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【発明の名称】 電子写真感光体
【発明者】 【氏名】荒川 博道

【要約】 【課題】オキシチタニルフタロシアニンと2,3−ブタンジオールの反応生成物を電荷発生材料として用いる電子写真感光体において、電荷保持性能とくに繰り返し使用時の電位保持率の安定性に優れる電子写真感光体の提供。

【解決手段】オキシチタニルフタロシアニンと2,3−ブタンジオールとの反応生成物を電荷発生材料として含有する感光層において、該感光層に対するX線回折スペクトルの最低角位置メインピーク(ブラッグ角2θ=8.3±0.3°)の半値幅(Δ2θ)を0.25°≦Δ2θ≦1.0°に制御にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 導電性支持体上に、チタニルフタロシアニンと2,3−ブタンジオールとの反応生成物を含有する顔料を含む感光層を有し、該顔料のX線回折スペクトルのメインピークがブラッグ角(2θ±0.2°)で10°以下に存在するものであって、かつ、該感光層のX線回折スペクトルにおいては、そのメインピークがブラッグ角で10°以下の領域にあり、さらに、該感光層X線回折スペクトルでのメインピークの半値幅(△2θ)が0.25°≦△2θ≦1.0°であることを特徴とする電子写真感光体。
【請求項2】 2,3−ブタンジオールが(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールである請求項1記載の電子写真感光体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、例えば複写機、LDプリンタ、LEDプリンタ等に使用される電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】 近年、電子工業の発達に伴う半導体レーザーや発光ダイオード(LED)に代表される800nm波長付近の光源を利用した複写機、LDプリンタ、LEDプリンタ等の電子写真感光体に使用される材料として、これら光源に感応するフタロシアニン系化合物が注目されている。
【0003】1992年電子写真学会“Japan Hardcopy ’92”予稿集第153〜156頁には、“ジオール化合物を含有するチタニルフタロシアニン結晶の生成と特性”と題した講演要旨、及び、1993年電子写真学会国際会議“Japan Hardcopy ’93”予稿集第659〜662頁には、“SYNTHESES AND PROPERTIES OF TITANYL PHTHALOCYANINE NEW POLYMORPHS”と題した講演要旨が記載されており、また特開平5−273775号公報等には、例えば2,3−ブタンジオール等の2つの隣接する各炭素原子に1つずつ水酸基を有するジオール化合物はオキシチタニウムフタロシアニンと反応して付加体化合物を生成(ある種の結合又は吸着)することが記載されており、当該付加反応生成物が電子写真感光体に使用しうる可能性を示唆している。さらに、特開平09−43879号公報、特開平09−230615号公報には、そのような反応生成物の中でも、特定構造を有する化合物、即ち、光学活性を持つ2,3−ブタンジオールとオキシチタニウムフタロシアニンとの反応から得られる反応生成物を用いて電子写真感光体を製造した場合に、感度が良好になることが記載されている。
【0004】また一方、X線回折スペクトルにおけるメインピークの半値幅を制御することによって電子写真感光体の電気特性が改善できることは、特開平8−129265等に開示されている。即ち、特定のオキシチタニウムフタロシアニンについて、CuKαによるX線回折スペクトルのメインピークである2θ=27.3°のピーク半値幅(w)を0.4°≦w≦0.6°に制御することにより、繰り返しによる帯電電位低下の少ない高感度の電子写真感光体が得られる、というものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 前記特開平09−043879号公報、特開平09−230615号公報記載の反応生成物は、すでに述べたように、優れた感度特性を持つものである。しかし、それを用いる感光体は、感光体の重要特性の一つである「電荷保持性能」が実用レベル的には未だ問題が在る、特に「繰り返し使用時の帯電電位の保持率」が不足しているという欠点を内在していると判断される。この欠点は、プリンター等の感光体として実用に供した場合に、初期と連続使用時との印字画像濃度に変化を生じさせたり、画像濃度にバラツキを起こす等により、致命欠点ともなり兼ねない欠点項目と考えられる。そのため、該反応生成物の実用化に際しては、この電荷保持性能を向上さる事が必要不可欠の課題とされている。
【0006】
【課題を解決するための手段】 本発明者は、上記実状に鑑みて鋭意検討した結果、ジオール類との反応生成物構造を有するフタロシアニン化合物とオキシチタニウムフタロシアニン化合物を使用する感光層において、該感光層のCuKαによるX線回折スペクトル(薄膜X線回折スペクトル)での特定ブラッグ角(2θ±0.2°)のピーク半値幅(△2θ)を一定の範囲に制御することによって、繰り返し使用時における電荷保持性能が飛躍的に改善される感光体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち本発明は、光学活性を有する2,3−ブタンジオールとチタニルフタロシアニンとの反応生成物およびチタニルフタロシアニンとを含有する顔料を含む感光層を形成するものであり、この顔料に対するCuKαによるX線回折スペクトル(通称、粉末法)のメインピークがブラッグ角(2θ±0.2°)で10°以下に存在し、また、該顔料を電荷発生材料として含ませて調製した感光層のX線回折スペクトル(通称、薄膜法)のメインピークをブラッグ角で10°以下の領域(最低角位置)に存在するものとなし、且つ、該感光層のX線回折スペクトルにおけるメインピークの半値幅(△2θ)が0.25°≦△2θ≦1.0°となるように制御することを特徴とした、高感度を保持したままで、繰り返し使用時の帯電電位の保持率において充分な実用レベル域に達した電子写真感光体を提供するものである。
【0008】以下、本発明の電子写真感光体について詳細に説明する。本発明の電子写真感光体の特徴は、感光層(積層型感光体においては電荷発生層)に含有されて電荷発生材として用いられるフタロシアニン反応生成物にある。本発明で使用するフタロシアニン反応生成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、(1)オキシチタニウムフタロシアニン化合物と光学活性な(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールとの反応による製造方法、(2)ジクロロチタニウムフタロシアニン等のジハロチタニウムフタロシアニン化合物と光学活性な(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールとの反応による製造方法、(3)光学活性な(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオール存在下での四塩化チタン等のチタニウム塩とオルトフタロニトリル(ベンゼン環に置換基を有する誘導体であっても可)とのカップリング反応による製造方法、等が挙げられ、本発明では、いずれの製造方法によって得られた反応生成物をも用いることができる。
【0009】これらの製造方法のうち、オキシチタニウムフタロシアニン化合物と光学活性な(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールとの反応は、操作が簡便であるので、特に好適である。
【0010】本発明で使用するフタロシアニン反応生成物は、上記製造方法により得られるものであるが、その構造は式(1)又は式(2)
【0011】
【化1】

【0012】
【化2】

【0013】で表わされる特定異性体構造のフタロシアニン反応生成物であって、それらを含む結晶状態にあることが推定される。ここで両式中のR1〜R8は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基等を表し、k、l、m、nは0〜4の整数を表す。また、置換基は2つ以上の組み合わせも可能である。
【0014】本発明で使用するフタロシアニン反応生成物は、その単品粉末状態でのCuKαによるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2゜)の9.5°に1本のメインピークを有するか又は8.3°、24.7°、25.1°に3本のメインピークを有するかの結晶状態にあることが好ましい。
【0015】本発明の電子写真用感光体は、上記フタロシアニン反応生成物結晶を含有する電荷発生材料を用いて成る感光層を有しており、該感光層のCuKαによるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2゜)の8.3゜、24.7゜、25.1゜にメインピークを有することが好ましい。
【0016】本発明で使用するフタロシアニン反応生成物を得るためのオキシチタニウムフタロシアニン化合物と光学活性な(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールとの反応は、加熱条件下で行ない、反応温度は50〜300℃の範囲が好ましく、特に好ましくは、150〜250℃の範囲が特に好ましい。
【0017】本発明で使用するフタロシアニン反応生成物の合成原料となるオキシチタニウムフタロシアニン化合物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、置換基を有していても良く、フタロシアニン骨格の中心にオキシチタニウムを有するものであれば良い。その置換基としては、メチル基、エチル基等の低級アルキル基;メトキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;ニトロ基等が挙げられる。これらの置換基の数は1から16が可能であり、2つ以上の置換基の組み合わせも可能である。また結晶型は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、α型、β型、α/β混合型、γ型、Y型、非晶質型等のいずれであっても良い。
【0018】また、オキシチタニウムフタロシアニン化合物と光学活性な(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールとの反応のモル比は、オキシチタニウムフタロシアニン化合物1モル当たり、光学活性な(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールは0.25モル以上が好ましく、0.5〜1.5モルの範囲がより好ましい。
【0019】本発明で使用するフタロシアニン反応生成物の合成原料となる(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールは、光学活性であり、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールの一方のみの使用、あるいは両者の含有量の異なる光学活性なトレオ型2,3−ブタンジオールを使用することが好ましい。
【0020】本発明の電子写真感光体の電荷発生材料は、本発明におけるフタロシアニン反応生成物の一つの光学異性体を単独で用いても良いし、それらの二種以上を混合して用いても良い。即ち、オキシチタニウムフタロシアニン化合物と(2R,3R)−2,3−ブタンジオールとの反応生成物と、オキシチタニウムフタロシアニン化合物と(2S,3S)−2,3−ブタンジオールとの反応生成物とを混合して用いても良い。
【0021】オキシチタニウムフタロシアニン化合物と(2R,3R)−2,3−ブタンジオール及び/又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールとの反応には、必要に応じて、公知慣用の各種の有機溶剤を併用することができる。そのような有機溶剤としては、例えば、ベンゼン、ニトロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、α−クロロナフタレン等の芳香族系有機溶剤;シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤;テトラヒドロフラン、ジメチルセロソルブ等のエーテル系有機溶剤;ブタン酸エチル、乳酸ブチル等のエステル系有機溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン系極性有機溶剤;トリクロロエタン等のハロゲン系有機溶剤;アミルアルコール、ドデカノール等の一価アルコール系有機溶剤等を挙げることができる。これらの溶剤は、単独でも二種以上併用しても使用できる。
【0022】本発明で使用するフタロシアニン反応生成物を合成した後、必要に応じて精製を行ってもよい。
【0023】上記のように、本発明で使用するフタロシアニン反応生成物の合成に際しては、反応モル比、反応温度、反応時間、溶媒、触媒、精製方法等の各製造条件は、適宜選択して採用することができる。
【0024】さらに本発明における特徴は、感光層中でのフタロシアニン反応生成物の結晶状態をある特定範囲に制御することである。その制御状態を評価する方法としては、感光層薄膜(塗膜)にした状態でのX線回折スペクトルの測定が有効であり、下記条件での測定を実施した。
装置:株式会社理学製RAD−ICX線源:CuKα電圧:40kV電流:35mA測定範囲(ブラッグ角2θ):3.0°から35.0°ステップ角度:0.02°【0025】この測定結果より、下記条件でデータ処理を行い、メインピークでの半値幅(△2θ)を求めた。ここで、半値幅(△2θ)とは、ある2θのピークにおいて、そのX線回折強度の1/2強度となる強度位置でのピーク幅で定義されるブラッグ角値である。
【0026】データ処理は、株式会社理学発行の「7.標準データ処理プログラム」MJ201PA5−7−iに記載されている方法に従いAUTOで実施した。データのスムージング処理は、Savitzky&Golayの平滑化法に従い実施した。バックグラウンド除去はSonneveld&Visserにより発表された手法を用いて実施した。また、ピークサーチは、強度データの2次微分を取りその最小値をピーク位置とした。上記のデータ処理後、対象となるメインピークを選択し、半値幅(△2θ)を求めた。
【0027】ここで求める半値幅(△2θ)は、結晶の大きさに対応するものと考えられ、X線の波長から考慮して、より低角度の2θで評価することによりその評価精度を向上させることが可能であると推定される。そこで本発明では、結晶状態制御の評価対象ピークとして2θが10°以下でのメインピークを採用し、その半値幅を制御すること即ち結晶の大きさを一定域に規定することにより、十分な電荷保持性能が得られることを見出したものである。
【0028】本発明では電子写真感光体において使用する電荷発生材料は、本発明で使用するフタロシアニン反応生成物を必須成分として含有するが、必要に応じて他の公知の電荷発生材料を併用することも可能である。
【0029】併用可能な他の電荷発生材料としては、フタロシアニン化合物、例えば、無金属フタロシアニン顔料、各種金属フタロシアニン顔料、ナフタロシアニン等が用いられる。特に、α型、β型、α/β混合型、γ型、Y型、等の結晶型あるいは非晶質型のオキシチタニウムフタロシアニン化合物等が好ましい。また、フタロシアニン以外の電荷発生材料、例えば、1)モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料等のアゾ系顔料、2)ペリノン顔料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料等の縮合多環系顔料、3)スクワリウム系色素、4)アズレン系色素、5)ピリリウム塩、チアピリリウム塩等のピリリウム塩系色素、6)シアニン系色素、7)トリフェニルメタン系色素、8)セレン、セレン・テルル、セレン・ヒ素等のセレン化合物や、酸化亜鉛、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、非晶質シリコン等の無機系材料等を併用することもできる。その他、光を吸収し電荷担体を効率良く発生する材料であれば、いずれの材料であっても使用することができる。併用可能な電荷発生材料は、ここに記載したものに限定されるものではなく、その使用に際しては単独、あるいは2種類以上を混合して用いても良い。
【0030】本発明の電子写真感光体の構成は、種々の構造を採ることができる。その例を図1から図5に示した。
【0031】図1及び図2の電子写真感光体は、導電性基体1上に電荷発生材料7と結着剤樹脂等とからなる電荷発生層2と、電荷輸送材料8と結着剤樹脂等とからなる電荷輸送層3を積層して感光層としたものである。
【0032】図3の電子写真感光体は、導電性基体1上に電荷発生材料7及び電荷輸送材料8を結着剤樹脂中に溶解或いは分散して感光層4とした単層型である。
【0033】図4の電子写真感光体は、導電性基体の保護、接着性の改良、塗工性の向上、導電性基体からの感光層への電荷注入量の制御等を目的として、図1の電子写真感光体の導電性基体1と電荷発生層2との間に中間層5を設けたものである。
【0034】図5の電子写真感光体は、物理的あるいは化学的な外的要因から電子写真感光体を保護するために、図1の電子写真用感光体の表面にさらに表面保護層6を設けたものである。
【0035】上記図4及び図5の電子写真感光体で示した中間層及び表面保護層は、必要に応じて図1以外の電子写真感光体にも設けることができる。
【0036】図1、図2、図4及び図5の電子写真感光体の場合には、電荷発生層2に含まれる電荷発生材料7が電荷を発生し、一方、電荷輸送層3は電荷の注入を受け、その輸送を行なう。即ち、光減衰に必要な電荷の生成が電荷発生材料7で行なわれ、その電荷の輸送が電荷輸送媒体で行なわれる。図3の電子写真感光体では電荷発生材料7が光に対して電荷を発生し、電荷移輸送材料8及び結着剤樹脂により電荷の移動が行なわれる。
【0037】図1の電子写真感光体は、電荷発生材料の蒸着膜からなる電荷発生層上に、あるいは電荷発生材料の微粒子を結着剤樹脂溶液中に分散させた分散液を塗布したのち乾燥して得られる電荷発生層上に、電荷輸送材料を結着剤樹脂溶液中に溶解させた溶液を塗布したのち乾燥して得られる電荷輸送層を設けることにより製造することができる。
【0038】図2の電子写真感光体は、図1における各感光層形成順序を逆にして得られる。また、図4および図5の感光体は、図1において電荷発生層形成前に中間層を、および電荷輸送層の塗布乾燥後に表面保護層をそれぞれ塗布することにより製造することができる。
【0039】図3の電子写真感光体は、電荷輸送材料と結着剤樹脂等とを溶解した溶液に電荷発生材料の微粒子を分散させた分散液を調製し、これを導電性基体上に塗布したのち乾燥して得られる感光層を設けることによって製造することができる。
【0040】図1、図2、図4及び図5の電子写真感光体の感光層膜厚は、それぞれ次のようである。即ち、電荷発生層では5μm以下が好ましく、0.01〜2μmの範囲が特に好ましい。電荷輸送層では3〜50μmの範囲が好ましく、5〜30μmの範囲が特に好ましい。図3の電子写真感光体の感光層膜厚は、3〜50μmの範囲が好ましく、5〜30μmの範囲が特に好ましい。また、図4の電子写真感光体における中間層の膜厚は、5μm以下が好ましく、0.1〜1μmの範囲が特に好ましい。さらに、図5の電子写真用感光体における表面保護層の膜厚は、2μm以下が好ましく、0.01〜1μmの範囲が特に好ましい。
【0041】図1、図2、図4及び図5の電子写真感光体における電荷発生層中の電荷発生材料の割合は、5〜100重量%の範囲が好ましく、40〜80重量%の範囲が特に好ましい。また、電荷輸送層中の電荷輸送材料の割合は、5〜100重量%の範囲が好ましく、40〜80重量%の範囲が特に好ましい。図3の単層型電子写真感光体における感光層中の電荷発生材料の割合は1〜50重量%の範囲が好ましく、3〜20重量%の範囲が特に好ましい。また、電荷輸送材料の割合は5〜99重量%の範囲が好ましく、80〜97重量%の範囲が特に好ましい。
【0042】図1〜図5のいずれの電子写真感光体においても、結着剤樹脂と共に必要に応じて可塑剤、増感剤等を用いることができる。
【0043】本発明における電荷発生材料の結着剤樹脂としては種々のものが挙げられるが、疎水性で、電気絶縁性のフィルム形成可能な高分子化合物を用いるのが好ましい。このような高分子重合体としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、尿素樹脂、ポリスルホン樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂のうち、ポリビニルブチラール樹脂は特に好ましい。結着剤樹脂はここに記載したものに限定されるものではなく、その使用に際しては単独あるいは2種以上の混合物として用ても良い。
【0044】本発明の電子写真感光体に用いられる電荷輸送材料としては、低分子化合物のものと高分子化合物のものとがある。低分子化合物の電荷輸送材料としては、例えば、1)N−エチルカルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N−フェニルカルバゾール等のカルバゾール類;2)N−メチル−N−フェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、p−(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン、p−(N,N−ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン、p−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン、1−[4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンジリデンイミノ]−2,3−ジメチルインドリン、N−エチルカルバゾール−3−メチリデン−N−アミノインドリン、N−エチルカルバゾール−3−メチリデン−N−アミノテトラヒドロキノリン等のヒドラゾン類;3)2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール類;4)1−フェニル−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−[キノリル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン類;5)トリ−p−トリルアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン等のアリールアミン類;6)1,1−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン等のブタジエン類;7)4−(2,2−ジフェニルエテニル)−N,N−ジフェニルベンゼンアミン、4−(1,2,2−トリフェニルエテニル)−N,N−ジフェニルベンゼンアミン等のスチリル類等が挙げられる。
【0045】高分子化合物の電荷輸送材料としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ハロゲン化ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアンスラセン、ポリビニルアクリジン、ポリ−9−ビニルフェニルアンスラセン、ピレン−ホルムアミド樹脂、エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂、トリフェニルメタンポリマー、ポリフェニルアルキルシラン等が挙げられる。使用可能な電荷輸送材料は、ここに記載したものに限定されるものではなく、その使用に際しては単独、あるいは2種類以上を混合して用いても良い。
【0046】上記、電荷輸送材料の結着剤樹脂としては種々のものが挙げられるが、疎水性で、電気絶縁性のフィルム形成可能な高分子化合物を用いるのが好ましい。このような高分子重合体としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノ−ル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、尿素樹脂、ポリスルホン樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂のうち、ポリカーボネート樹脂及びポリアリレート樹脂は、高耐久性の感光層を形成できることから特に好ましい。結着剤樹脂はここに記載したものに限定されるものではなく、その使用に際しては単独あるいは2種以上の混合物として用ても良い。
【0047】前記、感光層に必要に応じて用いられる増感剤としては、いずれも周知のものが使用できる。増感剤としては、例えば、クロラニル、テトラシアノエチレン、メチルバイオレット、ローダミンB、シアニン染料、メロシアニン染料、ピリリウム染料、チアピリリウム染料等が挙げられる。
【0048】また、本発明の電子写真感光体においては、保存性、耐久性、耐環境依存性を向上させるために、必要に応じて感光層中に酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の劣化防止剤を含有させることもできる。これらの物質としては、例えば、フェノール化合物、ハイドロキノン化合物、アミン化合物等を挙げることができる。
【0049】さらに、感光層塗膜の成膜性、可撓性、機械的強度を向上させるために、使用する結着剤樹脂と共に、周知の可塑剤、表面改質剤等の添加剤を使用することもできる。
【0050】可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、o−ターフェニル、p−ターフェニル、ジブチルフタレート、ジエチルグリコールフタレート、ジオクチルフタレート、トリフェニル燐酸、ジメチルナフタレン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種のフルオロ炭化水素等が挙げられる。表面改質剤としては、例えば、シリコンオイル、フッソ樹脂等が挙げられる。
【0051】また、本発明の電子写真感光体においては、導電性支持体と感光層との接着性を向上させたり、導電性支持体から感光層への自由電荷の注入を阻止するための中間層を設けることができる。中間層に用いることができる材料としては、前記結着剤樹脂に用いられる高分子化合物のほか、カゼイン、ゼラチン、エチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーラテックス、スチレン−ブタジエン系ポリマーラテックス、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリウレタン、フェノール樹脂等が挙げられる。あるいは導電性支持体上に蒸着、溶射、メッキ等により酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化チタン等の無機材料を中間層として用いることもできる。また、上記高分子化合物に、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化チタン、シリカ炭酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機微粒子、あるいはスチレン、ウレタン等の高分子架橋粒子等の有機微粒子ないしは有機顔料等を分散させた材料も使用できる。
【0052】また、本発明の電子写真感光体において表面保護層を設ける場合に用いることができる材料としては、前記結着剤樹脂に用いられる高分子化合物のほか、カゼイン、ゼラチン、エチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーラテックス、スチレン−ブタジエン系ポリマーラテックス、ポリビニルアルコール、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
【0053】積層型電子写真感光体を塗工によって形成する場合、結着剤樹脂を溶解する溶剤は、結着剤樹脂の種類によって異なるが、下層を溶解しないものの中から選択することが望ましい。具体的な有機溶剤の例としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセロソルブ、アニソール等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド及びスルホン類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン等の芳香族類等が挙げられる。
【0054】本発明の電子写真感光体に用いられる導電性基体としては、例えば、1)アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、チタン、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金、2)導電性ポリマー、酸化インジウム、酸化スズ等の導電性化合物、あるいは、3)アルミニウム、パラジウム、ロジウム、金、白金等の金属又は合金を用いて塗布、蒸着、ラミネ−ト等の処理を施したガラス、紙、プラスチックフィルム、セラミックス等が挙げられる。また、これらの導電性基体表面は必要に応じて化学的又は物理的な処理を施しても良い。
【0055】本発明の電子写真感光体の形状は、用いる導電性基体の形状によって異なるが、ドラム状、平板状、シート状、ベルト状等多様な形状が可能である。
【0056】感光層を形成する手段としては種々の方法が可能であるが、塗工法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、カーテンコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法等を用いることができる。
【0057】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、「部」は「重量部」を表わす。
【0058】<合成例1>四塩化チタニウムとオルソ−フタロニトリルとの反応により得られたオキシチタニウムフタロシアニン化合物であって、図6に示したCuKα線による粉末X線回折スペクトルを示すオキシチタニウムフタロシアニン化合物20部と、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール4.4部とを、α−クロロナフタレン240部中で、195〜205℃で撹絆しながら1.5時間反応させた。
【0059】反応混合物を室温まで冷却した後、濾別し、残渣をベンゼン、メタノール、ジメチルホルムアミド(以下、DMFと省略する。)、水の順で洗浄した後、減圧下に乾燥させることにより、フタロシアニン反応生成物を得た。
【0060】この反応生成物は、マススペクトルにおいてm/Z=648にピークを示した。この反応生成物のCuKα線による粉末X線回折スぺクトルを測定した結果を図7に、更に、反応生成物の元素分析値を以下の 表1 元素分析結果 に示した。
【0061】
【表1】

【0062】<実施例1>合成例1で得たフタロシアニン反応生成物4gとステンレスボール(SUS304製で、3/16インチφ110gと1/4インチφ110gの混合物)220gを100mlのステンレス容器に入れ、ボールミル(50rpm)で72時間乾式粉砕し、粉砕物を得た。ブチラール樹脂(積水化学工業社製の「エスレックBH−3」)2部を、塩化メチレン66部及び1,1,2−トリクロロエタン99部から成る混合溶媒に溶解し、上記粉砕物2部を加え、ペイントコンディショナーで2時間分散、混合して電荷発生材料分散液を得た。
【0063】このようにして得た電荷発生材料の分散液を金属薄板に浸漬塗布を行い膜厚10μmの薄膜を作製し、この薄膜のX線回折スペクトルからメインピークの最低角の半値幅△2θを求めた。この時のX線回折スペクトルを図8に示す。評価対象のメインピークは、2θ=8.2°であり、△2θの測定結果は0.30°であった。
【0064】メタノール7部及びn−ブタノール7部から成る混合溶媒にポリアミド樹脂(東レ社製の「アミランCM−8000」)1部を溶解した樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を、アルミニウム蒸着ポリエステルフィルム上にワイヤーバーを用いて乾燥後の膜厚が1μmとなるように塗布した後、乾燥してバリヤー層を設けた。
【0065】次に、上記電荷発生材料分散液を乾燥後のバリヤー層上にワイヤーバーを用いて乾燥後の膜厚が0.3μmと成るように塗布した後、乾燥して電荷発生層を形成した。
【0066】この電荷発生層の上に、下記式(3)
【0067】
【化3】

【0068】で表される電荷輸送材料4部、下記式(4)
【0069】
【化4】

【0070】で表される電荷輸送材料4部とポリカーボネート(帝人化成社製の「パンライトC1400」)10部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.1部を塩化メチレン48部、1,1,2−トリクロロエタン32部に溶解させて電荷輸送材料塗布液を調製した。この塗布液を、ワイヤーバーを用いて乾燥後の膜厚が25μmとなるように塗布した後、乾燥して電荷輸送層を形成し、積層型の電子写真用感光体を得た。上記の半値幅評価用試料及び電子写真特性評価用試料を併せて、実施例試料1とする。
【0071】<実施例2>合成例1で得たフタロシアニン反応生成物350gをHDアルミナボール(10mmφ)7.5kgと共にアトライタMA1D型(三井三池化工機株式会社製)に仕込み、容器温度を5℃に冷却しながら250rpmにて60分間攪拌して乾式粉砕を行い、粉砕物を得た。
【0072】ブチラール樹脂(積水化学工業社製の「エスレックBH−3」)2部を、塩化メチレン66部及び1,1,2−トリクロロエタン99部から成る混合溶媒に溶解し、上記粉砕物2部を加え、ペイントコンディショナーで2時間分散、混合して電荷発生材料分散液を得た。
【0073】この電荷発生材料分散液を用いて、実施例1と同様にして薄膜のX線回折スペクトルを測定した。その時のメインピークの最低角は、8.2°であり、△2θの測定結果は0.31°であった。
【0074】メタノール7部及びn−ブタノール7部から成る混合溶媒にポリアミド樹脂(東レ社製の「アミランCM−8000」)1部を溶解した樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を、アルミニウムを蒸着したポリエステルフィルム上にワイヤーバーを用いて乾燥後の膜厚が1μmとなるように塗布した後、乾燥してバリヤー層を設けた。
【0075】次に上記電荷発生材料分散液を乾燥後のバリヤー層上にワイヤーバーを用いて、乾燥後の膜厚が0.3μmとなるように塗布した後、乾燥して電荷発生層を作成した。
【0076】電荷輸送層を実施例1と同様に電荷発生層上に作成し、電子写真用感光体を得た。上述同様、半値幅評価用試料及び電子写真特性評価用試料を併せて、実施例試料2とする。
【0077】<合成例2>合成例1において、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールに代えて、(2S,3S)−2,3−ブタンジオールを用いた以外は、合成例1と同様にしてフタロシアニン反応生成物を得た。
【0078】この反応生成物は、マススペクトルにおいてm/Z=648にピークを示した。この反応生成物のCuKα線による粉末X線回折スペクトルを測定した結果を図9に示す。
【0079】<実施例3>実施例1において、合成例1で得たフタロシアニン反応生成物に代えて、合成例2で得たフタロシアニン反応生成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、X線回折スペクトル測定用電荷発生材料分散液の薄膜及び電子写真用感光体を得た。これらを、実施例試料3とする。そして、実施例1と同様にして測定したこの薄膜のX線回折スペクトルを図10に示す。その時のメインピークの最低角は、8.4°であり、△2θの測定結果は0.33°であった。
【0080】<実施例4>実施例2において、合成例1で得たフタロシアニン反応生成物に代えて、合成例2で得たフタロシアニン反応生成物を用いた以外は、実施例2と同様にして、X線回折スペクトル測定用電荷発生材料分散液の薄膜及び電子写真用感光体を得た。これらを、実施例試料4とする。そして、実施例1と同様にして、この薄膜のX線回折スペクトルを測定したときのメインピークの最低角は、8.4°であり、△2θの測定結果は0.36°であった。
【0081】<合成例3>合成例1において、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール4.4部に代えて、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール2.2部を用いた以外は、合成例1と同様にして、フタロシアニン反応生成物を得た。
【0082】この反応生成物は、マススペクトルにおいてm/Z=576及び648にピークを示した。この反応生成物のCuKα線による粉末X線回折スペクトルを測定した結果を図11に示す。このものの最低角メインピークは2θ=8.3°であって、合成例1及び2のそれが2θ=9.5°であるのに対し、相違する。
【0083】<実施例5>実施例1において、合成例1で得たフタロシアニン反応生成物に代えて、合成例3で得たフタロシアニン反応生成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、X線回折スペクトル測定用電荷発生材料分散液の薄膜及び電子写真用感光体を得た。これらを、実施例試料5とする。そして、実施例1と同様にして測定したこの薄膜のX線回折スペクトルを図12に示す。その時のメインピークの最低角は、8.3°であり、△2θの測定結果は0.26°であった。
【0084】<実施例6>実施例2において、合成例1で得たフタロシアニン反応生成物に代えて、合成例3で得たフタロシアニン反応生成物を用いた以外は、実施例2と同様にして、X線回折スペクトル測定用電荷発生材料分散液の薄膜及び電子写真用感光体を得た。これらを、実施例試料6とする。そして、実施例1と同様にして、この薄膜のX線回折スペクトルを測定した。その時のメインピークの最低角は、8.3°であり、△2θの測定結果は0.28°であった。
【0085】<比較例1>合成例1で得たフタロシアニン反応生成物を粉砕処理を施さずに用いた以外は、実施例1と同様にして、X線回折スペクトル測定用電荷発生材料分散液の薄膜及び電子写真用感光体を得た。これらを、比較例試料1とする。そして、実施例1と同様にして測定したこの薄膜のX線回折スペクトルを図13に示す。その時のメインピークの最低角は、8.2°であり、△2θの測定結果は0.22°であった。
【0086】<比較例2>合成例2で得たフタロシアニン反応生成物を粉砕処理を施さずに用いた以外は、実施例3と同様にして、X線回折スペクトル測定用電荷発生材料分散液の薄膜及び電子写真用感光体を得た。これらを、比較例試料2とする。そして、実施例1と同様にして測定したこの薄膜のX線回折スペクトルを図14に示す。その時のメインピークの最低角は、8.4°であり、△2θの測定結果は0.24°であった。
【0087】<比較例3>合成例3で得たフタロシアニン反応生成物を粉砕処理を施さずに用いた以外は、実施例5と同様にして、X線回折スペクトル測定用電荷発生材料分散液の薄膜及び電子写真用感光体を得た。これらを、比較例試料3とする。そして、実施例1と同様にして測定したこの薄膜のX線回折スペクトルを図15に示す。その時のメインピークの最低角は、8.3°であり、△2θの測定結果は0.18°であった。
【0088】<比較例4>合成例1で合成に使用したオキシチタニウムフタロシアニン化合物を用いた以外は実施例1と同様にして、即ち、電荷発生材料としては、オキシチタニウムフタロシアニン化合物のみを使用し、該フタロシアニン反応生成物は不使用の条件で、X線回折スペクトル測定用電荷発生材料分散液の薄膜及び電子写真用感光体を得た。これらを、比較例試料4とする。そして、実施例1と同様にして測定したこの薄膜のX線回折スペクトルを図16に示す。その時のメインピークの最低角は、7.6°であり、△2θの測定結果は0.45°であった。
【0089】以上の実施例1〜6および比較例1〜4における最低角メインピークと半値幅(△2θ)の結果は、まとめて 表2 半値幅(△2θ)評価結果 に示した。
【0090】
【表2】

【0091】<電子写真特性>また、実施例1〜6及び比較例1〜4で得た各電子写真用感光体について、静電複写紙試験装置(川口電機製作所社製の「EPA−8100」)を用いて、電子写真用感光体を暗所で−6KVのコロナ放電により帯電し、この時の電子写真感光体の表面電位V0 (−V)を測定した。次に、そのまま暗所で10秒間放置したときの電子写真感光体の表面電位V10(−V)を測定した。V0 とV10より電子写真感光体の表面電位の電位保持率(%):((V10/V0 )×100)を算出した。更に、表面電位V10に対して波長780nm、露光エネルギー1μW/cm2 の光で露光を行ない、 露光開始15秒後の表面電位、すなわち残留電位VR(−V)を測定した。更にまた、表面電位がV10の半分になるまでの時間より半減露光量E1/2(mJ/m2)を求めた。この表面電位の暗減衰及び光減衰の測定結果は、表3 電子写真特性 評価結果 にまとめて示した。
【0092】さらに、帯電、暗所放置1秒間、露光1秒間、300ルクスの白色光による除電0.1秒間のプロセスを200回繰り返した直後の測定結果も同様に表3にまとめて示した。
【0093】
【表3】

【0094】表2、表3に示した結果より明らかなように、本発明の実施例1−6で得られた電子写真感光体は、塗膜形態でのX線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)で10°以下にあるメインピークの半値幅(△2θ)が0.25°以上であり、ブラッグ角(2θ)で10°以下にあるメインピークの半値幅△2θが0.25°未満である比較例1−3の感光体と比較して、明らかに初期の帯電特性、電荷保持率が優れており、特に繰り返し後の電荷保持率の低下が少なく、安定性において大幅な改善効果が見られた。一方、電荷発生材料として、一般的な、オキシチタニウムフタロシアニン化合物のみの使用(該反応生成物不使用)からなる比較例4の電子写真用感光体は、ブラッグ角(2θ)で10°以下にあるメインピークの半値幅△2θが本発明のフタロシアニン反応生成物と同等の範囲内にあるにもかかわらず、実施例1−6で得た電子写真感光体と比較して、大幅に特性(電荷保持率、E1/2感度)の劣るものであった。
【0095】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体は、電荷発生層中の電荷発生材料の結晶状態を、X線回折スペクトルにおける最低角メインピークの半値幅(△2θ)で制御することにより、優れた電荷保持率、特に繰り返し時の安定性に優れた特性を発現するものとなり、実用上、極めて有用な電子写真感光体を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000002886
【氏名又は名称】大日本インキ化学工業株式会社
【出願日】 平成12年3月17日(2000.3.17)
【代理人】 【識別番号】100088764
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 勝利
【公開番号】 特開2001−265032(P2001−265032A)
【公開日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願番号】 特願2000−75901(P2000−75901)