体的には、カーボンブラック、スーダンブラックSM、ファーストイエロ−G、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、バラニトアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、プリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB、オイルピンクOP、マグネタイト、鉄黒などが挙げられる。トナー中の着色剤の含有量は、染料または顔料を使用する場合は、通常2〜15重量%であり、磁性粉を使用する場合は、通常20〜70重量%である。離型剤としては公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワッックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワッックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックス(カルナバワックス、モンタンワックス、ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。トナー中の離型剤の含有量は通常0〜10重量%であり、好ましくは1〜7重量%である。荷電制御剤としては、公知のものすなわち、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩化合物、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、サリチル酸金属塩、スルホン酸基含有ポリマー、含フッソ系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマーなどが挙げられる。トナー中の荷電制御剤の含有量は通常0〜5重量%である。さらに、流動化剤を使用することもできる。流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末など公知のものを用いることができる。
【0019】乾式トナーの製造法としては、公知の混練粉砕法などが挙げられる。上記トナー成分を乾式ブレンドした後、溶融混練され、その後、ジェットミルなどを用いて微粉砕し、さらに風力分級し、粒径が通常2〜20μmの粒子として得られる。
【0020】本発明のトナーバインダーを用いた乾式トナーは必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト、および樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂など)により表面をコーティングしたフェライトなどのキャリアー粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。また、キャリア粒子のかわりに帯電ブレードなどの部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。次いで、公知の熱ロール定着方法などにより支持体(紙、ポリエステルフィルムなど)に定着して記録材料とされる。
【0021】
【実施例】以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は重量部を示す。
【0022】実施例および比較例で得られたトナーバインダーの性質の測定法を次に示す。
1.酸価および水酸基価JIS K0070に規定の方法。以下の方法で溶融混練後のものを試料として用いた。
混練装置 : 東洋精機(株)製 ラボプラストミル MODEL30R150 混練条件 : 130℃、70rpmにて30分2.ガラス転移点(Tg)
ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)。
装置:セイコー電子工業(株)製 DSC20,SSC/5803.分子量THF可溶分をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定。GPCによる分子量測定の条件は以下の通りである。
装置 : 東洋曹達製 HLC−802A カラム : TSK GEL GMH6 2本 (東洋曹達製)
測定温度 : 25℃ 試料溶液 : 0.25重量%のテトラヒドロフラン(THF)溶液 溶液注入量: 200μl 検出装置 : 屈折率検出器なお、分子量校正曲線は標準ポリスチレンを用いて作成した。
4.テトラヒドロフラン(THF)不溶分試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶分をろ別し、80℃で3時間減圧乾燥する。グラ スフィルター上の樹脂分の重量と試料の重量比から、不溶分を算出する。
5.軟化点の測定フローテスターを用いて、下記条件で等速昇温し、その流出量が1/2になる温度をもって軟化点とした。
装置 : 島津(株)製 フローテスター CFT−500 荷重 : 20kg ダイ : 1mmΦ−1mm昇温速度 : 6℃/min.
6.複素粘性率(η)の測定動的粘弾性測定装置を用いて測定した装置 : Rheometric Scientific社製 動的粘弾性測定装置 RDS―2測定周波数: 20Hz開始温度 : 90℃終了温度 : 200℃昇温速度 : 10℃Strain : 5%【0023】実施例1[ポリエステル(A)の合成]冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物197部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物564部、フェノールノボラック(平均重合度約5)のエチレンオキサイド5モル付加物16部テレフタル酸120部、フマル酸73部および縮合触媒としてジブチルチンオキサイド3部を入れ、210℃で窒素気流化に生成する水を留去しながら10時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。次いで、無水トリメリット酸86部を加え、常圧下に1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下に反応させ軟化点が146℃になった時点で取り出した。これをポリエステル(A1)とする。ポリエステル(A1)の160℃における複素粘性率は1050poise、THF不溶分は35%、酸価23、水酸基価27、Tgは58℃、THF可溶分のピークトップ分子量は5,700であった。
[ポリエステル(B)の合成]冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物173部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物553部、テレフタル酸251部および縮合触媒としてジブチルチンオキサイド3部を入れ、230℃で窒素気流化に生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で180℃に冷却した。これに無水トリメリット酸73部を加え、180℃常圧密閉下で2時間反応後取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル(B1)とする。ポリエステル(B1)はTHF不溶分を含有しておらず、160℃における複素粘性率は36poise、軟化点99℃、酸価41、水酸基価45、Tgは68℃、数平均分子量は2,000、重量平均分子量は4,900であり、実質的に線状であった。
[トナーバインダーの合成]ポリエステル(A1)500部とポリエステル(B1)500部をヘンシェルミキサーにて5分間粉体混合して本発明のトナーバインダー(1)を得た。本トナーバインダーのηA/ηBは29であった。
【0024】実施例2[ポリエステル(A)の合成]冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物230部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物531部、フェノールノボラック(平均重合度約5)のエチレンオキサイド5モル付加物16部テレフタル酸120部、フマル酸73部および縮合触媒としてジブチルチンオキサイド3部を入れ、210℃で窒素気流化に生成する水を留去しながら10時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。次いで、無水トリメリット酸87部を加え、常圧下に1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下に反応させ軟化点が148℃になった時点で取り出した。これをポリエステル(A2)とする。ポリエステル(A2)の160℃における複素粘性率は1200poise、THF不溶分は37%、酸価22、水酸基価26、Tgは60℃、THF可溶分のピークトップ分子量は6,300であった。
[ポリエステル(B)の合成]冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物816部、テレフタル酸82部および縮合触媒としてジブチルチンオキサイド3部を入れ、230℃で窒素気流化に生成する水を留去しながら4時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で200℃に冷却した。これにフマル酸173部を加え、200℃で窒素気流化に生成する水を留去しながら6時間反応させた。次いで180℃にて、100mmHgの減圧下に反応させ、酸価が7になった時点で、無水トリメリット酸77部を加え、180℃常圧密閉下で2時間反応後取り出した。これをポリエステル(B2)とする。ポリエステル(B2)はTHF不溶分を含有しておらず、160℃における複素粘性率は79poise、軟化点101℃、酸価39、水酸基価29、Tgは68℃、数平均分子量は2,200、重量平均分子量は5,800であり、実質的に線状であった。
[トナーバインダーの合成]ポリエステル(A1)500部とポリエステル(B1)500部をヘンシェルミキサーにて5分間粉体混合して本発明のトナーバインダー(2)を得た。本トナーバインダーのηA/ηBは15であった。
【0025】比較例1[ポリエステル(A)の合成]冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、テレフタル酸224部、および縮合触媒としてジブチルチンオキサイド3部を入れ、230℃で窒素気流化に生成する水を留去しながら10時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。次いで、無水トリメリット酸111部を加え、常圧下に1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下に反応させ軟化点が138℃になった時点で取り出した。これをポリエステル(CA1)とする。ポリエステル(CA1)の160℃における複素粘性率は1800poise、THF不溶分は37%、酸価31、水酸基価34、Tgは68℃、THF可溶分のピークトップ分子量は5,700であった。
[ポリエステル(B)の合成]冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物781部、テレフタル酸280部および縮合触媒としてジブチルチンオキサイド3部を入れ、230℃で窒素気流化に生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が1になった時点で取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル(CB1)とする。ポリエステル(CB1)はTHF不溶分を含有しておらず、160℃における複素粘性率は21poise、軟化点93℃、酸価1、水酸基価63、Tgは60℃、数平均分子量は2,200、重量平均分子量は5,800であり、実質的に線状であった。
[トナーバインダーの合成]ポリエステル(CA1)500部とポリエステル(CB1)500部をヘンシェルミキサーにて5分間粉体混合して比較トナーバインダー(C1)を得た。本トナーバインダーのηA/ηBは86であった。
【0026】評価例1、2および比較評価例1本発明のトナーバインダー(1)、(2)または比較トナーバインダー(C1)100部に対して、カーボンブラックMA−100(三菱化学(株)製)8部、カルナバワックス6部、荷電制御剤T−77(保土谷化学(製))1部を加え、下記の方法でトナー化した。まず、ヘンシェルミキサ(三井三池化工機(株)製 FM10B)を用いて予備混合した後、二軸混練機((株)池貝製 PCM−30)で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業(株)製)を用いて微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I)で分級し、粒径d50が9μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.3部をサンプルミルにて混合して、トナー(1)〜(2)および比較トナー(C1)を得た。評価結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− トナーNo MFT HOT 顔料分散性(tanδ)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− トナー(1) 140℃ 220℃ ○ (29)
トナー(2) 145℃ 220℃ ◎ (8)
比較トナー(C1) 145℃ 220℃ × (100以上)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−【0028】[評価方法]
■最低定着温度(MFT)市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって最低定着温度とした。
■ホットオフセット発生温度(HOT)上記MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とした。
■顔料分散性トナーの誘電正接(tanδ)を測定し、これを顔料分散性の指標とした。

誘電正接測定条件 装置 : 安藤電気(株)製 TR−1100型誘電体損測定装置 電極 : 安藤電気(株)製 SE−43型 粉体電極 測定周波数:1kHz【0029】
【発明の効果】本発明のトナーバインダーは以下の効果を奏する。
1.低温定着性と耐ホットオフセット性のいずれにも優れる。
2.顔料分散性に優れ、帯電特性に優れる。
【出願人】 【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
【出願日】 平成12年3月23日(2000.3.23)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−265057(P2001−265057A)
【公開日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願番号】 特願2000−81459(P2000−81459)