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【発明の名称】 静電荷像現像剤および画像形成方法
【発明者】 【氏名】相馬 稔

【氏名】尾立 嘉岳

【要約】 【課題】少量の使用で、傷の発生なくアモルファス感光体の研磨を行うことができるとともに、静電荷像現像剤の研磨材として窒化珪素微粉体を用いる際の臭気の問題、画像劣化の問題が改善された静電荷像現像剤を提供する。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】研磨材とトナー粒子とを含有する静電荷像現像剤において、研磨材が、表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体であることを特徴とする静電荷像現像剤。
【請求項2】研磨材とトナー粒子とを含有する静電荷像現像剤において、研磨材が、表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体をさらに疎水化処理剤で処理して得られた窒化珪素微粉体であることを特徴とする静電荷像現像剤。
【請求項3】請求項1または2記載の静電荷像現像剤において、トナー粒子が、磁性粉を含む磁性トナー粒子であることを特徴とする静電荷像現像剤。
【請求項4】請求項1または2記載の静電荷像現像剤において、静電荷像現像剤にキャリア粒子が含まれていることを特徴とする静電荷像現像剤。
【請求項5】請求項1または2記載の静電荷像現像剤において、表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体が、Si窒化法で製造された窒化珪素微粉体を酸化処理することにより製造されたものであることを特徴とする静電荷像現像剤。
【請求項6】請求項5記載の静電荷像現像剤において、窒化珪素微粉体の酸化処理が、窒化珪素微粉体を湿式処理することによるものであることを特徴とする静電荷像現像剤。
【請求項7】請求項5記載の静電荷像現像剤において、窒化珪素微粉体の酸化処理が、窒化珪素微粉体を酸素の存在下に加熱することによるものであることを特徴とする静電荷像現像剤。
【請求項8】請求項5記載の静電荷像現像剤において、窒化珪素微粉体の酸化処理が、窒化珪素微粉体を湿式処理した後、更に酸素の存在下に加熱することによるものであることを特徴とする静電荷像現像剤。
【請求項9】請求項1または2記載の静電荷像現像剤において、表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体が、イミド熱分解法により形成されたアモルファス窒化珪素を酸素の存在下に加熱して結晶化させることにより製造されたものであることを特徴とする静電荷像現像剤。
【請求項10】請求項1または2記載の静電荷像現像剤において、表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体が、イミド熱分解法により形成されたアモルファス窒化珪素を酸素の存在下に加熱して結晶化させた後、更に酸素の存在下に加熱することにより製造されたものであることを特徴とする静電荷像現像剤。
【請求項11】請求項9または10記載の静電荷像現像剤において、窒化珪素微粉体が更に粉砕されることにより製造されたものであることを特徴とする静電荷像現像剤。
【請求項12】アモルファスシリコン感光体上の潜像を、トナー粒子および表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体を含有する静電荷像現像剤を用いて現像し、生成するトナー像を転写部材に転写し、次いで前記感光体上の残余の現像剤をクリーニングにより除去する工程を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項13】アモルファスシリコン感光体上の潜像を、トナー粒子および表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体を疎水化処理剤によって処理することにより得られた窒化珪素微粉体を含有する静電荷像現像剤を用いて現像し、生成するトナー像を転写部材に転写し、次いで前記感光体上の残余の現像剤をクリーニングにより除去する工程を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項14】請求項12または13記載の画像形成方法において、静電荷像現像剤が、一成分磁性現像剤であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項15】請求項12または13記載の画像形成方法において、静電荷像現像剤が、キャリア粒子を含む二成分系乾式現像剤であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項16】請求項12または13記載の画像形成方法において、表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体が、Si窒化法で製造された窒化珪素微粉体を酸化処理することにより製造されたものであることを特徴とする画像形成方法。
【請求項17】請求項16記載の画像形成方法において、窒化珪素微粉体の酸化処理が、窒化珪素微粉体を湿式処理することによるものであることを特徴とする画像形成方法。
【請求項18】請求項16記載の画像形成方法において、窒化珪素微粉体の酸化処理が、窒化珪素微粉体を酸素の存在下に加熱することによるものであることを特徴とする画像形成方法。
【請求項19】請求項16記載の画像形成方法において、窒化珪素微粉体の酸化処理が、窒化珪素微粉体を湿式処理した後更に酸素の存在下に加熱することによるものであることを特徴とする画像形成方法。
【請求項20】請求項12または13記載の画像形成方法において、表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体が、イミド熱分解法により形成されたアモルファス窒化珪素を酸素の存在下で加熱して結晶化させることにより製造されたものであることを特徴とする画像形成方法。
【請求項21】請求項12または13記載の画像形成方法において、表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体が、イミド熱分解法により形成されたアモルファス窒化珪素を酸素の存在下で加熱して結晶化させた後、更に酸素の存在下に加熱されて製造されたものであることを特徴とする画像形成方法。
【請求項22】請求項20または21記載の画像形成方法において、表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体が、更に粉砕されて製造されたものであることを特徴とする画像形成方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子複写機、レーザービームプリンター等における静電潜像を現像するために用いられる静電荷像現像剤およびこの静電荷像現像剤を用いて画像を形成する方法に関する。
【0002】
【背景技術】従来、電子写真法を利用する電子写真複写機やレーザービームプリンター、静電記録法を利用する静電記録装置などを用いて、複写画像や記録画像(以下では両者を併せて、単に「複写画像」という。)を得ることが広く行われている。例えば、電子写真法を利用する電子写真複写機やレーザービームプリンターにおいて、画像形成は通常次のように行われている。すなわち、まず、アモルファスシリコン、セレン、有機半導体等の感光体ドラムからなる静電潜像担持体を、帯電器により正または負に帯電させ、次いでこの帯電された静電潜像担持体をスリット露光またはビーム露光することにより、静電潜像担持体上に静電荷像を形成する。形成された静電荷像は現像剤によって現像され、現像後のトナー画像は転写紙に転写され、転写されたトナー画像は熱ロール、圧力ロールなどにより定着されて複写画像とされる。前記静電荷像を現像する方法としては、(a)鉄粉やガラス粉などのキャリア粒子と、樹脂および着色剤を主成分とするトナー粒子とを含む二成分系乾式現像剤を用いる、磁気ブラシ法やカスケード法等の二成分乾式現像法、(b)キャリア粒子を用いずトナー粒子のみを用いて現像を行う一成分現像法、および(c)絶縁性キャリヤ液体を用いる液体現像法などがある。上記一成分現像法では、現像剤としてトナー中に磁性粉体を有する絶縁性磁性トナーを用いる一成分磁性現像法が一般的である(例えば、米国特許第4,336,318号明細書)。なお、上記二成分現像剤および一成分現像剤には、いわゆる外添剤といわれる添加剤が、必要に応じ更に添加されている。
【0003】一方、トナー転写後の静電潜像担持体上に残留するトナーは、ブレードクリーニング方式、ファーブラシクリーニング方式、磁気ブラシクリーニング方式等によりクリーニングされて、静電潜像担持体上から除去され、静電潜像担持体は再使用に供される。このとき、クリーニング部材は静電潜像担持体にクリーニングに必要とされる圧力で圧接されるため、静電潜像担持体が繰り返し使用されている間に、静電潜像担持体に傷がついたり、トナーが静電潜像担持体に固着する現象が発生する。このトナーが静電潜像担持体に固着する現象を回避するため、現像剤中に研磨材を含有させることが広く行われている。研磨材に関しは、使用する材料、特定の研磨材の組合せあるいは他の成分との併用など従来から種々の改善提案がなされている。
【0004】例えば、特開昭48−47345号公報には、トナー中に摩擦減少物質と研磨材の両者を添加することが記載されている。この方法は、静電潜像担持体へのトナー固着現象を有効に回避しうる方法ではあるが、トナー固着現象を回避しうる程度に摩擦減少物質を添加すると、繰り返しの使用によって静電潜像担持体表面に生成もしくは付着する紙粉、オゾン付加物等の低電気抵抗物質の除去が行われにくくなり、特に高温高湿の環境下においては、感光体上の潜像が低電気抵抗物によって著しく損なわれるという欠点がある。また、摩擦減少物質と研磨材のそれぞれの添加量が微妙であり、また感光体への付着物を安定して除去することができるように十分量の研磨物質を添加すると、感光体を傷つけたり、クリーニングブレードを傷つけてクリーニング不良を引き起こすという現象が起こる。また、特開昭50−120631号公報には、研磨材として、コロイド状シリカ、表面変成した親油性シリカ、珪酸アルミニウム、表面処理した珪酸アルミニウム、二酸化チタン、アルミナ、炭酸カルシウム、三酸化アンチモン、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、珪酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなどが、特開昭55−57874号公報には、同じく、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化亜鉛、酸化クロム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどが記載されている。さらに、特開昭60−136752号公報には、焼結法によって生成された窒素吸着法によるBET比表面積が0.2〜30m/gの無機微粉体を含有する現像剤を用いて画像を形成する方法が、特開昭61−112153号公報には、酸化物系セラミック微粉体と非酸化物系セラミック微粉体を含有する現像剤を用いて画像を形成する方法が開示されている。しかし、これら従来提案されている方法においては、例えば静電潜像担持体としてアモルファスシリコンのような感光体を用いる場合、十分なクリーニング効果が得られないとか、感光体へのトナーの固着現象を回避し、十分なクリーニング効果を得るためには現像剤中に多量の無機微粉体を含有させる必要があるとか、あるいは繰り返しの使用において感光体に傷がつくとかなどの問題点を有するものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、窒化珪素(Si)は、高強度、高硬度、高弾性率、低熱膨張、高耐熱性の、機械的、熱的特性の優れたセラミック材料としてすでに広く知られたものである。窒化珪素粉体を製造する方法としては、例えば〔a〕金属珪素(Si)粉末を、NあるいはNH中で1000〜1500℃に加熱して窒化し、α型窒化珪素を得る方法(Si窒化法)、〔b〕ハロゲン化珪素とアンモニアとの反応により生成したシリコンジイミドSi(NH)を、非酸化性雰囲気下で1000℃前後の温度に加熱することにより、熱分解(脱アンモニア)して一旦非晶質(アモルファス)窒化珪素を生じさせ、その後更により高温度で加熱することによりα型窒化珪素粉末を得る、あるいはシリコンジイミドを非酸化性雰囲気下に1200〜1500℃に加熱することにより熱分解並びに結晶化を生じさせて窒化珪素粉末を得る方法(イミド熱分解法)、〔c〕シリカ(SiO)粉末とカーボン(C)粉末の混合物を、NあるいはNH気流中で1300〜1550℃に加熱し、SiOの還元窒化を行う方法(シリカ還元法)、〔d〕四塩化珪素(SiCl)などのハロゲン化珪素あるいはモノシラン(SiH)とアンモニア(NH)の高温下(1000〜1600℃)での気相反応を主工程とする方法(気相合成法)、〔e〕熱プラズマの高いエネルギー密度と速い冷却速度を利用した気相合成法(プラズマ法)、〔f〕SiHとNHの混合ガスにレーザを照射し、非晶質窒化珪素を得る方法(レーザ法)などが知られている。
【0006】現在、窒化珪素としては、Si窒化法で製造されたもの、イミド熱分解法で製造されたものなどが上市されている。窒化珪素は高硬度の微粉体であるため、電子写真感光体等の研磨材として用い得る可能性があるが、窒化珪素粉体を静電荷像現像剤の研磨材として用いる場合、有機半導体等の硬度の低い感光体に対しては研磨効果が強すぎ使用できない。また、アモルファスシリコン感光体に対しても繰り返し使用時に感光体に傷が発生するとか、窒化珪素からのアンモニアの発生により、異臭がするという問題がある。そして窒化珪素からアンモニアが発生する場合には、発生したアンモニアがアモルファスシリコンと結合し、画像濃度の低下、高温高湿下での絵ぼけ(ゴースト画像)を生ずるという問題もある。このように種々の問題があるため、窒化珪素粉体は従来電子写真感光体の研磨材として具体的には使用されていないものと思われる。
【0007】本発明は、上記のような状況に鑑みなされたもので、感光体としてアモルファスシリコンを用いる電子写真複写機、レーザービームプリンターなどにおける現像剤として、上記欠点のない、すなわち、従来の研磨材に比べ少量の使用でアモルファスシリコン感光体の十分なクリーニングを行うことができるとともに、現像剤からの異臭の発生がなく、また常に良好な複写画像を形成することができ、さらに感光体を傷つけることのない、研磨材を含有する静電荷像現像剤を提供することを目的とするものである。また、本発明の他の目的は、上記静電荷像現像剤を用いてアモルファスシリコン感光体を現像することにより、感光体に傷をつけることなく感光体の良好なクリーニングを行うことができ、現像剤の異臭や複写画像の劣化のない、長期間安定して良好な複写画像を得ることができる画像形成方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討を行った結果、アモルファスシリコン感光体を現像するために用いる現像剤中に、研磨材として、表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体を含有せしめる、あるいは表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体をさらに疎水化処理剤によって処理することにより得られた窒化珪素微粉体を含有せしめることにより、上記目的を達成することができることを見いだして本発明を成したものである。
【0009】すなわち、本発明は、以下の(1)〜(16)の発明に関するものである。
(1)研磨材とトナー粒子とを含有する静電荷像現像剤において、研磨材が表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体であることを特徴とする静電荷像現像剤。
(2)研磨材とトナー粒子とを含有する静電荷像現像剤において、研磨材が表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体をさらに疎水化処理剤で処理することによって得られた窒化珪素微粉体であることを特徴とする静電荷像現像剤。
(3)上記(1)または(2)記載の静電荷像現像剤において、トナー粒子が磁性粉を含む磁性トナー粒子であることを特徴とする静電荷像現像剤。
(4)上記(1)または(2)記載の静電荷像現像剤において、静電荷像現像剤にキャリア粒子が含まれていることを特徴とする静電荷像現像剤。
(5)上記(1)または(2)記載の静電荷像現像剤において、表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体が、Si窒化法で製造された窒化珪素微粉体を酸化処理することにより製造されたものであることを特徴とする静電荷像現像剤。
(6)上記(5)記載の静電荷像現像剤において、窒化珪素微粉体の酸化処理が、窒化珪素微粉体を湿式処理することによるものであることを特徴とする静電荷像現像剤。
(7)上記(5)記載の静電荷像現像剤において、窒化珪素微粉体の酸化処理が、窒化珪素微粉体を酸素の存在下に加熱することによるものであることを特徴とする静電荷像現像剤。
(8)上記(5)記載の静電荷像現像剤において、窒化珪素微粉体の酸化処理が、窒化珪素微粉体を湿式処理した後、更に酸素の存在下に加熱することによるものであることを特徴とする静電荷像現像剤。
(9)上記(1)または(2)記載の静電荷像現像剤において、表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体が、イミド熱分解法により形成されたアモルファス窒化珪素を酸素の存在下に加熱して結晶化することにより製造されたものであることを特徴とする静電荷像現像剤。
(10)上記(1)または(2)記載の静電荷像現像剤において、表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体が、イミド熱分解法により形成されたアモルファス窒化珪素を酸素の存在下に加熱して結晶化した後、更に酸素の存在下に加熱することにより製造されたものであることを特徴とする静電荷像現像剤。
(11)上記(9)または(10)記載の静電荷像現像剤において、窒化珪素微粉体が更に粉砕されて製造されたものであることを特徴とする静電荷像現像剤。
【0010】(12)アモルファスシリコン感光体上の潜像を、トナー粒子および表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体を含有する静電荷像現像剤を用いて現像し、生成するトナー像を転写部材に転写し、次いで前記感光体上の残余の現像剤をクリーニングにより除去する工程を有することを特徴とする画像形成方法。
(13)アモルファスシリコン感光体上の潜像を、トナー粒子および表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体を疎水化処理剤によって処理することにより得られた窒化珪素微粉体を含有する静電荷像現像剤を用いて現像し、生成するトナー像を転写部材に転写し、次いで前記感光体上の残余の現像剤をクリーニングにより除去する工程を有することを特徴とする画像形成方法。
(14)上記(12)または(13)記載の画像形成方法において、静電荷像現像剤が、一成分磁性現像剤であることを特徴とする画像形成方法。
(15)上記(12)または(13)記載の画像形成方法において、静電荷像現像剤がキャリア粒子を含む二成分系乾式現像剤であることを特徴とする画像形成方法。
(16)上記(12)または(13)記載の画像形成方法において、表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体が、Si窒化法で製造された窒化珪素微粉体を酸化処理することにより製造されたものであることを特徴とする画像形成方法。
(17)上記(16)記載の画像形成方法において、窒化珪素微粉体の酸化処理が、窒化珪素微粉体を湿式処理することによるものであることを特徴とする画像形成方法。
(18)上記(16)記載の画像形成方法において、窒化珪素微粉体の酸化処理が、窒化珪素微粉体を酸素の存在下に加熱することによるものであることを特徴とする画像形成方法。
(19)上記(16)記載の画像形成方法において、窒化珪素微粉体の酸化処理が、窒化珪素微粉体を湿式処理した後、更に酸素の存在下に加熱することによるものであることを特徴とする画像形成方法。
(20)上記(12)または(13)記載の画像形成方法において、表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体が、イミド熱分解法により形成されたアモルファス窒化珪素を酸素の存在下で加熱して結晶化させることにより製造されたものであることを特徴とする画像形成方法。
(21)上記(12)または(13)記載の画像形成方法において、表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体が、イミド熱分解法により形成されたアモルファス窒化珪素を酸素の存在下で加熱して結晶化させた後、更に酸素の存在下に加熱されて製造されたものであることを特徴とする画像形成方法。
(22)上記(20)または(21)記載の画像形成方法において、表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体が、更に粉砕されることを特徴とする画像形成方法。
【0011】以下、本発明を更に詳細に説明する。
(a)研磨材本発明の静電荷像現像剤に用いられる研磨材は、表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体、あるいはこの表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体を更にシランカップリング剤のような疎水化処理剤で処理した窒化珪素微粉体である。窒化珪素微粉体の表面を疎水化処理剤で処理すると現像剤の吸湿性が改善されるため、研磨材として疎水化処理されたものを用いるのが好ましい。表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体は、窒化珪素微粉体の表面に酸化膜を有するものであれば、その製法を問わずいずれのものでもよい。また、酸化膜は、窒化珪素を放置したときに、アンモニアの発生がなければその厚さ、化学組成はいずれのものであってもよい。しかし、通常は、酸化膜は珪素の酸化物からなり、この酸化物は一般的には二酸化珪素(SiO)である。また、粉体の平均粒径は、0.2〜2.0μm、好ましくは0.4〜1.2μmであり、粒度分布は狭いものであることが望ましい。本発明においては、窒化珪素微粉体の表面に珪素の酸化物、例えばSiOなどが存在するためと考えられるが、酸化膜を有さない非処理窒化珪素に比べ、疎水化処理剤との密着性は良好である。
【0012】本発明において好ましく用いることができる、表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体としては、例えばSi窒化法で製造された窒化珪素微粉体を湿式戻しなどにより酸化処理し、粉体表面の窒化珪素を珪素酸化物としたもの、あるいはイミド熱分解法により形成されたアモルファス窒化珪素を酸素の存在下で加熱、結晶化した後、必要に応じ更に酸素の存在下に加熱することにより製造されたものを挙げることができる。これら表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体の製造は、具体的には例えば次のような方法により行われる。
【0013】(イ)Si窒化法による表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体の製造単体珪素を粉砕し、N あるいはNH 中で、1000〜1500℃に加熱窒化し、得られた窒化珪素を粉砕して窒化珪素微粉体を得る。窒化珪素製造反応は次の通りである。
3Si+2N→Si3Si+4NH→Si+6Hこうして得られた窒化珪素微粉体を湿式戻し(水に投入)するか、該粉体を流動させ水蒸気に接触させるなど窒化珪素微粉体の湿式処理を行った後乾燥することにより、表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体が得られる。このようにして製造された表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体は解砕され、例えば平均粒径が0.5〜0.7μm、BET比表面積が3〜4m/gを有する窒化珪素微粉体とされる。なお、上記酸化処理が行われる前の窒化珪素の粉砕は、酸化処理後の解砕により、所望の粒径が得られるような粒径まで粉砕されることが好ましい。また、湿式処理に代えて窒化珪素微粉体を酸素の存在下に1000℃以上の高温で加熱するなど窒化珪素微粉体を乾式で酸化処理することによっても、同様に表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体を得ることができる。しかし、この乾式酸化方法による場合には、一旦解砕されて微粉体とされた窒化珪素微粉体が酸化処理の際に再度融着するため、処理後に再度粉砕を行う必要がある。これら表面に酸化膜が形成された微粉体は、好ましくは更に酸素の存在下に1000℃以下の温度で処理することにより、酸化膜の膜厚を厚くし、また粒子表面全体を確実に酸化膜で被うようにすることができる。この時1000℃より加熱温度が高くなると粉体の融着が起こり、再度粉砕工程が必要になるため、加熱温度は前記1000℃以下が好ましい。この加熱処理時、処理雰囲気中の酸素の存在量は5〜40%であることが好ましい。処理後には、生成された微粉体の粒度を所定の範囲とするため再度解砕を行うことが好ましい。
【0014】(ロ)イミド熱分解法による表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体の製造SiClとNHを液相あるいは気相状態で常温付近で接触させ、界面反応によりシリコンジイミドSi(NH)を生成させる。この生成されたシリコンジイミドを1000℃程度の温度で加熱することによりシリコンジイミドの熱分解を行い、非晶質の(アモルファス)窒化珪素を得た後、さらに例えば1400〜1500℃に加熱して結晶化を行う。このときのシリコンジイミドおよび非晶質窒化珪素の生成反応は、次の通りである。
SiCl+6NH→Si(NH)+4NHCl3Si(NH)→Si+2NHこのような分解あるいは結晶化の工程のいずれかの工程を酸素の存在下で行うことにより、表面に酸化膜を有する窒化珪素粉体が得られるが、結晶化工程において酸素の存在下で加熱する方法がより好ましい。酸素の濃度は、いずれの場合も0.01〜5%程度が好ましく、0.01〜1%程度であることがより好ましく、さらに0.01〜0.5%程度であることが好ましい。非晶質窒化珪素粉末は粉砕後に結晶化工程にかけられる。窒化珪素を静電荷像現像剤の研磨材として用いる場合、窒化珪素微粉体の粒径は重要なファクターであるが、上記窒化珪素の結晶化工程での加熱温度が高いため、得られた酸化膜を有する窒化珪素粉末には融着現象が起こっており、このため結晶化工程後に窒化珪素粉体を酸素の存在下あるいは非存在下で更に粉砕することが必要となる。これにより、表面に酸化膜を有し、例えば平均粒径0.7〜0.9μm、BET比表面積3〜5m/gを有する窒化珪素微粉体を得ることができる。これら表面に酸化膜が形成された微粉体は、必要に応じ更に酸素の存在下に1000℃以下の温度で処理することにより酸化膜の膜厚を厚くし、また粒子表面全体を確実に酸化膜で覆うようにすることができる。この時1000℃より加熱温度が高くなると粉体の融着が起こり、再度粉砕工程が必要になるため、加熱温度は前記1000℃以下が好ましい。この加熱処理時、処理雰囲気中の酸素の存在量は5〜40%であることが好ましい。この処理の後、生成された微粉体の粒度を所定の範囲とするため再度解砕を行うことが好ましい。【0015】表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体を疎水化する疎水化処理剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジクロロジメチルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、オルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテロラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、1分子当たり2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサンあるいはジメチルシリコーンオイル、トリメトキシオクチルシラン、トリメトキシプロピルシラン等がある。これらの中では、ヘキサメチルジシラザン、ジクロロジメチルシラン、ジメチルシリコーンオイル等が好ましいものである。
【0016】表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体を疎水化処理剤で処理する方法としては従来公知の処理方法のいずれもが使用できる。疎水化処理法を具体的に例示すると、微粉体と疎水化処理剤とを混合機を用い混合する方法、微粉体中に疎水化処理剤を噴霧器を用い噴霧する方法、あるいは溶剤中に疎水化処理剤を溶解させた後、微粉体を混合する方法等が挙げられる。しかし、本発明において用いられる疎水化処理法がこれら具体的に例示されたものに限定されるものでないことは勿論である。
【0017】(b)トナー粒子本発明の静電荷像現像剤は、磁性トナーを用いる一成分磁性現像剤であっても、キャリア粒子を含有する二成分系乾式現像剤のいずれであってもよい。したがって、本発明の静電荷像現像剤に用いられるトナー粒子は、磁性粉を含む磁性トナーあるいは磁性粉を含まないトナーのいずれであってもよい。また、トナー粒子は、正帯電性、負帯電性のいずれのものであってもよい。
【0018】トナーの結着樹脂としては、従来磁性トナーあるいは磁性粉を含まないトナーの結着樹脂として使用されているもののいずれをも用いることができる。結着樹脂としては、具体的には、スチレン系重合体、例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンおよびその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル系共重合体、スチレン−α−クロルメタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−ジメチルアミノエチルアクリレート共重合体、スチレン−ジエチルアミノエチルアクリレート共重合体、スチレン−ブチルアクリレート−ジエチルアミノエチルメタクリレート共重合体等のスチレン系共重合体、架橋されたスチレン系重合体など;ポリエステル樹脂、例えば、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジアルコール、ジフェノール類から選択される単量体を構造単位として有するポリエステル樹脂、架橋したポリエステル樹脂など;その他ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、ロジン変成マレイン樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、キシレン樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、石油樹脂などを挙げることができる。
【0019】上記スチレン−アクリル系共重合体に使用されるアクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸やメタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられ、更にはこれらと共に用いることができる単量体として、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、マレイン酸、マレイン酸ブチルなどのマレイン酸ハーフエステル、あるいはジエステル類、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテルなどのビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなどのビニルケトン類を挙げることができる。
【0020】また、上記の架橋したスチレン系重合体を製造するために用いる架橋剤としては、主として不飽和結合を2個以上有する化合物を挙げることができ、具体的には、例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート等の不飽和結合を2個以上有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;および不飽和結合を3個以上有する化合物を、単独で或いは混合してして使用することができる。上記架橋剤は、結着剤樹脂に対して、0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%で用いられる。
【0021】これらの樹脂は、単独であるいは2種以上を併用して用いることができる。これら樹脂のうち、スチレン系重合体、ポリエステル樹脂は、とくに優れた帯電特性を示すため好ましいものである。また、GPC(ゲルパーミエイション・クロマトグラフィー)により測定される分子量分布で3×10〜5×10の領域に少なくとも一つのピークを有し、かつ10以上の領域にも少なくとも一つのピークあるいはショルダーを有するスチレン系共重合体、更には2種以上の樹脂、例えば前記スチレン樹脂とスチレン−アクリル系共重合体との併用あるいは2種以上のスチレン−アクリル系共重合体の併用などによりこのような分子量分布を有するようにされた樹脂組成物が、トナーの粉砕性、定着性などの点から好ましいものである。
【0022】更に、加圧定着方式を用いる場合には、圧力定着トナー用結着剤樹脂を使用することができる。このような樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチレン、ポリウレタンエラストマー、エチレン−エチルアクリレート共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、線状飽和ポリエステル、パラフィンおよび他のワックス類を挙げることができる。
【0023】また、本発明に係るトナー粒子の着色材料としては、従来トナー粒子の着色剤として用いられていた染料、顔料のいずれのものをも用いることができる。このような公知の染料、顔料としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブルー(C.I.No.50405)、カルコニルブルー(C.I.No.AzessBlue3)、クロムイエロー(C.I.No.14090)、ウルトラマリンブルー(C.I.No.77103)、メチレンブルークロライド(C.I.No.52015)、フタロシアニンブルー(C.I.No.74160)、デュポンオイルレッド(C.I.No.26105)、キノリンイエロー(C.I.No.47005)、マラカイトグリーンオキザレート(C.I.No.42000)、ランプブラック(C.I.No.77266)、ローズベンガル(C.I.No.45435)等の染料または顔料およびそれらの混合物が挙げられる。これら着色剤は、通常結着樹脂100重量部に対し、0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜20重量部の添加量がよい。なお、磁性トナーにおいて磁性粉が着色剤と機能する場合には、着色剤は必要であれば用いればよい。着色剤としては、例えばカーボンブラック、銅フタロシアニン、鉄黒などが用いられる【0024】本発明の現像剤中のトナー粒子が磁性トナーである場合には、トナー中には更に磁性粉が含有される。磁性粉としては、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンなどの強磁性金属や強磁性金属の合金の粉末、γ−酸化鉄、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトなど鉄、コバルト、ニッケル、マンガンなどを含む化合物が使用できる。これらの磁性微粒子は窒素吸着法によるBET比表面積が好ましくは2〜20m/g、特に2.5〜12m/g、さらにモース硬度が5〜7の磁性粉が好ましい。また、その粒度は100〜800mμ、好ましくは300〜500mμであり、この磁性粉の含有量は、トナー量に対して10〜70重量%、好ましくは15〜50重量%含有させるのが良い。
【0025】また、本発明のトナーには必要に応じて従来より公知の荷電制御剤が含有されてもよい。荷電制御剤は、現像されるべき静電潜像担持体上の静電荷像の極性に応じて、正荷電制御剤または負荷電制御剤が用いられる。正荷電制御剤としては、ニグロシン染料および脂肪酸金属誘導体、トリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩(例えば、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルベンジルアンモニウムテトラフルオロボレート)、ジオルガノスズオキサイド(例えば、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド)、ジオルガノスズボレート(ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート)等を単独であるいは2種以上組合わせて用いることができる。これらの中でも、ニグロシン系、4級アンモニウム塩が好ましい。一方、負荷電制御剤としては、カルボキシル基を有する化合物、例えばサリチル酸あるいはサリチル酸誘導体の金属塩や金属キレート(錯体)、金属錯塩染料、脂肪酸石鹸、ナフテン酸金属塩等が挙げられる。これら荷電制御剤は、通常結着樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜8重量部の割合で使用される。
【0026】本発明のトナー粒子には、実質的な悪影響を与えない限りにおいて、従来トナー粒子を製造する際に用いられている他の添加剤を加えることができる。これらの添加剤としては、例えば熱ロール定着時の離型性(オフセット防止性)を向上させる、脂肪族炭化水素、脂肪酸金属塩類、高級脂肪酸類、脂肪酸エステル類もしくはその部分ケン化物、シリコーンオイル、各種ワックス等が挙げられる。これらの中では、重量平均分子量が1000〜10000程度の低分子量ポリエチレンや低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、パラフィンワックス等のワックス類が好ましい。その他の添加剤としては、流動化材、滑材剤、導電性付与材剤、研磨剤等が挙げられる。
【0027】本発明の現像剤で用いられるトナー粒子は、前記のトナー構成成分を、乾式ブレンダー、ヘンシェルミキサー、ボールミル等により予備混合し、しかる後、この混合物を熱ロール、ニーダー、一軸または二軸のエクストルーダー等の熱混練機によって溶融混練し、得られた混練物を冷却後粉砕し、必要に応じ所望の粒径に分級する方法により製造するのが好ましい。しかし、本発明において用いられるトナーの製造方法は、この混練粉砕法に限られるものではなく、例えば結着樹脂溶液中にトナー構成材料を分散した後、噴霧乾燥する方法、あるいは、結着樹脂を構成すべき単量体に所定材料を混合して乳化懸濁液とした後に重合させてトナーを得る方法等の従来公知の方法のいずれの方法によってもよいことは勿論である。本発明で用いられるトナーとしては、平均粒径が3〜35μmであることが好ましく、5〜25μmが更に好ましい。小粒径トナーの場合には、4〜10μm程度の粒径で用いられる。本発明の現像剤が絶縁性磁性トナーである場合には、1010Ω・cm以上、好ましくは1013Ω・cm以上の電気抵抗を有することが好ましい。
【0028】(c)キャリア粒子本発明の静電荷像現像剤が二成分系乾式現像剤である場合には、本発明の静電荷像現像剤にはキャリア粒子が含まれる。本発明の二成分系現像剤において用いられるキャリア粒子は、従来二成分系乾式現像剤において用いられるキャリア粒子のいずれであってもよく、例えば、鉄粉等の強磁性金属あるいは強磁性金属の合金粉、ニッケル、銅、亜鉛、マグネシウム、バリウム等の元素から構成されるフェライト粉、マグネタイト粉などが好ましいものとして挙げられる。これらキャリア粒子は、スチレン・メタクリレート共重合体、スチレン重合体、シリコーン樹脂等の樹脂で被覆されたものでもよい。キャリア粒子を樹脂により被覆する方法としては、被覆用樹脂を溶剤に溶解し、これを浸漬法、スプレー法、流動床法等によりコア粒子上に塗布し、乾燥させたのち必要に応じ加熱して塗膜を硬化する方法等公知の任意の方法によることができる。また、キャリア粒子の平均粒径は、通常15〜500μm、好ましくは20〜300μmのものを用いることができる。
【0029】(d)静電荷像現像剤の製造本発明の静電荷像現像剤は、トナー粒子と表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体とを混合することにより製造される。二成分系乾式現像剤である場合には、必要に応じ、キャリア粒子がさらに混合される。このとき、表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体の添加量は、一成分磁性現像剤の場合磁性トナー100重量部に対し少なくとも0.7重量部、好ましくは1.0〜3.0重量部、二成分系乾式現像剤の場合には、トナー100重量部に対し、少なくとも0.5重量部、好ましくは0.7〜2.5重量部である。
【0030】静電荷像現像剤を製造する際、滑材、流動化材、表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体以外の他の研磨材など従来静電荷像現像剤を製造する際にトナー粒子と共に用いられている添加材も本発明の静電荷像現像剤に添加、混合することができる。滑材としては、例えばポリテトラフルオロエチレン、ステアリン酸亜鉛などが、流動化材としては、例えばポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、シリコーン、疎水化処理されたあるいは疎水化処理されていないシリカ、アルミナ、チタニア、マグネシア、非晶質珪素−アルミニウム共酸化物、非晶質珪素−チタニウム共酸化物などの微粉末が、他の研磨材としては、例えばチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、炭化珪素などの微粉体が挙げられる。導電性付与剤として酸化スズの如き金属酸化物等を加えることもできる。しかし、これらの例は単なる例示にすぎないものであり、本発明の静電荷像現像剤に添加混合されるものが上記具体的に例示されたものに限定されるものではない。
【0031】(e)画像の形成本発明の静電荷像現像剤は、感光体としてアモルファスシリコンを用いる電子写真複写機、レーザービームプリンタなどの現像剤として好ましく用いることができる。感光体であるアモルファスシリコンは、従来感光体の材料として用いられることが知られているいずれのアモルファスシリコンであってもよい。勿論シリコン以外の他の金属、非金属を含有するものでもよい。また、現像方法、転写方法、定着方法、クリーニング方式も従来知られたいずれのものでもよい。
【0032】
【実施例】以下、製造例、実施例および比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の態様がこれらの例に限定されるものではない。なお、以下においては、部数は全て重量部を表す。
【0033】製造例1(Si窒化法による表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体1)
単体珪素を粉砕し、分級、酸処理して得た珪素微粉末を、1200〜1500℃でNあるいはNH中で反応させ、得られた窒化珪素を粉砕後、精製を行って窒化珪素微粉体(元粉)を得た。この窒化珪素微粉体を湿式戻しして乾燥させることにより、表面に酸化膜を有し、平均粒径0.6μm、BET比表面積3.5m/g、表面酸素量0.3wt%のα型窒化珪素微粉体を得た。なお、表面酸素量は、XDS法(ESCA)により測定された(以下、表面酸素量は同じ方法により測定された。)。
【0034】製造例2(Si窒化法による表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体2)
製造例1で得られた表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体を、少量の酸素(5%)を含有する窒素ガス気流中、950℃で加熱した。得られた表面に酸化膜を有する窒化珪素粉体を、日本ニューマチック製ジェットミルPJM−200SPを用い、ノズルおよびケーシングライナを友材の窒化珪素にし、フィード量4Kg/h、圧力6.0Kg/cmで粉砕した。これにより、表面に酸化膜を有し、平均粒径0.45μm、BET比表面積4.1m/g、表面酸素量0.6wt%のα型窒化珪素微粉体が得られた。
【0035】Si窒化法により製造された窒化珪素微粉体(元粉)、これを湿式戻しして得られた製造例1の窒化珪素微粉体および製造例1で得られた窒化珪素微粉体を更に酸化して得られた製造例2の窒化珪素微粉体を、温度40℃、湿度95%RH以上で1日放置、あるいは温度80℃、湿度95%RH以上で5日放置後、各粉体の全酸素量、酸素増加量、アンモニア発生量を測定した。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】表1の結果より、表面に酸化膜が形成された製造例1および製造例2の窒化珪素微粉末は、大気中に放置した場合アンモニアの発生がないことが分かる。なお、表1中の元粉の酸素増加量が「−」とされているが、これは元粉の酸素増加量が多すぎるため表記を行わなかったものである。
【0038】製造例3(イミド熱分解法による表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体)
有機溶媒中にSiClを分散させ、常温付近でこれにNHを吹き込み反応させ、反応生成物を濾別洗浄してシリコンジイミドを単離した。得られたシリコンジイミドを1000℃で仮焼し、非晶質の窒化珪素粉末を得た。この非晶質窒化珪素粉末を少量の酸素(0.04%)を含有する窒素ガス気流中、1400〜1500℃に加熱して結晶化を行うことによりα型窒化珪素粉末(A)を得た。生成された窒化珪素粉末(A)を、製造例2と同様、日本ニューマチック製ジェットミルPJM−200SPを用い、ノズルおよびケーシングライナを友材の窒化珪素にし、製造例2同様、フィード量4Kg/h、圧力6.0Kg/cmで粉砕し、平均粒径0.8μm、BET比表面積3.4m/g、表面酸素量0.4wt%のα型窒化珪素微粉体を得た。粉砕前後における窒化珪素微粉体の粒度分布を測定した結果を、表2に示す。粒度分布の測定条件は、マイクロトラップFRA、分散媒はイソロピルアルコール、超音波分散時間3分である。
【0039】
【表2】

【0040】製造例4製造例3の途中で得られた表面に酸化膜を有する窒化珪素粉体(A)を、ボールミルによって解砕した後に、空気中において850℃で加熱した。加熱後、得られた表面に酸化膜を有する窒化珪素粉体(B)を、製造例2同様、日本ニューマチック製ジェットミルPJM−200SPを用い、ノズルおよびケーシングライナを友材の窒化珪素にし、製造例2同様、フィード量4Kg/h、圧力6.0Kg/cmで粉砕し、平均粒径0.8μm、BET比表面積3.4m/g、表面酸素量0.8wt%のα型窒化珪素微粉体を得た。この酸化処理より、平均粒径およびBET比表面積を変えることなく、表面酸素量のみを増加することができる。
【0041】製造例5製造例3で得られた表面に酸化膜を有する窒化珪素微粉体を、HMDS処理して、疎水化処理された酸化膜を有する窒化珪素微粉体を得た。この微粉体は、平均粒径が0.8μmであり、BET比表面積は3.0mm/gであった。
【0042】
実施例1 (成 分) (配合量)
スチレン−アクリル酸メチル共重合体 100部 マグネタイト 70部 サリチル酸クロム錯体 1部 低分子量ポリプロピレン 3部上記材料を均一混合した後、混練、粉砕、分級して、平均粒径約9μmの負帯電性トナー粒子を得た。次いで、このトナー粒子100部に対し、製造例1で得られた窒化珪素微粉体0.7部、およびヒュームドシリカ(ジクロロジメチルシラン処理)0.25部を添加、混合して負帯電性磁性現像剤を得た。この現像剤を用い、市販の複写機NP−6060(キヤノン社製)により、常温常湿(23℃、50%RH)、高温高湿(30℃、85%RH)、低温低湿(10℃、20%RH)の環境下で各10万枚の実写試験を行った。試験の結果、いずれの環境下においてもドラム上にトナーの融着現象は見られず、またドラム上の傷も認められなかった。さらに、複写画像は、複写開始当初から最終複写まで良好であり、研磨効果が十分でない場合に起こる複写紙上の黒点(ブラックスポット)の発生は認められなかった。
【0043】比較例1製造例1で得られた窒化珪素微粉体に代えてチタン酸ストロンチウム微粉体(平均粒子径:0.6μm、BET比表面積5.6m/g)2部を用いることを除き、実施例1と同様にして磁性現像剤を得た。この磁性現像剤を用いて実施例1と同様に現像を行ったところ、常温常湿(23℃、50%RH)、高温高湿(30℃、85%RH)下ではいずれも1万枚を過ぎたあたりから、複写紙上にブラックスポットの発生が認められた。
【0044】
実施例2 (成 分) (配合量)
ポリスチレン(Mw:4000) 70部 スチレン−アクリル酸ブチル共重合体(Mw:75000) 30部 マグネタイト 70部 モノアゾ染料 2部 低分子量ポリプロピレン 3部上記材料を均一混合した後、混練、粉砕、分級して、平均粒径約9μmの負帯電性トナー粒子を得た。次に、このトナー粒子100部に対し、製造例3で得られた窒化珪素微粉体1.5部、およびヒュームドシリカ(HMDS処理)0.25部を添加、混合して負帯電性磁性現像剤を得た。この現像剤を用い、複写機として市販の複写機NP−6550(キヤノン社製)を用い、実施例1と同様にして試験を行ったところ、実施例1と同様、いずれの環境下でも良好な結果が得られた。
【0045】比較例2製造例3により得られた窒化珪素微粉体1.5部に代えて、チタン酸ストロンチウム(平均粒子径:0.6μm、BET比表面積5.6m/g)2.4部を用いることを除き実施例2と同様にして磁性現像剤を得た。この磁性現像剤を用い実施例2と同様に現像を行ったところ、常温常湿(23℃、50%RH)、高温高湿(30℃、85%RH)下ではいずれも1万枚過ぎたあたりから、複写紙上にブラックスポットの発生が認められた。
【0046】
実施例3 (成 分) (配合量)
ポリエステル(ノンビスフェノール非線状ポリエステル) 100部 マグネタイト 67部 サリチル酸クロム塩 1部 低分子量ポリプロピレン 2部上記材料を均一混合した後、混練、粉砕、分級して、平均粒径約11.5μmの負帯電性磁性トナー粒子を得た。次に、このトナー粒子100部に対し、製造例4で得られた窒化珪素微粉体0.7部、およびヒュームドシリカ(ジクロロジメチルシラン処理)0.3部を添加、混合して負帯電性磁性現像剤を得た。この現像剤を用い、複写機として市販の複写機NP−8530S(キヤノン社製)を用いて実施例1と同様にして試験を行ったところ、実施例1と同様の良好な結果が得られた。
【0047】
実施例4 (成 分) (配合量)
スチレン−アクリル酸メチル共重合体 100部 マグネタイト 70部 ニグロシン染料 2部 低分子量ポリプロピレン 3部上記材料を均一混合した後、混練、粉砕、分級して、平均粒径約8μmの正帯電性トナー粒子を得た。次いで、このトナー粒子100部に対し、製造例5で得られた窒化珪素微粉体0.7部、およびヒュームドシリカ(ジクロロジメチルシラン処理)0.3部を添加、混合して正帯電性磁性現像剤を得た。この現像剤を用い、複写機として市販の複写機GP−60(キヤノン社製)を用いて実施例1と同様にして試験を行ったところ、実施例1と同様、いずれの環境下でも良好な結果が得られた。
【0048】
実施例5 (成 分) (配合量)
ポリスチレン(Mw:4000) 70部 スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体(Mw:75000)30部 カーボンブラック 10部 ニグロシン染料 2部 低分子量ポリプロピレン 3部上記成分を均一混合した後、混練、粉砕、分級して、平均粒径約10μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に対し、製造例3で得られた窒化珪素微粉体1.5部、およびヒュームドシリカ(ヘキスト社製HVK−2150)0.3部を添加、混合してトナーとし、キャリア粒子としてシリコーンレジンコートされた平均粒径50μmのフェライト粉末を用いて現像剤を構成し、富士通アイソッテク社製レーザービームプリンターSLB6000の感光ドラムをα−Siとした試験機を用い、常温常湿(23℃、50%RH)、高温高湿(30℃、85%RH)、低温低湿(10℃、20%RH)の環境下で各々10万枚の実写試験を行った。試験の結果、実施例1と同様いずれの環境下でも良好な結果が得られた。なお、現像剤中のトナー濃度は5重量%とした。
【0049】比較例3製造例3で得られた窒化珪素微粉体に代えて、チタン酸ストロンチウム微粉体(平均粒子径:0.6μm、BET比表面積5.6m/g)を用いることを除き、実施例5と同様にして現像剤を構成し、実施例5と同様の実写試験を行ったところ、常温常湿(23℃、50%RH)、高温高湿(30℃、85%RH)下ではいずれも1万枚過ぎたあたりから、複写紙上にブラックスポットの発生が認められた。
【0050】
実施例6 (成 分) (配合量)
スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体 85部 カーボンブラック 10部 四級アンモニウム塩 2部 低分子量ポリプロピレン 3部上記成分を予備混合した後、二軸混練機により溶融混練し、ジェットミルで粉砕し、分級して、平均粒径約10μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に対し、製造例4で得られた窒化珪素微粉体1.5部、およびヒュームドシリカ(ヘキスト社製HVK−2150)0.3部を添加、混合してトナーとし、キャリア粒子としてシリコーンレジンコートされた平均粒径50μmのフェライト粉末を用いて現像剤を構成し、実施例5と同様の実写試験を行ったところ、いずれの環境下でも良好な結果が得られた。なお、現像剤中のトナー濃度は5重量%とした。
【0051】
実施例7 (成 分) (配合量)
スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体 93部 フタロシアニンブルー 5部 3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸第二クロム塩 2部上記成分を予備混合した後、二軸混練機により溶融混練し、ジェットミルで粉砕した後、分級機に導き9μmに平均粒度を有する部分をトナー用微粉末として取り出して、青色を有するトナー粒子とした。このトナー粒子100部に対し、製造例4で得られた窒化珪素微粉体1.0部、および表面処理した酸化チタン0.2部を添加、混合してトナーとし、キャリア粒子として平均粒径50μmのフェライト粉末を用いて現像剤を構成して、実施例5と同様にして、常温常湿(23℃、50%RH)、高温高湿(30℃、85%RH)下で、各10万枚の実写試験を行ったところ、いずれの環境下でも良好な結果が得られた。なお、現像剤中のトナー濃度は5重量%とした。
【0052】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の静電荷像現像剤を用いて現像することにより、従来公知の研磨材に比べ少量の添加でアモルファスシリコン感光体に対する十分な研磨効果を得ることができる。また表1に示されるように、酸化膜を有さない従来公知の窒化珪素微粉体における臭気の問題もなく、さらに酸化膜を有さない窒化珪素微粉体を研磨材として用いた場合において起こる、アモルファスシリコン感光体とアンモニアとの結合に起因する現像時の複写画像の劣化の問題もない静電荷像現像剤が得られた。さらに、本発明の静電荷像現像剤を用いて現像する場合には、アモルファスシリコン感光体に傷が発生することもない。また導電性物質の感光体への付着もないので、導電性物質の付着に起因する複写画像の劣化も起きず、長期間安定して良好な複写画像を形成することができる。
【出願人】 【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキ製造株式会社
【出願日】 平成12年3月23日(2000.3.23)
【代理人】 【識別番号】100108350
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘尾 宏紀 (外1名)
【公開番号】 特開2001−265052(P2001−265052A)
【公開日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願番号】 特願2000−81906(P2000−81906)