| 【発明の名称】 |
電子写真感光体およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】石田 一也
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| 【要約】 |
【課題】塗膜欠陥の無い電荷発生層を有する機能分離型の感光体を容易にかつ再現性よく製造する。
【解決手段】感光体1は、導電性支持体2の上に、電荷発生層4と電荷輸送層5とを積層して成る感光層3を備える。電荷発生層4は、電荷発生物質、結着樹脂およびメチルフェニルシリコーンオイルを含有する電荷発生層用塗布液を用いた浸漬塗布法によって形成される。メチルフェニルシリコーンオイルの粘度は5〜50mPa・sの範囲に選ばれる。またメチルフェニルシリコーンオイルの電荷発生層用塗布液中の固形分に対する添加量は1〜20重量%の範囲に選ばれる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とを積層して成る感光層を備え、前記電荷発生層は浸漬塗布法によって形成される電子写真感光体において、前記電荷発生層は、電荷発生物質、結着樹脂およびメチルフェニルシリコーンオイルを含有することを特徴とする電子写真感光体。 【請求項2】 導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とを積層して成る感光層を形成する電子写真感光体の製造方法であって、前記電荷発生層を浸漬塗布法によって形成する電子写真感光体の製造方法において、前記電荷発生層のための塗布液は、電荷発生物質、結着樹脂およびメチルフェニルシリコーンオイルを含有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。 【請求項3】 前記メチルフェニルシリコーンオイルの粘度は5〜50mPa・sの範囲に選ばれることを特徴とする請求項2記載の電子写真感光体の製造方法。 【請求項4】 前記メチルフェニルシリコーンオイルの電荷発生層用塗布液中の固形分に対する添加量は1〜20重量%の範囲に選ばれることを特徴とする請求項2記載の電子写真感光体の製造方法。 【請求項5】 電子写真感光体を備え、該電子写真感光体の表面を所定の電位に帯電した後、露光によって潜像を形成し、該潜像を現像剤によって現像して電子写真感光体の表面に可視像を形成し、該可視像を所定の記録紙に転写し定着して画像を形成する画像形成装置において、前記電子写真感光体として請求項1記載の電子写真感光体を備えることを特徴とする画像形成装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、導電性支持体上に浸漬塗布法によって形成された電荷発生層を備え、さらに該電荷発生層上に電荷輸送層を備える積層型の電子写真感光体、その製造方法およびそれを用いた画像形成装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来から電子写真感光体(以下、単に感光体ともいう)の感光層材料としてセレン、硫化カドミウムおよび酸化亜鉛などの無機光導電性材料が知られている。無機系感光体は暗所にて所定の電位に帯電することができるとともに電荷の逸散が少なく、また露光によって速やかに電荷を逸散することができる。しかし、セレン系感光体は複雑な製造条件から製造コストが高く、また熱や機械的な衝撃に弱いことから取扱いに注意を要する。硫化カドミウム系および酸化亜鉛系の感光体は多湿の環境下で安定した感度が得られず、また増感剤として添加した色素がコロナ帯電によって劣化したり露光によって退色したりすることから長期にわたって安定した特性が得られない。 【0003】これに対して成膜性および軽量性に優れるポリビニルカルバゾールなどの有機光導電性材料が提案されているが、有機系感光体は感度、耐久性および環境変化による安定性が無機系感光体よりも劣る。また、有機系感光体において、光導電性機能の電荷発生機能と電荷輸送機能とをそれぞれ別個の物質に分担させるようにした積層型および分散型などの機能分離型の感光体が提案されている。この感光体は物質の選択範囲が広いことから帯電特性、感度、残留電位、繰返し特性および耐刷性などの優れた電子写真特性を有する感光体を実現することができ、また塗工による製造が可能なので安価な感光体を安定的に提供することができ、さらに電荷発生物質を適宜選択することによって感光波長帯域を自在に制御することができる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】機能分離型の感光体は上述したような様々な利点を有するが、電荷発生層は一般に浸漬塗布法によって形成され、その膜厚は1μm以下と非常に薄く、したがって電荷発生物質の凝集や導電性支持体の欠陥などに起因して塗膜欠陥が生じる。特開平7−295247号公報には電荷発生物質、結着樹脂およびポリジメチルロキサンを含有する電荷発生層が開示されているが、この技術では塗膜欠陥を充分に防止することができない。 【0005】なお、特開平6−222578号公報にはシート状の感光体においてシリコーンオイルを含有する電荷発生層が開示されているが、この技術はシート状の感光体の電荷発生層におけるはじきや塗工むらによる欠陥を防止することを目的とする。また、特開平5−27456号公報には円筒状の感光体においてシリコーンオイルを含有する電荷発生層および電荷輸送層が開示されているが、この技術は塗布加工性の向上を目的とする。したがって、これらの技術によって膜厚が薄いことに起因して生じる塗膜欠陥を防止することはできない。 【0006】本発明の目的は、塗膜欠陥の無い電荷発生層を有する機能分離型の電子写真感光体を提供すること、そのような電子写真感光体を容易にかつ再現性よく製造できる電子写真感光体の製造方法を提供すること、およびそのような電子写真感光体を用いた高品質な画像が形成できる画像形成装置を提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とを積層して成る感光層を備え、前記電荷発生層は浸漬塗布法によって形成される電子写真感光体において、前記電荷発生層は、電荷発生物質、結着樹脂およびメチルフェニルシリコーンオイルを含有することを特徴とする電子写真感光体である。 【0008】本発明に従えば、浸漬塗布法によって形成される電荷発生層においてメチルフェニルシリコーンオイルを含有することによって、1μm以下の非常に薄い膜厚の電荷発生層であっても、電荷発生物質の凝集が低減し、また導電性支持体の欠陥が覆われるので、これらに起因する塗膜欠陥が低減する。 【0009】また本発明は、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とを積層して成る感光層を形成する電子写真感光体の製造方法であって、前記電荷発生層を浸漬塗布法によって形成する電子写真感光体の製造方法において、前記電荷発生層のための塗布液は、電荷発生物質、結着樹脂およびメチルフェニルシリコーンオイルを含有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。 【0010】本発明に従えば、電荷発生層は、導電性支持体を、電荷発生物質、結着樹脂およびメチルフェニルシリコーンオイルを含有する電荷発生層用塗布液に浸漬し、引上げることによって形成される。電荷発生層用塗布液中にはメチルフェニルシリコーンオイルが含有されるので、電荷発生物質の凝集が低減し、また導電性支持体の欠陥が覆われる。したがって、これらに起因する塗膜欠陥を低減することができる。 【0011】また本発明は、前記メチルフェニルシリコーンオイルの粘度は5〜50mPa・sの範囲に選ばれることを特徴とする。 【0012】本発明に従えば、電荷発生層用塗布液中に含有されるメチルフェニルシリコーンオイルの粘度を上述の範囲とすることによって、効率よく塗膜欠陥を防止することができる。メチルフェニルシリコーンオイルの粘度が上述の範囲よりも大きいと、塗布液との相溶性が悪く、オイルが表面に局在してしまう。また、浸漬塗布時に塗布液とともに消費される量が多くなり、塗膜欠陥の防止効果を連続的に得ることができない。また、粘度が上述の範囲よりも小さいと、塗膜欠陥の防止効果が小さく、このため大量に添加しなくてはならなくなり、感光体の電子写真特性に悪影響を及ぼす。 【0013】また本発明は、前記メチルフェニルシリコーンオイルの電荷発生層用塗布液中の固形分に対する添加量は1〜20重量%の範囲に選ばれることを特徴とする。 【0014】本発明に従えば、電荷発生層用塗布液中に含有されるメチルフェニルシリコーンオイルの添加量が上述した範囲よりも少ないと、塗膜欠陥を充分に防止することができない。また、添加量が上述した範囲よりも多いと、電子写真特性に悪影響を及ぼす。したがって、添加量は上述した範囲とすることが好ましい。 【0015】また本発明は、電子写真感光体を備え、該電子写真感光体の表面を所定の電位に帯電した後、露光によって潜像を形成し、該潜像を現像剤によって現像して電子写真感光体の表面に可視像を形成し、該可視像を所定の記録紙に転写し定着して画像を形成する画像形成装置において、前記電子写真感光体として上述の電子写真感光体を備えることを特徴とする画像形成装置である。 【0016】本発明に従えば、電子写真方式によって画像を形成する画像形成装置は、電荷発生層へのメチルフェニルシリコーンオイルの含有によって塗膜欠陥が低減した電子写真感光体を備える。したがって、塗膜欠陥に起因する欠陥が少なく、高品質な画像を形成することができる。 【0017】 【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態である電子写真感光体1の断面図である。感光体1は、円筒状の導電性支持体2の上に少なくとも機能分離型の感光層3を備える。感光層3は電荷発生層4と電荷輸送層5とを積層して成る。図1では感光体1は支持体2の上に電荷発生層4を形成し、電荷発生層4の上に電荷輸送層5を形成して構成されるが、電荷発生層4と電荷輸送層5とを逆に形成しても構わない。 【0018】導電性支持体2としては、たとえばアルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ニッケル、ステンレスおよびチタンなどの金属製のドラムおよびシートが使用可能である。また、ポリエチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ナイロンおよびポリスチレンなどの高分子材料、ガラスおよび硬質紙から成る基体上に、金属箔をラミネートしたり、金属を蒸着したり、酸化チタン、酸化錫、酸化インジウムおよびカーボンブラックなどの導電性物質を所定の結着樹脂とともに塗布して導電処理を施したりした、ドラム、シートおよびシームレスベルトも使用可能である。 【0019】なお、接着性や電荷ブロッキング性を向上するために、感光層3と支持体2との間に樹脂を主成分とする中間層を設けても構わない。中間層に用いられる樹脂としては、該中間層上に溶剤を用いた塗布法によって感光層3を形成する場合、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂が好ましく、たとえばポリビニルアルコール、カゼインおよびポリアクリル酸ナトリウムなどの水溶性樹脂、共重合ナイロンおよびメトキシメチル化ナイロンなどのアルコール可溶性樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂およびエポキシ樹脂などの3次元網目構造を形成する硬化型樹脂が挙げられる。また、中間層にはモアレの防止や残留電位の低減などのために、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化錫および酸化インジウムなどの金属酸化物の微粉末顔料を添加しても構わない。 【0020】中間層は、たとえば浸漬法、スプレー法、ビード法およびノズル法などの一般的な塗布法によって形成される。塗布法で用いられる中間層用塗布液は、上述した樹脂を溶剤に溶解し、さらに上述した金属酸化物の微粉末顔料を分散して調製される。顔料の分散方法としては、ボートミル、サンドミル、アトライター、振動ミル、コロイドミルおよび超音波分散機などを用いた方法を採用することができる。中間層の膜厚は、0.1μm以上20μm以下の範囲、特に1μm以上5μm以下の範囲が好ましい。膜厚が0.1μmよりも小さいと、実質的に中間層として機能せず、支持体2の欠陥を被覆した均一な表面性が得られず、支持体2からのキャリアの注入を防止することができなくなって帯電性が低下する。また、膜厚が20μmよりも大きいと、塗布法による形成が困難となり、塗布膜の機械的強度が低下する。 【0021】電荷発生層4は浸漬塗布法によって形成され、電荷発生物質および結着樹脂とともにメチルフェニルシリコーンオイルを含有する。電荷発生物質としては、たとえばクロロダイアンブルーなどのビスアゾ系化合物、ジブロモアンサンスロンなどの多環キノン系化合物、ペリレン系化合物、キナクリドン系化合物、フタロシアニン系化合物およびアズレニウム塩系化合物が使用可能であり、またこれらを1種もしくは2種以上併用して用いても構わない。結着性樹脂としては、たとえばメラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂および塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂やアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの2つ以上の繰返し単位を含む共重合体樹脂が使用可能であるが、これらに限定されるものではなく、一般に用いられる全ての樹脂を単独あるいは2種以上混合して用いても構わない。 【0022】図2は、電荷発生層4を形成するための浸漬塗布法を説明するための図である。浸漬塗布法では、塗布液12が塗布液槽11に収容され、また支持体2がアーム14に固定される。アーム14は昇降装置13のモータ15の駆動によって昇降移動する。アーム14に固定された支持体2は昇降装置13によって塗布液12に浸漬された後、引上げられ、溶剤を蒸発することによって電荷発生層4が形成される。 【0023】電荷発生層用の塗布液12は、上述した結着樹脂を溶剤に溶解し、電荷発生物質およびメチルフェニルシリコーンオイルを添加して調製される。結着樹脂を溶解する溶剤としては、たとえば塩化メチレンおよび2塩化エタンなどのハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチルおよび酢酸ブチルなどのエステル類、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶媒が使用可能である。電荷発生層の膜厚は、0.05μm以上5μm以下の範囲、特に0.1μm以上1μm以下の範囲が好ましい。 【0024】電荷輸送層5は、電荷輸送物質と結着樹脂とを含有する。電荷輸送物質としては、たとえばヒドラゾン系化合物、ピラゾリン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、オキサジアゾール系化合物およびエナミン系化合物が使用可能であり、またこれらを1種もしくは2種以上併用して用いても構わない。結着樹脂としては、前記電荷発生層で挙げたのと同じ樹脂を1種もしくは2種以上混合して使用することができる。電荷輸送層5は、たとえば中間層と同じ方法、すなわち浸漬法、スプレー法、ビード法およびノズル法など一般的な塗布法によって形成される。塗布法で用いられる電荷輸送層用塗布液は、結着樹脂を溶剤に溶解し、さらに上述した電荷輸送物質を溶解して調製される。電荷輸送層5の膜厚は、5μm以上50μm以下の範囲、特に10μm以上40μm以下の範囲が好ましい。 【0025】なお、感度の向上および残留電位や繰返し使用時の疲労低減などを目的として、感光層3には少なくとも1種以上の電子受容性物質を添加しても構わない。電子受容性物質としては、たとえばパラベンゾキノン、クロラニル、テトラクロロ1,2−ベンゾキノン、ハイドロキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、メチル1,4−ベンゾキノン、α−ナフトキノンおよびβ−ナフトキノンなどのキノン系化合物、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、1,3,6,8−テトラニトロカルバゾール、p−ニトロベンゾフェノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノンおよび2−ニトロフルオレノンなどのニトロ化合物、テトラシアノエチレン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、4−(P−ニトロベンゾイルオキシ)−2’,2’−ジシアノビニルベンゼンおよび4−(m−ニトロベンゾイルオキシ)−2’,2’−ジシアノビニルベンゼンなどのシアノ化合物が使用可能であり、特にフルオレノン系化合物、キノン系化合物、Cl,CNおよびNO2などの電子吸引性の置換基のあるベンゼン誘導体が好ましい。 【0026】また、安息香酸、スチルベン化合物やその誘導体、トリアゾール化合物、イミダゾール化合物、オキサジアゾール化合物、チアゾール化合物およびその誘導体などの含窒素化合物類などの紫外線吸収剤や酸化防止剤を感光層3に含有させても構わない。 【0027】さらに、感光層3の表面を保護するための保護層を必要に応じて感光層3の上に設けても構わない。保護層としては、熱可塑性樹脂、光または熱硬化性樹脂が使用可能であり、また上述した紫外線防止剤、酸化防止剤、金属酸化物などの無機材料、有機金属化合物および電子受容性物質を含有させても構わない。 【0028】またさらに、二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エステルおよび塩素化パラフィンなどの可塑剤を必要に応じて感光層3や保護層に混合して加工性や可撓性を付与し、機械的物性を改良しても構わない。 【0029】本発明に基づく感光体1では、メチルフェニルシリコーンオイルを含有する電荷発生層用塗布液を用いて浸漬塗布法によって電荷発生層4が形成され、したがって電荷発生層4がメチルフェニルシリコーンオイルを含有する。メチルフェニルシリコーンオイルの粘度は液上がり防止効果に大きな影響を及ぼし、粘度が大きすぎると、塗布液との相溶性が悪く、オイルが表面に局在してしまう。また、浸漬塗布時に塗布液とともに消費される量が多くなり、塗膜欠陥の防止効果を連続的に得ることができない。また、粘度が小さすぎると、塗膜欠陥の防止効果が小さく、このため大量に添加しなくてはならなくなり、感光体1の電子写真特性に悪影響を及ぼす。したがって、メチルフェニルシリコーンオイルの粘度は5〜50mPa・sの範囲とすることが好ましい。また、メチルフェニルシリコーンオイルの添加量が少ないと塗膜欠陥の防止効果が小さく、添加量が多いと感光体1の電子写真特性に悪影響を及ぼす。したがって、メチルフェニルシリコーンオイルの添加量は塗布液の固形分に対して1〜20重量%の範囲とすることが好ましい。 【0030】図3は、電子写真感光体1が搭載された画像形成装置21を示す図である。画像形成装置21では、感光体1が回転可能に配置され、その周囲に帯電装置22、露光装置23、現像装置24、転写装置26および定着装置27を少なくとも備え、図3ではさらにクリーニング装置28と除電装置29とを備える。感光体1の表面が帯電装置22によって所定の電位に帯電された後、露光装置23の露光によって潜像が形成される。形成された潜像は現像装置24によって現像剤で現像され、このようにして感光体1の表面に可視像が形成される。形成された可視像は搬送されてきた所定の記録紙25に転写装置26によって転写され、定着装置27によって定着され、このようにして記録紙25の上に画像が形成される。転写後の感光体1の上に残存する現像剤はクリーニング装置28によって清掃され、また残存する電荷が除電装置29によって除電された後、帯電以降の工程が繰返される。 【0031】電子写真方式によって画像を形成する画像形成装置21において、電荷発生層4へのメチルフェニルシリコーンオイルの添加によって塗膜欠陥が低減した感光体1を搭載することによって、塗膜欠陥に起因する欠陥の少ない高品質な画像を形成することができる。 【0032】以下、本発明を実施例により説明するが、これによって本発明の態様が限定されるものではない。 【0033】実施例1では、直径65mm、長さ332mmのアルミニウム製のドラム状の支持体2を用いた。下記の成分をペイントシェーカで10時間分散して下引き層用塗布液を調製し、これを浸漬塗布法によって支持体1の上に塗布し、130℃で20分間乾燥して、3μmの下引き層を形成した。 【0034】 (下引き層塗布液) 酸化チタン(表面アルミナ処理有) TTO−55A(石原産業製) 60重量部 エポキシエステル樹脂(固形分濃度50%) P786−50(大日本インキ製) 14重量部 メラミン樹脂(固形分濃度60%) L125−60(大日本インキ製) 5重量部 メチルエチルケトン 81重量部【0035】次に、下記の成分をサンドミルで3時間分散して電荷発生層用塗布液を調製し、これを浸漬塗布法によって下引き層の上に塗布し、120℃で10分間乾燥して、0.3μmの電荷発生層4を形成した。 (電荷発生層塗布液) 下記構造のアゾ顔料 3重量部【0036】 【化1】
【0037】 ポリビニルブチラール樹脂 B90(モンサント社製) 2重量部 シクロヘキサノン 100重量部 メチルフェニルシリコーンオイル(粘度10mPa・s)0.2重量部【0038】次に、下記の成分を撹拌・溶解して電荷輸送層用塗布液を調製し、これを浸漬塗布法によって電荷発生層4の上に塗布し、120℃で20分間乾燥して、30μmの電荷輸送層5を形成し、このようにして本発明に基づく感光体1を形成した。 (電荷輸送層塗布液) 下記構造の電荷輸送物質 8重量部【0039】 【化2】
【0040】 ポリカーボネート樹脂 Z200(三菱瓦斯化学製) 10重量部 シリコーンオイル KF50(信越化学社製) 0.002重量部 ジクロロメタン 120重量部【0041】比較例1では、実施例1の電荷発生層用塗布液に使用したメチルフェニルシリコーンオイル(粘度10mPa・s)に代わって、ジメチルシリコーンオイル(粘度10mPa・s、信越化学社製KF96)を使用した以外は実施例1と同様にして感光体を形成した。 【0042】比較例2では、実施例1の電荷発生層用塗布液に使用したメチルフェニルシリコーンオイル(粘度10mPa・s)を添加しない以外は実施例1と同様にして感光体を形成した。 【0043】実施例2では、実施例1の電荷発生層用塗布液に使用したメチルフェニルシリコーンオイル(粘度10mPa・s)に代わって、メチルフェニルシリコーンオイル(粘度2mPa・s)を使用した以外は実施例1と同様にして感光体を形成した。 【0044】実施例3では、実施例1の電荷発生層用塗布液に使用したメチルフェニルシリコーンオイル(粘度10mPa・s)に代わって、メチルフェニルシリコーンオイル(粘度5mPa・s)を使用した以外は実施例1と同様にして感光体を形成した。 【0045】実施例4では、実施例1の電荷発生層用塗布液に使用したメチルフェニルシリコーンオイル(粘度10mPa・s)に代わって、メチルフェニルシリコーンオイル(粘度50mPa・s)を使用した以外は実施例1と同様にして感光体を形成した。 【0046】実施例5では、実施例1の電荷発生層用塗布液に使用したメチルフェニルシリコーンオイル(粘度10mPa・s)に代わって、メチルフェニルシリコーンオイル(粘度100mPa・s)を使用した以外は実施例1と同様にして感光体を形成した。 【0047】実施例6では、実施例1の電荷発生層用塗布液に使用したメチルフェニルシリコーンオイル(粘度10mPa・s)の添加量を、0.02重量部とした以外は実施例1と同様にして感光体を形成した。 【0048】実施例7では、実施例1の電荷発生層用塗布液に使用したメチルフェニルシリコーンオイル(粘度10mPa・s)の添加量を、0.05重量部とした以外は実施例1と同様にして感光体を形成した。 【0049】実勢例8では、実施例1の電荷発生層用塗布液に使用したメチルフェニルシリコーンオイル(粘度10mPa・s)の添加量を、1重量部とした以外は実施例1と同様にして感光体を形成した。 【0050】実施例9では、実施例1の電荷発生層用塗布液に使用したメチルフェニルシリコーンオイル(粘度10mPa・s)の添加量を、3重量部とした以外は実施例1と同様にして感光体を形成した。 【0051】以上のようにして形成した各種感光体を感光体評価装置を用い、780nmの光を照射して表面電位が−600Vから−300Vまで減衰する露光量を測定し、感度として評価した。また、上述した作製条件で感光体を100本形成した際の1本目と100本目において、電荷発生層4に起因する塗布むら(濃度むら)と、電荷発生層4の顔料凝集物に起因する欠陥(ポチ)の数とを目視にて評価した。これらの結果を表1に示す。 【0052】 【表1】
【0053】表1から、電荷発生層4にシリコーンオイルを添加することによって、添加しなかった場合に比べて塗布むらが改善されかつ欠陥数が低減することが判る。また、塗布むらには大差がないが、ジメチルシリコーンオイルを添加した場合よりもメチルフェニルシリコーンオイルを添加した場合の方が欠陥数がより低減することが判る。さらに、添加するメチルフェニルシリコーンオイルの粘度は5〜50mPa・sの範囲が好ましく、この範囲よりも小さいと欠陥数が多くなり、大きいと塗膜欠陥の防止効果が連続的に得られないことが判る。またさらに、メチルフェニルシリコーンオイルの添加量は1〜20重量%の範囲が好ましく、この範囲よりも少ないと塗布むらが顕著となりかつ欠陥数が増大し、多いと感度が低下することが判る。 【0054】以上のように本発明に基づく感光体1では、浸漬塗布法によって形成される電荷発生層4においてメチルフェニルシリコーンオイルを含有したので、塗膜欠陥の少ない感光体1を得ることができる。また本発明に基づく感光体1の製造方法によれば、電荷発生物質、結着樹脂およびメチルフェニルシリコーンオイルを含有する電荷発生層用塗布液12の中に支持体2を浸漬し、引上げることによって、電荷発生層4を形成するので、浸漬塗布時に発生する塗膜の塗布むらを改善することができ、かつポチと呼ばれる欠陥の数を低減することができ、このようにして塗膜欠陥を低減することができる。特に、電荷発生層用塗布液12の中のメチルフェニルシリコーンオイルの粘度を5〜50mPa・sの範囲に選ぶことによって、大きな塗膜欠陥の防止効果が得られ、また該効果が連続的に得られ、このようにして塗膜欠陥を効率よく防止することができる。また特に、メチルフェニルシリコーンオイルの電荷発生層用塗布液中の固形分に対する添加量を1〜20重量%の範囲に選ぶことによって、大きな塗膜欠陥の防止効果が得られ、また良好な感度が得られ、このようにして塗膜欠陥を確実に防止することができる。 【0055】 【発明の効果】以上のように本発明によれば、浸漬塗布法によって形成される電荷発生層においてメチルフェニルシリコーンオイルを含有したので、塗膜欠陥を低減することができる。 【0056】また本発明によれば、電荷発生物質、結着樹脂およびメチルフェニルシリコーンオイルを含有する電荷発生層用塗布液中に導電性支持体を浸漬し、引上げることによって電荷発生層が形成されるので、塗膜欠陥を低減することができる。 【0057】また本発明によれば、電荷発生層用塗布液中のメチルフェニルシリコーンオイルの粘度を5〜50mPa・sの範囲に選んだので、塗膜欠陥の防止効果を効率よく得ることができる。 【0058】また本発明によれば、メチルフェニルシリコーンオイルの電荷発生層用塗布液中の固形分に対する添加量を1〜20重量%の範囲に選んだので、塗膜欠陥の防止効果を確実に得ることができる。 【0059】また本発明によれば、電子写真方式によって画像を形成する画像形成装置において、電荷発生層へのメチルフェニルシリコーンオイルの添加によって塗膜欠陥が低減した電子写真感光体を搭載したので、塗膜欠陥に起因する欠陥の少ない高品質な画像を形成することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005049 【氏名又は名称】シャープ株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年3月15日(2000.3.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075557 【弁理士】 【氏名又は名称】西教 圭一郎
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| 【公開番号】 |
特開2001−265029(P2001−265029A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月28日(2001.9.28) |
| 【出願番号】 |
特願2000−72650(P2000−72650) |
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