| 【発明の名称】 |
金属粉末の再利用方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】鎌田 明彦
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| 【要約】 |
【課題】現像あるいは転写されなかった回路形成用トナーを回収し、高価な金属材料の無駄を少なくした金属粉末の再利用方法を提供する。
【解決手段】感光体1の表面に回路パターン状の静電潜像を形成し、その静電潜像に回路形成用荷電性粉末(回路形成用トナー)4aを静電的に付着させ、回路パターン状の回路形成用荷電性粉末による像を被転写体10上に転写させた後、定着させる。電子写真装置内において現像されずに現像器4に滞留した回路形成用トナーや、被転写体10に転写されずに感光体1に残留し、クリーニング器7によって回収された回路形成用トナーを回収し、回収された回路形成用トナー4aから金属粉末を取り出す。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】導電性金属粉末の周囲を熱可塑性樹脂で被覆した構造を持ち、電子写真装置によって回路を形成するために用いられる回路形成用荷電性粉末において、前記電子写真装置内で被転写体に転写されずに残留した回路形成用荷電性粉末を回収する工程と、回収された回路形成用荷電性粉末から金属粉末を取り出す工程と、を備えた金属粉末の再利用方法。 【請求項2】前記残留した回路形成用荷電性粉末は、電子写真装置内において現像されずに現像器に滞留した回路形成用荷電性粉末、および被転写体に転写されずに感光体に残留し、クリーニング器によって回収された回路形成用荷電性粉末を含むことを特徴とする請求項1に記載の金属粉末の再利用方法。 【請求項3】前記取り出された金属粉末の周囲を熱可塑性樹脂で被覆し、回路形成用荷電性粉末を再作製する工程をさらに備えた請求項1または2に記載の金属粉末の再利用方法。 【請求項4】前記回収された回路形成用荷電性粉末から金属粉末を取り出す工程は、回路形成用荷電性粉末中の樹脂成分が分解する温度以上でかつ金属粉末が変質しない温度で加熱する工程を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の金属粉末の再利用方法。 【請求項5】前記加熱工程は、微振動を与えて金属粉末同士を分離しながら実施されることを特徴とする請求項4に記載の金属粉末の再利用方法。 【請求項6】前記加熱工程は、少なくとも還元性雰囲気中で実施されることを特徴とする請求項4または5に記載の金属粉末の再利用方法。 【請求項7】前記回収された回路形成用荷電性粉末から金属粉末を取り出す工程は、回路形成用荷電性粉末中の樹脂成分を溶剤によって溶解させる工程を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の金属粉末の再利用方法。 【請求項8】前記溶解工程は、溶剤を攪拌して金属粉末同士を分離しながら実施されることを特徴とする請求項7に記載の金属粉末の再利用方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は金属粉末の再利用方法、特に回路形成用荷電性粉末に用いられる金属粉末のリサイクル方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、スクリーンマスクを用いた配線印刷法に代わる新規な回路形成法として電子写真法が提案されている。この方式は、感光体の表面に回路パターン状の電荷の像(静電潜像)を形成し、その静電潜像に回路形成用荷電性粉末(以後、回路形成用トナーと呼ぶ)を静電的に付着させ、回路パターン状の回路形成用トナーによる像をセラミックグリーンシートなどの被転写体上に転写させた後、定着させるものである。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の電子写真法による回路形成技術では、現像されずに現像器に滞留した回路形成用トナーや、転写されずに感光体に残留した回路形成用トナーは、再利用されずに廃棄されてきた。通常の電子写真法による転写効率は90%以下であり、10%以上が廃棄されていることになる。 【0004】現像器内に滞留する理由は、回路形成用トナーの製造上のバラツキ、あるいは現像器内での攪拌中に摩擦を受け、帯電制御剤が離脱したり、樹脂が剥離した結果、所望の比電荷を保持できないためである。また、現像されたものの転写されない理由は、転写部に至る前に電荷がリークしてしまい、静電転写が不可能、あるいはトナー層のうち、感光体に接した一層は感光体とのファンデルワールス力が作用し、静電転写ができない等の理由によるものである。 【0005】このように現像されない、あるいは転写されずに廃棄される回路形成用トナーの廃棄量は、少なくとも生産量の10%以上にもなる。回路形成用トナーは導電性の金属粉末の周囲を熱可塑性樹脂で被覆した構造を持ち、平均粒径を5〜7μmとしたものであるが、回路形成用トナーに含まれる金属粉末は銀、パラジウム、銅、ニッケルなどの比較的高価な材料であるため、材料の無駄が無視できなくなっている。 【0006】そこで、本発明の目的は、現像あるいは転写されなかった回路形成用トナーを回収し、高価な金属材料の無駄を少なくした金属粉末の再利用方法を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、導電性金属粉末の周囲を熱可塑性樹脂で被覆した構造を持ち、電子写真装置によって回路を形成するために用いられる回路形成用トナーにおいて、電子写真装置内で被転写体に転写されずに残留した回路形成用荷電性粉末を回収する工程と、回収された回路形成用トナーから金属粉末を取り出す工程と、を備えた金属粉末の再利用方法を提供する。 【0008】本発明では、電子写真装置内で被転写体に転写されずに残留した回路形成用トナーを回収し、回収された回路形成用トナーから金属粉末だけを取り出す。残留した回路形成用トナーとしては、請求項2のように、電子写真装置内において現像されずに現像器に滞留した回路形成用トナー、および被転写体に転写されずに感光体に残留し、クリーニング器によって回収された回路形成用トナーが含まれる。このような残留トナーは従来では廃棄されてきたが、本発明ではこれら回路形成用トナーから高価な金属粉末だけを取り出して再利用することで、コスト低減と資源の有効利用を実現できる。 【0009】請求項3のように、取り出された金属粉末の周囲を熱可塑性樹脂で被覆し、回路形成用トナーを再作製すれば、金属粉末を回路形成用トナーに再生することができる。この場合には、金属粉末を安価に得ることができるので、回路形成用トナーも安価に製造できる。請求項4のように、回収された回路形成用トナーから金属粉末を取り出す工程が、回路形成用トナー中の樹脂成分が分解する温度以上でかつ金属粉末が変質しない温度で加熱する工程を含むようにすれば、金属粉末だけを簡単に取り出すことができる。請求項5のように、請求項4における加熱工程は、微振動を与えて金属粉末同士を分離しながら実施するのが望ましい。回路形成用トナーを加熱すると、樹脂成分が分解すると同時に、金属粉末同士が手をつなぎ塊状になってしまうので、これを防止するため、加熱しながら微振動を加えることで、塊になるのを防止できる。請求項6のように、加熱工程を、少なくとも還元性雰囲気中で実施するのが望ましい。加熱するだけでは金属が酸化してしまうため、初期特性に近い状態で取り出せないからである。請求項7のように、回収された回路形成用トナーから金属粉末を取り出す工程が、回路形成用トナー中の樹脂成分を溶剤によって溶解させる工程を含むようにしてもよい。この場合には、樹脂成分を溶剤によって溶かすので、金属粉末を酸化させることなく、取り出すことができる。請求項8のように、請求項7における溶解工程を、溶剤を攪拌して金属粉末同士を分離しながら実施するのが望ましい。この場合も、揺動させることにより、金属粉末が塊になることなく、初期特性に近い状態で取り出すことができる。 【0010】 【発明の実施の形態】図1は電子写真装置の一例を示す。この電子写真装置は、被転写体として多層基板用のセラミックグリーンシート10に回路パターンを形成するために用いられるものであり、感光体ドラム1、帯電器2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、定着装置6、クリーニング装置7などを備えている。 【0011】まず、感光体ドラム1を矢印方向に回転させながら、帯電器2により感光体ドラム1の表面電位を一定電位(例えば−電荷)に均一に帯電させる。具体的な帯電方法としては、スコロトロン帯電法,ローラ帯電法,ブラシ帯電法などがある。次に、露光装置3で画像信号に応じて光を感光体ドラム1に照射し、照射部分の−電荷を除去し、感光体ドラム1の表面に回路パターン状の電荷の像(静電潜像)を形成する。照射光はレーザ発振器やLED等により発生する。 【0012】次に、現像装置4で感光体ドラム1上の静電潜像に回路形成用トナー4aを静電的に付着させ、可視像を形成する。この実施例では、現像剤として回路形成用トナー4aとキャリア4bとを混合した乾式二成分現像剤を用いた。回路形成用トナー4aはCu,Ni,Pd,Agなどの導電性金属粉末を熱可塑性樹脂で被覆した構造を持ち、金属と樹脂の含有比率は80:20〜95:5(wt%)に設定されている。現像装置4に貯留された回路形成用トナー4aには予め−電荷が付与され、この回路形成用トナー4aを現像スリーブ4cによって感光体ドラム1に反転現像する。 【0013】転写装置5では、セラミックグリーンシート10を+電位に帯電させ、ドラム1の表面の回路形成用トナー4aをセラミックグリーンシート10上に転写する。具体的には、コロナ転写法、ローラ転写法、ベルト転写法などの公知の方法で転写すればよい。なお、図1ではセラミックグリーンシート10のみを矢印方向へ搬送する例を示したが、セラミックグリーンシート10をキャリアフィルムの上に形成し、このキャリアフィルムと一緒に搬送してもよい。 【0014】表面に回路形成用トナー4aが転写されたセラミックグリーンシート10は定着装置6へ送られ、回路形成用トナー4aを定着させて回路パターン11が形成される。定着には、熱ローラ定着、オーブン定着、フラッシュ定着、溶剤定着などの種々の定着法を用いることができる。転写後のドラム1はクリーニング装置7によって、表面に残った回路形成用トナー4aが除去され、回収される。回路パターン11が形成されたセラミックグリーンシート10は、積層工程で所定枚数だけ積層圧着され、その後、焼成工程へ運ばれて所定温度で焼成される。このとき、回路パターン11に含まれる樹脂成分が分解するとともに、金属粉末同士が結合し、電気抵抗の低い高品質な回路が形成される。 【0015】前記構成の電子写真装置において、現像されずに現像装置4内に滞留した回路形成用トナー、および転写されずに感光体ドラム1に残留し、クリーニング装置7によって回収された回路形成用トナーを合計すると、電子写真装置へ当初投入された回路形成用トナー全体の10%以上になった。例えば、前記電子写真装置を用いてセラミックグリーンシート10上に回路パターンを形成したところ、10000枚の印刷後に回収された回路形成用トナーは1kgにもなった。これら回路形成用トナーから後述する再生方法で金属粉末のみを取り出したところ、900gの金属粉末を得ることができた。 【0016】本実施例で使用される回路形成用トナーは、図2に示すように、金属粉末Mの周囲を、帯電制御剤を含む熱可塑性樹脂Rで被覆した構造を有する。具体的な製造例を次に示す。平均粒径5.5μmのCu粉末と、帯電制御剤を1wt%含有する平均粒径0.7μmのスチレンアクリル系樹脂粉末とを、90:10wt%で混合し、Cu粉末の周囲にスチレンアクリル系樹脂粒子を静電気的に付着させる。これらの粉末をハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所製)に投入し、4000rpmで1分間処理した結果、平均粒径7.0μmの球状の樹脂被覆Cu粒子(回路形成用トナー)を得るものである。しかしながら、製造された回路形成用トナーの中には、図2のような良品トナーの他に、図3の(a)に示すように、製造ばらつきによって樹脂Rの中に複数の金属粉末Mが含まれるものや、図3の(b)で示すように、現像装置4内での攪拌中に摩擦を受けて樹脂Rが剥離し、金属粉末Mが露出したものなどが存在する。このような不良品トナーは、現像装置4内に滞留したり、転写されずに感光体ドラム1に残留してクリーニング装置7によって回収されることが多い。なお、回収される回路形成用トナーの中には転写装置5へ至る前に何らかの原因で電荷がリークし、静電転写が不可能になった良品トナーも含まれる。 【0017】次に、回収された回路形成用トナーから金属粉末のみを取り出す方法について説明する。 〔再生方法1〕回収された回路形成用トナーを加熱し、樹脂成分を分解させる。単に加熱するだけでは、金属粉末が酸化してしまうので、必要に応じた還元性雰囲気中で加熱する。加熱温度は樹脂が分解する温度以上で、かつ金属粉末が変質しない温度が望ましく、通常300℃〜500℃とする。300℃未満では樹脂成分が十分に分解しないことがあり、500℃より高温では、金属粉末(Cu)同士が手をつなぎ塊状になるからである。そのため、十分な還元性雰囲気を保持し、300℃〜500℃で長時間をかけて分解するのがよい。加熱時に微振動を加えるのが望ましい。すなわち、加熱時に金属粉末が塊になりやすいので、機械的な振動を加えることで、金属粉末同士を分離させることができる。また、得られた金属粉末を篩にかけるのが望ましい。回路形成用トナー中には帯電制御剤(無機物の場合も有機物の場合もある)、外添剤が含まれており、いずれも粒径が1μm以下である。これらの材料を2〜4μm程度の網目を持つ篩にかけて除外することにより、金属粉末のみを取り出すことができる。再生された銅粉末を使って回路形成用トナーを再作製した結果、次表のように、新規銅粉にて作製した回路形成用トナーと比較してもほぼ同等の性能を示すことが確認できた。 【0018】 【表1】
【0019】〔再生方法2〕回収された回路形成用トナーを溶剤(アセトン)中に投入し、攪拌した。これにより、回路形成用トナー中の樹脂成分を溶解させ、金属粉末のみを取り出した。なお、溶剤は回路形成用トナー中の樹脂に応じて選定すればよい。溶解時に攪拌することで、金属粉末同士が付着するのが防止され、かつ周囲の樹脂成分を確実に除去でき、初期特性に近い粉末を得ることができる。再生された銅粉末を使って回路形成用トナーを再作製した結果、次表のように、新規銅粉にて作製した回路形成用トナーと比較して同等の性能を示した。 【0020】 【表2】
【0021】本発明にかかる被転写体としては、多層配線基板用のセラミックグリーンシートや、積層セラミックコンデンサなどの積層部品のセラミックグリーンシートに限らず、絶縁性の基板であれば適用可能である。前記実施例では、金属粉末として銅粉末を用いたが、銀、パラジウム、ニッケルなどの他の金属粉末を使用することが可能である。 【0022】 【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明によれば、電子写真装置内で使用されなかった回路形成用トナーを回収し、回収された回路形成用トナーから金属粉末を取り出すようにしたので、従来ではそのまま廃棄されていた回路形成用トナーを有効利用することができ、コスト低減を図るとともに、資源を有効活用できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006231 【氏名又は名称】株式会社村田製作所
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| 【出願日】 |
平成12年3月17日(2000.3.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085497 【弁理士】 【氏名又は名称】筒井 秀隆
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| 【公開番号】 |
特開2001−265054(P2001−265054A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月28日(2001.9.28) |
| 【出願番号】 |
特願2000−75284(P2000−75284) |
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