| 【発明の名称】 |
感光体並びに画像形成装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】加幡 利幸
【氏名】深貝 俊夫
【氏名】後藤 久義
【氏名】鈴木 一矢
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| 【要約】 |
【課題】特に数十〜十V以下の静電潜像の均一性を確保する感光体を提供する。
【解決手段】浸漬塗工法により導電性基体上に感光層を形成した感光体において、浸漬塗工法における電荷発生層引き上げ方向に電荷発生材料の付着量の傾斜を有することを特徴とする感光体。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 浸漬塗工法により導電性基体上に感光層を形成した感光体において、浸漬塗工法における電荷発生層の引き上げ方向に電荷発生材料の付着量の傾斜を有することを特徴とする感光体。 【請求項2】 請求項1記載の感光体において浸漬塗工法における電荷発生層の引き上げ方向に電荷発生材料の付着量の傾斜を有し、かつ引き上げ開始側の電荷発生層の付着材料の方が引き上げ終了側の電荷発生材料の付着量よりも大きいことを特徴とする感光体。 【請求項3】 請求項1記載の感光体において電荷発生層の引き上げ開始端部より50mmにおける感光体のマクベスIDと電荷発生層の引き上げ終了端部より50mmにおける感光体のマクベスIDの差が0.002〜0.200であることを特徴とする感光体。 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の感光体において、電荷発生層の引き上げ方向と電荷輸送層の引き上げ方向が同じであることを特徴とする感光体。 【請求項5】 請求項4記載の感光体において、電荷発生層の塗工後、及び電荷輸送層の塗工後、浸漬塗工法により引き上げられた方向を保ったままの状態で移動、乾燥することを特徴とする感光体。 【請求項6】 請求項4又は5記載の感光体において、電荷発生層及び電荷輸送層の乾燥が感光体上方より下方に向かって熱風を送ることにより行われることを特徴とする感光体。 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の感光体を用いた画像形成装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する分野】本発明は、複写機、FAX、プリンター等の画像形成装置などに用いられる感光体の改良に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、複写機、プリンター、FAX等の画像形成装置により形成される画像にはさらなる高品質化が求められている。このため、画像形成装置に用いられる感光体には、高画質な画像が得られるように、画像形成域部分における感光体の静電潜像として、数十〜十V以下の均一性が要求されている。そのため、如何に均一な感度の感光体を作製するかが重要な課題となっている。 【0003】多くの感光体は量産性等の点から、浸漬塗工法により、導電性基体上に(必要により下引層を積層した後)、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層して作製している。しかしながら、浸漬塗工法は、本質的に重力により塗膜が下方にすり落ちていくため、等速で導電性基体を引き上げたのでは、導電性基体の上部で塗膜が薄く、下部で塗膜が厚くなってしまい、均一な付着量の感光体を作製することができない。この問題を解決するため、例えば特開平3−78751、特開昭57−5048では、浸漬塗工における導電性基体の引き上げ速度を上部で速く、下部で遅くなるよう制御して均一な付着量を形成する浸漬塗工法が開示されている。 【0004】しかしながら、浸漬塗工法にて導電性基体上に、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層し、それぞれの付着量が均一になるよう感光体を作製しても、数十〜十V以下の静電潜像の均一性をどうしても確保することができなかった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記問題、即ち、浸漬塗工により導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した感光体のそれぞれの付着量について検討し、数十〜十V以下の静電潜像の均一性を確保する条件を見出す点にある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は下記の構成よりなる。 (1) 浸漬塗工法により導電性基体上に感光層を形成した感光体において、浸漬塗工法における電荷発生層の引き上げ方向に電荷発生材料の付着量の傾斜を有することを特徴とする感光体。 【0007】(2) 上記(1)記載の感光体において浸漬塗工法における電荷発生層の引き上げ方向に電荷発生材料の付着量の傾斜を有し、かつ引き上げ開始側の電荷発生層の付着材料の方が引き上げ終了側の電荷発生材料の付着量よりも大きいことを特徴とする感光体。 【0008】(3) 上記(1)記載の感光体において電荷発生層の引き上げ開始端部より50mmにおける感光体のマクベスIDと電荷発生層の引き上げ終了端部より50mmにおける感光体のマクベスIDの差が0.002〜0.200であることを特徴とする感光体。 【0009】(4) 上記(1)〜(3)のいずれかに記載の感光体において、電荷発生層の引き上げ方向と電荷輸送層の引き上げ方向が同じであることを特徴とする感光体。 【0010】(5) 上記(4)記載の感光体において、電荷発生層の塗工後、及び電荷輸送層の塗工後、浸漬塗工法により引き上げられた方向を保ったままの状態で移動、乾燥することを特徴とする感光体。 【0011】(6) 上記(4)又は(5)記載の感光体において、電荷発生層及び電荷輸送層の乾燥が感光体上方より下方に向かって熱風を送ることにより行われることを特徴とする感光体。 【0012】(7) 上記(1)〜(6)のいずれかに記載の感光体を用いた画像形成装置。 【0013】本発明者らは、浸漬塗工法による感光体の作製においては、感光体の画像形成域における電荷発生材料の付着量は、均一であるよりもむしろ感光体の引き上げ方向に傾斜を有している方が、より均一な静電潜像が得られることを見出した。また、電子写真装置における光学系、帯電、転写プロセスが感光体の引き上げ方向で均一あるいは対称であるとすれば、浸漬塗工法における引き上げ方向に電荷発生材料の付着量の傾斜を有し、かつ引き上げ開始側における電荷発生材料の付着量の方が引き上げ終了側の電荷発生材料の付着量よりも大きくした方が、より均一な静電潜像を得られることを見出した。 【0014】従来より理想とされていた電荷発生材料が均一な付着量の感光体よりも、電荷発生材料の付着量に傾斜を有する本発明の感光体の方が、より均一な静電潜像を確保できるのか、その理由はいまだ明らかではないが、本発明者らが推測するに、浸漬塗工法における感光体の製造においては、一度導電性基体全体を塗工液に浸漬した後、導電性基体を引き上げることにより行われるので、導電性基体の引き上げ方向における導電性基体の下部は、上部に比べて長く塗工液と接触していることになる。導電性基体あるいは導電性基体上に形成された下引層と電荷発生層用塗工液との界面が完全になじむには一定の時間がかかると考えられる。特に切削等により粗面化した導電性基体あるいは、粒子を分散して表面が粗面化している下引層と電荷発生層用塗工液との界面がなじむには表面が鏡面の導電性基体あるいは下引層に比べてかなり時間がかかると思われるので、導電性基体の引き上げ方向における導電性基体の上部では導電性基体あるいは導電性基体上に形成された下引層と電荷発生層用塗工液が完全になじまないうちに引き上げられ、そのなじみは、下部の方ほど完全になっていく。そのため、導電性基体あるいは導電性基体上に形成された下引層と電荷発生層用の界面の状態が導電性基体の引き上げ方向に沿って傾斜的に変化していることになる。この考察に従えば、導電性基体が電荷発生層用塗工液に完全に浸漬している時間を導電性基体の引き上げている時間が無視できるよう、圧倒的に長くすれば良いのであるが、生産性を考えれば好ましくはないので、現実的な時間を選択するとすれば、界面状態が傾斜的に変化しているため、電荷発生材料の付着量が均一であっても、長く塗工液と接触している導電性基体下方はより高感度になるものと思われる。導電性基体あるいは導電性基体上に形成された下引層と電荷発生層の界面状態が同じであれば、電荷発生層の付着量が高いほど高感度になるので、本発明の構成の感光体は均一な静電潜像を得ることができる。 【0015】このような考察は、電荷発生層の塗工方法として、スプレー法、ロールコート法等のような導電性基体と電荷発生層用塗工液の接触時間が感光体の長手方向で変わらない方法で塗工した場合には、電荷発生材料の傾斜がない場合の方がより感度が均一であることにも矛盾することがない。 【0016】上記考察に従えば、浸漬塗工法においては電荷発生層のみでなく、電荷輸送層も同様な効果があるものと考えられるが、電荷発生層は一般に十分の数μmと非常に薄く、僅かな導電性基体あるいは導電性基体上に形成された下引層と電荷発生層との微妙な界面状態で感度は大きく変化してしまうものと考えられる。 【0017】本発明の感光体における、電荷発生材料の付着量の傾斜は、感光体製造における微量の振動、微細な測定ノイズを無視できる場所であれば感光体の画像形成域の任意の2点あるいは多点で測定、管理しても良いが、紙等の被写体の大きさが210mm〜300mm長の感光体ドラムが、A3までの場合は300mm〜400mm長の感光体ドラムが使用されることが多いため、感光体の両端部よりそれぞれ30〜100mm、好ましくは40〜70mm、特に好ましくは、電荷発生層の引き上げ方向上部の感光体の端部より50mmにおける電荷発生層の付着量と電荷発生層の引き上げ方向下部の感光体の端部より50mmにおける電荷発生層の付着量を測定することが簡便で、再現性がよく、電荷発生材料の付着量の傾斜をあらわすことができる。 【0018】本発明の感光体における電荷発生材料の付着量の測定は、化学的、物理的、光学的、電気化学的方法等、いずれの方法で測定しても良いが、測定の簡便さ、信頼性の点から光学的手法が好ましく、特にマクベス反射濃度計によるマクベスIDとして測定することが好ましい。一般に感光体に用いられる材料のうち、マクベス反射濃度計に用いられている光の波長に応答する材料は、電荷発生材料のみであるので、マクベスIDは電荷発生材料の付着量を示す代用値として有効に用いることができる。 【0019】本発明の感光体における、電荷発生層の引き上げ方向上部における感光体の端部より50mmにおける感光体のマクベスIDと、電荷発生層の引き上げ方向下部における感光体の端部より50mmにおける感光体のマクベスIDの差、即ち電荷発生材料の付着量の傾斜は、感光体の用いられる画像形成装置の帯電、露光、転写プロセス等の偏差に合わせて適宜決定されるものであるが、通常、感光体の引き上げ方向では、対称あるいはほぼ均一とみなせるため、マクベスIDの差は0.002〜0.200、好ましくは0.005〜0.150、さらに好ましくは0.010〜0.120である。マクベスIDの差が0.002以下では電荷発生層引き上げ方向における感光体下部の感度が上部に比べて高くなり、均一な静電潜像は得られない。マクベスIDの差が0.200以上では感光体下部の感度が上部に比べて低くなり好ましくない。 【0020】本発明の感光体の作製においては、浸漬塗工法により電荷発生層、電荷輸送層の引き上げ方向は、同じであることが好ましい。引き上げる方向を同じとすることで、電荷発生層の付着量に傾斜を設けた本発明の感光体は、より均一な静電潜像を得ることができる。電荷発生層の引き上げ方向と、電荷輸送層の引き上げ方向を変えた場合、電荷発生材料の付着量の傾斜の大きさが条件により変化しやすいため制御しづらくなり、製造設備も複雑となる。また、感光体の電荷発生層の塗工後、及び電荷輸送層の塗工後、浸漬塗工法により引き上げられた方向を保ったままの状態で移動、乾燥することが好ましい。塗工後、浸漬塗工法により引き上げられた方向を変えると電荷発生層及び電荷輸送層中での構成成分あるいは乾燥しきっていない塗工液の若干の移動が生じるため、感度に微妙な偏差が生じてしまい、十V以下を要求される超高画質の画像形成装置用感光体として用いることが難しくなる。 【0021】本発明の感光体の製作における電荷発生層及び電荷輸送層の乾燥は、熱風あるいは赤外線等の電磁波の照射、減圧乾燥等により行われるが、感度の均一性、経済性、再現性を考えると熱風により行われることが好ましく、また熱風の送る方向は、電荷発生層の引き上げ方向の上方より、下方に向かって熱風を送り乾燥を行うことが特に好ましい。電荷発生層の引き上げ方向の上方より、下方に向かって熱風を送ることにより、感光体の上方が優先的に乾燥が開始され、下方に向かって徐々に乾燥が開始されることになり、乾燥の終了も上方より下方に向かって進行することになる。当然のことながら、最終的な乾燥は上下で違いがなく完全に行われることになるのであるが、このような乾燥を行うことにより、本発明の感光体は、より均一な静電潜像の形成が可能となる。従って、本発明の感光体の製作における電荷発生層及び電荷輸送層の乾燥は、電荷発生層の引き上げ方向の上方より、下方に向かって送った熱風が、乾燥機中の床あるいは壁等での跳ね返りにより、感光体付近での熱風の流れに乱流を起こさせないよう、乾燥機内のスペースを十分大きくしたり、下方に熱風の廃気口を設ける等の配慮が必要である。 【0022】本発明の感光体は、基本的には導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層を用いた積層型感光体であるが、電荷発生層と電荷輸送層が同一の層中に有る単層型感光体であっても良い。導電性基体と電荷発生層の間には、導電性基体からの電荷注入の防止、モアレの防止、電荷発生層の接着性の向上を目的として下引層を設けることができる。また、感光層の保護を目的として電荷輸送層の上に保護層を設けることもできる。 【0023】本発明の感光体の導電性基体としては、銅,アルミニウム,金,銀,白金,鉄,パラジウム,ニッケル等の金属あるいはこれら金属を主成分とする合金のシート状又はドラム状に形成したものや、上記の金属、酸化錫、酸化インジウム等をプラスチックフィルム等に真空蒸着,無電解メッキ等によって付着させたシートを例示することができる。本発明の感光体の導電性基体の表面は、接着性の向上、モアレの防止を目的として粗面化されていることが好ましい。 【0024】本発明の感光体の下引層としては樹脂、あるいは白色顔料と樹脂を主成分としたもの、及び導電性基体表面を化学的あるいは電気化学的に酸化させた酸化金属膜等が例示できる。下引層の膜厚が0.1μm〜15μm、好ましくは1〜12μmであり、白色顔料と樹脂を主成分とするものが好ましい。白色顔料としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物が挙げられ、中でも導電性基体からの電荷の注入防止性が優れる酸化チタンを含有させることが最も好ましい。下引層に用いる樹脂としてはポリアミド、ポリビニルアルコール、カゼイン、メチルセルロース等の熱可塑性樹脂、アクリル、フェノール、メラミン、アルキッド、不飽和ポリエステル、エポキシ等の熱硬化性樹脂を例示することができる。 【0025】本発明の感光体に用いる電荷発生剤としては、例えば、モノアゾ系顔料,ビスアゾ系顔料,トリスアゾ系顔料,テトラキスアゾ顔料,トリアリールメタン系染料,チアジン系染料,オキサジン系染料,キサンテン系染料,シアニン系色素,スチリル系色素,ビリリウム系染料,キナクリドン系顔料,インジゴ系顔料,ペリレン系顔料,多環キノン系顔料,ビスベンズイミダゾール系顔料,インダスロン系顔料,スクアリリウム系顔料,フタロシアニン系顔料等の有機系顔料及び染料や、セレン,セレン−ヒ素,セレン−テルル,硫化カドミウム,酸化亜鉛,酸化チタン,アモルファスシリコン等の無機材料を使用することができ、電荷発生剤は一種あるいは多種を、結着樹脂を用いて電荷輸送層を形成する。 【0026】本発明の電子写真感光体に用いる電荷輸送材料としては、例えば、アントラセン誘導体,ピレン誘導体,カルバゾール誘導体,テトラゾール誘導体,メタロセン誘導体,フェノチアジン誘導体,ピラゾリン化合物,ヒドラゾン化合物,スチリル化合物,スチリルヒドラゾン化合物,エナミン化合物,ブタジエン化合物,ジスチリル化合物,オキサゾール化合物,オキサジアゾール化合物,チアゾール化合物,イミダゾール化合物,トリフェニルアミン誘導体,フェニレンジアミン誘導体,アミノスチルベン誘導体,トリフェニルメタン誘導体等の一種あるいは多種を混合して使用することができる。 【0027】上記電荷発生層、電荷輸送層の感光層を形成するのに使用する結着樹脂としては、電気絶縁性であり、それ自体公知の熱可塑性樹脂,熱硬化性樹脂,光硬化性樹脂及び光導電性樹脂等を使用することができ、適当な結着樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体,塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体,ポリビニルブチラール,ポリビニルアセタール,ポリエステル,フェノキシ樹脂,(メタ)アクリル樹脂,ポリスチレン,ポリカーボネ−ト,ポリアリレート,ポリスルホン,ポリエーテルスルホン,ABS樹脂等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂,エポキシ樹脂,ウレタン樹脂,メラミン樹脂,イソシアネート樹脂,アルキッド樹脂,シリコーン樹脂,熱硬化性アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリビニルカルバゾール,ポリビニルアントラセン,ポリビニルピレン等の光導電性樹脂など一種の結着樹脂あるいは多種と結着樹脂の混合を挙げることができるが、特に、これらのものに限定されるものではない。 【0028】本発明の感光体は、均一な静電潜像を形成できることから、複写機、プリンター、FAX等の画像形成装置に用いることにより極めて高画質の画像形成が可能となる。 【0029】 【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例並びに比較例に基づいて具体的に説明する。 実施例1アクリル樹脂(アクリディックA−460−60(大日本インキ化学工業製))15重量部、メラミン樹脂(スーパーベッカミンL−121−60(大日本インキ化学工業製))10重量部をメチルエチルケトン80重量部に溶解し、これに酸化チタン粉末(TM−1(富士チタン工業製))90重量部加え、ボールミルで12時間分散し、下引層塗布液を作製した。切削により表面を粗面化した直径120mm、長さ346mm、厚さ4mmのアルミドラムを上記下引層塗工液に浸漬した後、速度一定で垂直に引き上げて塗工した。アルミドラムの方向を維持したまま、乾燥室に移動させ140℃で20分乾燥し、厚さ2μmの下引層をアルミドラム上に形成した。乾燥室では、方向を維持したままアルミドラムを荷台上に固定し、アルミドラム上方より、アルミドラム長手方向に沿うように熱風を送り、荷台下の床に設けた排気口から熱風を排気するような構造にして、熱風が乱流を起こすことないような構造としている。 【0030】次にブチラール樹脂(エスレックBLS(積水化学製))15重量部をシクロヘキサノン150重量部に溶解し、これに下記構造式のトリスアゾ顔料10重量部を加えてボールミルで48時間分散した。 【0031】 【化1】
【0032】更にシクロヘキサノン210重量部を加え、3時間分散を行った。これを固形分が1.5重量%になるように攪拌しながらシクロヘキサノンで希釈した。こうして得られた電荷発生層用塗工液に、下引層を形成したアルミドラムを浸漬し、引き上げ速度を変化させながら電荷発生層を塗工し、下引層と同じようにアルミドラムの方向を維持したまま、下引層を乾燥した乾燥機と同じ構造の乾燥機に移動させ、120℃、20分間下引層と同様に乾燥を行い電荷発生層を形成した。 【0033】さらに下記構造式の電荷輸送材料6重量部、【0034】 【化2】
ポリカーボネート樹脂(パンライトK-1300(帝人化成製))10重量部、シリコンオイル(KF−50(信越化学工業製))0.002重量部を90重量部の塩化メチレンに溶解した。こうして得られて電荷輸送層塗工液に、下引層/電荷発生層を形成したアルミドラムを浸漬し、一定速度で電荷発生層を塗工し、下引層と同じようにアルミドラムの方向を維持したまま、下引層を乾燥した乾燥機と同じ構造の乾燥機に移動させ、120℃、20分間下引層と同様に乾燥を行い電荷発生層上に厚さ約23μmの電荷輸送層を形成した。 【0035】作製した感光体について、電荷発生層の引き上げ開始側の感光体端部より50mm、感光体中央部、電荷発生層の引き上げ終了側の感光体端部より50mmにおける感光体表面のマクベスIDをRD918マクベス反射濃度計(マクベス社製)測定したところ、それぞれ1.28、1.25、1.22であった。PRETER 550(リコー製)に作製した感光体を搭載し、A3、白黒ハーフトーン画像を出力した。画像出力中、感光体に書き込み光照射直後の静電潜像電位を測定したところ、電荷発生層の引き上げ開始側の感光体端部より50mmの地点の電位(V1)と、電荷発生層の引き上げ終了側の感光体端部より50mmの地点での電位(V2)との差V1−V2は2Vであった。出力したA3画像長手方向端部から各30mmの地点での画像濃度をX-Rite938分光測色濃度計(X-Rite社製)にてそれぞれ3点測定し、相加平均してそれぞれの画像濃度を測定したところ、電荷発生層の引き上げ開始側が0.181、電荷発生層の引き上げ終了側が0.182であった。目視レベルでは、画像濃度は一定であり、画像濃度に偏差は見られなかった。 【0036】比較例1実施例1において、電荷発生層の塗工における引き上げ速度を実施例1と異ならせて塗工する以外は、実施例1と同様に感光体を作製した。実施例1と同様に電荷発生層の引き上げ開始側の感光体端部より50mm、感光体中央部、電荷発生層の引き上げ終了側の感光体端部より50mmにおける感光体表面のマクベスIDをRD918マクベス反射濃度計(マクベス社製)測定したところ、それぞれ1.28、1.29、1.27であった。実施例1と同様に、画像を出力し、出力したA3画像長手方向端部から各30mmの地点での画像濃度を測定したところ、電荷発生層の引き上げ開始側が0.163、電荷発生層の引き上げ終了側が0.185であった。目視レベルでは、若干、電荷発生層の引き上げ開始側の画像濃度が薄いように感じられた。 【0037】比較例2実施例1において、電荷発生層の塗工をスプレー塗工法により行う以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。実施例1と同様に感光体表面のマクベスIDを測定したところ、それぞれ1.29、1.25、1.23と実施例1の感光体とほぼ同じ電荷発生層の分布となった。実施例1と同様に、画像を出力し、出力したA3画像長手方向端部から各30mmの地点での画像濃度を測定したところ、電荷発生層の引き上げ開始側が0.204、電荷発生層の引き上げ終了側が0.185であった。目視レベルでは、若干、電荷発生層の引き上げ開始側の画像濃度が濃いように感じられた。 【0038】実施例2〜5、比較例3実施例1において、電荷発生層の塗工において、引き上げ速度を調整して電荷発生層の引き上げ開始側の感光体端部より50mm、電荷発生層の引き上げ終了側の感光体端部より50mmにおける感光体表面のマクベスIDがそれぞれ異なる表1のような感光体を作製した。実施例1と同様に、画像を出力し、出力したA3画像長手方向端部から各30mmの地点での画像濃度を測定した。画像濃度の測定結果と合わせて、目視レベルでの画像評価結果を表1に示した。 【0039】 【表1】
【0040】実施例6実施例1において、電荷発生層の乾燥において、感光体の長手方向を水平にして実施例1の電荷発生層の乾燥に用いた乾燥機中に配置し、感光体を60rpmで回転させながら電荷発生層の乾燥を行う以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。実施例1と同様に作製した感光体について、電荷発生層の引き上げ開始側の感光体端部より50mm、感光体中央部、電荷発生層の引き上げ終了側の感光体端部より50mmにおける感光体表面のマクベスIDを測定したところそれぞれ1.28、1.24、1.22であった。実施例1と同様に、PRETER550(リコー製)に作製した感光体を搭載し、A3、白黒ハーフトーン画像を出力したときの感光体に書き込み光照射直後の静電潜像電位を測定したところ、電荷発生層の引き上げ開始側の感光体端部より50mmの地点の電位(V1)と、電荷発生層の引き上げ終了側の感光体端部より50mmの地点での電位(V2)との差V1−V2は13Vであった。 【0041】実施例7実施例1において、電荷輸送層の浸漬塗工における引き上げ方向を電荷発生層の浸漬塗工における引き上げ方向と逆にする以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。実施例1と同様に作製した感光体について、電荷発生層の引き上げ開始側の感光体端部より50mm、感光体中央部、電荷発生層の引き上げ終了側の感光体端部より50mmにおける感光体表面のマクベスIDを測定したところそれぞれ1.27、1.25、1.22であった。実施例1と同様に、PRETER 550(リコー製)に作製した感光体を搭載し、A3、白黒ハーフトーン画像を出力したときの感光体に書き込み光照射直後の静電潜像電位を測定したところ、電荷発生層の引き上げ開始側の感光体端部より50mmの地点の電位(V1)と、電荷発生層の引き上げ終了側の感光体端部より50mmの地点での電位(V2)との差V1−V2は−19Vであった。 【0042】 【発明の効果】請求項1においては浸漬塗工法により導電性基体上に感光層を形成した感光体において、浸漬塗工法における引き上げ方向に電荷発生材料の付着量の傾斜を設けることに均一な静電潜像を作製可能な感光体を提供できる。 【0043】請求項2においては、浸漬塗工法における引き上げ方向に電荷発生材料の付着量の傾斜を有し、かつ引き上げ開始側の電荷発生層の付着量の方が引き上げ終了側の電荷発生層の付着量よりも大きくすることにより、より均一な静電潜像を作製可能な感光体を提供できる。 【0044】請求項3においては、電荷発生層の傾斜を、特に好ましい範囲とすることにより、より均一な静電潜像を作製可能な感光体を提供できる。 【0045】請求項4〜6においては、請求項4〜6のようにして感光体を製造することにより、より均一な静電潜像を作製可能な感光体を提供することができる。 【0046】請求項7においては、均一な静電潜像を作製することのできる感光体を用いることにより均一で、高画質な画像を形成可能な画像形成装置を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006747 【氏名又は名称】株式会社リコー
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| 【出願日】 |
平成12年3月22日(2000.3.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078994 【弁理士】 【氏名又は名称】小松 秀岳 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−265024(P2001−265024A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月28日(2001.9.28) |
| 【出願番号】 |
特願2000−80316(P2000−80316) |
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