| 【発明の名称】 |
電荷輸送膜およびそれを用いた有機電子デバイス |
| 【発明者】 |
【氏名】山崎 一夫
【氏名】額田 克己
【氏名】真下 清和
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| 【要約】 |
【課題】電荷移動度が優れた電荷輸送膜を提供する。
【解決手段】電荷輸送性ポリマーと低分子電荷輸送性化合物とを含有する電荷輸送膜であって、前記電荷輸送性ポリマーの電荷輸送部位(α)の分子量と前記低分子電荷輸送性化合物の電荷輸送部位(β)の分子量とが、下記関係式を満たすことを特徴とする電荷輸送膜である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電荷輸送性ポリマーと低分子電荷輸送性化合物とを含有する電荷輸送膜であって、前記電荷輸送性ポリマーの電荷輸送部位(α)の分子量と前記低分子電荷輸送性化合物の電荷輸送部位(β)の分子量とが、下記関係式を満たすことを特徴とする電荷輸送膜。 {(α)の分子量} > {(β)の分子量} 【請求項2】 電荷輸送性ポリマーが下記一般式(A)で表される繰り返し単位を、1種以上部分構造として有する請求項1に記載の電荷輸送膜。 【化1】
(一般式(A)中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、置換アミノ基、または置換もしくは無置換のアリール基を表し、Xは置換もしくは無置換の2価の基を表し、Tは炭素原子数1〜10の枝分かれしていてもよい2価の炭化水素基を表し、kおよびmは各々独立して0または1を示す。) 【請求項3】 低分子電荷輸送性化合物がトリアリールアミン構造を有する請求項1または2に記載の電荷輸送膜。 【請求項4】 酸化防止剤を含有する請求項1から3までのいずれか1項に記載の電荷輸送膜。 【請求項5】 酸化防止剤がヒンダードフェノール構造を有する請求項4に記載の電荷輸送膜。 【請求項6】 請求項1から5までのいずれか1項に記載の電荷輸送膜を有することを特徴とする有機電子デバイス。 【請求項7】 電子写真感光体であることを特徴とする請求項6に記載の有機電子デバイス。 【請求項8】 有機EL素子であることを特徴とする請求項6に記載の有機電子デバイス。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、新規な電荷輸送膜、およびこれを利用した電子写真感光体および有機EL素子等の有機電子デバイスに関する。 【0002】 【従来の技術】非晶質セレン感光体を用いた電子写真複写機が実用化されて以来、数多くの無機及び有機感光体材料の開発が行われている。中でも、有機材料を用いた電子写真感光体は、安価で、大量生産に適し、無公害性を有する等のメリットがあり、諸特性の向上により現在では、有機材料を用いた感光体が主流となっている。ところで、有機材料を用いた感光体は、一般に導電性支持体上に、電荷発生層及び電荷輸送層が順次積層された構造である。ここで、電荷発生層とは光を吸収することにより電荷を発生する機能を有する層であり、一方、電荷輸送層は電荷発生層で生じた電荷が感光体表面へ移動するのを可能にする機能を有する層である。電荷発生層における電荷発生効率および電荷輸送層における電荷輸送性能を向上させることにより有機電子写真感光体の応答性は向上する。近年、複写機やプリンターには、高速化への要求があり、それに伴い、有機電子写真感光体にも応答性の向上が要求されている。 【0003】また、電荷輸送材料は有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)にも利用されている。一般に、有機EL素子は、陽極、有機正孔輸送層、有機発光層及び陰極の順に積層されて構成されている。有機正孔輸送層には正孔移動度の大きな材料が、有機発光層には発光波長が可視域で選択でき、かつ、発光効率が大きい材料が望まれている。特に高輝度で、且つ長寿命を満足させるためにも、耐久性に優れ、且つ電荷移動度の高い材料が望まれている。さらに、有機材料からなる電荷輸送材料は、有機材料のメリットである、低コスト、大量生産性、無公害性を活かして、有機太陽電池や有機導伝体等の電子デバイスに応用が進められているが、これらの応用技術の実用化を可能とするためにも、高い電荷移動度を有する材料が不可欠である。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、電荷移動度に優れた電荷輸送膜を提供することを目的とする。また、本発明は、高性能な有機電子写真感光体や有機EL素子等の有機電子デバイスを提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するための手段は以下の通りである。 <1> 電荷輸送性ポリマーと低分子電荷輸送性化合物とを含有する電荷輸送膜において、電荷輸送性ポリマーの電荷輸送部位(α)の分子量と低分子電荷輸送性化合物の電荷輸送部位(β)の分子量とが、下記関係式を満たすことを特徴とする電荷輸送膜。 {(α)の分子量} > {(β)の分子量} <2> 電荷輸送性ポリマーが下記一般式(A)で表される繰り返し単位を、1種以上部分構造として有する<1>に記載の電荷輸送膜。 【0006】 【化2】
【0007】一般式(A)中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、置換アミノ基、または置換もしくは無置換のアリール基を表し、Xは置換もしくは無置換の2価の基を表し、Tは炭素原子数1〜10の枝分かれしていてもよい2価の炭化水素基を表し、kおよびmは各々独立して0または1を示す。 【0008】<3> 低分子電荷輸送性化合物がトリアリールアミン構造を有する<1>または<2>に記載の電荷輸送膜。 <4> 酸化防止剤を含有する<1>から<3>までのいずれかに記載の電荷輸送膜。 <5> 酸化防止剤がヒンダードフェノール構造を有する<4>に記載の電荷輸送膜。 【0009】<6> <1>から<5>までのいずれかに記載の電荷輸送膜を有することを特徴とする有機電子デバイス。 <7> 電子写真感光体であることを特徴とする<6>に記載の有機電子デバイス。 <8> 有機EL素子であることを特徴とする<6>に記載の有機電子デバイス。 【0010】本発明者は、電荷輸送性ポリマーと低分子電荷輸送性化合物とを含有する電荷輸送膜の電荷輸送特性について鋭意検討した結果、双方の電荷輸送部位の分子量の関係が電荷輸送特性に影響していることを見出し、この知見に基づいて、本発明を完成するに至った。αおよびβの分子量が前記関係式を満たす場合に、電荷輸送特性が向上する理由の詳細については明らかでないが、低分子電荷輸送性化合物の電荷輸送部位(β)の分子量が電荷輸送性ポリマーの電荷輸送部位(α)の分子量より小さいので、低分子電荷輸送性化合物の電荷輸送部位が電荷輸送性ポリマー間の隙間を埋め、電荷移動を担うホッピングサイト間の平均距離を短くすることができるためであると考えられる。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明の電荷輸送膜は、電荷輸送性ポリマーと低分子電荷輸送性化合物とを含有し、電荷輸送性ポリマーの電荷輸送部位(α)の分子量と低分子電荷輸送性化合物の電荷輸送部位(β)の分子量とが、下記関係式を満たすことを特徴とする。 {(α)の分子量} > {(β)の分子量} 電荷輸送性ポリマーと低分子電荷輸送性化合物とを含有する電荷輸送膜において、(α)の分子量と(β)の分子量とが前記関係式を満たす場合、電荷輸送特性が大きく向上する。{(α)の分子量}×0.8 > {(β)の分子量}の関係を満たすと電荷輸送特性がより向上し、{(α)の分子量}×0.7 >{(β)の分子量}の関係を満たすと電荷輸送特性がさらに向上するので好ましい。 【0012】ここで、電荷輸送部位(α)及び(β)とは、電荷輸送性ポリマーおよび低分子電荷輸送性化合物において電荷輸送を担う基本骨格をいう。例えば、電荷輸送性ポリマーおよび低分子電荷輸送性化合物が第3級アミン構造を有する場合、下記に示すトリフェニルアミン構造やベンジジン構造等の基本骨格が、電荷輸送部位として各々定義される。トリフェニルアミン構造やベンジジン構造中のフェニル基が置換基(但し、フェニル基および芳香族縮合環基の群から選ばれる置換基を除く)を有する場合であっても、無置換の基本骨格が電荷輸送部位となる。例えば、下記の基本骨格が、電荷輸送部位(α)及び(β)として挙げられる。 【0013】 【化3】
【0014】本発明に用いられる電荷輸送性ポリマーとしては、カルバゾール環を有する重合体(例えば、特開平4−183719号公報に記載の化合物)、ヒドラゾン構造を有する重合体(例えば、特開平3−50555号公報に記載の化合物)、第3級アミン構造を有する重合体(例えば、特許番号第2865020号明細書に記載の化合物)が挙げられる。その他、本発明に用いられる電荷輸送性ポリマーとしては、上記重合体だけでなく、公知単量体の共重合体やブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマー等を用いることが可能である。 【0015】前記重合体の中でも、下記一般式(A)で表される繰り返し単位を、少なくとも1種以上部分構造として有する電荷輸送性ポリマーが、電荷輸送性および化学的安定性等に優れているので好ましい。 【0016】 【化4】
【0017】前記一般式(A)中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、置換アミノ基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。前記一般式(A)中、Xは置換もしくは無置換の2価の基を表す。Xが、後述する構造式(III)または(IV)で表されるビフェニル構造を有すると、「The Sixth International Congress on Advances in Non−impact Printing Technologies, 306,(1990)」にも報告されているように、モビリティーが高く、特に好ましい。 【0018】前記一般式(A)中、Tは炭素原子数1〜10の枝分かれしていてもよい2価の炭化水素基を表す。Tの具体例としては下記構造の炭化水素基が挙げられるが、下記の具体例に限定されるものではない。 【0019】 【化5】
【0020】 【化6】
【0021】前記一般式(A)中、kおよびmは各々独立して0または1を示す。 【0022】前記一般式(A)で表される化合物の中でも、下記一般式(I−1)又は(I−2)で表される電荷輸送性ポリマーが、電荷輸送性および化学的安定性等が特に優れているので好ましい。 【0023】 【化7】
【0024】前記一般式(I−1)および(I−2)中、Yは2価の炭化水素基を表し、Zは2価の炭化水素基を表す。A’は下記式で表される。 【0025】 【化8】
【0026】A’において、R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、またはハロゲン原子を表し、Xは置換もしくは無置換の2価の芳香族基を表し、nは1〜5の整数を表し、kは0または1を表す。 【0027】前記一般式(I−2)中、B及びB′はそれぞれ独立に、基−O−(Y−O)m−H、または基−O−(Y−O)m−CO−Z−CO−OR’を表し、R’は水素原子、アルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアラルキル基を表し、Yは2価の炭化水素基を表し、Zは2価の炭化水素基を表し、qは1〜5のいずれかの整数を表す。 【0028】前記一般式(I−1)および(I−2)中、mは1〜5のいずれかの整数を表し、pは5〜5,000のいずれかの整数を表す。 【0029】以下に、前記一般式(I−1)または(I−2)におけるX、YおよびZの好ましい範囲を説明する。尚、前記一般式(I−1)または(I−2)で表される電荷輸送性ポリマーとしては、X、YおよびZのいずれかが下記好ましい範囲であるのが好ましく、X、YおよびZのうち2以上が下記好ましい範囲であるのがより好ましく、X、YおよびZの全てが下記好ましい範囲であるのが最も好ましい。前記一般式(I−1)または(I−2)中、Xとしては、下記の基(1)〜(7)から選ばれる芳香族基が好ましい。 【0030】 【化9】
【0031】前記芳香族基(1)〜(7)中、R8は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基を表し、R9〜R15はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基またはハロゲン原子を表し、aは0または1を示し、Vは下記の基(8)〜(17)から選択された2価の基を表す。 【0032】 【化10】
【0033】基(8)および(17)中、bは1〜10の整数を示し、cは1〜3の整数を示す。 【0034】前記一般式(I−1)および(I−2)で表される電荷輸送性ポリマーの中でも、Xが下記構造式(III)または(IV)で表されるビフェニル構造を有するポリマーは、「The Sixth International Congress on Advances in Non−impact Printing Technologies, 306,(1990)」にも報告されているように、モビリティーが高く、特に好ましい。 【0035】 【化11】
【0036】前記一般式(I−1)または(I−2)中、YおよびZがそれぞれ表す炭化水素基としては、下記の基(18)〜(24)から選択された炭化水素基が好ましい。 【0037】 【化12】
【0038】前記炭化水素基(18)〜(24)中、R16およびR17はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、またはハロゲン原子を表す。前記炭化水素基(18)〜(24)中、dおよびeはそれぞれ1〜10の整数を示し、fおよびgはそれぞれ0、1または2の整数を示し、hおよびiはそれぞれ0または1を示す。前記炭化水素基(18)〜(24)中、Vは前記基(7)中のVと同義である。 【0039】前記電荷輸送性ポリマーの重合度(p)は、5〜5,000であるのが好ましく、10〜1,000であるのがより好ましい。また、重量平均分子量Mwは10,000〜300,000であるのが好ましい。 【0040】本発明に使用可能な電荷輸送性ポリマーについて、例示化合物1〜73を下記表1〜表10に、電荷輸送部位(α)の分子量とともに示す。但し、本発明に用いられる電荷輸送性ポリマーは、以下の例示化合物に限定されるものではない。 【0041】 【表1】
【0042】 【表2】
【0043】 【表3】
【0044】 【表4】
【0045】 【表5】
【0046】 【表6】
【0047】 【表7】
【0048】 【表8】
【0049】 【表9】
【0050】 【表10】
【0051】本発明に使用可能な低分子電荷輸送性化合物としては、ヒドラゾン系電荷輸送材料、トリアリールアミン系電荷輸送材料、スチルベン系電荷輸送材料等が挙げられるが、これらに限定されない。前記低分子電荷輸送性化合物の中でも、トリアリールアミン構造を有する化合物が電気特性等に優れているので好ましく、特に、下記一般式(II)で表されるトリアリールアミン系電荷輸送材料が、電荷輸送性および化学安定性等が優れているので好ましい。 【0052】 【化13】
【0053】前記一般式(II)中、Ar1およびAr2は、それぞれ独立して、フェニル基または縮合環基を表す。前記フェニル基および縮合環基には、無置換のあるいは置換基を有する各基が含まれる。前記置換基としては、アルキル基、フェニル基、アルコキシ基、またはアルキル置換フェニル基が挙げられる。Ar1およびAr2がそれぞれ置換基を有するフェニル基を表す場合、前記置換基としては、アルキル基、フェニル基、またはアルキル置換フェニル基が好ましい。Ar1およびAr2が縮合環基を表す場合、その具体例としては、例えば、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオレニル基等が挙げられる。縮合環基が置換基を有する場合は、該置換基としてはアルキル基が好ましい。 【0054】前記一般式(II)で表されるトリアリールアミン化合物の例示化合物CT−1〜34のAr1およびAr2を下記表11〜表14に、電荷輸送部位(β)の分子量とともに示す。尚、表中、Me、Et、PrおよびBuは、それぞれ、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基を意味する。 【0055】 【表11】
【0056】 【表12】
【0057】 【表13】
【0058】 【表14】
【0059】本発明の電荷輸送膜において、前記電荷輸送性ポリマーと前記低分子電荷輸送性化合物との組成比は、重量比で100:1〜30:70であるのが好ましく、90:10〜40:60であるのがより好ましい。 【0060】本発明の電荷輸送膜が、さらに酸化防止剤を含有していると、長期間保存された場合に生じる電荷輸送能の低下等を軽減できるので好ましい。特に、本発明の電荷輸送膜を電子写真感光体の電荷輸送層に利用した場合、該電子写真感光体を長期間繰り返し使用した場合にも、電子写真特性を良好に維持し、長期間にわたって良好な画質の画像を形成し得るので好ましい。前記酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール構造を有する化合物、ヒンダードアミン構造を有する化合物、有機硫黄系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤等が挙げられる。中でも、下記一般式(V)で表されるヒンダードフェノール構造を有する化合物が、耐酸化性および化学安定性に優れているので好ましい。 【0061】 【化14】
【0062】前記一般式(V)中、R51は水素原子、または分岐状のアルキル基を表す。R52〜R54は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ヒドロキシ基、リン酸エステル基、アミノ基、またはエステル基を表す。R52〜R54が表すアルキル基は直鎖状であっても分基状であってもよい。R55は水素原子、または炭素数1〜5のアルキル基を表す。R55が表すアルキル基は、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。前記一般式(V)で表される化合物の1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。 【0063】前記一般式(V)で表される化合物の例示化合物V−1〜9を以下に示すが、本発明に用いられる酸化防止剤は、下記化合物に限定されるものではない。 【0064】 【化15】
【0065】本発明の電荷輸送膜が酸化防止剤を含有する場合、電荷輸送性ポリマーおよび低分子電荷輸送性化合物の含有量の和と前記酸化防止剤の含有量との比は、1000:1〜90:10であるのが好ましく、100:1〜95:5であるのがより好ましい。 【0066】本発明の電荷輸送膜には、その他、可塑剤、表面改質剤、潤滑剤等の添加剤を含有させてもよい。前記可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、ターフェニル、ジブチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、ジオクチルフタレート、トリフェニル燐酸、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種フルオロ炭化水素等が挙げられる。前記潤滑剤としては、例えば、PTFE粒子、シリカ粒子、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等が挙げられる。 【0067】本発明の電荷輸送膜は、αとβが前記関係式を満たす前記電荷輸送性ポリマーと前記低分子電荷輸送性化合物、および所望によりその他の添加剤を、有機溶剤等に分散および/または溶解させて調製した塗布液を、任意の支持体等に塗布することによって形成することができる。前記有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、クロロベンゼン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム等の通常使用される有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。前記塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常使用される方法を用いることができる。 【0068】本発明の電荷輸送膜は、電子写真感光体、有機EL素子、太陽電池、有機導伝体、電子写真用キャリアのコート剤、アルミニウムやニッケルやネサガラス等と有機感光層との中間層等、種々の有機電子デバイスに利用することができる。 【0069】以下、本発明の電荷輸送膜を利用した電子写真感光体について、積層型感光体を例として説明する。一般的に、積層型感光体は、導電性支持体上に電荷発生層および電荷輸送層を順次積層した構造を有する。電荷輸送層と電荷発生層の積層順は、逆であってもよい。また、導電性支持体と電荷発生層(または電荷輸送層)との間に、下引き層を設けてもよく、電荷輸送層(または電荷発生層)上に保護層を設けてもよい。 【0070】本発明の電子写真感光体は、前記電荷輸送層が本発明の電荷輸送膜からなることを特徴とする。前記電荷輸送層は、αとβが前記関係式を満たす前記電荷輸送性ポリマーと前記低分子電荷輸送性化合物、および所望によりその他の添加剤を、有機溶剤等に分散および/または溶解させて調製した塗布液を、導電性支持体(または電荷発生層)上に塗布するこよによって形成することができる。塗布方法については、前記電荷輸送膜の形成に利用可能な塗布方法と同様である。尚、電荷輸送層の厚みは5μm〜50μmであるのが好ましく、10μm〜40μmであるのがより好ましい。 【0071】前記電荷輸送層中には、その他の添加剤を含有させてもよい。前記添加剤としては、可塑剤、表面改質剤、潤滑剤、酸化防止剤等を挙げることができる。中でも、酸化防止剤を含有させると、上述した様に、電子写真感光体を長期間繰り返し使用した場合にも、電子写真特性を良好に維持し、長期間にわたって良好な画質の画像を形成し得るので好ましい。前記酸化防止剤としては、特に、前記一般式(V)で表されるヒンダードフェノール構造を有する化合物が好ましい。さらに、含有される電荷輸送性ポリマーと低分子電荷輸送性化合物との間に、{(α)の分子量}×0.8>{(β)の分子量}の関係式が成立しているのが、より好ましい。 【0072】前記導電性支持体としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いた金属板、金属ドラム、金属ベルト、あるいは導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着、あるいはラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等が挙げられる。さらに必要に応じて導電性支持体の表面は、画質に影響のない範囲で各種の処理を行うことができる。例えば、表面の陽極酸化被膜処理、熱水酸化処理や薬品処理、および、着色処理等または、砂目立てなどの乱反射処理等を行うことができる。 【0073】前記導電性支持体上には、通常、電荷発生材料を含有する電荷発生層が設けられる。前記電荷発生材料としては、例えば、アゾ系顔料、キノン系顔料、ペリレン系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、ビスベンゾイミダゾール系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、キノリン系顔料、レーキ系顔料、アゾレーキ系顔料、アントラキノン系顔料、オキサジン系顔料、ジオキサジン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、アズレニウム系染料、スクウェアリウム系染料、ピリリウム系染料、トリアリルメタン系染料、キサンテン系染料、チアジン系染料、シアニン系染料等の種々の有機顔料、染料や、更にアモルファスシリコン、アモルファスセレン、テルル、セレン−テルル合金、硫化カドミウム、硫化アンチモン、酸化亜鉛、硫化亜鉛等の無機材料が挙げられる。中でも、縮環芳香族系顔料、ペリレン系顔料、アゾ系顔料が、感度、電気的安定性、さらに、照射光に対する光化学的安定性の面で好ましい。前記電荷発生材料は、前記例示化合物の中から、1種を単独で用いることもできるし、2種類以上を混合して用いることもできる。 【0074】電荷発生層は、電荷発生材料を真空蒸着により導電性支持体上に形成することができる。また、有機溶剤中に、前記電荷発生材料を結着樹脂に分散させて、塗布液を調製し、該塗布液を導電性支持体上等に塗布することにより形成することができる。塗布により形成する場合、前記結着樹脂としては、ポリビニルアルコール(変性ポリビニルアルコールを含む)、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル型ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルアントラセン樹脂、ポリビニルピレン等が挙げられるが、通常の状態で被膜を形成しうる樹脂であればこれらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。 【0075】前記例示した樹脂の中でも、特にポリビニルアセタール系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、フェノキシ樹脂および変性エーテル型ポリエステル樹脂のいずれかを結着樹脂として用いると、結着樹脂中における電荷発生材料(特に顔料系の電荷発生材料)の分散性が良好となり、電荷発生材料が結着樹脂中で凝集するのを防止でき、塗布液の安定性を長期化することができる。該塗布液を用いて形成した電荷発生層は均一性に優れ、その結果、感光体としての電気特性が向上し、形成画像中に生じる画質欠陥を軽減することができる。 【0076】前記塗布液を調製する際の電荷発生材料と結着樹脂との配合比は、体積比で、5:1〜1:2であるのが好ましい。前記塗布液を調製する際に用いられる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、クロロベンゼン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム等の通常使用される有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。前記塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常使用される方法を用いることができる。 【0077】前記電荷発生層の厚みは、一般的に0.01〜5μmであり、好ましくは0.1〜2.0μmである。厚さが0.01μmよりも薄いと、電荷発生層を均一に形成することが困難になり、5μmを越えると電子写真特性が著しく低下する傾向がある。 【0078】電荷発生層中には、その他、酸化防止剤、失活剤などの安定剤を加えることもできる。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、硫黄系、リン系、アミン系化合物等の酸化防止剤が挙げられる。失活剤としてはビス(ジチオベンジル)ニッケル、ジ−n−ブチルチオカルバミン酸ニッケル等が挙げられる。 【0079】電荷発生層と、導電性支持体との間に下引層を設けることもできる。該下引層に用いる結着樹脂としては、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ジルコニウムキレート化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物、有機チタニル化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。更に、本発明の変性ポリビニルアルコール誘導体を使用することも可能である。これらの材料は単独であるいは2種以上混合して用いることができる。さらに、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、シリコーン樹脂等の微粒子と混合することができる。 【0080】下引層を形成する際の塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法が採用される。下引層の厚みは0.01〜10μm、好ましくは0.05〜2μmが適当である。 【0081】次に、本発明の電荷輸送膜を有する有機EL素子について説明する。本発明の有機EL素子は、一対の電極と、該電極間に挾持された発光層を含む一つまたは複数の有機化合物層より構成される。本発明において、有機化合物層が一つの場合は、有機化合物層は発光層を意味し、該発光層はその他の機能、例えば、正孔輸送機能および/または電子輸送機能を有していてもよい。また、有機化合物層が複数の場合は、そのうち少なくとも一つは発光層であり、他の有機化合物層としては、正孔輸送層および/または電子輸送層が挙げられる。 【0082】図1および図2に、本発明の有機EL素子の層構成を説明するための模式的断面図を示す。図1の有機EL素子10は、有機化合物層が複数の場合の一例であり、図2の有機EL素子10’は、有機化合物層が1つの場合の例である。有機発光素子10は、透明絶縁体基板12と、透明電極14と、正孔輸送層16と、電子輸送能を有する発光層18と、背面電極20とを有する。一方、有機EL素子10’は、透明絶縁体基板12と、透明電極14と、発光層18’と、背面電極20とを有する。本発明の電荷輸送膜からなる有機化合物層は、有機EL素子10の層構成の場合、正孔輸送層16として機能させることができる。また、有機EL素子10’の層構成の場合、発光層18’として機能させることができる。 【0083】透明絶縁体基板12は、発光を取り出すため透明なものが好ましく、ガラス、プラスチックフィルム等が用いられる。透明電極14は、透明絶縁体基板と同様に発光を取り出すため透明であって、かつ正孔の注入を行うため仕事関数が大きなものが好ましく、酸化スズインジウム(ITO)、酸化スズ(NESA)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の酸化膜、および蒸着或いはスパッタされた金、白金、パラジウム等が用いられる。尚、電極14は必ずしも透明である必要はないが、発光層からの発光を取り出すためには、一対の電極のうち少なくとも1つは透明であるのが好ましい。 【0084】正孔輸送層16は、αとβが前記関係式を満たす前記電荷輸送性ポリマーと低分子電荷輸送性化合物、および所望によりその他の添加剤を、有機溶媒中に溶解および/または分散し、塗布液を調製し、該塗布液を前記透明電極上に塗布することによって作製することができる。前記塗布方法としては、スピンコーティング法、ディップ法等が挙げられる。正孔輸送層16の膜厚は、0.03〜0.2μm程度が好ましい。 【0085】電子輸送能を有する発光層18は、少なくとも発光材料を含有する。前記発光材料としては、固体状態で蛍光を示し、隣接する正孔輸送層16に含有される電荷輸送性ポリマーおよび低分子電荷輸送性化合物と強い電子相互作用を示さない化合物が好ましい。発光層18は、真空蒸着により形成されているのが発光特性の点で好ましく、そのためには発光材料は真空蒸着法により良好な薄膜形成が可能な材料であるのが好ましい。前記発光材料としては、下記化合物(VI−1)〜化合物(VI−13)が好ましい。但し、これらに限られるものではない。尚、発光材料が電荷輸送性ポリマーおよび低分子電荷輸送性化合物と電子相互作用を示すか否かは、電荷輸送性ポリマーおよび低分子電荷輸送性化合物中に発光材料を分散させ、発光材料が示す蛍光波長が長波長側にシフトするか否かによって区別することができる。 【0086】 【化16】
【0087】 【化17】
【0088】 【化18】
【0089】また、有機EL素子の耐久性向上あるいは発光効率の向上を目的として、発光層と背面電極20との間に電子輸送層を挿入してもよい。このような電子輸送層に用いられる電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体等が用いられる。好適な具体例として、下記の化合物(VII−1)〜(VII−3)が挙げられるが、これらに限られるものではない。 【0090】 【化19】
【0091】前記電子輸送層は、前記材料を用いて、真空蒸着法により形成するのが好ましい。尚、電子輸送能を有する発光層18、および所望により形成される電子輸送層の膜厚は、各々0.1μm以下であるのが好ましく、0.03〜0.08μmであるのがより好ましい。 【0092】背面電極20は、電子注入を行うため仕事関数の小さな金属により形成されているのが好ましい。特に好ましくはマグネシウム、アルミニウム、銀、インジウムおよびこれらの合金である。背面電極20は、真空蒸着法により形成することができる。 【0093】図2の有機EL素子10’における、透明絶縁体基板12、透明電極14、および背面電極20についての好ましい材料および形成方法については、有機EL素子10と同様である。発光層18’は、少なくとも、αとβが前記関係式を満たす前記電荷輸送性ポリマーと前記低分子電荷輸送性化合物の各々と、発光材料とを含有する。発光材料としては、前記例示化合物(VI−1)ないし化合物(VI−13)が好適に用いられる。 【0094】発光層18’の有機EL素子に注入される正孔と電子のバランスを調節するために、電子輸送材料を10重量%〜50重量%分散させてもよく、あるいは発光層18’と背面電極20との間に、電子輸送材料よりなる電子輸送層を挿入してもよい。このような電子輸送材料としては、前記電荷輸送性ポリマーや低分子電荷輸送性化合物と強い電子相互作用を示さない有機化合物が挙げられ、好適には下記の化合物(VIII)が挙げられるが、これに限られるものではない。同様に正孔移動度を調節するためにテトラフェニレンジアミン誘導体を適量同時に分散させて用いてもよい。 【0095】 【化20】
【0096】発光層18’は、前記電荷輸送性ポリマーと低分子電荷輸送性化合物、および発光材料、所望によりその他の添加剤を、有機溶媒中に溶解および/または分散し、塗布液を調製し、該塗布液を前記透明電極上に塗布することによって作製することができる。前記塗布液において、発光材料は、溶解した状態であっても、分散した状態であってもよい。発光材料が分散状態にある場合は、分子分散状態であっても、微粒子分散状態であってもよい。分子分散状態とするためには、分散溶媒は電荷輸送性ポリマーと低分子電荷輸送性化合物、および発光材料の共通溶媒を用いる必要があり、微粒子分散状態とするためには分散溶媒は発光材料の分散性と、電荷輸送性ポリマーおよび低分子電荷輸送性化合物の溶解性を考慮して選択する必要がある。微粒子状に分散するためには、ボールミル、サンドミル、ペイントシェイカー、アトライター、ボールミル、ホモジナイザー、超音波法等が利用できる。調製した塗布液の塗布方法としては、スピンコーティング法、ディップ法等が挙げられる。発光層18’の膜厚は、0.03〜0.2μm程度が好ましい。 【0097】本発明の有機EL素子は、一対の電極間に、例えば、4〜20Vで、電流密度1〜200mA/cm2の直流電圧を印加することによって発光させることができる。 【0098】 【実施例】以下、実施例により本発明を詳しく説明する。尚、以下の記載において、特に断らない限り、「部」は「重量部」を表すものとする。 ・電荷輸送膜[実施例1]電荷輸送性ポリマー(例示化合物58)0.2部と、低分子電荷輸送性化合物(例示化合物CT−14)0.1部とを、モノクロロベンゼン1.5部に溶解し、得られた塗布液を、NESAガラス上にワイヤーバーコーティング法で塗布し、120℃において1時間加熱乾燥して、膜厚15μmの電荷輸送膜を形成した。本実施例においては、電荷輸送性ポリマーの電荷輸送部位(α)の分子量は488.64であり、低分子電荷輸送性化合物の電荷輸送部位(β)の分子量は321.43である。電荷輸送膜上に金電極を蒸着し、通常のタイム・オブ・フライト法によって電荷輸送膜における正孔移動度を測定した。 【0099】[実施例2]実施例1において、低分子電荷輸送性化合物をCT−25に変更した以外は実施例1と同様にして電荷輸送膜を作製し、電荷輸送膜における正孔移動度を測定した。本実施例においては、電荷輸送性ポリマーの電荷輸送部位(α)の分子量は488.64であり、低分子電荷輸送性化合物の電荷輸送部位(β)の分子量は245.33である。 【0100】[実施例3]実施例1において、塗布液中にヒンダードフェノール構造を有する酸化防止剤(例示化合物V−1)0.3部をさらに加えた以外は、実施例1と同様にして電荷輸送膜を作製し、同様に正孔移動度を測定した。 【0101】[実施例4]実施例2において、塗布液中にヒンダードフェノール構造を有する酸化防止剤(例示化合物V−1)0.3部をさらに加えた以外は、実施例2と同様にして電荷輸送膜を作製し、同様に正孔移動度を測定した。 【0102】[比較例1]実施例1において、低分子電荷輸送性化合物を下記構造式(IX)で表わされる化合物に変更した以外は実施例1と同様にして電荷輸送膜を作製し、電荷輸送膜における正孔移動度を測定した。本比較例においては、電荷輸送性ポリマーの電荷輸送部位(α)の分子量は488.64であり、低分子電荷輸送性化合物の電荷輸送部位(β)の分子量は488.64である。 【0103】 【化21】
【0104】[比較例2]電荷輸送性ポリマー(例示化合物58)0.2部を、モノクロロベンゼン1.5部に溶解し、得られた塗布液を、NESAガラス上にワイヤーバーコーティング法で塗布し、120℃において1時間加熱乾燥して、膜厚15μmの電荷輸送膜を形成した。電荷輸送膜上に金電極を蒸着し、実施例1と同様に電荷輸送膜における正孔移動度を測定した。 【0105】[比較例3]比較例1において、塗布液中にヒンダードフェノール構造を有する酸化防止剤(例示化合物V−1)0.3部をさらに加えた以外は、比較例1と同様にして電荷輸送膜を作製し、同様に正孔移動度を測定した。 【0106】[比較例4]比較例2において、塗布液中にヒンダードフェノール構造を有する酸化防止剤(例示化合物V−1)0.3部をさらに加えた以外は、比較例2と同様にして電荷輸送膜を作製し、同様に正孔移動度を測定した。 【0107】以下の表15に、実施例1〜4及び比較例1〜4の正孔移動度(at 2.0×1015V/μm)を示す。また、実施例1、2および比較例1、2の正孔移動度の測定結果のグラフを図3に示す。 【0108】 【表15】
【0109】図3に示すグラフから、電荷輸送性ポリマーと低分子電荷輸送性化合物とを含有する実施例1および2の電荷輸送膜は、電荷輸送性ポリマーのみを含有する比較例2の電荷輸送膜と比較して、各段に正孔移動度が向上していることがわかった。さらに、実施例1および2の電荷輸送膜は、電荷輸送部位αとβが同一である、電荷輸送性ポリマーと低分子電荷輸送性化合物とを含有する比較例1の電荷輸送膜と比較しても、各段に正孔移動度が向上していることがわかった。 【0110】・電子写真感光体[実施例5]アルミニウム基板上に、ジルコニウム化合物(オルガチックスZC540、マツモト製薬社製)10部、シラン化合物(A1110、日本ユニカー社製)1部、i−プロパノール40部、およびブタノール20部からなる溶液を浸漬コーティング法で塗布し、150℃において10分間加熱乾燥し、膜厚0.5μmの下引き層を形成した。次に、クロロガリウムフタロシアニン結晶の1部を、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学社製)1部および酢酸n−ブチル100部と混合し、ガラスビーズと共にペイントシェーカーで1時間処理して分散した後、得られた塗布液を上記下引き層上に浸漬コーティング法で塗布し、100℃において10分間加熱乾燥して、電荷発生層を形成した。 【0111】次に、電荷発生層上に、実施例1で使用した電荷輸送膜の形成用塗布液を浸漬コーティング法で塗布し、120℃において1時間加熱乾燥して、膜厚15μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作製した。 【0112】このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を、静電複写紙試験装置(エレクトロスタティックアナライザーEPA−8100、川口電気社製)を用いて、常温常湿(20℃、40%RH)の環境下、−6kVのコロナ放電を行い、帯電させた後、タングステンランプの光を、モノクロメータを用いて800nmの単色光にし、感光体表面上で1μW/cm2になるように調整し、照射した。得られた半減露光量E1/2を下記表16に示す【0113】次に、富士ゼロックス社製「DucuCenter550」改造機(プリント枚数を55枚から70枚に増速)に装着し、常温常湿(20℃、40%RH)、および低温低湿(10℃、15%RH)環境下で画像を印刷し、初期画像の画質を各々評価した。評価は256階調および400線解像度評価を行った。評価結果を下記表17に示す。さらに、5万枚前後の間欠印刷を常温常湿(20℃、40%RH)、および低温低湿(10℃、15%RH)環境下で行い、5万枚目前後の印字画像の画質評価を行った。この耐印刷性の評価結果についても、下記表17にあわせて示す。 【0114】[実施例6〜8]実施例5において、電荷発生層の形成に用いた実施例1の塗布液を、実施例2〜4で使用した電荷輸送膜の形成用塗布液に各々代えた以外は、実施例5と同様にして実施例6〜8の電子写真感光体を各々作製し、同様に半減露光量E1/2、初期画像の画質、および耐印刷性を評価した。半減露光量E1/2を表16に、評価結果を下記表17に各々示す。 【0115】[比較例5〜8]実施例5において、電荷発生層の形成に用いた実施例1の塗布液を、比較例1〜4で使用した電荷輸送膜の形成用塗布液に各々代えた以外は、実施例5と同様にして比較例5〜8の電子写真感光体を各々作製し、同様に半減露光量E1/2、初期画像の画質、および耐印刷性を評価した。半減露光量E1/2を表16に、評価結果を下記表17に各々示す。 【0116】 【表16】
【0117】 【表17】
【0118】表17に示す様に、実施例5〜8の電子写真感光体は、常温常圧および低温低圧の双方の環境下において、初期画像の画質が良好であった。この結果から、実施例の電子写真感光体は、電荷輸送層の正孔移動度が高く、低温低圧においても正孔移動度が充分に高く維持されているものと考えられる。一方、比較例5〜8の電子写真感光体では、低温低圧の環境下では、電荷輸送層の正孔移動度が低下し、その結果、初期画像の画像濃度が低下したものと考えられる。また、耐刷性評価の結果から、電荷輸送層が酸化防止剤を含有していると、耐刷性が向上することが実証された。 【0119】・有機EL素子[実施例9]電荷輸送性ポリマー(例示化合物58) 0.2部と、低分子電荷輸送性化合物(例示化合物CT−14) 0.1部とを、ジクロロエタン6部に溶解した。この溶液を用いて、2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、ディップ法により塗布し、膜厚約0.1μmの正孔輸送層を形成した。十分乾燥させた後、発光材料として昇華精製した前記例示化合物(VI−1)をタングステンボートに入れ、真空蒸着法により蒸着して、正孔輸送層上に膜厚0.05μmの発光層を形成した。この時の真空度は10-5Torr、ボート温度は300℃であった。続いてMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。作製した有機EL素子は、緑の発光色を示した。 【0120】 【発明の効果】本発明によれば、電荷移動度に優れた電荷輸送膜を提供することができる。また、本発明によれば、高性能の有機電子写真感光体や有機EL素子等の有機電子デバイスを提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005496 【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年3月14日(2000.3.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079049 【弁理士】 【氏名又は名称】中島 淳 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−265034(P2001−265034A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月28日(2001.9.28) |
| 【出願番号】 |
特願2000−70458(P2000−70458) |
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